(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0018】
[システム概要]
図1Aに、本発明に係る環境リスク分析システムのシステム概要を示す。
【0019】
本発明に係る環境リスク分析システムは、検針端末10(10−t、t=1〜X:Xは任意)と、基地局20(20−s、s=1〜Y:Yは任意)と、通信監視装置30と、データベース管理システム(DBMS:DataBase Management System)40と、環境分析クライアント50と、地図情報システム(GIS:Geographical Information System)60と、環境分析サーバ70を含む。
【0020】
検針端末10(10−t、t=1〜X)、基地局20(20−s、s=1〜Y)、通信監視装置30、データベース管理システム(DBMS)40、環境分析クライアント50、地図情報システム(GIS)60、及び環境分析サーバ70の各々は、ネットワーク(NW)100を介して接続されている。
【0021】
なお、通信監視装置30、データベース管理システム(DBMS)40、環境分析クライアント50、地図情報システム(GIS)60、及び環境分析サーバ70のいくつか又は全部は、一体化していても良い。
【0022】
検針端末10(10−t、t=1〜X)の各々は、移動体通信における通信端末である移動端末(移動局)、或いは建物の壁面・街灯等に設置される集中監視・自動検針の機能を持つ固定端末(固定局)に相当する。ここでは、一例として、検針端末10(10−t、t=1〜X)は、携帯端末等の「携帯局」であるものとして説明する。検針端末10−1は、移動(ハンドオーバ)する前の検針端末を示す。また、検針端末10−2は、移動(ハンドオーバ)した後の検針端末を示す。なお、検針端末の移動(ハンドオーバ)は必須ではない。無論、実際には、検針端末10(10−t、t=1〜X)は、携帯局以外の「無線局」でも良いし、他局と有線通信を行う「固定局」でも良い。
【0023】
基地局20(20−s、s=1〜Y)の各々は、移動体通信の基地局、アクセスポイント、或いは中継装置や中間装置(ミドルボックス)に相当する。ここでは、一例として、基地局20−1は、携帯端末等と無線通信する「携帯基地局」であるものとして説明する。基地局20−1は、検針端末の移動(ハンドオーバ)前の基地局を示す。また、基地局20−2は、検針端末の移動(ハンドオーバ)後の基地局を示す。なお、基地局20(20−s、s=1〜Y)自体も、移動端末(移動局)であっても良い。例えば、アドホックモード(ad hoc mode)等の通信方式のように、アクセスポイントを介さずに検針端末同士が直接通信を行う場合が考えられる。無論、実際には、基地局20(20−s、s=1〜Y)は、携帯基地局以外の「無線局」でも良いし、他局と有線通信を行う「固定局」でも良い。
【0024】
通信監視装置30は、移動体通信等のネットワーク通信の通信監視装置である。通信監視装置30は、基地局20(20−s、s=1〜Y)の通信、及び基地局20(20−s、s=1〜Y)を介して検針端末10(10−t、t=1〜X)の通信を監視する。
【0025】
データベース管理システム(DBMS)40は、各種情報をデータベース化して管理・提供するためのサーバである。
【0026】
環境分析クライアント50は、システム利用者の通信端末である。なお、環境分析クライアント50は、検針端末10(10−t、t=1〜X)の1つであっても良い。
【0027】
地図情報システム(GIS)60は、電子地図(デジタルマップ)を管理・提供するためのサーバである。
【0028】
環境分析サーバ70は、環境リスク分析のためのシステムを提供するサーバである。
【0029】
[検針端末の構成]
図1Bに示すように、検針端末10(10−t、t=1〜X)の各々は、環境情報取得部11と、環境情報転送部12を備える。環境情報取得部11は、タイマー(timer)機能、GPS(Global Positioning System)機能、及びセンサー機能等により、時刻(時間帯、年月日、曜日、季節)、検針端末の緯度経度、方角(方位)、受信強度(電波の強さ)、消費電力、日照量(光度、光量)、風速、気圧、温度(熱量)、湿度、音量、音圧、周囲の遮蔽物の有無、震度、地磁気、電磁波、放射線、大気濃度(COx、NOx等)等の環境情報を取得する。検針端末が移動端末(移動局)である場合、検針端末の移動速度や加速度を環境情報の1つとしても良い。また、検針端末が水中にある場合、水質、水圧、流速を環境情報の1つとしても良い。環境情報転送部12は、接続先の基地局20(20−s、s=1〜Y)から情報転送トリガのフラグ情報を受信し、フラグ情報の内容に応じて、基地局20(20−s、s=1〜Y)経由でデータベース管理システム(DBMS)40に、環境情報を転送する。
【0030】
なお、環境情報取得部11と環境情報転送部12は、必ずしも同一の検針端末上にあるとは限らない。例えば、環境情報取得部11については、検針端末毎に個別にセンサー等を設置し、環境情報転送部12については、複数の検針端末が同一の通信機器を共用していても良い。
【0031】
[基地局の構成]
また、
図1Bに示すように、基地局20(20−s、s=1〜Y)の各々は、中継機能部21と、フラグ情報送信部22と、環境情報取得部23と、環境情報転送部24を備える。中継機能部21は、検針端末10(10−t、t=1〜X)とネットワーク(NW)100との間の通信を中継するために必要な機能を有し、該通信に関する情報を通信監視装置30に転送する。フラグ情報送信部22は、検針端末10(10−t、t=1〜X)及び通信監視装置30に、情報転送トリガのフラグ情報を送信する。環境情報取得部23は、タイマー機能、GPS機能、及びセンサー機能等により、時刻、検針端末の緯度経度、方角、受信強度、消費電力、日照量、風速、気圧、温度、湿度、音量、音圧、周囲の遮蔽物の有無、震度、地磁気、電磁波、放射線、大気濃度等の環境情報を取得する。環境情報転送部24は、データベース管理システム(DBMS)40に、環境情報を転送する。
