特許第5793780号(P5793780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793780
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】封緘ラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/03 20060101AFI20150928BHJP
   B65D 55/06 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   G09F3/03 D
   B65D55/06
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-210229(P2011-210229)
(22)【出願日】2011年9月27日
(65)【公開番号】特開2013-72920(P2013-72920A)
(43)【公開日】2013年4月22日
【審査請求日】2014年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(72)【発明者】
【氏名】宮島 俊明
(72)【発明者】
【氏名】青木 聡司
【審査官】 青山 玲理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−276783(JP,A)
【文献】 特開平8−115051(JP,A)
【文献】 特開2005−241749(JP,A)
【文献】 特開2005−121914(JP,A)
【文献】 特開平11−190970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/00− 5/04
B65D 35/44−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貼着部において包装体に貼付される封緘ラベルであって、
封緘基材の両側領域の裏面側が貼着部とされ且つ前記封緘基材の中間領域の裏面が非貼着部とされており、
前記封緘基材の両側領域のうち少なくとも一方の側領域が前記中間領域の裏面側に折り返されている、封緘ラベル。
【請求項2】
貼着部において包装体に貼付される封緘ラベルであって、
裏面が前記貼着部とされた支持基材と、前記支持基材上に積層された封緘基材であってその両側領域の裏面が前記支持基材に接着され且つ中間領域の裏面が前記支持基材に対して非貼着とされた封緘基材と、を有し、
前記封緘基材の両側領域のうち少なくとも一方の側領域が前記中間領域の裏面側に折り返されている、封緘ラベル。
【請求項3】
前記封緘基材の両側領域が前記中間領域の裏面側に折り返されている、請求項1または2に記載の封緘ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体の封緘に用いられる封緘ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、食品、化粧品などの商品を、包装箱又は包装袋などに入れた様々な包装体が流通している。
かかる包装体の不正開封や改ざん行為を防止するため、包装体の開封部に封緘ラベルが貼付されている。
封緘ラベルとしては、包装体から剥離すると隠し印刷された文字や記号が現れるもの、包装体から剥離しようとするとスリットに沿って切り裂かれるもの、包装体から一旦剥離すると再貼付できなくなるものなどが知られている(特許文献1の[0002])。
しかしながら、誰かが、包装体から封緘ラベルを剥離しないで、封緘ラベルを鋭利な刃(例えば、剃刀やカッターナイフなど)で切断した場合、封緘ラベルが切断されたことを一見して判別することが困難である。
【0003】
そこで、特許文献1には、両端域が容器表面に対する貼着代として裏面に接着剤層が形成され、容器の角部にあてがわれる中間域の裏面が非接着性とされ、前記両端域のフィルム面にはラベル破断用スリットが形成された封緘用ラベルが開示されている。
かかる特許文献1の封緘ラベルは、中間域が非接着とされているので、不正に鋭利な刃物で切断された場合に、切断に伴ってその部分が容器表面から浮き上がった状態となる。このため、その外観異常から、不正開封を判別できる。
しかしながら、封緘ラベルの中間域が単に非接着とされているだけでは、切断後の封緘ラベルが容器表面から離れず、不正に切断されたことを一見して判別でき難いという問題点がある。
【0004】
