特許第5793875号(P5793875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社明電舎の特許一覧

<>
  • 特許5793875-二象限チョッパの制御装置 図000002
  • 特許5793875-二象限チョッパの制御装置 図000003
  • 特許5793875-二象限チョッパの制御装置 図000004
  • 特許5793875-二象限チョッパの制御装置 図000005
  • 特許5793875-二象限チョッパの制御装置 図000006
  • 特許5793875-二象限チョッパの制御装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5793875
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】二象限チョッパの制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   H02M3/155 H
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-17706(P2011-17706)
(22)【出願日】2011年1月31日
(65)【公開番号】特開2012-161131(P2012-161131A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2013年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】粂田 典宏
【審査官】 尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−292187(JP,A)
【文献】 特開2003−088107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00− 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流源と電力用キャパシタ(コンデンサ)との間の充放電を制御し、該直流源またはキャパシタの電圧を目標値に自動制御する充放電電圧制御系と、この電圧制御系から得る充放電電流指令に従って該キャパシタの充放電電流を自動制御する充放電電流制御系を備えた二象限チョッパの制御装置において、
前記充放電電流制御系に、キャパシタまたは直流源の充放電終期に近くなるほどキャパシタの充放電電流を低い値に制限する電圧降下分抑制用電流リミッタLMIic,LMIidを設け、
前記充放電電流制御系の電圧制御器AVRc,AVRdにより直流部の電圧指令値VIrefc,VIrefd(降圧と昇圧で異なる値)と直流部の検出電圧VIdetの各差分に基づいてPI演算された演算結果を、装置電流制限用リミッタLMIc,LMIdを介して前記電圧降下分抑制用電流リミッタLMIic,LMIidに入力し、
前記電圧降下分抑制用電流リミッタは、リミット値制御回路VSTc,VSTdにより次式の演算、
放電時R2換算電流リミット値=(V2det−V2dstop)/R2
充電時R2換算電流リミット値=(V2cstop−V2det)/R2
ただし、R2はキャパシタの内部抵抗、V2dstopは放電停止電圧、V2cstopは充電停止電圧、V2detはキャパシタ電圧、
により算出された電流リミット値に従って電流リミット値を制御する制御回路を備えたことを特徴とする二象限チョッパの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流源と電力用キャパシタ(コンデンサ)との間の充放電を制御する二象限チョッパの制御装置に係り、特に電力用キャパシタの充放電電圧制御に関する。
【背景技術】
【0002】
二象限チョッパは、例えば、電動機を可変速駆動するインバータの直流部と電力用キャパシタとの間の充放電制御手段として使用される。また、直流電気鉄道の変電所の直流電源に二象限チョッパを通して並列接続される電力貯蔵装置の電気二重層キャパシタの充放電制御手段として使用される。
【0003】
図3は、インバータ装置の直流部と回生電力吸収用キャパシタ(コンデンサ)との間に二象限チョッパを設けた電動機の可変速制御装置である。インバータ装置は、順変換器(整流器)1と平滑用コンデンサ2とインバータ(逆変換器)3で主回路を構成し、負荷となる誘導機Mを可変速駆動する。二象限チョッパ装置は、二象限チョッパ本体4と直流リアクトル5で主回路を構成し、誘導機Mからの回生電流でインバータ直流部の平滑コンデンサ2の充電電圧が一定値を越えたときに降圧チョッパ動作し、直流部から回生電力吸収用キャパシタ6に充電電流を流すことで直流部の電圧上昇を抑制する。また、二象限チョッパ装置は、キャパシタ6が一定電圧以上に充電された場合、電動機Mからの回生電流がないときに昇圧チョッパ動作し、キャパシタ6からインバータ直流部に放電電流を流すことでキャパシタ6の電圧を一定値まで下げておき、次回の回生エネルギー吸収に備える。
【0004】