【0032】
[通信監視装置の構成]
図1Cに示すように、通信監視装置30は、端末数計測部31と、端末移動計測部32と、通信関連情報取得部33と、通信関連情報転送部34を備える。端末数計測部31は、加入者収容に関する情報として、基地局20(20−s、s=1〜Y)に収容される検針端末10(10−t、t=1〜X)の数を計測する。端末移動計測部32は、加入者収容に関する情報として、移動可能な検針端末10(10−t、t=1〜X)が基地局20−1の通信圏内から基地局20−2の通信圏内に移動(ハンドオーバ)した数を計測する。通信関連情報取得部33は、基地局20(20−s、s=1〜Y)から転送された情報を集計し、時刻、基地局の識別情報、基地局の緯度経度、検針端末の緯度経度、アクセス数、ハンドオーバ数等のトラヒック(traffic)計測情報を取得する。通信関連情報転送部34は、基地局20(20−s、s=1〜Y)から情報転送トリガのフラグ情報を受信し、フラグ情報の内容に応じて、データベース管理システム(DBMS)40に、トラヒック計測情報と、加入者収容に関する情報を転送する。
【0033】
[データベース管理システム(DBMS)の構成]
図1Dに示すように、データベース管理システム(DBMS)40は、DBMSテーブル作成部41と、DBMSテーブル蓄積部42を備える。DBMSテーブル作成部41は、検針端末10(10−t、t=1〜X)や基地局20(20−s、s=1〜Y)から転送された環境情報と、通信監視装置30から転送された加入者収容に関する情報を基に、DBMSテーブルを作成する。DBMSテーブル蓄積部42は、作成されたDBMSテーブルを蓄積する。
【0034】
[環境分析クライアントの構成]
図1Eに示すように、環境分析クライアント50は、地図情報入力部51と、分析対象範囲指定部52と、閾値情報入力部53と、結果出力部54を備える。地図情報入力部51は、システム利用者の操作に応じて、地図情報システム(GIS)60へ地図情報を入力する。分析対象範囲指定部52は、システム利用者の操作に応じて、地図情報における分析対象のエリアを、ポリゴン(polygon:多角形)で範囲指定する。閾値情報入力部53は、システム利用者の操作に応じて、環境分析サーバ70に、影響の大きさ、顕在化率、リスクに関する閾値情報を入力する。結果出力部54は、環境分析サーバ70から、環境情報に基づく環境の影響の大きさ(影響度)、顕在化率、リスクの解析結果(分析結果)を受信した場合、受信した情報を地図情報システム(GIS)60に転送する。また、結果出力部54は、地図情報システム(GIS)60から、レイヤ化(階層化)されたデジタルマップを受信し、レイヤ化されたデジタルマップを表示する。なお、実際には、結果出力部54は、上記の情報を基に、レイヤ化されたデジタルマップを作成して画面上に出力表示すると共に、地図情報システム(GIS)60に登録するようにしても良い。
【0035】
[地図情報システム(GIS)の構成]
図1Fに示すように、地図情報システム(GIS)60は、地図情報取得部61と、地図情報蓄積部62と、地図情報提供部63を備える。地図情報取得部61は、環境分析クライアント50から入力された分析対象エリアの電子地図を取得する。地図情報蓄積部62は、環境分析クライアント50の識別情報と関連付けて、得られた電子地図を蓄積する。地図情報提供部63は、蓄積された電子地図を、環境分析クライアント50に提供する。また、地図情報取得部61は、環境分析クライアント50から、環境情報に基づく環境の影響の大きさ(影響度)、顕在化率、リスクの解析結果(分析結果)を受信した場合、地図情報蓄積部62から該当するデジタルマップを読み出し、解析結果に基づく情報をデジタルマップの画像に重ねてレイヤ化し、レイヤ化されたデジタルマップを地図情報蓄積部62に蓄積する。このとき、地図情報取得部61は、環境分析サーバ70から、環境分析クライアント50の識別情報と共に、環境情報に基づく環境の影響の大きさ(影響度)、顕在化率、リスクの解析結果(分析結果)を受信しても良い。
【0036】
[環境分析サーバの構成]
図1Gに示すように、環境分析サーバ70は、環境情報取得部71と、リスク算出部72と、カテゴリ化処理部73と、解析結果提供部74を備える。環境情報取得部71は、データベース管理システム(DBMS)40から、検針端末10(10−t、t=1〜X)及び基地局20(20−s、s=1〜Y)の環境情報とトラヒック計測情報を取得する。リスク算出部72は、得られた環境情報とトラヒック計測情報を参照し、環境情報に基づく環境の影響の大きさと顕在化率からリスクを算出する。カテゴリ化処理部73は、環境分析クライアント50から入力された閾値に基づき、影響の大きさ、顕在化率及びリスクの解析結果をカテゴリ化する。解析結果提供部74は、カテゴリ化された影響の大きさ、顕在化率及びリスクの解析結果を、環境分析クライアント50に転送する。なお、解析結果提供部74は、カテゴリ化された影響の大きさ、顕在化率及びリスクの解析結果を、環境分析クライアント50の識別情報と共に、地図情報システム(GIS)60に転送しても良い。
【0037】
[ハードウェアの例示]