また、特許文献2には、引張りテンションを掛けた上フィルムと引張りテンションを掛けない下フィルムとからなるカール特性を有するカールフィルムを用いた封緘ラベルが開示されている。
かかる封緘ラベルは、不正に鋭利な刃物で切断された場合に、カールフィルムの切断端部がカールするので、不正に切断されたことを一見して判別できる。
しかしながら、引張りテンションを掛けた上フィルムを下フィルムに積層したカールフィルムは製造し難く、それを封緘ラベルに加工することも技術的に難しい。さらに、通常、封緘ラベルは離型紙上に仮貼付されて供給されるが、カールフィルムを用いた封緘ラベルは、離型紙に仮貼付して保管・搬送している間にカールして、その端部が離型紙から剥がれるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−162909号公報
【特許文献2】特開2005−241749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、切断されたときに包装体から離れて反り上がり、不正開封を一見して判別できる封緘ラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の封緘ラベルは、貼着部において包装体に貼付される封緘ラベルであって、封緘基材の両側領域の裏面側が貼着部とされ且つ前記封緘基材の中間領域の裏面が非貼着部とされており、前記封緘基材の両側領域のうち少なくとも一方の側領域が前記中間領域の裏面側に折り返されている。
【0008】
上記第1の封緘ラベルは、貼着部を介して包装体に貼着して使用される。
本発明の封緘ラベルは、封緘基材の両側領域のうち少なくとも一方の側領域が中間領域の裏面側に折り返されているので、中間領域が折り回復性を有する。封緘基材の中間領域を切断してそれが2つの切断片に分断されると、折り返された側領域に繋がる切断片が、反発によって包装体から反り上がる。
よって、不正に開封されたことを一見して判別できる。
【0009】
本発明の第2の封緘ラベルは、貼着部において包装体に貼付される封緘ラベルであって、裏面が貼着部とされた支持基材と、前記支持基材上に積層された封緘基材であってその両側領域の裏面が前記支持基材に接着され且つ中間領域の裏面が前記支持基材に非貼着とされた封緘基材と、を有し、前記封緘基材の両側領域のうち少なくとも一方の側領域が前記中間領域の裏面側に折り返されている。
【0010】
上記第2の封緘ラベルは、上記第1の封緘ラベルと同様に、封緘基材の中間領域が2つの切断片に分断されると、折り返された側領域に繋がる切断片が、反発によって包装体から反り上がるので、不正開封を一見して判別できる。
また、封緘基材が支持基材に接着されているので、封緘ラベルを貼付する際に、封緘基材の両側領域が捲れたり或いは折れ曲がることなく、封緘ラベルを所定位置に綺麗に貼付できる。
【0011】
好ましくは、前記封緘基材の両側領域が前記中間領域の裏面側に折り返されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の封緘ラベルは、封緘基材が切断されたときに包装体から離れて反り上がるので、不正開封を一見して判別できる。
また、本発明の封緘ラベルは、封緘基材の側領域を折り返すことによって形成できるので、比較的容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る封緘ラベルの平面図。
図2】同側面図。
図3図1のIII−III線断面図。
図4図1のIV−IV線断面図。
図5】封緘ラベルが貼付された包装体の斜視図。
図6図5のVI−VI線断面図。
図7図6に示す封緘ラベルを切断したときの断面図。
図8】第2実施形態に係る封緘ラベルの平面図。
図9】同側面図。
図10】第2実施形態の変形例に係る封緘ラベルの側面図。
図11】第2実施形態の更なる変形例に係る封緘ラベルの側面図。
図12】他の実施形態に係る封緘ラベルの側面図。
図13】更なる他の実施形態に係る封緘ラベルの側面図。
図14】更なる他の実施形態に係る封緘ラベルの平面図。
図15図14のXV−XV線断面図。
図16】封緘ラベルが包装箱の平面部に貼付された包装体の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
図1乃至図4において、第1実施形態の封緘ラベル1は、封緘基材2及び支持基材3の少なくとも2つの基材と、貼着部4と、を有する。
貼着部4は、支持基材3の裏面に設けられている。本発明において、貼着部4は、包装体に封緘ラベル1を貼付するために必要な部分であって、包装体に貼り付く部分である。
