(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2プーリとの共通内接線が前記走査方向とほぼ平行となるような位置に配置されており、前記ベルトの外側の面に接触して、ベルトの前記第2プーリと前記第3プーリとの間の部分を屈曲させる第4プーリをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体吐出装置。
前記ベルトの、前記第4プーリとの接触部分と前記第2プーリとの間の部分と、前記第3プーリの軸を通り、且つ、前記走査方向と平行な平面との間の空間に配置されており、前記走査方向に延びたエンコーダフィルムと、
前記エンコーダフィルムを用いて前記キャリッジの位置を検出する位置検出素子と、を有するエンコーダをさらに備えていることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載されているような、キャリッジとともに走査方向に移動するインクジェットヘッドからインクを吐出することによって印刷を行う、いわゆるシリアル式のインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドがキャリッジの他の部分よりも重く、キャリッジの重心は、インクジェットヘッドが搭載されている部分に位置していることが多い。そして、このような場合、走査方向及びモータの軸方向と直交する方向を直交方向としたときに、キャリッジのベルトが取り付けられる部分(ベルト取付部)が、インクジェットヘッドから直交方向に大きく離れていると、キャリッジを加速移動させたときにキャリッジにガタつきが発生する。
【0005】
そこで、特許文献1に記載のインクジェットヘッドにおいてキャリッジ2のガタつきを抑えるために、ベルト取付部をインクジェットヘッドに近づけることによって、ベルト取付部を、上記直交方向と平行な方向に測定したときのインクジェットヘッドからの距離が、モータの半径からプーリの半径を差し引いた長さである半径差よりも小さくなる位置に配置することが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載のインクジェットヘッドでは、一方のプーリが、モータのシャフトに直接連結された構成となっているため、この場合には、モータと、インクジェットヘッドの通過する領域とが上記走査方向に重なってしまう。そのため、キャリッジをインクジェットヘッドとモータとが干渉しない範囲でしか移動させることができず、キャリッジの移動範囲が狭くなってしまう。あるいは、キャリッジの移動範囲を広くするために、装置を大型化する必要がある。
【0006】
一方、キャリッジの移動範囲を広くするために、モータを、インクジェットヘッドの通過する領域と上記走査方向に重ならない位置に配置した場合には、モータの、上記直交方向平行な方向に測定したときのインクジェットヘッドからの距離が、上記半径差以上となる。そのため、ベルト取付部の、上記直交方向と平行な方向に測定したときのインクジェットヘッドからの距離も、上記半径差以上となり、その結果、モータの半径が大きい場合には、ベルト取付部が、キャリッジの重心から大きく離れることとなり、上述したように、キャリッジを加速移動させたときにキャリッジにガタつきが発生する虞がある。
【0007】
以上のように、特許文献1に記載のインクジェットヘッドでは、ベルト取付部の、上記直交方向と平行な方向に測定したときのインクジェットヘッドからの距離を、上記半径差よりも小さくして、ベルト取付部をインクジェットヘッドに近づけることと、モータの、上記直交方向平行な方向に測定したときのインクジェットヘッドからの距離を、上記半径差よりも大きくして、キャリッジの移動範囲を広くすることとを両立させることはできない。
【0008】
本発明の目的は、キャリッジの移動範囲を広くしつつも、キャリッジのベルト取付部をインクジェットヘッドに近づけることが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドを搭載する、所定の走査方向に移動可能なキャリッジと、装置の筐体に、共通外接線が前記走査方向と平行
になるように、前記走査方向に互いに離隔して配置された2つのプーリである第1プーリ及び第2プーリと、前記筐体に、前記第1プーリとの共通外接線が前記走査方向と交差する位置に
なるように配置された第3プーリと、回転するシャフトを有し、前記シャフトに前記第3プーリが直接連結された、前記第3プーリよりも径の大きいモータと、前記第1プーリ、前記第2プーリ及び前記第3プーリに外接するように巻き掛けられた無端状のベルトと、前記キャリッジに設けられており、前記ベルトの前記第1プーリと前記第2プーリとの共通外接線上に位置する部分に取り付けられた、前記キャリッジを前記ベルトに取り付けるためのベルト取付部と、
前記走査方向及び前記シャフトの軸方向のいずれとも直交する直交方向から前記キャリッジに接触しているとともに、前記走査方向に延びており、前記キャリッジを前記走査方向に摺動させることよって、前記キャリッジを前記シャフトの軸周り方向の回転を規制しつつ前記走査方向に移動可能とする摺動面と、を備え、前記液体吐出ヘッドを含めた前記キャリッジの重心が、前記液体吐出ヘッドと前記軸方向に重なる位置にあり
、前記モータは、前記軸方向における位置が、前記キャリッジが移動したときに前記液体吐出ヘッドが通過するヘッド通過領域の前記軸方向における位置と同じになる部分を有し、前記第3プーリは、前記直交方向に平行な方向に
