(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、パチンコ機10の正面図である。
図2は、パチンコ機10の主要な構成を展開または分解して示す斜視図である。
図3は、パチンコ機10を構成する本体枠12の前面構成を示す正面図である。
なお、
図2、
図3では便宜上、パチンコ機10の遊技領域内の構成を空白としている。
【0011】
図1〜
図3に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11を備えている。外枠11は、遊技ホールへの設置の際に、いわゆる島設備に取り付けられる。外枠11は、木製の板材を全体として矩形枠状に組み合わせた状態とされ、各板材を小ネジなどの離脱可能な締結部材により固定することによって構成されている。
従って、釘やリベットを使って各板材を組み付けていた従来構造と比べて構成部材の再利用(リユース)が容易な構成となっている。なお、外枠11を合成樹脂やアルミニウムなどの金属によって構成してもよい。
【0012】
外枠11の一側部には、本体枠12が開閉可能に支持されている。その開閉軸線はパチンコ機10の正面からみて左側に上下へ延びるように設定されており、その開閉軸線を軸心にして本体枠12が前方側に開放できるようになっている。
更に言うと、本パチンコ機10には右側に遊技球発射ハンドル18の設置箇所が設けられているため、遊技球発射ハンドル18とは反対側の側部を中心に本体枠12を開閉可能としたということができる。
本体枠12は合成樹脂、具体的にはABS樹脂により構成されている。ABS樹脂を用いることにより、比較的低コストで耐衝撃性の高い本体枠12を得ることができる。本体枠12をアルミニウムなどの金属によって構成してもよい。
なお本実施の形態では、外枠11と本体枠12とにより遊技機本体が構成されている。外枠11に代わる構成として設置枠体を遊技ホール側に予め設けておき、遊技ホールへのパチンコ機10の設置に際しては本体枠12を前記設置枠体に組み付ける構成とすることも可能である。かかる構成では、本体枠12により遊技機本体が構成される。
【0013】
本体枠12の前面側の下部位置には、前面板14が設けられている。前面板14は、横長状に形成され、その横幅は本体枠12の横幅とほぼ一致するように構成されている。
前面板14は、幅方向ほぼ中央部において手前側へ膨出した膨出部15aを有するベース部15と、ベース部15の膨出部15a内側に設けられ下方にくぼんだ皿形状をなす球受皿としての下皿16と、下皿16の奥側の壁面を構成し、下皿16への球排出口17aが形成された奥壁パネル17とを備えている。
ベース部15は本体枠12に対してネジなどの締結部材により固定されていることから、ベース部15が本体枠12に対する取付部を構成している。ベース部15には膨出部15aよりも右方に、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル18が設けられている。
【0014】
遊技球発射ハンドル18は、操作ハンドル18aと支持台座18bとより構成されている。操作ハンドル18aは、ABS樹脂にて成形されており、その表面にメッキ処理が施されている。
支持台座18bには、周知の構成のため図示による説明は省略するが、遊技者が操作ハンドル18aに触れていることを検知するためのタッチセンサと、操作ハンドル18aが操作されたことを検知するための発射スイッチと、操作ハンドル18aの操作量を検知するためのダイヤル可変抵抗器と、が設けられている。
さらに、操作ハンドル18aを操作した状態で、遊技球の発射を止めるべく操作される止め打ちスイッチが設けられている。これらタッチセンサ、発射スイッチ、ダイヤル可変抵抗器および止め打ちスイッチの信号線は、後記する電源及び発射制御装置313に接続されている。
【0015】
ベース部15の膨出部15a前面側にはスライド式の球抜きレバー19が設けられている。なお、球抜きレバー19はプッシュ式としてもよい。そして、球抜きレバー19が操作されると下皿16の底面に設けられた図示しない閉鎖板が一体にまたはリンクを介して移動して球抜き穴が開放され、下皿16内の貯留球が下方に排出されるよう構成されている。
球抜きレバー19には、当該球抜きレバー19を球抜き穴を塞ぐ側に付勢するコイルバネなどの付勢部材が設けられている。球抜きレバー19の操作が解除された際には、付勢部材の付勢力によって閉鎖板が球抜き穴の開放位置に復帰する構成となっている。
奥壁パネル17の球排出口17aとは異なる位置には、多数の小孔が集合したスピーカカバー部17bが形成されており、当該奥壁パネル17の後方に設置されたスピーカ20の出力音がスピーカカバー部17bを通じて前方に発せられるようになっている。
なお、ベース部15には膨出部15aの左方に灰皿21が設けられている。
【0016】
前面板14は、本体枠12と同様に、その大部分がABS樹脂にて成形されている。前面板14は、パチンコ機10の前面側に露出されるが、ABS樹脂で成形していることによって、装飾などの目的で表面の適宜箇所にメッキを施すことが可能となる。
【0017】
本体枠12の前面側の前面板14を除く範囲には、本体枠12を覆うようにして前面扉としての前扉枠13が設けられている。従って、前面板14と前扉枠13とにより本体枠12の前面側全体が覆われている。
前扉枠13は、本体枠12に対して開閉可能に取り付けられており、本体枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。
なお、前扉枠13は前面板14と同様、ABS樹脂にて成形されている。前扉枠13はパチンコ機10の前面側に露出されるが、ABS樹脂で成形していることによって、装飾などの目的で表面の適宜箇所にメッキを施すことが可能となる。
【0018】
前扉枠13の下部位置には、下皿16の上方において手前側へ膨出した膨出部22が設けられ、その膨出部22内側には、上方に開口した上皿23が設けられている。
上皿23は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構160側へ導くための球受皿である。
膨出部22前面側には上皿23用の球抜きレバー24が設けられており、この球抜きレバー24を操作すると上皿23の最下流部付近に設けられた球抜き通路(図示略)が開放され、上皿23内の貯留球が下皿16へ排出されるようになっている。なお、上皿23も下皿16などと同様、難燃性のABS樹脂にて構成することが可能である。
【0019】
本パチンコ機10では、ガラス扉枠と前飾り枠とを個別に設けこれらを前面枠(本実施の形態の本体枠に相当)に対して各々開閉可能とすると共に前飾り枠に上皿を設けていた従来構成と異なり、ガラス扉枠と前飾り枠とを1つに統合して前扉枠13とし、前扉枠13に対して一体的に上皿23を設ける構成としている。
この場合、ガラス扉枠と前飾り枠とを1つに統合して前扉枠13としたため、当該前扉枠13においてガラス支持構造の強度向上が実現できる。つまり、本パチンコ機10では、遊技領域の拡張を目的とし、その遊技領域拡張に伴い大きめのガラス137を前扉枠13に搭載している。従って、ガラス周囲の枠部分が幅狭になり、強度低下の問題が懸念されるが、ガラス下方に上皿一体の枠部分を設けることなどによりガラス支持構造の十分な強度が確保できる。また、前扉枠13は、少なくともその開閉の際に遊技球発射ハンドル18と干渉しないようにして下方に拡張されている。
【0020】
図3に示すように、本体枠12は、外形が前記外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース25を主体に構成されており、樹脂ベース25の中央部には略円形状の窓孔26が形成されている。樹脂ベース25の後側には遊技盤30(
図4参照)が着脱可能に装着されている。
図4に示すように、遊技盤30は略四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース25の裏側に当接した状態で取着されている。すなわち、遊技盤30はパチンコ機10後方より取り付けられ、遊技盤30の前面部の略中央部分だけが樹脂ベース25の窓孔26を通じて本体枠12の前面側に露出した状態となっている。
【0021】
次に、遊技盤30の構成を
図4に基づいて説明する。
遊技盤30には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33、スルーゲート34、可変表示ユニット35、上側作動口39などがそれぞれ設けられている。
実際には、一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33、スルーゲート34、可変表示ユニット35、上側作動口39は、木ねじなどにより遊技盤30の表面に取り付けられている。
本実施の形態では、可変表示ユニット35が遊技盤30の略中央に配置され、その下方に作動口33が配置され、さらにその下方に可変入賞装置32が配置されている。また、可変表示ユニット35の左右両側にスルーゲート34が配置され、遊技盤30の下部両側に一般入賞口31がそれぞれ複数配置されている。
【0022】
作動口33には、所定の条件下で作動状態(開放状態)となる電動役物が付随的に設けられている。前記一般入賞口31、可変入賞装置32および作動口33に遊技球が入ると、それが後述する検出スイッチにより検出され、その検出結果に基づいて上皿23(場合によっては下皿16)に対し所定数の賞球が払い出される。かかる賞球の払い出しについて詳細には、一般入賞口31に遊技球が入ると10個の賞球が払い出され、可変入賞装置32に遊技球が入ると15個の賞球が払い出され、作動口33に遊技球が入ると5個の賞球が払い出される。
【0023】
その他に、遊技盤30の最下部にはアウト口36が設けられており、各種入賞口などに入らなかった遊技球はアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。アウト口36は、遊技盤30の下端略中央を逆U字状に切り欠いて形成されている。そのため、アウト口を穴状に形成していた従来構成に比べ、アウト口形成が容易となる(但し、
図4では手前側にレールユニット50が重ねて設けられているため、アウト口36が閉じた状態で示されている)。また、遊技盤30には、遊技球の落下(流下)方向を適宜分散、調整などするために多数の釘が植設されていると共に、風車37などの各種部材(役物)が配設されている。
【0024】
ここで、遊技盤30の左側の風車37aの下側に植設された複数の釘(以下、遊技釘とも表記する)による遊技球の落下経路について、
図5を参照して説明する。
図5は、遊技盤30表面の左側の風車37aよりも下側の部分を拡大した図である。
図6の(a)は、
図5において球詰まりが発生した場合を例示した図であり、(b)は、(a)に示した部分を遊技盤30の裏面側から見た図であって、遊技盤30に取り付けられた可動役物やその駆動機構などの図示を省略した図である。
【0025】
図5に示すように、風車37aの下方には、遊技盤30の中央の上側作動口39に向かう遊技球の流れを形成する上段道釘群Aと、作動口33に向かう遊技球の流れを形成する下段道釘群Bとが、設けられている。
上段道釘群Aおよび下段道釘群Bは、それぞれ、風車37aの下方から右斜め下方向(遊技盤30の中央側の下方)に向かって連なるように植設された複数の釘から構成される。
【0026】
風車37aの右側に落下した遊技球は、上段道釘群Aに沿って、図中矢印X1に示す方向に移動して、遊技盤30中央の上側作動口39側に落下するようになっている。
上段道釘群Aでは、その長手方向において、遊技球が通過可能な隙間S1、S2、S3が確保されている。そのため、上段道釘群Aの上側を上側作動口39側に移動する遊技球の少なくとも一部が、隙間S1、S2、S3を通って、下段道釘群B側に落下するようになっている。
【0027】
風車37aの左側または上段道釘群Aの隙間S1、S2、S3から下方に落下した遊技球は、下段道釘群Bに沿って、図中矢印X2に示す方向に移動して、作動口33側に落下するようになっている。
下段道釘群Bでもまた、その長手方向において、遊技球が通過可能な隙間S4、S5が確保されており、下段道釘群Bの上側を作動口33側に移動する遊技球の少なくとも一部が、隙間S4、S5を通って、一般入賞口31、可変入賞装置32、アウト口36側に落下するようになっている。
【0028】
上側作動口39の上側には、いわゆる命釘C1、C2が設けられており、命釘C1の左側であって、上段道釘群Aの延長上には、ジャンプ釘J1が設けられている。
実施の形態のパチンコ機10では、下段道釘群Bの先端側の3本の釘B1、B2、B3が、上段釘群Uの先端の釘A1、A2、A3とジャンプ釘J1との間の隙間S6の下方であって、作動口33の近傍までに及んでいる。
【0029】
そのため、作動口33の可動部材33aの作動と、例えば磁石などを用いて不正が行われたり、遊技球の落下のタイミングによって偶発的に複数の遊技球が集中してしまった場合には、例えば、
図6の(a)に示すように、下段道釘群Bと上段道釘群Aとジャンプ釘J1との間で球詰まりが生ずることがある。
かかる場合、上段道釘群Aに沿って沿って落下する遊技球が、隙間S6から下方に落下できなくなり、図中矢印で示すように上側作動口39側に導かれることになる。そのため、上側作動口39に入る遊技球の数が、球詰まりが発生していない場合よりも多くなってしまう。
【0030】
実施の形態のパチンコ機10では、遊技釘(例えば鉄製)と遊技球(例えば鋼製)が導電性を有していることを利用して、かかる位置に球詰まりが発生したか否かを、互いに離間して配置された上段の道釘A1〜A3およびジャンプ釘J1と、下段の道釘B1〜B3との間が遊技球により導通している状態が所定時間継続しているか否かに基づいて判定するようになっている。
【0031】
具体的には、
図33に示すように、上段の道釘A1〜A3およびジャンプ釘J1(電源側釘群G1)を、抵抗を介して+5V電源に接続された第1の信号線750に接続すると共に、下段の道釘B1〜B3(グランド側釘群G2)を、シグナルグランド(SG)に接続された第2の信号線760に接続し、さらに、上段の道釘A1〜A3およびジャンプ釘J1と、下段の道釘B1〜B3とが、これらの間に遊技球が介在することで導通するようにして検知回路(検知手段)を構成している。
かかる構成の検知回路では、第1の信号線750に供給される電源電圧(+5V)が、導通検知信号として後記するCPU501に入力される。CPU501への入力は、電源側釘群G1とグランド側釘群G2とが遊技球により導通していないときには、第1の信号線750に供給されている電圧がそのまま入力され(HIGHレベル)、導通しているときには、第1の信号線750が遊技球と第2の信号線760を介してシグナルグランドSGと接続されることで第1の信号線の電圧値がグランドレベル(0V)となることから、グランドレベル(0V、LOWレベル)が入力される。すなわち、本実施の形態では、この第1の信号線750における電圧値が球詰まりの検知信号としてCPU501に入力される。
そのため、CPU501は、第1の信号線からの入力がLOWレベルになったことに基づいて、電源側釘群G1とグランド側釘群G2とが遊技球により導通したことを検知し、この導通状態が所定時間継続して検知された場合に、遊技釘間に球詰まりが発生したことを判定するようになっている。
【0032】
そのため、実施の形態では、
図6の(b)に示すように、遊技盤30の裏面30aには、釘(上段の道釘A1〜A3およびジャンプ釘J1、下段の道釘B1〜B3)の先端側を露出するための凹穴部700、710が形成されており、これら凹穴部700、710内に露出する釘(上段の道釘A1〜A3およびジャンプ釘J1、下段の道釘B1〜B3)を、それぞれ対応する配線(第1の信号線750および第2の信号線760)に接続するようになっている。
【0033】
図7は、凹穴部700、710を説明する図であって、(a)は、
図6の(b)における凹穴部700、710を拡大して示す斜視図であり、(b)は、第1の信号線750および第2の信号線760との接続態様を説明する図である。
【0034】
図7の(a)に示すように、凹穴部700、710は、遊技盤30の裏面30a側にのみ開口するように形成されている。これら凹穴部700、710は、電動役物を取り付けるための開口部を遊技盤30に形成する場合と同様に、ルータ加工により形成される。
このように、ルータ加工により凹穴部700、710を形成するので、凹穴部700、710の形成にあたり、従来の開口部の形成に用いられていた機械をそのまま用いることができる。また、開口部を形成する工程において、凹穴部700、710を形成することができる。よって、凹穴部700、710を形成するために、特別の加工工程や専用の機械を別途用意する必要がないので、製造工程の簡略化と製造の簡易化を達成できる。
【0035】
凹穴部700は、上段道釘群A(
図5参照)の先端に位置する3本の釘A1〜A3の裏側からジャンプ釘J1の裏側までの範囲に、上段道釘群Aの長手方向に沿って形成されている。
凹穴部710は、下段道釘群B(
図5参照)の先端に位置する3本の道釘B1〜B3の裏側の範囲に、下段道釘群Bの長手方向に沿って形成されている。
【0036】
これら凹穴部700、710は、各釘(上段の道釘A1〜A3およびジャンプ釘J1、並びに下段の道釘B1〜B3)の先端側を露出させる深さで形成されている。
凹穴部700の周囲には、金属板800を載置するための支持凹部701、702、703が、凹穴部700の周縁に接して設けられている。各支持凹部701、702、703は、それぞれ金属板800の厚みに相当する深さで形成されており、各支持凹部701、702、703に載置された金属板800が、遊技盤30の裏面30aと略面一になるようにされている。
【0037】
図7の(b)に示すように、金属板800は、第1の信号線750を、上段の道釘A1〜A3およびジャンプ釘J1に一括して接続するためのものである。金属板800は、その辺部801a、801b、801cの裏面がそれぞれ支持凹部701、702、703(
図7の(a)参照)で支持された状態で、ねじ770、770により、支持凹部701、702に固定されている。
【0038】
一方のねじ770の頭部771と金属板800との間には、第1の信号線750の接続片751が挟み込まれており、金属板800と第1の信号線750とが、ねじ770により、確実に接続されている。
【0039】
図8は、第1の信号線750と上段の道釘A1〜A3およびジャンプ釘J1を接続する金属板800と、第2の信号線760と下段の道釘B1〜B3を接続する金属板810を説明する斜視図である。
図9の(a)は、
図8における面F1で金属板800を切断した断面図であり、(b)は、
図8における面F2で金属板810を切断した断面図である。
【0040】
図8に示すように、金属板800では、複数の当接片802が、金属板800の本体部801の一部を切り欠いて、同一方向に折り曲げることにより形成されている。各当接片802は、金属板800を遊技盤30に取り付けた際に、それぞれ対応する釘(上段の道釘A1〜A3、ジャンプ釘J1)に当接するように構成されている。
【0041】
図9の(a)に示すように、各当接片802は、金属板800の本体部801に直交する方向に延びる基部802aと、釘A1(またはA2)の先端側の周縁に当接する当接部802bとを備える。
当接部802bは、その長手方向における中央部分が、釘側(当接片802の基端部802cとは反対側)に膨出しており、断面視において曲面形状を成している。
【0042】
当接部802bは、金属板800を遊技盤30に取り付ける際に、遊技盤30に植設された釘(A1〜A3、J1)に接触する位置まで膨出している。
そのため、実施の形態では、当接片802の先端側(当接部802b側)は、弾性変形可能とされており、金属板800を遊技盤30に取り付けた際に、当接部802bの各々が対応する釘(A1〜A3、J1)に当接すると、当接片802が釘(A1〜A3、J1)から離れる方向に変形するようになっている。
【0043】
よって、金属板800を遊技盤30に取り付けた状態において、当接片802の先端側には、釘(釘A1〜A3、J1)側に移動しようとする力が常時作用している。そのため、この力が、当接片802(当接部802b)を釘(釘A1〜A3、J1)に付勢する付勢力として作用して、当接片802と各釘(釘A1〜A3、J1)との接触状態が確実に確保されるようになっている。
【0044】
例えば、
図9の(a)の場合には、当接片802に釘A1、A2が当接すると、当接する前に図中実線で示す位置にあった当接片802は、変形により、図中2点鎖線で示す位置まで移動する。すなわち、当接片802の先端側は、各々が当接する釘A1、A2により、それぞれ図中矢印a、bで示す方向に変形させられる。これにより、当接片802(当接部802b)が、これら矢印a、bとは反対方向に向かう力で、釘A1、A2に対して付勢されることになる。
【0045】
図7の(a)に示すように、もう一方の凹穴部710は、前記した凹穴部700から所定間隔を空けて設けられており、この凹穴部710の周囲には、金属板810を載置するための支持凹部711、712、713が、凹穴部710の周縁に接して設けられている。
各支持凹部711、712、713は、それぞれ金属板810の厚みに相当する深さで形成されており、各支持凹部711、712、713に載置された金属板810が、遊技盤30の裏面30aと略面一になるようにされている。
【0046】
図7の(b)に示すように、金属板810は、第2の信号線760を、下段の道釘B1〜B3に一括して接続するためのものである。金属板810は、その辺部811a、811b、811cの裏面がそれぞれ支持凹部711、712、713で支持された状態で、ねじ770、770により、支持凹部711、712に固定されている。
【0047】
一方のねじ770の頭部771と金属板810との間には、第2の信号線760の接続片761が挟み込まれており、金属板800と第2の信号線760とが、ねじ770により、確実に接続されている。
【0048】
図8に示すように、金属板810では、複数の当接片812が、金属板810の本体部811の一部を切り欠いて、同一方向に折り曲げることにより形成されている。各当接片812は、金属板810を遊技盤30に取り付けた際に、それぞれ対応する釘(下段の道釘B1〜B3)に当接するように構成されている。
【0049】
図9の(b)に示すように、各当接片812は、金属板810の本体部811に直交する方向に延びる基部812aと、道釘(B3)の先端側の周縁に当接する当接部812bとを備える。
当接部812bは、その長手方向における中央部分が、釘側(当接片812の基端部812cとは反対側)に膨出しており、断面視において曲面形状を成している。
【0050】
当接部812bは、金属板810を遊技盤30に取り付ける際に遊技盤30に植設された釘(B1〜B3)に接触する位置まで膨出している
そのため、実施の形態では、当接片812の先端側(当接部812b側)は、弾性変形可能とされており、金属板800を遊技盤30に取り付けた際に、当接片812の各々が対応する釘(B1〜B3)に当接すると、釘(B1〜B3)から離れる方向に変形するようになっている。
【0051】
よって、金属板810を遊技盤30に取り付けた状態において、当接片812の先端側には、釘(釘B1〜B3)側に移動しようとする力が常時作用している。そのため、この力が、当接片812(当接部812b)を釘(B1〜B3)に付勢する付勢力として作用して、当接片802と各釘(A1〜A3、J)との接触状態が確実に確保されるようになっている。
【0052】
例えば、
図9の(b)の場合には、当接片812に釘B3が当接すると、当接する前に図中実線で示す位置にあった当接片812は、変形により、図中2点鎖線で示す位置まで移動する。すなわち、当接片812の先端側は、当接する釘B3により、図中矢印cで示す方向に変形させられる。これにより、当接片812(当接部812b)が、この矢印Cとは反対方向に向かう力で、釘B3に対して付勢されることになる。
【0053】
このように、実施の形態では、
図7の(b)に示すように、金属板800、93を遊技盤30に取り付けると、第1の信号線750が、金属板800を介して上段の道釘A1〜A3およびジャンプ釘J1に一括して接続され、第2の信号線760が、金属板810を介して下段の道釘B1〜B3に一括して接続されるようになっている。
【0054】
また、遊技盤30を裏面側から見ると、金属板800の辺部801aと、金属板810の辺部811aとが、それぞれの本体部801、811から互いに反対方向に延出しており、金属板800と金属板810とが、ほぼ対象となる形状を有している。そのため、金属板800、93を遊技盤30に取り付けるときに、取り付ける位置を間違える可能性が低くなるようになっている。