封緘基材2は、支持基材3の上に積層されている。封緘基材2の両側領域21,22の裏面が支持基材3の表面に接着されている。一方、封緘基材2の中間領域23の裏面は、支持基材3に非接着とされ(接着されていない)、支持基材3上に重ねられている。
封緘基材2の両側領域21,22は、折り目51,52において中間領域23の裏面側に折り返されている。
【0015】
具体的には、封緘基材2及び支持基材3は、平面視所定形状に形成されており、本実施形態では、封緘基材2及び支持基材3は、図1に示すように、平面視略矩形状に形成されている。
両側領域21,22を折り返す前の封緘基材2の一方向Xの長さは、支持基材3の一方向Xの長さよりも長いが、両側領域21,22を折り返した後の封緘基材2の一方向Xの長さ(つまり、封緘基材2の中間領域23の一方向Xの長さ)は、図1及び図2に示すように、支持基材3のそれよりも短い。このように折り返した後の封緘基材2の一方向Xの長さを短く形成することにより、支持基材3の一部分3aが封緘基材2によって覆われず、その一部分3aを直接視認できる。
【0016】
封緘基材2の他方向Y(基材の面内で、一方向Xと直交する方向)の長さは、支持基材3の他方向Yの長さと同じとされている。
もっとも、折り返した後の封緘基材2と支持基材3の各一方向Xの長さは同じでもよいし、折り返した後の封緘基材2の一方向Xの長さが支持基材3のそれよりも長くてもよい。また、封緘基材2の他方向Yの長さが、支持基材3のそれよりも長い又は短くてもよい。
【0017】
前記封緘基材2は、折り曲げ可能な柔軟性を有するシートであれば特に限定されず、公知のシートを利用できる。封緘基材2としては、例えば、紙、合成紙、合成樹脂シート、発泡樹脂シート、及びこれらを2層以上積層した積層シートなどが挙げられる。折り回復性に優れていることから、封緘基材2として、紙、合成紙、合成樹脂シート、又はこれらから選ばれる少なくとも1つを有する積層シートを用いることが好ましく、特に、折り回復性に優れていることから、紙、合成紙又はこれらの少なくとも何れか一方を有する積層シートがより好ましい。
【0018】
前記紙としては、上質紙、中質紙、コート紙などが挙げられる。
前記合成紙としては、ポリエステル系合成紙、ポリプロピレン系合成紙などが挙げられる。
前記合成樹脂シートとしては、ポリエステル系、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリアミド系などのシートが挙げられる。
封緘基材2の厚みは、特に限定されない。もっとも、封緘基材2が余りに薄すぎると、折り回復性を十分に具備しないおそれがあるので、封緘基材2の厚みは30μm以上が好ましい。一方、封緘基材2が余りに厚いと、両側領域21,22を折り返すことが困難となる上、封緘ラベル1が嵩高くなり過ぎることから、封緘基材2の厚みは300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。
【0019】
前記支持基材3は、折り曲げ可能な柔軟性を有するシートであれば特に限定されず、公知のシートを利用できる。封緘基材2としては、例えば、紙、合成紙、合成樹脂シート、発泡樹脂シート、不織布、及びこれらを2層以上積層した積層シートなどが挙げられる。
支持基材3の厚みは、特に限定されない。通常、支持基材3の厚みは、10μm〜300μmである。
【0020】
封緘基材2及び支持基材3には、所望のデザインが印刷されていてもよい。
好ましくは、封緘基材2の中間領域23の表面と裏面とは、その外観が異なっている。例えば、中間領域23の表面と中間領域23の裏面は、色彩が異なっていたり(表面が白色で且つ裏面が赤色などのように、異なる色彩が付されている場合など)、又は、異なる文字や記号が印刷されている。
或いは、好ましくは、封緘基材2の中間領域23の表面と、封緘基材2の第1側領域21及び第2側領域22の表面又は支持基材3の表面とは、その外観が異なっている。例えば、中間領域23の表面と支持基材3の表面は、色彩が異なっていたり、又は、異なる文字や記号が印刷されている。
【0021】
中間領域23の表面と中間領域23の裏面の外観が異なっていることにより、中間領域23が切断されることにより生じる切断片が反り上がった際、その切断片の裏面側(中間領域23の裏面側)が目に付きやすく、切断片の反りをより判別しやすくして、不正開封の有無を容易に発見できるようになる。
