(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分離装置(73)は、機体前部に配置する左右の分離駆動回転体(65,65)と、機体前後間に配置する左右の分離張圧回転体(68,68)と、機体後部に配置する左右の分離従動回転体(71,71)に分離無端帯(72,72)をそれぞれ巻回して構成し、
前記左右の分離駆動回転体(65,65)の前側左右間隔部(D4)と前記左右の分離従動回転体(71,71)の左右間隔部(D)の前後間に該左右間隔部(D)及び前側左右間隔部(D4)よりも幅の広い幅広空間部を形成し、前側左右間隔部(D4)と左右間隔部(D)の幅を最も狭く構成する、
あるいは、前記左右間隔部(D)を最も狭く構成すると共に、前側左右間隔部(D4)を、前記幅広空間部よりも狭く構成したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の作物収穫機。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明の実施の形態について説明する。
図1〜
図7に示すとおり、実施例の一つとして示す作物収穫機の一種である里芋の分離収穫機を示す。この里芋の分離収穫機は、トラクタ等の作業車両と連結して駆動力を各部に伝動する連結伝動部Aと、圃場から収穫対象の里芋を掘り取って搬送する掘取搬送部Bと、搬送中の里芋を分離する分離作業部Cから構成される。この連結伝動部A、掘取搬送部Bと分離作業部Cを組み合わせたものを、収穫装置Hとする。
【0039】
なお、里芋という作物は、種となる親芋の周囲に無数の子芋及び孫芋が発生した状態で収穫されるものであり、商品として出荷されるのは、主として親芋の周囲に発生した子芋及び孫芋である。但し、品種によっては親芋も商品になる。
【0040】
まず、連結伝動部Aについて説明する。
図1〜
図6で示すとおり、トラクタ1の後部に該トラクタ1のエンジン駆動力を取り出すPTO軸2を設け、該PTO軸2の上部にトップリンク3を設け、PTO軸2の下部に左右のロワーリンク4,4を設ける。該トップリンク3及び左右のロワーリンク4,4で、収穫装置(H)全体を昇降させるリンク機構Lを構成する。そして、前記PTO軸2に駆動力を伝達する入力伝動ケース5を取り付け、該入力伝動ケース5の左右両側に、左右方向に駆動力を伝動する伝動シャフト6を内装した伝動パイプ7をそれぞれ配置する。
【0041】
また、該左右の伝動シャフト6,6には、後述する左右の分離クローラ73,73に駆動力を伝動する分離出力ベベルギア7,7を軸着し、該分離出力ベベルギア7,7の下側に、分離出力ベベルギア7,7と噛み合う分離入力ベベルギア8,8を軸着した分離伝動シャフト9,9を設ける。さらに、前記左右の伝動シャフト6,6の左右両側に連結部フレーム10をそれぞれ設け、前記左右どちらか一側の伝動シャフト6で且つ連結部フレーム10の外側、本実施例の
図4(a)(b)では左側の伝動シャフト6の端部で且つ左側の連結部フレーム10の外側に、後述する掘取搬送コンベア50に駆動力を伝動する搬送駆動プーリ11を軸着する。
【0042】
そして、前記左側の連結部フレーム10の外側で且つ搬送終端部に搬送従動プーリ12を回転自在に装着し、該搬送駆動プーリ11と搬送従動プーリ12に亘って搬送伝動ベルト13を無端状に巻回する。また、前記搬送駆動プーリ11と搬送従動プーリ12の前後間に、上方から搬送伝動ベルト13に接触するテンションプーリ14をテンションアーム15に回転自在に設け、該テンションアーム15の前側端部に、テンションアーム15を後方に向けて付勢するテンションスプリング16を設け、該テンションスプリング16の張力を調節する調節ロッド17を設けてテンション機構18を構成する。
【0043】
さらに、前記連結部フレーム10の外側に、連結部フレーム10と同じ形状のカバーフレーム19を設けて、掘取搬送伝動装置20を構成する。
また、前記左右の伝動パイプ7,7の外周部に連結プレート21をそれぞれ取り付け、該左右の連結プレート21,21に前記左右のロワーリンク4,4を取り付ける。そして、前記入力伝動ケース5から機体前側に向かって左右のマストアーム22,22を前上り傾斜姿勢で且つ前後方向に回動自在に設け、前記左右の連結プレート21,21からそれぞれ補助支持アーム23,23を左右のマストアーム22,22の上部側に接続する。
【0044】
さらに、前記左右のマストアーム22,22及び補助支持アーム23,23の左右間にジョイントアーム24の基部側を上下回動自在に取り付け、該ジョイントアーム24の端部側に前記トップリンク3の後端部を連結することにより、連結伝動部Aが構成される。
【0045】
なお、該ジョイントアーム24とトップリンク3には同径のロック孔25a,25bを同一位置に形成し、固定ピン26をロック孔25a,25bに差し込んでジョイントアーム24の上下回動を規制可能に構成する。また、前記左右のマストアーム22,22の上部には、ジョイントアーム24の回動範囲を限定する制限プレート24aを設け、該制限プレート24aにジョイントアーム24が接触するとロック孔25a,25bが重なり合って固定ピン26を差し込める状態となる構成とする。
【0046】
