特許第5794257号(P5794257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794257
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   A63F7/02 304Z
   A63F7/02 350Z
【請求項の数】1
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-121358(P2013-121358)
(22)【出願日】2013年6月8日
(65)【公開番号】特開2014-236889(P2014-236889A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2013年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204262
【氏名又は名称】タイヨーエレック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】土屋 万博
【審査官】 尾崎 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−173854(JP,A)
【文献】 特開2003−218800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
H04B 10/00−10/90
H04J 14/00−14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技情報を音波または電磁波に変換して所定の外部機器に伝達する機能を備えた遊技機であって、
前記遊技情報を変換した音波または電磁波を出力する出力部と、
前記出力部から出力された音波または電磁波が入力される入力部が設けられた前記外部機器を設置するための設置部と、
前記出力部から出力された音波または電磁波が通過する通路部と
を備え、
前記通路部は、前記出力部から出力された音波または電磁波を一端から取り入れて他端から放出可能に構成され、前記他端の向きを任意に調整することが可能であると共に、該調整後の前記他端の向きを維持可能であり、
前記出力部から出力された音波または電磁波は、前記通路部を介して、前記設置部に設置された前記外部機器の前記入力部に入力可能とされる
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機や回胴式遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技の進行に応じて特典が遊技者に付与される遊技機として、弾球遊技機(いわゆるパチンコ機)や回胴式遊技機(いわゆるスロットマシン)等が知られている。こうした遊技機では、遊技の内容に関する遊技情報(例えば、遊技回数に関する情報や遊技時間に関する情報、遊技者に有利な状態の発生可能性を示唆する情報など)を遊技者に報知することによって、遊技に対する意欲や興趣の向上を図るものが知られている。
【0003】
このような遊技機では、遊技者が所有する外部機器(スマートフォンなど)との通信機能を備えて、外部機器を介して遊技情報を報知することが提案されている。例えば、特許文献1に記載の遊技機では、遊技情報を音波に変換してスピーカーから出力するようになっており、その音波を遊技者の外部機器がマイクロホンで受けると、音波から再変換された遊技情報が外部機器の表示部に表示される。このように音波等を用いた無線通信で遊技情報を外部機器に伝達する構成とすれば、遊技機と外部機器とを接続する規格(コネクタなど)を統一する必要がないので、様々な外部機器に対応することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−260175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように音波等を用いた無線通信で遊技情報を外部機器に伝達する場合には、遊技機からの無線通信(情報)を外部機器が受信するにあたり、「外部機器を取り出す動作」や「無線通信の出力部に外部機器を近づける動作」を遊技者に行わせる必要が生じ、利便性に問題があった。また、複数の遊技機が設置されている遊技ホールでは、一の遊技機から出力された無線通信(情報)を、その遊技機で遊技を行っている遊技者が所有する外部機器だけでなく、近隣の遊技者の外部機器が受信してしまう可能性があり、その場合、誤った遊技情報(自分が行っている遊技とは無関係の遊技情報)が伝達され、遊技者に不快感を与える虞があった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、無線通信で遊技情報を外部機器に伝達可能な遊技機にて、従来に比して利便性を高める技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
遊技情報を音波または電磁波に変換して所定の外部機器に伝達する機能を備えた遊技機であって、
前記遊技情報を変換した音波または電磁波を出力する出力部と、
前記出力部から出力された音波または電磁波が入力される入力部が設けられた前記外部機器を設置するための設置部と、
前記出力部から出力された音波または電磁波が通過する通路部と
を備え、
前記通路部は、前記出力部から出力された音波または電磁波を一端から取り入れて他端から放出可能に構成され、前記他端の向きを任意に調整することが可能であると共に、該調整後の前記他端の向きを維持可能であり、
前記出力部から出力された音波または電磁波は、前記通路部を介して、前記設置部に設置された前記外部機器の前記入力部に入力可能とされる
ことを特徴とする。
【0008】
ここで、本発明の「音波」とは、空気中を伝わる波動であって、人間が音として知覚できる周波数のものに限らず、人間が音として知覚できない周波数のものも含む。また、本発明の「電磁波」とは、電場と磁場の変化によって空間を伝わる波動であり、電波、赤外線、可視光などを含むものとする。尚、「通路部」としては、出力部が音波を出力する場合は、中空のホースやチューブなどを例示することができ、出力部が光を出力する場合は、光ファイバーなどを例示することができる。
