(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ゴルフ場において、清掃車は、フェアウェイからラフへ、またはラフからフェアウェイへ移動する場合に、ブラシの高さを調整する必要がある。これは、芝とブラシが近すぎると芝を傷つけ、離れすぎるとブラシで掻き上げ難くなるためである。
【0003】
従来、ブラシの高さを調整する構造として、下記特許文献1の
図6に開示されるように、風導(4)に上下動可能に設けられたスライドアーム(7a)にガイド車輪(6)が取り付けられ、長孔(7b)に挿入された固定ボルト(12)を緩めた状態で、ストッパーボルト(13)を螺動させ、ガイド車輪(6)が取り付けられたスライドアーム(7a)を上下動させる構造が知られている。
【0004】
また、下記特許文献1の
図2〜
図5には、ガイド車輪(6)が取り付けられたアーム(14)とストッパーボルト(13)との間に、ピン(17)に回転可能に設けられた複数の調整板(16)が抜き差し可能に設けられた構造が開示されている。このような構造では、アーム(14)とストッパーボルト(13)との間の調整板(16)の枚数によって、ガイド車輪(6)の上下方向における位置が調整され、ひいては回転ブラシ(5)の高さが調整される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の
図6に開示された構造では、回転ブラシ(5)を上下動させる際、固定ボルト(12)を緩めると共にストッパーボルト(13)を螺動させることになる。そのため、工具が必要であり、調整作業が面倒であった。また、より簡易な構造で調整操作に優れた装置が望まれている。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、工具を用いることなく容易にブラシの高さを微調整することができ、かつ従来とは異なる構成の芝生清掃車のブラシ高さ調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被清掃体を回転するブラシで掻き上げて清掃する芝生清掃車に設けられるブラシ高さ調整装置であって、前記ブラシが設けられるブラシフレームと、このブラシフレームに互いに上下動可能に設けられる支持体とを備え、前記ブラシフレームまたは前記支持体のどちらか一方には孔が形成され、前記ブラシフレームまたは前記支持体の他方には複数の調整穴が形成されており、ある一つの調整穴と、この調整穴と高さの異なる他の調整穴とは、前記ある一つの調整穴の上端部を通る水平方向へ沿う直線とその調整穴の下端部を通る水平方向へ沿う直線とにより形成される帯状の領域に、前記他の調整穴の一部が重なるよう形成されており、前記孔と前記調整穴とを対応させた状態で、前記孔および前記調整穴にピンを差し込むことで、前記ブラシフレームに前記支持体が固定され
、前記ブラシフレームは、前記ブラシを覆うブラシカバーと、このブラシカバーに着脱可能に設けられる保持部材とからなり、この保持部材または前記支持体のどちらか一方に前記孔が形成され、前記保持部材または前記支持体の他方に前記調整穴が形成され、前記保持部材に前記支持体が互いに上下動可能に設けられることを特徴とする芝生清掃車のブラシ高さ調整装置である。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、ブラシフレームに対して支持体を上下動させ、孔と、複数の調整穴の内、所望の調整穴とを対応させた状態で、孔および調整穴にピンを差し込むことで、ブラシフレームに対して支持体を固定することができる。それに加えて、ある一つの調整穴の上下幅を有する水平方向へ沿った帯状の領域に、他の調整穴の一部が重なるよう形成されるため、ブラシフレームに対する支持体の上下動の幅が、調整穴の上下幅よりも小さくできる。従って、工具を用いることなく容易にブラシの高さを微調整することができる。
