(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記周波数一致信号、前記電圧一致信号および前記位相一致信号が出力されている状態で、前記出力電圧の位相とnπ/6(nは、1〜12のうち1つ以上の整数)との差が所定範囲内である場合に、モード切替信号を出力するモード切替判定部を備え、
前記スイッチ駆動部は、
前記モード切替判定部から前記モード切替信号が出力されたタイミングで、前記双方向スイッチを駆動するモードを前記第1の制御モードから前記第2の制御モードへ移行する
ことを特徴とする請求項2に記載のマトリクスコンバータ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るマトリクスコンバータの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電力変換部およびLCフィルタの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す双方向スイッチの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、直結制御モードにおける交流電源と負荷と双方向スイッチとの関係を示す図である。
【
図5】
図5は、PWM制御モードと直結制御モードとの切り替えについての説明図である。
【
図7】
図7は、直結制御モードにおける入力周波数ωiの極性、出力周波数指令ω
*の極性と、オンにする双方向スイッチSとの関係を示す図である。
【
図8】
図8は、制御モードの遷移条件を示す図である。
【
図9】
図9は、
図6に示す出力位相演算器の構成例を示す図である。
【
図11】
図11は、周波数判定信号の状態遷移を示す図である。
【
図13】
図13は、電圧振幅判定信号の状態遷移を示す図である。
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するマトリクスコンバータの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
[1.マトリクスコンバータの構成]
図1は、実施形態に係るマトリクスコンバータの構成例を示す図である。
図1に示すように、実施形態に係るマトリクスコンバータ1は、3相交流電源2(以下、単に交流電源2と記載する)と負荷3との間に設けられる。負荷3は、例えば、誘導電動機や永久磁石同期式電動機などの交流電動機である。なお、以下においては、交流電源2のR相、S相およびT相を入力相と記載し、負荷3のU相、V相およびW相を出力相と記載する。
【0012】
マトリクスコンバータ1は、入力端子T
R、T
S、T
Tと、出力端子T
U、T
V、T
Wと、電力変換部10と、LCフィルタ11と、入力電圧検出部12と、出力電流検出部13と、制御部14とを備える。入力端子T
R、T
S、T
Tは、交流電源2のR相、S相、T相にそれぞれ接続される。出力端子T
U、T
V、T
Wは、負荷3のU相、V相、W相にそれぞれ接続される。
【0013】
電力変換部10は、複数の双方向スイッチを備え、これらの双方向スイッチにより交流電源2の各相電圧を直接スイッチングすることで負荷3へ任意の電圧・周波数を出力する。LCフィルタ11は、交流電源2のR相、S相およびT相と電力変換部10との間に設けられ、電力変換部10から交流電源2へと流れ込む高周波電流の発生を抑制する。
【0014】
図2は、電力変換部10およびLCフィルタ11の構成を示す図である。
図2に示すように、電力変換部10は、交流電源2の各相と負荷3の各相とを接続する複数の双方向スイッチS
RU、S
SU、S
TU、S
RV、S
SV、S
TV、S
RW、S
SW、S
TW(以下、双方向スイッチSと総称する場合がある)を備える。
【0015】
双方向スイッチS
RU、S
SU、S
TUは、交流電源2のR相、S相、T相と負荷3のU相とをそれぞれ接続する。双方向スイッチS
RV、S
SV、S
TVは、交流電源2のR相、S相、T相と負荷3のV相とをそれぞれ接続する。双方向スイッチS
RW、S
SW、S
TWは、交流電源2のR相、S相、T相と負荷3のW相とをそれぞれ接続する。
【0016】
図3は、双方向スイッチSの構成例を示す図である。
図3に示すように、双方向スイッチSは、スイッチング素子SioとダイオードDioの直列回路15と、スイッチング素子SoiとダイオードDoiの直列回路16とを備え、これらの直列回路15、16は逆並列接続される。
【0017】
スイッチング素子Sio、Soiは、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体スイッチング素子である。また、スイッチング素子Sio、Soiは、次世代半導体スイッチング素子のSiC、GaNであってもよい。
【0018】
なお、双方向スイッチSは、
図3に示す構成に限定されるものではない。例えば、双方向スイッチSは、ダイオードDioのカソードとダイオードDoiのカソードとを接続しない構成でもよい。また、スイッチング素子Sio、Soiが例えば逆阻止IGBTである場合、双方向スイッチSは、ダイオードDioおよびダイオードDoiを設けず、スイッチング素子Sio、Soiを逆並列接続した構成でもよい。
【0019】
LCフィルタ11は、
図2に示すように、3つのリアクトルL
R、L
S、L
Tと3つのコンデンサC
RS、C
ST、C
TRによって構成される。このLCフィルタ11は、電力変換部10を構成する双方向スイッチSのスイッチングに起因する高周波成分を除去する。
【0020】
図1に戻って、マトリクスコンバータ1の説明を続ける。入力電圧検出部12は、交流電源2のR相、S相、T相の各相の瞬時電圧値E
R、E
S、E
T(以下、入力相電圧E
R、E
S、E
Tと記載する)を検出する。なお、以下、交流電源2の各相の電圧を総称して入力電圧Viと記載する場合がある。
【0021】
出力電流検出部13は、電力変換部10と負荷3のU相、V相、W相のそれぞれとの間に流れる電流の瞬時値I
U、I
V、I
W(以下、出力相電流I
U、I
V、I
Wと記載する)を検出する。なお、以下、電力変換部10から負荷3の各相へ出力される電圧V
U、V
V、V
Wを総称して出力電圧Voと記載する場合がある。
【0022】
制御部14は、PWM(Pulse Width Modulation)制御モード(第1の制御モードの一例)および直結制御モード(第2の制御モードの一例)を選択的に実行する。
【0023】
