特許第5794056号(P5794056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794056
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】給電装置および給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 17/00 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   H02J17/00 B
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2011-197865(P2011-197865)
(22)【出願日】2011年9月12日
(65)【公開番号】特開2013-62895(P2013-62895A)
(43)【公開日】2013年4月4日
【審査請求日】2014年7月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小堺 修
(72)【発明者】
【氏名】橋口 宜明
【審査官】 松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/014125(WO,A1)
【文献】 特開2008−141940(JP,A)
【文献】 特開2009−005426(JP,A)
【文献】 特開2004−096852(JP,A)
【文献】 特開2011−083132(JP,A)
【文献】 特開2009−112153(JP,A)
【文献】 特開2010−035417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界を用いて電力伝送を行う送電部と、
前記送電部側でのインピーダンスの変化を利用して、前記送電部による給電対象機器が近傍に存在するのか否かを検出する検出部と
を備え、
前記検出部は、
前記インピーダンスの増加量に基づいて、前記給電対象機器の有無を判断すると共に、
前記インピーダンスが減少する変化を示す場合には、前記給電対象機器とは異なる異物が近傍に存在すると判断する
給電装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記インピーダンスの増加量を所定の閾値と比較することにより、前記給電対象機器の有無を判断する
請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記検出部は、
前記インピーダンスの増加量が前記閾値よりも大きいときには、前記給電対象機器が近傍に存在すると判断すると共に、
前記インピーダンスの増加量が前記閾値以下であるときには、前記給電対象機器が近傍に存在しないと判断する
請求項2に記載の給電装置。
【請求項4】
前記電力伝送を行うための高周波電力を発生する高周波電力発生部と、
所定の周波数およびデューティ比を有する制御信号を用いて、前記高周波電力発生部を駆動する制御部と
を備えた請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の給電装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記制御信号における前記周波数および前記デューティ比のうちの少なくとも一方を制御することにより、前記インピーダンスの変化量を調整する
請求項4に記載の給電装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記周波数および前記デューティ比のうちの少なくとも一方について複数種類の値を用いて、前記インピーダンスの変化量を調整する
請求項4または請求項5に記載の給電装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記デューティ比の変化に応じて前記インピーダンスの周波数特性における高調波成分の大きさが変化することを考慮して、前記インピーダンスの変化量を調整する
請求項5または請求項6に記載の給電装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記給電対象機器の検出期間内で、前記複数種類の値を1つずつ順次用いる
請求項6に記載の給電装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記給電対象機器の検出期間ごとに、前記複数種類の値のうちの1つを選択的に用いる
請求項6に記載の給電装置。
【請求項10】
前記高周波電力発生部が、スイッチング素子を含むスイッチングアンプを用いて構成され、
前記制御部は、前記制御信号を用いて、前記スイッチング素子のオン・オフ動作を制御する
請求項4ないし請求項9のいずれか1項に記載の給電装置。
【請求項11】
前記検出部は、前記インピーダンスとして、前記スイッチングアンプの負荷インピーダンスを用いる
請求項10に記載の給電装置。
【請求項12】
前記送電部は、前記検出部によって前記給電対象機器が検出された後に、前記電力伝送を開始する
請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の給電装置。
【請求項13】
前記検出部は、前記電力伝送の開始後においても、前記給電対象機器の検出を定期的に実行する
請求項12に記載の給電装置。
【請求項14】
前記検出部は、前記給電対象機器の検出を間欠的に行う
請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の給電装置。
【請求項15】
前記給電対象機器の検出期間同士の間隔が、任意に制御可能となっている
請求項14に記載の給電装置。
【請求項16】
前記検出部は、前記インピーダンスとして、前記送電部側での交流電流および交流電圧により求められるインピーダンスを用いる
請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の給電装置。
【請求項17】
前記検出部は、前記インピーダンスとして、前記送電部側での直流電流および直流電圧により求められる直流抵抗値を用いる
請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の給電装置。
【請求項18】
1または複数の電子機器と、
前記電子機器に対して電力伝送を行う給電装置と
を備え、
前記給電装置は、
磁界を用いて前記電力伝送を行う送電部と、
