特許第5794229号(P5794229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5794229光硬化性シリコーンゲル組成物及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794229
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】光硬化性シリコーンゲル組成物及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20150928BHJP
   C08L 83/08 20060101ALI20150928BHJP
   C08K 5/3435 20060101ALI20150928BHJP
   C08J 5/12 20060101ALI20150928BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20150928BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20150928BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20150928BHJP
   C08G 75/04 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   C08L83/07
   C08L83/08
   C08K5/3435
   C08J5/12CFH
   C09K3/10 G
   H01L23/30 R
   C08G75/04
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-512829(P2012-512829)
(86)(22)【出願日】2011年4月25日
(86)【国際出願番号】JP2011060051
(87)【国際公開番号】WO2011136170
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2014年3月17日
(31)【優先権主張番号】特願2010-101249(P2010-101249)
(32)【優先日】2010年4月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314000279
【氏名又は名称】スリーボンドファインケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090343
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 百合子
(74)【代理人】
【識別番号】100129160
【弁理士】
【氏名又は名称】古館 久丹子
(74)【代理人】
【識別番号】100177460
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】坂本 泰則
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−2087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/07
C08G 75/04
C08J 5/12
C08K 5/3435
C08L 83/08
C09K 3/10
H01L 23/29
H01L 23/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)に示される基を少なくとも1個以上有するオルガノポリシロキサン: 100質量部
【化1】

(式中のR〜Rは、水素又は、炭素数1〜20のアルキル基を示す)、
(B)メルカプトアルキル基含有オルガノポリシロキサン:メルカプトアルキル基のモル数が前記(A)の一般式(1)に示される基1モルに対し、0.01〜1.0モルとなる質量部、
(C)光重合開始剤: (A)成分100質量部に対し、0.01〜20質量部、および
(D)下記一般式(2)
【化2】

(式中のR〜Rは、水素又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、式中のRは、水素又は−CH−Rを示す。(Rは、水素又は一価の有機基を示す))で示される基を有するヒンダードアミン系化合物: (A)成分100質量部に対し、0.001〜10質量部
からなる光硬化性シリコーンゲル組成物。
ただし、前記(B)メルカプトアルキル基含有オルガノポリシロキサンは(CHSiO1/2単位、(CH)(HS(CH)n)SiO2/2単位(nは2〜20の整数)および(CHSiO2/2単位からなり、HS(CH)n(nは2〜20の整数)基は1分子中に平均3を超える数存在する。
【請求項2】
(A)成分の25℃における粘度が10〜100,000cps以下である請求項1に記載の光硬化性シリコーンゲル組成物。
【請求項3】
光ピックアップのダンピング材として用いられる請求項1または2に記載の光硬化性シリコーンゲル組成物。
【請求項4】
シール剤として用いられる請求項1または2に記載の光硬化性シリコーンゲル組成物。
【請求項5】
車載電子機器のシール剤として用いられる請求項に記載の光硬化性シリコーンゲル組成物。
【請求項6】
