(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液滴噴射装置が使用される状態において、前記カバーは、前記筐体に上下に回動自在に取り付けられるとともに、前記筐体を上から覆う閉姿勢と、この閉姿勢から上方へ回動した開姿勢の間で姿勢変更可能に構成されており、
前記廃液回収装置は、前記カバーに設けられてこのカバーと一体的に回動可能であり、
前記廃液回収部は、前記液体排出装置によって前記液滴噴射ヘッドから排出された廃液が導入される廃液導入部を有し、
前記第1接点は、前記廃液回収部の、前記廃液導入部よりも前記カバーの回動軸から離れた位置に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴噴射装置。
前記液滴噴射装置が使用される状態において、前記廃液回収装置は、前記筐体に上下に回動自在に取り付けられるとともに、前記液滴噴射ヘッドから排出された廃液を回収するときの通常姿勢と、前記通常姿勢から上方へ回動した退避姿勢の間で、姿勢変更可能に構成されており、
前記廃液回収部は、前記液体排出装置によって前記液滴噴射ヘッドから排出された廃液が導入される廃液導入部を有し、
前記第1接点は、前記廃液回収部の、前記廃液導入部よりも前記廃液回収装置の回動軸から離れた位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴噴射装置。
前記廃液回収部に、前記廃液導入部から前記第1接点へ液体が流れることを阻止する液体阻止部が設けられていることを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の液滴噴射装置。
前記筐体には、インクカートリッジが装着されるとともに前記インクカートリッジを検出するための装着検出センサを有するカートリッジ装着部と、前記装着検出センサの検出信号から前記インクカートリッジの装着状態を検出する装着検出基板とが設けられ、
前記装着検出基板に前記第2接点が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の液滴噴射装置。
前記カートリッジ装着部が、前記液滴噴射ヘッドの前記待機位置と前記搬送方向の下流側に隣接した位置に配置されるとともに、前記装着検出基板が前記カートリッジ装着部の上方に配置され、
前記カバーが閉姿勢にあるときに、前記廃液回収装置は、前記待機位置から前記装着検出基板の上方位置まで跨って配置され、
さらに、前記第2接点が設けられた前記装着検出基板が、前記廃液量の検出と前記カバーの開閉の検出とを行う、前記検出装置を兼ねていることを特徴とする請求項8に記載の液滴噴射装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように、筐体にカバーが開閉自在に取り付けられた装置では、カバーが開いたままで装置が使用されることがないように、カバーの開閉を検出するための専用のセンサを備えているのが普通である。しかしながら、このカバーの開閉検出を、装置に設けられている他のセンサを利用して行うことができれば、カバーの開閉検出用のセンサを省略して部品点数を減らすことができ、コスト低減等の面で有利である。
【0005】
本発明の目的は、カバーの開閉姿勢を他のセンサを利用して検出するように構成し、カバー開閉検出用のセンサを省略することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の液滴噴射装置は、液滴を噴射する液滴噴射ヘッドと、前記液滴噴射ヘッドが収容された筐体と、前記筐体に開閉自在に取り付けられたカバーと、前記液滴噴射ヘッドから液体を排出させる液体排出装置と、前記液体排出装置によって前記液滴噴射ヘッドから排出された廃液を回収する廃液回収部と、前記廃液回収部に回収された廃液の量を検出するための検出信号を出力する廃液量検出センサとを有する、廃液回収装置と、前記廃液量検出センサから出力される前記検出信号に基づいて、前記廃液回収部に回収された廃液量を検出する検出装置と、を備え、
前記筐体と前記カバーの一方には第1接点が設けられるとともに、この第1接点は前記廃液量検出センサと電気的に接続され、前記筐体と前記カバーの他方には、前記カバーが閉姿勢にあるときに前記第1接点と接触する第2接点が設けられ、この第2接点は前記検出装置と電気的に接続されており、
前記廃液量検出センサと前記検出装置とが、前記第1接点と前記第2接点との接触によって、電気的に接続され、
前記検出装置は、前記カバーが閉姿勢であって前記第1接点と前記第2接点が接触する状態で前記検出信号を受信して前記廃液量の検出を行うとともに、前記第1接点と前記第2接点とが接触しているか否かの情報から前記カバーの開閉をも検出することを特徴とするものである。
【0007】
カバーが閉姿勢にあるときには、廃液量検出センサに接続された第1接点と検出装置に接続された第2接点とが接触し、廃液量検出センサから出力された検出信号が検出装置に入力されて、廃液回収装置で回収された廃液量が検出装置で検出される。一方、カバーが開姿勢になったときには、第1接点と第2接点とが接触しなくなるから、廃液量検出センサから出力された検出信号が検出装置で受信されなくなる。即ち、検出装置は、廃液量検出センサから検出信号が入力されないことをもって、第1接点と第2接点とが離れていることを把握できることから、カバーが開姿勢にあることを検出できる。
