(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記2端子の組のうち、同一の構造材に設けられるとともに2端子間の距離が所定の距離よりも短い2端子間の電路のうち前記距離に対応する最短電路は、絶縁部が設けられて電気的に開放される、
請求項1記載の構造物監視装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る構造物監視装置および構造物監視方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、本発明に係る構造物監視装置の監視対象となる構造物が木造建築物である場合の例について示す。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る構造物監視装置10を含む構造物監視システム1の一例を示すブロック図である。なお、以下の説明では、本発明に係る構造物監視装置10の監視対象となる構造物が木造建築物である場合の例について示す。
【0016】
構造物監視システム1は、構造物監視装置10、構造物20および表示端末を有する。表示端末は、少なくとも表示機能を有する端末であって、監視者(住人RやサービスマンS)により利用される。表示端末は、ネットワーク100を介して構造物監視装置10とデータ送受信可能に接続された情報処理端末30であってもよいし、構造物20内の壁面等に設けられたモニタ31でもよい。本実施形態において、構造物監視装置10は構造物20の内部に設置され、ネットワーク100を介して情報処理端末30やモニタ31とデータ送受信可能に接続される。
【0017】
図2(a)は複数の構造材21による組上げ体22の一例を示す説明図であり、(b)は構造材21の構成の一例を示す説明図である。
【0018】
図2(b)に示すように、構造材21のそれぞれは、軸部23および接合部24を有する。複数の構造材21がいわゆる継ぎ手や仕口などの接合部24(
図2(b)のハッチング参照)を介して接合されて組み上げられることにより、組上げ体22が構成される(
図2(a)参照)。組上げ体22に対して仕上げ材を用いることにより構造物20が完成する。組上げ体22において、構造材21は、柱、横架材、土台、筋交いなどとして機能する。
【0019】
構造材21は、組上げ体22を構成した際に、複数の構造材21の表面どうしが電気的に接続されて電路を形成するように、軸部23の表面の少なくとも一部および接合部24の表面の少なくとも一部に対し、導電性塗料を塗布して導電性皮膜を形成する。換言すれば、組上げ体22は、構造材21の表面の導電性皮膜により電気回路(抵抗分圧回路)を形成する。
【0020】
接合部24の表面において導電性を有する箇所を一部とする場合は、接合する構造材21どうしの互いに対向する対応位置とする。また、軸部23の表面において導電性を有する箇所を一部とする場合は、接合部24の導電性箇所の間を結ぶ電路となる位置とする。
【0021】
もちろん、構造材21の全表面(接合部24および軸部23の全表面)に対して導電性塗料を塗布して導電
性皮膜を形成することにより、構造材21を完全に導電性皮膜で覆うようにしてもよい。このとき、導電性塗料としては、構造材21を構成する木材を長寿命化する効果のあるものを用いるとよい。たとえば、竹炭粉末を含有する導電性塗料には、木材表面に塗布することにより、殺菌効果、消臭効果、表面親水性による水分侵入防止効果などを生じるものがある。この種の竹炭含有塗料は、殺菌効果により腐食菌によるセルロース分解を低減することができるため、木材の防腐効果およびセルロース分解により生じうる白蟻誘引を低減する効果がある。また、この種の竹炭含有塗料は、白蟻が噛み切ることが難しい硬さを有する。このため、この種の竹炭含有塗料を木材の全表面に塗布することにより、防蟻効果も期待できる。
【0022】
なお、組上げ体22を構成した際に軸部23の表面と接合部24の表面により電路が形成されればよく、軸部23の表面は露出面(最外面)でなくともよい。たとえば、組上げ体22が構成された後、軸部23の表面に設けられた導電性皮膜に対してさらに非導電性の皮膜を形成してもよい。また、組上げ体22が軸部23の表面と接合部24の表面により形成された電路を有していればよく、必ずしも組上げ体22の組み上げ前に構造材21の全表面に導電性皮膜を形成しておかなくてもよい。すなわち、たとえばあらかじめ構造材21の接合部24の表面および接合部24の近傍の軸部23の表面にのみ導電性皮膜を形成しておき、構造材21を組み上げて組上げ体22を構成した後に、軸部23の残りの電路形成に係る所要部分に導電性皮膜を形成してもよい。
【0023】