【0055】
遊技盤30の説明に戻って、
図4に示すように、遊技盤30の左右両側部には、組付相手である本体枠12の左右両側からの張出領域との干渉を回避するように凹部としての切欠38が複数箇所に形成されている。
【0056】
可変表示ユニット35には、作動口33への入賞をトリガとして第1図柄(特別図柄)を変動表示する図柄表示装置41が設けられている。可変表示ユニット35には、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム43が配設されている。このセンターフレーム43は、その上部がパチンコ機10前方に延出している。これにより、図柄表示装置41の表示画面の前方を遊技球が落下していくのが防止されており、遊技球の落下により表示画面の視認性が低下するといった不都合が生じない構成となっている。
【0057】
センターフレーム43の上部中央には、第1特定ランプ部47および第2特定ランプ部48が横並びの状態で設けられている。また、これら両特定ランプ部47,48が配設された領域を挟むように、第1特定ランプ部47および図柄表示装置41に対応した保留ランプ44が設けられている。遊技球が作動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、保留ランプ44の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
なお、保留ランプ44は、図柄表示装置41の一部で変動表示される構成などであっても良い。上述したように、センターフレーム43の上部がパチンコ機10前方に延出していることにより、保留ランプ44、第1特定ランプ部47および第2特定ランプ部48の視認性が遊技球の落下により阻害されない構成となっている。センターフレーム43の下部には、第2特定ランプ部48に対応した保留ランプ46が設けられている。遊技球がスルーゲート34を通過した回数は最大4回まで保留され、保留ランプ46の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、保留ランプ46は、前記保留ランプ44と同様に、図柄表示装置41の一部で変動表示される構成などであっても良い。
【0058】
図柄表示装置41は、8インチサイズの液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。
図柄表示装置41には、例えば左、中および右に並べて第1図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
この図柄の変動表示については、後に詳細に説明することとする。なお、図柄表示装置41は、8インチ以外の10インチ,7インチなどの液晶ディスプレイを備えたもの、ワイドサイズのディスプレイを備えたもの、またはCRT,ドットマトリックス,7セグメントなどその他のタイプにより表示画面を構成したものであってもよい。
【0059】
第1特定ランプ部47には、その内側に赤、緑、青の3色発光タイプのLEDランプが配設されている。そして、作動口33への入賞をトリガとして、所定の順序で発光色の切り替えが行われる。具体的には、作動口33への入賞をトリガとして、赤色光が点灯され、その状態で所定時間が経過すると緑色光に発光色が切り替えられる。そして、緑色光が点灯された状態で前記所定時間が経過すると青色光に発光色が切り替えられる。その後、発光色の切り替え停止時期がくるまで、赤色、緑色、青色という順序で発光色の切り替えが繰り返し行われる。これにより、第1特定ランプ部47には、赤色、緑色、青色が、この順序で繰り返し表示されることとなる。そして、最終的に赤色または緑色が停止表示された場合には、大当たりが発生し、青色が停止表示された場合には、大当たりが発生しない。また、最終的に赤色で停止表示された場合と、最終的に緑色で停止表示された場合とで、大当たりの種類が異なり、前者の方が遊技者に有利な大当たりが発生する(いわゆる、確変大当たり)。
【0060】
一方、第2特定ランプ部48には、その内側に赤、緑の2色発光タイプのLEDランプが配設されている。この第2特定ランプ部48は、スルーゲート34の通過をトリガとして、所定の順序で発光色の切り替えが行われる。具体的には、遊技球がスルーゲート34を通過すると、赤色光の点灯と緑色光の点灯とが交互に行われる。これにより、第2特定ランプ部48には、赤色、緑色が交互に表示されることとなる。そして、赤色が停止表示された場合には、作動口33に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となるよう構成されている。
【0061】
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できないまたは入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。より詳しくは、大当たりが発生すると、可変入賞装置32が所定の開放状態となり、遊技球が入賞し易い状態となる。可変入賞装置32の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過または所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32内の継続入賞口への入賞を条件として次ラウンドへの移行条件成立とし、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置32が繰り返し開放されるものが一般的である。
【0062】
遊技盤30には、後述する遊技球発射機構160から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレール部材としてのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射機構160から発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。
レールユニット50は、リング状をなす樹脂成型品にて構成されており、より具体的には、摩擦抵抗を低減するべくフッ素配合のポリカーボネート樹脂が用いられている。レールユニット50は、内外二重に設けられた内レール部51と外レール部52とを有する。内レール部51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、外レール部52は内レール部51の上方開放領域を囲むようにかつ内レール部51の左側部と並行するように略半円環状に形成されている。
【0063】
内レール部51は、他の樹脂部分と一体成型され、遊技盤30の面上にほぼ垂直に起立して設けられている。また、外レール部52は、内レール部51と同様に他の樹脂部分と一体成型され、遊技盤30の面上にほぼ垂直に起立して設けられた支持部52aを有し、その支持部52aの内側面に、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするための摺動プレート52bが取り付けられている。
摺動プレート52bは、長尺状をなすステンレス製の金属帯よりなり、複数箇所で支持部52aに支持されている。かかる場合、内レール部51と外レール部52とにより誘導レールが構成され、これら各レール部51,52が所定間隔を隔てて対向する部分により球案内通路が形成されている。なお、内外のレール部51,52が対向する部位では、遊技盤30との当接部53により各レール部51,52が連結されており、球案内通路は手前側に開放した溝状に形成されている。
【0064】
レールユニット50において、前記球案内通路より遊技球が飛び出す部位(
図4の左上部)には戻り球防止部材54が取着され、該飛び出した遊技球の最大飛翔部分に対応する部位(
図4の右上部)には返しゴム55が取着されている。戻り球防止部材54により、一旦球案内通路から遊技盤30の上部へと飛び出した遊技球が球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、所定以上の勢いで発射された遊技球は返しゴム55に当たり、遊技領域の中央寄りに跳ね返されるようになっている。
【0065】
レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジなどが挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされる。ここで、レールユニット50の上下および左右の各端部は略直線状に形成されている。
つまり、レールユニット50の上下および左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、すなわち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。レールユニット50は、遊技盤30上の遊技領域の最大幅となる位置が遊技盤30の左右端位置に至るように配設されている。
なお、レールユニット50の球案内通路に対応する部位のなかでも特に遊技球の受け入れ部位に関しては、当該レールユニット50を強固に取り付けて遊技球の飛びを安定させるべく、該当するフランジ56が他よりも多い箇所(本実施の形態では3カ所、他は2カ所)でネジ止めされている。
【0066】
内レール部51および外レール部52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。凸部57は、内レール部51の外周部から下方へ延びるように形成され、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路に導く機能を有する。遊技盤30の右下隅部および左下隅部は、証紙などのシールやプレートを貼着するためのスペース(図のSa,Sb)となっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58a,58bが形成されている。証紙などのシールを遊技盤30に直接貼り付ける構成とすることで、証紙などの不正な貼り直しなどが行いにくいものとなっている。
【0067】
遊技盤30においてレールユニット50よりも外方の左上部には、前後に貫通した中継端子孔59が設けられており、この中継端子孔59を通じて、遊技盤裏面に設置した中継端子板の接続コネクタ60がパチンコ機10前面側に露出されるようになっている。
【0068】
次に、遊技領域について説明する。遊技盤30の盤面はレールユニット50(内外レール部51,52)により内外領域に区画され、略円形状に区画された内側領域が遊技領域とされている。
【0069】
本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て内レール部51および外レール部52によって囲まれる領域のうち、内外レール部51,52の対向部分である球案内通路の領域を除いた領域として説明する。つまり、遊技領域は球案内通路部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール部52によってではなく内レール部51によって特定される。また、遊技領域の向かって右側限界位置は、内レール部51によって特定され、遊技領域の下側限界位置は、アウト口36が形成された遊技盤30の下端位置によって特定され、遊技領域の上側限界位置は外レール部52によって特定される。
【0070】
遊技領域の拡張に関連して、可変表示ユニット35の両側に位置するスルーゲート34は、このスルーゲート34を通過した遊技球が中央の方へ寄せられるような案内機構を有している。これにより、遊技領域が左右方向に拡張されている場合であっても、遊技球を中央の作動口33や可変入賞装置32の方へと案内することができ、ひいては、遊技領域が拡張されることにより遊技球が入賞しにくくなることによる興趣の低下が抑制されるようになっている。また、遊技領域が左右方向に拡張されていることによって、比較的大型の可変表示ユニット35を遊技領域中央に設けても、可変表示ユニット35の左右両側にスルーゲート34、風車37、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための三角釘などの誘導釘)、他の役物などを余裕をもって配設することができ、可変表示ユニット35の左右両側の遊技領域での遊技球の流れが単調とならず、遊技球の挙動を存分に楽しませることができる。
【0071】
図3の説明に戻り、樹脂ベース25の窓孔26(遊技盤30)の下方には、遊技球発射機構160が取り付けられている。遊技球発射機構160は、
図10に示すように、ベース部材としての金属板161を備えており、金属板161には、電磁式のソレノイド162と、発射レール163とが取り付けられている。
【0072】
ソレノイド162は、本体部162aと出力軸162bとを主要構成部品として備えており、本体部161aへの電気的な信号の入力に基づき通電され、出力軸162bが伸縮方向に移動する。また、ソレノイド162は、通電時に出力軸162bが左斜め上方へ突出するように配置されている。発射レール163は、ソレノイド162により打ち出された遊技球を案内するものであり、その長手方向が出力軸162bの伸縮方向に延びるように配置されている。
なお、発射レール163上には前扉枠13側の球出口(上皿23の最下流部より通じる球出口)から1つずつ遊技球Bが供給されるが、当該遊技球Bを発射レール163上に保持するためのストッパ164が金属板161上に取り付けられている。
【0073】
以上の構成において、遊技者により遊技球発射ハンドル18が操作されるのに基づいてソレノイド162が通電されると出力軸162bが突出し、発射レール163上においてストッパ164により保持されている遊技球が打ち出される。そして、当該遊技球は発射レール163上を移動し、遊技領域に打ち出される。
【0074】
発射レール163と球案内通路との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路が設けられている。従って、仮に遊技球発射機構160から発射された遊技球が戻り球防止部材54まで至らずファール球として球案内通路内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路を介して下皿16に排出される。
【0075】
ファール球が球案内通路内を逆流してくる際、その多くは外レール部52に沿って流れ、外レール部52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は球案内通路内で暴れ、内レール部51側へ跳ね上がるものもある。この際、跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路に誘導される。これにより、ファール球の全てがファール球通路に確実に案内され、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
【0076】
また、本体枠12の前面において発射レール163の左側には、左右一対の排出口66,67が形成されると共に、その前方に、排出口66,67より排出された遊技球を上皿23または下皿16の何れかに案内するための遊技球案内ユニット70が取り付けられている。便宜上以下の説明では、排出口66を第1排出口、排出口67を第2排出口ともいう。これら排出口66,67は、本体枠12の背面に設けられた遊技球分配部245(
図16参照)に通じており、基本的に第1排出口66より遊技球の排出が行われ、この第1排出口66も含め上皿23に通じる通路が遊技球で一杯になると、第1排出口66に代えて第2排出口67より遊技球の排出が行われるようになっている。
【0077】
遊技球案内ユニット70は、ポリカーボネート樹脂などの透明な樹脂材料により内部を視認可能に構成され、本体枠12に対して前扉枠13を閉鎖した状態で本体枠12と前扉枠13との間に収まるように形成されている。遊技球案内ユニット70には、前述のファール球通路76が一体的に形成されている。
遊技球案内ユニット70には、前記排出口67と下皿16とを連通するための球排出通路71が形成されている。遊技球案内ユニット70には、本体枠12の第1排出口66の手前側に、上皿23に連通する連通口72が形成され、連通口72を閉鎖するようにして開閉プレート73が取り付けられている。開閉プレート73は支軸74により回動可能に支持され、付勢手段としてのバネ75により連通口72を閉鎖する位置に常時付勢されている。
【0078】
遊技球案内ユニット70の上記構成によれば、前扉枠13を開放した状態ではバネ75の付勢力により開閉プレート73が図示の如く起き上がり、連通口72を閉鎖する。この状態では、第1排出口66より排出される遊技球が球排出通路71を通じて下皿16に案内される。
従って、連通口72の上流側に遊技球が貯留されている状態で前扉枠13を開放した場合、その貯留球は連通口72よりこぼれ落ちることなく、球排出通路71を通じて下皿16に流下する。つまり、前飾り枠が省略され前扉枠13に対して上皿23が直接設けられる構成とした本パチンコ機10にあっても、前扉枠13の開放に際し連通口72の上流側にある遊技球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。
これに対し、前扉枠13を閉鎖した状態では、前扉枠13の裏面に設けられた球通路樋138(
図2参照)によりバネ75の付勢力に抗して開閉プレート73が押し開けられる。この状態では、第1排出口66より排出される遊技球が連通口72を介して上皿23に案内される。従って、連通口72より上流側の遊技球は上皿23に払い出される。
【0079】
遊技球案内ユニット70の球排出通路71には、下皿16が遊技球によって満杯状態となっているか否かを判定するための満杯検知センサ77が設けられている。そこで、球排出通路71および満杯検知センサ77について
図11を用いて説明する。
図11(a)は遊技球案内ユニット70を拡大して示す正面図であり、
図11(b)は球排出通路71における満杯検知センサ77周辺の構成を説明するための図である。
【0080】
球排出通路71は、上記のとおり、排出口67と下皿16とを連通するための通路である。
図11(b)に示すように、球排出通路71の通路幅(遊技球流下方向に対して直交する方向の寸法)はX1であり、遊技球の直径Rに対してR<X1≒1.5R<2Rの関係にある。したがって、球排出通路71を流下する遊技球に対して球排出通路71の通路壁71aとの間には空間的な余裕が生じ、球排出通路71における遊技球の流れが円滑なものとなっている。
【0081】
球排出通路71の下流部側であってその底部にはセンサ収容部95が設けられており、このセンサ収容部95に対して満杯検知センサ77が収容されている。満杯検知センサ77は、厚み寸法が小さいフラット型近接センサにて構成されており、検知範囲内に遊技球が入った状態での磁界の変化状況により遊技球が検知される。かかる構成に関してより詳細には、満杯検知センサ77は板状のセンサ本体部77aを備えており、その上面に検知面77bが設けられている。センサ本体部77aは、検知面77bに対応した領域内に遊技球が入った状態での磁界の変化状況を検出して電気信号を出力する。本実施の形態では、検知面77bに対応した領域内に遊技球がない場合にはOFF信号を出力し、当該領域内に遊技球がある場合にON信号を出力する。
なお、OFF信号の出力を行わずに、検知面77bに対応した領域内に遊技球がある場合にのみON信号などの特定信号を出力する構成としてもよい。
以上の構成において、満杯検知センサ77の検知範囲を概ね規定する検知面77bの範囲X2は、遊技球の直径Rに対してR<X2≒1.3R<2Rの関係にある。これにより、遊技球の検知を確実に行うことができる。なお、符号77cはコネクタ端子である。
【0082】
以上の構成の満杯検知センサ77にて所定期間に亘って遊技球が検知されることにより、パチンコ機10においては下皿16が遊技球で満杯になっていると判定され、それに対応した処理が実行される。これについては後に詳細に説明する。なお、球排出通路71における満杯検知センサ77の設けられた位置よりも上流側の通路は、16個以上の遊技球が並ぶことが可能な通路長を有している。
【0083】
図3に示すように、樹脂ベース25には、窓孔26の右下部に略四角形状の小窓78が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部スペース(
図4のSa)に貼られた証紙などは、この小窓78を通じて視認できるようになっている。この小窓78から遊技盤30上に証紙などを直接貼り付けることも可能である。
【0084】
樹脂ベース25には、窓孔26の左上部にも小窓79が設けられている。この小窓79は、
図4で説明した遊技盤30の中継端子孔59に対応する位置にそれとほぼ同一の形状で設けられ、中継端子孔59および小窓79を通じて、遊技盤裏面に設置した中継端子板の接続コネクタ60が本体枠12の前面側に露出される。
かかる構成において、前扉枠13側に設けた各種ランプに対しては、本体枠12(樹脂ベース25)の小窓79より露出した接続コネクタ60を介して電気的な接続がなされている。樹脂ベース25の上部には、前扉枠13の開放の状態を検出するための前扉枠開放スイッチ27が設けられている。前扉枠開放スイッチ27は、樹脂ベース25の前面に出没可能なピンを有しており、本体枠12に対して前扉枠13を閉じた状態ではピンが押し込まれて前扉枠13の閉鎖が検知され、本体枠12に対して前扉枠13を開いた状態ではピンが突出位置に戻って前扉枠13の開放が検知されるようになっている。
樹脂ベース25の左右2カ所には、本体枠12に対して前扉枠13を閉じた際に前扉枠13背面の金具類(
図12に示す補強板131〜134)に接触し、且つその金具類を本体枠12側に導通させてアース(接地)するための金属片28a,28bが取り付けられている。従って、金属片28a,28bを通じて、前扉枠13背面の金具類が本体枠12側の施錠装置やヒンジ金具に導通され、これら施錠装置やヒンジ金具と共にアースされる。
【0085】
本体枠12の左端側(開閉軸線側)には、前扉枠13を開閉可能に支持するための支持機構として、上下一対の支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には上方へ突出する突起軸84が設けられている。なお、支持金具81,82に支持される前扉枠13の具体的構成については後述する。
また、本体枠12の右端側(開閉軸線とは反対側)には、前扉枠13裏面側の開放端側に設けた上下一対の鉤金具155,156(
図2参照)を挿入するための挿入孔87,88がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、本体枠12や前扉枠13を施錠状態とするための施錠装置が本体枠12の裏面側に隠れて配置される構成となっている。従って、鉤金具155,156が挿入孔87,88を介して施錠装置に係止されることによって、前扉枠13が本体枠12に対して開放不能に施錠される。
【0086】
本体枠12の右下隅部には、外枠11に対する本体枠12の施錠および解錠、並びに本体枠12に対する前扉枠13の施錠および解錠を行うための鍵部材としてのシリンダ錠91が設置されている。シリンダ錠91は施錠装置に一体化されており、施錠装置のうちシリンダ錠91だけが本体枠12の前方に突出した状態で設けられている。この場合、シリンダ錠91は、遊技領域の最大幅となる位置とは異なる位置に設けられている。シリンダ錠91は、本体枠12の施解錠と前扉枠13の施解錠とを共に賄う機能を有しており、鍵穴に差し込んだキーを左(反時計回り方向)に回すと本体枠12の施錠が解かれ、逆にキーを右(時計回り方向)に回すと前扉枠13の施錠が解かれるようになっている。
【0087】
図2に示すように、本体枠12には、シリンダ錠91を囲むようにして縦長状のカバー部材92が取り付けられている。詳細な図示は省略するが、カバー部材92には、その上端部および下端部に係止部(フック)が形成されている。
従って、上側の係止部を本体枠12側に係止させると共に、下側の係止部を本体枠12と前面板14との間に挟み込むことにより、カバー部材92が本体枠12に取り付けられる。前扉枠13には、カバー部材92の形状に合わせて切欠部145が形成されており、前扉枠13を閉鎖した状態ではこの前扉枠13と共にカバー部材92がパチンコ機前面部を構成する。なお、前扉枠13を閉鎖したとき、カバー部材92に形成された鍔部が前扉枠13により押さえられ、カバー部材92のがたつきが防止されるようになっている。
【0088】
次に、前扉枠13について
図1,
図12を参照しつつ説明する。なお、
図12は、前扉枠13の背面図である。
【0089】