この構成によれば、カバーの開閉を検出するための専用のセンサや回路が不要となることから、部品点数を減らしてコストを低減でき、また、装置の小型化も可能となる。
【0008】
第2の発明の液滴噴射装置は、前記第1の発明において、前記廃液回収部は、前記液体排出装置によって前記液滴噴射ヘッドから排出された廃液が導入される廃液導入部を有し、前記第1接点は、前記廃液回収部に取り付けられており、前記液滴噴射装置が使用される状態において、前記カバーが閉姿勢にあるときに、前記第1接点が、前記廃液導入部よりも上方の位置にあることを特徴とするものである。
【0009】
廃液回収部の、特に、廃液が導入される廃液導入部においては廃液が外部に漏れる虞があり、この漏れだした廃液が第1接点に付着すると誤検出につながる。本発明では、カバーが閉姿勢にあるときに、第1接点が廃液導入部よりも上方に位置するため、万が一、廃液導入部から廃液が漏れても、この廃液が第1接点に到達しにくい。
【0010】
第3の発明の液滴噴射装置は、前記第1又は第2の発明において、前記液滴噴射装置が使用される状態において、前記カバーは、前記筐体に上下に回動自在に取り付けられるとともに、前記筐体を上から覆う閉姿勢と、この閉姿勢から上方へ回動した開姿勢の間で姿勢変更可能に構成されており、前記廃液回収装置は、前記カバーに設けられてこのカバーと一体的に回動可能であり、前記廃液回収部は、前記液体排出装置によって前記液滴噴射ヘッドから排出された廃液が導入される廃液導入部を有し、前記第1接点は、前記廃液回収部の、前記廃液導入部よりも前記カバーの回動軸から離れた位置に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明では、廃液回収装置がカバーに設けられて、カバーとともに一体的に回動する構成である。その上で、第1接点が、廃液導入部よりも、カバーの回動軸から離れた位置に設けられていることから、カバーが開姿勢になったときに第1接点が上方に位置することになる。従って、カバーが開く際に、万が一、廃液導入部から廃液が漏れ出したとしても、その漏れ出した廃液が第1接点に付着しにくくなる。
【0012】
第4の発明の液滴噴射装置は、前記第1又は第2の発明において、前記液滴噴射装置が使用される状態において、前記廃液回収装置は、前記筐体に上下に回動自在に取り付けられるとともに、前記液滴噴射ヘッドから排出された廃液を回収するときの通常姿勢と、前記通常姿勢から上方へ回動した退避姿勢の間で、姿勢変更可能に構成されており、前記廃液回収部は、前記液体排出装置によって前記液滴噴射ヘッドから排出された廃液が導入される廃液導入部を有し、前記第1接点は、前記廃液回収部の、前記廃液導入部よりも前記廃液回収装置の回動軸から離れた位置に設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明では、廃液回収装置が筐体に対して上方に回動する構成であり、廃液回収装置を上方に回動した退避姿勢にすることで、筐体内に収容された装置の検査や取り替えが容易になる。この構成において、第1接点が、廃液導入部よりも、廃液回収装置の回動軸から離れた位置に設けられていることで、廃液回収装置が上方へ回動した退避姿勢を取ったときに、第1接点が上方に位置することになる。従って、廃液回収装置が上方へ回動したときに、万が一、廃液導入部から廃液が漏れ出したとしても、その漏れ出した廃液が第1接点に付着しにくくなる。
【0014】
第5の発明の液滴噴射装置は、前記第2〜第4の何れかの発明において、前記廃液回収部は、廃液を吸収する吸収体と、この吸収体を収容するケースとを有し、前記ケースの水平な一方向における一端部に、その内部の前記吸収体に廃液を導く前記廃液導入部が設けられるとともに、前記ケースの前記一方向における他端部に前記第1接点が設けられ、前記ケースの下面が、前記他端部から前記一端部に向かって、水平面に対して下方に傾いた傾斜面となっていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明では、ケースの下面が、廃液導入部が設けられている一端部側が、第1接点が設けられている他端部側よりも下になるように傾斜していることから、廃液導入部から漏れた廃液がケースの下面に付着しても、第1接点へ流れにくい。
【0016】
第6の発明の液滴噴射装置は、前記第2〜第5の何れかの発明において、前記廃液回収部に、前記廃液導入部から前記第1接点へ液体が流れることを阻止する液体阻止部が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
本発明では、廃液導入部から廃液が漏れても、液体阻止部によってこの漏れた廃液が第1接点へ流れることが阻止されるため、漏れだした廃液が第1接点に付着することが確実に防止される。
【0018】
第7の発明の液滴噴射装置は、前記第1〜第6の何れかの発明において、前記液滴噴射ヘッドは、水平面に沿って搬送される被記録媒体に対して、その搬送方向と交差する走査方向に移動しながらインクを噴射するものであり、前記液滴噴射ヘッドは、前記被記録媒体と対向する範囲から、前記走査方向に関して外側に外れた待機位置まで移動可能に構成され、前記廃液回収装置は前記筐体の上方を覆う前記カバーに取り付けられ、前記カバーが閉姿勢にあるときに前記待機位置の上方に位置することを特徴とするものである。
【0019】