また、請求項1に記載の発明によれば、ブラシフレームがブラシカバーと保持部材とからなるため、清掃車から従来のブラシ高さ調整装置を取り外し、ブラシを覆っているブラシカバーに保持部材を取り付けることができ、この保持部材に支持体を互いに上下動可能に取り付けることができる。このようにして、清掃車が元々備えているブラシカバーを活用して、本発明のブラシ高さ調整装置を適用することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記複数の調整穴は、傾斜して配列されると共に、互いに隣接する調整穴同士が、一方の調整穴の前記領域に他方の調整穴の一部が重なるよう形成されており、互いに隣接する調整穴同士の高低差が同一とされることを特徴とする請求項1に記載の芝生清掃車のブラシ高さ調整装置である。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、複数の調整穴が傾斜して形成されているため、複数の穴が縦一列に直線状に形成されているだけの場合と比較して、少量のスペースで微調整することができる。また、互いに隣接する調整穴同士の高低差が同一に形成されるため、孔と対応させる調整穴を順次選んで行くことで、ブラシフレームに対して支持体を上下させる幅を容易に把握することができ、微調整を容易に行うことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記孔は、複数形成されており、これらの孔の水平方向の間隔それぞれと、傾斜して配列された前記調整穴の水平方向の間隔それぞれとが同一とされることを特徴とする請求項2に記載の芝生清掃車のブラシ高さ調整装置である。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、孔同士の水平方向の間隔と、調整穴同士の水平方向の間隔とが同一に形成されているため、ブラシフレームに対して支持体を上下方向へ移動させるだけで、孔と調整穴とを容易に対応させることができる。従って、ブラシの高さを微調整する操作を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の芝生清掃車のブラシ高さ調整装置によれば、従来とは異なる構成で、工具を用いることなく容易にブラシの高さを微調整することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のブラシ高さ調整装置の一実施例を備える清掃車の一例を示す概略側面図である。また、
図2は、清掃車の清掃動作を示す概略図である。本実施例の清掃車は、ゴルフ場などにおいて、被清掃体であるフェアウェイやラフを清掃するものである。この清掃車のブラシ高さ調整装置1に、本発明が適用されている。
【0019】
本実施例の清掃車2は、運転者が運転席3に座ってハンドル4を握り、フェアウェイやラフといった芝生面を走行して清掃を行うものである。以下の説明においては、
図1に示すように、清掃車2の前側が前方とされ、後側が後方とされる。つまり、
図1の紙面における左右方向が前後方向とされ、
図1の紙面における垂直方向が左右方向とされる。
【0020】
清掃車2の下部には、
図1、
図2および
図4に示すように、ブラシ5が回転可能に設けられる。ブラシ5は、左右方向へ沿う円柱状の回転体6の周方向等間隔四箇所に、ブラシ毛7が外方へ延出して形成されて構成される。このブラシ5は、下方へ開口した左右方向へ細長い略長方形の中空ボックス状のブラシカバー8内に、左右方向へ沿って設けられる。本実施例のブラシカバー8は、金属製とされる。
【0021】
ブラシカバー8の上部には、金属製の風胴9が設けられる。風胴9は、ブラシカバー8内と連通しており、内部には送風手段10が設けられる。送風手段10は、左右方向へ沿う円柱状の回転体11の周方向等間隔四箇所に、板材12が外方へ延出して形成されて構成され、風胴9内に左右方向へ沿って設けられる。風胴9は、清掃車2の後部に設けられた中空状のホッパー13と連通しており、これによりブラシカバー8は、風胴9を介して、ホッパー13と連通される。
【0022】
図2に示されるように、油圧モーターにより時計回りにブラシ5を回転させることで、芝刈り機で刈り取られた余分な芝や埃などを掻き上げることができる。ブラシ5によりすくい上げられた芝や埃などは、風胴9内へ送り込まれ、油圧モーターにより時計回りに送風手段10を回転させることで、ホッパー13内に送り込まれて収容することができる。
【0023】
図3から
図7は、ブラシ高さ調整装置を示す図であり、
図3は上方から見た状態を示しており、
図4は後方から見た状態を示しており、
図5は斜視図、
図6は一部を省略した分解斜視図、また、
図7はブラシの高さを調整している状態を示している。本実施例のブラシ高さ調整装置1は、前述したブラシカバー8と、ブラシカバー8に着脱可能に設けられる保持部材14とからなるブラシフレーム15と、このブラシフレーム15に上下動可能に設けられる支持体16とを備える。