検針端末10(10−t、t=1〜X)の例として、各種の計量器(メーター等)や測定器、PC(パソコン)、携帯電話機、固定電話機(親機、子機)、PHS、スマートフォン、スマートブック、カーナビ(カーナビゲーションシステム)、ドアフォン、インターフォン、携帯型ゲーム機、家庭用ゲーム機、携帯型音楽プレーヤー、ハンディターミナル、ガジェット(電子機器)、双方向テレビ、デジタルチューナー、デジタルレコーダー、情報家電(information home appliance)、OA(Office Automation)機器、店頭端末・高機能コピー機、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、信号機(traffic light)等が考えられる。
【0038】
基地局20(20−s、s=1〜Y)の例として、移動体通信の基地局(base station)や、アクセスポイント(AP:Access Point)を想定している。他にも、ネットワークスイッチ(network switch)、ルータ(router)、プロキシ(proxy)、ゲートウェイ(gateway)、ファイアウォール(firewall)、ロードバランサ(load balancer:負荷分散装置)、帯域制御装置/セキュリティ監視制御装置(gatekeeper)、通信衛星(CS:Communication Satellite)、或いは、複数の通信ポートを有する計算機等が考えられる。
【0039】
通信監視装置30、データベース管理システム(DBMS)40、環境分析クライアント50、地図情報システム(GIS)60、及び環境分析サーバ70の各々の例として、PC(パソコン)、アプライアンス(appliance)、シンクライアントサーバ、ワークステーション、メインフレーム、スーパーコンピュータ等の計算機を想定している。また、計算機自体に限らず、計算機等に搭載される拡張ボードや、物理マシン上に構築された仮想マシン(Virtual Machine(VM))でも良い。
【0040】
なお、検針端末10(10−t、t=1〜X)、基地局20(20−s、s=1〜Y)、通信監視装置30、データベース管理システム(DBMS)40、環境分析クライアント50、地図情報システム(GIS)60、及び環境分析サーバ70の各々は、搬送可能な通信装置でも良く、車両や船舶、航空機等の移動体に搭載されていても良い。
【0041】
図示しないが、検針端末10(10−t、t=1〜X)、基地局20(20−s、s=1〜Y)、通信監視装置30、データベース管理システム(DBMS)40、環境分析クライアント50、地図情報システム(GIS)60、及び環境分析サーバ70の各々は、プログラムに基づいて駆動し所定の処理を実行するプロセッサと、当該プログラムや各種データを記憶するメモリと、ネットワークとの通信に用いられるインターフェースによって実現される。
【0042】
上記のプロセッサの例として、CPU(Central Processing Unit)、ネットワークプロセッサ(NP:Network Processor)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、マイクロコントローラ、或いは、専用の機能を有する半導体集積回路(IC:Integrated Circuit)等が考えられる。
【0043】
上記のメモリの例として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリ等の半導体記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置、又は、DVD(Digital Versatile Disk)等のリムーバブルディスクや、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等の記憶媒体(メディア)等が考えられる。また、バッファ(buffer)やレジスタ(register)でも良い。或いは、DAS(Direct Attached Storage)、FC−SAN(Fibre Channel − Storage Area Network)、NAS(Network Attached Storage)、IP−SAN(IP − Storage Area Network)等を用いたストレージ装置でも良い。
【0044】
なお、上記のプロセッサ及び上記のメモリは、一体化していても良い。例えば、近年では、マイコン等の1チップ化が進んでいる。したがって、電子機器等に搭載される1チップマイコンが、上記のプロセッサ及び上記のメモリを備えている事例が考えられる。
【0045】
上記のインターフェースの例として、ネットワーク通信に対応した基板(マザーボード、I/Oボード)やチップ等の半導体集積回路、NIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタや同様の拡張カード、アンテナ等の通信装置、接続口(コネクタ)等の通信ポート等が考えられる。
【0046】
また、ネットワーク(NW)100の例として、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線LAN(Wireless LAN)、WAN(Wide Area Network)、バックボーン(Backbone)、ケーブルテレビ(CATV)回線、固定電話網、携帯電話網、WiMAX(IEEE 802.16a)、3G(3rd Generation)、専用線(lease line)、IrDA(Infrared Data Association)、Bluetooth(登録商標)、シリアル通信回線、データバス等が考えられる。
【0047】