本発明では、カバーが閉姿勢にあるときに、廃液回収装置が、被記録媒体の搬送領域から外れた、液滴噴射ヘッドの待機位置の上方に位置することから、万が一、廃液回収装置から廃液が漏れて落下しても、被記録媒体を汚すことがない。
【0020】
第8の発明の液滴噴射装置は、前記第7の発明において、前記筐体には、インクカートリッジが装着されるとともに前記インクカートリッジを検出するための装着検出センサを有するカートリッジ装着部と、前記装着検出センサの検出信号から前記インクカートリッジの装着状態を検出する装着検出基板とが設けられ、前記装着検出基板に前記第2接点が設けられていることを特徴とするものである。
【0021】
本発明では、装着検出センサの検出信号からインクカートリッジの装着状態を検出する、装着検出基板に、第2接点が設けられていることから、第2接点を筐体側に設けるために専用の基板を設置する必要がない。
【0022】
第9の発明の液滴噴射装置は、前記第8の発明において、前記カートリッジ装着部が、前記液滴噴射ヘッドの前記待機位置と前記搬送方向の下流側に隣接した位置に配置されるとともに、前記装着検出基板が前記カートリッジ装着部の上方に配置され、前記カバーが閉姿勢にあるときに、前記廃液回収装置は、前記待機位置から前記装着判別基板の上方位置まで跨って配置され、さらに、前記第2接点が設けられた前記装着検出基板が、前記廃液量の検出と前記カバーの開閉の検出とを行う、前記検出装置を兼ねていることを特徴とするものである。
【0023】
廃液回収装置が、液滴噴射ヘッドの待機位置から、インクカートリッジの装着検出を行う装着検出基板の上方にまで配置されており、この装着検出基板に、廃液回収装置側の第1接点と接触する第2接点が設けられている。その上で、装着検出基板が、インクカートリッジの装着検出だけでなく、回収した廃液量の検出、及び、カバーの開閉検出をも行う。これにより、廃液量検出のための専用の基板が不要となり、コスト削減及び装置の小型化が可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、廃液回収装置に回収された廃液量を検出する検出装置が、カバーの開閉をも検出する。従って、カバーの開閉を検出するための専用のセンサや回路が不要となり、部品点数を減らしてコストを低減でき、また、装置の小型化も可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタの斜視図である。尚、
図1に示される、インクジェットプリンタが使用されるときの設置状態において、上下、左右、前後の各方向が定義されている。また、
図2は、インクジェットプリンタの内部構成を概略的に示す平面図、
図3は、
図2のIII-III線におけるインクジェットプリンタの縦断面図、
図4は
図2のIV-IV線におけるインクジェットプリンタの縦断面図である。
【0027】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、プリンタ筐体2と、プリンタ筐体2に回動自在に取り付けられたカバー3を有する。
【0028】
(プリンタ筐体)
図2〜
図4に示すように、プリンタ筐体2には、記録用紙100に画像を記録するプリンタ部4と、プリンタ部4に記録用紙100を供給する給紙機構5と、プリンタ部4のインクジェットヘッド26のメンテナンスを行うメンテナンスユニット6とが収容されている。
【0029】
図3に示すように、プリンタ筐体2の上端部には、ジャム処理及び保守点検用の開口10が形成されるとともに、プリンタ筐体2の前端部には給紙機構5の給紙カセット23が装着される装着部11が設けられている。また、プリンタ筐体2の上端部の、前記開口10よりも前側の部分には前方に傾斜した面12が設けられ、この傾斜面12には、表示パネルや操作ボタン等を有する表示操作部13が配置されている。
【0030】
プリンタ筐体2の前記装着部11の右側には開閉蓋14が取り付けられ、この開閉蓋14の奥側にインクカートリッジ16が装着されるホルダ15が配置されている。このホルダは、4つのカートリッジ装着部15aを有し、これら4つのカートリッジ装着部15aには、4色(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)のインクを貯留する4つのインクカートリッジ16が、それぞれ取り外し可能に装着される。また、
図4に示すように、各カートリッジ装着部15aの内部には、インクカートリッジ16の装着を検出するための装着検出センサ17が取り付けられている。
【0031】
図3、
図4に示すように、プリンタ筐体2は、前壁内面から水平に延出した基板支持部18を有する。この基板支持部18には、プリンタ1の制御に関する様々な回路が組み込まれた制御基板19と、装着検出センサ17から出力された検出信号に基づいてインクカートリッジ16の装着検出を行う回路(装着検出回路64:
図6参照)が組み込まれた装着検出基板20がそれぞれ支持されている。また、制御基板19は装着部11の上方に設置される一方で、装着検出基板20はホルダ15の上方に設置されている。
【0032】
(カバー)
カバー3は、プリンタ筐体2の前記傾斜面12よりも後側に配置されるとともに、プリンタ筐体2に、その後端部に設けられた回動軸21を中心に上下に回動自在に取り付けられている。そして、カバー3は、プリンタ筐体2の前記開口10を閉止する水平な閉姿勢(
図3の実線で示す姿勢)と、この閉姿勢から上方へ回動した開姿勢(