図3(a)は組上げ体22により形成される電気回路および2つの端子tl1、tl2からなる端子群tlの一例を模式的に示す説明図であり、(b)は組上げ体22により形成される電気回路およびk個の端子tl1〜tlkからなる端子群tlの他の例を模式的に示す説明図である。
図3(a)および(b)において、接合箇所はA〜Lのアルファベットで示した。また、
図3(a)には組上げ体22が2つの端子tl1、tl2からなる端子群tlを有する場合の例について示し、
図3(b)には組上げ体22がk個(ただしkは2以上の整数を表す)の端子tl1〜tlkからなる端子群tlを有する場合の例について示した。
【0024】
図3(a)に示すように、組上げ体22は、少なくとも2つの端子tl1およびtl2を設けられる。また、
図3(b)に示すように、組上げ体22は、3以上の端子を設けられてもよい。各端子tl1〜tlkは、構造材21の表面の電路上に設けられる。
【0025】
2端子間の抵抗は、2端子間の電路上に存在する軸部抵抗rbおよび接合部抵抗rjの合成抵抗となる。所定の2端子間の組(たとえばtl1とtl2)の端子間の抵抗値は、軸部抵抗rbおよび接合部抵抗rjに変化がなければ、測定時刻によらず同じ値となる。一方、たとえば地震などにより、接合箇所の接合状態がいわゆるハナレやズレを起こして変化し、あるいは軸部23の状態がいわゆるワレを起こして変化すると、端子間の抵抗値は変化する。
【0026】
たとえば、接合箇所AとBを結ぶ構造材21が接合箇所Aから離脱すると、接合箇所AとBを結ぶ電路が開放される。このため、たとえば端子tl1と端子tl2の端子間の電路の合成抵抗値は、接合箇所AとBを結ぶ電路が開放されることにより高くなる。したがって、2端子間の抵抗値は、接合箇所の接合状態や軸部23の状態を反映した値となることがわかる。
【0027】
そこで、本実施形態に係る構造物監視装置10は、複数の構造材21の表面どうしが電気的に接続されて電路を形成している構造物20について、電路に設けられた2端子間の抵抗値を監視することにより接合箇所の接合状態変化および軸部23の状態変化を監視する。
【0028】
図4は、端子間に絶縁部25が設けられる様子の一例を示す説明図である。
図4において、ハッチング部は導電性皮膜を表す。
【0029】
2端子の組のうち、同一の構造材21に設けられるとともに2端子間の距離が所定の距離よりも短い2端子間には、絶縁部25を設けるとよい(
図4参照)。なお、
図4には、端子tl1およびtl2がポストであり、各ポストに接続されたリード線26が抵抗測定部40に接続される場合の例について示したが、端子tl1〜tlkはポストに限られず、たとえばバナナソケットなど構造材21に凹部形状として形成されてもよい。
【0030】
また、ポスト等の引出し部材およびリード線26は必ずしも必要ではなく、監視者が抵抗測定時に電路上の2箇所に対してテスタ端子などを直接接触させてもよい。たとえば、
図3に示す例において、端子tl1およびtl2は監視者(住人RやサービスマンS)によりアクセス可能な床下収納口内に設けられてもよく、また端子tl3およびtl4は監視者(住人RやサービスマンS)によりアクセス可能な天井点検口内に設けられてもよい。
【0031】
さらに、絶縁部25を設ける場合には、絶縁部25を挟んだ2端子間を短絡するためのスイッチSWを設けてもよい。
図3(b)には、端子tl1とtl2の間にスイッチSW
12を、端子tl3とtl4の間にスイッチSW
34を、それぞれ設ける場合の例を示した。
【0032】
また、スイッチSWを設ける場合、測定対象の端子間を除く電路を確保するように、測定対象の2端子の組に対応するスイッチを開放するとともに非測定対象の2端子の組に対応するスイッチを短絡するとよい。たとえば、
図3(b)に示す例において、端子tl1とtl2の間の抵抗値を測定する場合、端子tl1とtl2の間のスイッチSW
12を開放するとともに端子tl3とtl4の間のスイッチSW
34を短絡するとよい。
【0033】
図5は、第1実施形態に係る構造物監視装置10の内部構成例を概略的に示すブロック図である。
【0034】
構造物監視装置10は、抵抗測定部40のほか、表示部41、入力部42、記憶部43、送受信部44、スピーカ45および監視制御部46を有する。抵抗測定部40を除く各部41−46は、たとえば一般的なパーソナルコンピュータやワークステーション、タブレット端末などの携帯型情報処理端末などにより構成することができる。
【0035】
表示部41は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成され、監視制御部46の制御に従って構造物20の健全性を示す画像などの各種画像を表示する。
【0036】