前記送電部側でのインピーダンスの変化を利用して、前記送電部による給電対象機器としての前記電子機器が近傍に存在するのか否かを検出する検出部と
を有し、
前記検出部は、
前記インピーダンスの増加量に基づいて、前記給電対象機器の有無を判断すると共に、
前記インピーダンスが減少する変化を示す場合には、前記給電対象機器とは異なる異物が近傍に存在すると判断する
給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給電対象機器(電子機器等)に対して非接触に電力供給(電力伝送)を行う給電システム、ならびにそのような給電システムに適用される給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば携帯電話機や携帯音楽プレーヤー等のCE機器(Consumer Electronics Device:民生用電子機器)に対し、非接触に電力供給(電力伝送)を行う給電システム(非接触給電システム、ワイヤレス充電システム)が注目を集めている。これにより、ACアダプタのような電源装置のコネクタを機器に挿す(接続する)ことによって充電を開始するのはなく、電子機器(2次側機器)を充電トレー(1次側機器)上に置くだけで充電を開始することができる。すなわち、電子機器と充電トレーと間での端子接続が不要となる。
【0003】
このようにして非接触で電力供給を行う方式としては、電磁誘導方式が良く知られている。また、最近では、磁界共鳴方式と呼ばれる方式を用いた非接触給電システムが注目されている。このような非接触による給電システムは、例えば特許文献1〜3等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3179802号公報
【特許文献2】特開2008−167582号公報
【特許文献3】特開2010−119251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような非接触による給電システムでは、給電装置(1次側機器)において給電対象機器(2次側機器)が近傍(給電装置付近;例えば、給電が可能な領域)に存在しているか否かを判別できないと、給電装置側で常に電力を供給し続け、無駄な電力消費が発生してしまう。
【0006】
ここで、上記特許文献1〜3では、給電対象機器が給電装置の近傍に存在しているか否かを検出する手法が提案されているものの、例えば構成や手法等が複雑化してしまい、利便性に欠けるという問題があった。
【0007】
これらのことから、磁界を用いた電力伝送(非接触給電)の際に、給電対象機器を利便良く検出することを可能とする手法の提案が望まれる。
【0008】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、磁界を用いて電力伝送を行う際に、給電対象機器を利便良く検出することが可能な給電装置および給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の給電装置は、磁界を用いて電力伝送を行う送電部と、この送電部側でのインピーダンスの変化を利用して、送電部による給電対象機器が近傍に存在するのか否かを検出する検出部とを備えたものである。検出部は、上記インピーダンスの増加量に基づいて、給電対象機器の有無を判断すると共に、上記インピーダンスが減少する変化を示す場合には、給電対象機器とは異なる異物が近傍に存在すると判断する。
【0010】
本開示の給電システムは、1または複数の電子機器(給電対象機器)と、この電子機器に対して電力伝送を行う上記本開示の給電装置とを備えたものである。
【0011】
本開示の給電装置および給電システムでは、送電部でのインピーダンスの変化を利用して、この送電部による給電対象機器が近傍に存在するのか否かが検出される。これにより、例えば構成や手法等が複雑化することなく、給電対象機器の検出が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の給電装置および給電システムによれば、送電部でのインピーダンスの変化を利用して、この送電部による給電対象機器が近傍に存在するのか否かを検出するようにしたので、例えば構成や手法等が複雑化することなく、給電対象機器の検出を行うことができる。よって、磁界を用いて電力伝送を行う際に、給電対象機器を利便良く検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の第1の実施の形態に係る給電システムの外観構成例を表す斜視図である。
図2図1に示した給電システムの詳細構成例を表すブロック図である。
図3図2に示したブロックの一部の詳細構成例を表す回路図である。
図4】第1の実施の形態に係る給電装置の動作例を表す流れ図である。
図5】2次側機器の検出期間および非検出期間の一例を表すタイミング図である。
図6】2次側機器および異物金属の有無に応じたインピーダンス特性の変化について説明するための特性図である。
図7】高周波電力発生回路に対する制御信号の一例を表すタイミング波形図である。
図8】制御信号のデューティ比に応じた高調波成分の変化について説明するための特性図である。
図9】高調波成分の変化に応じたインピーダンス特性の変化について説明するための特性図である。
図10】給電期間および通信期間の一例を表すタイミング図である。
図11】第2の実施の形態に係る給電システムの構成例を表すブロック図である。
図12】第2の実施の形態に係る給電装置の動作例を表す流れ図である。
図13】変形例1,2に係る検出期間および非検出期間を表すタイミング図である。
図14】変形例3,4に係る検出期間および非検出期間を表すタイミング図である。
図15】変形例5,6に係る検出期間および非検出期間を表すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(交流電流,交流電圧から求められるインピーダンスを用いる例)
2.第2の実施の形態(直流電流,直流電圧から求められる直流抵抗を用いる例)
3.第1,第2の実施の形態に共通の変形例
変形例1,2(制御信号の周波数について複数種類の値を用いる例)
変形例3,4(制御信号のデューティ比について複数種類の値を用いる例)
変形例5,6(制御信号の周波数,デューティ比について複数種類の値を用いる例)
4.その他の変形例
【0015】
<第1の実施の形態>