制御部14は、PWM制御モードの場合、双方向スイッチSをPWM制御して交流電源2と負荷3との間の電力変換を行う。具体的には、制御部14は、入力電圧検出部12により検出された入力相電圧E
R、E
S、E
Tおよび出力電流検出部13により検出された出力相電流I
U、I
V、I
Wに基づいて、駆動信号S1〜S9を生成する。
【0024】
駆動信号S1〜S9のそれぞれは9つの双方向スイッチS
RU、S
SU、S
TU、S
RV、S
SV、S
TV、S
RW、S
SW、S
TWのそれぞれを駆動する。駆動信号S1〜S9はそれぞれ対応する双方向スイッチSのスイッチング素子Sio、Soiを個別に駆動することができる。なお、マトリクスコンバータ1におけるPWM制御は、公知の技術であり、例えば、特開平11−18489号公報や特開2012−239265号公報などに記載された技術を用いることができる。
【0025】
一方、制御部14は、直結制御モードの場合、双方向スイッチSを制御して交流電源2と負荷3とを直結する。
図4は、直結制御モードにおける交流電源2と負荷3と双方向スイッチSとの関係例を示す図である。
図4に示すように、制御部14は、直結制御モードの場合、例えば、双方向スイッチS
RW、S
SU、S
TVを継続してオンにすることにより、交流電源2のR相、S相およびT相のそれぞれを負荷3のW相、U相およびV相のそれぞれに直結する。
【0026】
ここで、PWM制御モードと直結制御モードとの切り替えについて説明する。
図5は、PWM制御モードと直結制御モードとの切り替えについての説明図である。
図5に示す例では、出力周波数指令ω
*がゼロから入力電圧Viの周波数ωi(以下、入力周波数ωiと記載する)まで緩やかに上昇後、出力周波数指令ω
*が入力周波数ωiからゼロまで緩やかに下降する場合の制御モードとの切り替えを示す。制御部14は、例えば、上位装置(図示せず)から入力される設定周波数ω
TG(出力電圧Voの周波数の目標値の一例)に基づき、出力周波数指令ω
*を生成する。なお、ここでは、ω
TG=ωiであるものとして説明する。また、これら周波数は、正負の値をもつものとする。正の周波数は、対応する入力電圧または出力電圧が正順であることを示す。入力電圧が正順の場合、R相→S相→T相の順に位相がシフトする。出力電圧が正順の場合、U相→V相→W相の順に位相がシフトする。負の周波数は、対応する入力電圧または出力電圧が逆順であることを示す。入力電圧が逆順の場合、R相→T相→S相の順に位相がシフトする。出力電圧が逆順の場合、U相→W相→V相の順に位相がシフトする。
【0027】
制御部14は、出力周波数指令ω
*と出力電圧Voの周波数ωo(以下、出力周波数ωoと記載する)とが一致するように出力電圧指令を生成して双方向スイッチSをPWM制御する。出力電圧指令の振幅は、出力周波数指令ω
*が入力周波数ωiに近づくほど大きくなるため、出力電圧Voの振幅が大きくなる。通常運転モードでは、出力電圧Voの歪みを抑制するために、出力電圧Voの振幅は、制限電圧Vmまたはそれ以下に制限される(タイミングt1)。制限電圧Vmは、例えば、入力電圧Viの振幅の0.866倍である。
【0028】
その後、出力周波数指令ω
*が入力周波数ωiに近づいて、出力周波数ωoと入力周波数ωiとの差が所定範囲内となると(タイミングt2)、制御部14は、出力周波数ωoが入力周波数ωiと一致すると判定し、通常運転モードから第1移行モードに移行する。この第1移行モードにおいて、制御部14は、通常運転モードと同様に、双方向スイッチSをPWM制御して交流電源2と負荷3との間の電力変換を行う。なお、入力周波数ωiは、例えば、商用周波数で50Hzまたは60Hzである。また、所定範囲は、例えば、1Hzまたは2Hzである。
【0029】
第1移行モードに移行すると、制御部14は、出力電圧Voの振幅の制限を入力電圧Viの振幅まで徐々に解除し、出力電圧Voを入力電圧Viの大きさまで緩やかに上昇させる電圧上昇制御を実行する。これにより、出力電圧Voが急激に変化することを防止することができる。制御部14は、電圧上昇制御により出力電圧Voと入力電圧Viとの振幅差が所定範囲内になった場合に、出力電圧Voの振幅と入力電圧Viの振幅とが一致すると判定し、電圧上昇制御を終了する。
【0030】
また、制御部14は、第1移行モードにおいて、出力電圧Voの位相θo(以下、出力位相θoと記載する)を入力電圧Viの位相θi(以下、入力位相θiと記載する)に追従させる位相追従制御を実行する。制御部14は、かかる位相追従制御により出力位相θoと入力位相θiとの差が所定範囲内になった場合に、出力位相θoと入力位相θiとが一致すると判定し、位相追従制御を終了する。
【0031】
制御部14は、電圧上昇制御や位相追従制御の開始タイミングや終了タイミングは、設定パラメータによって決定する。設定パラメータは、例えば、図示しない入力部を介してマトリクスコンバータ1のユーザ等によって設定される。制御部14は、例えば、設定パラメータに基づき、電圧上昇制御が終了した後に、位相追従制御を終了させることができる。これにより、位相追従よりも電圧上昇を優先させることができる。
【0032】
制御部14は、出力電圧Voと入力電圧Viとが一致し、かつ、出力位相θoと入力位相θiとが一致すると判定した後、出力位相θoがnπ/6(nは、1〜12のうち1つ以上の整数)−θ
ZE_Bandndからnπ/6+θ
ZE_Bandの範囲内にある場合に、双方向スイッチSを駆動するモードを第1移行モードから直結制御モードへ移行する(タイミングt3)。なお、ここで、θ
ZE_Bandは出力位相θoの検出誤差の影響を抑制するための位相一致検出幅である。また、出力位相θoはU相電圧が正の最大値となるときをゼロとする。
【0033】
以上のように、制御部14は、第1移行モードから直結制御モードへの移行を行うため、周波数の一致を判定した場合にすぐにPWM制御モードから直結制御モードへ移行する場合に比べ、出力電流Ioにショックが発生するのを抑制することができる。
【0034】
また、制御部14は、出力位相θoがnπ/6−θ
ZE_Bandからnπ/6+θ
ZE_Bandの範囲内にある場合に、第1移行モードから直結制御モードへ移行することにより、モード切り替え時の出力位相θoを最適化し、出力電流Ioの変動を低減することができる。なお、制御部14は、入力位相θiがnπ/6−θ
ZE_Bandからnπ/6+θ
ZE_Bandの範囲内にある場合に、第1移行モードから直結制御モードへ移行することもできる。
【0035】
また、制御部14は、周波数が一致すると判定した場合に位相追従を行うことから、位相追従による加速度への変化を抑制することができ、第1移行モードにおける出力電流Ioの変動を抑制することができる。