【0009】
このような遊技機では、遊技者が所有する外部機器(スマートフォンなど)を設置部に設置しておくことで、遊技情報が変換された音波または電磁波を外部機器に入力することが可能となり、外部機器を取り出す等の煩わしさを解消できる。その結果、「無線通信で遊技情報を外部機器に伝達可能な遊技機」の利便性を従来よりも高めることができる。そして、遊技者が通路部の他端の向きを調整することで、出力部から出力される音波または電磁波を外部機器に対して任意の位置に向けることが可能であるので、遊技情報を外部機器に確実に伝達することができる。また、本構成によれば、音波や電磁波を拡散させることなく外部機器の入力部に到達させることができるので、近隣の他の遊技者が所有する外部機器に対して遊技情報が伝達されることを抑制することが可能となる。
【0010】
上述した本発明の遊技機では、
前記出力部から出力された音波または電磁波が前記通路部から外に漏れることを抑制する抑制部を備えることとしてもよい。
【0011】
このようにすれば、出力部から出力される音波または電磁波が、近隣で遊技する他の遊技者が所有する外部機器に入力されることを抑制することができる。
【0012】
また、上述した本発明の遊技機では、
前記出力部は、当該遊技機の前面に設けられ、当該遊技機の前方に向けて音波または電磁波を出力し、
前記設置部は、前記出力部の前方に設けられ、
前記通路部は、前記出力部から出力された音波または電磁波を当該遊技機に向けて反射させることで、該音波または電磁波の進行方向を変更する
こととしてもよい。
【0013】
外部機器として、スマートフォン等のように「音波または電磁波の入力に基づく情報が表示される表示部(液晶等)」と同じ面に入力部(マイクロホン)が設けられた外部機器が用いられる場合には、表示部を遊技者側(遊技機の前方)に向けて外部機器が設置部に設置されることが想定される。この場合、設置部に設置された外部機器の入力部は、遊技機の出力部に背を向けてしまうこととなる。上述の構成では、このような場合でも、出力部から出力される音波または電磁波を反射させて、外部機器の前面(表示部および入力部が設けられた面)に向かうように音波または電磁波の進行方向を変更できる。これにより、外部機器の向きを変えることなく、遊技者が外部機器の表示部を見ながらでも、遊技情報を外部機器に確実に伝達することが可能となり、利便性を高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、無線通信で遊技情報を外部機器に伝達可能な遊技機にて、従来に比して利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施例のパチンコ機の正面図である。
図2】本実施例の遊技盤の盤面構成を示す説明図である。
図3】本実施例のパチンコ機における制御回路の構成を示したブロック図である。
図4】第1実施例のホルダーの構造を示した斜視図である。
図5】第1実施例のホルダーに設けられた受け皿で第1スピーカーからの音波を外部機器のマイクロホンに向ける様子を示した説明図である。
図6】第1変形例のホルダーの構造を示した説明図である。
図7】第2変形例のホルダーの構造を示した説明図である。
図8】第2実施例のホルダーの構造を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機に適用した実施例について説明する。
【0020】
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は、図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3はプラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
【0021】
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には円形状の窓部4aが形成されている。この窓部4aにはガラス板等の透明板が嵌め込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種LEDやランプ4b〜4fが設けられている。さらに、本実施例の前面枠4には、遊技者が所有するスマートフォンなどの外部機器を設置するためのホルダー100が窓部4aの左方に設けられており、このホルダー100の奥側には、第1スピーカー90が設けられている。尚、ホルダー100の詳細な構造については、別図を用いて後述する。前面枠4の下方には上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側には球貸装置13(いわゆるCRユニット)が設けられている。
【0022】
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図3参照)に供給される。皿外縁部5aには、遊技球の貸し出しを要求するための球貸ボタン5b、球貸装置13からICカードや磁気カード等の記憶媒体を排出するための返却ボタン5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなどの各種ボタン類が設けられている。また、上皿部5の前面側には、演出ボタン5dが設けられており、演出ボタン5dに対する遊技者の操作を受けて、その操作を遊技演出に反映させることが可能となっている。加えて、上皿部5の右端には第2スピーカー5yが設けられている。
【0023】
下皿部6には、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
【0024】
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。上述した発射装置ユニット12から発射された遊技球は、外レール14と内レール15との間を通って遊技領域11に放出され、遊技領域11の上方から下方に向かって流下する。