また、検針端末10(10−t、t=1〜X)、基地局20(20−s、s=1〜Y)、通信監視装置30、データベース管理システム(DBMS)40、環境分析クライアント50、地図情報システム(GIS)60、及び環境分析サーバ70の各々の内部構成は、モジュール(module)、コンポーネント(component)、或いは専用デバイス、又はこれらの起動(呼出)プログラムでも良い。
【0048】
但し、実際には、これらの例に限定されない。
【0049】
[データ蓄積処理]
図2を参照して、本発明におけるデータ蓄積処理について説明する。
【0050】
(1)ステップT1
検針端末10(10−t、t=1〜X)は、環境情報を取得する。ここでは、検針端末10(10−t、t=1〜X)は、GPS機能により検針端末の緯度経度情報を取得する。緯度経度情報の取得が困難な場所では、予め設定された固定的な値を緯度経度情報として扱う。例えば、検針端末10(10−t、t=1〜X)が固定端末(固定局)の場合は、設置しているビルの緯度経度情報を設定し、移動端末(移動局)の場合は、文字列等特定の無意味な情報を設定する。また、検針端末10(10−t、t=1〜X)は、タイマー機能により、現在の時刻情報を取得する。また、検針端末10(10−t、t=1〜X)は、センサー機能により、消費電力、日照量、風速、気圧、温度、湿度、大気濃度等の環境情報を取得する。
【0051】
(2)ステップT2
検針端末10(10−t、t=1〜X)は、基地局20(20−s、s=1〜Y)から情報転送トリガのフラグ情報を受信し、転送識別処理(転送を実行するか否かの判定)を行う。なお、基地局20(20−s、s=1〜Y)は、定期的(周期的)に、検針端末10(10−t、t=1〜X)に、情報転送トリガのフラグ情報を送信するようにしても良い。或いは、基地局20(20−s、s=1〜Y)は、検針端末10(10−t、t=1〜X)とネットワーク(NW)100との間の通信に急激な変化等が発生した場合、検針端末10(10−t、t=1〜X)に、情報転送トリガのフラグ情報を送信するようにしても良い。
【0052】
(3)ステップT3
検針端末10(10−t、t=1〜X)は、情報転送トリガのフラグ情報として「0」(転送しない旨のフラグ)を受信した時は、環境情報を保持する。このとき、検針端末10(10−t、t=1〜X)は、ステップT1に戻り、環境情報を取得する処理を継続する。例えば、環境情報を継続して収集する場合、情報転送トリガのフラグ情報「0」を受信するタイミングで、環境情報を収集する期間を区切ることも可能である。なお、検針端末10(10−t、t=1〜X)は、環境情報を保持してから長期間(一定期間)が経過した場合、保持している環境情報を廃棄するようにしても良い。
【0053】
(4)ステップT4
検針端末10(10−t、t=1〜X)は、情報転送トリガのフラグ情報として「1」(転送する旨のフラグ)を受信した時は、基地局20(20−s、s=1〜Y)を経由して、環境情報をデータベース管理システム(DBMS)40に転送する。このとき、検針端末10(10−t、t=1〜X)は、保持している環境情報があれば、それらの環境情報もまとめてデータベース管理システム(DBMS)40に転送するようにしても良い。また、基地局20(20−s、s=1〜Y)は、一定期間、配下の検針端末10(10−t、t=1〜X)の各々から環境情報を受信して蓄積し、所定のタイミングで、これらの環境情報をまとめてデータベース管理システム(DBMS)40に転送するようにしても良い。また、検針端末10(10−t、t=1〜X)は、環境情報の転送が完了した際、基地局20(20−s、s=1〜Y)に、情報転送トリガのフラグ情報を「0」に戻す旨の指示情報を送信する。
【0054】
なお、上記では、検針端末10(10−t、t=1〜X)の環境情報の取得・転送について説明しているが、基地局20(20−s、s=1〜Y)の環境情報の取得・転送についても、検針端末10(10−t、t=1〜X)と同様である。基地局20(20−s、s=1〜Y)での転送識別処理については、検針端末10(10−t、t=1〜X)に送信する情報転送トリガのフラグ情報を共用するようにしても良い。このように、検針端末のみならず、基地局でも環境情報を取得することで、環境影響の原因が、検針端末の環境に基づくものか、基地局の環境に基づくものかを判別し、分析することができるようになる。また、検針端末10(10−t、t=1〜X)の情報と基地局20(20−s、s=1〜Y)の情報の両方を取得することで、測定データの取得位置において、「高さ」の影響をより正確に把握できるため、精度の高い分析結果を得ることができる。通常、検針端末10(10−t、t=1〜X)は地表上で人間が目視するため「人間の身長程度の高さ」に存在し、基地局20(20−s、s=1〜Y)は電波を遠方まで送信して通信サービスエリア(セル)を広範囲に形成するために鉄塔の上部や建造物の屋上等の「高所」に設置される。
【0055】
(5)ステップM1
通信監視装置30は、基地局20(20−s、s=1〜Y)から転送された環境情報を集計し、時刻、基地局の識別情報、基地局の緯度経度、検針端末の緯度経度、アクセス数、ハンドオーバ数のトラヒック計測情報を取得する。
【0056】
(6)ステップM2
通信監視装置30は、基地局基地局20(20−s、s=1〜Y)から情報転送トリガのフラグ情報を受信し、転送識別処理(転送を実行するか否かの判定)を行う。なお、基地局20(20−s、s=1〜Y)は、定期的に、通信監視装置30に、情報転送トリガのフラグ情報を送信するようにしても良い。
【0057】
(7)ステップM3
通信監視装置30は、情報転送トリガのフラグ情報として「0」(転送しない旨のフラグ)を受信した時は、情報を保持する。このとき、通信監視装置30は、ステップM1に戻り、環境情報を取得する処理を継続する。
【0058】
(8)ステップM4
