特許第5794090号(P5794090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794090
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20150928BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   B41J29/38 Z
   G06F3/12 322
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-223778(P2011-223778)
(22)【出願日】2011年10月11日
(65)【公開番号】特開2013-82134(P2013-82134A)
(43)【公開日】2013年5月9日
【審査請求日】2014年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】グェンバン タィン
【審査官】 名取 乾治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−156371(JP,A)
【文献】 特開平11−282782(JP,A)
【文献】 特開2006−253288(JP,A)
【文献】 特開2009−176191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G06F 3/12
H04N 1/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバと接続する接続部と、
前記管理サーバから印刷指示を受信する受信部と、
印刷指示を受信したときに、前記管理サーバに接続されている印刷装置のうち、自装置と同じ名称の印刷装置が存在するか否かを判断する判断部と、
印刷指示された印刷ジョブを取得する取得部と、
前記取得部により取得された印刷ジョブについて印刷を行う印刷部と、
印刷ジョブについて印刷開始を指示する指示部と、
自装置と同じ名称の印刷装置が存在すると前記判断部が判断した場合、前記指示部により印刷開始が指示されるまで、前記取得部により取得された印刷ジョブについて印刷を行うことを禁止する印刷禁止部を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷禁止部は、前記自装置と同じ名称の印刷装置が自装置と同じローカルエリアネットワーク内にある場合、印刷を禁止しないことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷禁止部は、前記自装置と同じ名称の印刷装置が過去に印刷したことのある印刷装置である場合、印刷を禁止しないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記管理サーバに接続している印刷装置の範囲内で、自装置と同じ名称の印刷装置が存在するか否かを判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
アカウント情報を記憶する記憶部を備え、
前記判断部は、前記記憶部に記憶されたアカウント情報が示すアカウントと同じアカウントを有する印刷装置の範囲内で、自装置と同じ名称の印刷装置が存在するか否かを判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
前記印刷禁止部が印刷を禁止する場合、印刷が禁止されたことを通知する通知部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項7】
管理サーバと接続する接続部と、
前記管理サーバから印刷指示を受信する受信部と、
印刷指示を受信したときに、前記管理サーバに接続されている印刷装置のうち、自装置と同じ名称の印刷装置が存在するか否かを判断する判断部と、
印刷指示された印刷ジョブを取得する取得部と、
前記取得部により取得された印刷ジョブについて印刷を行う印刷部と、
印刷ジョブについて印刷開始を指示する指示部と、
自装置と同じ名称の印刷装置が存在すると前記判断部が判断した場合、前記指示部により印刷開始が指示されるまで、前記取得部が印刷ジョブを取得することを禁止する取得禁止部を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記管理サーバから印刷ジョブを取得することを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
印刷指示を送信する送信部を備える管理サーバと、前記管理サーバから印刷指示を受信する受信部と、印刷ジョブについて印刷を行う印刷部とを備える印刷装置とがネットワークに接続されている印刷システムにおいて、
印刷指示を受信したときに、前記管理サーバに接続されている印刷装置のうち、自装置と同じ名称の印刷装置が存在するか否かを判断する判断部と、
印刷指示された印刷ジョブを取得する取得部と、
印刷ジョブについて印刷開始を指示する指示部と、
自装置と同じ名称の印刷装置が存在すると前記判断部が判断した場合、前記指示部により印刷開始が指示されるまで、前記取得部により取得された印刷ジョブについて印刷を行うことを禁止する印刷禁止部を備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
印刷指示を送信する送信部を備える管理サーバと、前記管理サーバから印刷指示を受信する受信部と、印刷ジョブについて印刷を行う印刷部とを備える印刷装置とがネットワークに接続されている印刷システムにおいて、
印刷指示を受信したときに、前記管理サーバに接続されている印刷装置のうち、自装置と同じ名称の印刷装置が存在するか否かを判断する判断部と、