おいて、前記ヘッド通過領域からの距離が、前記モータの半径から前記第3プーリの半径を差し引いた長さである半径差よりも大きくなっており、前記ベルト取付部は、前記液体吐出ヘッドに対して前記第3プーリと同じ側に配置されているとともに、前記直交方向に平行な方向に
おける前記ヘッド通過領域からの距離が、前記半径差よりも小さくなって
おり、さらに前記ベルト取付部は、前記摺動面よりも、前記キャリッジの重心から前記直交方向に離れた位置に配置されており、前記摺動面は、前記液体吐出ヘッドと前記軸方向に重なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によると、モータのシャフトが、第1、第2プーリとは別の第3プーリに直接連結されているため、モータの径や第3プーリの径に合わせて、第1、第2プーリと第3プーリとの位置関係を適宜調整すれば、第3プーリの、直交方向と平行な方向に
おけるヘッド通過領域からの距離を上記半径差よりも大きくしつつも、ベルト取付部を、液体吐出ヘッドに対して第3プーリと同じ側に配置し、且つ、直交方向と平行な方向に
おける液体吐出ヘッドからの距離を上記半径差よりも小さくすることができる。
【0011】
そして、本発明では、第3プーリの、直交方向と平行な方向に
おけるヘッド通過領域からの距離が上記半径差よりも大きいため、モータとヘッド通過領域とが走査方向に重ならず、ヘッド通過領域を走査方向にどれだけ長くとっても、液体吐出ヘッドがモータと干渉することがない。したがって、装置を大型化することなく、キャリッジの移動範囲を大きくすることができる。
【0012】
一方、本発明では、ベルト取付部が、液体吐出ヘッドに対して第3プーリと同じ側に配置され、且つ、ベルト取付部の、直交方向と平行な方向に
おける液体吐出ヘッドからの距離が上記半径差よりも小さいため、ベルト取付部を、モータの径によらず、液体吐出ヘッド、つまり、キャリッジの重心に近づけることができる。これにより、ベルトを駆動してキャリッジを走査方向に加速移動させたときのキャリッジのガタつきを抑制することができる。
【0013】
以上のことから、本発明では、キャリッジの移動範囲を大きくしつつも、ベルト取付部を液体吐出ヘッドに近づけて、キャリッジのガタつきを抑えることができる。
また、直交方向からキャリッジに接触するとともに走査方向に延びた摺動面を設けることにより、キャリッジを、モータのシャフトの軸周り方向の回転を抑制しつつ走査方向に移動可能とすることができる。
また、摺動面が、液体吐出ヘッドとシャフトの軸方向に重なる位置に配置されているため、摺動面を挟んでキャリッジの重心と反対側に配置されたベルト取付部をキャリッジの重心に近づけることができる。
【0014】
なお、本発明における「前記直交方向と平行な方向に
おける前記ヘッド通過領域からの距離が、前記半径差よりも小さくなっている」ことには、当該距離が0であること、すなわち、ベルト取付部が、液体吐出ヘッドと軸方向に重なっていることも含まれる。
【0015】
第2の発明に係る液体吐出装置は、第1の発明に係る液体吐出装置において、前記第3プーリは、前記キャリッジの最大移動範囲の前記走査方向における両端よりも内側に位置しており、且つ
、前記最大移動範囲の前記走査方向における両端からの距離が、いずれも前記半径差以上となる位置に配置されていることを特徴とする。
【0016】
本発明によると、モータがキャリッジの最大移動範囲よりも走査方向の外側にはみ出さないため、液体吐出装置を小型化することができる。
【0021】
第
3の発明に係る液体吐出装置は、第
1又は2の発明に係る液体吐出装置において、前記摺動面には、前記キャリッジとの摺動を滑らかにするためのグリスが塗布されており、前記ベルトは、前記摺動面から前記軸方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする。
【0022】
本発明によると、ベルトが、摺動面からシャフトの軸方向にずれた位置に配置されているため、摺動面に塗布されたグリスがベルトに付着してしまうのを防止しつつ、ベルトを重心に近づけることができる。
【0023】
第
4の発明に係る液体吐出装置は、第1〜第
3のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、前記第2プーリとの共通内接線が前
記走査方向とほぼ平行となるような位置に配置されており、前記ベルトの外側の面に接触して、ベルトの前記第2プーリと前記第3プーリとの間の部分を屈曲させる第4プーリをさらに備えていることを特徴とする。
【0024】
本発明によると、ベルトの、第4プーリとの接触部分と第2プーリとの間の部分と、第3プーリの軸を通り、且つ、走査方向と平行な平面との間に空間ができ、この空間に液体吐出装置の他の部品などを配置することができる。また、第3プーリやベルトが歯付きのプーリである場合には、第3プーリに対するベルトの巻き付け角が大きくなるので、歯飛び等することなく動力を確実に伝達することができる。
【0025】
第
5の発明に係る液体吐出装置は、第
4の発明に係る液体吐出装置において、前記ベルトの、前記第4プーリとの接触部分と前記第2プーリとの間の部分と、前記第3プーリの軸を通り、且つ、前記走査方向と平行な平面との間の空間に配置されており、前記走査方向に延びたエンコーダフィルムと、前記エンコーダフィルムを用いて前記キャリッジの位置を検出する位置検出素子と、を有するエンコーダをさらに備えていることを特徴とする。