【0024】
ブラシカバー8は、下方へ開口した中空ボックス状とされ、その左側壁17には、前後方向へ離隔して金属製の板片18,18が設けられる。各板片18は、左右方向へ細長い長方形の板状とされ、ブラシカバー8の左側壁17から左方向へ延出して設けられる。この際、板片18,18同士は、互いに板面が向かい合っている。本実施例では、各板片18は、その右面が溶接によってブラシカバー8に固定される。各板片18の左端部には、上下方向へ離間して円形状の取付穴19,19が形成されており、各取付穴19は、板片18を貫通して形成される。
【0025】
また、ブラシカバー8の左側壁17には、前後方向へ離隔して金属製のブロック片20,20が設けられる。各ブロック片20は、横断面が略正方形の角柱状とされ、ブラシカバー8の左側壁17から左方向へ突出して設けられる。本実施例では、各ブロック片20は、その右面がブラシカバー8の左側壁17に溶接される。各ブロック片20には、上下方向へ貫通して円形状の取付穴21が形成される。また、前側のブロック片20と前側の板片18、および後側のブロック片20と後側の板片18とは、互いに溶接により固定される。具体的には、前側のブロック片20の後面と前側の板片18の前面が溶接される一方、後側のブロック片20の前面と後側の板片18の後面とが溶接される。この際、ブロック片20の上面と板片18の上面とは面一とされる。
【0026】
保持部材14は、板状の金属製の取付片22を有する。取付片22は、上方から見た場合において右方向へ開口した略コ字形状とされ、その開放両端部には、上下方向へ貫通して円形状の固定穴23,23が形成される。また、取付片22の開放両端部には、後述する固定片24,24の係合穴25,25が形成される。各係合穴25は、左右方向へ細長い略長方形状とされ、上下方向へ貫通して形成される。
【0027】
固定片24は、金属製とされ、上下方向へ細長い略長方形の板状に形成される。固定片24の上端部は、それより下部よりも左右幅の小さい幅狭部26に形成されている。固定片24には、上下方向へ離隔して固定穴27,27が形成される。各固定穴27は、円形状とされ、前後方向へ貫通して形成される。このように形成された固定片24は、その幅狭部26が下方から係合穴25に貫通するよう差し込まれた状態で、取付片22に溶接される。取付状態では、固定片24,24同士は、互いに板面が向かい合っている。これら二つの固定片24,24を架け渡すようにして、補強片28が設けられる。補強片28は、前後方向へ細長い略長方形の板状に形成される。本実施例では、補強片28は、各固定片24の上部左端部に溶接される。
【0028】
取付片22には、短筒状の金属製の案内筒29が上方へ延出して形成される。本実施例では、案内筒29は、前後方向へ離隔して前板30と後板31とが取付片22の上面に立設されると共に、左右方向へ離隔して左板32と右板33とが取付片22の上面に立設されて構成される。これにより、前後両板30,31および左右両板32,33で取り囲まれた空間を内穴34とする筒状に形成される。
【0029】
前後両板30,31は、正面視において略逆T字形の板状に形成され、互いに板面が向かい合うように配置される。前板30の下端部における左右への両突出部分は、その他の部分よりも前方へ凹んで薄肉状に形成されている一方、後板31の下端部における左右への両突出部分は、その他の部分よりも後方へ凹んで薄肉状に形成されている。また、左右両板32,33は、前後方向へ細長い略長方形状の板材とされ、互いに板面が向かい合うように配置される。左右両板32,33には、左右方向へ貫通して孔35が等間隔四箇所に形成される。これらの孔35は、円形状とされ、直径が同一に形成される。左板32の各孔35と右板33の各孔35とは、取付片22に左右両板32,33が配置された状態において、互いに対応するように左右両板32,33に形成される。
【0030】