[給電システム4の全体構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る給電システム(給電システム4)の外観構成例を表したものであり、図2は、この給電システム4のブロック構成例を表したものである。給電システム4は、磁界を用いて(例えば電磁誘導や磁界共鳴等を利用して;以下同様)、非接触に電力伝送(電力供給,給電)を行うシステム(非接触型の給電システム)である。この給電システム4は、給電装置1(1次側機器)と、給電対象機器としての1または複数の電子機器(ここでは2つの電子機器2A,2B;2次側機器)とを備えている。
【0016】
この給電システム4では、例えば図1に示したように、給電装置1における給電面(送電面)S1上に電子機器2A,2Bが置かれる(または近接する)ことにより、給電装置1から電子機器2A,2Bに対して電力伝送が行われるようになっている。ここでは、複数の電子機器2A,2Bに対して同時もしくは時分割的(順次)に電力伝送を行う場合を考慮して、給電装置1は、給電面S1の面積が給電対象の電子機器2A,2B等よりも大きなマット形状(トレー状)となっている。
【0017】
(給電装置1)
給電装置1は、上記したように、磁界を用いて電子機器2A,2Bに対して電力伝送を行うもの(充電トレー)である。この給電装置1は、例えば図2に示したように、送電部110、電源回路111、高周波電力発生回路(交流信号発生回路)112、電流・電圧検出部113、制御部114およびキャパシタC1(容量素子)を有する送電装置11を備えている。これらのうち、電流・電圧検出部113および制御部114が、本開示における「検出部」の一具体例に対応し、制御部114が本開示における「制御部」の一具体例に対応する。
【0018】
送電部110は、後述する送電コイル(1次側コイル)L1等を含んで構成されている。送電部10は、この送電コイルL1およびキャパシタC1を利用して、電子機器2A,2B(詳細には、後述する受電部210)に対して磁界を用いた電力伝送を行うものである。具体的には、送電部10は、給電面S1から電子機器2A,2Bへ向けて磁界(磁束)を放射する機能を有している。なお、この送電部110の詳細構成については、後述する(図3)。
【0019】
電源回路111は、例えば給電装置1の外部の電力供給源9から供給される電力(交流電力または直流電力)に基づいて所定の直流電圧を生成し、高周波電力発生回路112へ出力する回路である。このような電源回路111は、例えばDC−DCコンバータやAC−DCコンバータを含んで構成されている。なお、場合によっては、この電源回路111が設けられていなくてもよい。
【0020】
高周波電力発生回路112は、電源回路111から出力される直流電圧に基づいて、送電部110において電力伝送を行うための所定の高周波電力(交流信号)を発生する回路である。このような高周波電力発生回路112は、例えば、後述するスイッチングアンプを用いて構成されている。なお、この高周波電力発生回路112の詳細構成についても、後述する(図3)。
【0021】
電流・電圧検出部113は、後述する電流検出部113Iおよび電圧検出部113Vを有しており、送電部110付近(ここでは、高周波電力発生回路112の負荷側)での交流電流(電流I1)および交流電圧(電圧V1)をそれぞれ検出するものである。なお、この電流・電圧検出部113の詳細構成についても、後述する(図3)。
【0022】
制御部114は、電源回路111および高周波電力発生回路112の動作をそれぞれ制御する機能を有している。具体的には、制御部114は、詳細は後述するが、所定の周波数およびデューティ比を有する制御信号CTLを用いて、高周波電力発生回路112を駆動するようになっている。また、制御部114は、電流・電圧検出部113において検出された電流Iおよび電圧V1に基づいて、送電部110による給電対象機器(2次側機器;ここでは電子機器2A,2B)が近傍(給電面S1の付近;例えば、給電が可能な領域。以下同様。)に存在するのか否かを検出する機能も有している。具体的には、詳細は後述するが、この制御部114は、送電部110付近でのインピーダンス(ここでは、高周波電力発生回路112(後述するスイッチングアンプ)の負荷インピーダンス)の変化を利用して、給電対象機器の検出を行う。ここで、この負荷インピーダンスとは、後述するスイッチングアンプに接続される負荷のインピーダンスのことであり、上記した交流電流(電流I1)および交流電圧(電圧V1)により求められるようになっている。なお、このような制御部114は、例えばマイクロコンピュータ等からなる。
【0023】
キャパシタC1は、送電コイルL1に対して、電気的に並列、もしくは直列と並列とを組み合わせた接続となるように配置されている。
【0024】
(電子機器2A,2B)
電子機器2A,2Bは、例えば、テレビ受像機に代表される据え置き型電子機器や、携帯電話やデジタルカメラに代表される、充電池(バッテリー)を含む携帯型の電子機器等からなる。これらの電子機器2A,2Bは、例えば図2に示したように、受電装置21と、この受電装置21から供給される電力に基づいて所定の動作(電子機器としての機能を発揮させる動作)を行う負荷22とを備えている。また、受電装置21は、受電部210、整流・平滑回路211、電圧安定化回路212およびキャパシタ(容量素子)C2を有している。
【0025】
受電部210は、後述する受電コイル(2次側コイル)L2を含んで構成されている。受電部210は、この受電コイルL2およびキャパシタC2を利用して、給電装置1内の送電部110から伝送された電力を受け取る機能を有している。なお、この受電部210の詳細構成についても、後述する(図3)。
【0026】
整流・平滑回路211は、受電部210から供給された電力(交流電力)を整流および平滑化することにより、直流電力を生成する回路である。
【0027】
電圧安定化回路212は、整流・平滑回路211から供給される直流電力に基づいて所定の電圧安定化動作を行い、負荷22内のバッテリー(図示せず)に対して充電を行うための回路である。なお、このようなバッテリーは、例えばリチウムイオン電池等の充電池(2次電池)を用いて構成されている。
【0028】
キャパシタC2は、受電コイルL2に対して、電気的に並列、もしくは直列と並列とを組み合わせた接続となるように配置されている。
【0029】
[高周波電力発生回路112および電流・電圧検出部113等の詳細構成]
図3は、送電部110、キャパシタC1、高周波電力発生回路112、電流・電圧検出部113(電流検出部113Iおよび電圧検出部113V)、受電部210、ならびにキャパシタC2の詳細構成例を回路図で表したものである。