【0025】
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、中央装置26のほぼ中央には演出表示装置27が設けられている。演出表示装置27は液晶表示器によって構成されており、その表示画面上では、識別図柄などの種々の演出図柄を変動表示した後に停止表示すると共に、背景画像を表示することが可能となっている。
【0026】
中央装置26の左斜め下方には第1図柄表示装置28が設けられ、中央装置26の右斜め下方には第2図柄表示装置32が設けられている。このうち、第1図柄表示装置28では、普通図柄や第1特別図柄を変動表示することが可能となっており、第2図柄表示装置32では、第2特別図柄を変動表示することが可能となっている。尚、以下では、第1特別図柄を「第1特図」と略記し、第2特別図柄を「第2特図」と略記することがあるものとする。
【0027】
遊技領域11の左端および右端には、普通図柄左作動ゲート36と普通図柄右作動ゲート37とが設けられており、これらのゲートの内部には、遊技球の通過を検出するゲートスイッチ36s,37sがそれぞれ設けられている。また、左右の普通図柄作動ゲート36,37と中央装置26との間には、ランプ風車24,25が設けられている。更に、これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
【0028】
また、中央装置26の下方には、始動口ユニット17が設けられている。始動口ユニット17は、2つの始動口を上下に組み合わせて構成されており、上側に設けられた第1始動口17aは、遊技球が入球する開口部の大きさが不変(一定)で遊技球が常時入球可能な入球口となっている。一方、下側に設けられた第2始動口17bは、左右に開閉可能な一対の翼片部17wや、翼片部17wを動作させる始動口ソレノイド17m(図3参照)などで構成されており、翼片部17wの開閉によって遊技球の入球可能性が変化する入球口となっている。第1始動口17aあるいは第2始動口17bに入球した遊技球は、それぞれの内部に設けられた通路を通って遊技盤10の裏面側に導かれる。第1始動口17aの内部の通路には第1始動口スイッチ17sが設けられており、第1始動口17aに入球した遊技球を検出可能である。また、第2始動口17bの内部の通路には第2始動口スイッチ17tが設けられており、第2始動口17bに入球した遊技球を検出可能である。
【0029】
始動口ユニット17の下方には、大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開放する大入賞口31dや、大入賞口31dを開閉させる開閉部材31e、開閉部材31eを動作させる大入賞口ソレノイド31m(図3参照)などから構成されている。後述する所定の条件が成立すると、大入賞口ソレノイド31mが作動して開閉部材31eが開動作され、大入賞口31dが開放状態となる。この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球する遊技者にとって有利な大当り遊技が開始される。また、大入賞口31dの内部には大入賞口スイッチ31sが設けられており、大入賞口31dに入球した遊技球を検出することが可能である。さらに、大入賞装置31の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下方にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
【0030】
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図3は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、演出図柄やランプや効果音などを用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で演出表示装置27の制御を行う演出制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAMなど、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。尚、図3中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を送受信する方向を表している。
【0031】
主制御基板200のCPU201は、第1始動口スイッチ17sや、第2始動口スイッチ17t、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36s,37sなどから遊技球の検出信号を受信すると、何れのスイッチからの検出信号であるかに応じて定められる各種の動作を指令するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって送信する。また、主制御基板200には、第2始動口17bに設けられた一対の翼片部17wを開閉させるための始動口ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、第1図柄表示装置28、第2図柄表示装置32などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、これら各種ソレノイド17m,31m、第1図柄表示装置28、第2図柄表示装置32に向かって駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御も行う。
【0032】