【0026】
本発明によると、ベルトの、第4プーリとの接触部分と第2プーリとの間の部分と、第3プーリの軸を通り、且つ、走査方向と平行な平面との間の空間にエンコーダフィルムを配置することにより、エンコーダフィルムとベルト取付部とを近づけることができ、エンコーダによるキャリッジの検出の位置検出精度を高くすることができる。また、上記空間にエンコーダフィルムを配置することにより、液体吐出装置全体の大きさを小さくすることができる。
【0027】
また、エンコーダフィルムが、ベルト取付部よりも液体吐出ヘッドから直交方向に離れた位置に配置されることになるため、エンコーダフィルムを配置するために、ベルト取付部の、直交方向と平行な方向に
おける液体吐出ヘッドからの距離が大きくなってしまうことがない。また、キャリッジを摺動させる上記摺動面を備え、摺動面が、ベルトの上記部分を挟んで、直交方向のエンコーダフィルムと反対側に配置されている場合には、エンコーダフィルムと摺動面との間にベルトが介在することとなり、摺動面に塗布されたグリスがエンコーダフィルムに付着しにくくなる。
【0028】
第
6の発明に係る液体吐出装置は、第1〜第
5のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、全てのプーリの軸の位置が固定されていることを特徴とする。
【0029】
本発明によると、ベルトのテンションを組み付け時のテンションに固定することができる。また、このとき、プーリやベルトが歯付きのものである場合には、ベルトのテンションがそれほど大きくなくてもベルトの歯飛びを防止することができるため、したがって、ベルトのテンションを小さくすることにより、第1〜第3プーリとこれらの回転軸との間、あるいは、プーリの回転軸と軸受との間の摩擦抵抗を低減することができ、これにより、モータにかかる負荷を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、キャリッジの移動範囲を大きくしつつも、ベルト取付部を液体吐出ヘッドに近づけて、キャリッジのガタつきを抑えることができる。
また、直交方向からキャリッジに接触するとともに走査方向に延びた摺動面を設けることにより、キャリッジを、モータのシャフトの軸周り方向の回転を抑制しつつ走査方向に移動可能とすることができる。
また、摺動面が、液体吐出ヘッドとシャフトの軸方向に重なる位置に配置されているため、摺動面を挟んでキャリッジの重心と反対側に配置されたベルト取付部をキャリッジの重心に近づけることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、以下では、
図1に示すように走査方向の右側及び左側を定義する。また、
図1では、紙面垂直方向が上下方向となっており、その手前側が上側、奥側が下側となっている。
【0033】
図1に示すように、本実施の形態に係るプリンタ1(液体吐出装置)は、キャリッジ2、インクジェットヘッド3(液体吐出ヘッド)、用紙搬送ローラ4などを備えている。キャリッジ2は、合成樹脂材料などからなり、プリンタ本体1aに設けられた2本のガイドレール5、6に沿って走査方向に移動可能となっており、後述の移動機構11を駆動したときに走査方向に往復移動する。なお、本実施の形態では、ガイドレール5、6を含めたプリンタ1a本体が、本発明に係る筐体に相当する。
【0034】
インクジェットヘッド3は、キャリッジ2に搭載されており、その下面に形成された複数のノズル10からインクを吐出する。インクジェットヘッド3は、金属材料からなる、インク流路を形成する互いに積層された複数枚のプレートを含んでおり、キャリッジ2の他の部分よりも重くなっている。そのため、インクジェットヘッド3が搭載されたキャリッジ2の重心(以下では、「インクジェットヘッド3を含めたキャリッジ2の重心」を、単に「キャリッジ2の重心」として説明を行う)は、インクジェットヘッド3の略中央部と上下方向(後述するシャフト24aの軸方向)に重なっている。ここで、「上下方向に重なっている」とは、言い換えれば、「上下方向と直交する平面に投影したときに重なっている」ことである。後述の「走査方向に重なっている」及び「紙送り方向に重なっている」も同様である。用紙搬送ローラ4は、記録用紙Pを走査方向及び上下方向と直交する紙送り方向(直交方向)に搬送する。
【0035】
そして、プリンタ1においては、用紙搬送ローラ4によって紙送り方向に搬送される記録用紙Pに、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド3からインクを吐出することによって、記録用紙Pに印刷を行う。また、印刷が完了した記録用紙Pは用紙搬送ローラ4によって排出される。
【0036】
次に、キャリッジ2、ガイドレール5、6、及び、キャリッジ2を移動させる移動機構11などの構成について、
図2〜
図6を用いて詳細に説明する。なお、
図5では、図面をわかりやすくするために、インクジェットヘッド3、ベルトグリップ2a、及び摺動部2b1、2b2を除く、キャリッジ2の内部の構成についての図示を省略している。
【0037】
ガイドレール5、6は、平面視で走査方向を長手方向とする略矩形の金属材料などからなる板状体が、紙送り方向における両端部において折り曲げられることによって形成されたものである。より詳細に説明すると、ガイドレール5は、紙送り方向における両端部が、それぞれ、上側に折り曲げられ、さらに、当該折り曲げ部分よりも外側の部分が紙送り方向の外側に折り曲げられている。そして、ガイドレール5は、紙送り方向における略中央部において、キャリッジ2の紙送り方向上流側の端部を下方から支持している。