前扉枠13には遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした視認窓としての窓部101が形成されている。窓部101は、円形に近い略楕円形状をなし、より詳しくは、その左右側の略中央部が上下側に比べて緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になる形状であってもよい。
【0090】
前扉枠13の下端部における左右両側には、本体枠12表面や遊技盤30表面など(証紙などを含む)の一部を視認できるよう透明樹脂を取り付けた小窓107が設けられている。小窓107に取り付けられる透明樹脂は、その内部の証紙などを工場などで容易に機械読み取りできるよう平坦状に構成される。但し、小窓107に、内部の証紙などをホール作業者などが容易に目視できるよう拡大レンズ部を設けることも可能である。
【0091】
前扉枠13にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプなどの発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時などにおける遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御されることにより、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。
例えば、窓部101の周縁に沿ってLEDなどの発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部にはLEDなどの発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり状態時に点灯や点滅を行うことにより大当たり中であることを報知する。また、上皿23周りにも、同じくLEDなどの発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。
その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とがそれぞれ設けられている。
なお、環状電飾部102は、内外二重の樹脂カバー層とその内側に収容された発射板付き発光体(LED)とよりなり、樹脂カバー層の各々の内側面には各層で縦横に交差する向きに突条(または波状の突起)が設けられている。外側の樹脂カバー層は透明であり、内側の樹脂カバー層は有色である。従って、環状電飾部102を発光させれば、多数に分散化された状態、または立体感を伴った状態の電飾が実現できるようになる。樹脂カバー層には、ガラス粉末入りの樹脂材料を用いると良い。このような樹脂カバー層の構成は、他の電飾部(例えば中央電飾部103や賞球ランプ105)に適用することもできる。
【0092】
前扉枠13には、窓部101の下方位置に、貸球操作部120が配設されている。貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されたCRユニットに紙幣やカードなどを投入した状態で、貸球操作部120によって球貸し操作、カード返却操作およびカード度数の確認を行うことができる。すなわち、球貸しボタン121は、カードなど(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カードなどに残額が存在する限りにおいて貸出球が払い出される。
返却ボタン122は、CRユニットに挿入されたカードなどの返却を求める際に操作される。度数表示部123はカードなどの残額情報を表示するものである。なお、CRユニットを介さずに球貸し装置などから上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機(いわゆる現金機)では貸球操作部120が不要となるが、かかる場合には、貸球操作部120の設置部分に飾りシールなどが付されるようになっている。これにより、貸球操作部120を設けた本パチンコ機10の構成において、CRユニットを用いたパチンコ機(いわゆるCR機)と現金機との共用が可能となる。
【0093】
図12に示すように、前扉枠13の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。具体的には、前扉枠13の裏側にあって窓部101の左右および上下の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図の左側および上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。これにより、補強板131〜134による電気経路の閉じたループが切断され、ノイズの原因となる磁界の発生などが防止されている。
【0094】
図12の右側となる開閉軸線側の補強板131にはその上端部および下端部に、本体枠12に対する組付機構として、組付金具151,152が取り付けられている。そして、本体枠12側の支持金具81,82(
図3参照)に対して前扉枠13側の組付金具151,152が取り付けられている。すなわち、下側の組付金具152には下面に開口する軸穴が形成されており、その軸穴に下側の支持金具82の突起軸84が挿入される一方、上側の組付金具151の軸部が上側の支持金具81の支持孔83に挿入されることにより、本体枠12に対して前扉枠13が開閉可能に支持されている。
また、補強板131にはその中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前扉枠13を閉じた状態で本体枠12の孔部12a(
図3参照)に挿入されるように構成されている。これにより、上皿23を含む形態で前扉枠13を構成し、その上下の軸支間隔を長くした本パチンコ機10においても、中間位置における前扉枠13の浮き上がりが防止できる。それ故、前扉枠13を浮かしての不正行為などが抑制されるようになっている。
【0095】
図12の左側となる開閉軸線とは反対側の補強板132には鉤形状をなす上下一対の鉤金具155,156が取り付けられている。これら鉤金具155,156は、後方に延び、本体枠12に設けた挿入孔87,88(
図3参照)に対応するようにして設けられている。本体枠12に対して前扉枠13を閉鎖した際、鉤金具155,156が本体枠12側の挿入孔87,88に挿入されて施錠装置により施錠状態とされるようになっている。
【0096】
下側の補強板134には、前記発射レール163に対向する位置に樹脂ケース136が取り付けられている。樹脂ケース136には、前記貸球操作部120用の回路基板が収容されている。樹脂ケース136の背面(
図12に見える面)は平坦状をなし、前扉枠13を閉じた際に発射レール163の側壁を構成するようになっている。故に、発射レール163から遊技球が前方にこぼれ落ちることが防止される。
【0097】
下側の補強板134の一部を切り欠いた部位には、パチンコ機10後方に向けて球通路樋138が設置されており、球通路樋138の少なくとも上方には、同じくパチンコ機10後方に向けて延びる庇(ひさし)部139が設けられている。この場合、本体枠12側に前扉枠13を閉じた状態では、球通路樋138と庇部139との間に、本体枠12側の連通口72上辺に沿って延びる突条が入り込むようにして配置される。故に、球通路樋138より針金やフィルムなどを侵入させて不正行為を行おうとしても、遊技領域にまで針金やフィルムなどを侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金やフィルムなどを利用して行われる不正行為を防止することができる。
【0098】
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の内側が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。ガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されている。
【0099】
前述した通り本実施の形態のパチンコ機10では、前扉枠13を閉じた状態にあっては、内外のレール部51,52間に形成された球案内通路の一部が前扉枠13により覆い隠される構成となっている。それ故、球案内通路では手前側の開放部がガラス137で覆えない部分ができてしまう。かかる場合、例えば、遊技球発射機構160より発射された遊技球が戻り球防止部材54まで至らず戻ってくると、遊技球が球案内通路外に飛び出したり、外レール部52とガラス137との間にできる隙間に挟まってしまうおそれがある。そこで本実施の形態では、前扉枠13に、球案内通路の手前側開放部を被覆するためのレールカバー140を取り付けている。レールカバー140は略円弧状をなす板体であって、透明な樹脂により形成されている。レールカバー140は、その円弧形状が前記球案内通路の形状に対応しており、窓部101の周縁部に沿って、球案内通路の基端部から先端部近傍までの区間を覆うようになっている。
特にレールカバー140の内径側の寸法・形状は内レール部51のそれにほぼ一致する。また、レールカバー140の右端部(すなわち、レールカバー140を前扉枠13に取着した
図12の状態で右端となる部位)には、球案内通路がガラス137の側縁部からはみ出した部分を被覆するための被覆部141が設けられている。以上のレールカバー140の構成により、前扉枠13が閉じられた状態においては、レールカバー140の裏面が球案内通路のほぼ全域を覆うこととなって、遊技球が球案内通路外に飛び出したり、外レール部52とガラス137との間にできる隙間に挟まってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
【0100】
また、レールカバー140の下部裏側には、その内側縁に沿って円弧状に延び且つ後方へ向けて突出する突条142が形成されている。突条142は、前扉枠13が閉じられた状態において、球案内通路内に入り込んだ状態で内レール部51に重なり合うように配置される。従って、例えば前扉枠13と本体枠12との隙間から針金やフィルムなどを侵入させて不正行為を行おうとしても、球案内通路の内側にある遊技領域にまで針金やフィルムなどを侵入させることが非常に困難となる。その結果、針金やフィルムなどを利用して行われる不正行為を防止することができる。なお、突条142をより広い範囲で、例えばレールカバー140の内側縁の全域に沿って形成する構成としても良く、かかる構成によれば、より広い範囲で針金やフィルムなどを侵入させにくくなり、針金やフィルムなどを利用して行われる不正行為をより確実に防止することができる。
【0101】
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。なお、
図13はパチンコ機10の背面図、
図14はパチンコ機10の背面構成を主要部品毎に分解して示す分解斜視図である。
【0102】
まず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10の背面側には、各種制御装置(各種制御基板)が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されるとともに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバーなどが取り付けられている。
本実施の形態では、各種制御装置を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に本体枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御装置271(主制御基板、電源監視基板)と音声ランプ制御装置272(音声ランプ制御基板)とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御装置311(払出制御基板)、電源及び発射制御装置313(電源および発射制御基板)を他方の取付台に搭載してユニット化している。以下においては、便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構および保護カバーも1ユニットとして一体化され、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
【0103】
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具などを用いずに着脱できるよう構成されるとともに、一部に支軸部を設けて本体枠12または遊技盤30の裏面に対して展開できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置された場合に隠れた部位を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。実際には、
図15の概略図に示すように、略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重複する領域に、裏パックユニット203が配置されている。
【0104】
第1制御基板ユニット201にはパチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1による軸線Aを中心に第1制御基板ユニット201が回動可能となっている。また、第1制御基板ユニット201には、その右端部すなわち支軸部M1の反対側となる開放端側に、ナイラッチ(登録商標)などよりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2および係止爪部M3によって第1制御基板ユニット201がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。また、第2制御基板ユニット202にはパチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4による軸線Bを中心に第2制御基板ユニット202が回動可能となっている。また、第2制御基板ユニット202には、その左端部すなわち支軸部M4の反対側となる開放端側に、ナイラッチなどよりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット202がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。
さらに、裏パックユニット203にはパチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に裏パックユニット203が回動可能となっている。また、裏パックユニット203には、その左端部すなわち支軸部M6の反対側となる開放端側にナイラッチなどよりなる締結部M7が設けられるとともに、上端部および下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら締結部M7および係止部M8,M9によって裏パックユニット203がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。
【0105】
各ユニット201〜203を回動可能に支持する支軸部M1,M4,M6は、各ユニット201〜203をパチンコ機10の裏面から開いた状態で容易に取り外し可能なヒンジ構造となっている。簡単に説明すると、第1制御基板ユニット201については、締結部M2の締結および係止爪部M3の係止を解除すると共に、当該ユニット201を軸線Aを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、裏パックユニット203がない前提であれば、第1制御基板ユニット201を取り外すことができる。
また、第2制御基板ユニット202については、締結部M5の締結を解除すると共に、当該ユニット202を軸線Bを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、第2制御基板ユニット202を取り外すことができる。
さらに、裏パックユニット203については、締結部M7の締結および係止部M8,M9の係止を解除すると共に、当該ユニット203を軸線Cを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、裏パックユニット203を取り外すことができる。
【0106】
ここで、各ユニット201〜203の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット201は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、同右開きになるよう構成されている。この場合、第1制御基板ユニット201は、裏パックユニット203に一部重複して設けられるため、裏パックユニット203を開かないことには第1制御基板ユニット201を取り外すことが不可能であり、さらに言うと、第1制御基板ユニット201および裏パックユニット203が各々逆方向に展開する構成であるため、裏パックユニット203を所定角度以上に大きく開いた状態または同ユニット203を取り外した状態でなければ第1制御基板ユニット201を取り外すことが不可能である。従って、第1制御基板ユニット201を取り外すことに着目すると、他のユニット202,203に比べて取り外しが困難な構成となっている。さらに、施錠装置をキー操作して外枠11に対して本体枠12を開放しなければ、裏パックユニット203を開くことができない構成となっているため、よりいっそう第1制御基板ユニット201の取り外しが困難なものとなっている。より具体的な構成については後述する。
【0107】
次に、本体枠12および遊技盤30の裏面構成を説明する。なお、
図16は本体枠12に遊技盤30を組み付けた状態でかつ前記各ユニット201〜203などを取り外した状態の構成を示す背面図、
図17は本体枠12を後方より見た斜視図、
図18は遊技盤30を後方より見た斜視図である。
【0108】
遊技盤30は、樹脂ベース25に囲まれた四角枠状の設置領域に裏面側より設置され、本体枠12に設けられた複数(本実施の形態では4カ所)の係止固定具211,212によって後方へ脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動操作することができ、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とに切り換えることができるよう構成されている。
図16にはロック状態を示す。左右3カ所の係止固定具211は金属片を折り曲げ形成したL型の金具であり、遊技盤30の固定状態で本体枠12の外方へ張り出さないよう構成されている。なお、下部1カ所の係止固定具212は合成樹脂製のI型の留め具である。
【0109】
遊技盤30の中央に配置される可変表示ユニット35には、センターフレーム43(
図4参照)を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、図柄表示装置41と表示制御手段としての表示制御装置214とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム43に内蔵されたLEDなどを駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
【0110】
遊技盤30の裏面には、可変表示ユニット35を取り囲むようにして集合板ユニット215が設けられている。集合板ユニット215は、薄板状の枠体として例えばABS樹脂などの合成樹脂により成形されるベースを有し、そのベース面が遊技盤30の裏面に当接されるようにして取り付けられている。集合板ユニット215には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口などへの遊技球の入賞を検知するための入賞検知機構などが設けられている。
【0111】
遊技球回収機構について説明すると、集合板ユニット215の下方には、前記一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33の遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、本体枠12にポリカーボネート樹脂などの合成樹脂製の排出通路盤217が取り付けられており、排出通路盤217には排出球をパチンコ機10外部の例えば遊技ホールの島設備などへ案内するための排出通路218が形成されている。
従って、
図16に仮想線で例示するように、一般入賞口31などに入賞した遊技球は何れも集合板ユニット215の回収通路216を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36(
図4参照)も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。
上記構成では、遊技盤30の下端面を境界にして、上方に集合板ユニット215(回収通路216)が、下方に排出通路盤217(排出通路218)が設けられており、排出通路盤217が遊技盤30に対して前後方向に重複していない。従って、遊技盤30を本体枠12から取り外す際において、排出通路盤217が遊技盤取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
【0112】
なお、排出通路盤217は、パチンコ機10前面の上皿23の裏側に配置されており、上皿23に至る球排出口(
図2の球通路樋138)より針金やフィルムなどを差し込み、さらにその針金やフィルムなどを本体枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで、本パチンコ機10では、
図17に示すように、排出通路盤217には、球通路樋138の上部位置に対応する高さ位置に、本体枠12に重なり合うようにしてパチンコ機10前方に延びるプレート219を設けた。従って、本体枠12と排出通路盤217との隙間から針金やフィルムなどを侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金やフィルムなどを侵入させることが非常に困難となる。その結果、針金やフィルムなどを利用して可変入賞装置32を強制的に開放するなどの不正行為を防止することができる。
【0113】
入賞検知機構について説明すると、集合板ユニット215には、遊技盤30表側の一般入賞口31と対応する位置に入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32と対応する位置に特定領域スイッチ222およびカウントスイッチ223が設けられている。
特定領域スイッチ222は、大当たり中に可変入賞装置32へ入賞した遊技球が特定領域に入ったことを判定するスイッチである。特定領域とはラウンドの更新可否を判定するための領域であり、Vゾーンとも称されている。
カウントスイッチ223は、可変入賞装置32に入賞した遊技球の数をカウントするスイッチである。
また、作動口33に対応する位置には作動口33への遊技球の入賞を検知する作動口スイッチ224が設けられ、スルーゲート34に対応する位置にはスルーゲート34の遊技球の通過を検知するゲートスイッチ225が設けられている。入賞口スイッチ221およびゲートスイッチ225は、電気配線を通じて盤面中継基板226に接続され、特定領域スイッチ222およびカウントスイッチ223は、大入賞口中継基板227に接続されている。そして、盤面中継基板226および大入賞口中継基板227が主制御装置271(主制御基板)に接続されている。作動口スイッチ224は中継基板を介さずに直接主制御装置271(主制御基板)に接続されている。
その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口の開閉扉を開放するための大入賞口ソレノイドと、入賞球を特定領域かその他の領域に振り分けるための振分板を駆動する入賞球振分板ソレノイドとが設けられ、作動口33には、それに付随する電動役物を開放するための作動口ソレノイドが設けられている。
【0114】
上記入賞検知機構にて各々検出された検出結果は、主制御装置271(主制御基板)に取り込まれ、該主制御装置271(主制御基板)よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御装置311(払出制御基板)に出力される。
そして、払出制御装置311(払出制御基板)の出力により所定数の遊技球の払出が実行されるようになっている。
ここで、従来のいわゆる証拠球方式では、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行うようにしていたが、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に検知して払出が直ちに行われるようにしているため、払い出す遊技球が多量にあってもその払出をいち早く実施することが可能となるとともに、入賞球処理装置が不要となる。
