(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガラス微粒子堆積体を加熱炉の容器内に挿入し、前記容器の外周に設置したヒーターで容器内を加熱し、ガラス微粒子堆積体を上昇若しくは下降させながら透明ガラス体を得るガラス母材の製造方法であって、
前記加熱炉のヒーターが長手方向に3段以上で構成され、
それぞれの前記ヒーターに対して温度調整を行うことにより、
前記加熱炉内の長手方向の温度分布を該温度分布の中心付近で最高となる、前記長手方向で対称形の山型の温度分布とし、前記山型の温度分布を維持しながら透明ガラス体を得ることを特徴とするガラス母材の製造方法。
ガラス微粒子堆積体を加熱炉の容器内に挿入し、前記容器の外周に設置したヒーターで容器内を加熱し、ガラス微粒子堆積体を上昇若しくは下降させながら透明ガラス体を得るガラス母材の製造方法であって、
単一のヒーターの両端付近に不活性ガスを導入することにより、
前記加熱炉内の長手方向の温度分布を該温度分布の中心付近で最高となる山型の温度分布とし、前記山型の温度分布を維持しながら透明ガラス体を得ることを特徴とするガラス母材の製造方法。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを製造する方法では、気相軸付け法(VAD)、外付け法(OVD)、及び多バーナ多層付け法(MMD)を含む種々の方法によってガラス微粒子堆積体が作製される。これらの方法で作製されたガラス微粒子堆積体はいずれもガラス微粒子のみの集合体若しくは透明ガラスロッドの外周にガラス微粒子が堆積したもので形成されており、形成されたガラス微粒子堆積体はその後、焼結されて光ファイバ用透明ガラス母材とされる。
【0003】
VAD法は、回転する出発ガラスロッドの下方にバーナを配して、バーナで形成される酸水素火炎中に原料ガスを投じ、火炎加水分解反応によりガラス微粒子を生成し、生成したガラス微粒子を出発ロッドの軸方向に堆積させてガラス微粒子堆積体を作製する。OVD法、MMD法は、例えば、反応容器内で回転する出発ガラスロッドの外周にバーナを配して、バーナで形成される酸水素火炎中に原料ガスを投じ、火炎加水分解反応によりガラス微粒子を生成し、生成したガラス微粒子を出発ガラスロッドの外周に堆積させてガラス微粒子堆積体を作製する。
【0004】
ガラス微粒子堆積体の透明ガラス化は、カーボンまたは石英等の耐熱材で形成された炉心管と、炉心管の外周にヒーターを配した加熱炉で行われる。このような加熱炉においてヒーターによる加熱範囲の温度分布は、一般的に、ヒーター中央部が最高温度となる山型を成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、山型の温度分布はガラス微粒子堆積体が上昇若しくは下降する間に刻々と変化する。これはガラス微粒子堆積体とヒーターとの相対的な位置関係によってヒーター(輻射熱)の放熱量や放熱方向が変化するためである。従来の加熱炉(例えば特許文献1)では加熱処理の間常時山型の温度分布を長手方向で調整する機能がないため、ガラス微粒子堆積体を加熱炉で透明ガラス化する際に、ガラス微粒子堆積体の長手方向の熱履歴が不均一になりやすかった。
なお特許文献1では、透明ガラス化する際にヒーターを3段構成として、各ヒーター温度を制御することで温度分布をコントロールしているが、透明化前の加熱処理ではヒーターが一段構成となっており、加熱炉内の温度分布が管理できておらず、かつガラス微粒子堆積体を上下に昇降させていないため、最終的に得られる透明ガラス体の長手方向の熱履歴は不均一になると考えられる。
