特許第5793769号(P5793769)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 防衛省技術研究本部長の特許一覧

<>
  • 特許5793769-水中情報計測装置 図000002
  • 特許5793769-水中情報計測装置 図000003
  • 特許5793769-水中情報計測装置 図000004
  • 特許5793769-水中情報計測装置 図000005
  • 特許5793769-水中情報計測装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5793769
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】水中情報計測装置
(51)【国際特許分類】
   B63C 11/48 20060101AFI20150928BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20150928BHJP
   B63B 39/14 20060101ALI20150928BHJP
   B63B 22/22 20060101ALI20150928BHJP
   B63B 22/00 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   B63C11/48 C
   G01C15/00 102C
   G01C15/00 104Z
   B63B39/14
   B63B22/22
   B63B22/00 C
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-192389(P2014-192389)
(22)【出願日】2014年9月22日
【審査請求日】2014年9月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(72)【発明者】
【氏名】里見 晴和
(72)【発明者】
【氏名】中村 尚
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−102762(JP,A)
【文献】 特開2011−102096(JP,A)
【文献】 特開平7−329878(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/024258(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 11/48
B63B 22/00
B63B 22/22
B63B 39/14
G01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信アンテナが設けられた浮力体と、
水中電界を検出するために少なくとも一対の電極が設けられていて、前記浮力体と第1の索で繋がれた電極支持構造体と、
前記少なくとも一対の電極から得た電位から電位差を検出する処理器と、
前記浮力体、前記電極支持構造体又は前記処理器のいずれかに設けられた送信機とを備え、
前記送信機は前記処理器の出力情報を前記送信アンテナから送信するものであり、
前記電極支持構造体は、縮小状態から膨張又は伸長可能であることを特徴とする水中情報計測装置。
【請求項2】
前記浮力体にはGPS情報を受信するGPS受信アンテナが設けられており、
前記GPS受信アンテナから得た情報からGPS位置を求めるGPS受信機が、前記浮力体、前記電極支持構造体又は前記処理器のいずれかに設けられており、
前記送信機は前記GPS受信機からのGPS位置情報を前記送信アンテナから送信することを特徴とする請求項1に記載の水中情報計測装置。
【請求項3】
前記GPS受信アンテナ及び前記送信アンテナが着水により自動展開する機構を有することを特徴とする請求項2に記載の水中情報計測装置。
【請求項4】
前記処理器は前記電極支持構造体に設けられるか、又は前記電極支持構造体と第2の索で繋がれていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水中情報計測装置。
【請求項5】
前記電極支持構造体に動揺センサが設けられていて、前記動揺センサは前記電極支持構造体の動揺を検出し、動揺検出値を前記処理器に出力することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水中情報計測装置。
【請求項6】
前記電極支持構造体に磁気センサが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の水中情報計測装置。
【請求項7】
前記浮力体と、縮小状態の前記電極支持構造体と、前記処理器とを含む構成品が、折り畳み状態の落下傘を含む投下器とともに外筒内に収納されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の水中情報計測装置。