通信監視装置30は、情報転送トリガのフラグ情報として「1」(転送する旨のフラグ)を受信した時は、情報転送が完了した際に、トラヒック計測情報をデータベース管理システム(DBMS)40に転送する。このとき、通信監視装置30は、保持している環境情報があれば、それらの環境情報もまとめてデータベース管理システム(DBMS)40に転送するようにしても良い。また、通信監視装置30は、環境情報の転送が完了した際、基地局20(20−s、s=1〜Y)に、情報転送トリガのフラグ情報を「0」に戻す旨の指示情報を送信する。
【0059】
(9)ステップD1
データベース管理システム(DBMS)40は、検針端末10(10−t、t=1〜X)から転送された環境情報と、通信監視装置30から転送されたトラヒック計測情報を基に、DBMSテーブルを作成する。DBMSテーブルは、時刻、緯度経度、受信強度、消費電力、日照量、風速、気圧、温度、湿度、音量、音圧、周囲の遮蔽物の有無、震度、地磁気、電磁波、放射線、大気濃度等の環境情報、基地局の識別情報、アクセス数やハンドオーバ数に関するトラヒック計測情報を、時刻をキーにして一元管理する。
【0060】
[基地局からの情報転送トリガのフラグ情報の送信に関する説明]
基地局20(20−s、s=1〜Y)から検針端末10(10−t、t=1〜X)に対して情報転送トリガのフラグ情報を送信している理由については、ネットワーク負荷の軽減という観点から、基地局単位で検針端末10(10−t、t=1〜X)をグループ化して、検針端末10(10−t、t=1〜X)から環境情報を転送するタイミングを、基地局毎に分散させることが好適であるからである。
【0061】
ここでは、定期的に特定のグループから環境情報を転送するようにし、他のグループから環境情報を転送しないようにする場合、特定のグループの基地局からは情報転送トリガのフラグ情報として「1」を送信し、他のグループの基地局からは情報転送トリガのフラグ情報として「0」を送信する。
【0062】
このとき、他のグループの基地局から情報転送トリガのフラグ情報として「0」を送信するようにしたのは、全ての基地局において、同時刻のタイミングで情報転送トリガのフラグ情報を送信するようにしているためである。
【0063】
例えば、特定のグループからの環境情報の転送を停止し、他のグループから環境情報を転送するようにする場合、特定のグループの基地局から情報転送トリガのフラグ情報として「0」を送信し、他のグループの基地局から情報転送トリガのフラグ情報として「1」を送信するように、設定を変更する。これにより、他のグループから環境情報を転送するように切り替えても、特定のグループから環境情報を転送していた時と同じ送信タイミングで環境情報を転送できる。
【0064】
ネットワーク負荷を考慮せず(グループ化せず)、常時、環境情報を送信できる状況にあれば、全ての基地局から、一律に、情報転送トリガのフラグ情報として「1」を送信するようにしても良い。
【0065】
また、基地局20(20−s、s=1〜Y)から通信監視装置30に対して情報転送トリガのフラグ情報を送信している理由については、上記の検針端末10(10−t、t=1〜X)に対して情報転送トリガのフラグ情報を送信する機能を転用できるためである。
【0066】
[データ入力処理]
図3を参照して、環境分析クライアント50でのデータ入力処理について説明する。
【0067】
(1)ステップS101
環境分析クライアント50は、システム利用者の入力操作に応じて、又は設定情報の内容に基づいて自動的に、地図情報システム(GIS)60へ地図情報を入力する。ここでは、環境分析クライアント50は、新規の地図情報として、市販の地図データを入力する。なお、地図情報の形式は、地図情報システム(GIS)60が受け付け可能なフォーマットであれば、特に問わない。例えば、環境分析クライアント50は、紙ベースの地図をスキャン(走査)して電子化した地図データを作成し、この地図データを、地図情報システム(GIS)60へ入力するようにしても良い。
【0068】
(2)ステップS102
地図情報システム(GIS)60は、環境分析クライアント50から入力された地図情報の取り込み処理を行う。ここでは、地図情報システム(GIS)60は、地図情報として入力された市販の地図データの取り込み処理を行う。環境分析クライアント50は、地図情報システム(GIS)60に取り込まれた地図データを、環境リスク分析システムにおけるデジタルマップとして表示する。なお、上記の処理は、分析対象のエリアを含む地図情報が、未だ地図情報システム(GIS)60に登録されていない場合における地図情報の新規登録に関する処理である。環境分析クライアント50は、分析対象のエリアを含む地図データが、既に地図情報システム(GIS)60に登録されている場合、この登録済みの地図データを地図情報システム(GIS)60から読み出し、環境リスク分析システムにおけるデジタルマップとして表示する。これにより、環境分析クライアント50は、地図情報システム(GIS)60と連携する。
【0069】
(3)ステップS103
環境分析クライアント50は、システム利用者の入力操作に応じて、又は設定情報の内容に基づいて自動的に、表示されたデジタルマップ上における分析対象のエリアを、ポリゴンで範囲指定する。
【0070】
(4)ステップS104