特許文献2ではヒーターを長手方向に2段以上設置し、各ヒーターの温度調整を行っているが、ヒーター温度そのものを制御しているため、ガラス微粒子堆積体の温度との乖離が大きく、結果として得られる透明ガラス体の熱履歴は長手方向で不均一となると考えられる。また、同文献2の段落番号[0022]において「実用的にはヒーターの数は2つが望ましい」と記載があるが、2段ヒーターでは山型の温度分布の谷の温度を管理することは困難である。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、VAD法、OVD法、MMD法などで製造されたガラス微粒子堆積体を加熱炉内で上昇若しくは下降させながら透明ガラス化する製造方法において、加熱炉内の山型の温度分布を長手方向で調整するガラス母材の製造方法を提供し、ガラス微粒子堆積体の熱履歴を均一にすることで、ガラス母材の特性を安定化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) ガラス微粒子堆積体を加熱炉の容器内に挿入し、前記容器の外周に設置したヒーターで容器内を加熱し、ガラス微粒子堆積体を上昇若しくは下降させながら透明ガラス体を得るガラス母材の製造方法であって、
前記加熱炉のヒーターが長手方向に3段以上で構成され、それぞれの前記ヒーターに対して温度調整を行うことにより、前記加熱炉内の長手方向の温度分布を該温度分布の中心付近で最高となる山型の温度分布とし、前記山型の温度分布を
維持しながら透明ガラス体を得ることを特徴とするガラス母材の製造方法。
【0009】
このガラス母材の製造方法によれば、
最低でも3段(谷部、山部、谷部)のヒーター構成となり、山部を最高温度とした山型の温度分布を
維持する機能を有するので、ガラス微粒子堆積体が加熱炉内で上昇若しくは下降する間も温度分布を一定に管理することができる。これにより、得られる透明ガラス体の長手方向の熱履歴を均一にすることができる。例えば、ガラス微粒子堆積体がGe02等を含む光ファイバ用ガラス母材の場合、Ge02の拡散量・揮散量が長手方向で安定化するので、得られる透明ガラス体の長手方向の屈折率分布が安定化し、長手方向のファイバ特性が安定化する。
(2) ガラス微粒子堆積体を加熱炉の容器内に挿入し、前記容器の外周に設置したヒーターで容器内を加熱し、ガラス微粒子堆積体を上昇若しくは下降させながら透明ガラス体を得るガラス母材の製造方法であって、単一のヒーターの両端付近に不活性ガスを導入することにより、前記加熱炉内の長手方向の温度分布を該温度分布の中心付近で最高となる山型の温度分布とし、前記山型の温度分布を維持しながら透明ガラス体を得ることを特徴とするガラス母材の製造方法。
このガラス母材の製造方法によれば、ヒートゾーン両端付近に不活性ガスが導入されることで、ヒートゾーン両端付近の温度を下げる方向の調整が可能となり、ヒーターを多段とせずに単一のヒーターを用いて中央部を最高温度とした山型の温度分布の維持が可能となる。
【0010】
(
3) (1)
または(2)のガラス母材の製造方法であって、前記山型の温度分布の測定を容器の外表面で行うことを特徴とするガラス母材の製造方法。
【0011】
このガラス母材の製造方法によれば、ガラス微粒子堆積体にできるだけ近い箇所の温度分布を測定・制御するため、ガラス微粒子堆積体の温度との乖離を小さくすることができ、結果として得られるガラス母材の長手方向の熱履歴をより安定化させることができる。
【0012】
(
4) (1)
または(2)のガラス母材の製造方法であって、前記山型の温度分布の測定をガラス微粒子堆積体の表面で行うことを特徴とするガラス母材の製造方法。
【0013】
このガラス母材の製造方法によれば、ガラス微粒子堆積体の表面の温度分布を直接測定するため、さらにガラス微粒子堆積体の温度との乖離を小さくすることができ、ガラス母材の長手方向の熱履歴をより一層安定化させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るガラス母材の製造方法によれば、VAD法、OVD法、MMD法などで製造されたガラス微粒子堆積体を加熱炉内で上昇若しくは下降させながら透明ガラス化する製造方法において、加熱炉内の山型の温度分布を長手方向で調整することができるので、ガラス微粒子堆積体の熱履歴を均一にすることができ、ガラス母材の特性を安定化させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るガラス母材の製造方法に用いられる製造装置を概念的に表した構成図である。