前板30、後板31、左板32および右板33は、筒状となるように取付片22に設けられる。本実施例では、前板30と後板31とは、前後方向へ離隔した状態で、下面が取付片22に溶接される。一方、左板32と右板33とは、左右方向へ離隔した状態で、取付片22に溶接される。また、前後両板30,31と左板32とは、前板30の左側突出部分の後面と左板32の前面とが当接されると共に、後板31の左側突出部分の前面と左板32の後面とが当接された状態において、互いに溶接される。一方、前後両板30,31と右板33とは、前板30の右側突出部分の後面と右板33の前面とが当接されると共に、後板31の右側突出部分の前面と右板33の後面とが当接された状態において、互いに溶接される。このように、案内筒29は、前板30、後板31、左板32および右板33によって、短角筒状に形成される。取付状態では、左板32に形成された各孔35と右板33に形成された各孔35は、互いに対応している。
【0031】
また、取付片22には、短筒状の金属製の案内筒36が下方へ延出して形成される。この下方へ延出した案内筒36は、基本的には、上方へ延出した案内筒29と同様の構成とされ、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。案内筒36は、前板30、後板31、左板32および右板33からなり、それらが下方へ延出した短角筒状となるように、取付片22に溶接される。このようにして、前後両板30,31および左右両板32,33で取り囲まれた空間を内穴37とする筒状に形成される。また、案内筒36の前後両板30,31には、孔35が形成されない。
【0032】
上方へ延出した案内筒29と下方へ延出した案内筒36とは、内穴34,37同士が互いに対応するように取付片22に配置される。取付片22には、上下方向へ貫通して案内穴38が形成され、この案内穴38は前後方向へ細長い略長方形状とされる。取付片22に形成された案内穴38を介して、案内筒29の内穴34と案内筒36の内穴37とが連通される。すなわち、保持部材14には、案内筒29の上部開口と案内筒36の下部開口とが案内穴38を介して連通され、連続する一続きの縦穴39が形成される。
【0033】
以上のような構成の保持部材14は、取付片22の前端部が前側のブロック片20および板片18の上面に載せ置かれると共に、取付片22の後端部が後側のブロック片20および板片18の上面に載せ置かれた状態で、座金40および取付片22の開放両端部に形成された固定穴23を介して、各ブロック片20に形成された取付穴21に固定ボルト41を貫通させ、その貫通部分に固定ナット42を締め付けることで、ブラシカバー8に固定される。それに加えて、前側の固定片24の後面と前側の板片18の前面とが重ね合わされると共に、後側の固定片24の前面と後側の板片18の後面とが重ね合わされた状態で、座金43および各固定片24の固定穴27を介して、各板片18の取付穴19に固定ボルト44を貫通させ、その貫通部分に固定ナット45を締め付けることで、保持部材14がブラシカバー8に固定される。
【0034】
保持部材14には、互いに上下動可能に支持体16が設けられる。本実施例では、支持体16は、金属製の板材が屈曲形成されたフレーム46と、フレーム46に設けられる車輪47と、フレーム46に設けられる板状の金属製の調整板48とを備える。フレーム46は、略水平に配置される板状の中央片49の左右両端部に、板状の支持片50が垂直下方へ延出して形成されると共に、中央片49の前後両端部に、板状の折曲片51が垂直下方へ延出して形成される。フレーム46の左右の支持片50,50間には、車軸52が架け渡され、この車軸52に車輪47が回転自在に保持される。
【0035】
調整板48は、上下方向へ細長い略長方形状とされ、板面が前後方向へ沿うようにして配置される。調整板48には、左右方向へ貫通して円形状の調整穴53が複数形成される。これらの調整穴53は、直径が同一とされ、前述した孔35とも直径が同一に形成される。図示例では、調整板48には、上から数えて一番目の調整穴53a、二番目の調整穴53b、三番目の調整穴53cおよび四番目の調整穴53dが、前側から後側へ行くに従って下方へ傾斜するように配列されて形成されており、これら四つの調整穴53a,53b,53c,53dを一列とすると、合計四列形成される。なお、各列において、四つの調整穴53,53,53,53は、水平方向等間隔に形成されており、その間隔Aと隣接する孔35,35同士の水平方向の間隔Bとは同一とされる。
【0036】
各列の調整穴53において、隣接する調整穴53,53同士は、上側に配置される調整穴53の上端部を通る水平方向へ沿う直線54と、その調整穴53の下端部を通る水平方向へ沿う直線55とによって形成される帯状の領域56に、下側に配置される調整穴53の一部が重なるように配置される。ここでは、一番上の列において、上から数えて一番目の調整穴53aと二番目の調整穴53bとを比較して説明するが、各列において隣接する調整穴53,53同士は、同様に形成される。