次に、環境分析クライアント50は、システム利用者の入力操作に応じて、又は設定情報の内容に基づいて自動的に、環境分析サーバ70で用いられる計算用閾値を入力する。ここでは、環境分析クライアント50は、システム利用者の入力操作に応じて、又は設定情報の内容に基づいて自動的に、大気濃度の各種類に対して閾値情報を入力する。また、影響算出の対象とする大気物質をチェックボックスで選択し、閾値を入力する。閾値に伴い、カテゴリ数をあわせて設定する。L個のカテゴリに分類(カテゴリ化)する場合は、L−1個の閾値を設定する。したがって、環境分析クライアント50は、システム利用者の入力操作に応じて、又は設定情報の内容に基づいて自動的に、影響算出の対象となる物質「j」(j=1〜M)の閾値(threshold)を「THjk」(k=1〜L−1)として入力する。Mは、チェックボックスを「ON」にした物質の総数を示す。Lは、分類されたカテゴリの総数を示す。また、トラヒック計測情報に対する影響顕在化率については、分析対象の開始時刻を「t1」、終了時刻を「t2」として入力する。
【0071】
(5)ステップS105
環境分析クライアント50は、各種入力情報を環境分析サーバ70に転送する。環境分析サーバ70は、環境分析クライアント50から各種入力情報を受信した場合、環境分析処理(解析処理)の実行開始命令の入力と判断し、環境分析処理の実行を開始する。
【0072】
[環境分析処理]
図4を参照して、環境分析サーバ70での環境分析処理について説明する。
【0073】
(1)ステップS201
環境分析サーバ70は、環境分析クライアント50から受信した各種入力情報を基に、データベース管理システム(DBMS)40を参照し、各種入力情報に該当する情報を取得して格納する。ここでは、環境分析サーバ70は、ステップS103で指定されたポリゴンに関して、格子点「i」の位置配列を「Gi」(i=1〜N)として保持する。なお、実際には、ステップS103において、環境分析クライアント50が、位置配列「Gi」を生成・設定するようにしても良い。Nは、格子点「i」の総数を示す。位置配列「Gi」にある格子点「i」における物質「j」の濃度を「Dij」とする。また、環境分析サーバ70は、データベース管理システム(DBMS)40のDBMSテーブルを参照し、位置配列「Gi」におけるアクセス数を「Ai」とし、流入する加入者のハンドオーバ数「Hin」、及び流出する加入者のハンドオーバ数「Hout」を、移動量「Hi=(Hin−Hout)i」とする。
【0074】
(2)ステップS202
環境分析サーバ70は、位置配列「Gi」に対する濃度「Dij」、アクセス数「Ai」、移動量「Hi」について、不足情報の有無を確認する。
【0075】
(3)ステップS203
環境分析サーバ70は、不足情報がある場合は、推定処理により補完する。例えば、濃度「Dij」は、拡散方程式を用いた推定や周辺情報に基づく内挿により補完できる。また、アクセス数「Ai」、移動量「Hi」は、時系列情報に基づく内挿により補完することができる。
【0076】
(4)ステップS204
環境分析サーバ70は、影響の大きさ「fi」を、以下の式(1)、式(2−1)、式(2−2)により算出する。
【0079】
例えば、「L=3」の場合、閾値は、「L−1=2」となり、閾値「TH1」と閾値「TH2」の2つを設定することになる。式(2−1)、式(2−2)により、物質「j」において、濃度「Dij」が閾値「TH0」以上で閾値「TH1」未満(TH0≦Dij<TH1)であれば「Cijk=1」となる。また、濃度「Dij」が閾値「TH1」以上で閾値「TH2」未満(TH1≦Dij<TH2)であれば「Cijk=2」となる。また、濃度「Dij」が閾値「TH2」以上(TH2≦Dij)であれば「Cijk=3」となる。式(1)は、この総和をとったものが影響の大きさとして評価されることを意味する。
【0080】
(5)ステップS205
また、環境分析サーバ70は、顕在化率「Pi」を、以下の式(3)により算出する。
【0082】
式(3)は、ネットワーク監視装置からのアクセス数とハンドオーバ数のトラヒック計測情報をエリア内に存在する人口情報として扱い、顕在化率「Pi」を算出する。アクセス数「Ai」と流入する加入者のハンドオーバ数「Hin」、流出する加入者のハンドオーバ数「Hout」を基に、分析対象時間「t」(t1≦t≦t2)の範囲の「Σ(Ai(t)+Hi(t))」を算出する。また、24時間の全エリアの総加入者平均「(Σ(Ai(t)+Hi(t)))ave」を算出し、その比を顕在化率「Pi」としている。
【0083】
24時間の全エリアの総加入者数の時間平均に対して、分析対象の時間帯が多くなるエリアでは、顕在化率が「Pi>1」となり、影響の大きさ「fi」が大きく顕在化する。顕在化率が「Pi=1」のエリアは、影響がそのまま表れるものと考える。また、顕在化率が「Pi<1」のエリアでは、影響の大きさ「fi」の顕在化が小さくなることを意味する。
【0084】
(6)ステップS206
環境分析サーバ70は、影響の大きさ「fi」と顕在化率「Pi」の積で、位置配列「Gi」のリスク「Ri」(Ri=fi×Pi)を算出する。基本的に、リスクは、影響の大きさと影響発生確率の積で表現される。例えば、故障解析に用いられるFMEA(Failure Mode and Effects Analysis:故障モード・影響解析)等が知られている。本実施形態では、影響確率に相当するものを、影響の大きさfiの顕在化率「Pi」と定義している。
【0085】
(7)ステップS207
環境分析サーバ70は、消費電力「Ei」と影響の大きさ「fi」の関係を「fi=α1Ei+β1」で表現し、係数「α1」と係数「β1」を算出する。この係数から、クライアント利用者は、環境改善の技術適用による消費電力増加と、大気濃度の変化に対する影響を把握できる。係数「α1」が大きくなると、少しの消費電力抑制で大きく環境改善につながることになる。反対に消費電力が少し増加すると環境が劣化する懸念があることがわかる。係数「α1」が小さい場合は、消費電力に関わる環境技術の適用は、あまり効果的でないことが把握できる。
【0086】
(8)ステップS208