また、中間領域23の表面と第1側領域21及び第2側領域22の表面又は支持基材3の表面の外観が異なっていることにより、中間領域23が切断されることにより生じる切断片が反り上がった際、第1側領域21及び第2側領域22の表面又は支持基材3の表面が目に付きやすく、切断片の反りをより判別しやすくして、不正開封の有無を容易に発見できるようになる。
【0022】
封緘基材2の面内には、2つの折り目51,52(第1折り目51及び第2折り目52)が形成され、その折り目51,52において、封緘基材2の両側領域21,22(第1側領域21及び第2側領域22)が中間領域23の裏面側にそれぞれ折り返されている。
2つの折り目51,52は、それぞれ封緘基材2の他方向Yと略平行に延びており、その2つの折り目51,52の間の領域が中間領域23とされている。
第1折り目51から封緘基材2の第1側縁2aまでの領域が第1側領域21とされ、第2折り目52から封緘基材2の第2側縁2bまでの領域が第2側領域22とされている。
【0023】
第1側領域21及び第2側領域22は、第1折り目51及び第2折り目52において約180度に山折りされ、中間領域23の裏面側にそれぞれ重ねられている。
第1側領域21及び第2側領域22を折り返す箇所(前記2つの折り目51,52)に対応する封緘基材2に、ミシン目線やVノッチ線などの刻設線を形成してもよい(図示せず)。もっとも、このような刻設線の形成は、封緘基材2の折り回復性を低下させる要因になるので、刻設線を形成せずに、封緘基材2を折り返すことが好ましい。
【0024】
第1側領域21と第2側領域22は、互いに接触しないように折り返されている。従って、封緘基材2の第1側縁2aと第2側縁2bは、向かい合っているが、両縁2a,2bは隙間を有して離れており、第1側縁2aと第2側縁2bの隙間から中間領域23の裏面が臨出している。
前記隙間が設けられていることにより、その隙間において、中間領域23を折り易くなるので、包装体の角部に跨って封緘ラベル1を綺麗に貼付できる。
【0025】
もっとも、封緘基材2の第1側縁2aと第2側縁2bが当接するように(向かい合って接するように)、第1側領域21と第2側領域22が折り返されていてもよいし、或いは、第1側領域21の端部と第2側領域22の端部が重なるように、第1側領域21と第2側領域22が折り返されていてもよい(何れも図示せず)。
【0026】
第1側領域21及び第2側領域22の裏面は、支持基材3の表面に重ねられ、接着部6を介して、支持基材3の表面に接着されている。
接着部6の形成材料は、両側領域21,22と支持基材3とを接着できるものであれば特に限定されない。例えば、接着部6の形成材料としては、公知の粘着剤、接着剤又は溶剤などが挙げられる。前記粘着剤などを両側領域21,22又は支持基材3の所定範囲に塗工することにより、接着部6において両側領域21,22と支持基材3を接着できる。
なお、封緘基材2と支持基材3が、例えば、熱溶着可能な材質である場合には、両側領域21,22と支持基材3の所定範囲を熱溶着で接着することも可能である。
【0027】
第1側領域21及び第2側領域22は、それぞれ、その裏面全体が支持基材3に接着されていてもよいし、或いは、その裏面の一部分が支持基材3に接着されていてもよい。
なお、第1側領域21の端部と第2側領域22の端部が重なるように、第1側領域21と第2側領域22が折り返されている場合には、両端部の重なり部分が接着されていてもよいし、或いは、接着されていなくてもよい。例えば、第1側領域21の端部と中間領域23の間に第2側領域22の端部が介在するように、第1側領域21と第2側領域22が折り返されている場合には、第1側領域21の端部の表面と第2側領域22の端部の裏面(両端部の重なり部分)が接着されていてもよいし、或いは、接着されていなくてもよい(図示せず)。
【0028】
好ましくは、第1側領域21及び第2側領域22の各裏面は、折り目51,52又はその近傍を含む所定範囲において、支持基材3に接着される。第1側領域21及び第2側領域22が折り目51,52又はその近傍において支持基材3に接着されていることにより、中間領域23の折り回復性を高めることができる。
本実施形態においては、図2図4に示すように、第1折り目51及び第2折り目52の各近傍から所定範囲にそれぞれ接着部6が設けられ、その接着部6を介して、第1側領域21の裏面の一部分及び第2側領域22の裏面の一部分が支持基材3にそれぞれ接着されている。
【0029】
また、第1側領域21及び第2側領域22の各表面と中間領域23の裏面は、非接着とされており、さらに、支持基材3の表面と中間領域23の裏面も非接着されている。従って、中間領域23は、他の部分に規制を受けない自由面となっている。