図4は、二象限チョッパの制御装置を示す。この制御装置は、インバータ直流部の電圧を目標値に降圧または昇圧自動制御する電圧制御系と、この電圧制御系から得る電流指令に充放電電流を自動制御する電流制御系を備える。電圧制御系は、直流部の電圧指令値V1refc、V1refd(降圧と昇圧で異なる値)と直流部の検出電圧V1detをPI演算する電圧制御器AVRc、AVRdを設け、この演算結果を装置電流制限用(過電流保護用や定電流制御用)のリミッタLIMc、LIMdでリミッタ処理して電流制御系の充放電電流指令値ILrefc、ILrefdとする。電流制御器ACRc、ACRdは、電流指令値ILrefc、ILrefdと充放電電流検出値(平均値)ILdetをPI演算し、これらの演算結果を導通率指令とするパルス幅変調器PWMc、PWMdに従って二象限チョッパ本体4の充電用スイッチSWcと放電用スイッチSWdのゲート信号Gc、Gdを得る。
【0005】
このような制御系による直流部の電圧V1制御は、図4中に直流部の電圧V1の制御波形と共に示す。インバータで電動機を駆動してその直流部電圧V1が放電開始電圧V1dstartにまで低下したとき、二象限チョッパは昇圧制御によってキャパシタ6からインバータ直流部への放電を開始し、直流部の電圧V1を電圧指令値V1refdに自動電圧制御(AVR)をする。この電圧制御中に、電動機Mからの回生電力でインバータの直流部電圧V1が放電停止電圧V1dstopを超えたときに、二象限チョッパは昇圧制御を停止する。この停止にも、インバータの直流部電圧V1が回生電力によって上昇し、充電開始電圧V1cstopを超えたときに、二象限チョッパは降圧制御を開始し、インバータ直流部からキャパシタ6への充電を開始し、直流部の電圧V1を電圧指令値V1refcに自動電圧制御(AVR)をする。この電圧制御で、インバータ直流部電圧V1が充電停止電圧V1cstopまで低下したときに、二象限チョッパは降圧制御を停止する。
【0006】
なお、図4では充放電電圧制御は、直流部の電圧V1を制御する場合を示すが、キャパシタの電圧V2を所定電圧まで充電または放電する場合は、電圧制御系での電圧指令値V1refc、V1refdに代えてキャパシタの電圧V2の指令値とし、検出値はキャパシタの検出電圧V2detを使用する。
【0007】
また、リミッタ処理は、図5中に示すように、装置電流制限用リミッタLIMc、LIMdのほか、充電時定電力リミッタLIMpを切替スイッチSWで切り替え処理可能とする場合もある。
【0008】
図4で説明するように、二象限チョッパの制御は、インバータ直流部の電圧V1(またはキャパシタの電圧V2)の指令値とその検出値で自動電圧制御(AVR)する。ここで、キャパシタ6には、図3に等価的に示すように、キャパシタンスC2には内部抵抗R2が直列に介在し、図6にキャパシタの充放電電圧波形を示すように、充電・放電時にキャパシタ6の電圧V2にステップ的な電圧上昇・電圧低下が生じる。
【0009】
図6において、二象限チョッパ本体4が充放電制御を停止している待機状態からキャパシタ6の充電を開始したとき(時刻t1)、この充電電流と内部抵抗R2との積による電圧降下(IRドロップ)分だけキャパシタ6の電圧V2が見かけ上高くなり、この電圧が上昇したままキャパシタ6が充電される。その後、インバータ直流部電圧V1が目標電圧V1refcに達して充電を停止したとき(時刻t2)、このときのキャパシタ6の電圧V2がそれまでの充電電流と内部抵抗R2との積による電圧降下(IRドロップ)分だけステップ的に低下する。その後、キャパシタ6からインバータ直流部への放電制御が開始されたとき(時刻t3)、この放電電流と内部抵抗R2との積による電圧降下(IRドロップ)分だけキャパシタ6の電圧V2が再度低下して放電される。その後、インバータ直流部電圧V1が目標電圧V1drefに達して放電を停止したとき(時刻t4)、それまでの放電電流と内部抵抗R2との積による電圧降下(IRドロップ)分だけキャパシタ6の電圧V2がステップ的に上昇する。
【0010】
以上のように、電力用キャパシタや電気二重層コンデンサには内部抵抗(R2)が内在するため、その充放電電流が大きい場合には充放電電流と内部抵抗R2との積による電圧降下(IRドロップ)分だけキャパシタの充放電電圧が低下する。図6では、充電時の場合は内部抵抗分の電圧上昇が起こることにより、充電停止電圧V2レベルで充電停止すると、内部抵抗分の電圧上昇がなくなり電圧が低下してしまい、キャパシタの充電電圧制御を行う場合には目標電圧まで充電できない。また、放電時の場合は内部抵抗分の電圧降下が起こることにより、放電停止電圧V2レベルで放電停止すると、内部抵抗分の電圧降下を起こしてしまい、利用できる電力エネルギーを存分に使いきれない。
【0011】
上記のIRドロップ分によるキャパシタの蓄積エネルギーの過不足の課題を解消しようとする方式として、電力貯蔵装置の充放電指令値とキャパシタの内部抵抗を乗算して内部抵抗による電圧降下(IRドロップ)分を算出し、この電圧降下分と放電終止電圧を加算してキャパシタの新たな放電終止電圧設定値とするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