サブ制御基板220には、演出制御基板230、装飾駆動基板226、アンプ基板227、演出ボタン基板228などが接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。すなわち、演出表示装置27の表示制御を行う演出制御基板230に対して制御内容を指定するコマンドを送信したり、装飾用の各種LEDやランプ4b〜4fを駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を送信したりすることにより、遊技の演出を行う。また、サブ制御基板220は、音源IC224や音源ROM225を備えており、効果音などの音波を出力する際には、音源IC224が指定された効果音に対応する音源データを音源ROM225から読み出し、その音源データ信号をアンプ基板227に送信することにより、各種スピーカー5y,90から効果音を出力する。さらに、サブ制御基板220のCPU221は、演出ボタン基板228を介して演出ボタン5dの操作信号を受信すると、その操作に対応する演出を行う。
【0033】
演出制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、画像ROM234やVDP(図示せず)を備えている。演出制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、その受信したコマンドに対応する演出画像を演出表示装置27の表示画面に表示するための制御を行う。画像ROM234には、図柄変動演出や大当り遊技演出など種々の遊技演出に対応する演出画像のデータ(例えば、所定のキャラクタに対応する画像を表示するためのスプライトデータや動画データなど)が格納されている。
【0034】
払出制御基板240は、いわゆる賞球や貸球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、主制御基板200から賞球の払出コマンドが送信されると、このコマンドを払出制御基板240が受信して、払出モータ50mに駆動信号を送信することによって賞球の払い出しを行う。また、払出制御基板240は、主制御基板200からの制御の下で、遊技球の発射を許可する信号(発射許可信号)を発射制御基板260に向かって送信しており、発射制御基板260は、この発射許可信号を受信して、発射装置ユニット12の駆動により遊技球を発射するための各種制御を行っている。さらに、遊技者が前述した上皿部5に設けられた球貸ボタン5bや返却ボタン5cを操作すると、その操作信号は、球貸表示基板244から中継端子板242を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240と通信しながら、貸球の払い出しを行う。
【0035】
B.遊技の概要 :
上述した構成を有する本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が球貸装置13にICカードや磁気カードを挿入して遊技球の貸し出しを受ける。そして、貸し出された遊技球を上皿部5の凹部に投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
【0036】
発射した遊技球が、遊技領域11の左右に設けられた何れかの普通図柄作動ゲート36,37を通過すると、中央装置26の左下方に設けられた第1図柄表示装置28において普通図柄の変動表示が開始される。第1図柄表示装置28には、普通図柄を表示するためのLED(普通図柄LED)が設けられおり、この普通図柄LEDの点滅を繰り返すことによって普通図柄の変動表示を行う。そして、予め定められた時間だけ点滅を繰り返した後、普通図柄LEDが点灯状態で停止した場合には、普通図柄の当りとなって、第2始動口17b(始動口ユニット17の下側の始動口)が所定の開放時間だけ開放状態となる。逆に、普通図柄LEDが消灯状態で停止した場合には普通図柄の外れとなって、第2始動口17bが開放することはない。尚、普通図柄が当りとなるか外れとなるかは、主制御基板200のCPU201が行う普通図柄の当り判定で決定される。主制御基板200のCPU201は、遊技球が普通図柄作動ゲート36,37を通過した際に乱数の値を取得し、その取得した乱数値を用いて当り判定テーブルを参照しながら普通図柄の当り判定を行う。当り判定テーブルとは、乱数の値に対応付けて「当り」または「外れ」の判定結果が設定されたテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
【0037】
また、遊技領域11に発射した遊技球が第1始動口17aに入球すると第1図柄表示装置28で第1特別図柄(第1特図)の変動表示が開始され、第2始動口17bに入球すると第2図柄表示装置32で第2特別図柄(第2特図)の変動表示が開始される。第1図柄表示装置28には、第1特図を表示するための複数のLED(第1特図LED)が設けられ、第2図柄表示装置32には、第2特図を表示するための複数のLED(第2特図LED)が設けられており、これらのLEDが所定の変動時間が経過するまで変動表示(点滅)した後、大当り態様または外れ態様で停止表示する。そして、特別図柄が大当り態様で停止表示されると、大入賞口31dが開放状態となる大当り遊技が開始される。尚、特別図柄を何れの態様で停止表示させるかは、主制御基板200のCPU201が行う特別図柄の大当り判定で決定される。主制御基板200のCPU201は、遊技球が始動口(第1始動口17a、第2始動口17b)に入球した際に乱数の値を取得し、その取得した乱数値を用いて大当り判定テーブルを参照しながら特別図柄の大当り判定を行う。大当り判定テーブルとは、乱数の値に対応付けて「大当り」または「外れ」の判定結果が設定されたテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
【0038】