印刷指示された印刷ジョブを取得する取得部と、
印刷ジョブについて印刷開始を指示する指示部と、
自装置と同じ名称の印刷装置が存在すると前記判断部が判断した場合、前記指示部により印刷開始が指示されるまで、前記取得部が印刷ジョブを取得することを禁止する取得禁止部を備えることを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び印刷装置をネットワークで接続し、情報処理装置から印刷制限サーバを経由して印刷装置に印刷ジョブを投入することにより、印刷を実行する印刷装置及び印刷システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、一台以上の情報処理装置及び印刷装置をネットワークで接続し、情報処理装置から印刷制限サーバを経由して印刷装置に印刷ジョブを投入することにより、印刷を実行する印刷システムがある。この印刷システムでは、ユーザが印刷装置を利用する際、情報処理装置から印刷制限サーバに問い合わせを行い、印刷上限枚数を超えていないことを条件に、印刷制限サーバにより印刷が許可される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−330686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、情報処理装置から指定できる印刷装置が複数あると、同じ名称の印刷装置が複数あるという状況が起こりうる。このため、ユーザが意図する印刷装置と異なる同じ名称の印刷装置に印刷ジョブを投入し、印刷が実行された結果、印刷物が印刷装置に放置されてしまうという問題があった。
【0005】
そこで、同じ名称の印刷装置のうちユーザの意図しない印刷装置において、印刷物が印刷装置に放置されることを防止することができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされた印刷装置は、管理サーバと接続する接続部と、管理サーバから印刷指示を受信する受信部と、印刷指示を受信したときに、前記管理サーバに接続されている印刷装置のうち、同じ名称の印刷装置が存在するか否かを判断する判断部と、印刷指示された印刷ジョブを取得する取得部と、取得部により取得された印刷ジョブについて印刷を行う印刷部と、印刷ジョブについて印刷開始を指示する指示部と、同じ名称の印刷装置が存在すると判断部が判断した場合、指示部により印刷開始が指示されるまで、取得部により取得された印刷ジョブについて印刷を行うことを禁止する印刷禁止部を備えることを特徴とする。
【0007】
この印刷装置では、印刷指示を受信し、印刷指示された印刷ジョブについて印刷を行う。しかし、自装置と同じ名称の印刷装置が存在する場合、自装置と同じ名称の他の印刷装置と、自装置とを誤ってユーザが印刷指示をすることがある。このため、自装置と同じ名称の他の印刷装置がある場合、印刷ジョブについて印刷を行うことを禁止し、指示部から印刷指示をしなければ印刷ジョブについて印刷が行わない。
【0008】
この構成によれば、同じ名称の印刷装置が複数存在しても、ユーザの意図しない印刷装置において、印刷が行われ、印刷物が印刷装置に放置されることを防止することができる。
【0009】
また、印刷禁止部は、同じ名称の印刷装置が同じネットワーク内にある場合、印刷を禁止しないようにしてもよい。
【0010】
この構成によれば、同じ名称の印刷装置が同一のネットワーク内に存在すると判断する場合、印刷を許可する。また、同一のネットワーク内に存在する場合、指示部から印刷指示なしで印刷をするので、印刷指示をするのにかかるユーザの手間を軽減することができる。このため、印刷物から情報が漏洩する可能性が小さくしつつ、ユーザの利便性を増すことができる。
【0011】
また、印刷禁止部は、過去に印刷したことのある印刷装置である場合、印刷を禁止しないようにしてもよい。
【0012】
この構成によれば、過去に印刷したことのある印刷装置であれば、ユーザが印刷装置の位置を把握している可能性が高いため印刷物が印刷装置に放置される可能性が小さいから、過去に印刷をしたことのある印刷装置であると判断する場合、印刷を許可する。また、過去に印刷をしたことのある印刷装置である場合、指示部から印刷指示なしで印刷をするので、印刷指示をするのにかかるユーザの手間を軽減することができる。このため、印刷物から情報が漏洩する可能性が小さくしつつ、ユーザの利便性を増すことができる。
【0013】
また、判断部は、管理サーバに接続している印刷装置の範囲内で、同じ名称の印刷装置が存在するか否かを判断するようにしてもよい。
【0014】
この構成によれば、同じ名称の印刷装置が存在するか否かの判断をする範囲を、管理サーバに接続している印刷装置に限定することにより、判断の効率を向上させることができる。
【0015】
また、アカウント情報を記憶する記憶部を備え、判断部は、記憶部に記憶されたアカウント情報が示すアカウントと同じアカウントを有する印刷装置の範囲内で、同じ名称の印刷装置が存在するか否かを判断するようにしてもよい。
【0016】
この構成によれば、同じ名称の印刷装置が存在するか否かの判断をする範囲を、同じアカウントを有する印刷装置に限定することにより、判断の効率を向上させることができる。
【0017】
また、印刷禁止部が印刷を禁止する場合、印刷が禁止されたことを通知する通知部を備えるようにしてもよい。
【0018】
この構成によれば、ユーザは、印刷装置に印刷ジョブを投入したが、印刷が禁止されることを知ることができる。
【0019】