【0036】
制御部14は、直結制御モードで双方向スイッチSを制御している状態で、周波数の不一致と判定した場合、出力位相θoがnπ/6(nは、1〜12のうち1つ以上の整数)−θ
ZE_Bandからnπ/6+θ
ZE_Bandの範囲内になると、直結制御モードから第2移行モードへ移行する(タイミングt4)。制御部14は、例えば、設定周波数ω
TGと入力周波数ωiとの差が所定範囲外となった場合、周波数の不一致を判定する。なお、制御部14は、周波数の不一致と判定した場合、入力位相θiに関わらず、直結制御モードから第2移行モードへ移行することもできる。
【0037】
制御部14は、第2移行モードへ移行すると、出力電圧Voを制限電圧Vmまで徐々に下降させる電圧下降制御を実行する。なお、制御部14は、第2移行モードでは、通常運転モードと同様に、双方向スイッチSをPWM制御して交流電源2と負荷3との間の電力変換を行う。
【0038】
制御部14は、電圧下降制御が終了した場合(タイミングt5)、出力位相θoの入力位相θiへの追従を徐々に解除する位相追従停止制御を開始する。その後、位相追従停止制御が終了した場合、制御部14は、双方向スイッチSを駆動するモードを第2移行モードから通常運転モードへ移行する(タイミングt6)。これにより、第2移行モードから通常運転モードへの切り替え時の出力電流Ioの変動を抑えることができる。なお、制御部14は、電圧下降制御と位相追従停止制御とは同時または時間的に重複して行うこともできる。
【0039】
その後、制御部14は、出力周波数指令ω
*が設定周波数ω
TGに近づくように、出力周波数指令ω
*を低減させることで出力周波数ωoを低減させる。もし設定周波数がω
TGゼロであり停止を指令されている場合は、出力周波数指令ω
*が所定周波数になると(タイミングt7)、制御部14は、通常運転モードを停止する。
【0040】
このように、マトリクスコンバータ1は、周波数の不一致を判定した場合、電圧下降制御と位相追従停止制御とを実行して、直結制御モードから通常運転モードへ移行する。そのため、出力電流Ioにショックが発生を抑制することができる。また、マトリクスコンバータ1は、出力位相θoがnπ/6−θ
ZE_Bandからnπ/6+θ
ZE_Bandの範囲内にある場合に直結制御モードから第2モードへ移行する。そのため、直結制御モードから第2モードへの移行時の出力電流Ioの変動を低減することができる。
【0041】
図5に示す例では、制御部14は、第2移行モードから通常運転モードへ移行した場合に、出力周波数指令ω
*が設定周波数ω
TGに近づくように制御したが、設定パラメータに基づき、他の制御を行うこともできる。例えば、制御部14は、設定周波数ω
TGが変化したタイミングで出力周波数指令ω
*が設定周波数ω
TGに近づくように低減することもできる。この場合、制御部14は、出力電圧Voの振幅と入力電圧Viの振幅との差が所定範囲外となった場合に電圧が不一致であると判定し、直結制御モードから第2移行モードへ移行する。第2移行モードへ移行すると、制御部14は、電圧下降制御および位相追従停止制御を実行する。制御部14は、電圧下降制御および位相追従停止制御が終了した場合、双方向スイッチSを駆動するモードを第2移行モードから通常運転モードへ移行する。
【0042】
[2.制御部14の構成]
図6は、制御部14の構成例を示す図である。
図6に示すように、制御部14は、周波数指令生成器20(周波数指令生成部の一例)と、V/f制御器21(電圧指令生成部の一例)と、d軸電圧指令生成器22と、指令振幅演算器23と、リミッタ24と、電圧制限解除器25(電圧制限解除部の一例)と、指令位相演算器26と、出力位相演算器27(位相演算部の一例)と、駆動信号生成器28(スイッチ駆動部の一例)とを備える。
【0043】
また、制御部14は、入力周波数検出器29と、入力振幅検出器30と、積分器31(位相検出部の一例)と、sign関数演算器32、33と、出力周波数判定器34(周波数判定部の一例)と、出力電圧判定器35(電圧判定部の一例)と、出力位相判定器36(位相判定部の一例)と、モード切替判定器37(モード切替判定部の一例)と、遅延器38、39と、モード判定器40とを備える。
【0044】
かかる制御部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。かかるマイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各部位21〜40として機能する。なお、各部位21〜40は、プログラムを用いずにハードウェアのみで構成してもよい。
【0045】
周波数指令生成器20は、設定周波数ω
TGに応じた出力周波数指令ω
*を生成し、V/f制御器21へ出力する。例えば、周波数指令生成器20は、ω
TG≧ωiの関係となる設定周波数ω
TGが入力された場合、出力周波数ωoを所定期間で設定周波数ω
TGへ到達させる出力周波数指令ω
*を生成する。周波数指令生成器20は、例えば、
図5に示すタイミングt0で設定周波数ω
TGが入力されると、時間の経過に比例して大きくなってタイミングt2で設定周波数ω
TGと一致する出力周波数指令ω
*を生成する。
【0046】
また、周波数指令生成器20は、例えば、直結制御モードにおいて、入力周波数ωiよりも低い設定周波数ω
TGが入力されると、電圧下降制御および位相追従停止制御が終了したことを条件(例えば、
図5のように設定周波数ω
TGがゼロ付近であればタイミングt6)として、出力周波数指令ω
*を所定期間で設定周波数ω
TGへ到達させる出力周波数指令ω
*を生成する。
【0047】
V/f制御器21は、出力周波数指令ω
*に応じたq軸出力電圧指令Vq
*を指令振幅演算器23および指令位相演算器26へ出力する。q軸出力電圧指令Vq
*は、dq座標系におけるq軸の成分の電圧指令である。dq座標系におけるd軸は出力位相θoであり、q軸はd軸に直交する。
【0048】
d軸電圧指令生成器22は、d軸出力電圧指令Vd
*を指令振幅演算器23および指令位相演算器26へ出力する。d軸出力電圧指令Vd
*は、d軸の成分に対応する電圧指令であり、例えば、ゼロが設定される。なお、d軸電圧指令生成器22は、通常運転モードにおいて、出力周波数ωoに応じた値のd軸出力電圧指令Vd
*を指令振幅演算器23および指令位相演算器26へ出力することも可能である。
【0049】
指令振幅演算器23は、d軸出力電圧指令Vd
*とq軸出力電圧指令Vq
*とに基づき、出力電圧指令振幅v1を演算する。例えば、指令振幅演算器23は、以下の式(1)から出力電圧指令振幅v1を演算する。指令振幅演算器23は、出力電圧指令振幅v1を駆動信号生成器28へ出力する。