そして、本実施例ではジョイントアーム24を左右のマストアーム22,22の左右間に設けてトップリンク3と連結する構成としているが、左右の連結プレート21,21にジョイントアーム24をそれぞれ上下回動自在に設け、左右のジョイントアーム24,24と左右のロワーリンク4,4を連結する構成としても、同様の作用及び効果が得られる。
【0047】
上記に示すとおり、搬送伝動ベルト13を上方から押圧するテンションプーリ14の張圧力を調節するテンション機構18を設けたことにより、搬送伝動ベルト13の張力を変更して掘取搬送コンベア50の搬送速度を変更することができ、PTO軸2の回転数を増減させることなく搬送速度を変更できるので、圃場の土質や里芋の植生間隔等の違いによる多様な作業条件への適応性が向上する。
【0048】
なお、PTO軸2の回転数を所定回転数未満に下げると、掘取搬送コンベア50の駆動力が不足して、圃場面との接触抵抗により駆動が停止するおそれがある。逆に、PTO軸2の回転数を所定回転数よりも極端に上げると、掘取搬送コンベア50が圃場面との接触抵抗で停止することは無いものの、トラクタ1のエンジン等に過負荷が生じ、耐久性が低下するおそれがある。このため、掘取作業中はPTO軸2の回転数を必要な所定回転数で維持することが望ましく、上記のテンション機構18による掘取搬送コンベア50の駆動回転速度の調節機構は、PTO軸2の回転数を変化させない方法の一つである。
【0049】
また、回動自在なジョイントアーム24にトップリンク3を接続したことにより、トップリンク3及び左右のロワーリンク4,4を昇降させると、ジョイントアーム24が掘取搬送部B及び分離作業部Cの重量で下方回動すると共に、ロワーリンク4,4の昇降よって掘取搬送コンベア50の前側端部が後述する左右の転輪42,42を支点にして昇降するため、里芋分離収穫機を持ち上げることなく掘取搬送コンベア50の掘取深さを調節できるので、掘取深さが浅過ぎて里芋を傷つけてしまうことが防止され、里芋の商品価値が向上する。
【0050】
逆に、掘取深さが深過ぎて、里芋と共に多くの粘土質の泥土を掘り取ることを防止できるので、里芋の周りに付着した泥土が壁となって分離クローラ73,73での里芋の分離が妨げられることが防止され、里芋の分離精度が向上する。
【0051】
さらに、掘取搬送コンベア50や左右の分離クローラ73,73に泥土が残りにくくなるので、作業終了後の泥落し作業に要する時間や労力が低減される。
なお、従来構成では、マストアーム22,22にトップリンク3を接続しているため、トップリンク3及び左右のロワーリンク4,4を昇降させると里芋分離収穫機全体が連動して昇降する構成となっている。この従来構成において掘取搬送コンベア50の掘取深さを変更するには、左右の転輪
42,42の上下高さを変更したり、マストアーム22,22とトップリンク3の接続位置を前後で変更する必要があり、調節作業に時間がかかる上、作業者の労力が増大する問題がある。
【0052】
そして、ジョイントアーム24とトップリンク3に形成したロック孔25a,25bを合わせて固定ピン26を差し込んでジョイントアーム24の上下回動を規制することにより、圃場端で旋回する際や、掘取作業をせずに圃場をトラクタ1で走行する際に、トップリンク3及び左右のロワーリンク4,4の昇降に連動して里芋分離収穫機を昇降させることができるので、旋回時や圃場走行時に里芋分離収穫機を圃場から上方に十分に離間するため、里芋分離収穫機の破損が防止されると共に、里芋分離収穫機が旋回の抵抗や走行の抵抗となることが防止され、作業能率が向上する。
【0053】
また、左右のマストアーム22,22の上部に制限プレート24aを設け、この制限プレート24aにジョイントアーム24が接触するとロック孔25a,25bが重なり合って固定ピン26を差し込める状態となることにより、圃場端での旋回前や、作物分離収穫機を上昇させた状態で走行をする前に、容易に固定ピン26を取り付けてジョイントアーム24が重量で下降することを防止できるので、作業能率がいっそう向上する。
【0054】
次に、掘取搬送部Bについて説明する。
図2〜
図4で示すとおり、前記左右の連結部フレーム10,10の下部に正面視L字形状の前後の連結支柱27f,27rの上端部をそれぞれ設け、該連結支柱27f,27rの下端部を左右の搬送支持フレーム28,28に取り付ける。そして、該左右の搬送支持フレーム28,28の搬送終端側に搬送駆動スプロケット29をそれぞれ設け、該左右の搬送駆動スプロケット29,29と前記搬送従動プーリ12を搬送駆動シャフト30に軸着する。
【0055】
なお、左右の搬送支持フレーム28,28の左右間隔は、左右の連結部フレーム10,10の左右間隔よりも狭く構成する。
また、前記左右の搬送支持フレーム28,28の搬送始端側に搬送従動スプロケット31をそれぞれ回転自在に設け、該左右の搬送従動スプロケット31,31と左右の搬送駆動スプロケット29,29に亘って左右の搬送伝動チェーン32,32を無端状に巻回する。さらに、該左右の搬送伝動チェーン32,32の左右間には、里芋を載置して搬送する搬送バー33を、前後方向に等間隔を開けて複数配置する。
【0056】