本実施の形態に係る製造方法に用いられるガラス母材の製造装置11は、加熱炉13を備える。加熱炉13は、炉体15の内側に容器である炉心管19を有する。炉心管19には、下部にガスの導入口23、上部に排気口25が設けられる。炉心管19の上面にはガラス微粒子堆積体27を取り出す蓋29が設けられている。炉心管19の上方には昇降装置31が設置され、昇降装置31は蓋29を貫通した吊り棒33を昇降且つ回転自在に支持する。この吊り棒33にはダミーロッド35が支持される。ダミーロッド35の一端側にはガラス微粒子堆積体27が付着している。
【0021】
炉心管19は石英材やカーボン材で作製される。炉心管19の外周には複数のヒーター37が、炉心管19の長手方向に沿って多段状に配置される。ヒーター37には、例えば、カーボン製の抵抗加熱ヒーター又は誘導加熱ヒーターが用いられる。ヒーター37は、少なくとも3段以上で構成され、それぞれのヒーター37に対して温度調整が行えるようになされている。山型の温度分布を制御するためには最低でも3段(谷部用、山部用、谷部用)のヒーター構成が必要となるためである。
【0022】
ヒーター37を設置した高さ位置における炉心管19外表面付近には、ヒーター毎に温度検出手段である熱電対17が設けられる。熱電対17には制御装置39が接続され、制御装置39は熱電対17からの温度検出値に基づき、予め設定された山型の温度分布となるようにヒーター37を制御する。熱電対17は、それぞれのヒーター37に対応して、温度の測定を炉心管19の外表面付近で行う。ガラス微粒子堆積体27の長手方向の熱履歴を安定化させるためには、ガラス微粒子堆積体27にできるだけ近い箇所の温度で制御した方がよいためである。
【0023】
ガラス微粒子堆積体27を加熱して、透明ガラス化する際は、ガラス微粒子堆積体27の外周雰囲気をヘリウムガス雰囲気とする。ただし、微量であればヘリウム以外のガスが混在しても問題はない。
【0024】
なお、加熱炉13でガラス微粒子堆積体27を透明ガラス化する前には、ガラス微粒子堆積体27の外周雰囲気をハロゲン系ガスとヘリウムガスの混合雰囲気で加熱してもよい。これによりガラス微粒子堆積体内のOH基を取り除くことができる。また、ヘリウム以外の不活性ガス(例えば窒素)雰囲気であっても、同様の効果が得られる。
【0025】
ガラス母材の製造装置11はこのように構成されることでガラス微粒子堆積体27を加熱炉13の炉心管19内に挿入して、炉心管19の外周に設置したヒーター37で炉心管19内を加熱し、ガラス微粒子堆積体27を上昇若しくは下降させながら透明ガラス体を得る。
【0026】
次に、上記ガラス母材の製造装置11を用いたガラス母材の製造方法について説明する。
図2は
図1に示した製造装置を用いた製造方法の手順を(a)〜(e)に表した工程説明図である。
例えばVAD法により形成した
図2(a)に示すガラス微粒子堆積体27のダミーロッド35を、昇降装置31の吊り棒33により支持し、炉心管19に挿入する。各ヒーター37に供給する電力は炉心管外表41に設置した熱電対17の温度に対して行う。すなわち、炉心管内の長手方向の温度分布を温度分布の中心付近で最高となる山型の温度分布とし、山型の温度分布を調整しつつ、加熱する。この時、炉心管19の内部は塩素系ガスと不活性ガスの混合雰囲気とし、温度分布の最高温度が1350℃以下となるよう制御する。
【0027】
所定の山型となる温度分布に炉心管内を維持した後、
図2(b)に示すように、ガラス微粒子堆積体27を下降する。この際の下降は、例えばガラス微粒子堆積体27の上端部が下段ヒーターの最下部の位置に達するまで下降する。この際、同時に山型の温度分布の調整制御を行う。