他の方式として、電気二重層キャパシタの充電に際し、内部抵抗による電圧ドロップ分だけ上限充電電圧Vmに加算した値までキャパシタを定電力充電し、この値に達した後は定電圧を印加してキャパシタの充電を停止するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−292187号公報
【特許文献2】特開2008−193795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1(または特許文献2)の制御方式は、キャパシタの内部抵抗R2によるIRドロップ分の補償を、IRドロップ分をキャパシタまたは直流部の電圧指令に加算した値で充電電圧を自動制御(AVR)する。
【0015】
この制御方式では、放電時(または充電時)に対してのみIRドロップ分を補償制御するため、逆の充電時(または放電時)にはIRドロップ分の補償制御ができない。このため、キャパシタの充放電エネルギーからみればそれを存分に使いきれない。
【0016】
また、特許文献1(または特許文献2)の制御方式は、充電電流または放電電流が大きいまま充放電制御するため、充放電終期にも内部抵抗R2によるエネルギー損失(I2R)が大きくなる。このため、充放電電力の利用効率が低下し、さらにはキャパシタの過熱とその冷却が問題となる。
【0017】
また、特許文献1(または特許文献2)の制御方式は、キャパシタの内部抵抗R2を固定値としてIRドロップ分を設定しており、内部抵抗R2が経年変化で増大した場合には、キャパシタや直流部の充放電電圧の精度低下が問題となる。
【0018】
本発明の目的は、キャパシタの充放電にIRドロップ分を補償でき、充放電電力の利用効率の向上および内部抵抗の変化にも充放電電圧精度を確保できる二象限チョッパの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、前記の課題を解決するため、二象限チョッパの電流制御系に、キャパシタまたは直流源の充放電終期に近くなるほどキャパシタの充放電電流を低い値に制限する電流リミッタを備えたもので、以下の構成を特徴とする。
【0020】
直流源と電力用キャパシタ(コンデンサ)との間の充放電を制御し、該直流源またはキャパシタの電圧を目標値に自動制御する充放電電圧制御系と、この電圧制御系から得る充放電電流指令に従って該キャパシタの充放電電流を自動制御する充放電電流制御系を備えた二象限チョッパの制御装置において、
前記充放電電流制御系に、キャパシタまたは直流源の充放電終期に近くなるほどキャパシタの充放電電流を低い値に制限する電圧降下分抑制用電流リミッタLMIic,LMIidを設け、
前記充放電電流制御系の電圧制御器AVRc,AVRdにより直流部の電圧指令値VIrefc,VIrefd(降圧と昇圧で異なる値)と直流部の検出電圧VIdetの各差分に基づいてPI演算された演算結果を、装置電流制限用リミッタLMIc,LMIdを介して前記電圧降下分抑制用電流リミッタLMIic,LMIidに入力し、
前記電圧降下分抑制用電流リミッタは、リミット値制御回路VSTc,VSTdにより次式の演算、
放電時R2換算電流リミット値=(V2det−V2dstop)/R2
充電時R2換算電流リミット値=(V2cstop−V2det)/R2
ただし、R2はキャパシタの内部抵抗、V2dstopは放電停止電圧、V2cstopは充電停止電圧、V2detはキャパシタ電圧、
により算出された電流リミット値に従って電流リミット値を制御する制御回路を備えたことを特徴とする
【発明の効果】
【0022】
以上のとおり、本発明によれば、二象限チョッパの電流制御系に、充放電終期に近くなるほどキャパシタの充放電電流を低い値に制限する電流リミッタを備えたため、キャパシタの充放電にIRドロップ分を補償でき、充放電電力の利用効率の向上および内部抵抗の変化にも充放電電圧精度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態を示す二象限チョッパの制御装置の回路。
図2】実施形態におけるキャパシタの充放電電圧波形。
図3】電動機の可変速制御装置の構成図。
図4】二象限チョッパの制御装置の回路図。
図5】制御装置の電流リミッタ回路図。
図6】キャパシタの充放電電圧波形例。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の実施形態を示す二象限チョッパの制御装置の回路図である。同図が図4と異なる部分は、二象限チョッパの充放電電流制御系に、キャパシタ6または直流部2の充放電終期に近くなるほどキャパシタの充放電電流を低い値に制限する電圧降下分抑制用電流リミッタを備え、キャパシタ6の内部抵抗R2による電圧降下分IRを補償する点にある。
【0025】
図1において、電圧降下分抑制用電流リミッタは、装置電流制限用リミッタLIMc、LIMdの後段に配置される電圧降下分抑制用リミッタLIMic、LIMidと、これらのリミット値を自動制御するリミット値制御回路VSTc、VSTdで構成される。リミット値制御回路VSTc、VSTdは、キャパシタ6の充放電停止電圧V2cstop、V2dstopとキャパシタ電圧検出値V2detおよび予め設定される内部抵抗R2から、下記の式で示す演算によって充放電時R2換算ILリミット値を求め、リミッタLIMic、LIMidのリミット値を制御する。このリミット値は、キャパシタ6または直流部2の充放電終期に近くなるほどキャパシタ6の充放電電流Iを低い値に制限する。