入力部42は、たとえばマウス、トラックボール、キーボード、タッチパネル、テンキーなどの一般的な入力装置により構成される。入力部32は、監視者の操作に対応した操作入力信号を監視制御部46に出力する。また、入力部42として音声入力用のマイクロフォンを用いてもよい。この場合、マイクロフォンは監視者によって入力された音声をデジタル音声信号に変換し、監視制御部46は、このデジタル音声信号を音声認識処理することにより監視者の入力した音声に応じた動作を行う。
【0037】
記憶部43は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、監視制御部46のCPUにより読み書き可能な記録媒体を含んだ構成を有し、これら記憶媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部はネットワーク100を介してダウンロードされてもよい。記憶部43は、参照抵抗値や関連付け情報を記憶する。
【0038】
送受信部44は、ネットワーク100の形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。送受信部44は、この各種プロトコルに従って構造物監視装置10を情報処理端末30およびモニタ31に対してデータ送受信可能に接続する。ここでネットワーク100とは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、無線/有線LAN(Local Area Network)やインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0039】
スピーカ45は、監視制御部46が出力する評価結果情報に構造物20に異常がある旨の情報が含まれていると、監視者に注意を促す警告情報などの、各種情報に対応した音声やビープ音などを出力する。
【0040】
なお、ここで「音声」とは、聞き手に人の声として認識される音によりテキストデータを読み上げた音をいう。また、「音」とは、「音声」を含むほか、「音楽」や「効果音(ビープ音など)」などを含むものとする。
【0041】
監視制御部46は、CPU、RAMおよびROMをはじめとする記憶媒体などにより構成され、たとえばワンチップマイコンなどを用いることができる。監視制御部46は、この記憶媒体に記憶されたプログラムに従って構造物監視装置10の動作を制御する。監視制御部46のCPUは、ROMをはじめとする記憶媒体に記憶された監視プログラムおよびこのプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードする。CPUはこのプログラムに従って、組上げ体22に形成された電路の抵抗値を測定することにより、非破壊で容易に構造物20の健全性を監視するための処理を実行する。
【0042】
なお、表示部41、入力部42、スピーカ45は構造物監視装置10に設けられずともよい。
【0043】
一方、情報処理端末30は、一般的なパーソナルコンピュータやワークステーション、タブレット端末などの携帯型情報処理端末などにより構成することができる。情報処理端末30は、
図1に示すように、表示部51、入力部52、記憶部53、送受信部54、スピーカ55および端末制御部56を有する。なお、入力部52、スピーカ55は情報処理端末30に設けられずともよい。
【0044】
表示部51、入力部52およびスピーカ55は、構造物監視装置10の表示部41、入力部42およびスピーカ45と同等の構成を有する。
【0045】
表示部51は、監視制御部46からネットワーク100を介して受けた構造物20の健全性を示す画像などの各種画像を表示する。
【0046】
表示部51および入力部52は、一体として操作パネルを構成してもよい。この場合、操作パネルは、監視者が押したときにそれぞれ固有の指示信号をCPUに与えるボタンなどの入力部52の一部としてのハードキーと、表示入力装置とを有する。この場合、表示入力装置は、表示部51と、表示部51の近傍に設けられた入力部52の一部としてのタッチパネルとを有する。表示部51は、端末制御部56に制御されて、構造物20の健全性を示す画像のほか、情報処理端末30を操作するための情報および情報処理端末30を操作するための複数のソフトキーを表示する。タッチパネルは、監視者によるタッチパネル上の指示位置の情報を端末制御部56に与える。
【0047】
記憶部53は、構造物監視装置10の記憶部43と同等の構成を有し、これら記憶媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部はネットワーク100を介してダウンロードされてもよい。記憶部53は、端末制御部56に制御されて、監視制御部46からネットワーク100を介して受けた関連付け情報を記憶してもよい。