そして、該左右の搬送伝動チェーン32,32の巻回域外の下部には、左右の搬送伝動チェーン32,32を下方から押し上げて張力を調節する左右の搬送テンションスプロケット34,34が配置され、該搬送テンションスプロケット34はL字形状の回動アーム35の一側端部に回転自在に設けられると共に、該回動アーム35の他側端部と搬送支持フレーム28に亘って回動アーム35を牽引して回動させるテンションスプリング36を設けている。前記回動アーム35の回動支点は、搬送伝動チェーン32の巻回域内とする。
【0057】
また、前記左右の搬送伝動チェーン32,32の巻回域内に、1ヶ所または複数ヶ所に上下回動自在な振動アーム37…を設け、該振動アーム37…の端部に掘取搬送コンベア50を振動させる振動ローラ38を固着することにより、掘取搬送コンベア50が構成される。
【0058】
なお、該掘取搬送コンベア50は、搬送始端側から搬送終端側に向かうほど上方に向かう、後上り傾斜姿勢とする。
該振動ローラ38に搬送バー33に接触すると、振動アーム37が押し下げられ、搬送バー33が振動ローラ38から離間すると振動アーム37が上昇して搬送バー33に接触し、掘取搬送コンベア50が振動する構成とする。
【0059】
なお、振動ローラ38を偏心ローラとし、搬送バー33を間歇的に押し上げて振動させる構成としてもよい。
さらに、前記左右の前側連結支柱27f,27fに位置決め孔を1または複数形成し、上下方向に複数の調節孔を形成した左右の転輪支柱39,39をこの位置決め孔に合わせてボルト等の固定部材40で固着する。そして、該左右の転輪支柱39,39の下端部に転輪アーム41をそれぞれ機体後方に向けて配置し、該左右の転輪アーム41,41の後端部に転輪42,42を回転自在に取り付ける。
【0060】
また、前記左右の搬送支持フレーム28,28の前部で且つ外側に掘取刃支持プレート43をそれぞれ上下回動自在に取り付け、該左右の掘取刃支持プレート43,43の回動支点を兼ねるボルト44を設けて、調節時以外は該ボルト44を締め込んで左右の掘取刃支持プレート43,43を上下回動不能にしておく。そして、土中に進入して里芋を掘り取る掘取刃45を、前記左右の掘取刃支持プレート43,43の左右間に取り付ける。該掘取刃45の後部は左右方向に直線状に構成し、前部は左右方向中央部に向かうほど前側に突出する形状とする。
【0061】
なお、前記掘取刃45の左右両側端部は直角に折り曲げて調節孔を前後方向に長く形成し、左右の掘取刃支持プレート43,43には複数の取付孔を前後方向に形成し、ボルト44…を緩めると掘取刃45を前後方向にスライドさせて、掘取位置を調節可能に構成する。また、該掘取刃45の後部には、側面視への字型の案内爪44aを、左右方向に等間隔に複数配置する。該複数の案内爪44a…は、後側ほど上方に位置する後上り傾斜姿勢部分が長く、後上り傾斜部分の終端部から掘取搬送コンベア50の前端部に向かって屈曲して下方傾斜する部分が短い構成である。
【0062】
そして、前記左右の後側連結支柱27r,27rの後部に、排土取付アーム46をそれぞれ設け、該左右の排土取付アーム46,46の左右間で且つ掘取搬送コンベア50の搬送終端側の下方に、里芋が掘り取られた後の土を左右に送り、掘取跡の左右に土を盛り上げる排土板48を設けたことにより、掘取搬送部Bが構成される。
【0063】
なお、
図3で示すとおり、左右の排土取付アーム46,46の左右間には、排土板48の代わりに、里芋を掘り取った圃場面で回転し、圃場面を平坦に均す鎮圧輪47を回転自在に設けてもよい。
【0064】
上記に示すとおり、左右の搬送伝動チェーン32,32を下方から押し上げて張力を調節する左右の搬送テンションスプロケット34,34を設け、この左右の搬送テンションスプロケット34,34を取り付けた回動アーム35を回動させて張圧力を変更するテンションスプリング36を設けたことにより、左右の搬送伝動チェーン32,32の張力を変更することができるので、左右の搬送伝動チェーン32,32が経年劣化で伸びて張力が弱まった際、搬送テンションスプロケット34,34の接触量を変更して張力を強めることができるので、搬送伝動チェーン32,32の交換頻度が減少し、耐久性が向上する。
【0065】
また、搬送伝動チェーン32,32の張力を変更することができるので、掘取搬送コンベア50で搬送中の里芋が転げ落ちるときは、搬送テンションスプロケット34,34の接触量を減らし、搬送伝動チェーン32,32の張力を弱めることにより、里芋が載ると搬送伝動チェーン32,32が重さで僅かに撓んで搬送部が形成される構成となるので、掘取深さを深くして掘取搬送コンベア50の上方傾斜角度が大きくなっても、里芋を確実に分離搬送できるので、作業能率が向上する。
【0066】
そして、搬送バー33…に振動ローラ38が接触すると上下回動して掘取搬送コンベア50を振動させる振動アーム37を設けたことにより、里芋に付着した泥土を振動で振るい落とし、搬送バー33…同士の前後間から泥土を圃場に落下させることができるので、里芋に付着した泥土が左右の分離クローラ73,73での分離作業の際に壁となることが防止され、里芋の分離精度が向上する。
【0067】
加えて、掘取搬送コンベア50に泥土が残りにくくなるため、作業終了後の泥土の除去作業に要する作業時間や作業者の労力が軽減される。