【0030】
また、封緘基材2の中間領域23又は両側領域21,22には、部分的な切込み線71が形成されていることが好ましく、さらに、その切込み線71は、接着部6及びその近傍を含む範囲に対応して設けられていることが好ましい。この切込み線71は、封緘基材2の面内に端部を有する有端状の切込み線であり、封緘基材2の厚み方向に貫通している。
本実施形態では、前記切込み線71は、中間領域23に複数形成され、さらに、中間領域23の裏面側に重ねられた第1側領域21及び第2側領域22にも貫通するように形成されている。
【0031】
切込み線71の平面視形状は、特に限定されず、規則的な形状でもよいし、無秩序な形状でもよい。封緘基材2を支持基材3から不正に引き剥がそうとした際に、封緘基材2が容易に分断し得るので、切込み線71は、中間領域23の縁にまで形成されていることが好ましい。図示例では、切込み線71は、中間領域23の縁でもある折り目51,52にまで形成されている。なお、折り目51,52の以外の中間領域23の縁には、折り目51,52以外も含まれるが、前記折込み線71がその折り目51,52の以外の縁から形成されていてもよい(図示せず)。
封緘基材2に切込み線71が形成されていることにより、誰かが封緘基材2を支持基材3から剥がそうとしたときに(つまり、接着部6を剥がすときに)、切込み線71において封緘基材2が無秩序に分断される。このため、剥離に起因する不正開封を一見して判別することができる。
【0032】
なお、前記切込み線71は、中間領域23及び両側領域21,22の双方に形成されている場合に限定されず、上記効果を損なわない範囲で、何れか一方にのみ形成されていてもよい。また、後述する隠し印刷に加えて、必要に応じて、前記切込み線71を支持基材3に設けてもよいし、前記切込み線71を封緘基材2及び支持基材3に設けてもよい。支持基材3に前記切込み線71を形成する場合には、支持基材3の縁から設けることが好ましい。
【0033】
さらに、封緘基材2の中間領域23の面内には、他方向Yに延びる折り補助線72が形成されている。この折り補助線72は、中間領域23を折り易くするために設けられている。折り補助線72としては、例えば、ミシン目線やVノッチ線などが挙げられる。
この折り補助線72は、中間領域23の一方向Xにおける略中央部(第1折り目51と第2折り目52の間の略中央部)に少なくとも1本設けられる。好ましくは、折り補助線72は、複数本設けられる。図示例では、他方向Yに延び且つ一方向Xに略平行に配列された3本の折り補助線72が、中間領域23の面内に形成されている。
【0034】
支持基材3の裏面には、封緘ラベル1を包装体に貼付するため、貼着部4が設けられている。
貼着部4は、支持基材3の裏面のうち、少なくとも両側部に設けられる。支持基材3の両側部は、支持基材3の一方向Xの両側の端部である。貼着部4が支持基材3の少なくとも両側部に設けられていることにより、封緘ラベル1を包装体に貼付した際に、封緘ラベル1の角部が捲れることを防止できる。
図示例では、貼着部4は、支持基材3の裏面の全体に設けられている。
【0035】
貼着部4の形成材料は、包装体に貼着可能なものであれば特に限定されない。例えば、貼着部4の形成材料としては、公知の粘着剤や接着剤などが挙げられる。前記粘着剤などの形成材料を、支持基材3の裏面の所定範囲に塗工することにより、貼着部4を形成できる。
【0036】
また、貼着部4には、封緘ラベル1を貼着部4において引き剥がしたときに、所望の文字(例えば、開封済など)が現れる隠し印刷が具備されていてもよい。かかる隠し印刷を貼着部4に具備させることにより、封緘ラベル1を剥離したときに支持基材3の一部分3aに隠し印刷が現れるので、封緘ラベル1の不正剥離を容易に発見できる。かかる隠し印刷の形成方法は、公知の方法を採用できるので、ここではその説明を省略する。
【0037】
本発明の封緘ラベル1は、通常、離型紙に仮貼付されて提供される。もっとも、貼着部4が感熱性接着剤などによって形成されている場合には、封緘ラベル1を離型紙に仮貼付せずに提供することも可能である。
提供された封緘ラベル1は、様々な包装体の封緘に使用される。
図5及び図6は、角部を有する包装体に本発明の封緘ラベルが貼付された状態を示す図である。
本発明の封緘ラベル1を貼付する包装体10は、特に限定されない。例えば、包装体10は、医薬品、食品、化粧品などの商品(図示せず)と、その商品を収納する包装箱又は包装袋などの包材9と、を有する。
【0038】