【数1】
【0050】
リミッタ24は、通常運転モードでは、指令振幅演算器23から出力される出力電圧指令振幅v1が制限電圧Vmを超えないように制限し、制限電圧Vm以下の出力電圧指令振幅v1を駆動信号生成器28へ出力する。制限電圧Vmは、例えば、入力電圧Viの振幅の0.866倍に設定される。
【0051】
電圧制限解除器25は、Highレベルのモード選択信号Sm1がモード判定器40から出力される場合、リミッタ24による制限電圧Vm以下の制限を維持させる。また、電圧制限解除器25は、モード選択信号Sm2がLowレベルからHighレベルになった場合、出力電圧指令振幅v1に対するリミッタ24の制限を段階的に解除する。これにより、出力電圧指令振幅v1が制限電圧Vmよりも徐々に大きくなる。リミッタ24および電圧制限解除器25が電圧制限制御部の一例である。
【0052】
また、電圧制限解除器25は、モード選択信号Sm4がLowレベルからHighレベルになった場合、出力電圧指令振幅v1に対するリミッタ24の制限を段階的に実行する。これにより、リミッタ24によって出力電圧指令振幅v1が徐々に制限され、最終的に出力電圧指令振幅v1が制限電圧Vm以下に制限される電圧下降制御が行われる。電圧制限解除器25は、電圧下降制御が終了すると、電圧下降終了情報を出力位相演算器27およびモード判定器40へ通知する。
【0053】
指令位相演算器26は、d軸出力電圧指令Vd
*とq軸出力電圧指令Vq
*とに基づき、出力電圧指令位相θvを求める。例えば、指令位相演算器26は、以下の式(2)から出力電圧指令位相θvを求める。かかる出力電圧指令位相θvは、指令位相演算器26から出力位相演算器27へ出力される。なお、Vd=0の場合は式(2)においてVq
*/Vd
*の演算は行わずθv=90°とする。
【数2】
【0054】
出力位相演算器27は、モード判定器40から出力されるモード選択信号Sm1〜Sm4に応じた制御位相θ
PWM2を出力する。出力位相演算器27は、通常運転モード、第1移行モード、直結制御モードおよび第2移行モードのそれぞれに応じた位相をモード選択信号Sm1〜Sm4に基づいて選択し、制御位相θ
PWM2として出力する。出力位相演算器27は、例えば、第1移行モードにおいて位相追従制御を行ない、第2移行モードにおいて位相追従停止制御を行う。出力位相演算器27は、位相追従停止制御が終了すると、位相追従停止終了情報をモード判定器40へ通知する。かかる出力位相演算器27については、
図9を参照して後で詳述する。
【0055】
駆動信号生成器28は、通常運転モード、第1移行モードおよび第2移行モードの場合、出力電圧指令振幅v1および制御位相θ
PWM2に応じた振幅および位相の出力電圧指令V
U*、V
V*、V
W*を生成し、かかる出力電圧指令V
U*、V
V*、V
W*に基づき電力変換部10から出力させる駆動信号S1〜S9を生成する。駆動信号生成器28は、生成した駆動信号S1〜S9を電力変換部10へ出力する。
【0056】
例えば、駆動信号生成器28は、出力電圧指令振幅v1および制御位相θ
PWM2に基づいて、出力電圧指令V
U*、V
V*、V
W*を生成する。駆動信号生成器28は、出力電圧指令V
U*、V
V*、V
W*に基づき三角波比較等の手法によりPWM信号を生成し、入力相電圧E
R、E
S、E
Tの大小関係や出力相電流I
U、I
V、I
Wに基づいてPWM信号に転流処理を施した駆動信号S1〜S9を生成して電力変換部10へ出力する。これにより、電力変換部10を構成する双方向スイッチSが制御され、出力電圧指令V
U*、V
V*、V
W*に応じた3相交流電力が電力変換部10から負荷3へ出力される。
【0057】
駆動信号生成器28は、例えば、V
U*=v1×cos(θ
PWM2)、V
V*=v1×cos(θ
PWM2−2/3π)、V
W*=v1×cos(θ
PWM2+2/3π)などの演算式を用いて、出力電圧指令V
U*、V
V*、V
W*を生成する。
【0058】
また、駆動信号生成器28は、直結制御モードの場合、入力周波数ωiの極性を示す極性信号Aiと出力周波数指令ω
*の極性(回転方向の一例)を示す極性信号Aωとに基づき、双方向スイッチSを制御する駆動信号S1〜S9を生成する。このように、入力周波数ωiの極性と出力周波数指令ω
*の極性に応じたスイッチ制御パターンで双方向スイッチSを制御することにより、負荷3が電動機である場合、電動機が正転運転/逆転運転に関わらず交流電源2と負荷3との直結を行うことができる。
【0059】
図7は、直結制御モードにおける入力周波数ωiの極性と、出力周波数指令ω
*の極性と、オンにする双方向スイッチSとの関係を示す図である。
図7に示すように、駆動信号生成器28は、例えば、入力周波数ωiおよび出力周波数指令ω
*が共に正極性または負極性である場合、双方向スイッチS
RW、S
SU、S
TVのみをオンにする駆動信号S1〜S9を出力する。また、駆動信号生成器28は、入力周波数ωiおよび出力周波数指令ω
*のいずれか一方が正極性で他方が負極性である場合、双方向スイッチS
RW、S
SV、S
TUのみをオンにする駆動信号S1〜S9を出力する。
【0060】
図6に戻って制御部14の説明を続ける。入力周波数検出器29は、入力電圧検出部12により検出された入力相電圧E
R、E
S、E
Tから入力周波数ωiを演算する。入力周波数検出器29は、出力位相演算器27、積分器31、sign関数演算器32および出力周波数判定器34へ入力周波数ωiを出力する。入力周波数検出器29は、例えば、PLL(Phase Locked Loop)などにより構成される。
【0061】
入力振幅検出器30は、入力電圧検出部12により検出された入力相電圧E
R、E
S、E
Tから入力電圧Viの振幅vi(以下、入力電圧振幅viと記載する)を演算する。
【0062】
積分器31は、入力周波数検出器29から出力される入力周波数ωiを積分することにより入力位相θiを演算する。積分器31は、入力位相θiを出力位相演算器27へ出力する。入力周波数検出器29をPLLで構成した場合、入力位相θiをPLLから出力し、積分器31を省略することも可能である。
【0063】
sign関数演算器32は、入力周波数ωiの極性が正極性である場合、Highレベルの極性信号Aiを出力位相演算器27および駆動信号生成器28へ出力する。また、sign関数演算器32は、入力周波数ωiの極性が負極性である場合、Lowレベルの極性信号Aiを出力位相演算器27および駆動信号生成器28へ出力する。
【0064】