【0115】
集合板ユニット215には、その中央上部に中継端子板276が設けられており、さらにその右上部に盤用外部端子板230が設けられている。
中継端子板276は、主制御装置271(主制御基板)や電源及び発射制御装置313(電源および発射制御基板)から表示制御装置214(表示制御基板)への信号線を中継するものである。
盤用外部端子板230には、第1図柄の変動が停止(確定)する毎に信号出力するための出力端子と、大当たり中または第1図柄の変動時間短縮中に信号出力するための出力端子と、大当たり中に信号出力するための出力端子と、球詰まりの発生を報知する信号を出力するための出力端子と、が設けられている。
そして、これらの出力端子を通じて、遊技ホール側の管理制御装置に対して遊技(遊技盤30側の状態)に関する信号が出力される。盤用外部端子板230は、取り外し容易な状態で集合板ユニット215に取り付けられている。
【0116】
集合板ユニット215には、第1制御基板ユニット201を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤30の裏面から見て左下隅部には上下方向に延びる軸受け金具231が設けられ、この軸受け金具231には同一軸線上に上下一対の軸受け孔231a(
図18参照)が形成されている。
また、遊技盤30において、軸受け金具231の右方には上下一対の被締結孔(具体的にはナイラッチの取付孔)232が設けられ、軸受け金具231の上方には係止爪片233(
図18参照)が設けられている。
【0117】
本体枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、本体枠12にはその右端部に長尺状の軸受け金具235(
図17参照)が取り付けられている。この軸受け金具235は、補強部材としても機能する。
図19に示すように、軸受け金具235は遊技盤30よりも下方へ延びる長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より後方へ起立させるようにして、下部2カ所に第2制御基板ユニット202用の軸受け部237が形成されると共に、上部2カ所に裏パックユニット203用の軸受け部238が形成されている。これら軸受け部237,238にはそれぞれ同軸の軸受け孔が形成されている。
なお、第2制御基板ユニット202用の軸受け部237と裏パックユニット203用の軸受け部238とを各々個別の軸受け金具で構成することも可能である。
【0118】
その他、第2制御基板ユニット202用の取付機構として、本体枠12には、遊技盤30設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(具体的には、ナイラッチの取付孔)239が設けられている(
図16参照)。
また、裏パックユニット203用の取付機構として、本体枠12には、遊技盤30設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(具体的には、ナイラッチの取付孔)240が設けられている(
図16参照)。
本体枠12において遊技盤30の左上方、右寄り上方および右寄り下方の各位置には、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挟み込んで支持するための回動式の固定具241,242,243がそれぞれ設けられている。
なお、裏パックユニット203は、その上部に大量の遊技球を貯留することから、裏パックユニット203の上部を支持するための固定具241,242に関しては特に十分な強度を持つ構成とするのが望ましく、本実施の形態では回動式の固定具を用いている。
【0119】
上記の如く本体枠12の左右一側部(
図16では右側部)には長尺状の軸受け金具235が設けられる一方、本体枠12の左右他側部(
図16では左側部)には施錠装置が設けられている。
図17に示すように、施錠装置は、上下方向に延び本体枠12に固定された基枠247と、その基枠247に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆248とを備え、基枠247の下部に前記シリンダ錠91が一体化されている。
連動杆248は、シリンダ錠91の操作により上下いずれかの方向に移動する。連動杆248には、鉤形状をなす上下一対の鉤金具249が設けられており、外枠11に対して本体枠12を閉鎖した際には、鉤金具249が外枠11側の支持金具(図示略)に係止され、施錠装置により施錠状態とされるようになっている。
この場合、シリンダ錠91の操作によって連動杆248が上方向に移動すると、外枠11に対する本体枠12の施錠が解除される。逆に、シリンダ錠91の操作によって連動杆248が下方向に移動すると、本体枠12に対する前扉枠13の施錠が解除される。
【0120】
なお、本体枠12の左右側部に軸受け金具235と施錠装置(基枠247、連動杆248など)とが振り分けられる上記構成において、これら軸受け金具235および施錠装置(基枠247、連動杆248など)を配置するための領域を残した幅となるようにして、本体枠12に前記遊技盤30が取り付けられている。
【0121】
本体枠12の背面における遊技盤30の右下部には、後述する払出機構より払い出される遊技球を上皿23、下皿16または排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。
遊技球分配部245は、左側の開口部245aが第1排出口66を介して上皿23に通じ、中央の開口部245bが第2排出口67を介して下皿16に通じ、右側の開口部245cが排出通路218に通じるように、各通路が形成されている。
この場合に、賞球や貸球の払い出しに際しては、先ず左側開口部245aに遊技球が誘導され、上皿23が満杯である場合に左側開口部245aから溢れた遊技球が中央開口部245bに入る。遊技球分配部245は、本体枠12に対してネジなどにより強固に取り付けられている。従って、遊技球分配部245の設置部位における浮き上がりが防止され、隙間から針金やフィルムなどを侵入させることによる不正行為が防止できるようになっている。なお、本体枠12の下端部には、奥壁パネル17の裏側に設置されたスピーカ20の背後を囲むための合成樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられており、スピーカボックス246がスピーカ音を後方へ逃さないように機能することで低音域の音質改善が図られている。
【0122】
次に、第1制御基板ユニット201の構成を
図20〜
図23に基づいて説明する。
図20は第1制御基板ユニット201の正面図、
図21は同ユニット201の斜視図、
図22は同ユニット201の分解斜視図、
図23は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
【0123】
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、取付台251に主制御装置271と音声ランプ制御装置272とが搭載されている。
主制御装置271は、遊技の主たる制御を司る主制御基板と、電源を監視する(例えば、電圧の変化を監視する)電源監視基板とを具備しており、これら両基板が透明樹脂材料などよりなる被包手段としての基板ボックス273に収容されて構成されている。
主制御基板および電源監視基板には複数のコネクタが設けられており、これらコネクタは基板ボックス273に形成された開口部273a〜273hを通じて外部に露出されている。そして、各コネクタにハーネスや信号線が差し込まれることで、他の基板など(払出制御基板、盤面中継基板226など)との電気的な接続がなされるようになっている。
また、主制御基板は、コネクタを介して電源監視基板と電気的な接続がなされているが、これら両基板は一の基板ボックス273内に収容されているため、両基板を接続するためのコネクタは外部に露出されていない。なお、以下に説明する各制御装置の基板ボックスにおいても同様に開口部が形成されており、これら開口部を通じて各基板ボックスに収容された基板のコネクタが外部に露出されている。
【0124】
基板ボックス273は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印ユニット274によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス273が封印されている。封印ユニット274はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは
図21などに示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結されるようになっている。
封印ユニット274による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、封印ユニット274を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板または電源監視基板の不具合発生の際や主制御基板または電源監視基板の検査の際など基板ボックス273を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス273の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス273に残しておけば、基板ボックス273を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
【0125】
音声ランプ制御装置272は、主制御装置271からの支持に従い音声やランプ表示の制御および表示制御装置214の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料などよりなる基板ボックス275に収容されて構成されている。
【0126】
取付台251は、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂製であり、例えば緑や青などに着色されて不透明とされている。但し、取付台251は無色透明または半透明であってもよい。
図22に示すように、取付台251の表面には平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は縦横に直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。
基板搭載面252の上縁部および下縁部にはそれぞれ、基板搭載面252より起立した起立部254が一体成形されている。そして、横長の基板搭載面252上に主制御装置271が配置されると共に、縦長の基板搭載面253上に音声ランプ制御装置272が配置される。このとき、主制御装置271は、上下の側部が起立部254にて支えられる。また、音声ランプ制御装置272は、複数箇所でネジなどにより基板搭載面253に固定される。
【0127】
ここで、
図22および
図23に示すように、基板搭載面252には、左右2カ所に横長形状の貫通孔256が形成されている。
一方、主制御装置271の基板ボックス273には、その裏面の左右2カ所に回動操作式の固定具277(
図23参照)が設けられている。主制御装置271を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔256に固定具277が挿通されるように主制御装置271を載置し、その状態で固定具277を回動操作することで主制御装置271がロックされる。従って、主制御装置271は第1制御基板ユニット201の裏面側から固定具277をロック解除しなければ取り外しできないため、基板取り外しなどの不正行為に対して抑止効果が得られる。
【0128】
また、取付台251において、主制御基板用の基板搭載面252の下方には、基板搭載面252の裏面空間に通じる開口を遮蔽するための遮蔽部257が設けられている。
従って、基板搭載面252の下方より取付台251の裏面に手などを差し入れることが阻止され、固定具277のロック状態を不正に解除することができないようになっている。
また、第1制御基板ユニット201をパチンコ機10裏面に搭載した状態では、当該ユニット201の上部が裏パックユニット203により覆われるため、やはり取付台251の裏面に手などを差し入れることが阻止され、固定具277のロック状態を不正に解除することができないようになっている。
【0129】
前述した通り、第1制御基板ユニット201は、裏パックユニット203を所定角度以上に大きく開いた状態または同ユニット203を取り外した状態でなければ取り外すことが不可能であり、また、施錠装置を正しくキー操作して外枠11に対して本体枠12を開放しなければ、裏パックユニット203を開くことができない構成となっている。
つまり、本体枠12を開くことができなければ、結果的に第1制御基板ユニット201を回動させたり取り外すことができず、ひいては主制御装置271の取り外しも不可能となる。それ故、主制御装置271の不正な載せ替えや盗難などを効果的に防止することができる。
【0130】
主制御装置271は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置272はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面252,253が前後方向に段差をもって形成されているため、これら基板搭載面252,253に主制御装置271および音声ランプ制御装置272を搭載した状態において各制御装置271,272はその一部を前後に重ねて配置される。つまり、
図21などにも見られるように、主制御装置271はその一部(本実施の形態では1/3程度)が浮いた状態で配置される。故に、主制御装置271に重なる領域まで音声ランプ制御装置272を拡張することが可能となり、また別の見方をすれば音声ランプ制御装置272に重なる領域まで主制御装置271を拡張することが可能となり、パチンコ機10という限られた大きさの中にあっても、各制御装置271,272の大型化に良好に対処できるとともに、各制御装置271,272を効率良く設置できる。
また、第1制御基板ユニット201を遊技盤30に装着した状態では、基板搭載面252の後方にスペースが確保され、可変入賞装置32やその電気配線などが無理なく設置できるようになっている。なお、基板搭載面252の裏面には格子状のリブ258が設けられており、主制御装置271の支持強度が高められている。
【0131】
取付台251の左端面には上下一対の掛止ピン261が設けられており、この掛止ピン261を前記軸受け金具231(
図18参照)に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して回動可能に片持ち支持される。
取付台251の右端部には前記被締結孔232にはめ込まれる締結具として上下一対のナイラッチ262が設けられている(
図20参照)。取付台251の上端部には前記係止爪片233(
図18参照)が係止される長孔263が設けられている。
従って、ナイラッチ262を被締結孔232にはめ込むと共に、長孔263に係止爪片233を係止させることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定される。
なお、軸受け金具231および掛止ピン261が前記支軸部M1(
図15参照)に、被締結孔232およびナイラッチ262が前記締結部M2(
図15参照)に、係止爪片233および長孔263が前記係止爪部M3(
図15参照)に、それぞれ相当する。
【0132】
次に、第2制御基板ユニット202の構成を
図24〜
図26に基づいて説明する。
図24は、第2制御基板ユニット202の正面図、
図25は、同ユニット202の斜視図、
図26は、同ユニット202の分解斜視図である。
【0133】
第2制御基板ユニット202は、横長形状をなす取付台301を有し、取付台301に払出制御装置311、電源及び発射制御装置313およびCRユニット接続基板314が搭載されている。
払出制御装置311は、基板ボックス315内に賞球や貸出球の払出を制御する払出制御基板が収容されている。また、払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、後述する払出モータの球詰まりなど、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
【0134】
電源及び発射制御装置313は、基板ボックス316内に電源および発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置などで要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。
また、電源及び発射制御装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10は、各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
【0135】
CRユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120および図示しないCRユニットに電気的に接続され、主として遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、CRユニットを介さずに球貸し装置などから上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、CRユニット接続基板314は不要である。
【0136】
取付台301は、例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面302が設けられている。基板搭載面302には、電源及び発射制御装置313およびCRユニット接続基板314が横並びとなった状態で搭載され、ネジなどで固定されている。電源及び発射制御装置313の基板ボックス316上には略平板状の台座プレート303が載置されるとともに台座プレート303上に払出制御装置311が搭載され、ネジなどで固定されている。払出制御装置311と電源及び発射制御装置313との間には台座プレート303が介在するため、例えばノイズ除去用の金属プレートなどを設置するには台座プレート303に金属プレートなどを取り付ければ良く、ノイズ対策が簡単に実現できる。
【0137】
取付台301には、パチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン305が(
図24参照)設けられており、掛止ピン305を前記軸受け部237(
図19参照)に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が本体枠12に対して回動可能に片持ち支持される。取付台301の左端部には締結具として上下一対のナイラッチ306(
図25参照)が設けられており、ナイラッチ306を前記被締結孔239(
図17参照)にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が本体枠12に固定される。
なお、軸受け部237および掛止ピン305が前記支軸部M4に、被締結孔239およびナイラッチ306が前記締結部M5に、それぞれ相当する(
図15参照)。
【0138】
次に、裏パックユニット203の構成を
図27〜
図29に基づいて説明する。
図27は裏パックユニット203の正面図、
図28は裏パックユニット203の分解斜視図である。
図29はタンクレールの分解斜視図である。
【0139】
裏パックユニット203は、裏パック351と遊技球の払出機構部352とが一体化されることにより構成されている。裏パック351は、例えばABS樹脂などの合成樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機10後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面および上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置272も併せて囲む構成となっている。
保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置214などを露出させることで、所定の検定などを容易に実施することができるようになっている。
【0140】
裏パック351のベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、タンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。
タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、タンクレール356の下流側には上下方向に延びるケースレール357が連結されている。ケースレール357の最下流部には払出装置358が設けられており、払出装置358が払出制御装置311に制御されて必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。
払出装置358により払い出された遊技球は払出通路359などを通じて前記上皿23などに供給される。なお、図示は省略するが、ケースレール357の上流部には、タンク355やタンクレール356から供給される遊技球の有無を検出するタンク球無しセンサが設けられている。
【0141】
タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360が取り付けられている。バイブレータ360は、バイブモータとそのバイブモータを収容する合成樹脂製のケースとによりユニット化されており、2本の脚部360aでタンクレール356に取り付けられている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
【0142】
タンクレール356の構成ついて詳述すると、
図29に示すように、タンクレール356は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体361を有している。レール本体361の上流部には球面状の球受部362が形成され、球受部362によりタンク355より落下してきた遊技球が円滑にレール本体361内に取り込まれるようになっている。レール本体361には長手方向に延びる仕切壁363が設けられており、仕切壁363により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁363により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。仕切壁363により仕切られた各球通路の底面には、1筋または2筋の突条364が設けられると共に、その突条364の側方に塵埃を落下させるための開口部365が設けられている。
レール本体361には、その下流側半分程度の天井部分を覆うようにして整流板367が配設されている。整流板367は、下流側ほどタンクレール356内の球通路高さを制限するよう弓なりに反った形状をしており、その下面には長手方向に延びる凸部368が形成されている。これにより、タンクレール356内を流れる各遊技球は最終的には上下に積み重なることなく下流側に流出する。従って、タンクレール356に多量の遊技球が流れ込んできても、遊技球の噛み込みが防止され、タンクレール356内における球詰まりが発生し難くなっている。なお、レール本体361が帯電防止のために黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により成形されるのに対し、整流板367は球詰まりなどを目視で確認できるように透明のポリカーボネート樹脂により成形されている。整流板367は着脱可能に設けられており、当該整流板367を取り外すことによりタンクレール356内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。整流板367には、遊技球の流下を阻止するための手動式のストッパ369が取り付けられている。
【0143】
また、払出装置358の構成について
図30および
図31を用いて説明する。
図30は、払出装置358の斜視図であり、
図31は払出装置358内部に形成された通路構造を示す縦断面図である。なお、
図31においては払出装置358内部を流下する遊技球を二点鎖線で示す。
【0144】