【0048】
端末制御部56は、CPU、RAMおよびROMをはじめとする記憶媒体などにより構成される。端末制御部56は、この記憶媒体に記憶されたプログラムに従って情報処理端末30の動作を制御する。
【0049】
また、モニタ31は、少なくとも情報処理端末30の表示部51、送受信部54と同等の構成を有し、監視制御部46からネットワーク100を介して受けた構造物20の健全性を示す画像などの各種画像を表示する。
【0050】
次に、構造物監視装置10の監視制御部46の構成について説明する。
【0051】
図5に示すように、監視制御部46のCPUは、監視プログラムによって、少なくとも時刻取得部61、端子選択部62、関連付け部63、評価部64および評価通知部65として機能する。この各部61〜65は、RAMの所要のワークエリアをデータの一時的な格納場所として利用する。なお、これらの機能実現部は、複数のプロセッサが協働することによって実現されてもよいし、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって実現されてもよい。
【0052】
時刻取得部61は、図示しないRTC(Real Time Clock)やHPET(High Precision Event Timer)の出力にもとづいて現在時刻の情報を取得する。
【0053】
端子選択部62は、端子群tl(端子tl1〜tlk)からあらかじめ設定された1または複数の2端子の組を選択する。また、端子選択部62は、測定対象の組に対応するスイッチSWを開放するとともに非測定対象の組に対応するスイッチSWを短絡するよう各スイッチSWを制御する。抵抗測定部40は、端子選択部62により選択された1または複数の2端子の組のそれぞれについて、2端子の組の端子間の現在の抵抗値を測定する。
【0054】
たとえば抵抗測定部40が正極と負極の測定端子を1組備える場合であって、端子選択部62により複数の2端子の組が選択される場合には、この選択された2端子の組がそれぞれ順に抵抗測定部40の測定端子に接続される。この場合、抵抗測定部40は、測定端子に接続された2端子の組の端子間の抵抗値を順次測定する。抵抗測定部40は、たとえば直流の高電圧をコンデンサにチャージし、この高電圧を測定端子間に印加することにより、測定端子間に流れる電流を検出して2端子の組の端子間の抵抗値を測定する。
【0055】
なお、端子が2つの場合など、2端子の組が複数選択されず1つしか選択されない場合には、端子選択部62およびスイッチSWは設けられずともよい。
【0056】
また、端子選択部62は、入力部42、情報処理端末30の入力部52またはモニタ31の図示しない入力部を介した監視者指示にもとづいて、1または複数の2端子の組を選択してもよい。この場合、監視者による端子選択受け付けのための画像を表示部41、情報処理端末30の表示部51またはモニタ31に表示させてもよい。
【0057】
図6は、関連付け情報の一例を示す説明図である。関連付け情報は、評価部64により、構造物20の現在の健全性を評価するためのデータとして用いられる。
【0058】
関連付け部63は、端子群tlから選択された2端子の組iの情報(ただしi=1、2、・・・、mであり、mは正整数を表す)と、この2端子の組iの端子間の抵抗測定部40による抵抗測定値Ri(t)と、抵抗測定時の時刻tと、を関連付けた関連付け情報を生成し、記憶部43に記憶させる(
図6参照)。
【0059】
評価部64は、2端子の組の端子間の現在の抵抗値と、2端子の組の端子間の参照抵抗値と、の差を用いて構造物20の健全性を評価して、評価結果情報を出力して評価通知部65に与える。このとき、評価部64は、構造物20の健全性を少なくとも正常状態および重度異常状態を含む複数段階に評価して評価結果情報を生成するとよい。
【0060】
ここで、評価部64による構造物20の健全性評価方法をより具体的に説明する。
【0061】
評価部64は、参照抵抗値として、2端子の組の端子間の初期抵抗値を用いてもよい。初期抵抗値とは、たとえば複数の構造材21が接合部24を介して接合されて組み上げられ、組上げ体22が構成されてから所定期間内(初期期間内)の所定の測定タイミングにあらかじめ測定された抵抗値(
図6のt=t1参照)をいうものとする。ここで、初期期間内の測定タイミングとしては、組上げ体22の構成直後や、構造物20の完成直後などが挙げられる。この場合、評価部64は、2端子の組の端子間の現在の抵抗値と2端子の組の端子間の初期抵抗値との差に応じて構造物20の健全性を評価する。
【0062】