sign関数演算器33は、出力周波数指令ω
*の極性が正極性である場合、Highレベルの極性信号Aωを出力位相演算器27および駆動信号生成器28へ出力する。また、sign関数演算器33は、出力周波数指令ω
*の極性が負極性である場合、Lowレベルの極性信号Aωを出力位相演算器27および駆動信号生成器28へ出力する。
【0065】
出力周波数判定器34は、出力周波数指令ω
*と入力周波数ωiとの差が所定範囲内であり、かつ、入力周波数ωiと設定周波数ω
TGとの差が所定範囲内である場合に、周波数一致を示すHighレベルの周波数判定信号Sf(周波数一致信号の一例)を出力する。かかる出力周波数判定器34については、
図10および
図11を参照して後で詳述する。
【0066】
なお、
図6に示す例では、入力周波数ωiと比較する出力周波数として出力周波数ωoに対応する出力周波数指令ω
*を用いているが、制御部14において、出力周波数ωoを直接検出する出力周波数検出部を設けてもよい。この場合、出力周波数判定器34は、出力周波数指令ω
*に代えて、出力周波数ωoと入力周波数ωiとの差が所定範囲内である場合に、周波数一致を示す周波数判定信号Sfを出力する。
【0067】
出力電圧判定器35は、出力電圧指令振幅v1と入力電圧振幅viとの差が所定範囲内である場合に、電圧一致を示すHigレベルの電圧判定信号Sv(電圧一致信号の一例)を出力する。かかる出力電圧判定器35については、
図12および
図13を参照して後で詳述する。
【0068】
なお、
図6に示す例では、入力電圧振幅viと比較する出力電圧Voの振幅として出力電圧指令振幅v1を用いているが、制御部14において、出力電圧Voの振幅vo(以下、出力電圧振幅voと記載する)を直接検出する出力振幅検出部を設けてもよい。この場合、出力電圧判定器35は、出力電圧指令振幅v1に代えて、出力電圧振幅voと入力電圧振幅viとの差が判定閾値Δv以下である場合に、電圧一致を示す電圧判定信号Svを出力する。
【0069】
出力位相判定器36は、第1移行モードにおいて、位相変化量Δθの絶対値と位相閾値Δθ
ZE_cmpの差に応じた位相判定信号Spを遅延器38へ出力する。遅延器38は、位相判定信号Spをサンプリング時間Tiだけ遅延させてモード判定器40へ出力する。
【0070】
モード切替判定器37は、出力位相判定器36から位相一致を示す位相判定信号Spが出力され、かつ、出力位相θoに対応する仮想出力位相θ1がnπ/6−θ
ZE_Bandからnπ/6+θ
ZE_Bandの範囲内にある場合に、切替指示を示すモード切替信号Sswを遅延器39へ出力する。遅延器39は、モード切替信号Sswをサンプリング時間Tiだけ遅延させてモード判定器40へ出力する。
【0071】
モード判定器40は、周波数判定信号Sf、電圧判定信号Sv、位相判定信号Spおよびモード切替信号Sswに基づいて、制御モードを判定する。モード判定器40は、判定した制御モードに応じたモード選択信号Sm1〜Sm4を出力する。
【0072】
図8は、制御モードの遷移条件を示す図である。モード判定器40は、通常運転モードの場合、モード選択信号Sm1をHighレベルにし、その他のモード選択信号Sm2〜Sm4をLowレベルにする。
【0073】
図8に示すように、モード判定器40は、通常運転モードにおいて、周波数判定信号SfがLowレベルからHighレベルとなった場合、制御モードを第1移行モードへ移行する。第1移行モードへの移行は、モード選択信号Sm1をHighレベルからLowレベルにし、モード選択信号Sm2をLowレベルからHighレベルにすることによって行う。これにより、出力周波数ωoと入力周波数ωiとの差が所定範囲内となった場合に、制御モードが通常運転モードから第1移行モードへ切り替わる。
【0074】
モード判定器40は、第1移行モードの状態において、電圧判定信号Sv、位相判定信号Spおよびモード切替信号SswがいずれもHighレベルになった場合、制御モードを直結制御モードへ移行する。直結制御モードへの移行は、モード選択信号Sm2をHighレベルからLowレベルにし、モード選択信号Sm3をLowレベルからHighレベルにすることによって行われる。これにより、電圧上昇制御および位相追従制御が終了し、出力位相θoがnπ/6−θ
ZE_Banからnπ/6+θ
ZE_Bandの範囲内
dにある場合に、第1移行モードから直結制御モードへ切り替わる。なお、モード判定器40は、モード切替信号Sswの状態に関わらず、電圧判定信号Svおよび位相判定信号SpがHighレベルになった場合に、第1移行モードから直結制御モードへ切り替えることもできる。
【0075】
また、モード判定器40は、第1移行モードの状態において、周波数判定信号SfがHighレベルからLowレベルとなった場合、制御モードを通常運転モードへ移行する。通常運転モードへの移行は、モード選択信号Sm2をHighレベルからLowレベルにし、モード選択信号Sm1をLowレベルからHighレベルにすることによって行われる。
【0076】
モード判定器40は、直結制御モードにおいて、周波数判定信号SfがHighレベルからLowレベルになり、かつ、モード切替信号SswがHighレベルになった場合、制御モードを第2移行モードへ移行する。第2移行モードへの移行は、モード選択信号Sm3をHighレベルからLowレベルにし、モード選択信号Sm4をLowレベルからHighレベルにすることによって行われる。これにより、設定周波数ω
TGと入力周波数ωiとの差が所定範囲外になり、かつ、入力位相θiがnπ/6±θ
ZE_Bandになった場合に、直結制御モードから第2移行モードへ切り替わる。
【0077】
モード判定器40は、第2移行モードにおいて、電圧制限解除器25から電圧下降終了情報が通知され、出力位相演算器27から位相追従停止終了情報が通知された場合に、制御モードを通常運転モードへ移行する。通常運転モードへの移行は、モード選択信号Sm4をHighレベルからLowレベルにし、モード選択信号Sm1をLowレベルからHighレベルにすることによって行われる。なお、これにより、電圧下降制御および位相追従停止処理が終了した場合に、第2移行モードから通常運転モードへ切り替わる。
【0078】
[3.出力位相演算器27の構成]
出力位相演算器27は、モード判定器40から出力されるモード選択信号Sm1〜Sm4に応じた制御位相θ
PWM2を出力する。
図9は、出力位相演算器27の構成例を示す図である。
図9に示すように、出力位相演算器27は、第1位相演算器41と、乗算器42〜44と、切替器45と、第2位相演算器46とを備える。以下、第1位相演算器41、乗算器42〜44、切替器45および第2位相演算器46について具体的に説明する。