【0030】
送電部110は送電コイルL1を有し、受電部210は受電コイルL2を有している。送電コイルL1は、上記したように、磁界を用いて電力伝送を行う(磁束を発生させる)ためのコイルである。一方、受電コイルL2は、送電部110から伝送された(磁束から)電力を受け取るためのコイルである。
【0031】
高周波電力発生回路112は、電源回路111から供給される直流電圧Vdc(直流電流Idc)に基づいて、交流電圧Vacおよび交流電流Iacからなる高周波電力(交流信号)を生成する回路である。この高周波電力発生回路112は、ここでは、スイッチング素子としての1つのトランジスタ112Tを含むスイッチングアンプ(いわゆるE級アンプ)を用いて構成されている。このスイッチングアンプは、リップル除去用のコンデンサ112Cと、チョークコイルとしてのコイル112Lと、N型のFET(Field Effective Transistor;電界効果型トランジスタ)からなる上記トランジスタ112Tとを有している。コンデンサ112Cの一端は、電源回路111からの出力ラインおよびコイル112Lの一端に接続され、他端は接地されている。コイル112Lの他端は、接続点P21において、トランジスタ112Tのドレインと、キャパシタC1p,C1sの各一端とに接続されている。トランジスタ112Tのソースは接地され、ゲートには、前述したように制御部114から供給される制御信号CTLが入力されるようになっている。なお、キャパシタC1sの他端は送電コイルL1の一端に接続され、キャパシタC1pの他端は接地されている。このような構成により高周波電力発生回路112では、制御信号CTLに従ってトランジスタ112Tがオン・オフ動作(所定のスイッチング周波数およびデューティ比からなるスイッチング動作)を行うことにより、上記した高周波電力が生成されるようになっている。
【0032】
電流検出部113Iは、前述した電流I1(交流電流)を検出する回路であり、ここでは、送電コイルL1の他端と接地との間に配置されている。この電流検出部113Iは、抵抗R11、アンプA1、ダイオードD1およびコンデンサC31を有している。抵抗R11は、送電コイルL1の他端(接続点P22)と接地との間に配置されている。アンプA1は、一方の入力端子が接続点P22に接続され、他方の入力端子が接地に接続され、出力端子がダイオードD1のアノードに接続されている。すなわち、このアンプA1には、抵抗R11の両端間の電位差が入力されるようになっている。ダイオードD1のカソードはコンデンサC31の一端(接続点P23)に接続され、コンデンサC31の他端は接地されている。このような構成により電流検出部113Iでは、ダイオードD1のカソード側(接続点P23)から、上記した電流I1(交流電流)の検出結果が出力されるようになっている。
【0033】
電圧検出部113Vは、前述した電圧V1(交流電圧)を検出する回路であり、ここでは、接続点P21と接地との間に配置されている。この電圧検出部113Vは、抵抗R21,R22、アンプA2、ダイオードD2およびコンデンサC32を有している。抵抗R21の一端は接続点P21に接続され、他端は接続点P24に接続されている。抵抗R22の一端は接続点P24に接続され、他端は接地に接続されている。アンプA2は、一方の入力端子が接続点P24に接続され、他方の入力端子が接地に接続され、出力端子がダイオードD2のアノードに接続されている。ダイオードD2のカソードはコンデンサC32の一端(接続点P25)に接続され、コンデンサC32の他端は接地されている。このような構成により電圧検出部113Vでは、ダイオードD2のカソード側(接続点P25)から、上記した電圧V1(交流電圧)の検出結果が出力されるようになっている。
【0034】
キャパシタC2pの一端は、接続点P26において受電コイルL2の一端に接続され、他端は、接続点P27において受電コイルL2の他端に接続されている。キャパシタC2sの一端は接続点P26に接続され、他端は整流・平滑回路211の一方の入力端子に接続されている。なお、整流・平滑回路211の他方の入力端子は、接続点P27に接続されている。
【0035】
[給電システム4の作用・効果]
(1.全体動作の概要)
この給電システム4では、給電装置1において、高周波電力発生回路112が送電部110内の送電コイルL1およびキャパシタC1に対して、電力伝送を行うための所定の高周波電力(交流信号)を供給する。これにより、送電部110内の送電コイルL1において磁界(磁束)が発生する。このとき、給電装置1の上面(給電面S1)に、給電対象機器(充電対象機器)としての電子機器2A,2Bが置かれる(または近接する)と、給電装置1内の送電コイルL1と電子機器2A,2B内の受電コイルL2とが、給電面S1付近にて近接する。
【0036】
このように、磁界(磁束)を発生している送電コイルL1に近接して受電コイルL2が配置されると、送電コイルL1から発生されている磁束に誘起されて、受電コイルL2に起電力が生じる。これにより、送電コイルL1側(1次側、給電装置1側、送電部110側)から受電コイルL2側(2次側、電子機器2A,2B側、受電部210側)に対して、電力伝送がなされる(図2図3中に示した電力P1参照)。
【0037】
すると、電子機器2A,2Bでは、受電コイルL2において受け取った交流電力が整流・平滑回路211および電圧安定化回路212へ供給され、以下の充電動作がなされる。すなわち、この交流電力が整流・平滑回路211によって所定の直流電力に変換された後、電圧安定化回路212によってこの直流電力に基づく電圧安定化動作がなされ、負荷22内のバッテリー(図示せず)への充電がなされる。このようにして、電子機器2A,2Bにおいて、受電部210において受け取った電力に基づく充電動作がなされる。
【0038】
すなわち、本実施の形態では、電子機器2A,2Bの充電に際し、例えばACアダプタ等への端子接続が不要であり、給電装置1の給電面S1上に置く(近接させる)だけで、容易に充電を開始させることができる(非接触給電がなされる)。これは、ユーザにおける負担軽減に繋がる。また、この非接触給電では、接点の磨耗による特性の劣化や、接点部に人が触れることによる感電の心配が無いなどのメリットがある。更に、例えば歯ブラシやシェーバーなどの水周りの機器に適用した場合には、接点の浸水による腐食を防止できるという利点もある。
【0039】
(2.2次側機器の検出動作等)