【0038】
一方、ガイドレール6は、紙送り方向上流側の端部が、上側に折り曲げられているとともに、紙送り方向下流側の端部が、上側に折り曲げられ、さらに、当該折り曲げ部分のよりも外側の部分が紙送り方向の外側に折り曲げられている。そして、ガイドレール6の紙送り方向上流側の端部における、折り曲げられることによって上下方向に延びた部分の紙送り方向下流側の面の上端部が、走査方向に延びた摺動面6a1となっている。また、ガイドレール6の紙送り方向下流側の端部における、折り曲げられることによって上下方向に延びた部分の紙送り方向上流側の面が、走査方向に延びた摺動面6a2となっている。
【0039】
また、摺動面6a1、6a2に対応して、キャリッジ2には、紙送り方向下流側から摺動面6a1と接触する摺動部2b1、及び、紙送り方向上流側から摺動面6a2と接触する摺動部2b2が設けられている。そして、キャリッジ2は、摺動部2b1、2b2が、それぞれ、摺動面6a1、6a2と摺動することによって、水平面内での回転(後述するシャフト24aの軸回り方向の回転)を規制されつつ、走査方向に移動可能となっている。また、摺動面6a1、6a2には、摺動部2b1、2b2との摺動を滑らかにするためにグリスが塗布されている。
【0040】
また、キャリッジ2に搭載されたインクジェットヘッド3は、紙送り方向下流側の端部を除いた部分が、キャリッジ2のガイドレール5とガイドレール6との間に位置しているとともに、紙送り方向下流側の端部が、摺動面6a1と上下方向に重なっている。なお、本実施の形態では、摺動面6a1が、本発明に係る摺動面に相当する。
【0041】
移動機構11は、3つのプーリ21〜23、モータ24、ベルト25、プーリ26、プーリホルダ27などを備えている。
【0042】
プーリ21(第1プーリ)は、ガイドレール6の上面の右端部に固定されている。プーリ22(第2プーリ)は、プーリ21とほぼ同じ径のプーリであり、ガイドレール6の上面の左端部に固定されている。すなわち、プーリ21とプーリ22とは、走査方向に互いに離隔して配置されている。また、プーリ21とプーリ22とは、紙送り方向における位置が同じであり、プーリ21とプーリ22の紙送り方向上流側の共通外接線L1が走査方向と平行となっている。
【0043】
プーリ23(第3プーリ)は、歯付きのプーリであり、ガイドレール6の上面の、プーリ21から紙送り方向下流側にずれた位置に固定されている。これにより、プーリ23は、プーリ21との共通外接線L2が走査方向と交差する位置に配置されている。なお、上述のプーリ21、22については、プーリ23と同様の歯付きのプーリであってもよいし、プーリ23とは異なり、歯のないプーリであってもよい。また、プーリ23は、歯のないプーリであってもよい。
【0044】
モータ24は、ガイドレール6の下側に配置されており、モータ24の回転するシャフト24aがプーリ23に直接連結されている。ここで、ガイドレール6よりも下側に配置されたモータ24は、シャフト24aが、ガイドレール6のプーリ23と対向する部分に形成された貫通孔6bを通してガイドレール6よりも上側まで引き出されて、プーリ23に連結されている。また、モータ24の半径Rmは、プーリ23の半径Rpよりも大きくなっているとともに、その筐体の上端部は、インクジェットヘッド3の下面より上に位置している。これにより、モータ24の上端部と後述するヘッド通過領域A1とが同じ高さに位置している(モータ24の上端部の上下方向における位置が、ヘッド通過領域A1の上下方向における位置と同じとなっている)。
【0045】
ベルト25は、無端状のベルトであり、プーリ21〜23に外接するように、プーリ21〜23に巻き掛けられている。プーリ21〜23に巻き掛けられたベルト25のうち、プーリ21とプーリ22との紙送り方向上流側の共通外接線L1上に位置する部分25aには、キャリッジ2に設けられたベルトグリップ2a(ベルト取付部)が取り付けられている。これにより、キャリッジ2がベルト25に固定されている。また、これにより、ベルトグリップ2aは、インクジェットヘッド3よりも紙送り方向下流側、すなわち、インクジェットヘッド3に対してプーリ23と同じ側に配置されている。
【0046】
ベルト25は、その内周面に沿って図示しない複数の歯が形成された歯付きのベルトであり、ベルト25の歯が、プーリ23の歯と係合している。これにより、モータ24を駆動してシャフト24a及びこれに連結されたプーリ23を回転させると、ベルト25が回転し、このとき、プーリ21、22が連れ回りする。そして、ベルト25が回転すると、部分25aが走査方向に移動し、これにより、部分25aに取り付けられたキャリッジ2が、最大移動範囲Wで走査方向に移動する。また、キャリッジ2が最大移動範囲Wで移動したときに、インクジェットヘッド3がヘッド通過領域A1を通過する。
【0047】
プーリ26(第4プーリ)は、ガイドレール6の上面の、プーリ21、23のすぐ左側であって、紙送り方向におけるプーリ21とプーリ23との間の位置に配置されており、プーリ22とプーリ26の共通内接線のうち共通外接線L1と反対側でプーリ22に接する共通内接線L3が、走査方向とほぼ平行になっている。プーリ26は、ベルト25のプーリ22とプーリ23との間の部分25bの外側の面に位置する接触部分25b1に接触しており、ベルト25の部分25bを屈曲させている。これにより、屈曲されたベルト25の部分25bのうち、接触部分25b1とプーリ22との間の部分25b2が走査方向とほぼ平行になっており、接触部分25b1とプーリ23との間の部分25b3が、紙送り方向とほぼ平行となっている。