請求項1または2に記載の光硬化性シリコーンゲル組成物を光照射下で硬化させて得られる硬化物からなる光ピックアップ用ダンピング材。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の光硬化性シリコーンゲル組成物を被シール物品に塗布し、光硬化性シリコーンゲル組成物を光照射下で硬化させて得られる硬化物を対向する被シール物品で接合し、圧接するシール方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射により硬化可能な光硬化性のシリコーンゲル組成物および硬化物に関し、詳しくは、高温高湿下に長時間放置されても物性変化が小さい優れた光硬化性シリコーンゲル組成物およびその硬化物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンゲルは、低い弾性率、機械的強度に優れ、耐熱性、耐寒性などに優れる為、各種電気・電子部品の接着剤、シール剤、ポッティング材、コーティング材、光ピックアップ装置に用いられるダンピング材など広い分野で使用されている。
【0003】
前記光ピックアップに用いられるダンピング材としては、特許文献1のような特定の付加反応硬化型シリコーンゲルが提案されている。しかしながら、加熱反応のため生産性に乏しいという欠点があった。また、特許文献2に記載されているメルカプトアルキル基含有ポリオルガノシロキサンを使用すると光照射により迅速に硬化するが、硬化物を高温高湿下に長時間さらすと軟質劣化する、即ち針入度の値が大きくなりダンピング性能が悪化するあるいは硬化物が流れ出すという問題がある。特許文献3においては、末端アミノ基含有オルガノポリシロキサンに(メタ)アクリル基含有イソシアネートを反応させて得られる光硬化性オルガノポリシロキサンが提案されているが、同様に高温高湿下放置で軟質劣化していくという問題があった。
【0004】
前記シール剤として特許文献4に末端アミノ基含有オルガノポリシロキサンにビニル基含有イソシアネートを反応させて得られる光硬化性オルガノポリシロキサンである光硬化性ゲルを用いたものを携帯電話、防水時計、防水小型スイッチ、防水小型抵抗器、ハードディスクのカバーなどのシール剤として用いた旨、開示されている。しかしながら、ここで開示された組成物は高温高湿下で用いられるシール用途には適さない。なぜならば、この組成物は高温高湿下で軟質劣化し、シール性能が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特開平8−225743号公報
【特許文献2】日本国特開昭62−161856号公報
【特許文献3】日本国特開平6−184257号公報
【特許文献4】日本国特開平7−88430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は光照射により迅速に硬化し、且つ、硬化後の硬化物が高温高湿下に長時間放置されても物性変化が小さいことにより、光ピックアップ用ダンピング材及びシール剤等として用いることができる光硬化性シリコーン組成物及びその用途の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は鋭意検討した結果、特定のシリコーンゲル組成物により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の要旨を次に説明する。本発明の第一の実施態様は、
(A)下記一般式(1)に示される基を少なくとも1個以上有するオルガノポリシロキサン: 100質量部
【0009】
【化1】
【0010】
(式中のR〜Rは、水素又は、炭素数1〜20のアルキル基を示す)、
(B)メルカプトアルキル基含有オルガノポリシロキサン:メルカプトアルキル基のモル数が前記(A)の一般式(1)に示される基1モルに対し、0.01〜1.0モルとなる質量部
(C)光重合開始剤: (A)成分100質量部に対し、0.01〜20質量部、および
(D)下記一般式(2)
【0011】
【化2】
【0012】
(式中のR〜Rは、水素又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、式中のRは、水素又は−CH−Rを示す。(Rは、水素又は一価の有機基を示す))で示される基を有するヒンダードアミン系化合物: (A)成分100質量部に対し、0.001〜10質量部
からなる光硬化性シリコーンゲル組成物が提供される。
【0013】
本発明の第二の実施態様は、(A)成分の25℃における粘度が10〜100,000cps以下である第一の実施態様の光硬化性シリコーンゲル組成物が提供される。
【0014】
本発明の第三の実施態様は、(B)成分が(CHSiO1/2単位、(CH)(HS(CH)n)SiO2/2単位(nは2〜20の整数)、および(CHSiO2/2単位からなるメルカプトアルキル基含有オルガノポリシロキサンである第一又は第二の実施態様の光硬化性シリコーンゲル組成物が提供される。
【0015】
本発明の第四の実施態様は、光ピックアップのダンピング材として用いられる第一〜第三のいずれかの実施態様の光硬化性シリコーンゲル組成物が提供される。
【0016】
本発明の第五の実施態様は、シール剤として用いられる第一〜第三のいずれかの実施態様の光硬化性シリコーンゲル組成物が提供される。
【0017】
本発明の第六の実施態様は、車載電子機器のシール剤として用いられる第五の実施態様の光硬化性シリコーンゲル組成物が提供される。
【0018】
本発明の第七の実施態様は、第一〜第三の実施態様のいずれかの光硬化性シリコーンゲル組成物を光照射下で硬化させて得られる硬化物からなる光ピックアップ用ダンピング材が提供される。
【0019】
本発明の第八の実施態様は、第一又は第二の実施態様の光硬化性シリコーンゲル組成物を被シール物品に塗布し、光硬化性シリコーンゲル組成物を光照射下で硬化させて得られる硬化物を対向する被シール物品で接合し、圧接するシール方法が提供される。
【発明の効果】
【0020】