次に、図4図10を参照して、本実施の形態の給電装置1(送電装置11)における動作(給電対象機器としての電子機器2A,2B(2次側機器)の検出動作等)について説明する。図4は、この給電装置1における動作の一例を流れ図で表わしたものである。
【0040】
まず、給電装置1は、例えば制御端子(図示せず)の初期化等の所定の起動処理を行う(ステップS101)。
【0041】
次いで、電流・電圧検出部113(電流検出部113Iおよび電圧検出部113V)は、前述した手法にて、送電部110付近(高周波電力発生回路112の負荷側)における交流電流(電流I1)および交流電圧(電圧V1)をそれぞれ検出する(ステップS102)。
【0042】
次に、制御部114は、そのようにして電流・電圧検出部113により検出された電流Iおよび電圧V1を用いて、送電部110付近でのインピーダンスZ1(高周波電力発生回路112(スイッチングアンプ)の負荷インピーダンス;図3参照)を算出する(ステップS103)。具体的には、このインピーダンスZ1の絶対値|Z1|は、以下の(1)式により求めることができる。
|Z1|=(V1/I1) ……(1)
【0043】
続いて、制御部114は、上記のようにして算出されたインピーダンスZ1の変化を利用して、給電対象機器としての2次側機器(電子機器2A,2B)が近傍に存在するのか否かを、以下のようにして検出する。
【0044】
ここで、このような給電対象機器の検出は、具体的には例えば図5に示したように、所定の間隔(非検出期間(検出休止期間)Ts)を空けて間欠的に行うのが望ましい。仮にそのような検出を常時行うようにした場合、検出動作に要する電力消費量が増大してしまうからである。ただし、この非検出期間Tsを必要以上に長く設定し過ぎると、給電対象機器の検出に要する時間も掛かってしまう傾向にあるため、適切に設定する必要がある。これらの兼ね合いから、この給電対象機器の検出期間(検出期間Td)同士の間隔(非検出期間Ts)は、例えば手動あるいは自動で任意に制御可能となっているようにするのが望ましいと言える。
【0045】
上記した制御部114による給電対象機器(2次側機器)の検出は、具体的には以下のようにして行われる。すなわち、まず、例えば図6(A)中の符号G0で示したように、2次側機器が近傍に存在しない(無しの)ときには、インピーダンスZ1の絶対値|Z1|の周波数特性は、共振周波数f0のときにピークを示すものとなる。ここで、この共振周波数f0は、以下の(2)式および(3)式のように表すことができる。
f0=1/{2π×√(L1×C1)} ……(2)
C1=(C1s×C1p)/(C1s+C1p) ……(3)
【0046】
一方、図6(A)中の矢印P3L,P3Hおよび符号G1で示したように、2次側機器が近傍に存在する(有りの)ときには、インピーダンスZ1の絶対値|Z1|の周波数特性は、いわゆる双峰特性を示すようになる。すなわち、共振周波数f0の高周波側の周波数f1Hおよび低周波側の周波数f1Lにおいてそれぞれ、ピークを示すようになる。このため、例えば図6(A)中に示したように、これらの周波数f1H,f1L付近の周波数では、インピーダンスZ1の絶対値|Z1|の変化量ΔZ(2次側機器が無しのときから有りのときへの変化量)が、正の値となる(ΔZ>0)。
【0047】
このことを利用して、制御部114は、このインピーダンスZ1の絶対値|Z1|の増加量(変化量ΔZ)に基づいて、給電対象機器の有無を判断する。具体的には、制御部114は、インピーダンスの変化量ΔZ(>0)を所定の閾値ΔZthと比較することにより、給電対象機器の有無を判断する(ステップS104)。すなわち、この変化量ΔZ(増加量)が閾値ΔZthよりも大きい(ΔZ>ΔZth)ときには(ステップS104:Y)、2次側機器(給電対象機器)が近傍に存在する(有る)と判断する(ステップS106)。一方、この変化量ΔZ(増加量)が閾値ΔZth以下である(ΔZ≦ΔZth)ときには(ステップS104:N)、2次側機器(給電対象機器)が近傍に存在しない(無い)と判断する(ステップS105)。
【0048】
また、このとき、以下のようにして、給電対象機器とは異なる異物(異物金属)の有無についても判別することが可能である。すなわち、例えば図6(B)中の符号G0,G2および矢印P4で示したように、給電装置1(給電面S1)の近傍に異物金属が存在する(有る)場合、存在しない(無い)場合と比べ、インピーダンスZ1の絶対値|Z1|は減少する傾向にある(ΔZ<0)。これは、異物金属において渦電流が発生して電力を損失するためである。したがって、例えば上記した周波数f1H,f1L付近の周波数において、インピーダンスZ1の絶対値|Z1|が増加する変化を示すのか減少する変化を示すのか(変化量ΔZが正の値であるのか負の値であるのか)によって、そのような異物の有無も判別可能となる。これにより、無駄に電力を送電コイルL1に印加せずに済むと共に、異物金属の発熱のおそれ等を回避することも可能となる。
【0049】
なお、2次側機器が1次側機器の近傍に置かれたときの周波数f1H,f1L付近におけるインピーダンスZ1の絶対値|Z1|の値は、2次側機器の共振回路におけるQ値の大きさに依存する。すなわち、このQ値が高いほうが絶対値|Z1|の値が大きくなって検出し易くなるため、検出動作時には、2次側機器の負荷は極力高い抵抗値であることが望ましいと言える。
【0050】
ここで、制御部114は、制御信号CTLにおける周波数CTL(f)およびデューティ比CTL(D)のうちの少なくとも一方を制御することにより、インピーダンスZ1の絶対値|Z1|の変化量ΔZを調整するのが望ましい。これは、例えば上記した周波数f1H,f1L付近の周波数のように、給電対象機器が無しのときと有りのときとの|Z1|の差(変化量ΔZ)ができるだけ(最も)大きくなるようにすれば、検出感度が向上するためである。
【0051】
具体的には、例えば図6(A)に示したように、制御部114は、周波数f1H,f1L付近の周波数となるように、制御信号CTLにおける周波数CTL(f)を制御する。
【0052】
また、例えば図7(A),(B)に示したように、制御部114は、インピーダンスZ1の絶対値|Z1|の変化量ΔZができるだけ大きくなるように、制御信号CTLにおけるデューティ比CTL(D)を制御する。これは、以下の現象を利用して制御する。すなわち、例えば図8(A),(B)中の符号P51,P52で示したように、デューティ比CTL(D)=50%と相対的に高い場合(図7(A)に相当)と、デューティ比CTL(D)=10%と相対的に低い場合(図7(B)に相当)とでは、インピーダンスZ1の絶対値|Z1|における高調波成分の大きさが異なる。したがって、例えば図9中の符号G3L,G3Hおよび矢印P5L,5Hで示したように、制御部114は、デューティ比CTL(D)の変化に応じてインピーダンスZ1の絶対値|Z1|における高調波成分の大きさが変化することを考慮して、変化量ΔZを調整するのが望ましいと言える。