【0079】
[3.1.第1位相演算器41]
第1位相演算器41は、通常運転モード用の位相演算器である。かかる第1位相演算器41は、減算器51と、遅延器52と、増幅器53と、加算器54、55とを備える。
【0080】
減算器51は、出力電圧指令位相θvを制御位相θ
PWM2から減算する。減算器51は、減算結果を遅延器52へ出力する。遅延器52は、減算器51の減算結果をサンプリング時間Tiだけ遅延させて加算器54へ出力する。増幅器53は、出力周波数指令ω
*にサンプリング時間Tiを乗算することにより、位相変化量Δθ
*を求める。増幅器53は、位相変化量Δθ
*を加算器54へ出力する。
【0081】
加算器54は、位相変化量Δθ
*に遅延器52の出力を加算して指令位相θ
*を求める。加算器54は、指令位相θ
*を加算器55へ出力する。加算器55は、指令位相θ
*と出力電圧指令位相θvとを加算することにより、通常運転モード用の電圧位相θ
PWM(通常運転用位相θ
PWMと記載する)を生成する。
【0082】
このように、第1位相演算器41は、出力周波数指令ω
*および出力電圧指令位相θvに基づき、通常運転用位相θ
PWMを生成する。第1位相演算器41は、通常運転用位相θ
PWMを乗算器43へ出力する。
【0083】
[3.2.乗算器42〜44]
乗算器42〜44は、出力周波数指令ω
*や入力周波数ωiの極性を調整する。これにより、出力電圧Voの相順
*や入力電圧Viの相順に関わらず、第1位相演算器41および第2位相演算器46において出力周波数指令ω
*や入力位相θiに基づく演算を行うことができる。
【0084】
乗算器42(位相置換部の一例)は、入力周波数ωiの極性を示す極性信号Aiと入力位相θiとを乗算し、乗算結果を第2位相演算器46へ出力する。これにより、入力位相θiが負極性であっても、正極性の入力位相θiが第2位相演算器46へ入力される。
【0085】
乗算器43は、出力周波数指令ω
*の極性を示す極性信号Aωと通常運転用位相θ
PWMとを乗算し、乗算結果を切替器45へ出力する。これにより、通常運転用位相θ
PWMが負極性であっても、正極性の通常運転用位相θ
PWMが切替器45へ入力される。
【0086】
乗算器44(位相逆置換部の一例)は、出力周波数指令ω
*の極性を示す極性信号Aωと仮想出力位相θ1とを乗算し、乗算結果を駆動信号生成器28(
図6参照)へ出力する。これにより、極性が正しく設定された仮想出力位相θ1が駆動信号生成器28へ入力される。
【0087】
[3.3.切替器45]
切替器45は、モード判定器40から出力されるモード選択信号Sm1〜Sm4に応じて出力を切り替える。
【0088】
具体的には、切替器45は、モード選択信号Sm1がHighレベルである場合、第1位相演算器41から乗算器43を介して出力される通常運転用位相θ
PWMを仮想出力位相θ1として乗算器44および第2位相演算器46へ出力する。これにより、通常運転モードの場合に、出力位相演算器27から駆動信号生成器28(
図6参照)へ通常運転用位相θ
PWMが制御位相θ
PWM2として出力される。
【0089】
また、切替器45は、モード選択信号Sm2またはモード選択信号Sm4がHighレベルである場合、第2位相演算器46から出力される位相移行用位相θmigを仮想出力位相θ1として乗算器44および第2位相演算器46へ出力する。これにより、第1移行モードおよび第2移行モードの場合に、出力位相演算器27から駆動信号生成器28(
図6参照)へ位相移行用位相θmigが制御位相θ
PWM2として出力される。
【0090】
また、切替器45は、モード選択信号Sm3がHighレベルである場合、乗算器42から出力される正極性の入力位相θiを仮想出力位相θ1として乗算器44および第2位相演算器46へ出力する。これにより、直結制御モードの場合に、出力位相演算器27から駆動信号生成器28(
図6参照)へ入力位相θiが制御位相θ
PWM2として出力される。
【0091】
[3.4.第2位相演算器46]
第2位相演算器46は、第1移行モードおよび第2移行モード用の位相演算器である。かかる第2位相演算器46は、遅延器61と、減算器62と、PI(比例積分)制御器63と、リミッタ64と、増幅器65と、追従位相演算器66(補償値演算部の一例)と、加算器67、68とを備える。遅延器61、減算器62、PI制御器63、リミッタ64および増幅器65が仮想位相演算部の一例である。
【0092】
遅延器61は、仮想出力位相θ1をサンプリング時間Tiだけ遅延させる。遅延器61は、遅延させた仮想出力位相θ1を減算器62および加算器67へ出力する。減算器62は、乗算器42から出力される正極性の入力位相θiから遅延器61により遅延された仮想出力位相θ1を減算することにより位相変化量Δθを求める。減算器62は、位相変化量ΔθをPI制御器63へ出力する。
【0093】
PI制御器63は、位相変化量Δθをゼロにする仮想出力周波数ω1を生成し、かかる仮想出力周波数ω1をリミッタ64へ出力する。仮想出力周波数ω1は、追従位相演算器66が行う出力位相の前向き制御に対する補償値であり、入力位相と出力位相が一致に至るまでの過渡状態では出力周波数ωoの変動成分に対応する。PI制御器63は、比例ゲインKpを有する乗算器101と、積分ゲインKiを有する乗算器102と、積分器103と、リミッタ104と、加算器105とを有する。リミッタ104により積分値が制限される。
【0094】
PI制御器63は、入力位相θiと仮想出力位相θ1との差に基づいて仮想出力周波数ω1を生成する。そのため、入力位相θiと仮想出力位相θ1との極性が異なれば、入力位相θiと仮想出力位相θ1との差を収束できない。そこで、乗算器42によって、入力位相θiを正極性になるように、また、乗算器42および43によって、仮想出力位相θ1が正極性になるようにしている。
【0095】
また、PI制御器63により仮想出力周波数ω1の変動幅が大きくなり、負荷3への出力電流が大きく変動するなど不具合を生じる場合は、
図9に示すとおり、PI制御器63の出力にリミッタ64を設けてもよい。リミッタ64は、仮想出力周波数ω1が所定範囲以下になるように制限し、制限後の仮想出力周波数ω1を増幅器65へ出力する。さらにリミッタ64を設けただけでは、PI制御器63の積分器103の出力が増大し過ぎる場合は、
図9に示すとおりリミッタ104を設けてもよい。
【0096】