以上、述べてきた本発明は光硬化性に優れ、且つ硬化後の硬化物が高温高湿下に長時間放置されても軟質劣化しない。即ち光ピックアップに使用されるダンピング材に用いた場合、生産性に優れ、且つ高温高湿下に長時間放置されても物性変化が少ない為、安定したダンピング性能を維持することが可能となる。またシール剤として使用した場合にも高温高湿下に長時間放置されても物性変化が少ない為、安定したシール性能が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の詳細を説明する。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物の主成分であり、下記一般式(1)に示される基を少なくとも1個以上有する。
【0022】
【化3】
【0023】
(A)成分中の一般式(1)に示される基の結合位置は限定されず、例えば、分子鎖末端、分子鎖側鎖が挙げられる。また、(A)成分中の一般式(1)に示される基以外の珪素原子結合有機基としてはメチル基あるいはフェニル基で置換されたものである。
(A)成分の分子構造は実質的に直線状であるが、一部に分岐構造があってもよい。このような(A)成分としては、例えば分子鎖末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン、分子鎖末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖片末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖され、もう一方の分子鎖片末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン、分子鎖片末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖され、もう一方の分子鎖片末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン、メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体が挙げられる。これらは単独で1種のみで用いられてもよく、または2種以上併用されてもよい、
【0024】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは25℃における粘度が10〜100,000cpsであり、好ましくは100〜50,000cpsである。10cps未満では、硬化物の自己保持性に問題がある、100,000cpsを超えると、本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物の取り扱いが困難になり作業性が悪い。
【0025】
(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子量が、1000〜500,000が好ましく、より好ましくは10,000〜100,000である。分子量が1000未満では硬化物の自己保持性に問題がある、分子量が500,000を超えると本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物の取り扱いが困難になり作業性が悪い、かつダンピング特性に影響がでてしまう。なお、本明細書において、「分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をいう。
【0026】
(B)成分は、メルカプトアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンであり、例えばメルカプトアルキル基が分子鎖の末端又は側鎖に置換したオルガノポリシロキサンである。好ましくは、(CHSiO1/2単位、(CH)(HS(CH)n)SiO2/2単位(nは2〜20の整数)および(CHSiO2/2単位からなるメルカプトアルキル基含有オルガノポリシロキサンであり、HS(CH)n(nは2〜20の整数)基は1分子中に平均3を超える数存在することが望ましく、それより少ないと硬化性が悪くなる。メルカプトアルキル基としてはメルカプトエチル、メルカプトプロピル、メルカプトヘキシル基などが例示される。
【0027】
(B)成分の分子量は、1,000以上であることが好ましく、より好ましくは、5,000以上である。1,000未満であると、硬化物の物理的強度が低くなる。
【0028】
(B)成分は、(CH)(HS(CH)n)SiO2/2(nは2〜20の整数)と(CHSiO2/2単位の比率が1:99〜50:50の範囲が望ましい。この範囲から(CH)(HS(CH2)n)SiO2/2(nは2〜20の整数)単位の比率が下回ると硬化性が極端に低下する。またこの範囲から(CH)(HS(CH)n)SiO2/2(nは2〜20の整数)単位の比率が上回ると、長期耐久性が保持できなくなってしまう。
【0029】
(B)成分の配合量は、(B)成分中のメルカプトアルキル基のモル数が(A)の一般式(1)に示される基1モルに対し0.01〜1.0モルとなるような量であり、好ましくは0.1〜1.0モルである。0.01モルより少ないと硬化性が低下し、1.0モルより多いと高硬度化してしまい、硬化物がゲルではなくなってしまい、本発明の目的を満たさない。
【0030】