【請求項8】
着水状態では、前記浮力体は水面に浮かび、前記電極支持構造体は水中に没しかつ膨張又は伸長して前記少なくとも一対の電極を離間させて支持することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の水中情報計測装置。
【請求項9】
前記電極支持構造体が着水によって膨張する球殻であって、前記球殻の表面に露出するように前記電極が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の水中情報計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中情報計測装置に係り、とくに水中電界を少なくとも検出可能な水中情報計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水中内に存在する目標の捜索のための検出を目視で行うことは不可能であるため、何らかの物理現象を利用することになる。
【0003】
光波及び電波のいずれも、水中では距離に比して減衰が大きいため、水中内に存在する目標を検出することは困難であり、このため水中目標を検知するためには、通常、音波を計測する方法を用いることが多い。
【0004】
音波により水中目標の有無及び水中目標の存在方位を把握するためには、複数個の音響素子による検出情報が必要があり、このため、水中目標を音波で検出するためには配列状の音響素子(例えば直線状に配列された複数の音響素子)を有する必要がある。
【0005】
音波による水中目標の検出に際しては、目標が存在する蓋然性の高い海面をくまなく探す必要があることから、航空機から配列状の音響素子を内蔵するソノブイを投下することにより捜索することが知られている。
【0006】
ソノブイは、投下前は小型の容器に格納されており、航空機から投下・着水後、音響素子が配列状に展開する機構を有している。
【0007】
音波を検出するソノブイは、水中目標から放射される音波を受波することにより、水中目標を検出するため、水中目標がソノブイが検出できる音圧以上の音圧の音波を発生しない場合には検出を行うことができない。
【0008】
また、水中目標以外に海洋生物も音波を発するため、これら海洋生物からの音波を水中目標と誤認識する可能性がある。
【0009】
他方、例えば海底地形の調査を行う水中航走体等の人工的な水中目標は磁気又は水中電界を放射していることが知られている。
【0010】
このため、音波とは異なる物理現象として水中目標から放射される水中電界を検出する方法により水中目標を検出することが考えられる。
【0011】
水中電界の検出には、2個の電極の電位差をもとに行うため、水中目標から放射される水中電界を効果的に検出するためには2個の電極間距離を確保する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平5−19034号公報
【特許文献2】特開2006−162406号公報
【0013】
上記特許文献1は、アームにより音響素子が展開されることによって水中目標を検出する装置に関するものである。
【0014】
上記特許文献2は、海底に設置した電極の電位差により水中目標の位置を概定する装置に関するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記特許文献1では、水中目標から放射される音波を音響素子で受波することにより、水中目標を検出するため、水中目標がソノブイが検出できる音圧以上の音圧の音波を発生しない場合には検出を行うことができないし、また、水中目標以外の海洋生物からの音波を水中目標と誤認識する可能性がある。
【0016】
上記特許文献2では、水中目標の位置を概定するために予め電極間距離を十分確保した状態で装置を海底に静置しておく必要があるが、予め電極間距離を十分確保した状態では外形が大型となるため、航空機から投下するのに不都合が生じる可能性がある。このため、航空機から投下して着水するまではコンパクトな状態を保持しつつ、着水後に所要の電極間距離を確保する装置が求められる。
【0017】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、航空機等からの投下に適した構造を有し、少なくとも水中電界を検出可能な水中情報計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のある態様は水中情報計測装置である。この水中情報計測装置は、送信アンテナが設けられた浮力体と、
水中電界を検出するために少なくとも一対の電極が設けられていて、前記浮力体と第1の索で繋がれた電極支持構造体と、
前記少なくとも一対の電極から得た電位から電位差を検出する処理器と、
前記浮力体、前記電極支持構造体又は前記処理器のいずれかに設けられた送信機とを備え、