また、この課題の解決を目的としてなされた印刷装置は、管理サーバと接続する接続部と、管理サーバから印刷指示を受信する受信部と、印刷指示を受信したときに、同じ名称の印刷装置が存在するか否かを判断する判断部と、印刷指示された印刷ジョブを取得する取得部と、取得部により取得された印刷ジョブについて印刷を行う印刷部と、印刷ジョブについて印刷開始を指示する指示部と、自装置と同じ名称の印刷装置が存在すると判断部が判断した場合、指示部により印刷開始が指示されるまで、取得部が印刷ジョブを取得することを禁止する取得禁止部を備えることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、同じ名称の印刷装置が複数存在しても、ユーザの意図しない印刷装置において、印刷が行われ、印刷物が印刷装置に放置されることを防止することができる。
【0021】
また、取得部は、管理サーバから印刷ジョブを取得するようにしてもよい。
【0022】
この構成によれば、管理サーバから印刷ジョブを取得することを禁止すると、管理サーバに印刷ジョブがあり、印刷装置には印刷ジョブがない状態となる。このため、印刷装置から印刷ジョブを抜き取る等の行為を防止することになり、印刷ジョブのセキュリティーが向上する。
【0023】
また、印刷指示を送信する送信部を備える管理サーバと、管理サーバから印刷指示を受信する受信部と、印刷ジョブについて印刷を行う印刷部とを備える印刷装置とがネットワークに接続されている印刷システムにおいて、印刷指示を受信したときに、同じ名称の印刷装置が存在するか否かを判断する判断部と、印刷指示された印刷ジョブを取得する取得部と、印刷ジョブについて印刷開始を指示する指示部と、自装置と同じ名称の印刷装置が存在すると判断部が判断した場合、指示部により印刷開始が指示されるまで、取得部により取得された印刷ジョブについて印刷を行うことを禁止する印刷禁止部を備える印刷システムを含む。
【0024】
また、印刷指示を送信する送信部を備える管理サーバと、管理サーバから印刷指示を受信する受信部と、印刷ジョブについて印刷を行う印刷部とを備える印刷装置とがネットワークに接続されている印刷システムにおいて、印刷指示を受信したときに、同じ名称の印刷装置が存在するか否かを判断する判断部と、印刷指示された印刷ジョブを取得する取得部と、印刷ジョブについて印刷開始を指示する指示部と、自装置と同じ名称の印刷装置が存在すると判断部が判断した場合、指示部により印刷開始が指示されるまで、取得部が印刷ジョブを取得することを禁止する取得禁止部を備えることを特徴とする印刷システムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1〜4実施形態に共通するプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1〜4の実施形態に共通する印刷システムの動作概略を示すブロック図である。
図3】本発明の第1〜3の実施形態に共通する印刷処理の手順を示すフローチャートである。
図4】本発明の第1〜4実施形態に共通するプリンタリストの一例を示す図面である。
図5】本発明の第1実施形態おける印刷禁止判断処理の手順を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1実施形態おける印刷指示受付処理の手順を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態おける印刷禁止判断処理の手順を示すフローチャートである。
図8】本発明の第3実施形態おける印刷禁止判断処理の手順を示すフローチャートである。
図9】本発明の変形例の印刷禁止判断処理の手順を示すフローチャートである。
図10】本発明の第4の実施形態にかかる印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
以下、本発明の印刷装置を具体化した第1実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、Webページから印刷対象データを取得して印刷する機能を有するプリンタに本発明を適用したものである。
【0027】
[プリンタの構成]
本形態のプリンタ100(請求項に記載の「印刷装置」の一例)は、図1に示すように、CPU31と、ROM32と、RAM33と、NVRAM(Non Volatile RAM)34とを備えた制御部30を備えている。また、制御部30は、用紙に画像を印刷する画像形成部10と、動作状況の表示やユーザによる入力操作の受付を行う操作パネル40と、ネットワークインターフェース37と、USBインターフェース38と、無線通信インターフェース39とに、電気的に接続されている。
【0028】
ROM32には、プリンタ100を制御するための制御プログラムであるファームウェアや各種設定、初期値等が記憶されている。RAM33(請求項に記載の「記憶部」の一例)およびNVRAM34(請求項に記載の「記憶部」の一例)は、各種制御プログラムが読み出される作業領域として、あるいは印刷ジョブを一時的に記憶する記憶領域として利用される。また、NVRAM34は、出荷後にユーザによって設定される各種の設定を記憶する記憶領域として利用される。例えば、自装置のプリンタ名、及び、アカウント情報を記憶している。
【0029】
CPU31(請求項に記載の「判断部」「取得部」の一例)は、ROM32から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って、その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら、プリンタ100の各構成要素を制御する。
【0030】