(C)成分の光重合開始剤としては公知のものを使用でき、本発明に使用される(C)成分としての光重合開始剤は前記した(A)成分中のビニル基と(B)成分のメルカプトアルキル基との光照射下における反応を促進させるためのもので、これには当業界でよく知られている1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォフフィンオキシド;IRGACURE184、369、651、500、907、DAROCUR1173(以上、BASF社製);LUCIRIN TPO(BASF社製)等が挙げられる。特に反応性の面からアセトフェノン系が望ましい。(C)成分は単独で1種のみで用いられてもよく、または2種以上併用されてもよい、
【0031】
(C)成分の配合量は光反応開始に有効な量であり、一般的には(A)成分100質量部に対し、0.01〜20質量部である。
【0032】
(D)成分であるヒンダードアミン系化合物は課題である高温高湿による軟質劣化を抑制する本発明の主要な成分であり、一般式(2)で示される基を有するヒンダードアミン系化合物であることが重要である。
【0033】
【化4】
【0034】
(式中のR〜Rは、水素又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、式中のRは、水素又は−CH−Rを示す(Rは、水素又は一価の有機基を示す))。ここで有機基とは、ヒドロキシ、直鎖状又は分枝状のアルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲン、エステル、カルボキシ、アルデヒド、アミノ、イミノ、イミド、ニトリル、アミド、イミド、シアノ、スルホ、ニトロ、スルフィド、チオール、イソシアネートおよびニトロなど挙げられるが、この限りではない。
【0035】
分子内に一般式(2)で示される基を有しないヒンダードアミン系化合物を用いる場合には、高温高湿下に長時間放置すると軟質劣化が生じることから、ダンピング材やシール剤として適用できない。
【0036】
市販されているヒンダードアミン系化合物(D)の具体例としては、TINUVIN765(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物)、TINUVIN111FDL(コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物と,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンとの混合物)、TINUVIN144(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート)(いずれもチバスペシャルティーケミカルズ社製)、アデカスタブLA−52(テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート)、アデカスタブLA−57(テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート)、アデカスタブLA−62(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル、及びトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート)、アデカスタブLA−67(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジノールとトリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物)、アデカスタブLA−68LD(1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)−ジエタノールとの縮合物)、アデカスタブLA−82(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート)、アデカスタブLA−87(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート)(いずれも旭電化工業株式会社製)、が挙げられる。中でもTINUVIN765、TINUVIN111FDL、TINUVIN144が好ましい。これらは単独で1種のみで用いられてもよく、または2種以上併用されてもよい。
【0037】
(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.001〜10質量であり、好ましくは0.01〜7重量部、より好ましくは0.05〜5重量部である。0.001質量部より少ないと高温高湿による軟質劣化を抑制する効果が小さく、10質量部より大きいと硬化性が悪く、ブリードアウトしてくる。
【0038】
なお、本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物には必要に応じて、本発明の目的を損なわない限り、その他任意の成分として、各種充填剤、耐熱安定剤、難燃剤、ゲル化防止剤、物性調整剤、有機溶媒等を添加することもできる。
【0039】
充填剤としては、フュームドシリカ、ゴム粒子、シリコーンレジン、ガラスビーズや石英粉末等の無機質充填剤、金属もしくは金属化合物等の導電性又は熱伝導性充填剤などが挙げられる。
【0040】
フュームドシリカ系充填剤は、硬化物の機械的強度を向上させる目的で配合される。好ましくは、オルガノクロロシラン類、ポリオルガノシロキサン、ヘキサメチルジシラザンなどで疎水化処理したものなどが用いられる。
【0041】
フュームドシリカの具体例としては、例えば、日本アエロジル製の商品名アエロジル(Aerosil)R974、R972、R972V、R972CF、R805、R812、R812S、R816、R8200、RY200、RX200、RY200S、#130、#200、#300、R202等や、日本シリカ製の商品名Nipsil SSシリーズ、等の市販品が挙げられる。
【0042】