特別図柄(第1特図、第2特図)の変動表示と連動して、中央装置26の演出表示装置27では演出図柄(例えば、3つの識別図柄)を用いた演出(図柄変動演出)が行われる。特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置27においても3つの識別図柄が「1」〜「9」の9つの数字を次々と切り換えて変動表示が行われる。そして、特別図柄が外れ図柄で停止表示される場合は、3つの識別図柄が同じ数字で揃わない組合せ(バラケ目)で停止表示されるのに対して、特別図柄が大当り図柄で停止表示される場合は、3つの識別図柄が同じ数字となる組合せ(ゾロ目)で停止表示される。このため、3つの識別図柄のうち2つが停止表示されたときに同じ数字で揃っていると、最後に停止表示される識別図柄も同じ数字となって大当り遊技が開始されるのではないかと、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように、2つの識別図柄が同じ図柄で停止表示された状態で最後の識別図柄を変動表示させながら行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれ、このリーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることができる。
【0039】
大当り遊技は、大入賞口31dを開放して、所定の開放時間(例えば30秒)が経過するか、あるいは規定入球数(例えば9個)の遊技球が入球したら閉鎖するラウンド遊技を、複数回繰り返すように構成されている。大入賞口31dに遊技球が1個入球する毎に所定数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出されるので、大当り遊技では、大入賞口31dに多くの遊技球を入球させることで、遊技者は多量の賞球を獲得可能である。
【0040】
また、本実施例のパチンコ機1では、特別図柄が大当り態様で停止表示する確率(大当り確率)として、低確率と、低確率よりも高い高確率とが設けられている(低確率用の大当り判定テーブルと高確率用の大当り判定テーブルとが設けられている)。大当り遊技が終了すると、大当り確率が高確率に設定されることがあり、高確率に設定された場合は大当りが連続して発生する(いわゆる連チャン)可能性が高い。さらには、大当り遊技の終了後は、第2始動口17bの開放時間が通常よりも長く設定される開放延長機能や、特別図柄(第1特図および第2特図)の変動時間が通常よりも短く設定される変動短縮機能が作動し、これらの機能は、特別図柄の変動回数が所定回数(例えば50回)に達するまで継続される。
【0041】
以上のようにして遊技が行われる本実施例のパチンコ機1では、前述したように前面枠4にホルダー100が設けられており、遊技者が所有するスマートフォンなどの外部機器をホルダー100に設置すると、その外部機器と通信を行って、外部機器を介して遊技の内容に関する情報(遊技情報)を遊技者に報知することが可能となっている。そして、本実施例のパチンコ機1では、ホルダー100を以下のように構成することによって、外部機器と回線で接続することなく無線通信で外部機器に遊技情報を確実に伝達することが可能であると共に、従来に比して利便性を高めている。尚、本実施例のホルダー100は、本発明の「設置部」に相当している。
【0042】
C.第1実施例のホルダーの構造 :
図4は、第1実施例のホルダー100の構造を示した斜視図である。尚、図4には、スマートフォンを例として遊技者が所有する外部機器300の構造も示されている。図示されるように、第1実施例のホルダー100は、前面枠4に固定される背面板102と、背面板102の下部から前方(遊技者側)に突出して設けられた凹形状の受け皿110とを備えている。
【0043】
背面板102の略中央には、外部機器300を吸着固定するための吸盤106が前方に向けて突設されている。また、背面板102の下部には、縦長の複数のスリット104が形成されている。このスリット104の奥側(前面枠4の裏側)には第1スピーカー90が搭載されており、第1スピーカー90から出力される音波は、スリット104を通って前方(遊技者側)に放出される。尚、第1実施例の第1スピーカー90は、本発明の「出力部」に相当している。
【0044】
凹形状の受け皿110は、前面110aと両側面110bとでスリット104を取り囲むように形成されており、上方が開放されている。また、受け皿110内には、底面110cから立設された三角形断面の立設部111が背面板102に対して平行に配置されている。
【0045】
図4に例示した外部機器300は、液晶などで構成されて情報を表示可能な表示部302と、表示部302の下方に設けられたマイクロホン304と、表示部302の上方に設けられたスピーカー306などを備えている。このような外部機器300をホルダー100に設置する際には、表示部302を前方(遊技者側)に向け、マイクロホン304が設けられた下部を受け皿110内に納めて、表示部302が設けられた面とは反対側の面(後面)に吸盤106を吸着させる。尚、外部機器300のマイクロホン304は、「入力部」に相当する。また、図示した外部機器300では、マイクロホン304が表示部302と同じ面に設けられているが、マイクロホン304の位置はこれに限られず、表示部302が設けられた面を前面として、下面や後面に設けられている場合もある。
【0046】
第1実施例のパチンコ機1では、こうしてホルダー100に設置された外部機器300と回線で接続するのではなく、音波で通信を行うようになっている。すなわち、遊技情報を遊技者に報知する際には、サブ制御基板220に搭載された音源IC224が遊技情報に対応する音源データを音源ROM225から読み出し、アンプ基板227に音源データ信号を送信することによって、遊技情報を伝達する音波が第1スピーカー90から出力される。この音波を外部機器300がマイクロホン304で受けると、音源データ信号に再変換され、その音源データに対応する遊技情報を表示部302に表示することによって遊技情報の報知が行われる。このように音波で遊技情報を伝達すれば、パチンコ機1と外部機器300とを接続するコネクタなどの規格を統一する必要がなく、マイクロホン304を備える様々な外部機器300にソフトウェアの追加や変更だけで容易に対応することができる。また、遊技情報を伝達する音波として、遊技者にはほとんど聞こえない周波数(18〜20kHz)を使用することにより、他の効果音を出力しながらでも外部機器300に遊技情報を伝達することができる。
【0047】