さらに、左右の転輪支柱39,39の取付位置を上下方向で変更可能な構成としたことにより、左右の転輪42,42の上下位置を容易に変更することができるので、ジョイントアーム24をロックしていない状態でトップリンク3及び左右のロワーリンク4,4を昇降させて掘取深さを調節する際、支点となる転輪42,42の上下位置を容易に変更することができるので、掘取深さを里芋の植生状態に適切に合わせられ、里芋の掘取精度が向上する。
【0068】
加えて、掘取深さが浅過ぎて、里芋を傷付けることを防止できるので、里芋の商品価値が向上する。
また、ボルト45を回動支点として掘取刃支持プレート43,43の角度を変更可能に構成すると共に、掘取刃44の左右両側に長穴を設け、掘取刃44の前後位置を調節可能に構成したことにより、掘取搬送コンベア50の掘取深さ調節に加えて、より里芋の植生条件に合わせた掘取作業を行うことができるので、里芋の掘取精度がいっそう向上すると共に、掘取作業時に里芋を傷付けることがいっそう防止される。
【0069】
そして、掘取搬送コンベア50の搬送終端側の下方に左右の排土取付アーム46,46を設け、この左右の排土取付アーム46,46の左右間に鎮圧輪47を設けたことにより、里芋を掘り取る際に崩された土を上方から押圧して均すことができるので、掘取搬送コンベア50の搬送終端部から排出される、分離された親芋と子芋はこの均された圃場面に落下するので、親芋や子芋、孫芋が土中に埋まることが防止され、掘取作業終了後の回収作業の際に子芋や孫芋を拾い忘れにくくなり、子芋、孫芋の回収精度が向上する。
【0070】
子芋、孫芋は親芋に比べると小さいため、掘り崩されて柔らかくなった土の中に潜り込んでしまうと、見落としてしまうおそれがある。
また、鎮圧輪47で均した圃場面は、落下してきた子芋、孫芋によって凹む程度の固さとなるため、落下の衝撃で子芋、孫芋が傷付くことが防止されるので、里芋の商品価値が向上する。
【0071】
一方、排土板48を用いる場合は、掘り崩された土を左右に案内して盛り上げるため、掘取搬送コンベア50の搬送終端部から排出される里芋は排土板48によって盛り上げられた土壁の左右間に留まるため、トラクタ1の走行輪が走行する畝溝に子芋、孫芋が転げ落ちることが防止され、子芋、孫芋が踏み潰されることが防止され、里芋の商品価値が向上する。
【0072】
なお、
図2、
図3で示すとおり、前記左右の搬送支持フレーム28,28の搬送終端部には、排出支持プレート51をそれぞれ設け、該左右の排出支持プレート51,51の上部には円弧形状の長穴51aをそれぞれ形成し、下部外側には取付突起51bをそれぞれ形成する。また、該左右の排出支持プレート51,51の上部内側にロック突起51cをそれぞれ形成し、該ロック突起51cが入り込む案内溝52aを上部に形成した回動プレート52を、前記左右の排出支持プレート51,51の内側にそれぞれ前後方向に回動自在に取り付ける。該左右のロック突起51c,51cは、案内溝52a,52aに差し込み、割りピン等の固定部材(図示省略)で固定する。
【0073】
そして、該左右の回動プレート52,52に前記排出支持プレート51の長穴51aに入り込む被案内突起52cをそれぞれ形成し、該左右の被案内突起52c,52cと前記左右の取付突起51b,51bに亘って、付勢スプリング53を設けて左右の回動プレート52,52を上方に向かって付勢する。
【0074】
さらに、前記左右の回動プレート52,52の下端部に、機体の左右中央部に向かって屈曲した排出ガイドバー54…を、前後方向に等間隔にそれぞれ配置する。また、左右の回動プレート52,52の機体前側下端部には、左右方向に長い連結プレート55をそれぞれ設け、該左右の連結プレート55,55に、複数の排出ガイドバー54…を左右方向に間隔を開けて配置することにより、排出シュータ56が構成される。
【0075】
なお、排出ガイドバー54…の屈曲方向は、機体左右方向の中央部に向けており、分離された子芋や親芋を鎮圧輪47または排土板48で均された圃場面に案内する構成としている。
【0076】
上記の構成により、付勢スプリング53,53を設けて左右の回動プレート52,52を上方に付勢することにより、里芋や泥土の重量によって左右の回動プレート52,52が下方に押し下げられても、付勢スプリング53,53の付勢力によって回動プレート52,52が元の位置に復帰するため、排出シュータ56の傾斜角度が作業中に変わりにくく、里芋を確実に畝上に移動させることができ、子芋や孫芋がトラクタ1の通過する畝上に転げ落ちることが防止され、子芋や孫芋が潰されず、里芋の商品価値が向上する。
【0077】
また、排出案内バー54…を前後及び左右に等間隔に設けたことにより、里芋と共に排出される泥土を里芋の落下位置よりも前側とすることができるので、鎮圧輪47または排土板48で均した圃場に落下した里芋を泥土で埋めることが防止され、子芋や孫芋の回収作業を確実に行えるため、作業能率が向上する。
【0078】
次に、分離作業部Cについて説明する。
図2〜
図4で示すとおり、前記左右の連結部フレーム10,10の前後方向略中央部の上側に側面視台形の連結プレート57をそれぞれ設け、該左右の連結プレート57,57の左右間に亘って連結角パイプ58を差し込んで設ける。そして、該連結角パイプ58の上部で且つ左右方向略中央部から、前記マストアーム22,22の上下中間部の近くに亘ってリンクロッド59を取り付ける。