【0048】
プーリホルダ27は、プーリ26を保持するものであり、ガイドレール6に走査方向に移動可能に支持されている。また、プーリホルダ27は、ねじりバネ42によって右側に付勢されており、ねじりバネ42の付勢力とベルト25のテンションとが釣り合う位置まで走査方向に移動する。これにより、ベルト25のテンションが、ねじりバネ42の付勢力に対応した大きさに調整される。そして、プーリホルダ27は、このようにねじりバネ42の付勢力とベルトの張力とが釣り合う位置において、ボルト41によってガイドレール6に固定されている。これにより、本実施の形態では、4つのプーリ21〜23、26の位置が全て固定されている。
【0049】
ここで、プリンタ1における、各部材の位置関係についてより詳細に説明する。
【0050】
プリンタ1では、上述したように、プーリ23が、プーリ21から紙送り方向下流側にずれた位置に配置されているが、より詳細に説明すると、プーリ23の、紙送り方向と平行な方向に測定したときのヘッド通過領域A1からの距離D11は、モータ24の半径Rmからプーリ23の半径Rpを差し引いた長さである半径差Rs(=Rm−Rp)よりも大きくなっている。
【0051】
また、プーリ23の走査方向における位置についてより詳細に説明すると、プーリ23は、キャリッジ2の最大移動範囲Wの走査方向における両端よりも内側に位置し、且つ、走査方向と平行な方向に測定したときの、最大移動範囲Wの右端からの距離D12が、上述の半径差Rs以上となる位置に配置されている。なお、当然のことではあるが、プーリ23は、ガイドレール6の右端部に設けられているため、走査方向と平行な方向に測定したときの、プーリ23の最大移動範囲Wの左端からの距離D13は、最大移動範囲Wの右端からの距離D12よりも大きい。したがって、走査方向と平行な方向に測定したときの、プーリ23の最大移動範囲Wの左端からの距離D13も、距離D12と同様、半径差Rsよりも大きい。
【0052】
また、ベルトグリップ2aの、紙送り方向と平行な方向に測定したときのヘッド通過領域A1からの距離D14は、上述の半径差Rsよりも小さくなっている。
【0053】
また、上下方向の位置関係について説明すると、プーリ21〜23は、摺動面6a1やキャリッジ2の摺動部2bよりも下側に位置しており、これにより、プーリ21〜23に巻き掛けられるベルト25も、摺動面6a1及び摺動部2bよりも下側(摺動面6a1から上下方向にずれた位置)に位置している。
【0054】
また、ベルト25のプーリ22とプーリ23との間の部分25bがプーリ26によって屈曲されていることにより、ガイドレール6の上面の、ベルト25の部分25b2の紙送り方向下流側で、且つ、プーリ23の軸よりも紙送り方向上流側(部分25b2と、プーリ23の軸を通り、且つ、走査方向と平行な平面との間)に位置する部分に、走査方向に延びた空間Sができている。
【0055】
そして、空間Sには、エンコーダフィルム43及び保護フィルム44が配置されている。エンコーダフィルム43は、走査方向に沿って延びたフィルムであり、右端部及び左端部が、それぞれ、ガイドレール6の上面に設けられた2つのフィルム取付部51、52に取り付けられている。また、フィルム取付部51、52に取り付けられたエンコーダフィルム43の左端部は、ガイドレール6の上面に取り付けられたねじりバネ53によって左側に引っ張られており、これにより、エンコーダフィルム43は、たるむことなく走査方向に延びている。
【0056】
また、エンコーダフィルム43には、走査方向に沿って図示しない複数のスリットが形成されている。一方、キャリッジ2には、エンコーダフィルム43の紙送り方向下流側の面と対向する部分に位置検出素子12が設けられている。そして、位置検出素子12でエンコーダフィルム43のスリットを検出することによって、キャリッジ2の位置を検出することができるようになっている。なお、本実施の形態では、エンコーダフィルム43と位置検出素子12とを合わせたものが、本発明に係るエンコーダに相当する。
【0057】
保護フィルム44は、走査方向に沿って延びたフィルムであり、エンコーダフィルム43とベルト25の部分25b2との間に配置されている。また、保護フィルム44は、走査方向における両端部が、それぞれ、上述の2つのフィルム取付部51、52の、エンコーダフィルム43よりも紙送り方向上流側の部分に取り付けられている。フィルム取付部51、52に取り付けられた保護フィルム44の右端部は、ガイドレール6の上面に取り付けられたねじりバネ54によって右側に引っ張られており、これにより、保護フィルム44は、たるむことなく走査方向に延びている。そして、このような保護フィルム44により、ベルト25の部分25b2がエンコーダフィルム43に接触してしまうのが防止されている。
【0058】
ここで、本実施の形態とは異なり、仮に、上述の特許文献1などに記載されているように、プーリ23、26がなく、ベルト25が2つのプーリ21、22に巻き掛けられており、プーリ21にモータ24のシャフト24aが直接連結されているとすると、ベルトグリップ2aを、本実施の形態と同様に、距離D14が上記半径差Rsよりも小さくなる位置に設けた場合には、