第1実施例のパチンコ機1では、演出表示装置27にて通常のリーチ演出(ノーマルリーチ演出)よりも大当り信頼度(3つの識別図柄が同じ数字で揃う可能性)が高いスーパーリーチ演出が発生するのに合わせて、外部機器300の表示部302に遊技情報として大当り信頼度のパーセンテージ(例えば、信頼度60%や、信頼度80%など)を表示させるようになっている。これにより、スーパーリーチ演出が発生すると、外部機器300に高い大当り信頼度が表示されるのではないかと遊技者の期待を高めて、遊技興趣を向上させることができる。尚、外部機器300を介して報知する遊技情報は、これに限られず、遊技に関する情報であればどのような情報であってもよい。例えば、遊技者が行った遊技回数(特別図柄の変動表示回数)を示す情報であったり、実行された当り遊技の回数(当り回数)を示す情報であったり、大当り遊技の終了後の大当り確率が高確率であるか否かを示す情報等を例示できる。
【0048】
ここで、図4に例示したように表示部302と同じ面にマイクロホン304が設けられた外部機器300では、表示部302を前方(遊技者側)に向けてホルダー100に設置しようとすると、マイクロホン304を第1スピーカー90に向けることができないので、第1スピーカー90からの音波をマイクロホン304で受け難く、外部機器300に遊技情報が伝わらない可能性がある。そこで、第1実施例のホルダー100では、第1スピーカー90から出力される音波を外部機器300のマイクロホン304に向けるように受け皿110が構成されている。
【0049】
図5は、第1実施例のホルダー100に設けられた受け皿110で第1スピーカー90からの音波を外部機器300のマイクロホン304に向ける様子を示した説明図である。図5には、図4に示したホルダー100を手前側から奥側に鉛直な面で切断した断面形状が示されている。また、図中の太線の矢印は、音波の進行方向を表している。図示されるように外部機器300は、ホルダー100の吸盤106を吸着させることで下端を受け皿110の底面110cから浮かせた状態で固定することが可能である。前述したように第1スピーカー90から出力される音波は、スリット104を通って前方の受け皿110内に放出される。そして、外部機器300の下方の空間を通過した音波は、受け皿110の前面110aの下部に当たって反射する。この前面110aの下部は、底面110cに対して垂直ではなく、第1スピーカー90からの音波を反射させて外部機器300の下部に向けるように傾斜が設定されているため、前面110aの下部で反射した音波が外部機器300のマイクロホン304に入力される。また、受け皿110の前面110aは、下部よりも上部を背面板102側に屈曲させて設けられており、外部機器300のマイクロホン304の上方を覆うようになっている。
【0050】
また、第1スピーカー90から出力される音波の一部は、外部機器300の後面(表示部302が設けられた面とは反対側の面)に向けて放出されており、外部機器300のマイクロホン304が後面に設けられている場合は、第1スピーカー90からの音波がマイクロホン304に直接入力される。さらに、受け皿110の底面110cには、三角形断面の立設部111が設けられており、背面板102側の傾斜面は、第1スピーカー90からの音波を反射させて外部機器300の下面に向けるように傾斜が設定されている。そのため、外部機器300のマイクロホン304が下面に設けられている場合は、立設部111の傾斜面で反射した音波がマイクロホン304に入力される。尚、第1実施例の受け皿110の底面110c、前面110a、立設部111は、本発明の「通過部」に相当している。
【0051】
このように、第1実施例のパチンコ機1では、遊技者が所有するスマートフォンなどの外部機器300を、表示部302を前方(遊技者側)に向けた状態でホルダー100に設置しておくことで、遊技情報が変換された音波を外部機器300のマイクロホン304に入力することが可能となり、音波入力のたびに遊技者が外部機器300を取り出す等の煩わしさを解消できる。そのため、無線通信で遊技情報を外部機器300に伝達可能なパチンコ機1の利便性を従来よりも高めることができる。
【0052】
特に、表示部302が設けられた面と同じ面にマイクロホン304が設けられた外部機器300が用いられる場合には、第1スピーカー90から前方に向けて出力される音波を、受け皿110の前面110aで反射させて、マイクロホン304に向かうように音波の進行方向を変更することができる。このため、外部機器300の向きを変える必要はなく、遊技者が表示部302を見ながらでも、遊技情報を外部機器300に確実に伝達することが可能となり、利便性を高めることができる。
【0053】
また、第1実施例のホルダー100では、第1スピーカー90から前方に出力される音波を、外部機器300の前面、下面、後面の3方向に向けることができるので、マイクロホン304の位置が前面、下面、後面と異なる各種の外部機器に対応することができる。
【0054】
また、遊技情報を伝達するために第1スピーカー90から出力される音波が、近隣の他の遊技者が所有する外部機器300に届いてしまうと、誤った遊技情報(自分が行っている遊技とは関係のない遊技情報)が表示部302に表示され、他の遊技者を混乱させる可能性がある。しかし、第1実施例のパチンコ機1のように、第1スピーカー90からパチンコ機1の前方に向けて出力される音波を受け皿110で特定の方向(外部機器300のマイクロホン304)に向けるとともに、側面110bでパチンコ機1の左右方向への拡散を抑えることにより、音波が近隣に漏れにくくなるので、他の遊技者の外部機器300に遊技情報が伝達されることを抑制することができる。
【0055】
さらに、第1実施例のホルダー100では、受け皿110の前面110aの上部を屈曲させて外部機器300のマイクロホン304の上方を覆っていることから、マイクロホン304に向けられた音波が受け皿110から漏れ出ることを抑制することができる。また、これとは逆に、近隣の他のパチンコ機1から出力された音波を、ホルダー100に設置された外部機器300がマイクロホン304で受けにくいので、表示部302に誤った遊技情報を表示することを抑制することができる。尚、第1実施例の受け皿110の前面110aの上部は、本発明の「抑制部」に相当している。