【0053】
ここで、ステップS106において2次側機器が近傍に存在すると判断された場合には、次に、給電装置1は、例えば所定の機器間認証を2次側機器(電子機器2A,2B)との間で行う(ステップS107)。そして、次に給電装置1は、前述した非接触による給電動作を行い、給電対象機器である電子機器2A,2Bの充電を行う(ステップS108)。すなわち、送電部110は、給電対象機器が検出された後に、その給電対象機器への電力伝送を開始する。この給電動作の際には、具体的には例えば図10に示したように、給電期間Tpと通信期間Tc(1次側機器と2次側機器との間での所定の通信動作を行う期間)とが、時分割で周期的になされるようになっている。
【0054】
次いで、給電装置1は、例えば図4に示した全体の処理を終了させるのか否かを判断する(ステップS109)。ここで、まだ終了させないと判断したときには(ステップS109:N)、次に給電装置1は、例えば予め設定された所定時間が経過したのか否かを判断する(ステップS110)。まだ所定時間が経過していないと判断したときには(ステップS110:N)、再びステップS108へと戻って給電動作を継続させる。一方、所定時間が経過したと判断したときには(ステップS110:Y)、再びステップS102へと戻り、2次側機器の検出動作を行う。このように、電流・電圧検出部113および制御部114は、電力伝送の開始後においても、給電対象機器の検出を定期的に実行するようにするのが望ましい。
【0055】
なお、全体の処理を終了させると判断したときには(ステップS109:Y)、図4に示した給電装置1における動作(全体の処理)が終了となる。
【0056】
このようにして本実施の形態では、送電部110付近でのインピーダンスZ1の変化を利用して、この送電部110による給電対象機器が近傍に存在するのか否かが検出される。これにより、例えば構成や手法等が複雑化することなく、給電対象機器の検出が可能となる。
【0057】
以上のように本実施の形態では、送電部110付近でのインピーダンスZ1の変化を利用して、この送電部110による給電対象機器が近傍に存在するのか否かを検出するようにしたので、例えば構成や手法等が複雑化することなく、給電対象機器の検出を行うことができる。よって、磁界を用いて電力伝送を行う際に、給電対象機器を利便良く検出することが可能となる。これにより、例えば送電コイルL1と受電コイルL2との結合係数が0.4程度以下となるような低い場合であっても、給電対象機器の検出を行うことが可能となる。
【0058】
また、例えば磁石や磁気センサといった回路の追加が不要であるため、コストやサイズを削減することができると共に、検出のための周波数を任意に設定することができるので、例えば自励式の発振回路以外においても適用することが可能となる。
【0059】
なお、例えば、自身の消費電力を計測する目的などで、既に給電装置内に電流や電圧を検出する回路を有している場合などには、電流・電圧検出部113を設けなくてもよく、その場合には追加のハードウェアが不要となる。
【0060】
<第2の実施の形態>
続いて、本開示の第2の実施の形態について説明する。なお、上記第1の実施の形態と同一の構成要素については同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0061】
[給電システム4Aの全体構成]
図11は、第2の実施の形態に係る給電システム(給電システム4A)の全体のブロック構成例を表したものである。本実施の形態の給電システム4Aもまた、磁界を用いて非接触に電力伝送を行う給電システムであり、給電装置1A(1次側機器)と、給電対象機器としての1または複数の電子機器(ここでは2つの電子機器2A,2B;2次側機器)とを備えている。すなわち、この給電システム4Aは、第1の実施の形態の給電システム4において、給電装置1の代わりに給電装置1Aを備えたものであり、他の構成は同様となっている。
【0062】
(給電装置1A)
給電装置1Aは、給電装置1と同様に、磁界を用いて電子機器2A,2Bに対して電力伝送を行うものである。この給電装置1Aは、送電部110、電源回路111、高周波電力発生回路112、電流・電圧検出部113A、制御部114およびキャパシタC1を有する送電装置11Aを備えている。すなわち、この送電装置1Aは、第1の実施の形態で説明した送電装置1において、電流・電圧検出部113の代わりに電流・電圧検出部113Aを設けたものとなっている。なお、電流・電圧検出部113Aおよび制御部114が、本開示における「検出部」の一具体例に対応している。
【0063】
電流・電圧検出部113Aは、第1の実施の形態で説明した交流電流(電流I1)および交流電圧(電圧V1)の代わりに、送電部110付近での直流電流(電流I2)および直流電圧(電圧V2)をそれぞれ検出するものである。この電流I2および電圧V2はそれぞれ、ここでは、電源回路111から高周波電力発生回路112へ供給される直流電流および直流電圧に対応している。
【0064】
そして、本実施の形態の制御部114では、送電部110付近におけるインピーダンスとして、第1の実施の形態で説明したインピーダンスZ1の代わりに、上記した直流電流(電流I2)および直流電圧(電圧V2)により求められる直流抵抗値R2を用いる。この直流抵抗値R2は、以下の(4)式により求められる。
R2=(V2/I2) ……(4)
【0065】
[給電システム4Aの作用・効果]
具体的には、例えば図12に示した本実施の形態の給電装置1A(送電装置11A)の動作例のように、制御部114は、第1の実施の形態で説明したインピーダンスZ1の絶対値|Z1|、その変化量ΔZおよびその閾値ΔZthの代わりに、上記した直流抵抗値R2、その変化量ΔRおよびその閾値ΔRthを用いる(ステップS202〜S204)。
【0066】
ここで、この直流抵抗値R2によって、高周波電力発生回路112(スイッチングアンプ)以降で消費される電力が決定される。一方、インピーダンスZ1の増加は送電部110へ流入する電流を低減させるので、送電部110での電力消費を低減させ、結果として直流抵抗値R2を増加させることになる。このため、直流抵抗値R2の大きさを判定することで、インピーダンスZ1の場合と同様に、2次側機器の有無を判断することが可能である。