前記送信機は前記処理器の出力情報を前記送信アンテナから送信するものであり、前記電極支持構造体は、縮小状態から膨張又は伸長可能であることを特徴とする。
【0019】
前記態様において、前記浮力体にはGPS情報を受信するGPS受信アンテナが設けられており、前記GPS受信アンテナから得た情報からGPS位置を求めるGPS受信機が、前記浮力体、前記電極支持構造体又は前記処理器のいずれかに設けられており、前記送信機は前記GPS受信機からのGPS位置情報を前記送信アンテナから送信する構成であるとよい。この場合、前記GPS受信アンテナ及び前記送信アンテナが着水により自動展開する機構を有するとよい。
【0020】
前記態様において、前記処理器は前記電極支持構造体に設けられるか、又は前記電極支持構造体と第2の索で繋がれているとよい。
【0021】
前記態様において、前記電極支持構造体に動揺センサが設けられていて、前記動揺センサは前記電極支持構造体の動揺を検出し、動揺検出値を前記処理器に出力する構成であるとよい。
【0022】
前記態様において、前記電極支持構造体に磁気センサが設けられているとよい。
【0023】
前記態様において、前記浮力体と、縮小状態の前記電極支持構造体と、前記処理器とを含む構成品が、折り畳み状態の落下傘を含む投下器とともに外筒内に収納されているとよい。
【0024】
前記態様において、着水状態では、前記浮力体は水面に浮かび、前記電極支持構造体は水中に没しかつ膨張又は伸長して前記少なくとも一対の電極を離間させて支持する構成であるとよい。
【0025】
前記態様において、前記電極支持構造体が着水によって膨張する球殻であって、前記球殻の表面に露出するように前記電極が設けられているとよい。
【0026】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る水中情報計測装置によれば、縮小状態から膨張又は伸長可能な電極支持構造体に水中電界を検出するための電極を設けることで、航空機等からの投下に適した構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る水中情報計測装置の第1の実施の形態であって、着水後の状態を示す斜視図である。
図2】第1の実施の形態における投下前の状態を示す斜視図である。
図3】第1の実施の形態における、投下から着水までの途中状態を示す斜視図である。
図4】第1の実施の形態における、送信アンテナから送信された情報の処理系統を示すブロック図である。
図5】本発明の第2の実施の形態であって、着水後の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0030】
図1乃至図4で本発明に係る水中情報計測装置の第1の実施の形態を説明する。この水中情報計測装置は水中に存在する目標から放射される水中電界をもとに水中目標の有無及び存在方位を検出するためのものである。図1は水中情報計測装置が着水した後の状態を示すものであって、水中情報計測装置は、GPS情報を受信するGPS受信アンテナ1、GPS受信アンテナ1から得た情報からGPS位置を求めるGPS受信機4、送信機5、送信機5からの情報を送信する送信アンテナ2が設けられた浮力体3と、水中電界を検出するための三対の電極10−1〜10−6が設けられていて、浮力体3と第1の索8で繋がれた(連結された)電極支持構造体としての球殻9と、球殻9に第2の索12で繋がれた(連結された)錘兼用の処理器13とを備えている。
【0031】
浮力体3に設けられているGPS受信アンテナ1及び送信アンテナ2は、着水までは折りたたまれており、着水とともに例えばバネ等により自動展開する機構を有している。図1ではアンテナ1,2は展開後の状態を示している。
【0032】
浮力体3と球殻9間は電気ケーブル7で接続され、ケーブル7及び索8の途中には球殻9の捻れ及び動揺を減衰させるための減衰器(ダンパ)6が挿入され(取り付けられ)ている。
【0033】
球殻9は縮小状態から膨張可能なゴム等の非導電性材質からなり、球殻9の表面には、電極10−1〜10−6が露出するように設けられ(例えば表面に貼り付けられ)、電極10−1,10−2の対、電極10−3,10−4の対、及び電極10−5,10−6の対は、それぞれ対をなす電極同士が球殻9の表面上の対極となる位置(球殻9の中心に対して点対称となる位置)に配置されている。但し、図1では可視性の都合上、電極10−5と電極10−6の図示位置をずらしている。
【0034】
電極10−1〜10−6により検出された水中電位はそれぞれ球殻9内の電気ケーブルを経由し、さらに電気ケーブル11を経由して処理器13に送られる。処理器13は電極10−1,10−2の対、電極10−3,10−4の対、及び電極10−5,10−6の対の電位差をそれぞれ計算する。
【0035】
球殻9の表面には、自沈器(自沈弁)14が設けられている。この自沈器14は、例えば一定時間経過後、球殻9に貫通孔をあけることにより球殻9内に水を導入させ、水中情報計測装置全体を自沈させる。