図6の二点鎖線で示すように、モータ24が、ヘッド通過領域A1と走査方向にも重なる。すなわち、距離D11が上記半径差Rs以下となってしまう。
【0059】
この場合には、本実施の形態と同様に、キャリッジ2が最大移動範囲Wで移動し、これに伴ってインクジェットヘッド3がヘッド通過領域A1を通過すると、モータ24の上端部が、上下方向において、ヘッド通過領域A1と同じ位置にあるため、インクジェットヘッド3とモータ24とが干渉してしまう。そのため、インクジェットヘッド3とモータ24との干渉を避けるために、キャリッジ2の移動範囲の右端を本実施の形態よりも左側の位置とすることによって、本実施の形態の最大移動範囲Wよりも狭くして、モータ24とヘッド通過領域とが紙送り方向に重ならないようにする必要がある。
【0060】
一方、キャリッジ2を最大移動範囲Wで移動可能とするために、モータ24を、本実施の形態と同様、ヘッド通過領域A1と走査方向及び紙送り方向に重ならない位置(距離D11が半径差Rs以上となる位置)に配置すると、ベルトグリップ2aが、本実施の形態よりも紙送り方向下流側に配置され、距離D14が半径差Rs以上となってしまう。その結果、モータ24の半径Rmが大きい場合には、ベルトグリップ2aが、キャリッジ2の重心から大きく離れることとなり、ベルト25を回転させてキャリッジ2を走査方向に加速移動させたときにキャリッジ2に大きなガタつきが発生してしまう虞がある。
【0061】
以上のことから、プーリ21、22のいずれかにモータ24のシャフト24aが直接連結された構成では、距離D11を半径差Rsよりも大きくすることによって最大移動範囲Wを大きくすることと、距離D14を半径差Rsよりも小さくすることによってベルトグリップ2aをキャリッジ2の重心に近づけることとを両立させることができない。
【0062】
これに対して、本実施の形態のプリンタ1では、上述したように、モータ24がプーリ21、22とは異なるプーリ23に取り付けられている。したがって、プーリ23が、プーリ21、22から、モータ24の半径Rmやプーリ23の半径に応じた距離だけ紙送り方向下流側にずれた位置に配置されるように、プーリ21、22とプーリ23との位置関係を調整すれば、プーリ23の、紙送り方向と平行な方向に測定したときのヘッド通過領域A1からの距離D11を半径差Rsよりも大きくしつつも、ベルトグリップ2aの、紙送り方向と平行な方向に測定したときのインクジェットヘッド3からの距離D14を半径差Rsよりも小さくすることができる。
【0063】
そして、距離D11が半径差Rsよりも大きくなっているため、モータ24は、ヘッド通過領域A1と走査方向に重ならず、インクジェットヘッド3が走査方向にどれだけ移動しても、インクジェットヘッド3とモータ24とが干渉することはない。したがって、キャリッジ2の最大移動範囲Wを広くすることができる。
【0064】
さらに、距離D14が、半径差Rsよりも小さくなっているため、モータ24の半径Rmによらず、ヘッドグリップ2aが、インクジェットヘッド3、つまり、キャリッジ2の重心に近い位置に配置されている。これにより、ベルト25を回転させてキャリッジ2を走査方向に加速移動させたときのキャリッジ2のガタつきを抑制することができる。
【0065】
以上のことから、本実施の形態では、最大移動範囲Wを大きくしつつも、ベルトグリップ2aをキャリッジ2の重心に近づけることができる。
【0066】
また、本実施の形態では、プーリ23が、キャリッジ2の最大移動範囲Wの走査方向における両端よりも内側に位置されており、且つ、走査方向と平行な方向に測定したときの、最大移動範囲Wの走査方向の両端からの距離D12、D13は、半径差Rs以上であるため、モータ24は、最大移動範囲Wから走査方向にはみ出さない。したがって、モータ24を配置するために、プリンタ1のサイズを走査方向に大きくする必要がなく、プリンタ1を小型化することができる。
【0067】
また、プリンタ1では、ガイドレール6の上面に配置されたプーリ21〜23に巻き掛けられたベルト25の、ベルトグリップ2aが取り付けられる部分25aは、ガイドレール6の紙送り方向上流側の端に設けられた摺動面6a1よりも、紙送り方向の下流側、つまり、キャリッジ2の重心から離れた位置に配置されることとなる。しかしながら、本実施の形態では、上述したように、摺動面6a1は、インクジェットヘッド3の紙送り方向下流側の端部と上下方向に重なっている。したがって、摺動面6a1がインクジェットヘッド3よりも紙送り方向下流側に配置されている場合と比べて、摺動面6a1を挟んでインクジェットヘッド3と反対側に配置されたベルト25の部分25a、及び、部分25aに取り付けられるベルトグリップ2aを、キャリッジ2の重心に近い位置に配置することができる。
【0068】
また、本実施の形態では、摺動面6a1のすぐ紙送り方向下流側にベルト25の部分25aが位置しているが、ベルト25は、摺動面6a1よりも下側に配置されているため、ベルト25の部分25aが一時的に摺動面6a1側に湾曲するなどしたときにも、摺動面6a1に塗布されたグリスが、ベルト25に付着することがない。
【0069】
また、本実施の形態では、プーリ21〜23に巻き掛けられたベルト25のプーリ22とプーリ23との間の部分25bが、テンションプーリ26により屈曲されていることにより、ベルト25の部分25b2の紙送り方向下流側で、且つ、プーリ23よりも紙送り方向上流側に、走査方向に延びた空間Sができており、この空間Sに、走査方向に延びたエンコーダフィルム43や保護フィルム44が配置されているため、空間Sを有効利用することができ、プリンタ1を小型化することができる。