ネットワークインターフェース37およびUSBインターフェース38は、他の装置との通信を可能にするインターフェースである。プリンタ100は、これらのインターフェースを介して他の装置から送信されるデータを受信する。なお、データを受信するとき、CPU31と、ネットワークインターフェース37、または、USBインターフェース38とが協働することで、請求項に記載の「受信部」の一例として機能する。
【0031】
本形態では、プリンタ100は、ネットワークインターフェース37を介して、プリンタ100用のプリンタドライバが組み込まれたパーソナルコンピュータ(PC)200(請求項に記載の「情報処理装置」の一例)、及び、管理サーバ300との通信が可能になっている。プリンタ100は、PC200及び管理サーバ300などの通信装置とともに印刷システム900を構成している。
【0032】
この他、USBインターフェース38を介して他の装置を利用してもよい。例えば、USBインターフェース38にフラッシュメモリ(請求項に記載の「記憶部」の一例)が装着されている場合には、そのフラッシュメモリを記憶領域として利用できる。また、キーボードが装着されている場合には、そのキーボードを利用して入力操作を行うことができる。
【0033】
また、画像形成部10(請求項に記載の「印刷部」の一例)は、用紙に画像を印刷することができればよく、画像形成方式については電子写真方式であってもインクジェット方式であってもよい。また、カラー印刷が可能であってもよく、モノクロ印刷専用であってもよい。
【0034】
また、操作パネル40(請求項に記載の「指示部」の一例)は、ユーザ入力を受け付ける各種のボタンと、文字情報やボタン等を表示するタッチパネル画面とを有している。各種のボタンとしては、例えば、印刷動作の開始を指示するOKボタン、印刷動作のキャンセルを指示するキャンセルボタン、及び、ユーザがWebベージのURLを入力するための文字ボタンがある。
【0035】
[管理サーバの構成]
管理サーバ300は、プリンタ100、プリンタ101及びプリンタ102での印刷を仲介するためのサーバである。管理サーバ300は、プリンタ100、プリンタ101及びプリンタ102のベンダーによって提供されるサーバではなく、クラウド印刷を提供する会社(以下「提携会社」という)によって提供されるサーバである。
【0036】
管理サーバ300は、プリンタリスト320を管理サーバ300のメモリ領域310に記憶している。プリンタリスト320には、ユーザID、AuthToken及びプリンタ名が対応付けられて記憶されている。ユーザIDは、上記提携会社から提供されるIDであり、AuthTokenは、ユーザがユーザIDを利用して管理サーバ300にログインする際に、当該ユーザに割り当てられる識別情報である。
【0037】
なお、管理サーバにおいてユーザIDとAuthTokenとは対応付けがされているため、ログインする際にユーザIDを受け付ければ、AuthTokenに関して何らかの入力をする必要はない。
【0038】
[印刷システムの構成]
続いて,プリンタ100を含む印刷システム900の構成および動作について、図2を参照しつつ説明する。
【0039】
印刷システム900では、PC200がユーザID及びパスワード等のアカウント情報を受け付けると、PC200が管理サーバ300にログインし、PC100と管理サーバ300との接続が確立される。また、プリンタ100がPC200と同様にアカウント情報を受け付けると、プリンタ100が管理サーバ300にサインインし(請求項に記載の「接続」の一例)、プリンタ100と管理サーバ300との接続が確立される。
【0040】
そして、印刷システム900では、同じアカウント情報を用いてPC200が管理サーバ300にログインし、プリンタ100が管理サーバ300にサインインすると、PC200からプリンタ100を指定して印刷を実行させることができるように構成されている。
【0041】
なお、本明細書中では、便宜的に、PC200と管理サーバ300との接続を確立させるために、ユーザがアカウント情報をPC200から入力することをログインといい、プリンタ100と管理サーバ300との接続を確立するために、ユーザがアカウント情報をプリンタ100から入力することをサインインと、呼称を変えて説明する。
【0042】
また、本明細書中では、管理サーバ300とプリンタ100との接続及び切断は、物理的な接続及び切断に限らず、データの送受信を行える状態にあることを接続に含み、データの送受信を行えない状態にあることを切断に含むものとする。
【0043】
図2に示す印刷システム900では、プリンタ100と同様にプリンタ101及びプリンタ102が同じアカウント情報を用いて管理サーバ300にサインインしており、PC200からプリンタ100、プリンタ101及びプリンタ102のいずれかを指定して印刷することができる。
【0044】
例えば、PC200がユーザからプリンタ100への印刷指示を受け付けると、PC200に組み込まれているプリンタドライバ210が印刷ジョブを作成する。そして,PC200から管理サーバ300を介してプリンタ100に対して、その印刷ジョブが投入される。
【0045】
プリンタ100は、印刷ジョブが投入されると、その印刷ジョブを、印刷ジョブの保管用に確保されたメモリ領域110に記憶する。このメモリ領域は,RAM33あるいはNVRAM34あるいはその両方によって構成される。なお、USBメモリや外付けHDD等の外部メモリが接続されている場合にはその外部メモリに確保されたメモリ領域を含めてもよい。
【0046】
プリンタ100は、印刷ジョブ(請求項に記載の「印刷指示」の一例)を受信した後、その印刷ジョブの印刷を開始する。つまり、ユーザは、プリンタ100に印刷ジョブを投入した後、プリンタ100が設置されている場所まで移動する。そして、印刷物を手にすることができる。なお、印刷指示は、本実施例における印刷ジョブ自体であっても、印刷ジョブとは別の印刷を指示する指示情報でも、または、印刷ジョブと指示情報との組み合わせでもよい。