払出装置358のハウジング371には、その上端にケースレール357から供給される遊技球を内部に取り込むための遊技球入口372が2個並べて形成されており、さらに内部にこれら入口372から入球した遊技球を通過させるための一対の遊技球通路373が並設されている。
【0145】
各遊技球通路373はハウジング372の下端に形成された一対の遊技球出口374にそれぞれ通じており、各遊技球入口372から入球した遊技球は各遊技球出口374に向けて1個ずつ流下する。各遊技球通路373の中間部分には通路幅が左右に広がった収容部373aが設けられており、同収容部373aに回転体375が収容されている。詳細には、回転体375は各遊技球通路373に対応して一対の球誘導板376を備えており、各誘導板376が各遊技球通路373の収容部373aに収容されるようにして回転体375が配置されている。回転体375はその中心が払出モータ377の出力軸377aに固定されている。
【0146】
払出モータ377は、ステッピングモータにより構成されており、出力軸377aは所定方向(
図31で見て時計回り方向)に回転駆動される。これにより、回転体375は、その所定方向に回転し、それに伴って各誘導板376が各遊技球通路373内にて回転する。出力軸377aは、1パルスの駆動信号を与えることにより1step進み、360パルスの駆動信号を与えることにより1回転するように設定されている。なお、払出モータ377はハウジング372内に収容されている。
【0147】
各誘導板376の周縁には、180°間隔で2箇所に、凹部376aが形成されている。凹部376aは、曲面状となっておりその曲率は遊技球の曲率と同程度となっている。また、誘導板376の周縁における凹部376a間の部位と収容部373aの通路壁との間の距離が遊技球の直径寸法よりも短くなっているのに対して、凹部376aと収容部373aの通路壁との間の距離は遊技球の直径寸法よりも長くなっている。これにより、遊技球通路373を流下してきた遊技球が誘導板376の凹部376aに到達すると、当該遊技球は誘導板376(回転体375)の回転に伴って下流側に導出される。
【0148】
各遊技球通路373には、収容部373aよりも下流側の位置に略平板状をしたカウントセンサ378が設置されている。カウントセンサ378は、周知の磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、貫通孔378aを遊技球が通過したことによる磁界の変化を電気信号に変換して出力する。このカウントセンサ378により、払出装置358を介して払い出された遊技球の数が確認できるようになっている。なお、図示は省略するが、払出装置358には、払出モータ377の回転の有無を検知するための払出回転センサが設けられている。
【0149】
次に、
図31を用い、払出装置358による遊技球の払出動作を説明する。払出装置358の初期状態では、払出モータ377が駆動していない。よって、遊技球通路373内にて連なる遊技球のうち、先頭の遊技球が誘導板376にて受け止められた状態となる。
一方、払出状態では、払出モータ377が駆動し誘導板376が時計回り方向に回転する。これにより、誘導板376の凹部376a上に載った遊技球が誘導板376の回転に伴って下流側へ導出され自重により遊技球通路373の下流側を通過することで遊技球の払い出しが行われる。このとき、下流側を通過する遊技球がカウントセンサ378により検知される。
【0150】
図27,
図28の説明に戻り、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する裏パック制御基板381が設置されている。また、裏パック制御基板381は、外部より主電源を取り込む役割を果たす。即ち、裏パック制御基板381には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ381aの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
【0151】
タンク355から払出通路359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する合成樹脂材料、例えば導電性ポリカーボネート樹脂にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
【0152】
裏パック351には、その右上部に枠用外部端子板390が設けられている。枠用外部端子板390には、タンク355やタンクレール356で遊技球が不足した場合に信号出力するための出力端子、遊技状態が大当たり状態となっている場合に信号出力するための出力端子、所定個数の賞球を払い出す毎に信号出力するための出力端子、所定個数の遊技球を貸し出す毎に信号出力するための出力端子、本体枠12の開放時に信号出力するための出力端子、および前扉枠13の開放時に信号出力するための出力端子が設けられている。そして、これらの出力端子を通じて、遊技ホール側の管理制御装置に対して枠側の状態に関する信号が出力される。
【0153】
裏パック351には、枠用外部端子板390に隣接して略四角形状の窓部391が設けられている。従って、裏パックユニット203を本体枠12に取り付けた状態では、窓部391を通じて遊技盤30裏面の盤用外部端子板230(
図18参照)が露出し、裏パックユニット203を装着したままで盤用外部端子板230の操作を行うことができるようになっている。
前述のとおり、盤用外部端子板230は取り外し容易な状態で集合板ユニット215に取り付けられていることから、盤用外部端子板230の配線を接続したままで、窓部391を介して当該盤用外部端子板230を取り出すことも可能となる。裏パック351の右上部には本体枠12の開放の状態を検出するための本体枠開放スイッチ392が設けられており、外枠11に対して本体枠12を閉じた状態では当該スイッチ392の金属接点が閉じて本体枠12の閉鎖が検知され、外枠11に対して本体枠12を開いた状態では金属接点が開いて本体枠12の開放が検知されるようになっている。
【0154】
裏パック351には、パチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン385が設けられており、掛止ピン385を前記軸受け部238(
図17参照)に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が本体枠12に対して回動可能に片持ち支持される。
裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386(
図27参照)が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を前記被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に前記固定具242(
図17参照)を挿入した上で当該固定具242を回動操作することで、裏パックユニット203が本体枠12に固定される。
また、前記固定具241,243によっても裏パックユニット203が本体枠12に固定される。なお、軸受け部238および掛止ピン385が前記支軸部M6(
図15参照)に、被締結孔240およびナイラッチ386が前記締結部M7(
図15参照)に、固定具242および係止孔387が前記係止部M8(
図15参照)に、それぞれ相当する。また、固定具243が前記係止部M9(
図15参照)に相当する。
【0155】
次に、本パチンコ機10の電気的構成について、
図32のブロック図に基づいて説明する。
図32では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
【0156】
主制御装置271に設けられた主制御基板271aには、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して後述する下皿満杯フラグといった各種データなどを一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0157】
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置313に設けられた電源及び発射制御基板313aからデータ記憶保持用電源(データ記憶保持用電圧)が供給されてデータが保持される構成となっている。
詳細には、電源及び発射制御基板313aには、データ記憶保持用コンデンサが設けられており、当該コンデンサからデータ記憶保持用電源が供給される。
【0158】
主制御基板271aのCPU501には、アドレスバスおよびデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。
主制御基板271aの入力側には、主制御装置271に設けられた電源監視基板271b、払出制御装置311に設けられた払出制御基板311a、導通検出センサ部100、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。
この場合に、電源監視基板271bには電源及び発射制御基板313aが接続されており、主制御基板271aには電源監視基板271bを介して電源が供給される。
【0159】
一方、主制御基板271aの出力側には、電源監視基板271b、払出制御基板311a、電源及び発射制御装置313に設けられた電源及び発射制御基板313a、盤用外部端子板230が接続されている。
払出制御基板311aには、満杯状態設定コマンド、満杯状態解除コマンドおよび賞球コマンドなどの各種コマンドが出力される。かかる場合に、当該各種コマンドは、ハーネスHLを介して一方向通信によって出力される(すなわち、コマンドを入力した旨の情報が払出制御基板311aから主制御基板271aに対して出力されない)。
また、主制御基板271aの出力側には、中継端子板276が接続されている。中継端子板276を介して主制御基板271aから音声ランプ制御装置272に設けられた音声ランプ制御基板272aに対して、満杯状態設定コマンドや満杯状態解除コマンドなどの各種コマンドが出力される。
さらには、第1特定ランプ部47に配設されたLEDランプのスイッチや第2特定ランプ部48に配設されたLEDランプのスイッチも接続されている。これにより、第1特定ランプ部47および第2特定ランプ部48は、主制御基板271aにより直接的に制御されることとなる。
【0160】
電源監視基板271bは、主制御基板271aと電源及び発射制御基板313aとを中継し、また電源及び発射制御基板313aから出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。
【0161】
払出制御基板311aは、払出モータ377により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データなどを記憶したROM512と、ワークメモリなどとして使用されるRAM513とを備えている。また、ROM512には、払出モータ377の駆動速度が記憶されている。
【0162】
払出制御基板311aのRAM513は、主制御基板271aのRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御基板313aからデータ記憶保持用電源が供給されてデータを保持できる構成となっている。
また、RAM513における各種のカウンタなどが記憶される作業エリアには、コマンド入力フラグ格納エリアなどといった各種フラグ格納エリアと共に、主制御基板271aから出力されたコマンドが記憶されるコマンドバッファ513aが設けられている。
【0163】
コマンドバッファ513aは、主制御基板271aから出力されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。リングバッファは所定の記憶領域を有しており、その記憶領域の始端から終端に至るまで規則性をもってコマンドが記憶され、全ての記憶領域にコマンドが記憶された場合には、記憶領域の始端に戻りコマンドが更新されるよう構成されている。よって、コマンドが記憶された場合およびコマンドが読み出された場合に、コマンドバッファ513aにおける記憶ポインタおよび読出ポインタが更新され、その各ポインタに基づきコマンドの記憶と読み出しとが行われる。
【0164】
払出制御基板311aのCPU511には、アドレスバスおよびデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板311aの入力側には、主制御基板271a(上述したハーネスHLを介して)、電源及び発射制御基板313a、および裏パック接続基板381が接続されている。また、払出制御基板311aの出力側には、主制御基板271aおよび裏パック接続基板381が接続されている。かかる場合に、裏パック接続基板381を介して払出装置358などを含む払出機構部352が接続されている。
【0165】
電源及び発射制御基板313aは、電源部と発射制御部とを備えている。電源部は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御基板271aや払出制御基板311aなどに対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部は、裏パック接続基板381を介して供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータなどを駆動するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、後記する導通検知用の+5V電源、RAMのデータ記憶保持用電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源およびデータ記憶保持用電源を主制御基板271aや払出制御基板311a、そして導通検出センサ部100などに対して供給する。なお、データ記憶保持用電源を生成するとは、データ記憶保持用コンデンサの充電を行うことをいう。
【0166】
発射制御部は、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従って発射ソレノイド162の発射制御を担うものであり、発射ソレノイド162は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。具体的には、発射制御部には遊技球発射ハンドル18に設けられた発射スイッチ331、タッチセンサ332および止め打ちスイッチ333が接続されており、発射スイッチ331およびタッチセンサ332がオン、止め打ちスイッチ333がオフの状態となった場合に限って発射許可信号を主制御基板271a(電源監視基板271bを介して)に出力する。
また、主制御基板271aから、球詰まりの発生を知らせる信号が入力されると、上記の条件を満たしている場合であっても、発射許可信号を主制御基板271aに出力しないように構成されている。
【0167】
主制御基板271aは、当該発射許可信号の入力に基づいて所定周期の発射制御信号を発射制御部(電源監視基板271bを介して)に出力する。これにより、発射制御部は、発射制御信号の入力周期に従って発射ソレノイド162を駆動する。この場合に、遊技球発射ハンドル18にはハンドル操作量を判定するためのダイヤル可変抵抗器が設けられており、発射制御部はダイヤル可変抵抗器における抵抗値の変化に基づいて発射ソレノイド162による打ち出し速度を決定する。
【0168】
なお、電源部には、RAM消去スイッチ回路が設けられており、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御基板271aのRAM503に記憶されたデータをクリアするためのRAM消去信号を出力する。
即ち、RAM消去スイッチ323が押された際、RAM消去スイッチ回路は主制御基板271aに対してRAM消去信号を出力する。これにより、RAM消去スイッチ323が押された状態でパチンコ機10の電源が投入されると、主制御基板271aにおいてRAM503のデータがクリアされる。また、この際、主制御基板271aから払出制御基板311aに対して払出初期化コマンドが出力され、払出制御基板311aにおいてもRAM513のデータがクリアされる。
【0169】
音声ランプ制御基板272aは、スピーカ20による音声出力や各種電飾部102,103,104および各種ランプ105,106を制御するものであり、さらに表示制御装置214を制御するものである。
表示制御装置214では、音声ランプ制御基板272aの制御に基づいて図柄表示装置41における第1図柄(特別図柄)の変動表示を制御する。
音声ランプ制御基板272aは、CPU、ROMおよびRAMなどを備えており、CPUにはアドレスバスおよびデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。音声ランプ制御基板272aの入力側には中継端子板276に中継されて主制御基板271aが接続されており、主制御基板271aから出力される各種コマンドに基づいて、スピーカ20や表示制御装置214などを制御する。
【0170】
ここで、電源監視基板271bは、上述したように、電源及び発射制御基板313aから出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。かかる場合に、この電源が22ボルト未満になると停電(電源遮断)の発生と判断し、停電信号を主制御基板271aのCPU501に設けられたNMI端子(ノンマスカブル割込端子)へ出力する。これにより、主制御基板271aは、停電の発生を認識してNMI割込み処理を即座に実行し、さらにこれに基づいて停電時処理を実行する。なお、NMI端子とは、割込禁止設定できない割込端子のことをいう。
【0171】
また、主制御基板271aは、停電時処理において、ハーネスHLを介して払出制御基板311aに停電コマンドを出力する。払出制御基板311aはこの停電コマンドに基づいて後述する停電時処理を実行する。即ち、本実施の形態では、払出制御基板311aは、電源監視基板271bから停電信号を入力して停電時処理を実行するのではなく、主制御基板271aから停電コマンドを入力することで停電時処理を実行する。
【0172】
なお、電源及び発射制御基板313aは、直流安定24ボルトの電源が22ボルト未満になった後においても、停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電源である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。
詳細には、電源及び発射制御基板313aには、上述したデータ記憶保持用コンデンサとは異なる停電時処理用コンデンサが設けられており、当該コンデンサからの放電により5ボルト電源が維持されるようになっている。よって、主制御基板271aおよび払出制御基板311aは、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
【0173】
次に、図柄表示装置41の表示内容について、
図34に基づいて説明する。
【0174】
図柄表示装置41には、左・中・右の3つの図柄列が設定されている。各図柄列は、例えば「0」〜「9」の数字を各々付した主図柄と、例えば菱形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。各主図柄および副図柄がそれぞれ第1図柄を構成している。各図柄列では、数字の昇順または降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間に副図柄が配されている。すなわち、各図柄列には、10個の主図柄および10個の副図柄の計20個の第1図柄が備えられている。この場合において、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「高確率図柄」に相当し、当該高確率図柄が揃うことで特別遊技状態たる大当たり状態に突入し、さらにその後、高確率時の状態に移行する。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「低確率図柄」に相当し、当該低確率図柄が揃うことで大当たり状態に移行するが、かかる場合には高確率時の状態には移行しない。
なお、高確率時とは、第1図柄の組み合わせが予め定められた確率変動図柄の組み合わせによって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない時をいう。また、第1特定ランプ部47においては、確変状態となる大当たりのときに赤色が表示され、通常状態となる大当たりのときに緑色が表示される。
【0175】
そして、図柄表示装置41には、各図柄列毎に20個の第1図柄が周期性をもって上から下へとスクロールするように変動表示されるようになっている。特に、左図柄列においては主図柄の数字が降順に現れ、中図柄列および右図柄列においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。図柄表示装置41には、各図柄列毎に上・中・下の3段の第1図柄が表示されるようになっている。従って、図柄表示装置41には、3段×3列の計9個の第1図柄が表示される。また、図柄表示装置41には、5つの有効ライン、すなわち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、左図柄列→右図柄列→中図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示されるようになっている。
【0176】
図33は、実施の形態のパチンコ機10が備える導通検知回路の概略構成図である。
実施の形態のパチンコ機10では、遊技釘(例えば鉄製)と遊技球(例えば鋼製)が導電性を有していることを利用して、互いに離間して配置された釘間で球詰まりが発生したか否かを、釘間が遊技球により導通状態になったか否かに基づいて判定するようになっている。
そのため、パチンコ機10では、上段の道釘A1〜A3およびジャンプ釘J1(電源側釘群G1)を、抵抗を介して+5V電源に接続された第1の信号線750に接続すると共に、下段の道釘B1〜B3(グランド側釘群G2)を、シグナルグランド(SG)に接続された第2の信号線760に接続し、さらに、上段の道釘A1〜A3およびジャンプ釘J1と、下段の道釘B1〜B3とが、これらの間に遊技球が介在することで導通するようにして検知回路(導通検出センサ部100:検知手段)を構成している。
【0177】
この検知回路では、第1の信号線750に供給される電源電圧(+5V)が、導通検知信号としてCPU501に入力される。
そして、CPU501への入力は、電源側釘群G1とグランド側釘群G2とが遊技球により導通していないときには、第1の信号線750に供給されている電圧がそのまま入力され(HIGHレベル)、導通しているときには、第1の信号線750が遊技球と第2の信号線760を介してシグナルグランドSGと接続されることで第1の信号線の電圧値がグランドレベル(0V)となることから、グランドレベル(0V、LOWレベル)が入力される。
すなわち、本実施の形態では、CPU501への入力が、HIGHレベルとLOWレベルの何れであるかに基づいて、電源側釘群G1とグランド側釘群G2との間が遊技球により導通状態になったか否かを判定している。
【0178】
この検知回路では、球詰まりが発生していない場合、すなわち電源側釘群G1とグランド側釘群G2とが遊技球により導通していない場合には、CPU501に入力される検知信号はHIGHレベル(+5V)のままである。一方、球詰まりが発生して、電源側釘群G1とグランド側釘群G2とが遊技球により導通すると、CPU501に入力される検知信号はLOWレベル(グランドレベル)となる。
すなわち、パチンコ機10にあっては、球詰まりが発生していない場合にHIGHレベルの検知信号が、球詰まりが発生している場合(電源側釘群G1とグランド側釘群G2とが導通している場合)にLOWレベルの検知信号がCPU501に入力される。
そのため、実施の形態では、電源側釘群G1とグランド側釘群G2とが導通状態になったときに起こる電圧低下が所定時間継続した場合に、球詰まりが発生したと判定されるようになっている。なお、電圧低下が所定時間継続することを要件としたのは、遊技球による釘間の導通により起こる電圧低下が偶発的・瞬間的に生じた場合までも、球詰まりが発生したと判定することを防止するためである。この所定時間と、球詰まりの発生の有無の判定は、以下のパチンコ機10の動作説明において詳細に説明する。
【0179】
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
【0180】