また、評価部64は、参照抵抗値として、初期期間から現在までの抵抗値の経時変化を予測して、2端子の組の端子間の初期抵抗値を補正した抵抗値である2端子の組の端子間の現在の予測抵抗値を用いてもよい。この場合、あらかじめ経時変化を予測するための補正式や補正用ルックアップテーブルなどを記憶部43に記憶しておき、これらの式やテーブルを用いて現在の予測抵抗値を求めるとよい。
【0063】
なお、2端子の組の端子間の現在の抵抗値と2端子の組の端子間の参照抵抗値との差が所定の閾値以内である場合は、構造物20は健全であると評価するとよい。たとえば構造物20が建築物である場合であって、強風にさらされる場合や構造物20が交通量の多い道路に近い場合、工事現場に近い場合などには、日常的に軽度の振動にさらされることになる。この場合、日常的に抵抗値の変動が観測されることになる。このため、2端子の組の端子間の現在の抵抗値と2端子の組の端子間の参照抵抗値との差が所定の閾値以内である場合は、構造物20は健全であると評価するとよい。
【0064】
また、評価部64は、関連付け情報の履歴から抵抗測定値の履歴を抽出し、抵抗測定値の履歴にもとづいて構造物20の健全性を評価してもよい。たとえば、2端子の組の端子間の現在の抵抗値と2端子の組の端子間の参照抵抗値との差が所定回数以上、または所定期間以上、第1の閾値
を超えた場合に、構造物20に異常があると評価してもよい。この場合でも、2端子の組の端子間の現在の抵抗値と2端子の組の端子間の参照抵抗値との差が第1の閾値より大きい第2の閾値以上であった場合は、評価部64は構造物20に重度の異常があると評価してもよい。
【0065】
なお、抵抗測定部40による抵抗値測定および関連付け部63による関連付け情報の生成は、たとえば1時間ごと、1日ごと、または1週間ごとなど定期的に行われるとよい。また、定期的な抵抗値測定および関連付け情報の生成に加えて、入力部42、情報処理端末30の入力部52またはモニタ31の図示しない入力部を介した監視者指示にもとづいて、所要のタイミングで抵抗値測定および関連付け情報の生成を行ってもよい。
【0066】
また、評価部64による健全性評価のタイミングは、関連付け情報の生成タイミングにあわせてもよい
し、関連付け情報の生成タイミング(たとえば1時間ごと)とは異なる定期的なタイミング(たとえば1日ごと)で行われてもよい。健全性評価を定期的に行うことにより、構造物20の健全性を常時監視することができる。もちろん、定期的な健全性評価実行に加えて、入力部42、情報処理端末30の入力部52またはモニタ31の図示しない入力部を介した監視者指示にもとづいて、所要のタイミングで健全性評価を行ってもよい。
【0067】
また、2端子の組iが複数ある場合は、1つの組でも異常があれば構造物20に異常がある旨の評価結果情報を生成してもよいし、所定数の組に異常があるときのみ構造物20に異常がある旨の評価結果情報を生成してもよい。
【0068】
図7は、構造物20の現在の健全性の評価結果情報に応じた画像70が情報処理端末30の表示部51に表示された様子の一例を示す説明図である。
【0069】
評価通知部65は、評価部64が出力した構造物20の現在の健全性の評価結果情報に応じた情報を生成して、監視者に提示する。
【0070】
たとえば、評価通知部65は、評価部64が出力した構造物20の現在の健全性の評価結果情報に応じた画像70を生成して、表示部41、モニタ31、情報処理端末30の表示部51に表示させる。また、評価通知部65は、監視制御部46が出力する評価結果情報に構造物20に異常がある旨の情報が含まれていると、スピーカ45および55に対して監視者に注意を促す警告情報を内容とする音声やビープ音を出力させる。また、評価通知部65は、現在の健全性の評価結果情報を内容とする電子メールを生成して情報処理端末30に送信してもよい。
【0071】
画像70としては、現在の健全性評価を示す文字列であってもよいし(
図7上段参照)、現在の健全性が正常状態および重度異常状態を含む複数段階のうちいずれの段階にあるかを示す画像であってもよいし(
図7中段参照)、現在の健全性評価が直感的にわかりやすいカラーバーなどを用いた画像であってもよい(
図7下段参照)。
【0072】
また、評価通知部65は、情報処理端末30の表示部51については、監視制御部46が出力する評価結果情報に構造物20に異常がある旨の情報が含まれているときのみ画像70を送信するようにしてもよい。また、評価通知部65は、評価結果情報に構造物20に異常がある旨の情報が含まれているときのみ、現在の健全性の評価結果情報を内容とする電子メールを生成して情報処理端末30に送信するようにしてもよい。さらに、評価結果情報の健全性評価が正常のときおよび軽度の異常のときはサービスマンSが所有する情報処理端末30に対するメール送信に留める一方、重度の異常のときにはサービスマンSが所有する情報処理端末30のみならず住人Rが所有する情報処理端末30に警告メール送信を行うとともに、表示部41、情報処理端末30の表示部51およびモニタ31に画像70を表示させ、またスピーカ45、情報処理端末30のスピーカ55およびモニタ31の図示しないスピーカから警告情報を内容とする音声やビープ音を出力させてもよい。