【0047】
しかし、上記の印刷手順では、例えばプリンタ100のプリンタ名とプリンタ102のプリンタ名とが同じ場合、ユーザはプリンタ102を指定して印刷ジョブを投入しているつもりであったが、実際にはプリンタ100を指定して印刷ジョブを投入している場合がある。
【0048】
この場合、ユーザは、プリンタ102が設置されている場所まで移動するが、印刷物を得ることができず、また、プリンタ100に印刷物が放置されることがある。このため、第三者に印刷物を持っていかれたり、見られたりすることにより、印刷物の情報が漏洩するおそれがある。
【0049】
そこで、プリンタ100は、印刷ジョブを受信した後、同じアカウント情報で管理サーバ300にサインインしているプリンタの中で同じプリンタ名のプリンタが存在するか否かを、管理サーバ300に問い合わせる。
【0050】
管理サーバ300に問い合わせた結果、同じアカウント情報で管理サーバ300にサインインしているプリンタの中で同じプリンタ名のプリンタが存在する場合、プリンタ100は、印刷ジョブを記憶(請求項に記載の「取得」の一例)した後、その印刷ジョブに対するパスワードの入力を待つ待機状態になる。すなわち、プリンタ100は、印刷ジョブを受信した段階ではその印刷ジョブの印刷を開始しない。よって、印刷物がプリンタ100に放置されることを防止することができる。ひいては、プリンタ100に放置された印刷物から情報が漏洩することを防止することができる。
【0051】
なお、プリンタ100は、印刷ジョブを記憶した後、その印刷ジョブに対するパスワードを管理サーバ300に通知し、そのパスワードを管理サーバ300がPC200に通知する。また、プリンタ101及びプリンタ102もプリンタ100と同様に構成されている。
【0052】
[プリンタの制御]
続いて、上述した印刷システム900の動作を実現するプリンタ100の制御について説明する。上述したようにプリンタ100の動作としては、同じプリンタ名のプリンタが存在する場合、印刷ジョブが待機状態になる印刷処理と、待機状態になった場合に印刷ジョブの印刷を実行する印刷受付処理とがある。以下、上記の2つの動作を中心に説明する。
【0053】
[印刷処理]
印刷処理の手順を図3のフローチャートを参照しつつ説明する。印刷処理は、プリンタ100に印刷ジョブが投入されたことを契機にCPU31によって実行される。なお、投入された印刷ジョブは、投入直後、RAM33に記憶されているものとする。
【0054】
印刷処理では、まず、CPU31は、NVRAM34に記憶されているプリンタ100のプリンタ名(請求項に記載の「印刷装置の名称」の一例)、及び、アカウント情報を読み出す(S101)。
【0055】
次に、CPU31は、プリンタ100のプリンタ名、及び、アカウント情報を管理サーバ300に送信する。そして、CPU31は、同じアカウント情報で管理サーバ300にサインインしているプリンタの中で同じプリンタ名のプリンタが存在するか否かを、管理サーバ300に問い合わせる(S102)。
【0056】
ここで、管理サーバ300に問い合わせた際の管理サーバ300の動作を説明する。管理サーバ300は、サインインしているプリンタを管理するために、メモリ領域310に図4に示すようなプリンタリスト320を記憶している。
【0057】
まず、プリンタ100から送信されたアカウント情報のIDが「アカウント1」である場合、管理サーバ300は、プリンタリスト320のうち「アカウント1」でサインインしているプリンタ100、プリンタ101及びプリンタ102を検索の対象とする。
【0058】
次に、管理サーバ300は、プリンタ名を検索する。「アカウント1」において、プリンタ100及びプリンタ102のプリンタ名は「プリンタ1」(請求項に記載の「印刷装置の名称」の一例)であり、同じプリンタ名である。このため、同じアカウント情報で管理サーバ300にサインインしているプリンタの中で同じプリンタ名のプリンタが存在する、旨の問い合わせ結果を管理サーバ300がプリンタ100に送信する。なお、プリンタ名は、PC200のユーザがプリンタを識別することができる文字または記号などの名称であり、例えば、プリンタメーカが定めるモデル名、またはユーザが任意に定める名称であってもよい。
【0059】
また、プリンタ100から送信されたアカウント情報のIDが「アカウント2」である場合、管理サーバ300は、プリンタリスト320のうち「アカウント2」でサインインしているプリンタ100及びプリンタ102を検索の対象とする。
【0060】
なお、図4において、プリンタ100は、アカウント情報のIDとして「アカウント1」と「アカウント2」とを有している。プリンタ100はひとつのプリンタであるが、「アカウント1」では「プリンタ1」のプリンタ名で動作し、「アカウント2」では「プリンタY」のプリンタ名で動作する。例えば、PC200からプリンタ100を指定して印刷するとき、「アカウント1」でユーザがPC200から管理サーバ300にログインすれば、「プリンタ1」を指定すると、プリンタ100で印刷をすることになる。また、「アカウント2」でユーザがPC200から管理サーバ300にログインすれば、「プリンタY」を指定すると、プリンタ100で印刷をすることになる。
【0061】
次に、「アカウント2」において、プリンタ100のプリンタ名は「プリンタY」であり、プリンタ102のプリンタ名は「プリンタZ」であり、プリンタ100及びプリンタ102のプリンタ名が異なる。このため、同じアカウント情報で管理サーバ300にサインインしているプリンタの中で同じプリンタ名のプリンタが存在しない、という問い合わせ結果を管理サーバ300がプリンタ100に送信する。