【0079】
また、前記左右の分離伝動シャフト9,9の下端部に分離入力スプロケット60をそれぞれ軸着し、該分離入力スプロケット60を分離伝動ケース63の機体内側寄りに内装する。さらに、該分離伝動ケース63の内部で且つ機体外側寄りに分離出力シャフト64に軸着した分離出力スプロケット61を設け、該分離出力スプロケット61と分離入力スプロケット60に亘って中継伝動チェーン62を無端状に巻回する。そして、該左右の分離駆動シャフト64,64の下部で且つ掘取搬送コンベア50の搬送面の上部に上下方向に長い分離駆動ローラ65をそれぞれ設ける。
【0080】
また、前記左右の分離伝動ケース63,63の上部に中空の第1分離フレーム66をそれぞれ設け、該左右の第1分離フレーム66,66を、左右間隔が搬送方向後側ほど狭くなるハの字型に配置する。そして、該左右の第1分離フレーム66,66の後部には、下端部に上下方向に長い前後の分離テンションローラ68,68を軸着した分離テンションシャフト67をそれぞれ設ける。さらに、前記左右の第1分離フレーム66,66の後側下部に、該左右の分離テンションシャフト67,67を貫通させた第2分離フレーム69を、前後方向に亘って左右間隔が変わらない平行位相に配置し、該左右の第2分離フレーム69,69の後部に、下端部に上下方向に長い分離従動ローラ71を軸着した分離従動シャフト70をそれぞれ設ける。
【0081】
そして、前記左右の分離駆動ローラ65,65と左右の分離従動ローラ71,71と左右の分離テンションローラ68,68に亘って、上下方向に長く、表面に無数の凹凸を形成した分離クローラベルト72をそれぞれ無端状に巻回することによって、左右の分離クローラ73,73が構成される。
【0082】
なお、該分離クローラベルト72は、分離駆動ローラ65、分離従動ローラ71、分離テンションローラ68,68よりも上下に長い幅とする。また、該分離クローラベルト72の表面を覆う、ゴム等の軟質且つ弾性に富んだ素材で構成するクローラカバー72aを装着する。
【0083】
また、左右の分離駆動シャフト64,64、左右の分離テンションシャフト67,67及び左右の分離従動シャフト70,70を、ユニバーサルジョイント等、屈曲しても駆動力を伝動できる部材で構成し、左右の分離駆動ローラ65,65、左右の分離テンションローラ68,68及び左右の分離従動ローラ71,71を、機体外側端部が機体内側端部よりも上方に位置する傾斜姿勢で配置し、左右の分離クローラ73,73を正面から見るとハの字型になる構成としてもよい。
【0084】
上記構成とすると、左右の分離クローラ73,73に里芋が左右から挟まれて上側に引き上げようとする力がかかっても、クローラベルト72,72の前後上端側が下端側よりも機体内側に位置していることにより、里芋を下方に押し下げようとする力がかかるため、分離作業中の里芋が左右の分離クローラ73,73よりも上方まで持ち上げられて、子芋、孫芋が分離されないまま左右の分離クローラ73,73の後方に移動してしまうことが防止され、里芋が確実に分離されるため、分離精度が向上する。
【0085】
さらに、前記左右の第2分離フレーム69,69の後側上部に連結ステー74の基部をそれぞれ設け、該左右の連結ステー74,74の端部を分離スライドアーム75の前側端部とそれぞれ連結する。該左右の分離スライドアーム75,75は後部側に複数のスライドローラ76,76…を回転自在に設け、前記左右の連結部フレーム10,10の後側上部の左右間に亘って設ける連結パイプ77に該スライドローラ76,76…を上下から接触させて装着している。
【0086】
また、前記連結パイプ77の左右方向中央部に前後方向に亘って角柱形状の分離メインフレーム78を設け、前記連結角パイプ58の左右方向中央部で且つ下方に該分離メインフレーム78の前端部を配置する。そして、該分離メインフレーム78の前端上部に、分離メインフレーム78をレールとして前後方向にスライド移動する側面視コの字型のスライドステー79を設け、前記左右の分離スライドアーム75,75の後側上部にそれぞれ円弧形状の分離回動アーム80の後側端部を設け、該左右の分離回動アーム80,80の前側端部をスライドステー79のコの字型の空間部内で回動支軸81に連結する。
【0087】
さらに、前記分離メインフレーム78の後部に分離メインフレーム78よりも大径の第1スライドフレーム82を設け、該第1スライドフレーム82の前側寄りにさらに大径の第2スライドフレーム83を設ける。該第1スライドフレーム82及び第2スライドフレーム83は、単独ではスライドできない配置とする。そして、前記第1スライドフレーム82の後端上部に側面視S字形状の後部保持プレート84を設け、前記第2スライドフレーム83の前端上部に側面視S字形状の前部保持プレート85を設けると共に、該前部保持プレート85と後部保持プレート84の前後間に左右の分離クローラ73,73の挟持力を変更する挟持力調節スプリング86を設ける。
【0088】