【0067】
このとき、送電部110以外での電力消費が大きいとインピーダンスZ1の傾向と直流抵抗値R2の傾向が一致せず、2次側機器の検出精度を低下させる。このような送電部110以外での電力消費としては、コイル112Lやスイッチング素子(トランジスタ112T)による損失が大部分となる。これらによる電力損失を減らすには、損失の少ない素子を選択することに加え、電流の比率を低減させるために高い直流電圧での駆動や、スイッチングアンプの駆動デューティ比を低下させてスイッチング素子のオン期間を短くすることなどが考えられる。
【0068】
このようにして本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の作用により同様の効果を得ることが可能である。すなわち、磁界を用いて電力伝送を行う際に、給電対象機器を利便良く検出することが可能となる。
【0069】
なお、本実施の形態においても、場合によっては電流・電圧検出部113Aを設けなくてもよく、その場合には追加のハードウェアが不要となる。
【0070】
<変形例>
続いて、上記第1,第2の実施の形態に共通の変形例(変形例1〜6)について説明する。なお、これらの実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0071】
[変形例1,2]
図13(A)は、変形例1に係る検出期間Td1,Td2および非検出期間Tsをタイミング図で表わしたものであり、図13(B)は、変形例2に係る検出期間Td1,Td2および非検出期間Tsをタイミング図で表わしたものである。これらの変形例1,2では、以下説明するように、制御信号CTLにおける周波数(CTL(f))について、複数種類の値(ここでは、2種類の周波数f1,f2)を用いている。すなわち、制御部114は、制御信号CTLにおける周波数(CTL(f))について複数種類の値を用いて、インピーダンスの変化量を調整している。
【0072】
具体的には、図13(A)に示した変形例1では、制御部114は、給電対象機器の検出期間(検出期間Td1,Td2全体の期間)内で、2種類の値(周波数f1,f2)を1つずつ順次用いている。これにより、以下説明する図13(B)の手法と比べ、検出に要する時間を相対的に短くすることが可能となる。
【0073】
一方、図13(B)に示した変形例2では、制御部114は、給電対象機器の検出期間ごと(検出期間Td1,Td2のたび)に、2種類の値(周波数f1,f2)のうちの1つを選択的に用いている。これにより、上記した図13(A)の手法と比べ、検出動作の際の消費電力を相対的に少なくすることが可能となる。
【0074】
[変形例3,4]
図14(A)は、変形例3に係る検出期間Td1,Td3および非検出期間Tsをタイミング図で表わしたものであり、図14(B)は、変形例4に係る検出期間Td1,Td3および非検出期間Tsをタイミング図で表わしたものである。これらの変形例3,4では、以下説明するように、制御信号CTLにおけるデューティ比(CTL(D))について、複数種類の値(ここでは、2種類のデューティ比Duty1,Duty2)を用いている。
【0075】
具体的には、図14(A)に示した変形例3では、制御部114は、給電対象機器の検出期間(検出期間Td1,Td3)内で、2種類の値(デューティ比Duty,Duty2)を1つずつ順次用いている。これにより、以下説明する図14(B)の手法と比べ、検出に要する時間を相対的にくすることが可能となる。
【0076】
一方、図14(B)に示した変形例4では、制御部114は、給電対象機器の検出期間ごと(検出期間Td1,Td3のたび)に、2種類の値(デューティ比Duty,Duty2)のうちの1つを選択的に用いている。これにより、上記した図14(A)の手法と比べ、検出動作の際の消費電力を相対的に少なくすることが可能となる。
【0077】
[変形例5,6]
図15(A)は、変形例5に係る検出期間Td1,Td4および非検出期間Tsをタイミング図で表わしたものであり、図15(B)は、変形例6に係る検出期間Td1,Td4および非検出期間Tsをタイミング図で表わしたものである。これらの変形例5,6では、以下説明するように、制御信号CTLの周波数(CTL(f))およびデューティ比(CTL(D))の双方について、複数種類の値(ここでは、2種類の周波数f1,f2、および、2種類のデューティ比Duty1,Duty2)を用いている。すなわち、これらの変形例5,6は、上記した変形例1,2と変形例3,4とを組み合わせたものとなっている。
【0078】
具体的には、図15(A)に示した変形例5では、制御部114は、給電対象機器の検出期間(検出期間Td1,Td4)内で、2種類の値(周波数f1,f2およびデューティ比Duty,Duty2の各々)を1つずつ順次用いている。これにより、以下説明する図15(B)の手法と比べ、検出に要する時間を相対的にくすることが可能となる
【0079】
一方、図15(B)に示した変形例6では、制御部114は、給電対象機器の検出期間ごと(検出期間Td1,Td4のたび)に、2種類の値(周波数f1,f2およびデューティ比Duty,Duty2の各々)のうちの1つずつを選択的に用いている。これにより、上記した図15(A)の手法と比べ、検出動作の際の消費電力を相対的に少なくすることが可能となる。
【0080】
<その他の変形例>
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本開示の技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0081】
例えば、上記実施の形態等では、高周波電力発生回路の構成を具体的に挙げて説明したが、これには限られず、例えばハーフブリッジ回路やフルブリッジ回路を用いて構成してもよい。
【0082】
また、上記実施の形態等では、電流・電圧検出部の構成や検出動作を具体的に挙げて説明したが、これらには限られず、他の構成や検出動作としてもよい。
【0083】
更に、上記実施の形態等では、給電対象機器の一例として電子機器を挙げて説明したが、これには限られず、電子機器以外の給電対象機器(例えば、電気自動車等の車両など)であってもよい。
【0084】