【0028】
その後、
図2(c)に示すように、ガラス微粒子堆積体27を引き上げて上方で待機させる。この際、同時に山型の温度分布の調整制御を開始し、炉心管19の内部をヘリウムガス雰囲気にガス置換し、温度分布の最高温度が1450℃以上となるよう制御する。山型の温度分布が安定した後、
図2(d)に示すように、再びガラス微粒子堆積体27を下降させる。ガラス微粒子堆積体27が所望の位置まで下降したら、
図2(e)に示すように、透明化されたガラス母材を引き上げ、製造を完了する。
【0029】
このように本実施の形態による製造方法では、加熱炉内の山型の温度分布を常に調整制御することにより、ガラス微粒子堆積体27の熱履歴の均一化が可能となる。これは、例えば山型の温度分布が経時的に変化した場合、ガラス微粒子堆積体の長手方向の加熱量を均一化することができなくなるが、山型の温度分布を常に制御することで、経時的な温度分布の変化にも対応できるためである。
【0030】
これにより、例えば、ガラス微粒子堆積体27がGe0
2等を含む光ファイバ用ガラス母材の場合、Ge0
2の拡散量・揮散量が長手方向で安定化するので、得られる透明ガラス体の長手方向の屈折率分布が安定化し、長手方向のファイバ特性が安定化することになる。
【0031】
したがって、本実施の形態に係るガラス母材の製造方法によれば、VAD法、OVD法、MMD法などで製造されたガラス微粒子堆積体27を加熱炉内で上昇若しくは下降させながら透明ガラス化する製造方法において、加熱炉内の山型の温度分布を長手方向で調整することができるので、ガラス微粒子堆積体の熱履歴を均一にすることができ、ガラス母材の特性を安定化させることができる。
【0032】
次に、ガラス母材の製造装置11の他の実施の形態を説明する。
図3は第2の実施の形態に係る製造装置を概念的に表した構成図である。なお、以下の各実施の形態において、
図1に示した部材と同一の部材には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
この実施の形態に係るガラス母材の製造装置11Aは、温度検出手段として放射温度計43が用いられている。放射温度計43は、ガラス微粒子堆積体27から放射される赤外線や可視光線の強度を測定して温度を測定する。このため、加熱炉13に赤外線を透過させる窓部45を各ヒーターに対応させて設け、ガラス微粒子堆積体表面温度を測定できるようにする。
放射温度計43を用いたガラス母材の製造装置11Aでは、ガラス微粒子堆積体の温度を直接測定するので、熱電対よりもガラス微粒子堆積体の温度との乖離が小さくなる。
【0033】
図4は第3の実施の形態に係る製造装置を概念的に表した構成図である。
この実施の形態に係るガラス母材の製造装置11Bは、単一のヒーター37の両端付近にガス導入部47を設け、不活性ガスを導入して温度分布を調整する。
ガラス微粒子堆積体27のヒートゾーン両端付近に不活性ガスを導入することで、ヒートゾーン両端付近の温度を下げる方向の調整が可能となり、ヒーター37を多段とせずに単一のヒーター37を用いて温度分布の調整が可能となる。
このガラス母材の製造装置11Bによれば、ヒートゾーンの温度分布の制御が容易となるとともに、供給される不活性ガスを有効利用することができる。本来、不活性ガスは、炉体内で使用するカーボン部品の酸化劣化防止のためのパージガスとして利用されるが、炉内温度分布の制御にも利用することで、カーボン部品の長寿命化と炉内の温度分布制御を両立させることが可能となる。
【実施例】
【0034】
次に、上記した実施の形態と同様の構成の製造装置を用い、上記した製造方法によりガラス微粒子堆積体を透明ガラス化し、コア部とクラッド部の比屈折率差を比較する。
図5は比較例に係る製造装置を概念的に表した構成図である。
図1に示した部材と同一の部材には同一の符号を付している。比較例に係る製造装置49として、加熱源が単一のヒーターのものを用いる。