【0037】
上から数えて一番目の調整穴53aの上端部を通る水平方向(図示例では前後方向)へ沿う直線54aと、この調整穴53aの下端部を通る水平方向へ沿う直線55aとによって、水平方向へ沿って延出して帯状の領域56aが形成される。この領域56aは、上から数えて一番目の調整穴53aの上下幅X、つまり直径を有し、一番目の調整穴53aを覆いつつ水平方向へ延出して形成される。一方、上から数えて二番目の調整穴53bは、前述した領域56a内に、ほぼ上半分が重なるように配置される。このように、上から数えて二番目の調整穴53bは、一番目の調整穴53aよりも、その調整穴53aの略半径長さだけ下方へ配置される。従って、各列において、互いに隣接する調整穴53,53同士の高低差Yは、調整穴53の略半径長さとされている。本実施例では、調整板48は、その下面がフレーム46の中央片49の略中央部に、板面が前後方向へ沿うようにして溶接される。なお、調整板48の上端部には、左右方向へ貫通して円形状の抜止穴57が形成される。
【0038】
以上のような構成の支持体16は、調整板48が下方へ延出した案内筒36の下部開口から差し込まれる。そして、調整板48に形成された一番左下の調整穴53eと、案内筒29の左右両板32,33に形成された一番左側の孔35aとを対応させた状態で、左板32の孔35a、調整穴53eおよび右板33の孔35aを貫通するようにピン58を差し込むことで、保持部材14に固定される。本実施例では、ピン58は、軸部59にアイボルト60がねじ込まれて構成される。軸部59の先端部には、前後方向へ貫通してピン抜止穴61が形成される。このようにピン58が差し込まれた状態において、ピン抜止穴61にスナップピン62が差し込まれる。これにより、スナップピン62が右板33と接触することで、ピン58が左方向へ抜けるのを防止することができる。なお、ピン58が右方向へ抜けるのは、アイボルト60が左板32に接触することで防止できる。
【0039】
支持体16は、調整板48が、下方へ延出した案内筒36の下部開口から、取付片22の案内穴38を介して、上方へ延出した案内筒29の上部開口を貫通するようにして設けられる。すなわち、支持体16は、調整板48が保持部材14に形成された一続きの縦穴39を上下に貫通して設けられる。この際、調整板48に形成された抜止穴57に、左方向から抜止めボルト63を貫通させ、その貫通部分に抜止めナット64が締め付けられる。これにより、抜止めボルト63および抜止めナット64が案内筒29に接触することで、保持部材14に形成された縦穴39から、支持体16が下方へ抜け落ちるのを防止することができる。
【0040】
次に、本実施例のブラシ高さ調整装置1を用いて、ブラシ5の高さを調整する場合について説明する。まず、ピン58の先端部に形成されたピン抜止穴61からスナップピン62を抜き取り、左右両板32,33に形成された孔35および調整板48に形成された調整穴53からピン58を抜き取る。これにより、
図7に示されるように、支持体16は、保持部材14に対して上下動させることができる。そして、所望の調整穴53と、左右両板32,33に形成された所望の孔35とを対応させた状態で、左板32の孔35、調整穴53および右板33の孔35を貫通するようにピン58を差し込み、そのピン58にスナップピン62を差し込むことで、保持部材14に対して支持体16を固定することができる。これにより、ブラシ5を上下に移動させることができる。
【0041】
たとえば、一番左下の調整穴53eと一番左側の孔35aとを貫通するようにピン58が差し込まれた状態から、一番左下の調整穴53eに隣接する調整穴53fと、左から二番目の孔35bとを貫通するようにピン58を差し替えることで、保持部材14に対して支持体16を調整穴53eの略半径長さだけ上方へ移動させることができる。これにより、ブラシ5を下方へ移動させることができる。
【0042】
本実施例では、清掃車2の左側に設けられるブラシ高さ調整装置1について説明したが、右側にもブラシ高さ調整装置が設けられる。右側に設けられるブラシ高さ調整装置は、左側のブラシ高さ調整装置1と同様の構成のため、説明は省略する。
【0043】