本実施の形態では、主制御装置271内のCPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選、第1特定ランプ部47の発光色の設定や、図柄表示装置41の図柄表示の設定などを行うこととしている。具体的には、
図35に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置41が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、図柄表示装置41の変動パターン選択に使用する第1変動種別カウンタCS1と、第1特定ランプ部47に表示される色の切り替えを行う期間を決定する第2変動種別カウンタCS2と、左列、中列および右列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。
【0181】
このうち、カウンタC1〜C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、CPU501内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。
各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、作動口33への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2およびリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
【0182】
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタであり(値=0〜676)、タイマ割込み毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。
大当たり乱数カウンタC1は、定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「337,673」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は10で、その値は「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」である。
【0183】
大当たり種別カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。そして、本実施の形態では、大当たり種別カウンタC2によって、大当たりが終了した後に、確変状態とするか通常状態とするかを決定することとしており、例えば、C2=0〜24が確変状態となる大当たりに該当し、C2=25〜49が通常状態となる大当たりに該当する。
なお、大当たり種別カウンタC2により、図柄表示装置41の変動停止時の図柄の組合せおよび当該図柄の組合せを停止させる位置も決定される。
即ち、本実施の形態では、図柄表示装置41において有効ラインが5ラインであり、特定図柄(主図柄)が10通り設定されていることから、50個のカウンタ値によって全てのパターンが設定されていることとなる。そして、C2=0〜24のとき、即ち、確変状態となる大当たりのときには、奇数番号の図柄の組合せと当該図柄の組合わせを停止させる位置が決定される。一方、C2=25〜49のとき、即ち、通常状態となる大当たりのときには、偶数番号の図柄の組合せと当該図柄の組合わせを停止させる位置が決定される。大当たり種別カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
【0184】
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしており、例えば、C3=0,1が前後外れリーチに該当し、C3=2〜21が前後外れ以外リーチに該当し、C3=22〜238が完全外れに該当する。
なお、リーチの抽選は、図柄表示装置41の抽選確率の状態や変動開始時の作動保留球数などに応じて各々個別に設定されるものであっても良い。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
【0185】
第1変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、第2変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。
第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチなど、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様といった図柄表示装置41の表示態様が決定される。第2変動種別カウンタCS2によって、第1特定ランプ部47に表示される色の切り替えを行う期間としての切替表示時間が決定される。
また、この切替表示時間は、図柄表示装置41の図柄の変動時間に相当する。従って、当該第2変動種別カウンタCS2によって、図柄表示装置41においてリーチが発生した後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様も決定されることとなる。つまり、図柄表示装置41に関しては、これらの両変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。両変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1特定ランプ部47に表示される色の切り替え開始時および図柄表示装置41による第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して両変動種別カウンタCS1,CS2のバッファ値が取得される。
【0186】
左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が外れとなった時に左列第1図柄、中列第1図柄、右列第1図柄の外れ停止図柄を決定するためのものであり、各列では主図柄および副図柄の合わせて20の第1図柄の何れかが表示されることから、各々に20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。
外れ図柄カウンタCLにより左図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCMにより中図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCRにより右図柄列の上・中・下段の各図柄が決定される。
【0187】
本実施の形態では、CPU501に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する構成としている。すなわち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に20減算されて今回値が決定される。
各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファおよび完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。
そして、第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて、前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファおよび完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
【0188】
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。
ただし、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3、変動種別カウンタCS1,CS2の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
また、図示は省略するが、第2特定ランプ部48の抽選には第2特定ランプ乱数カウンタC4が用いられる。第2図柄乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。
第2特定ランプカウンタC4は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が左右何れかのスルーゲート34を通過したことが検知された時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」である。
【0189】
次いで、主制御基板271aのCPU501により実行される各制御処理を、
図36〜
図45のフローチャートやタイムチャートを参照しながら説明する。
かかるCPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがある。説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
【0190】
図36は、NMI割込み処理であり、当該処理は、停電の発生などによるパチンコ機10の電源遮断時に実行される。すなわち、停電の発生などによりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が電源監視基板271bからCPU501のNMI端子に出力され、CPU501は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。
NMI割込み処理では、ステップS101にてRAM503に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグをセットし、本処理を終了する。その後、後述する通常処理にて停電フラグがセットされていることが確認されることで、停電時処理が実行される。当該処理については、後に詳細に説明する。
【0191】
次に、主制御基板271aのCPU501により例えば2msec毎に実行されるタイマ割込み処理について、
図37のフローチャートを用いて説明する。
【0192】
先ずステップS201では、各種入賞スイッチや払出制御基板311aなどからの信号読み込み処理を実行する。すなわち、主制御基板271aに接続されている各種スイッチの状態や払出制御基板311aなどからの信号を読み込むと共に、当該スイッチや信号の状態を判定して検出情報を保存する(但し、RAM消去スイッチ323の状態や停電信号を除く)。
この場合に、電源及び発射制御基板313aを中継して出力される満杯検知センサ77からの検知信号は、本処理において読み込まれ、その検出情報が保存される。なお、検出情報の保存は、RAM503内に設定された各検出情報に対応するフラグ格納エリアにフラグをセットすることにより行われる。
【0193】
その後、ステップS202では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。
具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
続くステップS203では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2およびリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する。
具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2およびリーチ乱数カウンタC3をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、676,49,238)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
【0194】
その後、ステップS204にて始動入賞処理を実行した後に、本処理を終了する。
ここで、この始動入賞処理を
図38のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS301では、遊技球が作動口33に入賞(始動入賞)したか否かを作動口スイッチ224の検出情報により判定する。遊技球が作動口33に入賞したと判定されると、続くステップS302では、第1特定ランプ部47および図柄表示装置41の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。
作動口33への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であることを条件にステップS303に進み、作動保留球数Nを1インクリメントする。続くステップS304では、前記ステップS203で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2およびリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM503の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。そして、始動入賞処理の後、CPU501は本タイマ割込み処理を一旦終了する。
【0195】
なお、遊技球が作動口33に入賞(始動入賞)した場合、それに伴い図柄表示装置41による第1図柄の変動表示が開始されることとなるが、始動入賞後、第1図柄が変動し図柄停止に至るまでには所定時間(例えば5秒)が経過していなければならないという制約がある。
そこで、上記始動入賞処理では、始動入賞が確認された場合、各カウンタ値の格納処理(ステップS304)の後に、始動入賞後の経過時間を計るためのタイマをセットすることとしている。具体的には、上記始動入賞処理は2msec周期で実行されるため、例えば5秒の経過時間を計測するにはタイマに数値「2500」をセットし、始動入賞処理の都度、タイマ値を1ずつ減算する。このタイマ値は、その時々の各カウンタC1〜C3の値と共に、RAM503の保留球格納エリアに格納され管理される。そして、後述する第1図柄の変動パターン設定に際しては、上記タイマ値が参照され、残り時間に応じて(所定時間経過後に図柄変動が停止されるよう)変動パターンが設定されるようになっている。
【0196】
次に、電源投入時のリセットに伴い起動されるメイン処理について、
図39のフローチャートを用いて説明する。
【0197】
先ずステップS401では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、従側の制御基板(払出制御基板311aなど)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。続くステップS402では、RAM503のアクセスを許可する。
【0198】
その後、ステップS403では、電源及び発射制御装置313に設けたRAM消去スイッチ323がオンされているか否かを判定し、続くステップS404ではRAM503の停電フラグ格納エリアに停電フラグがセットされているか否かを判定する。
また、ステップS405ではRAM判定値を算出し、続くステップS406では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
【0199】
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323が押されていれば、ステップS409〜S411の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値など)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS409〜S411の処理に移行する。
【0200】
ステップS409では、従側の制御基板となる払出制御基板311a(および表示制御基板214aなど)を初期化するために、払出初期化コマンド(および表示初期化コマンドなど)を出力する。続くステップS410ではRAM503の使用領域を0にクリアし、ステップS411ではRAM503の初期化処理を実行する。その後、ステップS412にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
【0201】
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、停電フラグがセットされていること、およびRAM判定値(チェックサム値など)が正常であることを条件に、ステップS407にて停電フラグ格納エリアに格納されている停電フラグをクリアする。その後、ステップS408にて従側の制御基板(払出制御基板311aおよび表示制御基板214aなど)を電源遮断前の遊技状態に復帰させるための復電コマンドを出力する。その後、ステップS412にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。これにより、電源遮断前の状態に復帰する。
【0202】
次に、通常処理について、
図40のフローチャートを用いて説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS501〜S510の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS512,S513のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
【0203】
通常処理において、ステップS501では、前回の処理で更新されたコマンドなどの出力データを従側の各制御基板に出力する。具体的には、後述するコマンド設定処理にてセットされたコマンドを表示制御基板214aや払出制御基板311aに対して出力する。
また、図柄表示装置41による第1図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動態様コマンドなどを表示制御基板214aに出力する。なお、第1図柄の変動開始後において、変動態様コマンド→左図柄列の停止図柄コマンド→中図柄列の停止図柄コマンド→右図柄列の停止図柄コマンドの順で通常処理の都度1つずつ(すなわち、4msec毎に1つずつ)コマンドが出力されるようになっている。
かかる場合に、RAM503に不必要なコマンドを記憶しておくと容量を越えてしまうため、各コマンドは出力されたタイミングでRAM503から消去される。なお、主制御基板271aのRAM503にリングバッファから構成されるコマンドバッファを設定し、該コマンド付バッファの記憶ポインタおよび出力ポインタを適宜更新することで、コマンドのセットおよびコマンドの出力を行う構成としてもよい。
【0204】
次に、ステップS502では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、両変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。
そして、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。続くステップS503では、左図柄列、中図柄列および右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する。
【0205】
外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理では、左・中・右図柄列のいずれかの更新時期か否かを判定し、更新時期となった図柄列の外れ図柄カウンタCL,CM,CRを更新する。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、重複することなく1回の通常処理で1つずつ順に更新され、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新されるようになっている。そして、更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、前後外れリーチとなる外れリーチ図柄の組合せである場合、前後外れ以外リーチ図柄の組合せである場合、リーチとならない完全外れ図柄の組合せである場合には、その組合せがそれぞれに対応したバッファ内に格納される。なお、更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合せが大当たり図柄の組合せである場合には、そのまま更新処理を終了する。
【0206】
外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理の後は、ステップS504にて第1特定ランプ部47に表示される色の切り替えを行うための第1特定ランプ部制御処理を実行する。第1特定ランプ部制御処理では、大当たり判定や第1特定ランプ部47に配設されたLEDランプの光源スイッチのオンオフ制御などが行われる。また、第1特定ランプ部制御処理において、図柄表示装置41による第1図柄の変動表示の設定も行われる。
【0207】
具体的には、大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判定し、さらに大当たり種別カウンタC2の値に基づいて大当たりの種類を決定する(いわゆる、確変大当たりか否かを決定する)。なお、この際、第1図柄における大当たり図柄の種類および大当たり図柄の組合せの停止ラインも決定し、停止図柄コマンドとして設定する。また、大当たりが発生しないと判定された場合には、リーチ乱数カウンタC3の値に基づいて第1図柄における外れ図柄の組合せの態様を決定する。かかる場合に、上記外れ図柄カウンタ更新処理にて更新されバッファ内に格納された図柄の組合せを停止図柄コマンドとして設定する。さらに、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいて、第1特定ランプ部47に表示される色の切替表示時間、および第1図柄の変動表示時間を決定する。さらに、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいて第1図柄におけるリーチ種別やその大まかな図柄変動態様を決定し、変動態様コマンドとして設定する。なお、当該第1特定ランプ部制御処理にて第1特定ランプ部47のオンオフ制御が開始される毎に作動保留球数Nが1減算され、作動保留球数Nが0の場合にはオンオフ制御が開始されない。
【0208】
第1特定ランプ部制御処理の後は、ステップS505にて大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大当たり状態である場合において可変入賞装置32の大入賞口を開放または閉鎖する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、または大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。このとき、遊技球が特定領域を通過したことを条件に大入賞口の連続開放を許容し、これを所定ラウンド数繰り返し実行する。
【0209】
その後、ステップS506では、第2特定ランプ部48に表示される色の切り替え処理を行うための第2特定ランプ部制御処理を実行する。
簡単に説明すると、遊技球がスルーゲート34を通過したことを条件に、その都度の第2特定ランプカウンタC4の値が取得されると共に第2特定ランプ部48に表示される色の切り替え処理が実施される。そして、第2特定ランプ乱数カウンタC4の値により表示される色の抽選が実施され、赤色が選択されると、作動口33に付随する電動役物が所定時間開放される。なお説明は省略したが、第2特定ランプカウンタC4も、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2およびリーチ乱数カウンタC3と同様に、
図37に示すタイマ割込み処理により更新されるようになっている。
【0210】
ステップS506の後は、ステップS507において後記する釘間導通確認処理を実行し、ステップS508にてコマンド設定処理を実行し、ステップS509にて遊技球発射制御処理を実行する。
遊技球発射制御処理の後はステップS510にて、RAM503内に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグがセットされているか否かを判定する。停電フラグがセットされていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS511にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判定する。
そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINIおよび両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(ステップS511,S512)。つまり、ステップS512では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。
そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。また、ステップS513では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、両変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
【0211】
ここで、ステップS501〜S509の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。
故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に両変動種別カウンタCS1,CS2についてもランダムに更新することができる。
【0212】
一方、ステップS510にて、停電フラグがセットされていると判定した場合は、停電により電源が遮断されたことになるので、ステップS514以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS514では、各割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS515にて電源が遮断されたことを示す停電コマンドを他の制御基板(払出制御基板311aや表示制御基板214aなど)に対して出力する。
そして、ステップS516にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS517にてRAM503のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源及び発射制御基板313aからRAMのデータ記憶保持用電源が供給されるため、電源遮断前にRAM503に記憶されていた情報はそのままの状態で所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
【0213】
ステップS507の釘間導通確認処理を説明する。
図41は、釘間導通確認処理の一態様を説明するフローチャートである。
図41に示すように、釘間導通確認処理では、ステップS601において、導通検出センサ部100での導通が検知されたか否かを確認する。
【0214】
前記したように、実施の形態のパチンコ機10では、電源及び発射制御基板313aからの+5V電源電圧が、電源側釘群G1(道釘A1〜A3およびジャンプ釘J1)側に常時供給されると共に、CPU501に検知信号として入力されている(
図33参照)。
そして、電源側釘群G1(道釘A1〜A3およびジャンプ釘J1)とグランド側釘群G2(道釘B1〜B3)との間で
図6の(a)に示すような球詰まりが発生していないときには、CPU501への検知信号の入力は+5VであるHIGHレベルである。
図6の(a)に示すような球詰まりが発生すると、電源側釘群G1とグランド側釘群G2とが遊技球を介して導通状態になる。この際、グランド側釘群G2が接続第2の信号線760を介してシグナルグランドSGに接続されているので、導通状態となることにより、CPU501への検知信号の入力がLOWレベルに変化する。
【0215】
そのため、ステップS601では、CPU501への入力がグランドレベル(0V)であるLOWレベルになった場合に、導通が検知されたと判定される。
【0216】
ステップS601において導通が検知された場合、ステップS602において、判定カウンタの値に「1」が加算される。
ここで、判定カウンタは、球詰まりが発生したか否かを判定するために導通が検知されている時間を計数するカウンタである。
【0217】
ステップS602で判定カウンタの値に「1」が加算されると、ステップS603において、導通が検知されている時間(検知時間)が4秒に達したか否かが、判定カウンタの値に基づいて確認される。
実施の形態の通常処理(
図40参照)では、釘間導通確認処理(S507)が、4msec毎に実行されるようになっている。そのため、このステップS603では、判定カウンタの値が1000(4秒=4msec×1000)であるか否かが確認され、判定カウンタの値が1000である場合に、球詰まりが検知されている時間が4秒に達したと判定される。
【0218】
ステップS603の判定が肯定されると、ステップS604において、球詰まりが発生したことを示すために導通フラグがセットされたのち、ステップS605において、異常外部出力コマンドがセットされる。
ここで、異常外部出力コマンドは、パチンコ機10において球詰まりの異常が発生したことを示す信号を、パチンコ機10の外部(例えばホールコンピュータ)出力させる命令である。
【0219】
これにより、この異常外部出力コマンドがセットされると、実施の形態のパチンコ機10では、現在実行中の釘間導通確認処理が終了したのちに実行される外部出力処理(
図40、ステップS501)において、球詰まりの異常が発生したことを示す信号が、例えばホールコンピュータ(図示せず)に出力される。
このように外部の管理装置であるホールコンピュータに異常発生の信号を出力することで、ホール管理者がどのパチンコ機(遊技機)で異常が発生したかを迅速に知ることができ、さらにはそのホール管理者からの指示によって、ホール側での球詰まりに対する迅速な対応が可能になる。
【0220】
続くステップS606では、異常報知コマンドがセットされる。
ここで、異常報知コマンドは、パチンコ機10側で、球詰まりの異常が発生したことを報知させる命令である。
よって、実施の形態のパチンコ機10では、この異常報知コマンドがセットされると、例えばスピーカ20から異常を報知する音声信号を出力させる指令が、中継端子板276を介して音声ランプ制御装置272に出力されることになる。これにより、スピーカ20から球詰まりの発生を知らせる音声信号が出力されて、パチンコ機10で遊戯中である遊技者のみならず、その周囲に球詰まりの発生が報知されることになる。
【0221】
このステップS606の処理が終了すると、または前記したステップ603において球詰まりが検知されている時間が4秒に達していないと判定された場合には、釘間導通確認処理は、終了することになる。
【0222】
一方、前記したステップS601において、導通が検知されなかった場合(ステップS601においてNo)、ステップS607において、判定カウンタの値が「0」であるか否かが確認される。
前回の釘間導通確認処理に引き続いて導通が検知されなかったのか、それとも前回の釘間導通確認処理では導通が検知されていたが、今回の釘間導通確認処理において導通が検知されなくなったのか、を区別するためである。
【0223】
前記したように、釘間導通確認処理において導通が検知されると、判定カウンタの値が「0」以外の値がセットされる(ステップS602)。
よって、判定カウンタの値が「0」である場合には、前回の釘間導通確認処理に引き続いて導通が確認されなかったことを意味する。かかる場合には、ステップS608以降の処理を実行せずに、釘間導通確認処理を終了する。
【0224】
一方、判定カウンタの値が「0」でない場合(ステップS607においてNo)は、前回の釘間導通確認処理において導通が確認されていたことを意味する。この場合には、次回以降の釘間導通確認処理において導通が確認されたときに、その導通時間を再度計数できるようにするために、判定カウンタの値がゼロクリアされる。
【0225】
続くステップS609では、導通フラグがセットされているか否かが確認される。
前記したように導通フラグは、導通時間が4秒以上であった場合にセットされ(ステップS603、S604)、導通フラグがセットされると、異常報知のための措置が実行される(ステップS605、S606)
例えば、異常報知を受けて球詰まりが解消された後に最初に実行される釘間導通確認処理では、導通が検知されないものの(ステップS601においてNo)、導通フラグはセットされたままの状態である(ステップS609においてYes)。
【0226】
よって、導通フラグがセットされている場合には、ステップS610において導通フラグがクリアされたのち、本処理を終了する。
一方、導通フラグがセットされていない場合、前回の釘間導通確認処理までに確認されていた導通時間が、4秒未満であったことになる。かかる場合には、導通フラグがセットされていないのでステップS610の処理を実行せずに、釘間導通確認処理を終了することになる。
【0227】
このように、釘間導通確認処理では、導通時間が所定時間(実施の形態では4秒以上)になると、球詰まりが発生したと判定されて、球詰まりの異常が発生したことを報知するためのコマンドがセットされる(ステップS605、S606)。一方、導通時間が所定時間未満(4秒未満)である場合には、球詰まりが発生していないと判定される。
これは、遊技球が偶発的・瞬間的に釘間に引っかかり、この引っかかりが、例えば後続の遊技球との衝突により解消した場合のように、電源側釘群G1とグランド側釘群G2とが、短時間だけ遊技球を介して偶発的・瞬間的に導通状態になった場合を、球詰まりが発生したと判定しないようにするためである。
【0228】
実施の形態のパチンコ機では、球詰まりが発生すると、球詰まりが発生したことを示す信号を外部出力してホールコンピュータ側に知らせると共に、球詰まりの発生を知らせるための報知処理がパチンコ機において実行され、さらに遊技球の発射を停止させるようになっている。
そのため、偶発的・瞬間的な短時間の導通状態が球詰まりであると判定されてしまうと、ホール内の担当者が、球詰まりの発生を実際に確認する作業や、球詰まりが発生していなかった場合の報知処理の停止作業などを頻繁に行う必要が生じ、さらに、遊技球の発射ができなくなると遊技の進行が妨げられるので、遊技者の遊技に対する興趣が損なわれてしまう。
実施の形態では、このようなことが起こらないようにするために、導通が確認されてすぐ球詰まりが発生したと判定するのではなく、導通状態が所定時間継続したときに球詰まりが発生したと判定して、上記のような問題が顕著に起こらないようにしている。
【0229】
釘間導通確認処理が終了すると、通常処理(
図40参照)における次の処理、すなわちステップS508のコマンド設定処理が実行されることになる。
【0230】
ここで、ステップS508のコマンド設定処理を、
図42を用いて説明する。
【0231】
コマンド設定処理では、先ずステップS701にてRAM503の払出異常フラグ格納エリアに払出異常フラグがセットされているか否かを判定する。
払出異常フラグは、払出制御基板311aから異常信号を入力することによりセットされるフラグである。なお、異常信号は、払出機構部352に関して異常が発生した場合などに出力される。
払出異常フラグがセットされていない場合には、そのままステップS703に進む。一方、払出異常フラグがセットされていた場合には、ステップS702にてエラーコマンドをセットする。
エラーコマンドは上述した外部出力処理にて音声ランプ制御基板272aに向けて出力され、これにより音声ランプ制御基板272aはエラー表示ランプ106を所定の態様で点滅させる。なお、当該エラーコマンドをセットした際に払出異常フラグを消去する。
【0232】
その後、ステップS703では、RAM503の入賞フラグ格納エリアに入賞フラグがセットされているか否かを判定する。
入賞フラグは、一般入賞口31、可変入賞装置32または作動口33のいずれかに遊技球が入賞することによりセットされるフラグである。
但し、当該入賞フラグは、一般入賞口31、可変入賞装置32および作動口33のそれぞれに対応して設定されている。入賞した箇所に応じて賞球数が異なるからである。
入賞フラグがセットされている場合には、入賞フラグの種類に対応した賞球コマンドをセットする。
賞球コマンドは上述した外部出力処理にて払出制御基板311aに向けて出力する。払出制御基板311aは当該賞球コマンドに基づいて遊技球の払出を制御する。なお、賞球コマンドをセットした際に、入賞フラグをクリアする。
【0233】
コマンド設定処理を終了すると、通常処理(
図40)における次の処理、すなわちステップS509の遊技球発射制御処理が実行されることになる。
【0234】
ここで、ステップS509における遊技球発射制御処理について
図43を用いて説明する。
【0235】
遊技球発射制御処理では、ステップS801において、RAM503の所定のフラグ格納エリアに導通フラグがセットされているか否かを判定する。導通フラグがセットされている場合、すなわち前記した釘間導通確認処理(
図40のS507)において球詰まりが発生していると判定されている場合には、遊技球発射制御処理を終了する。
よって、かかる場合には、遊技球の発射に関わるステップS802以降の処理が実行されないことになるので、球詰まりが発生している状況のもとで遊技を進行できないことになる。そのため、不正行為により球詰まりを発生させて遊技球が入賞口に入球しやすい状態を作り出しても、かかる状態で遊技が続行されてしまうことを好適に防止できる。
【0236】
また、遊技球が発射されないので、最初に球詰まりが発生している部分の近傍に遊技球が順次供給されて、球詰まりが発生している範囲が拡大することを好適に防止できる。
球詰まりが発生している範囲が拡大すると、球詰まりを解消するべく前面扉13を開けたときに、球詰まりを構成している遊技球の多くが手前側に落下してくるおそれがあり、その後の遊技球の処理が煩雑となる。
実施の形態では、遊技球が発射されず、球詰まりが発生している範囲が大きくならないので、上記のような問題を生ずることがない。すなわち、球詰まりを起こしている遊技球の処理が煩雑になることを好適に防止できる。
【0237】
一方、ステップS801において導通フラグがセットされていない場合には、ステップS802において、RAM503の発射許可フラグ格納エリアに発射許可フラグがセットされているか否かを判定する。
前記したように、発射許可フラグは、電源及び発射制御基板313aから発射許可信号が出力されることによりセットされるフラグである。
発射許可フラグがセットされている場合には、ステップS803にて電源及び発射制御基板313aに発射制御信号を出力し、発射許可フラグがセットされていない場合には、発射制御信号を出力することなく本処理を終了する。
【0238】
次に、払出制御基板311aのCPU511により実行される各制御処理を
図44〜
図47のフローチャートを参照しながら説明する。
かかるCPU511の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、主制御基板271aから出力されるコマンドの入力により起動される入力時割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめに入力時割込み処理とを説明し、その後、メイン処理及びタイマ割込み処理を説明する。
【0239】
入力時割込み処理では、
図44に示すように、先ずステップS901にて主制御基板271aから出力されたコマンドをRAM513のコマンドバッファ513aに記憶し、その後、ステップS902にてRAM513のコマンド入力フラグ格納エリアにコマンド入力フラグをセットし、本処理を終了する。
上述したように、コマンドがコマンドバッファ513aに記憶される場合には、記憶ポインタが参照されて所定の記憶領域に記憶されると共に、次に入力したコマンドを次の記憶領域に記憶させるために記憶ポインタが更新される。
【0240】
次に、払出制御基板311aのCPU511に実行されるメイン処理を、
図45のフローチャートを用いて説明する。このメイン処理は、電源投入時のリセットに伴い起動される。
【0241】
まず、ステップS1001では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、割込みモードを設定する。そして、ステップS1002に進んでRAMアクセスを許可すると共に、ステップS1003で外部割込みベクタの設定を行う。
【0242】
その後、ステップS1004では、RAM513の停電フラグ格納バッファに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS1005ではRAM判定値を算出し、続くステップS1006では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
【0243】
停電フラグが格納されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合はRAM513の初期化処理(ステップS1011〜S1013)に移行する。つまり、ステップS1011ではRAM513の全領域を0にクリアし、続くステップS1012ではRAM513の初期化処理を実行する。また、ステップS1013ではCPU周辺デバイスの初期設定を行う。
【0244】
一方、停電フラグが格納されており、さらにRAM判定値(チェックサム値等)が正常である場合は、復電時の処理(停電による電源遮断後の復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS1007にて停電フラグをクリアすると共に、ステップS1008にて賞球の払出を許可する払出許可フラグをクリアする。また、ステップS1009ではCPU周辺デバイスの初期設定を行う。なお、RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。
【0245】
ステップS1009又はステップS1013の処理の後は、ステップS1010にて割込みを許可し、ステップS1014にてRAM513の停電フラグ格納エリアに停電フラグがセットされているか否かを判定し、停電フラグがセットされていなければ、停電フラグがセットされるまで待機する。
【0246】
一方、停電フラグがセットされている場合には、停電が発生したことになるので、停電時処理としてステップS1015移行の処理を実行する。停電時処理で は、先ずステップS1015にて各割込み処理の発生を禁止する。その後、ステップS1016にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS1017にてRAM513のアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源及び 発射制御基板313aからRAM513のデータ記憶保持用電源が供給されるため、電源遮断前にRAM513に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
【0247】
ここで、本メイン処理では、ステップS1001〜ステップS1013の通常時における一連の処理の終了後に、停電フラグがセットされているか否か(電源遮断が発生したか否か)を判定しているので、各処理の途中の状態で停電時処理が実行されることがない。
これにより、電源遮断発生時においてRAM513に記憶するデータ量を極力少なくすることができ、さらには電源遮断前の状態に復帰する場合には、処理の途中から開始する必要はなく、払出制御基板311aの処理の負担を軽減することができる。
【0248】
次に、払出制御基板311aのCPU511により例えば2msec毎に実行されるタイマ割込み処理について、
図46のフローチャートを用いて説明する。
【0249】
先ずステップS1101では、主制御基板271aのCPU501から入力したコマンドの判定を行うコマンド判定処理を実行する。このコマンド判定処理では、
図47に示すように、ステップS1201にて、RAM513のコマンド入力フラグ格納エリアにコマンド入力フラグがセットされているか否かを判定する。コマンド入力フラグがセットされていない場合は、新たなコマンドが主制御基板271aのCPU501から出力されていないので、そのまま本処理を終了する。一方、コマンド入力フラグがセットされていた場合は、ステップS1202にてコマンド読出し処理を実行する。コマンド読出し処理では、入力したコマンドをRAM513のコマンドバッファから読出し、さらにコマンド入力フラグをクリアする。
【0250】
その後、読み出されたコマンドの種類を、ステップS1203、ステップS1205、ステップS1210およびステップS1211の各処理にて判定し、各コマンドに対応した処理を実行する。つまり、ステップS1203では、停電コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、ステップS1204にてRAM513の停電フラグ格納バッファに停電フラグをセットして、本処理を終了する。この停電フラグがセットされていることにより、上述した停電時処理が実行される。
【0251】
ステップS1205では、払出初期化コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、電源投入時に主制御基板271aのCPU501からRAM513の初期化が指示されていることになるので、ステップS1206〜ステップS1209の処理を実行した後に本処理を終了する。ステップS1206では、RAM513に設けられた払出許可フラグ格納エリアに払出許可フラグがセットされているか否かを判定し、当該フラグがセットされていない場合は、ステップS1207にてRAM513の作業領域を0にクリアし、さらにステップS1208にてRAM513の初期値を設定する。その後、ステップS1209にて払出許可フラグをセットすることで、賞球の払出が許可される。
【0252】
なお、ステップS1206において払出許可フラグがセットされている場合は、ステップS1207およびステップS1208の処理を行うことなく本処理を終了する。かかる構成とすることにより、RAM消去スイッチ144aが押されていないにも関わらずノイズなどの原因で払出初期化コマンドの入力を認識したとしても、その際に残っている賞球が遊技者に払い出されることなく消去されることを防止できる。
【0253】
ステップS1210では、復電コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、払出制御基板311aが停電による電源遮断の前の状態に復帰するので、ステップS1209にて払出許可フラグをセットした後に本処理を終了する。かかる構成とすることにより、電源遮断前に賞球が残っていた場合に当該賞球を即座に払い出すことができる。
【0254】
ステップS1211では、賞球コマンドである否かを判定し、当該コマンドである場合には、ステップS1212にて賞球コマンドに対応した賞球個数を総賞球個数に加算した後に、ステップS1209にて払出許可フラグをセットし本処理を終了する。
【0255】
タイマ割込み処理(
図46)の説明に戻り、コマンド判定処理を実行した後は、ステップS1102にて払出許可フラグがセットされているか否かを判定する。払出許可フラグがセットされていない場合は、そのまま本処理を終了する。一方、払出許可フラグがセットされている場合は、ステップS1103にて状態復帰スイッチ143aをチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。
【0256】
また、ステップS1104では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。すなわち、球無検知センサ200の検知結果によりタンクの球無状態を判定し、球無状態であると判定した場合には球無状態の設定を実行し、球無状態でなくなった場合には球無状態の設定を解除する。
かかる場合に、タンク球無し状態の設定に際し、主制御基板271aに対して異常信号を出力する。
【0257】
ステップS1104の後は、ステップS1105にて、報知する状態の有無を判定し、報知する状態が有る場合には払出制御装置311に設けた7セグメントLEDにより報知する。
【0258】
ステップS1106〜S1108では、賞球払出の処理を実行する。
始めに、ステップS1106において、賞球の払出不可状態であるか否かを判定する。賞球の払出不可状態である場合にはRAM513に賞球数の情報が記憶されているか否かに関係なく、賞球払出の処理を終了する。この場合、図示は省略するが、払出モータ377の駆動制御が行われている場合にはその駆動制御を停止させ遊技球の払出を停止させる。
【0259】
賞球の払出不許可状態でない場合(ステップS1106においてNo)、ステップS1107にてRAM513に賞球数の情報が記憶されているか否かを判定する。賞球数の情報が記憶されている場合には、ステップS1108に進み、賞球制御処理を開始する。
【0260】