【0036】
球殻9の内部には、動揺センサ15、磁気センサ16及び膨張器104が設けられている。動揺センサ15は例えばジャイロスコープであって球殻9の動揺(傾き等)を検出するものであり、動揺センサ15の動揺検出値は球殻9内部の電気ケーブル及び電気ケーブル11を経由して処理器13に入力される。磁気センサ16は例えば直交3軸方向の磁界を検出するものであり、その磁界検出値も球殻9内部の電気ケーブル及び電気ケーブル11を経由して処理器13に入力される。膨張器104は着水衝撃を検出し、その後、例えば液体又はガスを発生させ球殻9を膨張させるものである。膨張器104から発生する液体又はガスは、水と同程度の比重であればなお良い。
【0037】
図2は、水中情報計測装置の投下前の状態を示す。外筒101の中に図1に示した全ての構成品(球殻9は縮小状態)と、折り畳み状態の落下傘を含む投下器102とが収納されている。図2の状態の水中情報計測装置を航空機から投下すると、図3のように投下器102から落下傘103が展開した状態で図1の海面91に着水する。
【0038】
着水に伴い、図1に示す球殻9内に格納されている膨張器104が着水衝撃を検出し、その後、例えば液体又はガスを発生させ球殻9を膨張させる。球殻9の膨張により、外筒101、投下器102及び落下傘103は分離脱落するとともに、球殻9の表面に設けられた三対の電極10−1〜10−6は、球殻9によって水中電界の測定に必要な相互に充分離間した配置となるように支持される。
【0039】
分離脱落後、水中情報計測装置は正浮力の浮力体3、負浮力の球殻9及び負浮力の処理器13に大別される。図1の浮力体3は海面91に出ており、その下部は索8により海水中にある球殻9と結合している。浮力体3に設けられた GPS受信アンテナ1及び送信アンテナ2は着水とともに自動展開して所要長となっている。電気ケーブル7及び索8の途中には減衰器6が挿入されており、球殻9のねじれ及び動揺を減衰させる。球殻9の下部には、索12により処理器13が結合されている。処理器13は錘を兼ねており、図1のように球殻9は処理器13が下方に位置する姿勢で安定するようにしている。
【0040】
図1の展開状態の水中情報計測装置において、自沈器14で球殻9に貫通孔があいて水中情報計測装置が自沈するまでの期間に、水中情報計測装置は水中電界及び磁界を含む水中情報の計測を行うことができる。すなわち、球殻9の表面の電極10−1〜10−6により検出された電位は球殻9内の各電気ケーブル、さらに電気ケーブル11を経由して処理器13に送られる。処理器13では、例えば電極10−1と10−2、電極10−3と10−4及び電極10−5と10−6の電位差をそれぞれ検出(計算)する。また、動揺センサ15による動揺検出値及び磁気センサ16による磁界検出値も球殻9内の電気ケーブル、さらに電気ケーブル11を経由して処理器13に送られる。処理器13で検出された電位差、動揺センサ15及び磁気センサ16から処理器13にそれぞれ入力された動揺検出値及び磁界検出値は処理器13から電気ケーブル11及び電気ケーブル7を経由して送信機5に送られる。そして、送信機5は、処理器13の出力情報(電位差情報、動揺検出値情報、磁界検出値情報)を送信アンテナ2から送信する。
【0041】
また、浮力体3に設けられたGPS受信アンテナ1でGPS情報を受信し、その情報からGPS受信機4でGPS位置を求め、送信機5はGPS受信機4からのGPS位置情報を送信アンテナ2から送信する。
【0042】
図4は送信アンテナ2から送信された情報の処理系統を示すブロック図である。この図4の処理系統は、図1の水中情報計測装置から離れた陸上、船上若しくは航空機に設置され、受信アンテナ201、情報処理器202、表示器203及び記録器204を有している。そして、図1の送信アンテナ2から送信された各種情報(前記電位差情報、動揺検出値情報、磁界検出値情報、GPS位置情報)は受信アンテナ201により受信され、情報処理器202を経由して表示器203に表示されるとともに記録器204に記録される。
【0043】
情報処理器202では、受信アンテナ201から得た情報をもとに例えば上記特許文献2の方法により水中目標の有無及び方位を概定する。その際、前記動揺検出値情報を用いて前記電位差情報を補正計算する(球殻9の姿勢変化に伴う電極位置の変化を補償する)ことで、水中目標の方位の概定精度を向上させることができる。
【0044】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0045】
(1) 縮小状態から膨張可能な電極支持構造体としての球殻9に水中電界を検出するための電極10−1〜10−6を設けることで、航空機等からの投下に適したブイ形構造の水中情報計測装置を実現することができる。着水後の球殻9の膨張状態では、対をなす電極間距離を充分大きく確保でき、水中目標から放射される水中電界を効果的に検出可能である。また、GPS受信アンテナ1及びGPS受信機4を具備することでGPS位置の計測も可能である。