充填剤の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.1〜20質量部程度が好ましい。0.1質量部より少ないと効果が小さく、20質量部より大きいと本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物の流動性が乏しくなり、作業性が低下する。
【0043】
耐熱安定剤としては、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0044】
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジーt−ブチル−p−クレゾール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−t−ブチル−4−エチルフェノールなどのモノフェノール類、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール類;及びl,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−1−リス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッドグリコールエステル、トコフェロール(ビタミンE)などの高分子型フェノール類などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0045】
チオエーテル系酸化防止剤としては、MARK PEP−36、MARKAO−23等のチオエーテル系酸化防止剤(以上いずれもアデカアーガス化学製)などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0046】
リン系酸化防止剤としては、Irgafos38、Irgafos168、IrgafosP−EPQ(以上いずれも日本チバガイギー製)などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0047】
難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ポリリン酸アンモニウム、赤リン等のリン系、メラミンシアヌレート、硫酸メラミン等の窒素系、シリコーンパウダー、オルガノポリシロキサン等のシリコーン系、ホウ酸亜鉛などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0048】
ゲル化防止剤としては、暗反応防止剤が使用でき、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、フェノチアジンなどが例示される。
【0049】
物性調製剤としては、各種シランカップリング剤、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が必要に応じて添加される。前記物性調製剤を用いることにより、本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物の硬化性や接着性及びシール性などを調製することができる。
【0050】
有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0051】
本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例えば、各成分及び所望により用いられる添加剤成分を温度調節可能な混練機、例えば、一軸押出機,二軸押出機,プラネリーミキサー、二軸ミキサー、高剪断型ミキサー等を用いて混練することにより、製造することができる。
【0052】
上記光硬化性シリコーンゲル組成物の被着体等の部材への塗布は、該光硬化性シリコーンゲル組成物を必要に応じて温度調節し、一定粘度に調整した塗液を用いて任意の方法で行うことができ、例えばグラビアコート、ロールコート、スピンコート、スクリーンコート、ブレードコート、ディッピング、ディスペンシング、インクジェット等の方法を用いることができる。
【0053】
本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物を光照射することにより硬化させるに際しての光源は特に限定されず、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、LED、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。光照射の照射量は硬化物の特性の観点で10kJ/m以上であることが好ましく、より好ましくは15kJ/m以上である。
【0054】
(光ピックアップ用ダンピング材)
本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物は、以下の方法を用いて光ピックアップ用ダンピング材として使用することができる。
【0055】
本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物を光照射下で硬化した硬化物を光ピックアップ用ダンピング材に用いる為にはダンピング特性が求められる。ダンピング特性とはレオメーターにより測定できるtanδ(損失係数)、G(複素弾性率)から判断される。一般的にシリコーンゲルのtanδは、初期値と比較して高温高湿条件(85℃、85%RH)後において値が増加してしまうような組成物のゲルの場合、形態保持性が低いため強い振動や衝撃時に形態が変化してしまう。また一般的にシリコーンゲルのGは個々の具体的な製品により、要求される値が選択されるので、一概には値の高低で良否が判断されないが、高温高湿条件(85℃、85%RH)後においても初期値と比較して変化がないことが良いと判断される。