図3の二点鎖線で示す姿勢)の間で、姿勢変更が可能である。また、詳細な説明は省略するが、このカバー3には、原稿に記録された画像等を取り込むイメージスキャナを備えたスキャナ22部が設けられており、本実施形態のインクジェットプリンタ1は、プリント、スキャン、コピー等を実行可能な複合機として構成されている。
【0033】
(給紙機構)
図3に示すように、給紙機構5は、プリンタ筐体2の装着部11に装着される給紙カセット23と、この給紙カセット23から記録用紙100を取り出すピックアップローラ24を有する。給紙カセット23は、積み重ねられた記録用紙100を保持するメイントレイ23aと、このメイントレイ23aの上方に設けられて、後述のプリンタ部4によって記録された記録用紙100が排出される排紙トレイ23bを有する。ピックアップローラ24は、メイントレイ23aの上方に配置され、プリンタ筐体2に設けられた回動軸を中心に回動自在に構成されており、給紙モータ56(
図6参照)によって駆動されることによって給紙カセット23のメイントレイ23aから記録用紙100を1枚ずつ取り出す。ピックアップローラ24によって取り出された記録用紙100は、給紙カセット23の先端部に設けられた傾斜面23cに沿って上方へ押し上げられ、プリンタ部4に供給される。
【0034】
(プリンタ部)
プリンタ部4は、給紙機構5の上方に配置されている。
図2、
図3に示すように、このプリンタ部4は、左右方向(走査方向)に往復移動可能なキャリッジ25と、キャリッジ25に搭載されたインクジェットヘッド26(液滴噴射ヘッド)と、記録用紙100を水平面に沿って前方(搬送方向)に搬送する搬送機構27等を有する。
【0035】
プリンタ筐体2内には、記録用紙100を支持するプラテン28が水平な姿勢で設置されている。
図2に示すように、このプラテン28の上方には走査方向に平行に延びる2つのガイドレール29,30が設けられている。そして、キャリッジ25は、キャリッジ駆動モータ54(
図6参照)によって駆動されることによって、プラテン28上の記録用紙100と対向する領域において2本のガイドレール29,30に沿って走査方向に移動する。
【0036】
インクジェットヘッド26は、プラテン28との間に隙間を有する状態でキャリッジ25の下部に取り付けられている。このインクジェットヘッド26の下面は複数のノズル31が開口した液滴噴射面26aとなっている。また、複数のノズル31は搬送方向に沿って配列されて、4色のインク(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)をそれぞれ噴射する4列のノズル列を構成している。また、キャリッジ25に搭載されたインクジェットヘッド26は、上述したホルダ15と4本のチューブ32(
図4参照)で接続されており、ホルダ15に装着された4つのインクカートリッジ16の4色のインクが、4本のチューブ32を介してインクジェットヘッド26にそれぞれ供給されるようになっている。
【0037】
また、インクジェットヘッド26は、キャリッジ25とともに、プラテン28上を搬送される記録用紙100と対向する範囲だけでなく、この範囲から左右外側に外れた位置まで移動可能である。特に、
図2、
図4に示すように、上記記録用紙100と対向する範囲よりも右側の位置は、インクジェットヘッド26を使用しないときにキャリッジ25が待機する待機位置であり、その待機位置に到達したときに、その下側に配置されている後述のメンテナンスユニット6と対向するようになっている。
【0038】
搬送機構27は、プラテン28及びキャリッジ25を挟むように前後に配置された2つの搬送ローラ対33,34を有する。これら2つの搬送ローラ対33,34は、搬送モータ55(
図6参照)によってそれぞれ駆動され、インクジェットヘッド26とプラテン28の間において記録用紙100を前方(搬送方向)へ搬送する。
【0039】
以上のプリンタ部4は、プラテン28上の記録用紙100に対して、キャリッジ25を走査方向(
図1の左右方向)に移動させつつインクジェットヘッド26からインクを噴射させる一方で、2つの搬送ローラ対33,34によって記録用紙100を搬送方向に搬送することにより、記録用紙100に所望の画像や文字を記録するように構成されている。
【0040】
(メンテナンスユニット)
図2、メンテナンスユニット6は、プラテン28の右側の位置、即ち、待機位置において待機しているインクジェットヘッド26と対向する位置に配置されている。このメンテナンスユニット6は、プリンタ筐体2の底面に固定されたメンテナンスベース35と、このメンテナンスベース35に取り付けられた、キャップ部材36、吸引ポンプ37、及び、ワイパー38等を有する。
【0041】
キャップ部材36は、モータ等の駆動源とギヤ等の動力伝達機構によって構成されたキャップ駆動部57(
図6参照)によって昇降駆動され、インクジェットヘッド26の液滴噴射面26aに密着することによって複数のノズル31の開口を覆う(キャッピング)。吸引ポンプ37はキャップ部材36に接続されており、キャップ部材36のキャッピング状態で、キャップ部材36内の空気を吸引して内部を減圧することで、複数のノズル31からキャップ部材36内へインクを強制的に排出する(吸引パージ)。
【0042】