加えて、上記実施の形態等では、給電装置および給電対象機器(電子機器等)の各構成要素を具体的に挙げて説明したが、全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を更に備えていてもよい。例えば、場合によっては、受電装置21内にも充電用のバッテリーを設けるようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施の形態等では、給電システム内に複数(2つ)の給電対象機器(電子機器)が設けられている場合を例に挙げて説明したが、この場合には限られず、給電システム内に1つの給電対象機器のみが設けられているようにしてもよい。
【0086】
更に、上記実施の形態等では、給電装置の一例として、携帯電話機等の小型の電子機器(CE機器)向けの充電トレーを挙げて説明したが、給電装置としてはそのような家庭用の充電トレーには限定されず、様々な給電対象機器(電子機器等)の充電器として適用可能である。また、必ずしもトレーである必要はなく、例えば、いわゆるクレードル等の電子機器用のスタンドであってもよい。
【0087】
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
磁界を用いて電力伝送を行う送電部と、
前記送電部による給電対象機器が近傍に存在するのか否かを検出する検出部と
を備え、
前記検出部は、前記送電部付近でのインピーダンスの変化を利用して、前記給電対象機器を検出する
給電装置。
(2)
前記検出部は、前記インピーダンスの増加量に基づいて、前記給電対象機器の有無を判断する
上記(1)に記載の給電装置。
(3)
前記検出部は、前記インピーダンスの増加量を所定の閾値と比較することにより、前記給電対象機器の有無を判断する
上記(2)に記載の給電装置。
(4)
前記検出部は、
前記インピーダンスの増加量が前記閾値よりも大きいときには、前記給電対象機器が近傍に存在すると判断すると共に、
前記インピーダンスの増加量が前記閾値以下であるときには、前記給電対象機器が近傍に存在しないと判断する
上記(3)に記載の給電装置。
(5)
前記検出部は、前記インピーダンスが減少する変化を示す場合には、前記給電対象機器とは異なる異物が近傍に存在すると判断する
上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の給電装置。
(6)
前記電力伝送を行うための高周波電力を発生する高周波電力発生部と、
所定の周波数およびデューティ比を有する制御信号を用いて、前記高周波電力発生部を駆動する制御部と
を備えた上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の給電装置。
(7)
前記制御部は、前記制御信号における前記周波数および前記デューティ比のうちの少なくとも一方を制御することにより、前記インピーダンスの変化量を調整する
上記(6)に記載の給電装置。
(8)
前記制御部は、前記周波数および前記デューティ比のうちの少なくとも一方について複数種類の値を用いて、前記インピーダンスの変化量を調整する
上記(6)または(7)に記載の給電装置。
(9)
前記制御部は、前記デューティ比の変化に応じて前記インピーダンスの周波数特性における高調波成分の大きさが変化することを考慮して、前記インピーダンスの変化量を調整する
上記(7)または(8)に記載の給電装置。
(10)
前記制御部は、前記給電対象機器の検出期間内で、前記複数種類の値を1つずつ順次用いる
上記(8)または(9)に記載の給電装置。
(11)
前記制御部は、前記給電対象機器の検出期間ごとに、前記複数種類の値のうちの1つを選択的に用いる
上記(8)または(9)に記載の給電装置。
(12)
前記高周波電力発生部が、スイッチング素子を含むスイッチングアンプを用いて構成され、
前記制御部は、前記制御信号を用いて、前記スイッチング素子のオン・オフ動作を制御する
上記(6)ないし(11)のいずれかに記載の給電装置。
(13)
前記検出部は、前記インピーダンスとして、前記スイッチングアンプの負荷インピーダンスを用いる
上記(12)に記載の給電装置。
(14)
前記送電部は、前記検出部によって前記給電対象機器が検出された後に、前記電力伝送を開始する
上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の給電装置。
(15)
前記検出部は、前記電力伝送の開始後においても、前記給電対象機器の検出を定期的に実行する
上記(14)に記載の給電装置。
(16)
前記検出部は、前記給電対象機器の検出を間欠的に行う
上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の給電装置。
(17)
前記給電対象機器の検出期間同士の間隔が、任意に制御可能となっている
上記(16)に記載の給電装置。
(18)
前記検出部は、前記インピーダンスとして、前記送電部付近での交流電流および交流電圧により求められるインピーダンスを用いる
上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の給電装置。
(19)
前記検出部は、前記インピーダンスとして、前記送電部付近での直流電流および直流電圧により求められる直流抵抗値を用いる
上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の給電装置。
(20)
1または複数の電子機器と、
前記電子機器に対して電力伝送を行う給電装置と
を備え、
前記給電装置は、
磁界を用いて前記電力伝送を行う送電部と、
前記送電部による給電対象機器としての前記電子機器が近傍に存在するのか否かを検出する検出部と
を有し、
前記検出部は、前記送電部付近でのインピーダンスの変化を利用して、前記給電対象機器を検出する
給電システム。
【符号の説明】
【0088】
1…給電装置(1次側機器)、11,11A…送電装置、110…送電部、111…電源回路、112…高周波電力発生回路、113,113A…電流・電圧検出回路、113I…電流検出部、113V…電圧検出部、114…制御部、2A,2B…電子機器(2次側機器)、21…受電装置、210…受電部、211…整流・平滑回路、212…電圧安定化回路、22…負荷、4,4A…給電システム、9…電力供給源、S1…送電面、L1…送電コイル、L2…受電コイル、C1,C2…キャパシタ(容量素子)、I1,I2…電流、V1,V2…電圧、Z1…インピーダンス、R2…直流抵抗値、CTL…制御信号、Td,Td1〜Td4…検出期間、Ts…非検出期間(検出休止期間)、Tp…給電期間、Tc…通信期間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15