また、該前部保持プレート85と後部保持プレート84とスライドステー79に螺子穴を形成し、この螺子穴に螺子溝を刻んだ挟持力調節ロッド87を差し込み、該挟持力調節ロッド87の外周に前記挟持力調節スプリング86を設ける。さらに、該挟持力調節ロッド87の後端部には、前記第2スライドフレーム83を前後方向に摺動させて前部保持プレート85と後部保持プレート84の前後間の距離を変更し、挟持力調節スプリング86を伸縮調節する挟持力調節ハンドル88を配置する。
【0089】
そして、前記分離メインフレーム78の後端部に終端保持フレーム89を固定して設け、該終端保持フレーム89の左右一側に螺子穴を刻んだ後部調節プレート90を設けると共に、前記第1スライドフレーム82の左右一側の後端部に螺子穴を刻んだ前部調節プレート91を設ける。なお、本件実施例では、該後部調節プレート90と前部調節プレート91は、分離メインフレーム78の左側部に設けるものとする。
【0090】
さらに、前記後部調節プレート90と前部調節プレート91の螺子穴を通して、螺子溝を刻んだ分離間隔調節ロッド92を設け、該分離間隔調節ロッド92の後端部に、第1スライドフレーム82を前後方向に摺動させて左右の分離クローラ73,73の分離作用間隔Dの左右間隔を調節する分離間隔調節ハンドル93を取り付けることにより、分離調節装置94が構成される。
【0091】
上記の構成により、表面に無数の凹凸が形成されたクローラベルト72の表面に、ゴム材等で構成するクローラカバー72aを装着したことにより、クローラベルト72の凸部が分離作業の際に子芋や孫芋を潰したり、子芋や孫芋の皮を擦って傷つけてしまうことを防止できるので、里芋の商品価値が向上する。
【0092】
また、クローラカバー72aを装着した場合、里芋が接触するとクローラカバー72aは凹部に向かって潰れることができるので、クローラベルト72の凹凸を利用して挟持力を強めることができるので、親芋から子芋、孫芋が分離されやすくなり、分離精度が向上する。
【0093】
これに加えて、親芋から分離されていない子芋、孫芋を作業者が手作業で分離する作業が無くなる、または減少するので、作業者の労力が軽減される。
そして、挟持力調節ハンドル88を回転操作すると、挟持力調節スプリング86が伸縮されて分離クローラ73,73の挟持力が調節される構成としたことにより、掘取搬送コンベア50から排出された親芋に子芋、孫芋が残り易いときは挟持力が高くなる操作をすることによって、親芋から子芋、孫芋を確実に分離することができるので、分離精度が向上する。
【0094】
一方、分離された子芋、孫芋に傷付いたものや潰れたものが多く見られるときは、挟持力が低くなる操作をすることによって、子芋、孫芋が傷付くことを防止することができるので、里芋の商品価値が向上する。
【0095】
さらに、左右の分離クローラ73,73の分離作用間隔Dの左右間隔を調節する分離間隔調節ハンドル93を設けたことにより、掘り取られる里芋の径が小さかったり、里芋が分離されずに排出されたりする際は、分離作用間隔Dの左右間隔を狭めて確実に里芋の分離作業を行わせることができるので、分離精度が向上すると共に、分離されなかった子芋、孫芋を手作業で分離する時間と労力が軽減される。
【0096】
逆に、掘り取られる里芋の径が大きかったり、分離された子芋、孫芋に傷が多かったりする際は、分離作用間隔Dの左右間隔を広げることができるので、分離作用間隔Dに里芋が詰まって掘取搬送作業や分離作業が停滞することが防止され、作業能率が向上する。
【0097】
加えて、分離作用間隔Dが狭過ぎて、分離後に通過する子芋、孫芋同士の接触により皮が擦り取られて傷付く里芋の発生を防止することができるので、里芋の商品価値が向上する。
【0098】
以下、里芋の分離収穫機の別実施例を説明する。
図8、
図9(a)(b)で示すとおり、前記左右の分離出力シャフト64,64に軸着した左右の分離出力スプロケット61,61の下端部に、掘取搬送コンベア50に載った里芋を掘取搬送コンベア50の左右方向中央側に寄せる上下方向に長い掻込ホイール95をそれぞれ軸着する。そして、前記左右の分離出力スプロケット61,61よりも上方で且つ分離出力シャフト64,64の上端部に第2分離入力スプロケット96をそれぞれ軸着すると共に、前記左右の分離テンションシャフト67,67の上端部で且つ左右の第1分離フレーム66,66の内部に第2分離出力スプロケット97を軸着する。
【0099】
また、該左右の第2分離出力スプロケット97,97と左右の第2分離入力スプロケット96,96に亘って第2分離伝動チェーン98,98を無端状に巻回すると共に、該左右の第2分離出力スプロケット97,97よりも下方で且つ左右の第2分離フレーム69,69内に第3分離入力スプロケット99をそれぞれ内装し、該左右の第3分離入力スプロケット99,99を左右の分離テンションシャフト67,67に軸着する。さらに、前記分離テンションシャフト67,67の下端部に、里芋を挟持して分離する第1分離タイヤ100を軸着し、該左右の第1分離タイヤ100,100を第2分離作用間隔D2を空けて配置する。
【0100】
そして、前記左右の第2分離フレーム69,69の後端内部に第3出力スプロケット101をそれぞれ設け、該左右の第3出力スプロケット101,101を、左右の分離従動シャフト70,70に軸着する。また、該左右の第3出力スプロケット101,101と左右の第3分離入力スプロケット99,99に亘って第3分離伝動チェーン102をそれぞれ無端状に巻回し、前記左右の分離従動シャフト70,70の下端部に里芋を挟持して分離する第2分離タイヤ103を軸着し、該左右の第2分離タイヤ103,103を第3分離作用間隔D3を空けて配置する。