【0070】
また、ベルト25の部分25bは、プーリ26に屈曲されることにより、部分25b2が、プーリ26により屈曲されないとした場合の部分25bよりも紙送り方向上流側、つまり、ベルトグリップ2aが取り付けられた部分25aに近い位置に配置される。したがって、ベルト25の部分25b2のすぐ紙送り方向下流側の空間Sに配置されるエンコーダフィルム43も、ベルト25の部分25aに近い位置に配置されることとなり、キャリッジ2の移動中にキャリッジ2の姿勢が万一変化してもその影響を受けにくいため、位置検出素子12によりエンコーダフィルム43のスリットを検出することにより、キャリッジ2の位置を精度よく検出することができる。
【0071】
また、本実施の形態では、エンコーダフィルム43が、ベルトグリップ2aが取り付けられるベルト25の部分25aよりも紙送り方向下流側、すなわち、部分25aを挟んでインクジェットヘッド3と反対側に配置されているため、エンコーダフィルム43を配置するために、ベルトグリップ2aの紙送り方向と平行な方向に測定したときのインクジェットヘッド3からの距離が大きくなってしまうことがない。
【0072】
また、本実施の形態では、上述したようにベルト25の部分25bがプーリ26によって屈曲されているため、部分25bがプーリ26によって屈曲されていない場合よりもプーリ23に対するベルト25の巻き付け角が大きくなる。これにより、歯飛び等することなく、プーリ23の動力を確実にベルト25に伝達することができる。
【0073】
また、本実施の形態では、プーリ21〜23及びプーリ26の中心軸の位置が、全てガイドレール6に対して固定されているため、ベルト25のテンションを組み付け時のテンションに固定することができる。また、プーリ21〜23、26が固定されている場合には、ベルト25のテンションがそれほど大きくなくてもベルト25の歯飛びを防止することができるため、ベルト25のテンションを小さくすることにより、プーリ21〜23とこれらの回転軸との間、あるいは、プーリ21〜23の回転軸と軸受との間の摩擦抵抗を低減することができ、これにより、モータ24にかかる負荷を小さくすることができる。
【0074】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態を同様の構成を有するものについては適宜その説明を省略する。
【0075】
上述の実施の形態では、モータ24のシャフト24aに連結されたプーリ23が、キャリッジ2の最大移動範囲Wの走査方向における両端よりも内側に配置され、且つ、走査方向と平行な方向に測定したときの、最大移動範囲Wにおける両端からの距離D12、D13が、いずれも半径差Rs以上となっていることにより、モータ24が最大移動範囲Wから走査方向の外側にはみ出さないようになっていたが、これには限られない。
【0076】
例えば、
図7に示すように、プーリ23が、キャリッジ2の最大移動範囲Wの走査方向における両端よりも内側に位置し、且つ、走査方向と平行な方向に測定したときの、最大移動範囲Wの右端からの距離D22が、半径差Rsよりも
小さくなっていることにより、モータ24の一部分が最大移動範囲Wよりも右側にはみ出していてもよい(変形例1)。
【0077】
さらには、プーリ23が、キャリッジ2の最大移動範囲Wの走査方向における両端よりも内側に配置されていることにも限られない。すなわち、モータ24がヘッド通過領域A1と紙送り方向に重なる範囲であれば、プーリ23の一部分又は全部が、最大移動範囲Wから走査方向の外側にはみ出していてもよい。
【0078】
また、上述の実施の形態では、ベルト25の部分25b2の紙送り方向下流側の空間Sにエンコーダフィルム43及び保護フィルム44が配置されていたが、これには限られず、空間Sにプリンタ1の他の部品が配置されていてもよい。あるいは、空間Sには何も配置されていなくてもよい。
【0079】
さらには、上述の実施の形態では、ベルト25の部分25bがプーリ26によって屈曲されることで、ベルト25の水平方向に延びた部分25b2の紙送り方向下流側に空間Sができていたが、これには限られない。例えば、
図8に示すように、プーリ26がなく、ベルト25が3つのプーリ21〜23に巻き掛けられたものであってもよい(変形例2)。
【0080】
また、上述の実施の形態では、プーリ21〜23及びプーリ26のいずれもが、ガイドレール6に固定されていることにより、ベルト25のテンションが、組み付け時のテンションに固定されていたが、これには限られない。
【0081】
例えば、ねじりバネ42により付勢されたプーリホルダ27が、ガイドレール6に固定されておらず、プーリ26が走査方向に移動可能となっていてもよい。この場合には、ベルト25のテンションとねじりバネ42の付勢力とが釣り合うように、プーリホルダ27が走査方向に移動する。
【0082】
また、上述の実施の形態では、プーリホルダ27とともに走査方向に移動可能なプーリ26が、ベルト25のテンションを調整するためのプーリとなっていたが、プーリ21、22のいずれかが走査方向に移動可能となっていることによりベルト25のテンションを調整するためのプーリとなっていてもよいし、プーリ23が紙送り方向に移動可能となっていることによりベルト25のテンションを調整するためのプーリとなっていてもよい。