増幅器65は、仮想出力周波数ω1にサンプリング時間Tiを乗算し、乗算結果を出力する。仮想出力周波数ω1は、追従位相演算器66が行う出力位相の前向き制御に対する補償値であり、入力位相と出力位相が一致に至るまでの過渡状態では出力周波数ωoの変動成分に対応する。出力位相の前向き制御に対する補償は、位相追従の応答を上げつつ、出力周波数ωoの変動に制限を加えるために行っている。なお、出力位相の前向き制御に対する補償は、必ずしも必要はない。例えば、PI制御器63のゲインを上げて位相追従の応答を上げてもよい。なお、PI制御器63のゲインを上げると出力周波数の変動は大きくなるため、サンプリング時間を短くすることが望ましい。
【0097】
追従位相演算器66は、出力周波数指令ω
*と入力周波数ωiとの差に応じた位相調整量θajを生成して出力する。追従位相演算器66は、第1移行モードの場合、入力周波数ωiに出力周波数ωoが追従するように位相調整量θaj(位相補償値の一例)を生成し、第2移行モードの場合、出力周波数指令ω
*に出力周波数ωoが追従するように位相調整量θajを生成する。
【0098】
具体的には、追従位相演算器66は、モード選択信号Sm2がHighレベルになると、時間の経過に伴って入力周波数ωiの比率が増加するように、入力周波数ωiの比率と出力周波数指令ω
*の比率とを変えながら、入力周波数ωiと出力周波数指令ω
*とを加算する。また、追従位相演算器66は、モード選択信号Sm4がHighレベルになり、かつ、電圧制限解除器25から電圧下降終了情報が通知されると、時間の経過に伴って出力周波数指令ω
*の比率が増加するように、入力周波数ωiの比率と出力周波数指令ω
*の比率とを変えながら、入力周波数ωiと出力周波数指令ω
*とを加算する。
【0099】
追従位相演算器66は、絶対値演算器110、111と、減算比率設定器112と、乗算器113、114と、加算器115と、乗算器116とを備える。
【0100】
絶対値演算器110は、出力周波数指令ω
*の絶対値を演算する。これにより、出力周波数指令ω
*の極性が負極性である場合に、出力周波数指令ω
*の極性が正極性になる。絶対値演算器110は、正極性の出力周波数指令ω
*を乗算器113へ出力する。
【0101】
絶対値演算器111は、入力周波数ωiの絶対値を演算する。これにより、入力周波数ωiの極性が負極性である場合に、入力周波数ωiの極性が正極性になる。絶対値演算器111は、正極性の入力周波数ωiを乗算器114へ出力する。
【0102】
減算比率設定器112は、モード選択信号Sm2がHighレベルになると、時間の経過に伴って比率が1から0まで変化する出力周波数比率R1と、時間の経過に伴って比率が0から1まで変化する入力周波数比率R2とを生成する。また、減算比率設定器112は、モード選択信号Sm4がHighレベルになると、時間の経過に伴って比率が0から1まで変化する出力周波数比率R1と、時間の経過に伴って比率が1から0まで変化する入力周波数比率R2とを生成する。
【0103】
減算比率設定器112は、出力周波数比率R1を乗算器113へ出力し、入力周波数比率R2を乗算器114へ出力する。出力周波数比率R1や入力周波数比率R2は、例えば、時間の経過に対して設定された傾き係数で線形に変化する。なお、傾き係数は、設定パラメータであり、例えば、図示しない入力部を介してマトリクスコンバータ1のユーザ等によって設定される。
【0104】
乗算器113は、正極性の出力周波数指令ω
*と出力周波数比率R1とを乗算し、乗算結果を加算器115へ出力する。乗算器114は、正極性の入力周波数ωiと入力周波数比率R2とを乗算し、乗算結果を加算器115へ出力する。
【0105】
加算器115は、乗算器114の演算結果と乗算器113の演算結果とを加算して周波数調整量ωaj(=|ωi|×R2+|ω
*|×R1)を生成し、かかる周波数調整量ωajを乗算器116へ出力する。乗算器116は、周波数調整量ωajにサンプリング時間Tiを乗算して位相調整量θajを生成し、かかる位相調整量θajを加算器67へ出力する。
【0106】
このように、追従位相演算器66は、出力周波数指令ω
*に係る比率と入力周波数ωiに係る比率とを変えながら周波数調整量ωajを求め、かかる周波数調整量ωajに基づいて位相調整量θajを生成する。これにより、追従位相演算器66は、出力周波数ωoを入力周波数ωiに緩やかに追従させる位相調整量θajや出力周波数ωoを出力周波数指令ω
*に緩やかに追従させる位相調整量θajを生成することができる。なお、追従位相演算器66は、入力周波数比率R2が小さくなり、所定値(例えば、ゼロ付近)以下になった場合に、位相追従停止終了情報をモード判定器40へ通知する。
【0107】
加算器67は、追従位相演算器66から出力される位相調整量θajと遅延器61から出力される仮想出力位相θ1を加算し、加算結果を加算器68へ出力する。加算器68(位相補償部の一例)は、増幅器65の演算結果と加算器67の演算結果とを加算することにより位相移行用位相θmigを生成し、切替器45へ出力する。
【0108】
[4.出力周波数判定器34の構成]
出力周波数判定器34は、出力周波数指令ω
*と入力周波数ωiとの差に応じた周波数判定信号Sfを出力する。
図10は、出力周波数判定器34の構成例を示す図である。
図10に示すように、出力周波数判定器34は、絶対値演算器70〜72、75、76と、減算器73、74と、コンパレータ77、78と、論理積器(AND回路)79とを備える。
【0109】
絶対値演算器70は、出力周波数指令ω
*の絶対値を演算する。これにより、出力周波数指令ω
*の極性が負極性である場合に、出力周波数指令ω
*の極性が正極性になる。絶対値演算器70は、正極性の出力周波数指令ω
*を減算器73へ出力する。
【0110】
絶対値演算器71は、設定周波数ω
TGの絶対値を演算する。これにより、設定周波数ω
TGの極性が負極性である場合に、設定周波数ω
TGの極性が正極性になる。絶対値演算器71は、正極性の設定周波数ω
TGを減算器74へ出力する。
【0111】
絶対値演算器72は、入力周波数ωiの絶対値を演算する。これにより、入力周波数ωiの極性が負極性である場合に、入力周波数ωiの極性が正極性になる。絶対値演算器72は、正極性の入力周波数ωiを減算器73、74へ出力する。
【0112】
減算器73は、正極性の出力周波数指令ω
*から正極性の入力周波数ωiを減算し、減算結果を絶対値演算器75へ出力する。絶対値演算器75は、減算器73の減算結果の絶対値を演算する。これにより、絶対値演算器70の出力と絶対値演算器72の出力との差分の絶対値である周波数差ωa1(=|ω
*−ωi|)が演算される。
【0113】
減算器74は、正極性の設定周波数ω