【0026】
放電時R2換算電流リミット値=(V2det−V2dstop)/R2
充電時R2換算電流リミット値=(V2cstop−V2det)/R2
ただし、R2はキャパシタの内部抵抗、V2dstopは放電停止電圧、V2cstopは充電停止電圧、V2detはキャパシタ電圧である。
【0027】
図1に示す二象限チョッパの制御装置によれば、キャパシタの充電制御または放電制御に際し、充電電流または放電電流が上記の式で示すR2換算ILリミット値で制限され、充放電終期に近くなるほどキャパシタ6の充放電電流Iを低い値に制限することで、充放電停止時のステップ的な電圧変化を抑制する。
【0028】
図2は本実施形態によるキャパシタの充放電電圧波形を示す。二象限チョッパ本体4が充放電制御を停止している待機状態からキャパシタ6の充電を開始したとき(時刻t1)、この充電電流と内部抵抗R2との積による電圧降下(IRドロップ)分だけキャパシタ6の電圧V2が見かけ上高くなり、この電圧上昇を含めたままキャパシタ6が充電される。この充電中は、上記のキャパシタ6の内部抵抗R2による電圧降下分で制限するR2換算電流リミット値に制限される。
【0029】
その後、インバータ直流部電圧V1が目標電圧V1refcに達して充電を停止するとき(時刻t2)、このときの充電電流は充電終期のため、R2換算電流リミット値を決定する(充電停止電圧V2cstop−V2det)が零に近くなっており、充分に低い電流に制限される。これにより、図6のように、キャパシタ6の電圧V2が充電電流Iと内部抵抗R2との積による電圧降下(IRドロップ)分でステップ的に低下することはない。
【0030】
その後、キャパシタ6からインバータ直流部への放電制御が開始されたとき(時刻t3)、この放電電流と内部抵抗R2との積による電圧降下(IRドロップ)分だけキャパシタ6の電圧V2が低下して放電が開始される。このときの放電電流は上記のR2換算電流リミット値が比較的高い状態で制限される。
【0031】
その後、インバータ直流部電圧V1が目標電圧V1drefに達して放電を停止したとき(時刻t4)、このときの放電電流は放電終期のためR2換算電流リミット値が充分に低い値に制限されており、キャパシタ6の電圧V2が充電電流Iと内部抵抗R2との積による電圧降下(IRドロップ)分でステップ的に上昇することはない。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、キャパシタの充放電制御は、キャパシタまたは直流源の充放電終期に近くなるほどキャパシタの充放電電流Iを低い値に制限する電流リミッタ制御になり、充放電終期には充分に低い値に電流制限され、充放電終期にキャパシタ電圧がステップ的に変化するのを抑制できる。
【0033】
したがって、キャパシタの充放電の両方に亘ってIRドロップ分を補償制御することができ、キャパシタの蓄積エネルギーの過不足の課題を解消できる。また、キャパシタの充放電電流Iは内部抵抗R2による電圧降下分を抑制でき、キャパシタの内部抵抗R2によるエネルギー損失(I2R)を低く抑えて充放電電力の利用効率を高め、さらにはキャパシタのエネルギー損失(I2R)による過熱とその冷却の課題は解消される。また、キャパシタの内部抵抗R2が経年変化で増大した場合にも、内部抵抗R2の値がキャパシタや直流源の充放電電圧制御系に直接に影響を及ぼすことがなく、充放電電圧精度が低下することはない。
【0034】
なお、本実施形態では、図3に示す直流部の電圧V1を自動制御する場合を示すが、この直流部を直流源として、二象限チョッパ(図3の象限チョッパ本体4と直流リアクトル5)によってキャパシタ6を目標電圧まで充放電自動制御する装置に適用して同等の作用効果を得ることができる。この場合、充放電電圧指令V1refc、V1refdはキャパシタC2の充放電電圧V2refc、V2refdに変更され、充放電電圧検出値V1detはキャパシタ6の電圧検出値V2detに変更される。
【0035】
また、実施形態では、電力リミッタ処理を設けない制御装置に適用した場合を示すが、図5に示す電流リミッタ回路を適用して電力リミッタ機能を設けた充放電制御ができる。
【符号の説明】
【0036】
1 順変換器(整流器)
2 平滑用コンデンサ
3 平滑用コンデンサ
4 二象限チョッパ本体
5 直流リアクトル
6 回生電力吸収用キャパシタ
AVRc、AVRd 電圧制御器
LIMc、LIMd 装置電流制限用電流リミッタ
ACRc、ACRd 電流制御器
PWMc、PWMd パルス幅変調器
SWc 充電用スイッチ
SWd 放電用スイッチ
LIMic、LIMid 電圧降下分抑制用電流リミッタ
VSTc、VSTd リミット値制御回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6