【0035】
[実施例1]
コアとクラッドを有する有効部の長さが1000mmとなるガラス微粒子堆積体をVAD法により形成し、この堆積体を
図1に示した同様の構成の加熱炉に挿入しガラス母材の製造を行う。加熱源はカーボン製ヒーターで上部、中部、下部の3段構成となっており、各ヒーターヘ供給する電力は炉心管外表に設置した熱電対17の温度に対して、制御をかける。
【0036】
まず、ガラス微粒子堆積体を上端へ待機させた状態で、炉内にCl
2:1(L/分)とHe:20(L/分)の混合ガスを流し、同時に昇温を行い、上部温度と下部温度を1000℃に、中部温度を1100℃に制御し、山型の温度分布とする。各位置の温度が所望温度になった時点で、ガラス微粒子堆積体を上方から下方へ向けて5mm/分の速度で移動させる。この間、山型の温度分布を維持するように、各ヒーターを制御する。
【0037】
ガラス微粒子堆積体が所望の位置まで下降すると、ガラス微粒子堆積体を上端へ引き上げ、炉内にHeガスを20(L/分)導入する。同時に昇温を行い、上部と下部を1450℃に、中部を1550℃に制御し、山型の温度分布とする。各位置の温度が所望温度になった時点で、ガラス微粒子堆積体を上端から下方へ4mm/分の速度で移動させる。この間、山型の温度分布を維持するように、各ヒーターを制御する。ガラス微粒子堆積体を所望の位置まで下降させたら、透明化されたガラス母材を引き上げる。このガラス母材の比屈折率差を長手方向各位置で測定すると、0.35±0.001%のばらつきに抑えられる。
【0038】
[比較例]
実施例1と同じガラス微粒子堆積体を
図5に示すヒーターが1段構成の加熱炉で加熱し、ガラス母材を作製する。ヒーターヘ供給する電力はヒーター表面を放射温度計で測定した温度に対して、制御をかける。その他の製造条件は実施例1と同じとする。
まず、ガラス微粒子堆積体を上端へ待機させた状態で、炉内にCl
2:1(L/分)とHe:20(L/分)の混合ガスを流し、同時に昇温を行い、ヒーター温度を1100℃に制御する。ヒーターが所望温度になった時点で、ガラス微粒子堆積体を上方から下方へ向けて5mm/分の速度で移動させる。ガラス微粒子堆積体が所望の位置まで下降すると、ガラス微粒子堆積体を上端へ引き上げ、炉内にHeガスを20(L/分)導入する。同時に昇温を行い、ヒーターを1550℃に制御する。ヒーターが所望温度になった時点で、ガラス微粒子堆積体を上端から下方へ4mm/分の速度で移動させる。ガラス微粒子堆積体を所望の位置まで下降させたら、透明化されたガラス母材を引き上げる。このガラス母材の比屈折率差を長手方向各位置で測定すると、0.35±0.006%のばらつきとなる。
【0039】
[実施例2]
実施例1と同じガラス微粒子体を
図3に示した加熱炉で加熱し、ガラス母材を作製する。ヒーターヘ供給する電力はガラス微粒子堆積体の表面を放射温度計で測定した温度に対して、制御をかける。その他の製造条件は実施例1と同じとする。得られるガラス母材の比屈折率差は0.35±0.0009%のばらつきとなる。
【0040】
[実施例3]
実施例1と同じガラス微粒子堆積体を
図4に示した加熱炉で加熱し、ガラス母材を作製する。炉心管外表に熱電対17を設置し、ヒーターヘ供給する電力は中部に設置する熱電対17の温度に対して、制御する。また、上部と下部に設置する熱電対17付近に窒素ガスを1〜10L/分吹き付けて、上部と下部の温度を制御する。その他の製造条件は実施例1と同じとする。得られるガラス母材の比屈折率差は0.35±0.003%のばらつきとなる。
【0041】
実施例1、2、3において、Cl
2とHeの混合ガス雰囲気で加熱を行っている加熱工程は、Cl
2と窒素の混合ガス雰囲気で加熱を行っても、同様の効果が得られる。また、Heガス雰囲気で加熱を行っている加熱工程はHe以外のガスが微量に混入しても、同様の効果が得られる。さらに、制御する温度分布も実施例1,2,3に記載した温度範囲に限られることはない。