この吸引パージによって、インクに混入している気泡や塵、あるいは、増粘したインク等を排出することで、ノズル31の噴射異常の発生を防止するとともに、噴射異常が発生した場合にはその噴射性能を回復させることが可能である。尚、吸引パージによってノズル31からキャップ部材36に排出されたインク(以下、廃液ともいう)は、廃液チューブ47によってメンテナンスベース35と接続された、次述の廃液回収装置40で回収される。尚、キャップ部材36とこのキャップ部材36に接続された吸引ポンプ37とが、インクジェットヘッド26からインクを排出させる本発明の液体排出装置に相当する。
【0043】
また、ワイパー38は、キャップ部材36の左側に設けられ、吸引パージ後にインクジェットヘッド26が待機位置からプラテン28側へ移動する際に、その液滴噴射面26aに付着したインクを拭き取る。
【0044】
(廃液回収装置)
次に、メンテナンスユニット6で発生した廃液を回収する廃液回収装置40について説明する。
図4に示すように、廃液回収装置40は、本実施形態においては、プリンタ筐体2に設けられるのではなく、このプリンタ筐体2に対して開閉するカバー3の下部に取り付けられており、カバー3と一体的に回動する構成となっている。また、カバー3が閉姿勢にあるときには、
図2に二点鎖線で示されるように、廃液回収装置40は、メンテナンスユニット6の上方の位置、即ち、待機位置にあるインクジェットヘッド26の上方に配置される。
【0045】
図5は、廃液回収装置40を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
図5に示すように、廃液回収装置40は、廃液を回収する廃液回収部41と、この廃液回収部41に回収された廃液の量を検出するための廃液量検出センサ42を有する。
【0046】
廃液回収部41は、多孔質物質からなり、廃液を吸収する廃液フォーム43(吸収体)と、この廃液フォーム43を収容する廃液ケース44とを有する。
図5(a)に示すように、廃液ケース44は、平面視矩形状のメイン収容部44aと、このメイン収容部44aから前方へ突出した突出収容部44bとを有し、廃液フォーム43は、前記メイン収容部44aと前記突出収容部44bの全域に充填されている。メイン収容部44aの後端部は、メンテナンスベース35と廃液チューブ47を介して接続される廃液導入部45であり、メンテナンスユニット6で発生した廃液が、この廃液導入部45から廃液ケース44内に導入され、さらに、廃液フォーム43によって吸収される。尚、廃液ケース44には、廃液導入部45よりも下側において、この廃液導入部45が設けられた後端面から水平に突出し、廃液導入部45から漏れ出た廃液を受け止める廃液受け46が設けられている。
【0047】
廃液量検出センサ42は、絶縁性の基板50とこの基板50の表面に形成された検出電極51を有し、前記突出収容部44bの前端部において、廃液ケース44の内壁面と廃液フォーム43の前端面との間の隙間に挿入されている。そして、この廃液量検出センサ42は、検出電極51に廃液が接触していない状態と、検出電極51に廃液が接触していない状態で、それぞれ異なる検出信号を出力する。より詳細には、基板50には、後述する廃液量検出回路65(
図6参照)から入力信号が入力される入力側の検出電極51aと、廃液量検出回路65へ検出信号を出力する出力側の検出電極51bが設けられ、これら2つの電極51a,51bはコンデンサC(
図7参照)を介して接続されている。
【0048】
廃液フォーム43の廃液吸収量が少ない場合には、廃液フォーム43の、廃液導入部45に近い部分にのみ廃液が吸収されており、廃液導入部45から遠く離れた突出収容部44b内の廃液フォーム43まで廃液は到達していない。その後、廃液量が増えるに従って、突出収容部44b内の廃液フォーム43にも廃液が吸収されていき、廃液吸収量が一定量を超えると、廃液導入部45から最も離れた位置にある廃液量検出センサ42の検出電極51a,51bに廃液が接触する。このとき、導電性を有する廃液によって2つの検出電極51a,51bの間が短絡することにより、出力側の検出電極51bから出力される検出信号が変化する。
【0049】
また、
図2、
図4に示すように、カバー3がプリンタ筐体2を上方から覆う閉姿勢にあるときに、廃液ケース44の突出収容部44bは、インクジェットヘッド26の待機位置よりも前方(搬送方向)に位置する装着検出基板20と上下に重なっている。即ち、廃液回収装置40は、インクジェットヘッド26の待機位置から装着検出基板20の上方の位置まで跨って配置されている。その上で、突出収容部44bの下面に、廃液量検出センサ42の2種類の検出電極51a,51bと電気的に導通した2つの第1接点52が設けられるとともに、
図4に示すように装着検出基板20にも2つの第2接点53が設けられており、カバー3が閉姿勢にあるときに、2つの第1接点52と2つの第2接点53とが互いに接触するようになっている。そして、廃液量検出センサ42から出力された検出信号は、第2接点53と電気的に接続された装着検出基板20の回路(廃液量検出回路65:
図6参照)に入力される。
【0050】
一方で、カバー3が閉姿勢から上方へ回動して開姿勢になると、第1接点52と第2接点53とが離れることから、廃液量検出センサ42の検出信号が、装着検出基板20に入力されなくなる。つまり、装着検出基板20の廃液量検出回路65は、検出信号の受信状態によって、第1接点52と第2接点53が接触しているか否かを把握でき、これにより、カバー3の開閉状態を検出することができるようになっている。この廃液量検出回路65については、後で具体的に説明する。
【0051】