図5及び図6に示す包装体10は、包材としての包装箱9の内部に商品が入れられたものである。包装箱9は、開口部を有する本体91と、前記開口部を開閉するための蓋体92と、を有する。
本体91と蓋体92によって角部9aが形成されており、本体91と蓋体92の間には、隙間9bが存在している。
【0039】
この角部9aの稜線と封緘基材2の他方向Yが略平行となるように、封緘ラベル1は、貼着部4を介して、角部9aに跨って貼付される。
特に、中間領域23に形成された折り補助線72が包装体10の角部9aの稜線に対応するように、封緘ラベル1を貼付することが好ましい。中間領域23は折り補助線72に従って折れ曲がり易くなっているので、中間領域23が包装体10から浮き上がることなく、封緘ラベル1を包装体10に綺麗に貼付できる。
また、封緘基材2は支持基材3に接着されているので、封緘ラベル1を貼付する際に、封緘基材2の両側領域21,22が捲れたり或いは折れ曲がることなく、封緘ラベル1を所定位置に綺麗に貼付できる。
【0040】
包装体10に貼付された封緘ラベル1を、図7に示すように、誰かが鋭利な刃物で切断することがある。例えば、悪意者が、カミソリのような薄刃を、包装体10の本体91と蓋体92との境界に存在する隙間9bに差し入れて、中間領域23を含む封緘ラベル1を隙間9bに沿って切断する。
この点、本発明の封緘ラベル1においては、封緘基材2の両側領域21,22が中間領域23の裏面側に折り返されているので、中間領域23が切断されることによって生じる2つの切断片231,232が、折り回復力の反発によって包装体10から反り上がる。
よって、不正に開封されたことを一見して判別できる。
【0041】
本発明の封緘ラベル1を製造する際には、従来のように引張りテンションを掛けて基材を積層する必要性がないので、その製造も容易である。また、例えば、封緘ラベル1を離型紙に仮貼付して保管・搬送しても、その間に封緘ラベル1が離型紙から不用意に剥がれることもない。
【0042】
さらに、上記封緘ラベル1の貼着部4に隠し印刷が具備されている場合には、貼着部4において封緘ラベル1を包装体10から剥がすと、文字などの隠し印刷表示が支持基材3の表面に現れる。
上記実施形態の封緘ラベル1は、支持基材3の一部分3aが封緘基材2によって覆われておらず、支持基材3の表面の一部分3aが露出しているので、その一部分3aに現れた隠し印刷表示を視認できる。このため、切断によらずに、封緘ラベル1を不正に剥離したときにも、その不正開封を一見して判別することができる。
【0043】
[第2実施形態]
第2実施形態は、支持基材が設けられていない封緘ラベルに係る。以下、第2実施形態の封緘ラベルを説明するが、上記第1実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、(その説明をしたものとして)用語及び符号を援用する場合がある。
【0044】
図8及び図9において、第2実施形態の封緘ラベル1は、封緘基材2と貼着部4とを有する。
封緘基材2は、上記第1実施形態と同様に、その両側領域21,22が第1折り目51及び第2折り目52において中間領域23の裏面側に折り返されている。
中間領域23の裏面は、両側領域21,22に接着されておらず且つ貼着部4も具備しておらず、非貼着部とされている。
そして、折り返された両側領域21,22の裏面に貼着部4が設けられている点において、上記第1実施形態とは異なっている。
【0045】
本実施形態において、貼着部4は、両側領域21,22の裏面の一部分又は全体に設けられる。特に、貼着部4は、図示したように、両側領域21,22の裏面のうち、折り目51,52又はその近傍を含む所定範囲に少なくとも設けられていることが好ましい。貼着部4が折り目51,52又はその近傍を含んで設けられていることにより、中間領域23の折り回復性を高めることができる。
【0046】
本実施形態の封緘ラベル1は、封緘基材2の両側領域21,22の裏面に設けられた貼着部4を介して包装体10に貼付される。
本実施形態の封緘ラベル1も第1実施形態と同様に、中間領域23の切断によって生じる2つの切断片231,232が、折り回復力の反発によって包装体から反り上がるので、不正開封を一見して判別できる。
【0047】
次に、第2実施形態の変形例を説明する。
図10に示す封緘ラベル1は、第1側領域21の端部と第2側領域22の端部が重なるように第1側領域21と第2側領域22が折り返され且つその重なり端部が接着されている。
第1側領域21と第2側領域22の重なり端部は、例えば、上記第1実施形態で示したような接着部6を介在させることにより接着できる。