同様に、環境分析サーバ70は、アクセス数「Ai」と移動量「Hi」の関係を「Hi=α2Ai+β2」で表現し、係数「α2」と係数「β2」を算出する。この係数から、クライアント利用者は、影響が顕在化する位置配列「Gi」のエリア特徴を考慮できる。
【0087】
(9)ステップS209
最後に、環境分析サーバ70は、得られた解析結果を環境分析クライアント50へ転送する。なお、実際には、環境分析サーバ70は、得られた解析結果を、環境分析クライアント50の識別情報と共に、地図情報システム(GIS)60へ転送しても良い。また、環境分析サーバ70は、環境分析クライアント50及び地図情報システム(GIS)60と連携しても良い。
【0088】
[解析結果の活用概念]
図5に、環境分析サーバ70での解析結果の活用概念を示す。
【0089】
ここでは、アクセス数、移動量のそれぞれについて、所定の閾値を基準に、大小関係がわかるように、分析対象のエリア環境の特徴を表示する。なお、アクセス数は、検針端末10(10−t、t=1〜X)から基地局20(20−s、s=1〜Y)にアクセスした回数を意味する。移動量は、検針端末10(10−t、t=1〜X)がハンドオーバした回数を意味する。
【0090】
アクセス数が多く、移動量が大きいエリア環境の例として、検針端末10(10−t、t=1〜X)が「大都市幹線道路エリア」の「自動車」や「電車」の中にある場合が考えられる。
【0091】
アクセス数が少なく、移動量が大きいエリア環境の例として、検針端末10(10−t、t=1〜X)が「地方都市」の「人口過疎エリア」にある場合が考えられる。
【0092】
アクセス数が多く、移動量が小さいエリア環境の例として、「都市ビル」や「居住人口過密エリア」で、検針端末10(10−t、t=1〜X)の利用者が「徒歩」や「静止」の状態にある場合が考えられる。
【0093】
アクセス数が少なく、移動量が小さいエリア環境の例として、「郊外」や「地方」で、検針端末10(10−t、t=1〜X)の利用者が「静止」の状態にある場合が考えられる。
【0094】
[データ出力処理]
図6を参照して、環境分析クライアント50でのデータ出力処理について説明する。
【0095】
(1)ステップS301
環境分析クライアント50は、環境分析サーバ70から結果を受信する。
【0096】
(2)ステップS302
環境分析クライアント50は、システム利用者の入力操作に応じて、又は設定情報の内容に基づいて自動的に、表示閾値の入力を行う。例えば、リスク「Ri」の最も高いエリアを赤色、次に高いエリアを黄色、低いエリアを青色といったデジタルマップ上の色付けのルールを入力する。影響の大きさ「fi」や顕在化率「Pi」についても同様に色付けルールを入力する。
【0097】
(3)ステップS303
環境分析クライアント50は、地図情報システム(GIS)60から位置配列「Gi」に該当する地図データを呼び出し、閾値に応じて、どのエリアに属するかを識別し、地図情報システム(GIS)60からの地図情報と色の割り当てのマッピング処理を行う。
【0098】
(4)ステップS304
環境分析クライアント50は、マッピング処理した結果と、対象エリアにより算出された影響の大きさ「fi」と係数「α1」、係数「α2」の値を、地図情報システム(GIS)60に転送する。地図情報システム(GIS)60は、環境分析クライアント50から受信した情報を基に、レイヤ化されたデジタルマップを作成して蓄積し、応答として環境分析クライアント50に提供する。環境分析クライアント50は、レイヤ化されたデジタルマップを、画面上に出力表示する。なお、実際には、環境分析クライアント50が、上記の情報を基に、レイヤ化されたデジタルマップを作成して画面上に出力表示すると共に、地図情報システム(GIS)60に登録するようにしても良い。
【0099】
ここでは、環境分析クライアント50は、地図情報システム(GIS)60と連携しているため、上記の処理を実行するのは、環境分析クライアント50と地図情報システム(GIS)60のいずれでも良い。例えば、環境分析クライアント50は画面上への入力及び出力表示のみ行い、地図情報システム(GIS)60が実際の内部処理(レイヤ化されたデジタルマップの作成等)を行うようにしても良い。環境分析クライアント50は、画面上の出力表示が完了した後、地図情報システム(GIS)60との接続・通信を終了し、地図情報システム(GIS)60との連携を解除する。
【0100】
ネットワーク通信のトラヒック計測情報を用いることにより、従来技術よりも精緻な人口動態が可能となる。
【0101】
また、影響の大きさと影響が顕在化する比率に応じたリスク分析が可能となる。
【0102】
また、環境影響と消費電力量の関係とエリアの特徴を数値化することにより、環境施策の技術適用の際に、便益と犠牲を考慮することがエリアの特徴を考慮しながら実施できる。
【0103】
<実施例>
図7を参照して、本発明の実施例として、以下の3つの実施例について説明する。
【0104】
[第1の実施例]
データの取得に関して負荷分散処理を行う。
【0105】
図2に示すデータ蓄積のフローにおける転送識別処理に関して、基地局20−1と基地局20−2からフラグ情報が送信されるタイミング、及び検針端末10−1と検針端末10−2から環境情報が送信されるタイミングについて、検針端末及び基地局の各々が、所定のエリアに存在する場合は時刻「T1」に送信するように設計し、他のエリアに存在する場合は時刻「T2」に送信するように設計する。
【0106】
[第2の実施例]
騒音を環境劣化要因として取得する。
【0107】
環境劣化要因が騒音の場合は、材質等による遮音性能を高める必要性の有無等を考慮するため、環境分析サーバ70は、影響の大きさ「fi」を遮音性能と置き換え、消費電力「Ei」を外壁材の価格と置き換える分析を行い、係数を「α3」と「β3」として出力する。