【0062】
そして、CPU31は、管理サーバ300への問い合わせ結果に基づき、投入された印刷ジョブの印刷を禁止するか否かを判断する印刷禁止判断処理を実行する(S103)。
【0063】
[印刷禁止判断処理]
ここで、印刷禁止判断処理の手順を図5のフローチャートを参照しつつ説明する。まず、CPU31は、管理サーバ300への問い合わせ結果が、同じアカウント情報で管理サーバ300にサインインしているプリンタの中で同じプリンタ名のプリンタが存在するか否かを判断する(S201、請求項に記載の「判断部」の一例)。具体的には、管理サーバ300が、「アカウント1」の範囲でプリンタ名が「プリンタ1」であるプリンタ100とプリンタ102とが存在する旨の通知を、問い合わせ結果として、プリンタ100に送信した場合には、CPU31は、問い合わせ結果のプリンタの数から、同じプリンタ名のプリンタが存在するか否かを判断する構成が考えられる。または、管理サーバ300が、問い合わせ結果として、同じプリンタ名が存在するとの判断結果の通知をプリンタ100に送信した場合には、CPU31は、管理サーバ300からの判断結果の通知に従って、同じプリンタ名のプリンタが存在するか否かを最終的に判断する構成が考えられる。
【0064】
同じアカウント情報で管理サーバ300にサインインしているプリンタの中で同じプリンタ名のプリンタが存在すると判断する場合(S201:YES)、CPU31は、印刷を禁止し(S204、請求項に記載の「印刷禁止部」の一例)、印刷禁止判断処理を終了する。
【0065】
一方、同じアカウント情報で管理サーバ300にサインインしているプリンタの中で同じプリンタ名のプリンタが存在しないと判断する場合(S201:NO)、CPU31は、印刷を許可し(S205)、印刷禁止判断処理を終了する。
【0066】
図3のフローチャートに戻り、S103の印刷禁止判断処理において、CPU31は、印刷が禁止されたか否かを判断する(S104)。印刷が禁止されたと判断する場合(S104:YES)、CPU31は、RAM33に記憶されている印刷ジョブをNVRAM34に記憶し(S105、請求項に記載の「取得部」の一例)、NVRAM34に記憶した印刷ジョブの印刷を実行するためのパスワードを設定する(S106)。
【0067】
そして、CPU31は、操作パネル40から印刷指示を行うまで印刷が実行されない旨と、設定したパスワードとをPC200へ通知し(S107、請求項に記載の「通知部」の一例)、印刷処理を終了する。
【0068】
一方、印刷が許可されたと判断する場合(S104:NO)、CPU31は、印刷ジョブを実行し(S108)、印刷処理を終了する。
【0069】
[印刷指示受付処理]
続いて、印刷指示受付処理の手順を図6のフローチャートを参照しつつ説明する。印刷指示受付処理は、印刷処理において印刷ジョブに対するパスワードの入力を待つ(段落0049参照)待機状態になった場合、パスワードの入力を受け付けたことを契機に実行される。
【0070】
まず、CPU31は、受け付けたパスワードがS106において設定したパスワードと一致するか否かを判断する(S301)。
【0071】
受け付けたパスワードがS106において設定したパスワードと一致すると判断する場合(S301:YES)、CPU31は、受け付けたパスワードに対応する印刷ジョブを読み出し(S302)、印刷ジョブを実行し(S303)、印刷指示受付処理を終了する。
【0072】
一方、受け付けたパスワードがS106において設定したパスワードと一致しないと判断する場合(S301:NO)、CPU31は、パスワードが一致しない旨をエラーとして操作パネル40に表示させ(S304)、印刷指示受付処理を終了する。
【0073】
[第1実施形態の効果]
以上詳細に説明したように第1実施形態における印刷装置では、同じアカウント情報で管理サーバ300にサインインしているプリンタの中で同じプリンタ名のプリンタが存在する場合(S201:YES)、CPU31は、印刷を禁止する(S204)。具体的に、CPU31は、RAM33に記憶されている印刷ジョブをNVRAM34に記憶し(S105)、NVRAM34に記憶した印刷ジョブの印刷を実行するためのパスワードを設定する(S106)ことにより、印刷の禁止が行われる。すなわち、印刷ジョブを投入しても、パスワードの入力等のユーザによる操作が行われなければ印刷されない。このため、同じプリンタ名のプリンタが複数存在しても、ユーザの意図しないプリンタにおいて、印刷が行われ、印刷物がプリンタに放置されることを防止することができる。
【0074】
また、管理サーバ300は、サインインしているプリンタを管理するために、メモリ領域310に図4に示すようなプリンタリスト320を記憶しており、プリンタリスト320内を検索して、プリンタ100に問い合わせ結果を送信する。このため、検索するプリンタの範囲をサーバに接続しているプリンタに限定することにより、検索効率を向上させることができる。
【0075】
また、プリンタ100から送信されたアカウント情報のIDが「アカウント1」である場合、管理サーバ300は、プリンタリスト320のうち「アカウント1」でサインインしているプリンタ100、プリンタ101及びプリンタ102を検索の対象とする。また、プリンタ100から送信されたアカウント情報のIDが「アカウント2」である場合、管理サーバ300は、プリンタリスト320のうち「アカウント2」でサインインしているプリンタ100及びプリンタ102を検索の対象とする。このため、検索するプリンタの範囲を、NVRAM34に記憶されたアカウント情報と同じアカウント情報でサインインしているプリンタに限定することにより、検索の効率を向上させることができる。