【0101】
なお、前記左右の第2入力スプロケット96,96及び第2出力スプロケット97,97の径を、左右の第3入力スプロケット99,99及び第3出力スプロケット101,101の径よりも小径とし、第1タイヤ100,100の回転速度を第2タイヤ103,103の回転速度よりも速くなる構成とすると、第1タイヤ100,100で分離された後の里芋を、第1タイヤ100,100と第2タイヤ103,103の前後間隔部に一時的に貯留することができるので、この前後間隔部で里芋を回転させてから第2タイヤ103,103に里芋を移動させることができ、子芋、孫芋が残った面が第2タイヤ103,103の第3分離作用間隔D3に向けられるため、分離精度が向上する。
【0102】
さらに、掘取搬送コンベア50の搬送始端側寄りに位置する第2分離作用間隔D2、即ち第1分離タイヤ100,100は、搬送終端側寄りに位置する第3分離作用間隔D3、即ち第3分離タイヤ103,103よりも広くなる配置とする。但し、前記分離調節装置94の分離間隔調節ハンドル93を操作して、左右の第3分離タイヤ103,103の左右間隔を広げた際は、第2分離作用間隔D2と第3分離作用間隔D3が略同じかあるいは完全に同じ幅となる構成としてもよい。
【0103】
また、前記左右の第2分離フレーム69,69の前後方向略中央部正面視L字形状の進入防止プレート104をそれぞれ設け、該左右の進入防止プレート104,104の下端部を、前記掘取搬送コンベア50の搬送作用面(上面)直近に位置するまで延設することにより、タイヤ式分離装置105が構成される。
【0104】
なお、前記第1タイヤ100及び第2タイヤ103は内部に空気を貯留するものとし、貯留する空気量を変更して左右幅及び挟持力を微調整可能に構成してもよい。例えば、第1タイヤ100,100及び第2タイヤ103,103の両方で分離作業を行う場合は、両方の空気圧を高める構成とすると共に、分離性がよく第2タイヤ103,103だけで分離をするときは、第1タイヤ100,100の空気圧を弱め、第1タイヤ100,100は掻込ホイール95,95と共に里芋を掘取搬送コンベア50の左右方向中央部に里芋を寄せる構成とする。
【0105】
上記構成としたことにより、掘取搬送コンベア50に載置された里芋が、掘取搬送コンベア50の左右端部に載っていても、左右の掻込ホイール95,95の回転によって左右方向中央部よりに移動させられるので、第1タイヤ100,100の第2分離作用間隔D2に正面、または正面付近から進入することができるので、進入と同時に里芋の分離作業が行われるため、作業能率が向上する。
【0106】
そして、第1タイヤ100,100よりも後方に、狭い第3分離作用間隔D3を有する第2タイヤ103,103を設けたことにより、第1タイヤ100,100で分離しきれなかった子芋、孫芋が残る里芋を、より狭い分離間隔で再び分離作業にかけることができるので、掘取搬送コンベア50の搬送終端部から排出される里芋に子芋、孫芋が残りにくく、分離精度が向上すると共に、手作業で子芋、孫芋の分離作業を行う必要がなく、作業者の労力が軽減される。
【0107】
また、左右の第1タイヤ100,100と左右の第2タイヤ103,103の前後間隔部に、左右の進入防止プレート104,104の下端部を位置させたことにより、第1タイヤ100,100で分離された子芋や孫芋が第1タイヤ100,100と第2タイヤ103,103の間から掘取搬送コンベア50の左右両外側に向かって移動してしまうことを進入防止プレート104,104によって防止することができるので、掘取搬送コンベア50上に里芋が滞留し続けることが防止され、作業能率が向上する。
【0108】
なお、左右の掻込ホイール95,95、第1タイヤ100,100及び第2タイヤ103,103は、左右の分離クローラ73,73を構成する分離駆動シャフト64,64、分離テンションシャフト67,67及び分離従動シャフト70,70を用いているため、搬送終端部寄りで1回の分離作業を行なう左右の分離クローラ73,73と、前後2回の分離作業を行うタイヤ式分離装置105を作業条件、例えば、子芋、孫芋の分離し易さ、圃場の土質等に合わせて変更することが容易となる。
【0109】
上記に加えて、左右の第1分離フレーム66,66及び第2分離フレーム69,69の内部に、タイヤ式分離装置105の伝動部材を内装しておくと、分離クローラ73,73とタイヤ式分離装置105の換装作業の際に部品の着脱作業が不要となるため、作業能率が向上する。
【0110】
なお、分離クローラ73,73に換装したときは、左右の進入防止プレート104,104は、クローラベルト72,72の内側に接触させて、テンション部材として活用してもよい。このとき、進入防止プレート104,104をバネ鋼材など弾発力に富む材質で構成しておくと、テンション部材としての効力が向上する。
【0111】
また、第1タイヤ100,100及び第2タイヤ103,103を凹凸の無い扁平タイヤで構成すると、凹凸による挟持力の違いで里芋が傷付くことを防止でき、里芋の商品価値が向上する。