【0056】
D.変形例 :
上述した第1実施例のパチンコ機1には、次のような変形例も存在する。以下では、上述の第1実施例とは異なる点を中心に変形例を説明する。尚、変形例の説明にあたっては、上述の第1実施例と同じ構成部分については同じ符号を付すこととして説明を省略する。
【0057】
D−1.第1変形例 :
図6は、第1変形例のホルダー100の構造を示した説明図である。図6には、背面板102に平行な面で受け皿110を切断した断面形状が示されている。図示されるように第1変形例のホルダー100では、受け皿110の底面110cから2本のレール112が立設されている。この2本のレール112は、受け皿110の側面110bと平行に設けられており、背面板102に形成された複数のスリット104や、底面110cに設けられた立設部111は、2本のレール112の間に配置されている。このような第1変形例のホルダー100に外部機器300を設置する際には、外部機器300の下端を2本のレール112上に載置する。尚、レール112の本数は2本に限られず、3本以上であってもよい。また、第1変形例のホルダー100では、背面板102に吸盤106を設けることなく、外部機器300を背面板102に立て掛けるようにしてもよい。
【0058】
前述した第1実施例のホルダー100では、外部機器300の下端を受け皿110の底面110cから浮かせた状態で外部機器300を吸盤106で吸着固定していたのに対して、第1変形例のホルダー100では、2本のレール112上に外部機器300を載置するだけで、外部機器300の下方に所定の空間を設けることができる。そして、第1スピーカー90から出力される音波は、この空間を通って受け皿110の前面110aで反射し、外部機器300の前面のマイクロホン304に到達する。また、この空間に配置された立設部111の傾斜面で音波が反射することにより、外部機器300の下面にマイクロホンが設けられている場合でも、マイクロホン304に音波が到達する。このように第1スピーカー90から出力される音波が通過する空間を確保することによって、遊技情報を伝達する音波を効率よく外部機器300のマイクロホン304に到達させることができるので、外部機器300に遊技情報をより確実に伝達することが可能となる。尚、第1変形例の2本のレール112は、本発明の「通路部」に相当している。
【0059】
D−2.第2変形例 :
図7は、第2変形例のホルダー100の構造を示した説明図である。図7には、受け皿110を手前側(遊技者側)から奥側に鉛直な面で切断した断面形状が示されている。図示されるように第2変形例のホルダー100では、受け皿110内に中板114が底面110cと平行に設けられた二重底構造になっている。この中板114の奥行は底面110cよりも短く、中板114の前端から受け皿110の前面110aまでは空間が設けられている。また、第1スピーカー90から出力される音波を放出するスリット104は、中板114と底面110cとの間に形成されている。このような第2変形例のホルダー100に外部機器300を設置する際には、外部機器300の下端を中板114上に載置する。尚、中板114の前端には、外部機器300が中板114から落ちるのを防止する返し114aが設けられている。
【0060】
第2変形例のホルダー100では、第1スピーカー90から出力される音波は、中板114と受け皿110の底面110cとの間を通って受け皿110の前面110aで反射し、外部機器300のマイクロホン304に到達する。このように第1スピーカー90から出力される音波を、受け皿110から外に拡散させることなく外部機器300のマイクロホン304に到達させることができるので、外部機器300に遊技情報を一層確実に伝達することが可能となり、しかも、近隣の他の遊技者の外部機器300に遊技情報が伝達されることを抑制する効果を高めることができる。尚、第2変形例の中板114は、本発明の「通路部」に相当している。
【0061】
E.第2実施例のホルダーの構造 :
図8は、第2実施例のホルダー100の構造を示した斜視図である。図示されるように、第2実施例のホルダー100も、前述した第1実施例のホルダー100と同様に、前面枠4に固定される背面板102と、背面板102の下部から前方(遊技者側)に突出して設けられた受け皿110とを備えており、背面板102には、外部機器300を吸着固定するための吸盤106が前方に向けて突設されている。ただし、第2実施例の背面板102には、スリット104が形成されておらず、代わりに、ホース120の一端が受け皿110よりも右方の位置に接続されており、この接続位置の奥側(前面枠4の裏側)に第1スピーカー90が搭載されている。また、第2実施例の受け皿110は、第1実施例の受け皿110に比べて前面110aおよび両側面110bが低く構成されている。
【0062】
第2実施例のホース120は、蛇腹構造を有しており、任意の方向に屈曲させることが可能であると共に、屈曲させた姿勢が維持される。そして、第1スピーカー90から出力される音波は、ホース120の内側を通って、開放された他端(以下、開放端120a)から放出される。尚、第2実施例のホース120は、本発明の「通路部」および「抑制部」に相当している。
【0063】
このような第2実施例のホルダー100では、吸盤106を吸着させて外部機器300を受け皿110上に固定し、ホース120を屈曲させて開放端120aが外部機器300のマイクロホン304に向いた姿勢に調整することにより、遊技情報を伝達する音波が第1スピーカー90から出力されると、ホース120を通って外部機器300のマイクロホン304に音波が向けられるので、遊技情報を外部機器300に確実に伝達することができる。また、吸盤106で吸着固定した外部機器300のマイクロホン304が、表示部302の上方や側方に設けられていたり、表示部302とは異なる面に設けられていたりする場合でも、ホース120の屈曲を調整することで開放端120aをマイクロホン304に向けることができるので、マイクロホン304が設けられた位置が異なる様々な外部機器300に柔軟に対応することができる。