【0056】
本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物の硬化物の初期値のダンピング特性と高温高湿条件(85℃、85%RH)後のダンピング特性の変化量は小さいので安定したダンピング特性を保持できる。
【0057】
本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物を光照射下で硬化させて得られる硬化物からなる光ピックアップ用ダンピング材は、特に85℃、85%RHなどの高温高湿下に長時間放置される車載用ディスク装置のピックアップに好適に使用される。
【0058】
前記車載用ディスク装置はDVD、BD(ブルーレイディスク)、CD、或いはMD等のディスク媒体に記録された情報を再生する用途などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0059】
(シール剤)
本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物は、以下の方法を用いてシール剤として使用することができる。すなわち、被シール物品であるフランジに塗布し、光硬化性シリコーンゲル組成物に光を照射することにより、光硬化性シリコーンゲル組成物を硬化させる。硬化物のシール剤は対向する被シール物品のフランジ部と接合し、圧接される。
【0060】
本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物の硬化物は、初期のシール性と高温高湿条件(85℃、85%RH)後のシール性の変化量が小さいので安定したシール性能を保持できる。
【0061】
さらに長時間、高温高湿条件下で使用されるようなシール用途おいては、確実なシール性能を発揮するためシール剤の圧縮率が10%以上である力で圧接することが好ましく、さらに好ましいのは、圧縮率は10〜90%である。高温高湿下に長時間放置されるようなシール用途おいては、10%未満の圧縮であるとシール性が損なわれる。
【0062】
被シール物品のフランジ部としては、例えば、樹脂や金属が挙げられる。樹脂として特に制限なく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PES(ポリエーテルスルホン)、 PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PA(ポリアミド)などが挙げられる。金属としては特に制限はなく、例えば、鉄、アルミニウム/亜鉛合金めっき鋼、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0063】
本発明の具体的な用途としては、特に車載電子機器のケースシール、各種液状ガスケット等が用いられる自動車用部品接着・シール、家電及びモバイル機器等の電気電子機器部品の接着シール等に好適である。
【0064】
車載電子機器は120℃を超える高温又は85℃、85%RHなどの条件化での高温高湿下に長時間放置されるため、本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物が好適に使用される用途であり、本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物の硬化物によりシールすることで、防水性、密封性、安全性に優れた車載電子機器を搭載するケースを得ることができる。
【0065】
家電及びモバイル機器等では給湯器、炊飯器、電子レンジ、スチームオーブンレンジ等の高温高湿に晒される用途や、携帯電話、防水時計、防水小型スイッチ、防水小型抵抗器、ハードディスクのカバーなど防水性が求められる用途などが挙げられ、本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物の硬化物によりシールすることで、耐久性、防水性、気密性に優れた家電機器及びモバイル機器を得ることができる。
【実施例】
【0066】
以下に実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0067】
実施例及び比較例において使用した成分は下記の通りである。
(A)成分
(a1)オルガノポリシロキサンベース1:分子鎖末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン(分子量43,000、粘度3,500cps)
(a2)オルガノポリシロキサンベース2:分子鎖末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体(分子量62,000、粘度10,000cps)
(a3)オルガノポリシロキサンベース3:分子鎖末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン(分子量72,000、粘度20,000cps)
〈A成分の比較成分〉
(a’1)オルガノポリシロキサンベース4:分子鎖末端シラノールポリジメチルシロキサン(分子量10,000)2000gにアミノプロピルメチルジメトキシシラン16.3gを滴下しつつ、窒素置換中にて100℃で2時間撹拌する。その後真空に引き残存している可能性のある未反応のアミノプロピルメチルジメトキシランを取り除き、粘度10,000cpsの片末端にアミノ基をもつジ(ポリジメチルシロキサン)を得た。前記ジ(ポリジメチルシロキサン)200gに2−イソシアネートエチルメタクリレート1.54gを加え窒素置換中にて50℃で1時間撹拌反応させて得られる末端(メタ)アクリル基含有オルガノポリシロキサンを得た。