【0112】
あるいは、
図11で示すとおり、前記左右の分離伝動シャフト9,9を回動支点として左右の分離伝動ケース63,63の前端部側を左右方向に回動自在に構成し、前記左右の分離出力スプロケット61,61同士の左右間隔、即ち左右の分離クローラ73,73の前端部の左右間隔を狭めることができる構成とすると、左右の分離クローラ73,73の前端部と後端部の二か所で里芋を分離することができるので、親芋から子芋、孫芋が確実に分離され、作業者が手作業で子芋、孫芋の分離作業を行う必要がなく、作業者の労力が軽減される。
【0113】
なお、左右の分離クローラ73,73の後端部の分離作用間隔Dよりも、前端部の第4分離作用間隔D4を広く構成すると、第4分離作用間隔D4で外側の子芋、孫芋を分離させると共に、分離作用間隔Dで親芋の周辺に発生した子芋を除去させることができるので、分離クローラ73,73に里芋が詰まって作業が停滞することが防止され、作業能率が向上すると共に、左右の分離クローラ73,73を通過するまでに確実に子芋、孫芋を分離することができるので、分離精度が向上する。
【0114】
また、左右の分離クローラ73,73の前後方向の略中央部に分離作用間隔D及び第4分離作用間隔D4よりも幅の広い空間部が形成されるが、このとき分離された子芋、孫芋が左右のクローラベルト72,72に接触すると、この空間部で滞留し続けることがあるため、前記左右の進入防止プレート104,104を左右のクローラベルト72,72に外側方向から接触させ、分離された子芋、孫芋の滞留を防止する構成とすると、作業能率が向上する。
【0115】
そして、
図10(a)(b)で示すとおり、前記左側の第1分離タイヤ100を左側の分離駆動シャフト64に軸着し、右側の分離駆動シャフト64には掻込ホイール95を軸着する。そして、左側の分離テンションシャフト67を機体前側、右側の分離テンションシャフト67を機体後側に配置し、該左側の分離テンションシャフト67に左側の第2分離タイヤ103を軸着し、右側の分離テンションシャフト67に右側の第1分離タイヤ100を軸着する。分離従動シャフト70は右側の第2分離フレーム69にのみ設け、この分離従動シャフト70に右側の第2分離タイヤ103を設け、第1分離タイヤ100,100及び第2タイヤ103,103が平面視で千鳥状に配置される構成としてもよい。
また、この構成とするときは、掘取搬送コンベア50の搬送部上部で且つ左側の第2分離タイヤ103の後方に、搬送後端部に向かうほど掘取搬送コンベア50の左右方向中央部に向かう姿勢で案内板109を設ける。
【0116】
上記の構成により、左右の第1タイヤ100,100及び第2タイヤ103,103の第2及び第3分離作用間隔D2,D3だけでなく、左側の第1タイヤ100と第2タイヤ103の前後間の第5分離作用間隔D5、並びに右側の第1タイヤ100と第2タイヤ103の前後間の第6分離作用間隔D6でも里芋の分離作業を行うことができるので、分離機会が増えて子芋、孫芋が残る里芋が減るため、分離精度が向上する。
【0117】
さらに、
図12で示すとおり、前記左右の分離出力シャフト64,64よりも分離従動シャフト70,70を機体内側よりに設け、該分離従動シャフト70,70よりもさらに機体内側に左右の分離テンションシャフト67,67を配置する。そして、左右一側の分離出力シャフト64に分離駆動ローラ65を軸着し、分離テンションシャフト67に分離テンションローラ68を軸着し、分離従動シャフト70に分離従動ローラ71を軸着し、該分離駆動ローラ65と分離テンションローラ68と分離従動ローラ71に亘ってクローラベルト72を無端状に巻回して、平面視三角形状の左側分離クローラ107Lを構成する。
【0118】
また、左右他側の左右一側の分離出力シャフト64に分離駆動ローラ65を軸着し、分離従動シャフト70に分離従動ローラ71を軸着し、該分離駆動ローラ65と分離従動ローラ71に亘ってクローラベルト72を無端状に巻回して、右側分離クローラ107Lを構成する。さらに、分離シャフト108aには、注入する空気量により張力を変更することのできる第3分離タイヤ108を回転自在に軸着する。
【0119】
該第3分離タイヤ108と左側分離クローラ107Lと右側分離クローラ107Rで、分離作業部Cを構成しても良い。
なお、左側分離クローラ107Lの分離従動シャフト71は、右側分離クローラ107Rの分離従動シャフト71よりも機体前側に配置する。
【0120】
上記の構成としたことにより、里芋は前後に位相にずれた左右の分離従動ローラ71,71の左右間を通過した後、クランク曲がりの軌跡を描いて第3分離タイヤ108と左右一側の分離従動ローラ71の間を通過して再度分離作業されるため、里芋に様々な方向から力をかけることができるので、親芋から子芋、孫芋が確実に分離され、分離精度が向上する。
【0121】
また、第3分離タイヤ108は、注入する空気量を変更すると張力が変更されるため、里芋に傷が付き易い場合は空気量を減らして張力を弱め、第3分離タイヤ108と左右一側の分離テンションローラ68の間で分離作業が行われなくすることができるので、里芋が傷付くことが防止され、里芋の商品価値が向上する。