【0064】
また、第1スピーカー90から出力される音波をホース120で導くことにより、音波を拡散させることなく(外に漏らすことなく)外部機器300のマイクロホン304に到達させることができるので、近隣の他の遊技者の外部機器300に遊技情報が伝達されることを抑制することが可能となる。
【0065】
以上、本発明について実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0066】
例えば、前述した第1実施例のホルダー100では、第1スピーカー90から出力された音波は、外部機器300の下を通過して受け皿110の前面110aで反射し、外部機器300のマイクロホン304に到達するようになっていた。しかし、これに限らず、外部機器300と受け皿110の側面110bとの間を通過した音波を受け皿110の前面110aで反射させて外部機器300のマイクロホン304に向けるように前面110aの角度を設定しておいてもよい。
【0067】
また、前述した第1実施例では、外部機器300をホルダー100に設置する構成として、吸盤106を用いて吸着固定する構成を例示したが、これに限らず他の構成を採用してもよい。例えば、フック等の引掛部を用いて外部機器300の所定部位を引掛ける構成や、外部機器300の左右幅あるいは上下幅に合った把持部を用いて外部機器300を把持する構成など、外部機器300の下方に空間を設けることができるものであれば、どのような構成を採用してもよい。
【0068】
また、前述した第1実施例のホルダー100はパチンコ機1の前面枠4に設けられていたが、ホルダー100の位置は、これに限られず、パチンコ機1の他の部材(例えば、下皿部6)に設けてもよい。ただし、ホルダー100を下皿部6に設ける場合には、ホルダー100に設置する外部機器300の表示部302を前方(遊技者側)に向けていても、表示部302が遊技者からは見えない死角になるので、遊技者が遊技情報を確認するのが困難である。そこで、表示部302を上方に向けた状態で外部機器300をホルダー100に設置するようにしてもよい。この場合は、第1実施例のホルダー100(図4)の背面板102が底面となるようにホルダー100を倒した状態で取り付けておくと共に、第1スピーカー90から上方に向けて音波を出力するようにすればよい。尚、この構成の場合は、背面板102に吸盤106を設けることなく、外部機器300を背面板102(底面)に載置するようにしてもよい。このようにすれば、遊技者が目線を下げるだけで外部機器300の表示部302を確認することができる。また、第1スピーカー90から出力される音波は、実施例と同様に受け皿110で反射して外部機器300のマイクロホン304に向けられるので、遊技情報を外部機器300に確実に伝達することができる。
【0069】
また、前述した実施例および変形例のパチンコ機1は、音波で遊技情報を外部機器300に伝達するようになっていた。しかし、音波に代えて、電波、赤外線、可視光などの電磁波で伝達することも可能である。電波を搬送波とする場合は、第1スピーカー90に代えて、遊技情報を伝達する電波を放射するアンテナを搭載しておき、このアンテナから放射される電波を、反射率の高い金属を含んで形成された受け皿110の前面110aで第1実施例のように反射し、外部機器300のアンテナに向けるようにすればよい。また、赤外線や可視光を搬送波とする場合は、第1スピーカー90に代えて、遊技情報を伝達する光を照射する発光部を搭載しておき、この発光部から照射される光を、受け皿110の前面110aに設けた鏡やプリズムで第1実施例のように反射し、外部機器300に設けられた受光部に向けるようにすればよい。あるいは、第2実施例のホース120に代えて、光ファイバーを接続しておき、この光ファイバーを屈曲させて、発光部から照射される光を外部機器300の受光部に向けるようにすればよい。
【0070】
さらに、前述した実施例および変形例では、パチンコ機1に対して本発明を適用した例について説明したが、これに限られるものではなく、例えば、回胴式遊技機(いわゆるスロットマシーン)に対しても、本発明を好適に適用することが可能である。尚、回胴式遊技機に適用する場合に外部機器300を介して報知する遊技情報としては、例えば、所定の遊技役(小役など)の入賞が成立した回数といった遊技履歴を報知するようにしてもよい。回胴式遊技機で発生する遊技者にとって有利な遊技状態(RT状態など)は、小役の入賞が成立した回数(入賞回数)が所定回数に達するまで継続されることがあり、このような場合に、小役の入賞が成立する毎に外部機器300に伝達して入賞回数を表示部302に表示させれば、入賞回数がカウントされて有利な遊技状態が終了に近づく緊張感を高めて、遊技興趣を向上させることができる。もちろん、外部機器300を介して報知する遊技情報は、これに限られず、遊技者に有利なボーナス役に内部当選した際に、その旨を遊技者に外部機器300を介して報知してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、遊技ホールで用いられる遊技機に利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1…パチンコ機(遊技機)、 4…前面枠、 5…上皿部、
6…下皿部、 10…遊技盤、 90…第1スピーカー(出力部)、
100…ホルダー(設置部)、 102…背面板、 104…スリット、
106…吸盤、 110…受け皿、 110a…前面(通路部、抑制部)、
110b…側面、 110c…底面(通路部)、 111…立設部(通路部)、
112…レール(通路部)、 114…中板(通路部)、
120…ホース(通路部、抑制部)、 120a…開放端、
200…主制御基板、 220…サブ制御基板、 221…CPU、
224…音源IC、 225…音源ROM、 227…アンプ基板、
300…外部機器、 302…表示部、 304…マイクロホン(入力部)、
306…スピーカー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8