【0108】
[第3の実施例]
環境分析クライアント50に、環境対策優先度検討の機能を追加する。
【0109】
例えば、環境分析クライアント50に、入力された閾値と、影響の大きさ「fi」、顕在化率「Pi」、リスク「Ri」、係数「α1」、係数「α2」の値に基づいて、環境対策優先度を決定する機能(例えば、階層化意思決定法等)を適用する。ある目的に対して、環境分析クライアント50は、優先度に関するポリシーと施策項目の入力を行う。例えば、係数「α1」、係数「α2」、影響の大きさ「fi」の結果を「とても重視する」から「まったく重視しない」の7段階スケールで一対比較の評価データを入力する。また、代替案として、施策項目について「とても良い」から「かなり悪い」までの7段階スケールの評価データを入力することも考えられる。環境分析クライアント50は、入力した評価データを基に、優先度のスコアリングを行い、優先度の高い順序で施策のランク情報とスコア情報を出力表示する。
【0110】
[格子点「i」の割り当て方式の例]
図8を参照して、地図情報における分析対象のエリアとして範囲指定されるポリゴン内の格子点「i」の割り当て方式(振り方)の例について説明する。
【0111】
格子点「i」の割り当て方式は、ポリゴン内の格子点に対して、デジタルマップの画像の左から右(水平方向)、下から上(垂直方向)に割り当てる方式でも、デジタルマップの画像の中心位置から時計回りで同心円の半径が大きくなるように割り当てる方式でも良い。
図8では、囲まれたポリゴン内の格子点に対し、左から右(水平方向)、下から上(垂直方向)に割り当てる例を示す。但し、実際には、これらの例に限定されない。
【0112】
[地図情報における分析対象のエリアの例]
図9を参照して、地図情報における分析対象のエリアの例について説明する。
【0113】
通信監視装置30は、ポリゴンで囲まれた/覆われたエリアを分析対象として、当該エリア内の基地局20(20−s、s=1〜Y)を監視し、当該エリア内の基地局20(20−s、s=1〜Y)から情報転送トリガのフラグ情報を受信する。ここでは、通信監視装置30で監視する当該エリア内の基地局20(20−s、s=1〜Y)を「Site1〜Site7」として示す。
【0114】
なお、実際には、通信監視装置30は、「Site1〜Site7」の周辺にある基地局も、「Site1〜Site7」と一緒に監視する場合がある。すなわち、通信監視装置30が監視する基地局として、「Site1〜Site7」以外の基地局が存在することもある。この場合、通信監視装置30は、「Site1〜Site7」以外の基地局から受信する情報転送トリガのフラグ情報を参照しないものとする。
【0115】
[加入者収容に関する情報の例]
図10を参照して、加入者収容に関する情報の例について説明する。
【0116】
加入者収容に関する情報は、基地局から送信される情報を取得して集計した時間、位置配列「Gi」(或いは位置配列「Gi」に変換可能な位置情報)、アクセス数「Ai」、移動量「Hi」(流入する加入者のハンドオーバ数「Hin」、及び流出する加入者のハンドオーバ数「Hout」)等の情報を含む。アクセス数「Ai」及び移動量「Hi」は、0以上の整数を想定している。但し、実際には、この例に限定されない。
【0117】
<まとめ>
以上のように、本発明は、ネットワーク通信網のトラヒック状況を把握する機能を活用して、取得した環境情報からリスク分析を実施し、環境対策を支援するシステムに関するものである。本システムでは、環境影響と消費電力量の便益と犠牲を考慮することができ、ネットワーク通信のトラヒック計測情報を用いて、人口動態を把握しながら環境影響、及びリスクを分析できる。
【0118】
本システムは、大気濃度等の環境情報に基づく環境の影響の大きさと顕在化率の積により、エリアの環境リスクを推定するとともに、環境影響と消費電力との関係から、環境改善の技術を適用に際し、便益と犠牲を考慮することができる特徴を有する。また、従来交通システム等にて実施される環境影響の分析よりも、ネットワーク通信の加入者による情報に基づくことで精緻な影響把握を可能としている。
【0119】
具体的には、本システムは、通信ネットワーク(通信端末及び中継機器等)、環境分析サーバ、及び環境分析クライアントを含むシステムであり、環境影響の推定算出する手段と影響の顕在化を推定算出する手段と、環境技術の施策便益と犠牲を考慮するために、消費電力と影響を関係付ける手段と、エリア環境の特徴を分析する手段を有する。
【0120】
環境分析サーバは、ネットワーク通信の加入者による情報に基づきエリアの顕在化率を算出する手段と、大気濃度等の環境情報に基づく環境の影響の大きさと顕在化率の積により、エリアの環境リスクを推定する手段と、環境影響と消費電力との関係を求める手段とを備える。
【0121】
環境事業への利用としては、特定エリアの環境の現状把握や、都市計画や設計段階での環境リスクと対策のアセスメントへの活用が考えられる。また、電力事業の利用においては、「電力検針」の付加機能として本発明を利用する例が考えられる。将来的には、「家庭用燃料電池」・「太陽電池パネル」・「風力発電用風車(風力発電機)」等の内部や近傍にセンサーや通信機器を設けて検針端末とすることも考えられる。無論、電力事業に限らず、ガス事業・水道事業等でも同様に利用可能である。最後に、通信事業においては、既存の通信インフラシステムに対する環境アプリケーションシステムの機能として、本発明を利用する例が考えられる。
【0122】
<備考>
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。