尚、廃液ケース44は、特に、チューブ47が接続された廃液導入部45において廃液が外部に漏れる虞がある。特に、本実施形態では廃液回収装置40がカバー3と一体的に回動する構成であり、カバー3の開閉時にその振動によって廃液導入部45から廃液が漏れることが考えられる。そして、万が一、廃液導入部45から漏れ出した廃液が第1接点52に付着すると誤検出につながる。
【0052】
しかし、本実施形態では、廃液ケース44の後端部に廃液受け46が設けられ、万が一、廃液導入部45から廃液が漏れ出たとしても、この廃液受け46によって受け止められるようになっている。従って、廃液導入部45から漏れ出た廃液が、廃液ケース44の下面を伝って第1接点52へ流れることが阻止される。即ち、廃液受け46が本発明の液体阻止部に相当する。さらに、廃液ケース44の、カバー3の回動軸21側の端部(後端部)に廃液導入部45が設けられるとともに、回動軸21と反対側の端部(前端部)に第1接点52が設けられている。即ち、第1接点52が、廃液導入部45よりも、カバー3の回動軸21から離れた位置にあることから、
図4の二点鎖線で示すようにカバー3が開姿勢となったときに、第1接点52が上方に位置することになり、カバー3が開く際に廃液導入部45から漏れだした廃液が、第1接点52に付着しにくくなる。
【0053】
(プリンタの電気的構成)
図6は、プリンタ1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図6に示すように、プリンタ1は、上述したプリンタ1の各部の動作を制御する制御基板19と、インクカートリッジ16の装着検出を行うための装着検出基板20とを有する。制御基板19には、外部装置であるPC70や表示操作部13から、記録動作に関する各種信号が入力される。
【0054】
制御基板19には、インクジェットヘッド26等による記録動作を制御する記録制御回路60、給紙機構5による給紙動作を制御する給紙制御回路61、メンテナンスユニット6によるメンテナンス動作(吸引パージ等)を制御するメンテナンス制御回路62、及び、スキャナ部による画像取込動作を制御するスキャナ制御回路63等、種々の回路が組み込まれている。
【0055】
装着検出基板20は、上記の制御基板19と、フラットケーブル等の配線材によって接続されている。この装着検出基板20には、装着検出センサ17から出力された信号に基づいて、カートリッジ装着部15aへのインクカートリッジ16の装着状態を検出する装着検出回路64が組み込まれている。さらに、装着検出基板20には、カバー3に設けられた廃液回収装置40の廃液量検出センサ42から出力される検出信号に基づいて、廃液回収部41に回収された廃液量を検出する廃液量検出回路65も組み込まれている。そして、廃液量検出回路65によって、廃液回収部41に回収された廃液量が一定量を超えたことが検出されたときには、制御基板19は、表示操作部13あるいはPC70に、廃液フォーム43がほぼ満液状態であることを示す信号を送り、廃液フォーム43の交換を促す警告メッセージを表示させる。
【0056】
ここで、先にも少し触れたように、装着検出基板20の廃液量検出回路65は、廃液回収装置の廃液量の検出を行うだけでなく、カバー3側の第1接点52とプリンタ筐体2側の第2接点53とが接触しているか否かを把握し、その情報からカバー3の開閉状態をも検出するようになっている。即ち、装着検出基板20が本発明の検出装置に相当する。以下、廃液量検出回路65による、廃液量検出、及び、カバー3の開閉検出について、具体的な構成を例示して説明する。
【0057】
(廃液量検出回路の詳細)
図7は、廃液量検出回路65の回路図、
図8は、廃液量検出センサ42の入出力信号の波形に関する図である。
図7に示すように、廃液量検出回路65は、2つの反転器71,72、2つの抵抗R1,R2、及び、比較器73が直列に接続された回路構成を有する。この廃液量検出回路65の入力側(IN)には、
図8(a)〜(c)のそれぞれ上段に示されるような、矩形パルスの入力信号が入力される。そして、反転器71の出力が、第1接点52及び第2接点53を介して、廃液量検出センサ42の入力側検出電極51aに入力される。また、廃液量検出センサ42の出力側検出電極51bから出力された検出信号は、第1接点52及び第2接点53を介して、比較器73に入力される。そして、比較器73は、検出信号(検出電極51bの電圧Vb)を基準電圧Vrefと比較して、基準電圧Vref以上である場合にはLを出力し、基準電圧Vref未満である場合にはHを出力する。即ち、比較器73は、検出信号Vbを矩形パルスに変換して出力する。そして、廃液量検出回路65は、比較器73の出力波形(OUT)から、カバー3の開閉状態の検出と、カバー3が閉姿勢にあるときの廃液量の検出を行う。
【0058】
図8(a)、(b)のカバー3が閉のときには、第1接点52と第2接点53とが接触していることから、廃液量検出センサ42に矩形パルスの入力信号が入力されるとともに、廃液量検出センサ42から検出信号Vbが廃液量検出回路65へ出力される。ここで、検出信号Vbの波形は、検出電極51a、51b間のコンデンサCの影響により、図に示すように、入力信号の矩形パルス波形とは異なった波形で出力される。
【0059】
図8(a)の、廃液回収量が少ない状態では、検出信号Vbはパルス波形ではないものの、同一波形を繰り返す波形であり、比較器73によって矩形波に変換された後の、出力波形は、パルス幅が一定であって、入力信号とは位相がずれたパルス波形となる。
【0060】
一方、