【0076】
また、CPU31は、操作パネル40から印刷指示を行うまで印刷が実行されない旨と、設定したパスワードとをPC200へ通知する(S107)。このため、ユーザは、プリンタ100に印刷ジョブを投入したが、印刷が禁止されることを知ることができる。
【0077】
[第2実施形態]
第1実施形態では、印刷禁止判断処理において、同じプリンタ名のプリンタが存在するか否かを判断していたが、図7に示す第2実施形態では、さらに同じプリンタ名を有するプリンタが同一のネットワーク内に存在するか否かを判断する。なお、第1実施形態と同様の処理については、適宜、説明を省略する。
【0078】
[印刷禁止判断処理]
図7において、同じアカウント情報で管理サーバ300にサインインしているプリンタの中で同じプリンタ名のプリンタが存在する場合(S201:YES)、CPU31は、同じプリンタ名のプリンタが同一のネットワーク内に存在するか否かを判断する(S202)。
【0079】
ここで、同一のネットワーク内とは、例えば、同一のLAN内である。同一のLAN内であれば、コンピュータ、通信機器、プリンタ等が有線や無線でネットワークを形成していて、印刷ジョブ等のやり取りが予定されていると考えられる。もともと印刷ジョブ等のやり取りが予定されている範囲内で、印刷物がプリンタ100に放置されたとしても、印刷物に記載されている内容が既に同一LAN内のユーザたちに共有されている内容であったり、既知の内容から容易に推測できる内容であったりする可能性が高い。これらの場合、プリンタ100に放置された印刷物から情報が、情報を共有しない第三者へ漏洩する可能性が小さくなると考えられる。
【0080】
同じプリンタ名のプリンタが同一のネットワーク内に存在すると判断する場合(S202:YES)、CPU31は、印刷を許可し(S205)、印刷禁止判断処理を終了する。
【0081】
一方、同じプリンタ名のプリンタが同一のネットワーク内に存在しないと判断する場合(S202:NO)、CPU31は、印刷を禁止し(S204、請求項に記載の「印刷禁止部」の一例)、印刷禁止判断処理を終了する。印刷を禁止するのは、同一のLAN内でなければ、情報漏洩する可能性が依然として高いからである。
【0082】
具体的には、図4に示すように、アカウント1において、プリンタ100のプリンタ名は「プリンタ1」であり、プリンタ102のプリンタ名と同じである。また、プリンタ100のネットワークは「LAN_A」であるが、プリンタ102のネットワークは「LAN_B」であるので、プリンタ100及びプリンタ102のネットワークが異なる。このため、プリンタ100では印刷が禁止される。
【0083】
[第2実施形態の効果]
以上詳細に説明したように第2実施形態における印刷装置では、同じプリンタ名のプリンタが同一のネットワーク内に存在すると判断する場合(S202:YES)、CPU31は、印刷を許可する(S205)。また、同じプリンタ名のプリンタが存在する場合でも、同一のLAN内であれば印刷を許可することにより、印刷指示受付処理においてパスワードの入力等にかかるユーザの手間を軽減することができる。このため、印刷物から情報が漏洩する可能性が小さくしつつ、ユーザの利便性を増すことができる。
【0084】
[第3実施形態]
第1実施形態では、印刷禁止判断処理において、同じプリンタ名のプリンタが存在するか否かを判断していたが、図8に示す第3実施形態では、さらに過去に印刷を実行したことのあるプリンタか否かを判断する。なお、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせて、図9に示すような実施形態としてもよい。また、第1実施形態及び第2実施形態と同様の処理については、適宜、説明を省略する。
【0085】
[印刷禁止判断処理]
図8において、同じアカウント情報で管理サーバ300にサインインしているプリンタの中で同じプリンタ名のプリンタが存在する場合(S201:YES)、CPU31は、過去に印刷をしたことのあるプリンタであるか否かを判断する(S203)。ここで、S203の判断は、S102において管理サーバ300に問い合わせる際に、プリンタ100が管理サーバ300に一度でも接続したことがあるか否かの判断を行う。また、実際に印刷を行ったことがあるか否かを判断してもよい。
【0086】
過去に印刷をしたことのあるプリンタでないと判断する場合(S203:NO)、CPU31は、印刷を禁止し(S204、請求項に記載の「印刷禁止部」の一例)、印刷禁止判断処理を終了する。
【0087】
具体的には、図4に示すように、アカウント1において、プリンタ100のプリンタ名は「プリンタ1」であり、プリンタ102のプリンタ名と同じである。また、プリンタ100の印刷履歴は「なし」であるので、プリンタ100では印刷が禁止される。
【0088】
一方、過去に印刷をしたことのあるプリンタであると判断する場合(S203:YES)、CPU31は、印刷を許可し(S205)、印刷禁止判断処理を終了する。
【0089】
例えば、同じプリンタ名のプリンタが存在する場合でも、プリンタ100が管理サーバ300に一度でも接続したことがあれば、プリンタを選択するプルダウンメニューの上にある同じプリンタ名のプリンタの設置位置と、プルダウンメニューの下にある同じプリンタ名のプリンタの設置位置とが、印刷指示するPC200のユーザによっては分かる場合がある。この場合、ユーザがプリンタの設置位置を把握している可能性が高いから、プリンタ100に放置される可能性が小さいと考えられる。
【0090】
[第3実施形態の効果]