賞球制御処理では、払出装置358を駆動制御の開始又は払出速度の設定を実行する。賞球数の情報が記憶されていない場合には、賞球の払出処理を終了する。この場合、図示は省略するが、払出モータ377の駆動制御が行われている場合にはその駆動制御を停止させ遊技球の払出を停止させる。
【0261】
賞球の払出処理を終了した後は、ステップS1109〜S1111の貸球払出の処理に移行する。貸球払出の処理において、貸球の払出不可状態でなく且つ貸球払出要求を入力していれば(ステップS1109がNO、S1110がYES)、ステップS1111に進み、貸球制御処理を開始する。貸球制御処理では、払出装置358を駆動制御し、貸球払出要求に対応した数の遊技球を払い出す。また、貸球の払出不可状態又は貸球払出要求を入力していなければ(ステップS1109がYES又はS1110がNO)、ステップS1112に進む。
【0262】
なお、ステップS1108及びS1111においては、払出装置358の払出モータ377の停止時に、球誘導板376の外周部のうち凹部376aを除いた部分が払出装置358の入口側の遊技球通路373によって誘導される遊技球の落下位置に位置するように払出モータ377を駆動制御する。
これにより、払出装置358内に待機している遊技球のうち球誘導板376に当接している遊技球は、球誘導板376の外周部のうち凹部376aを除いた部位によって下側から支持されることとなる。
【0263】
ステップS1112では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ377を駆動させて、球抜き処理を実行する。
【0264】
ステップS1113では、球詰まり状態であることを条件にタンク355に設けられたバイブレータの制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本タイマ割込み処理を終了する。
【0265】
以上の通り、実施の形態では、遊技盤30に植設された電源側釘群G1とグランド側釘群G2との間を遊技球により導通可能に構成した導通検出センサ部100と、導通検出センサ部100の電源側釘群G1に電源電圧を供給する第1の信号線750と、導通検出センサ部100のグランド側釘群G2を、シグナルグランド(SG)に接続する第2の信号線760とを備えて、導通検知回路を形成し、CPU501が、電源電圧をモニタして、電圧値の低下の有無に基づいて、電源側釘群G1とグランド側釘群G2との間の導通有無を確認し、導通状態が所定時間継続した場合に、電源側釘群G1とグランド側釘群G2との間で釘詰まりが発生したと判定する構成とした。
【0266】
これにより、電源側釘群G1とグランド側釘群G2との間での球詰まりの発生の有無が、導通の有無に基づいて迅速に判定できるので、球詰まりが発生したと判定された場合に迅速な対応が可能になる。
また、導通状態が所定時間継続した場合に球詰まりが発生したと判定するため、電源側釘群G1とグランド側釘群G2とが、短時間だけ遊技球を介して偶発的に導通状態になった場合に、球詰まりが発生したと判定されることがない。
よって、偶発的な短時間の導通状態が球詰まりであると判定されてしまった場合に起こる問題、すなわち、ホール内の担当者が、球詰まりの発生を実際に確認する作業や、球詰まりが発生していなかった場合の報知処理の停止作業などを頻繁に行う必要が生じることを好適に防止できる。
【0267】
遊技盤30の裏面には、電源側釘群G1とグランド側釘群G2の各釘の先端側を露出させる凹穴部700、710が設けられている構成とした。
【0268】
これにより、第1の信号線750と第2の信号線760が接続される釘の長さを他の釘よりも長くして、遊技盤30の裏面側に露出させる必要がない。すなわち、既存の釘をそのまま用いることができるので、既存の釘打ち機をそのまま使用して、遊技盤を製造できる。
【0269】
第1の信号線750と第2の信号線760は、それぞれ導電性材料からなる金属板800、810を介して、電源側釘群G1とグランド側釘群G2の各釘に一括して接続される構成とした。
【0270】
これにより、接続線が接続される釘が複数であっても、複数の釘と接続線との接続を容易に行える。
【0271】
さらに、球詰まりが発生したと判定されると、球詰まりが発生したことを示すために導通フラグがセットされたのちに異常外部出力コマンドがセットされて、パチンコ機10において球詰まりの異常が発生したことを示す信号が、パチンコ機10の外部(例えばホールコンピュータ)に出力される構成としたので、ホール側での球詰まりに対する迅速な対応が可能になる(
図41、ステップS605)。
【0272】
また球詰まりが発生したと判定されると、球詰まりの異常が発生したことを報知するために異常報知コマンドがセットされて、スピーカ20から球詰まりの発生を知らせる音声信号が出力されるようにしたので、パチンコ機10で遊戯中である遊技者のみならず、その周囲に球詰まりの発生が報知されることになる(
図41、ステップS606)。
【0273】
前記した実施の形態では、遊技盤の入賞口近くの釘間で発生した球詰まりを検知する場合を例に挙げて説明をした。
しかし、球詰まりは、釘が植設された遊技盤全体にわたって発生する場合があるため、その検知は、入賞口の近くの釘間のみで検知するのではなく、遊技盤の遊技領域の全体に亘って検知できるようにしても良い。
【0274】
図48は、金属板の当接片の変形例を説明する図であり、(a)は、金属板810’の斜視図、(b)は、(a)おける面F2で金属板810’を切断した断面図であり、(c)は、(a)における面F3で金属板810’を切断した断面図である。
【0275】
変形例にかかる金属板810’では、釘が当接する当接片812’に、釘の外周に整合する形状の凹部814が設けられており、金属板810’を遊技盤30に取り付けたときに、当接片812’と対応する釘との接触面積が、金属板800、810の当接片802、812(
図8、9参照)の場合よりも、広くなるようにされている。
【0276】
図48に示すように、金属板810’の各当接片812’もまた、前記した当接片802、812と同様に、本体部811の一部を切り欠いて、同一方向に折り曲げることにより形成されている。
各当接片812’は、本体部811に直交する方向に延びる基部812’aと、釘の先端側の周縁に当接する当接部812’bを備えており、当接部812’bは、その長手方向における中央部分が、釘側に膨出しており、断面視において曲面形状を成している。
【0277】
この当接部812’bの、釘側に膨出し部分には、金属板810’を遊技盤30に取り付けたときに、釘(
図48の(b)、(c)の場合はB3)の外周に当接する凹部814が設けられている。
凹部814は、当接片812’の長手方向に沿って、釘の外周に整合する形状で形成されており、、金属板810’が遊技盤30に取り付けられると、釘との対向面の全面が釘の外周に当接するようになっている。
【0278】
かかる構成の当接部812’とすると、釘と金属板810’との接続がより確実に行われるようになるので、導通検知回路の信頼性が向上することになる。
なお、
図48では、前記した実施形態において、グランド側釘群G2(
図33参照)に接続される金属板810の変形例を例示したが、電源側釘群G1に接続される金属板800の当接片802に凹部を設けるようにしても良い。
【0279】
前記した実施の形態では、第1の信号線750および第2の信号線760を、電源側釘群G1の各釘およびグランド側釘群G2の各釘に、それぞれ金属板800、810を介して一括して接続する構成とした。しかし、第1の信号線750および第2の信号線760と、電源側釘群G1およびグランド側釘群G2との接続態様は、上記のものに限定されるものではなく、種々の接続態様が利用可能である。
例えば、凹穴部700、710内に半田を流し込むと共に、流し込んだ半田内に、第1の信号線750および第2の信号線760の端部を挿入する構成の接続態様としても良い。
かかる場合には、金属板800、810を省略できるので、部品点数の削減により、パチンコ機の作製コストを低減できる。
【0280】
さらに、実施の形態の遊技盤30は、薄肉の木製の単板を複数重ねたものを熱圧接着して形成されたものである。そのため、複数の単板のうちの一枚を、電源側釘群G1の各釘が接続される配線パターンと、グランド側釘群G2の各釘が接続される配線パターンとが形成された配線板として、電源側釘群G1とグランド側釘群G2とが、対応する配線パターンを介して、第1の信号線750と第2の信号線760にそれぞれ接続されるようにしても良い。
この場合、第1の信号線750および第2の信号線760を、遊技盤30の裏面に金属ねじで固定し、第1の信号線750および第2の信号線760が、この金属ねじを介して対応する配線パターンに導通するようにすることで、前記した実施の形態の場合と同様の検知回路を形成できる。
【0281】
このように構成すると、電源側釘群G1およびグランド側釘群G2の各釘と、配線パターンとの接続は、釘で配線パターンを打ち抜くことで達成できる。
よって、従来の遊技機の製造過程において釘を遊技盤に植設する際に用いられる釘打ち機をそのまま利用できるので、電源側釘群G1およびグランド側釘群G2の各釘と、配線パターンとを接続するための専用の工程および装置を必要としない。すなわち、遊技盤30の構成のみを変更するだけで、対応可能であるので、従来の遊技機の製造に簡単に適用できることになる。
【0282】
また、球詰まりは、釘が植設された遊技盤全体に亘って発生する場合があるため、その検知は、入賞口の近くの釘間のみで検知するのではなく、遊技盤の遊技領域の全体に亘って検知できるようにすることが好ましい。
配線パターンを有する配線板を採用した遊技盤の場合には、配線パターンを適切に形成するだけで、釘を植設する際に、釘と配線パターンとの接続を行うことができる。
よって、配線パターンを有する配線板を採用する方法は、球詰まりの発生を、遊技盤の遊技領域の全体に亘って検知できるようにする場合に、特に好適に利用でき、有利な導通構造となる。
【0283】
また、前記実施の形態では、遊技盤30の裏面に形成した凹穴部700、710内で、第1の信号線750または第2の信号線760が接続される釘の先端側が露出するようにした。
しかし、第1の信号線750または第2の信号線760が接続される釘の長さを、他の釘よりも長いものとし、凹穴部700、710を設けなくても、遊技盤30の裏面に釘の先端側が露出するようにしても良い。このようにすると、凹穴部700、710を形成するために要する作業が必要とならないので、従来のパチンコ機の製造工程において凹穴部700、710の形成に要していた時間を短縮できる。
さらに、釘の長さを長くした場合、第1の信号線750または第2の信号線760の端部に、釘の先端部に外挿して取り付ける取付部材、例えば金属キャップを設けることで、第1の信号線750または第2の信号線760と対応する釘との接続を容易に行うことが出来る。
【0284】
さらに前記した実施の形態では、球詰まりの発生が判定されると、遊技球の発射が禁止されて、球詰まりが発生したままで遊技が進行されないようにしたが、球詰まりにより生じる遊技球の流れが、その時点における遊技状態にとって好ましくない流れとなる場合には、その遊技状態が変わるまでの間、遊技球の発射が禁止されないようにしても良い。
【0285】
実施の形態では、上側作動口39への遊技球の不正な誘導を起こす球詰まりを検知するようにしている。例えばパチンコ機の遊技状態が大当たり状態である場合には、可変入賞装置32内の継続入賞口への入賞が次ラウンドへの移行条件となっている。かかる場合に、上側作動口39に遊技球を誘導するために球詰まりを発生させる不正を行うと、可変入賞装置32側への遊技球の落下が損なわれるために、継続入賞口への入賞機会を失して、次ラウンドへの移行ができなくなる虞がある。すなわち、大当たりの最中では、上記のような不正をすることのメリットはない。
そして、大当たり中に、たまたま上記のような球詰まりが生じた場合に遊技の進行が停止させてしまうことのほうが、不正をする意図のない遊技者にとって不利益となる虞がある。
【0286】
よって、球詰まりの発生により生じる遊技球の流れが、そのときの遊技状態にとって好ましくない流れとなる場合には、その遊技状態が次の遊技状態に変わるまで、遊技球の発射が禁止されないようにしても良い。
これにより、遊技者の遊技に対する興趣が削がれてしまうことを好適に防止できる。
【0287】
前記した実施の形態では、遊技媒体として遊技球を用いる弾球式の遊技機いわゆるパチンコ機の場合を例示したが、本発明は、他のタイプのパチンコ機に適用しても良い。
例えば遊技球転動部や有利口などが設けられた入賞役物装置を備えたパチンコ機や、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球などの遊技機として実施するようにしても良い。また、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機として実施するようにしても良い。
【0288】
さらに、上記実施の形態では、電源及び発射制御基板313aとして電源部と発射制御部との各機能が同一基板上に設けられていたが、これら各機能を分離させて別々の基板としても設けても良い。また、それぞれに基板ボックスを設け、別々の基板装置として設けても良い。
【0289】
また、主制御装置271と払出制御装置311との間でコマンドが双方向通信可能な構成であっても良い。但し、不正防止の観点から主制御装置271へのコマンドの入力は極力少ない方が好ましい。
【0290】
さらに、上記実施の形態における構成を遊技領域が拡張されたパチンコ機に適用してもよい。
【0291】
さらに、上記の実施形態では、球詰まりが判定されると、スピーカ20から異常を報知する音声信号が出力される場合を例示したが、スピーカ20による報知に加えて、または代えて、図柄表示装置41、各種電飾部102,103,104、各種ランプ105,106にて、光の点灯または点滅を行うようにしても良い。球詰まり報知専用の表示部などを設ける構成としても良い。
このようにすることによっても、遊戯中である遊技者のみならず、その周囲に球詰まりの発生が報知されることになるので、不正な遊技の続行を抑止できる。
【0292】
以下、上述した実施の形態および変形例から抽出される発明の特長を、必要に応じて効果等とともに示す。
【0293】
本発明は、
(1)遊技球が流下する遊技盤の遊技領域に、前記遊技球の流下方向を変化させる複数の遊技釘が植設された遊技機において、
前記複数の遊技釘のうちの少なくともひとつの遊技釘と、当該少なくともひとつの遊技釘と異なる遊技釘のうちの少なくともひとつの遊技釘との間を、遊技球により導通可能に構成した検知手段と、
前記検知手段における前記遊技釘間の導通が検知された場合に、その検知時間を判定する導通時間判定手段と、
前記検知時間が予め設定された所定時間に達した場合に、異常を判定する異常判定手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
【0294】
このように構成すると、釘間での球詰まりの発生の有無が、釘間での導通の有無に基づいて迅速に判定できる。これにより、球詰まりが発生したと判定された場合に迅速な対応が可能になる。また、遊技機の既存の構成部品である釘を利用して検知手段を構成したので、検知手段を構成するために、新たに多数の部品を設ける必要がないので、部品点数の大幅な増加による製作コストの上昇を抑えることができる。
また、導通の検知時間が所定時間に達した場合に異常を判定するため、遊技釘と遊技釘との間が遊技球を介して偶発的に短時間だけ導通状態になった場合を、異常と判定することがない。
よって、偶発的な短時間の導通状態が球詰まりであると判定されてしまった場合に起こる問題、例えばホール内の担当者が球詰まりの発生を実際に確認する作業などを頻繁に行う必要が生じることを好適に防止できる。
【0295】
(2)前記検知手段は、電源と前記遊技釘の一方側とを接続する第1の接続線を備えており、
前記遊技盤の裏面には、前記遊技盤の表面から植設された遊技釘のうち、前記第1の接続線が接続される遊技釘の先端側を露出させる凹部が設けられていることを特徴とする(1)に記載の遊技機。
【0296】
このように構成すると、遊技釘と第1の接続線とを接続するために、第1の接続線が接続される遊技釘の長さを他の遊技釘よりも長くして、遊技盤の裏面側に露出させる必要がない。すなわち、既存の遊技釘をそのまま用いることができるので、既存の釘打ち機をそのまま使用して、遊技盤を製造できる。
また、センター役物や装飾物が取り付けられる貫通穴を遊技盤に形成する際に利用されるルータ加工により凹部を形成できるので、特別な装置を新たに必要とせずに凹部を容易に形成できる。
【0297】
(3)前記検知手段は、前記遊技釘の他方側をシグナルグランドに接続する第2の接続線を備えており、
前記遊技盤の裏面には、前記遊技盤の表面から植設された遊技釘釘のうち、前記第2の接続線が接続される遊技釘の先端側を露出させる凹部が設けられていることを特徴とする(2)に記載の遊。
【0298】
このように構成すると、遊技釘とシグナルグランドとを接続するために、第2の接続線が接続される遊技釘の長さを他の遊技釘よりも長くして、遊技盤の裏面側に露出させる必要がない。すなわち、既存の遊技釘をそのまま用いることができるので、既存の釘打ち機をそのまま使用して、遊技盤を製造できる。
【0299】
(4)前記遊技釘の一方側は、複数の遊技釘から構成され、
前記第1の接続線は、導電性部材を介して、前記複数の遊技釘に一括して接続されることを特徴とする(2)または(3)に記載の遊技機。
【0300】
このように構成すると、第1の接続線が接続される遊技釘が複数であっても、複数の遊技釘と第1の接続線との接続を容易に行える。
【0301】
(5)前記遊技釘の他方側は、複数の遊技釘から構成され、
前記第2の接続線は、導電性部材を介して、前記複数の遊技釘に一括して接続されることを特徴とする(2)または(3)に記載の遊技機。
【0302】
このように構成すると、第2の接続線が接続される遊技釘が複数であっても、複数の遊技釘と第2の接続線との接続を容易に行える。
【0303】
(5)前記導電性部材は、
板状の本体部と、
本体部の一部を切り欠いてそれぞれ同一方向に折り曲げることにより形成された複数の接続片と、を備え、
前記導電性部材は、前記本体部で前記凹部の開口を塞ぐように前記遊技盤に取り付けられ、前記接続片の各々は、前記凹部内で対応する遊技釘に接していることを特徴とする(4)または(5)に記載の遊技機。
【0304】
このように構成すると、凹部の開口が本体部でほぼ塞がれるので、凹部内への異物の進入を防止できる。また、本体部が板状の部材であり、かつ接続片が凹部内で対応する遊技釘に接しているので、導電性部材と遊技釘との接続部が遊技盤の裏面に突出しない。よって、既存の遊技機の内部構成を変更することなく、球詰まりの発生を判定するための各手段を設けることができる。
【0305】
(6)前記接続片は、前記凹部内で露出する遊技釘の軸線上まで膨出した膨出部を有すると共に、前記導電性部材を前記遊技盤に取り付けたときに前記膨出部が前記遊技釘により前記軸線上から離れる方向に移動するように弾性変形可能に形成されていることを特徴とする(5)に記載の遊技機。
【0306】
このように構成すると、導電性部材が遊技盤に取り付けられると、接続片は、その膨出部が遊技釘の軸線上から外れる位置になるまで、遊技釘により変形させられた状態となる。よって、接続片には、常に遊技釘側に復元しようとする力が作用するので、接続片と遊技釘との接触状態が確実に確保される。
【0307】
(7)前記膨出部は、前記接続片の長手方向における途中部分を、前記軸線側に湾曲させて形成されることを特徴とする(6)に記載の遊技機。
【0308】
(8)前記接続片には、前記遊技釘の外周と整合する形状の凹溝部が設けられていることを特徴とする(5)から(7)の何れか一項に記載の遊技機
【0309】
このように構成すると、遊技釘と接続片との接触状態をより確実に確保できる。
【0310】
(9)前記導通時間判定手段は、前記電源から供給される電圧値の低下の有無に基づいて、前記遊技球による前記遊技釘間の導通の有無を検知することを特徴とする(2)から(8)のうちの何れか一項に記載の遊技機。
【0311】
このように構成すると、遊技釘間が遊技球により導通すると電圧値が低下する。よって、電圧値を確認するだけで導通の有無が判るので、球詰まりの発生の有無を簡単に判断できるようになる。
【0312】
(10)前記検知手段は、電源と前記遊技釘の一方側とを接続する第1の接続線を備えており、
前記遊技盤は、配線パターンが形成された板状部材を、複数の単板の間に挟み込んで形成され、
前記第1の接続線は、前記配線パターンを介して、前記遊技釘の一方側に接続されることを特徴とする(1)に記載の遊技機。
【0313】
このように構成すると、遊技盤の裏面に凹部を設けことなく、遊技釘間での導通を検知できるようになる。
【0314】
(11)前記検知手段は、前記遊技釘の他方側をシグナルグランドに接続する第2の接続線を備えており、
前記遊技盤は、配線パターンが形成された板状部材を、複数の単板の間に挟み込んで形成され、
前記第2の接続線は、前記配線パターンを介して、前記遊技釘の他方側に接続されることを特徴とする(1)または(10)に記載の遊技機。
【0315】
このように構成すると、遊技盤の裏面に凹部を設けことなく、遊技釘間での導通を検知できるようになる。
【0316】
(12)前記第1の接続線と前記遊技釘の一方側とを接続する配線パターンと、前記第2の接続線と前記遊技釘の他方側とを接続する配線パターンは、それぞれ異なる板状部材に設けられていることを特徴とする(11)に記載の遊技機。
【0317】
このように構成すると、第2の接続線に接続される配線パターンと、第2の接続線に接続される配線パターンとの交差を避けるために、配線パターンが複雑になることがない。よって、遊技盤の他の部分でも遊技釘間での導通を検知するための仕組みを簡単に設けることができ、遊技盤の略全域に亘って導通を検知するための仕組みを設けることができる。
とくに、遊技盤の裏面に凹部を設ける場合よりも、導通を検知する部位(遊技釘間)をより細かく設定できるようになる。
【0318】
(13)前記遊技釘の一方側と他方側はそれぞれ複数の遊技釘から構成され、
前記第1の接続線および第2の接続線は、それぞれ対応する遊技釘に、前記配線パターンを介して一括して接続されることを特徴とする(11)または(12)に記載の遊技機。
【0319】
このように構成すると、第1の接続線や第2の接続線が接続される遊技釘が複数であっても、複数の遊技釘と、第1の接続線や第2の接続線との接続を容易に行える
【0320】
(14)異常が判定された場合に、その旨を報知する信号を遊技機の外部に出力する外部信号出力手段をさらに備えることを特徴とする(1)から(13)の何れか一項に記載の遊技機。
【0321】
このように構成すると、例えばホールコンピュータに信号を出力することで、ホールコンピュータを介して店員に知らせることができる。よって、球詰まりの発生に対する迅速な対応が可能になる。
【0322】
(15)異常が判定された場合に、遊技球の発射を停止する発射停止手段をさらに備えることを特徴とする(1)から(14)の何れか一項に記載の遊技機。
【0323】
このように構成すると、例えば遊技球が入賞口に入球しやすい状態で遊技が続行されてしまうことを防止できると共に、球詰まりの進行を抑えることができる。
【0324】
(15)異常が判定された場合に、遊技機においてその旨を報知する報知手段を備えることを特徴とする(1)から(14)の何れか一項に記載の遊技機。
【0325】
このように構成すると、遊戯中である遊技者のみならず、その周囲に球詰まりの発生が報知されることになるので、球詰まりが不正行為により発生させられた場合には、不正な遊技、例えば遊技球が入賞口に入球しやすい状態で遊技の続行を抑止できる。
【0326】
(16)前記(1)から(15)の何れかの遊技機において、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機。
なかでも、パチンコ遊技機の基本構成としては、操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて、球を所定の遊技領域に発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(または作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が背負え知事看護に確定停止されるものがあげられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータなども含む)が付与されるものがあげられる。