(B)成分
(b1)メルカプトプロピル基含有オルガノポリシロキサン:分子量末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メルカプトプロピルメチルシロキサン共重合体(分子量10,000、粘度170cps)
(C)成分
(c1)2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン:DAROCURE1173(BASF社製)
(c2)1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン:IRGACURE184(BASF社製)
(D)成分
(d1)ヒンダードアミン1:TINUVIN 765(BASF社製)・・・一般式(3)及び(4)の混合物
(d2)ヒンダードアミン2:TINUVIN 111FDL(BASF社製)・・・一般式(5)及び(6)の混合物
(d3)ヒンダードアミン3:TINUVIN 144(BASF社製)・・・一般式(7)
〈D成分の比較成分〉
(d’1)ヒンダードアミン4:TINUVIN123(BASF社製)・・・一般式(8)
(d’2)ヒンダードフェノール1:IRGANOX 1135(BASF社製)・・・一般式(9)
(d’3)ヒンダードフェノール2:IRGANOX 1010(BASF社製)・・・一般式(10)
(d’4)ヒンダードフェノール3:IRGANOX1035(BASF社製)・・・一般式(11)
【0068】
【化5】
【0069】
【化6】
【0070】
【化7】
【0071】
【化8】
【0072】
【化9】
【0073】
【化10】
【0074】
【化11】
【0075】
【化12】
【0076】
【化13】
【0077】
〈その他任意成分〉
・フュームドシリカ:アエロジルR972(日本アエロジル(株)社製)(平均一次粒径:16nm、BET比表面積:130m/g)
【0078】
実施例及び比較例において使用した試験法は下記の通りである。
<光硬化性シリコーンゲル組成物の調製>
各成分を表1〜4に示す質量部で採取し、常温にてプラネタリーミキサーで混合し、光硬化性シリコーンゲル組成物を調製し、各種物性に関して次のようにして測定した。
【0079】
〈針入度試験〉
上記光硬化性シリコーンゲル組成物に高圧水銀ランプで積算光量30kJ/mの紫外線を照射し、約5gの硬化物を作製しJISK2220(2003年)に準じ、1/4コーン(9.38g)を使用し、針入度を測定した。その結果を表1〜4に示す。
【0080】
〈85℃、85%RH(湿度)、500時間後の針入度試験〉
上記の針入度試験と同様に硬化物を作製しJISK2220(2003年)に準じ、1/4コーン(9.38g)を使用し、温度85℃、湿度85%RHに500時間放置したものを測定用試料として、針入度を測定した。その結果を表1〜4に示す。
【0081】
〈ダンピング特性試験〉
積算光量30kJ/mの紫外線を照射し、2gの硬化物を作製し、レオメーターによりダンピング性を測定した。レオメーターにより25℃で1Hzの時のtanδとGを測定した。その結果を表1〜2に示す。
【0082】
〈85℃、85%RH(湿度)、500時間後のダンピング特性試験〉
上記のダンピング特性試験と同様に硬化物を作製し、温度85℃、湿度85%RHに500時間放置したものを測定用試料として、レオメーターによりダンピング性を測定した。その結果を表1〜2に示す。
【0083】
〈シール性試験〉
シール性試験に際しては、アルミでできたフランジ幅10mm、フランジ枠の大きさ(内側)80×80mmの四角形の耐圧性フランジに、表中の光硬化性シリコーンゲル組成物をディスペンサーによりビード径幅3.0mm高さ1.5mmに塗布し、上から60kJ/mの紫外線を照射し硬化させた。その後、上から同じ大きさの平らなアルミ板を用い圧縮率60%で締め付けて、水没させ、フランジ内圧を徐々に挙げていきエアーリーク耐圧試験を行った。このとき昇圧条件は0.01MPa/15secとし、エアーが漏れない最大圧力を耐圧性として表3〜4にまとめた。
【0084】
〈85℃、85%RH(湿度)、500時間後のシール性試験〉
上記のシール性試験と同様に測定試料を作製し、その後温度85℃、湿度85%RHに500時間放置したものを測定用試料として、水没させ、フランジ内圧を徐々に挙げていきエアーリーク耐圧試験を行った。このとき昇圧条件は0.01MPa/15secとし、エアーが漏れない最大圧力を耐圧性として、表3〜4にまとめた。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の範囲と精神を逸脱することなく、様々な修正や変更を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
本出願は、2010年4月26日出願の日本特許出願2010−101249に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の光硬化性シリコーンゲル組成物は、光照射により硬化し、その硬化物は高温高湿下にさらされても針入度変化が小さく、さらに形状保持性、振動吸収性、シール性に優れる為、各種電気・電子部品の接着剤、シール剤、ポッティング材、コーティング材、光ピックアップ装置に用いられるダンピング材など広い分野に適用可能である。特にダンピング材としては高信頼性が要求されるような光ピックアップ装置に適用可能であり、シール剤としては高温高湿下にさらされるような車載用部品で適用可能である。以上より広い分野に適用可能であることから産業上有用である。