【0083】
また、上述の実施の形態では、ベルト25が摺動面6a1よりも下側に配置されていたが、これには限られない。例えば、ベルト25は、摺動面6a1よりも上側に配置されていてもよい。この場合でも、ベルト25に、摺動面6a1に塗布されたグリスが付着してしまうのを防止することができる。あるいは、ベルト25が、摺動面6a1と同じ高さに配置されていてもよい。
【0084】
また、上述の実施の形態では、インクジェットヘッド3の紙送り方向下流側の端部が、摺動面6a1と上下方向に重なっていたが、これには限られない。例えば、
図9に示すように、インクジェットヘッド3の紙送り方向における長さが短く、インクジェットヘッド3全体が摺動面6a1よりも紙送り方向上流側に位置していてもよい。すなわち、インクジェットヘッド3と摺動面6a1とが上下方向に重なっていなくてもよい(変形例3)。
【0085】
また、上述の実施の形態では、ガイドレール6の紙送り方向上流側の端部における、折り曲げられることによって上下方向に延びた部分の紙送り方向下流側の面が摺動面6a1となっており、キャリッジ2の摺動部2b1が紙送り方向下流側から摺動面6a1に接触していたが、これには限られない。例えば、ガイドレール6の上記上下方向に延びた部分の紙送り方向上流側の面を摺動面とし、キャリッジ2に紙送り方向上流側から当該摺動面に摺動する摺動部を設けてもよい。
【0086】
この場合には、ベルト25の部分25aと摺動面6a1との間に、キャリッジ2の摺動部がないため、ベルト25の部分25aをさらに摺動面6a1に近い位置に配置することができる。これにより、ベルトグリップ2aをキャリッジ2の重心に近づけることができる。
【0087】
また、上述の実施の形態では、ベルトグリップ2aがインクジェットヘッド3よりも紙送り方向下流側に位置していたが、これには限られない。例えば、
図10に示すように、インクジェットヘッド3の紙送り方向における長さが長く、ベルトグリップ2aとインクジェットヘッド3とが上下方向に重なっていてもよい(変形例4)。すなわち、ベルトグリップ2aの、紙送り方向と平行な方向に測定したときのインクジェットヘッドからの距離は、半径差Rsよりも短ければ、0であってもよい。
【0088】
また、以上の例では、モータ24のシャフト24aの軸方向が走査方向及び紙送り方向と直交する上下方向に平行となっていたが、これには限られない。
【0089】
例えば、一変形例(変形例5)では、
図11に示すように、プーリ21〜23、26、及び、モータ24のシャフト24aの軸方向が、紙送り方向と平行となっている。そして、プーリ23は、プーリ21から上側に離隔した位置に配置されており、上下方向と平行な方向に測定したときのインクジェットヘッド3(ヘッド通過領域A2)からの距離D31が、半径差Rsよりも大きくなっている。また、上下方向と平行な方向に測定したときのベルグリップ2aとプーリ23との距離D32が、半径差Rsよりも小さくなっている。なお、この場合には、上下方向が、本発明に係る直交方向に相当する。
【0090】
また、別の一変形例(変形例6)は
図12に示すように、プーリ21〜23、26及びモータ24のシャフト24aの軸方向が、上側の部分ほど紙送り方向上流側にくるように上下方向に対して傾いている。そして、軸方向及び走査方向(
図12(b)の紙面垂直方向)と直交する方向を直交方向としたときに、プーリ23が、プーリ21から、直交方向のインクジェットヘッド3と反対側に離隔した位置に配置されており、直交方向と平行な方向に測定したときのインクジェットヘッド3(ヘッド通過領域A3)からの距離D41が、半径差Rsよりも大きくなっている。また、直交方向と平行な方向に測定したときのベルトグリップ2aと
インクジェットヘッド3との距離D42が、半径差Rsよりも小さくなっている。
【0091】
変形例5、6に示すようなプリンタにおいても、モータ24のシャフト24a側の端部の、シャフト24aの軸方向(変形例5では紙送り方向、変形例6では軸方向)における位置が、ヘッド通過領域A2、A3の上記軸方向における位置と同じであるため、仮に、プーリ21、22にモータ24のシャフト24aが連結されているとすると、上述の実施の形態と同様、距離D31、D41を半径差Rsよりも大きくする(キャリッジ2の移動範囲を広くする)ことと、距離D32、D42を半径差Rsよりも小さくする(ベルトグリップ2aをインクジェットヘッド3に近づける)こととを両立させることができない。
【0092】
これに対して、変形例5、6では、上述の実施の形態と同様、プーリ21、22とは異なるプーリ23にモータ24のシャフト24aが接続されているため、モータ24の半径Rmや、プーリ23の半径Rpに応じて、プーリ21、22とプーリ23との位置関係を調整すれば、距離D31、D41を半径差Rsよりも大きくしつつも、距離D32、D42を半径差Rsよりも小さくすることができる。そして、これにより、キャリッジ2の移動範囲を広くしつつも、ベルトグリップをインクジェットヘッド3に近づけることができる。
【0093】
また、以上では、インクを吐出することによって記録用紙に画像の記録を行うプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られず、インク以外の液体を吐出するプリンタ以外の液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。