図8(b)の、廃液回収量が一定量を超えた状態(ほぼ満液の状態)では、廃液量検出センサ42に付着した廃液によって2つの検出電極51a,51bの間が短絡することになるが、この状態は、
図7に二点鎖線で示されるように、2つの検出電極51a,51bを短絡させる、電気抵抗Rの短絡線で表現することができる。このように、抵抗RがコンデンサCと並列に存在することによって時定数が変化する。従って、
図8(a)とは検出信号Vbの波形が異なったものとなり、比較器73の出力波形はパルス幅が不規則な波形となる。
【0061】
一方、カバー3が開のときには第1接点52と第2接点53とが離れており、入力信号が廃液量検出センサ42に入力されず、廃液量検出センサ42の検出信号Vbも廃液量検出回路65に入力されない。即ち、
図8(c)のように、矩形パルスの入力信号が、2つの反転器71,72を通って比較器73に入力されるだけであり、比較器73の出力波形は、入力信号とは同位相のパルス波形となる。
【0062】
このように、
図8(a)〜(c)で、出力波形(OUT)がそれぞれ異なることになるから、廃液量検出回路65は、これらの出力波形の違いから、カバー3の開閉状態を判別するとともに、カバー3が閉の場合には廃液フォーム43に回収された廃液量を検出できる。
【0063】
以上説明した実施形態では、カバー3が閉姿勢にあるときには、廃液量検出センサ42に接続された第1接点52と第2接点53とが接触し、廃液量検出センサ42から出力された検出信号に基づいて、廃液量検出回路65は回収された廃液量を検出できる。一方、カバー3が開姿勢になったときには、第1接点52と第2接点53とが接触しなくなるから、廃液量検出センサ42から出力された検出信号が廃液量検出回路65で受信されなくなる。即ち、廃液量検出回路65は、廃液量検出センサ42から検出信号が送られないことをもって、第1接点52と第2接点53とが離れていることを把握でき、カバー3が開姿勢にあることを検出できる。従って、カバー3の開閉を検出するための専用のセンサや回路が不要となることから、部品点数を減らしてコストを低減でき、また、プリンタ1の小型化も可能となる。
【0064】
また、本実施形態では、廃液ケース44に、廃液導入部45の下側に位置して、廃液導入部45から漏れ出した廃液を受ける廃液受け46が設けられている。そのため、廃液導入部45から廃液が漏れ出した場合でも、その廃液が第1接点52へ流れることが阻止される。また、第1接点52が、廃液ケース44の、廃液導入部45よりもカバー3の回動軸21から離れた位置に設けられていることから、カバー3が開姿勢であるときに、第1接点52が上方に位置するために廃液導入部45から漏れ出した廃液が第1接点52へ流れにくくなって、第1接点52に廃液が付着しにくくなる。
【0065】
また、本実施形態では、カバー3に取り付けられた廃液回収装置40は、カバー3が閉姿勢にあるときに、インクジェットヘッド26の待機位置の上方に位置することから、廃液回収装置40が記録用紙100とは対向せず、万が一、廃液回収装置40から廃液が落下したとしても、プラテン28上を搬送される記録用紙100を汚すことがない。
【0066】
また、プリンタ筐体2側の第2接点53は、装着検出センサ17の検出信号からインクカートリッジ16の装着状態を検出する、装着検出基板20に設けられていることから、第2接点53をプリンタ筐体2側に設けるために専用の基板を設置する必要がない。また、インクカートリッジ16の装着状態検出を主に行う装着検出基板20は、様々な制御を行うための回路部品が実装されたプリンタ1の制御基板19と比べて小さいため、カバー3を閉めたときに第2接点53の位置に局所的に力を受けても撓みにくく、第1接点52との間における接続信頼性は高い。さらに、装着検出基板20は、制御基板19に比べて実装される回路部品が少ないため、配線数が少ない。そのため、装着検出基板20の配線間隔を、制御基板19と比べて大きくすることができ、万が一、廃液回収装置40から装着検出基板20の上に廃液が落下しても、配線間の短絡が生じにくい。
【0067】
さらに、この装着検出基板20に廃液量検出回路65が組み込まれ、装着検出基板20によって、インクカートリッジ16の装着検出だけでなく、廃液回収装置40の廃液量の検出、及び、カバー3の開閉検出が行われる。これにより、廃液量検出用の基板が不要となり、コスト削減及び装置の小型化が可能となる。
【0068】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0069】
1]前記実施形態では、インクカートリッジ16の装着検出のための装着検出基板20に第2接点53が設けられ、さらに、この装着検出基板20に、廃液量検出とカバー3の開閉検出を行う廃液量検出回路65が組み込まれていたが、本発明はこのような構成には限られない。例えば、プリンタ1の制御基板19(
図6参照)などの、装着検出基板20とは別の基板に設けられてもよい。また、第2接点53が装着検出基板20に設けられている必要もなく、装着検出基板20以外の基板に設けられていてもよい。
【0070】
2]上記のプリンタ1は、カバー3が閉姿勢の状態で使用され、また、電源の入っていない未使用時においてもカバー3は通常は閉姿勢となっている。つまり、カバー3は、紙ジャム等や部品の交換等の特殊な状況においてのみ開放されるものであり、カバー3が開姿勢となっている期間は閉姿勢と比べると非常短いと考えられる。そこで、カバー3の基本姿勢である、閉姿勢のときに、廃液導入部45から漏れ出した廃液が第1接点52へ流れないように、