【0073】
次に、本実施形態に係る構造物監視装置および構造物監視方法の動作の一例について説明する。
【0074】
図8は、
図1に示す構造物監視装置10のCPUにより、組上げ体22に電路を形成して初期抵抗値を測定する処理(初期処理)が実行される際の手順の一例を示すフローチャートである。
図8において、Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0075】
まず、ステップST1において、木材により構成された構造材21の接合部24を含む全表面に竹炭粉末を含有する導電性塗料を塗布する。次に、ステップST2において、構造材21を組み上げて組上げ体22を構成する。
【0076】
次に、ステップST3において、組上げ体22の電路上の複数箇所に端子群tlを
配設する。
【0077】
次に、ステップST4において、2端子の組iについて、組上げ体22の組み上げから所定期間内に端子間の初期抵抗値を測定する。
【0078】
次に、ステップST5において、2端子の組iの情報と、端子間の初期抵抗値と、測定時刻とを関連付けて記憶部43に記憶させる。
【0079】
次に、ステップST6において、仕上げ材を用いて構造物20を完成させる。
【0080】
以上の手順により、組上げ体22に電路を形成して初期抵抗値を測定することができる。なお、以上の手順において、ステップST2と3は入れ替えてもよい。また、ステップST6は、ステップST3の後かつステップST4の前に行ってもよい。また、導電性塗料の2度塗りを行うよう、ステップST1は、ステップST2の後かつステップST3の前に再度行ってもよい。
【0081】
図9は、
図1に示す構造物監視装置10のCPUにより、組上げ体22に形成された電路の抵抗値を測定することにより非破壊で容易に構造物20の健全性を監視する際の手順の一例を示すフローチャートである。
図9において、Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。この手順は、
図8に示す手順が終了した後スタートとなる。
【0082】
ステップST11において、関連付け部63は、RAMの所要ワークエリアにi=1を格納する。次に、ステップST12において、端子選択部62は、端子群tl(端子tl1〜tlk)から1または複数の2端子の組iを選択する。そして、抵抗測定部40は、端子選択部62により選択された1または複数の2端子の組iのそれぞれについて、2端子の組iの端子間の現在の抵抗値を測定する。
【0083】
次に、ステップST13において、関連付け部63は、端子群tlから選択された2端子の組iの情報と、この2端子の組iの端子間の抵抗測定部40による抵抗測定値Ri(t)と、抵抗測定時の時刻tと、を関連付けた関連付け情報を生成し、記憶部43に記憶させる(
図6参照)。
【0084】
次に、ステップST14において、評価部64は、組iの参照抵抗値を取得する。たとえば、参照抵抗値を初期抵抗値とする場合は、評価部64は、関連付け情報から組iの初期抵抗値を取得する。
【0085】
次に、ステップST15において、評価部64は、2端子の組iの端子間の現在の抵抗値と、2端子の組iの端子間の参照抵抗値と、の差を用いて構造物20の健全性を評価して、評価結果情報を出力して評価通知部65に与える。
【0086】
次に、ステップST16において、評価通知部65は、評価部64が出力した構造物20の現在の健全性の評価結果情報に応じた情報(たとえば画像70)を生成して監視者に提示する。
【0087】
次に、ステップS17において、関連付け部63は、RAMの所要ワークエリアに格納されたiの値がiの最大値であるm
以上か否かを判定する。iの値がm
以上である場合は一連の手順は終了となる。一方、iの値がm
より小さい場合は、ステップST18においてRAMの所要ワークエリアに格納されたiの値に1を加えてステップST12に戻る。
【0088】
以上の手順により、組上げ体22に形成された電路の抵抗値を測定することにより非破壊で容易に構造物20の健全性を監視することができる。
【0089】
本実施形態に係る構造物監視装置10は、組上げ体22に形成された電路の抵抗値を測定することができる。組上げ体22に形成された電路の抵抗値は、接合箇所の接合状態や軸部23の状態を反映した値である。したがって、本実施形態に係る構造物監視装置10によれば、非破壊で容易に構造物20の現在の健全性を監視することができる。また、本実施形態に係る構造物監視装置10によれば、監視を常時行い、異常があった場合に監視者に確実に通知することができる。