【0048】
また、図11に示す封緘ラベル1は、封緘基材2の第1側縁と第2側縁が一体的に繋がっている。換言すると、図11の封緘ラベル1は、無端筒状の封緘基材2を対向する2つの折り目51,52において折り曲げて偏平状にしたものである。この封緘ラベル1も、封緘基材2の中間領域23と、その中間領域23に折り目51,52において折り返された両側領域21,22と、両側領域21,22の裏面に設けられた貼着部4と、を有する。
図10及び図11の第2実施形態の封緘ラベル1において、貼着部4は、折り目51,52又はその近傍を含む所定範囲に設けられる場合に限られず、両側領域21,22の裏面の全体などに設けてもよい。
【0049】
なお、図10に示すような第1側領域21の端部と第2側領域22の端部を接着すること、又は、図11に示すような無端筒状の封緘基材2を2つの折り目51,52において折り曲げることを、上記第1実施形態の封緘基材2に適用してもよい。
【0050】
図8及び図9に示す封緘ラベル1は、支持基材3を有さず且つ封緘基材2の両側領域21,22の端部が自由端であるので、封緘ラベル1を包装体10に貼付する際に、両側領域21,22が捲れたり或いは折れ曲がったりするおそれがある。
この点、図10及び図11のように、両側領域21,22が繋がっている封緘ラベル1であれば、貼付時に両側領域21,22の端部が捲れ難く、封緘ラベル1を所定位置に綺麗に貼付できる。
【0051】
[他の実施形態]
上記第1及び第2実施形態において、封緘基材2の両側領域21,22が折り返されているが、これに限定されず、両側領域21,22のうち一方の側領域が折り返され且つ他方の側領域が折り返されずに中間領域23と同一平面上にあってもよい。
例えば、図12は、第1実施形態と同様に支持基材3を有する封緘ラベル1であって、第1側領域21が折り返され且つ第2側領域22が折り返されていない封緘ラベルを示している。
例えば、図13は、第2実施形態と同様な支持基材を有さない封緘ラベル1であって、第2側領域22が折り返され且つ第1側領域21が折り返されていない封緘ラベルを示している。
【0052】
これらの封緘ラベル1は、一方の側領域のみが折り返されているが、封緘基材2の中間領域23を切断してそれが2つの切断片に分断された際には、その一方の側領域に繋がる切断片が、反発によって包装体から反り上がる。このため、不正開封を一見して判別できる。もっとも、上記第1及び第2実施形態のように、両側領域21,22が折り返されていれば、2つの切断片が反り上がるので、不正開封の有無をより判別し易くなるので好ましい。
【0053】
また、上記第1及び第2実施形態において、第1側領域21及び第2側領域22は中間領域23に対して第1折り目51及び第2折り目52において山折りされているが(折り目51,52が外側に出て折り返されているが)、これに併用して、谷折りされている部分を設けてもよい。
具体的には、図14及び図15に示す封緘ラベル1は、第1側領域21及び第2側領域22が中間領域23に対して第1折り目51及び第2折り目52において山折りされている部分81と、第1側領域21及び第2側領域22が中間領域23に対して谷折りされている部分82と、を有する。
【0054】
谷折り部82は、例えば、第1折り目51及び第2折り目52の中途部から内側に向かって所定長さ分だけ、中間領域23及び両側領域21,22を2本の切断線に沿って切断し、その2本の切断線で囲われた両側の部分を、内側に折り畳むことによって形成されている。この2つの谷折り部82,82の折り目53,54は、第1折り目51及び第2折り目52に対向している。そして、図15に示すように、山折り部81と谷折り部82は、互いに反対に向いて折り畳まれている。
かかる谷折り部82を設けることにより、中間領域23の折り回復性の向上が図られる。
【0055】
上記第1及び第2実施形態において、封緘ラベル1を包材9の角部9aに跨って貼付することを例示したが、本発明の封緘ラベル1は、角部9aに跨って折り曲げて貼付する態様に限られず、例えば、図16に示すように、包材9の平面的な部分に本発明の封緘ラベル1を貼り付けてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…封緘ラベル、2…封緘基材、21…一方の側領域、22…他方の側領域、23…中間領域、3…支持基材、4…貼着部、51,52…折り目、6…接着部、9…包材、9a…包材の角部、10…包装体
図1
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