本実施例のブラシ高さ調整装置1の場合、各列において、ピン58が差し込まれた調整穴53から一つ下側に配置される調整穴53にピン58を差し替えることで、保持部材14に対して支持体16を上方へ移動させることができる。これにより、ブラシ5を下方へ移動させることができる。また、各列において、ピン58が差し込まれた調整穴53から一つ上側に配置される調整穴53にピン58を差し替えることで、保持部材14に対して支持体16を下方へ移動させることができる。これにより、ブラシ5を上方へ移動させることができる。従って、本実施例によれば、工具を用いることなく容易に、ブラシ5を上下に移動させて所望の調整穴53の位置で固定することができる。
【0044】
また、各列において、互いに隣接する調整穴53,53同士は、上側の調整穴53の上下幅Xを有し、その調整穴53を覆いつつ前後方向へ延出して形成される帯状の領域56内に、下側の調整穴53の略上側半分が重なるように形成されているため、保持部材14に対して支持体16を調整穴53の略半径長さだけ上下に移動させることができる。従って、本実施例によれば、保持部材14に対して支持体16を上下に移動させる際、調整穴53の上下幅Xよりも小さい幅で移動させることができ、ブラシ5の微調整を容易に行うことができる。
【0045】
本実施例のブラシ高さ調整装置1の場合、各列のように、複数の調整穴53が傾斜して配列されている。従って、複数の調整穴53が垂直方向へ直線状に配置されているだけで、前述した帯状の領域56内に重なるように調整穴53が形成されていない場合と比較して、少量のスペースで微調整を容易に行うことができる。また、本実施例の場合、各列において、互いに隣接する調整穴53,53同士の高低差Yが、略半径長さとされている。このように、本実施例によれば、各列における互いに隣接する調整穴53,53同士の高低差Yが同一に形成されているため、ブラシカバー8に対する支持体16の上下への移動長さを容易に把握することができ、ブラシ5の微調整を容易に行うことができる。
【0046】
ところで、本実施例では、ブラシカバー8や、それに固定された板片18およびブロック片20は、清掃車2に備えられている既存のものとされる。この板片18およびブロック片20に、従来のブラシ高さ調整装置が取り付けられていた。本実施例のブラシ高さ調整装置1の場合、ブラシフレーム15が既存のブラシカバー8と保持部材14とからなり、別体から構成されている。従って、本実施例によれば、既存のブラシカバー8を利用することができ、汎用性が高いものとされる。
【0047】
本発明のブラシ高さ調整装置は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。たとえば、前記実施例では、調整板48に形成された調整穴53の数は、各列において四つとされたが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、前記実施例では、調整板48に形成された調整穴53の列が四列とされたが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。この際、左右両板32,33に形成される孔35の数も、調整穴53の数に対応して、適宜変更可能である。
【0048】
また、保持部材14や支持体16の構成は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。たとえば、前記実施例では、支持体16は、保持部材14に形成された縦穴39に差し込む構成であったため、前後方向についての動きは考慮する必要がなかったが、次に考慮が必要な場合について説明する。この場合、隣接する調整穴53,53同士の水平方向の間隔Aと隣接する孔35,35同士の水平方向の間隔Bとが、同一に形成される。従って、保持部材14に対して支持体16を上下に移動させる際、支持体16を垂直方向へ移動させるだけで、調整穴53と孔35とを対応させることができる。すなわち、調整穴53と孔35とを対応させる際に、前後方向の調整を行う必要がなく、微調整の操作を容易に行うことができる。
【0049】
また、前記実施例では、ブラシフレーム15は、別体から構成されたが、一体的に構成されていてもよい。さらに、前記実施例では、保持部材14に孔35が形成され、支持体16に調整穴53が形成されたが、保持部材14に調整穴53が形成され、支持体16に孔35を形成してもよい。