【0090】
たとえば、大きな地震があった場合、見た目には構造物20に異常がないものの、組上げ体22の接合箇所のハナレやズレ、構造材21のワレなどが発生している場合がある。この場合、余震が来た場合には構造物20が突然倒壊してしまう危険がある。このような場合にも、本実施形態に係る構造物監視装置10によれば、1度目の地震による組上げ体22の接合箇所のハナレやズレ、構造材21のワレなどに起因する抵抗値の変化を確実に検知し、監視者に異常を通知することができる。
【0091】
また、現在の構造物20の健全性を非破壊で適切に評価することができるため、構造物20が譲渡の対象物となった際に構造物20の価値を適切に評価することができる。
【0092】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る構造物監視装置および構造物監視方法の第2実施形態について説明する。
【0093】
図10は、本発明の第2実施形態に係る構造物監視装置10Aおよび10Bを含む構造物監視システム1Aの一例を示すブロック図である。
【0094】
この第2実施形態に示す構造物監視装置10Aおよび10Bならびに構造物監視システム1Aは、第1実施形態に係る構造物監視装置10の機能がネットワーク100上に設置される部分である第1構造物監視装置10Aと構造物20に設置される部分である第2構造物監視装置10Bとに分割される点で第1実施形態に示す構造物監視装置10および構造物監視システム1と異なる。他の構成および作用については構造物監視装置10を含む構造物監視システム1と実質的に異ならないため、同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0095】
第2構造物監視装置10Bは、構造物20内または構造物20近傍に設けられ、抵抗測定部40および構造物用送受信部44Bを有する。構造物用送受信部44Bは、抵抗測定部40による抵抗値測定結果をネットワーク100を介して第1構造物監視装置10Aに送信する。
【0096】
第1構造物監視装置10Aは、ネットワーク100上に設けられ、表示部41A、入力部42A、記憶部43A、送受信部44A、スピーカ45Aおよび監視制御部46Aを有し、たとえば一般的なパーソナルコンピュータやワークステーション、タブレット端末などの携帯型情報処理端末など。各部41A−43A、45Aの機能は第1実施形態に係る構造物監視装置10の各部41−43、45と異ならないため説明を省略する。
【0097】
送受信部44Aは、第1実施形態に係る構造物監視装置10の送受信部44と同等の機能に加え、第1構造物監視装置10Aと第2構造物監視装置10Bとをデータ送受信可能に接続する。
【0098】
本実施形態に係る構造物監視装置10Aおよび10Bによっても、第1実施形態に係る構造物監視装置10と同様の効果を奏する。また、本実施形態に係る構造物監視装置10Aおよび10Bによれば、各構造物20に第2構造物監視装置10Bを設けることにより1台の第1構造物監視装置10Aにより複数の構造物20の健全性を集中監視することができる。
【0099】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0100】
また、本発明は、構造材21が木材などの導電性が低い材料である方が好適であるが、構成材料が金属や導電性コンクリートなどの導電性の高いものであっても適用可能である。たとえば、地震などの影響により、外観上は構造物全体に異常がみられないものの柱と梁の接合部が1箇所だけ完全に離れている場合などには、たとえ構成材料が金属や導電性コンクリートなどの導電性の高いものであっても、構造物監視装置10や10Aおよび10
Bにより、容易に異常を検知することができる。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る構造物監視装置は、接合部および軸部をそれぞれ有する複数の構造材であって、前記複数の構造材どうしが前記接合部を介して接合されて組み上げられた組上げ体において前記複数の構造材の表面どうしが電気的に接続されて電路を形成するように、前記接合部の表面の少なくとも一部および前記軸部の表面の少なくとも一部が導電性を有する前記複数の構造材、により形成された構造物の監視装置であって、前記電路に設けられた複数の端子から選択された2端子の組について、この2端子の組の端子間の抵抗値を測定する抵抗測定部と、前記抵抗測定部により測定された前記2端子の組の端子間の抵抗値と前記2端子の組の端子間の参照抵抗値との差を用いて前記構造物の健全性を評価して評価結果情報を出力する評価部と、を備えたものである。