【0046】
(2) 球殻9の外形は球形のため、潮流に起因する局所的なモーメントの影響を減らすことができ、さらに内部に動揺センサ15を設けることで動揺による雑音(電位変動)を抑制しつつ水中目標を検出可能である。つまり、動揺センサ15で球殻9の動揺を検出し、その動揺検出値を利用することで、球殻9の動揺に伴う電極10−1〜10−6の位置変化に起因する電位変動を補正可能である。
【0047】
(3) 処理器13が球殻9と第2の索12で繋がれる構造とすることで、処理器13を錘として兼用でき、球殻9の姿勢の安定化に寄与でき、構造の簡素化を図ることができる。
【0048】
(4) 球殻9に磁気センサ16を設けることで、水中における磁界検出が可能であり、磁界検出値を利用して水中目標の探知も可能である。
【0049】
(5) 浮力体3、縮小状態の球殻9、それらに附属する構成品を、折り畳み状態の落下傘103を含む投下器102とともに外筒101内に収納することで、航空機等からの投下に適したコンパクトな形状にすることが可能である。
【0050】
図5で本発明に係る水中情報計測装置の第2の実施の形態を説明する。図5は水中情報計測装置が着水した後の状態を示すものであって、水中情報計測装置は、GPS情報を受信するGPS受信アンテナ1、GPS受信アンテナ1から得た情報からGPS位置を求めるGPS受信機4、送信機5、送信機5からの情報を送信する送信アンテナ2が設けられた浮力体3と、水中電界を検出するための三対の電極10−1〜10−6が設けられていて、浮力体3と第1の索8で繋がれた(連結された)電極支持構造体としての展開型骨組19と、展開型骨組19に第2の索12で繋がれ(連結され)かつ電気ケーブル11で接続された錘兼用の処理器13とを備えている。展開型骨組19の中心位置に磁気センサ16が設けられている。展開型骨組19は非導電性である。
【0051】
この第2の実施の形態は、球殻9の代わりに、縮小状態から伸長(展開)可能な展開型骨組19を用いたものであり、その他の構成、作用効果は前述の第1の実施の形態と同様である。
【0052】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0053】
各実施の形態では、三対の電極10−1〜10−6を電極支持構造体(球殻9又は展開型骨組19)に設けたが、水中目標の有無の検出であれば一対の電極10−1,10−2で足り、二次元の方位概定であれば二対の電極があればよい。
【0054】
各実施の形態において、処理器13は電極支持構造体としての球殻9又は展開型骨組19と第2の索12で繋がれていたが、処理器13を球殻9内又は展開型骨組19に設け、第2の索12の下端に錘を設ける構成としても良い。
【0055】
各実施の形態において、浮力体3内にGPS受信機4と送信機5を収納しているが、これらは例えば球殻9内あるいは処理器13内に収納しても良い。
【0056】
各実施の形態において、動揺センサ15からの動揺検出値を基に電極10−1〜10−6の値を補正計算する機能を処理器13内に内蔵させることも可能である。
【0057】
第1の実施の形態において、電極10−1〜10−6を球殻9の表面に貼り付けるのではなく、球殻9から電極先端のみを露出させる構造も可能である。また、電極の代わりに他の検出器を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 GPS受信アンテナ
2 送信アンテナ
3 浮力体
4 GPS受信機
5 送信機
6 減衰器
7,11 電気ケーブル
8.12 索
9 球殻
10−1〜10−6 電極
13 処理器
14 自沈器
15 動揺センサ
16 磁気センサ
19 展開型骨組
91 海面
101 外筒
102 投下器
103 落下傘
104 膨張器
201 受信アンテナ
202 情報処理器
203 表示器
204 記録器
【要約】
【課題】水中航走体等から発生する水中電界等の水中情報を航空機等から投下可能かつ簡易かつ潮流等の動揺を受けにくい装置により計測する。
【解決手段】GPS情報を受信するGPS受信アンテナ1、これから得た情報からGPS位置を求めるGPS受信機4、送信機5、送信機5からの情報を送信する送信アンテナ2が設けられた浮力体3と、水中電界を検出するための三対の電極10−1〜10−6が設けられていて、浮力体3と第1の索8で繋がれた球殻9と、前記電極から得た電位から電位差を検出する処理器13とを備える。送信機5はGPS受信機4からのGPS位置情報及び処理器13の出力情報を送信アンテナから送信する。球殻9は着水時に縮小状態から膨張して、各対の電極同士を離間状態に支持する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5