図9に示すように、第1接点52が、廃液回収部41の、廃液導入部45よりも高い位置に設けられていることが好ましい。
【0071】
3]
図10のように、廃液ケース44の下面44cが、第1接点52が設けられた前端部から、廃液導入部45が設けられた後端部に向かって、水平面に対して下方に傾いた傾斜面であってもよい。この場合、廃液導入部45から漏れ出した廃液が廃液ケース44の下面に付着しても、傾斜した下面44cに沿って流れ落ちることから、第1接点52に廃液が付着しにくい。尚、
図10の構成では、傾斜面が存在することによって、廃液回収装置40からプリンタ筐体2の底面に廃液が落下しやすくなるため、プリンタ筐体2の底面に、廃液回収装置40から落下した廃液を吸収するためのフォーム48(吸収体)が敷かれていてもよい。
【0072】
3]前記実施形態では、プリンタ筐体2に対して開閉するカバー3に廃液回収装置40が設けられていたが、
図11に示すように、プリンタ筐体2側に廃液回収装置40が設けられてもよい。この場合には、プリンタ筐体2側に、廃液回収装置40の廃液量検出センサ42と接続された第1接点52が設けられる一方、カバー3側に第1接点52と接触可能な第2接点53が設けられる。
【0073】
尚、この廃液回収装置40は、プリンタ筐体2に固定的に設けられてもよいが、
図11のように、回動軸80を中心に、廃液回収装置40がプリンタ筐体2に回動自在に取り付けられ、廃液を回収するときの通常姿勢(
図11に示す水平な姿勢)と、この通常姿勢から上方へ回動した退避姿勢とにわたって姿勢変更可能な構成としてもよい。特に、廃液回収装置40が、インクジェットヘッド26等の、プリンタ筐体2内部の構成部品の上方に配置される場合に、廃液回収装置40を上方へ回動させて前記構成部品から退避させることが可能となり、交換や修理などのメンテナンス性が向上する。そして、このように、廃液回収装置40が回動する構成である場合には、前記実施形態の廃液回収装置40がカバー3と一体的に回動する構成(
図4)と同様に、上方へ回動したときに廃液導入部45から漏れ出した廃液が第1接点52へ流れることを防止するために、第1接点52が、廃液導入部45よりも、廃液回収装置40の回動軸80から離れた位置に設けられていることが好ましい。
【0074】
4]第1接点52は廃液回収装置40に取り付けられている必要はなく、廃液量検出センサ42と電気的に接続されていれば、カバー3、又は、プリンタ筐体2の、廃液回収装置40から離れた位置に取り付けられていてもよい。
【0075】
5]第1接点52は、カバー3とプリンタ筐体2のうち、廃液回収装置40と同じ側に設けられている必要はない。例えば、カバー3とプリンタ筐体2の一方に第1接点52が設けられた基板が取り付けられるとともに、カバー3とプリンタ筐体2の他方に廃液回収装置40が取り付けられ、廃液回収装置40の廃液量検出センサ42と、第1接点52が設けられた基板とが、フラットケーブル等の可撓性の配線基板で接続されていてもよい。同様に、第2接点53も、カバー3とプリンタ筐体2のうち、廃液量検出回路65が組み込まれた基板と同じ側に設けられている必要はない。例えば、カバー3とプリンタ筐体2の一方に第2接点53が設けられた基板が取り付けられるとともに、カバー3とプリンタ筐体2の他方に廃液量検出回路65が設けられた基板が取り付けられ、これら2つの基板が、フラットケーブル等の可撓性の配線基板で接続されていてもよい。
【0076】
6]前記実施形態では、廃液導入部45から漏れ出した廃液が第1接点52に流れないようにする液体阻止部として、廃液導入部45の下側に設けられた廃液受け46が例示されているが、これ以外にも様々な構成を採用することができる。例えば、廃液導入部45から流れてきた廃液から第1接点52を保護する部材であってもよい。一例を挙げると、カバー3が閉姿勢にあるときには第1接点52から離れて退避しており、カバー3が回動して開姿勢になるときに、そのカバー3の回動に連動して退避位置から移動して第1接点52を覆う、接点保護カバーであってもよい。
【0077】
7]インクジェットヘッド26からのインク排出(廃液発生)の形態は、上述したキャップ部材36と吸引ポンプ37による吸引パージには限られない。例えば、インクジェットヘッド26の上流のインク供給系統に加圧ポンプが設けられ、この加圧ポンプによってインクを加圧してインクジェットヘッド26へ供給することにより、インクジェットヘッド26のノズル31から強制的にインクを排出される(加圧パージ、あるいは、押しパージともいう)ものであってもよい。あるいは、ノズル31内のインクの乾燥防止のために、インクジェットヘッド26のノズル31から液滴を何回か噴射させる、いわゆる、フラッシングであってもよい。
【0078】
8]前記実施形態のインクジェットヘッド26は、走査方向に移動しながら記録用紙にインクを噴射する、いわゆる、シリアルタイプのインクジェットヘッドであったが、記録用紙の全幅に対応するノズル列を有し、画像記録時には位置が固定された状態で記録用紙にインクを噴射する、いわゆる、ラインタイプのインクジェットヘッドであってもよい。
【0079】
以上説明した実施形態及びその変更形態は、液滴噴射装置の一種である、インクを噴射するインクジェットヘッドに本発明を適用した例であるが、本発明の適用対象はこれには限られない。即ち、噴射される液体の種類、用途、技術分野に関係なく、本発明を適用することが可能である。