以上詳細に説明したように第3実施形態における印刷装置では、過去に印刷をしたことのあるプリンタであると判断する場合(S203:YES)、CPU31は、印刷を許可する(S205)。ユーザがプリンタの位置を把握している可能性が高いから、印刷物がプリンタ100に放置される可能性が小さいと考えられる。また、同じプリンタ名のプリンタが存在する場合でも、過去に印刷したことのあるプリンタであれば印刷を許可することにより、印刷指示受付処理においてパスワードの入力等にかかるユーザの手間を軽減することができる。このため、印刷物から情報が漏洩する可能性が小さくしつつ、ユーザの利便性を増すことができる。
【0091】
[第4実施形態]
第1〜3の実施形態では、プリンタ100は、印刷ジョブを受信した後、その印刷ジョブについて印刷を開始していた。しかし、第4の実施形態では、プリンタ100は、管理サーバ300が印刷ジョブを保持していることの通知(請求項に記載の「印刷指示」の一例)を受信すると、管理サーバ300から印刷ジョブを取得し、取得した印刷ジョブを実行することを前提としている。
【0092】
そこで、プリンタ100は、同じプリンタ名のプリンタが存在する場合、管理サーバ300から印刷ジョブの取得を禁止することにより、印刷物がプリンタ100に放置されることを防止している。なお、印刷禁止処理及び印刷指示受付処理は、第1〜3実施形態と同様である。
【0093】
[印刷処理]
印刷処理の手順を図10のフローチャートを参照しつつ説明する。印刷処理は、管理サーバ300から印刷ジョブを保持していることの通知を受信することを契機にCPU31によって実行される。
【0094】
印刷処理では、S101〜S104までは、第1〜3実施形態と同様であり、S104以降が異なるので、S104以降についてより詳細に説明する。
【0095】
印刷が禁止されたと判断する場合(S104:YES)、CPU31は、管理サーバ300から印刷ジョブを取得することを禁止し(S501、請求項に記載の「取得禁止部」の一例)、印刷が実行されない旨を、管理サーバ300を介してPC200に通知する(S502)。
【0096】
そして、管理サーバ300に印刷ジョブの削除を指示し(S503)、印刷処理を終了する。印刷ジョブが削除されないと、管理サーバ300に印刷ジョブがいつまでも記憶されたままになり、管理サーバ300のメモリ領域310を圧迫する可能性があるからである。
【0097】
一方、印刷が許可されたと判断する場合(S104:NO)、CPU31は、管理サーバ300から印刷ジョブを取得させ(S504、請求項に記載の「取得部」の一例)、印刷ジョブを実行し(S108)、印刷処理を終了する。
【0098】
[第4実施形態の効果]
以上詳細に説明したように第4実施形態における印刷装置では、印刷が禁止されたと判断する場合(S104:YES)、CPU31は、管理サーバ300から印刷ジョブを取得することを禁止する(S501)。このため、同じプリンタ名のプリンタが複数存在しても、ユーザの意図しないプリンタにおいて、印刷が行われ、印刷物がプリンタに放置されることを防止することができる。
【0099】
[変形例]
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、プリンタは、印刷機能を備えるものであればよく、複合機又は複写機であっても適用可能である。
【0100】
また、本実施形態では、管理サーバ300は、インターネット回線に接続されていたが、これに限るものではない。例えば、WANやLAN等のネットワークに接続されていてもよい。
【0101】
また、本実施形態では、管理サーバ300に問い合わせを行うことにより、管理サーバ300は、同じアカウント情報で管理サーバ300にサインインしているプリンタの中で同じプリンタ名のプリンタが存在するか否かを検索していたが、これに限るものではない。例えば、管理サーバ300が記憶しているプリンタリスト320をプリンタ100がダウンロードし、プリンタ100が同じアカウント情報で管理サーバ300にサインインしているプリンタの中で同じプリンタ名のプリンタが存在するか否かを判断してもよい。また、プリンタリスト320をプリンタ100が定期的にダウンロードすることにより、プリンタリスト320を定期的に更新するようにしてもよい。
【0102】
また、本実施形態では、RAM33に記憶した印刷ジョブを、さらにNVRAM34に記憶しているが、これに限るものではない。RAM33を介せず、直接NVRAM34に記憶させてもよい。なお、NVRAM34の代わりに不揮発性のメモリを代用してもよく、例えば、Flash ROMを使用してもよい。
【0103】
また、本実施形態では、操作パネル40を操作してパスワードを入力することによって、プリンタに記憶されている印刷ジョブの印刷を開始しているが、これに限るものではない。例えば、モバイル端末からの印刷指令、又はカードリーダ等による認証に従って印刷を開始してもよい。
【0104】
また、本実施形態では、管理サーバ300は上記提携会社が提供するサーバであったが、これに限られるものではない。例えば、ベンダーが提供するサーバであってもよいし、上記提携会社が提供するサーバとベンダーが提供するサーバとが協働するようにしてもよい。
【0105】
また、本実施形態では、同じLANのネットワーク内に属する場合、同一のネットワーク内と判断していたが、これに限るものではない。LANの代わりにWANであってもよい。また、会社であれば同じ部署内、学校であれば同じ教室内を同一ネットワーク内としてもよい。
【符号の説明】
【0106】
10 画像形成部
30 制御部
100 プリンタ
101 プリンタ
102 プリンタ
110 メモリ領域
200 PC
300 管理サーバ
320 プリンタリスト
900 印刷システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10