TGから正極性の入力周波数ωiを減算し、減算結果を絶対値演算器76へ出力する。絶対値演算器76は、減算器74の減算結果の絶対値を演算する。これにより、絶対値演算器71の出力と絶対値演算器72の出力との差分の絶対値である周波数差ωa2(=|ω
TG−ωi|)が演算される。
【0114】
絶対値演算器75の演算結果はコンパレータ77を介して論理積器79へ出力される。また、絶対値演算器76の演算結果はコンパレータ78を介して論理積器79へ出力される。コンパレータ77、78には、比較値ω
HCが設定される。なお、比較値ω
HCは、設定パラメータであり、例えば、図示しない入力部を介してマトリクスコンバータ1のユーザ等により設定される。
【0115】
コンパレータ77は、周波数差ωa1が比較値ω
HC以下の場合に、Highレベルの信号を出力し、周波数差ωa1が比較値ω
HCを超えた場合に、Lowレベルの信号を出力する。また、コンパレータ78は、周波数差ωa2が比較値ω
HC以下の場合に、Highレベルの信号を出力し、周波数差ωa2が比較値ω
HCを超えた場合に、Lowレベルの信号を出力する。なお、コンパレータ77、78にはヒステリシス特性をもたせてもよい。
【0116】
論理積器79は、コンパレータ77、78が共にHighレベルの信号を出力した場合に、周波数一致を示すHighレベルの周波数判定信号Sfを出力する。一方、論理積器79は、コンパレータ77、78のいずれかがLowレベルの信号を出力した場合に、周波数不一致を示すLowレベルの周波数判定信号Sf(周波数不一致信号の一例)を出力する。
【0117】
図11は、周波数判定信号Sfの状態遷移を示す図である。
図11に示すように、周波数判定信号Sfは、周波数不一致を示す状態から|ω
*−ωi|≦ω
HCかつ|ω
*−ω
TG|≦ω
HCとなった場合に、周波数一致を示す状態になる。一方、周波数判定信号Sfは、周波数一致の状態から|ω
*−ωi|>ω
HCまたは|ω
*−ω
TG|>ω
HCとなった場合に、周波数不一致を示す状態になる。なお、ω
HCは、例えば、1.5Hzに設定される。
【0118】
このように、出力周波数判定器34は、入力周波数ωiと出力周波数指令ω
*との差が所定範囲内の場合であって、かつ、入力周波数ωiと設定周波数ω
TGとの差が所定範囲内の場合に、周波数一致の状態であると判定する。
【0119】
出力周波数判定器34において、コンパレータ77、78にヒステリシス特性をもたせることにより、入力周波数ωiが安定していない場合にモード遷移のハンチングを防止することができる。例えば、出力周波数判定器34において入力周波数ωiが瞬間的に低下した場合などに周波数一致の状態または周波数不一致の状態であると判定することを防止できる。
【0120】
なお、出力周波数判定器34は、設定周波数ω
TGの状態に関わらず、入力周波数ωiと出力周波数指令ω
*との差が所定範囲内の場合に周波数一致の状態であると判定することもできる。この場合、出力周波数判定器34において、絶対値演算器71、76、減算器74、コンパレータ78および論理積器(AND回路)79を設けず、コンパレータ77の出力を周波数判定信号Sfとする。
【0121】
[5.出力電圧判定器35の構成]
出力電圧判定器35は、出力電圧指令振幅v1と入力電圧振幅viとの差に応じた電圧判定信号Svを出力する。
図12は、出力電圧判定器35の構成例を示す図である。
図12に示すように、出力電圧判定器35は、ローパスフィルタ(LPF)81と、減算器82と、絶対値演算器83とコンパレータ84とを備える。
【0122】
ローパスフィルタ81は、入力電圧振幅viの高周波成分を除去して減算器82へ出力する減算器82は、出力電圧指令振幅v1と高周波成分を除去した入力電圧振幅viとの差分値vdifを求め、差分値vdifを絶対値演算器83へ出力する。
【0123】
絶対値演算器83は差分値vdifの絶対値である電圧振幅差vdifaを求め、コンパレータ84へ出力する。コンパレータ84には、比較値v
HCが設定される。比較値v
HCは、設定パラメータであり、例えば、図示しない入力部を介してマトリクスコンバータ1のユーザ等により設定される。
【0124】
コンパレータ84は、電圧振幅差vdifaが比較値v
HC以下になった場合に、電圧一致を示すHighレベルの電圧判定信号Svを出力する。また、コンパレータ84は、電圧振幅差vdifaが比較値v
HCを超えた場合に、電圧不一致を示すLowレベルの電圧判定信号Svを出力する。なお、
図12に示すようにコンパレータ84にはヒステリシス特性をもたせてもよい。
【0125】
図13は、電圧判定信号Svの状態遷移を示す図である。
図13に示すように、電圧判定信号Svは、電圧不一致を示す状態からvdifa(=|v1−vi|)≦v
HCとなった場合に、電圧一致を示す状態になる。一方、電圧判定信号Svは、電圧一致の状態からvdifa(=|v1−vi|)>v
HCとなった場合に、電圧不一致を示す状態になる。このように、出力電圧判定器35は、入力電圧振幅viと出力電圧指令振幅v1との差が所定範囲内の場合に、電圧一致の状態であると判定する。
【0126】
[6.出力位相判定器36の構成]
出力位相判定器36は、第1移行モードにおいて、位相変化量Δθの絶対値と位相閾値Δθ
ZE_cmpの差に応じた位相判定信号Spを出力する。
図14は、出力位相判定器36の構成例を示す図である。
図14に示すように、出力位相判定器36は、絶対値演算器90、91と、比較器92、93と、と、論理積器(AND回路)94と、を備える。
【0127】
絶対値演算器90は、位相変化量Δθの絶対値を演算し、演算結果を比較器92へ出力する。絶対値演算器91は、仮想出力周波数ω1の絶対値を演算し、演算結果を比較器93へ出力する。
【0128】
比較器92は、位相変化量Δθの絶対値と位相閾値Δθ
ZE_cmpを比較する。比較器92は、Δθ≦Δθ
ZE_cmpである場合にHighレベルの位相差信号Spaを出力し、Δθ>Δθ
ZE_cmpである場合にLowレベルの位相差信号Spaを出力する。位相閾値Δθ
ZE_cmpは、設定パラメータであり、例えば、図示しない入力部を介してマトリクスコンバータ1のユーザ等により設定される。
【0129】
比較器93は、仮想出力周波数ω1の絶対値と周波数閾値ω
ZE_cmpを比較する。比較器93は、ω1≦ω
ZE_cmpである場合にHighレベルの周波数差信号Sfaを出力し、ω1>ω
ZE_cmpである場合にLowレベルの周波数差信号Sfaを出力する。周波数閾値ω
ZE_cmpは、設定パラメータであり、例えば、図示しない入力部を介してマトリクスコンバータ1のユーザ等により設定される。
【0130】
論理積器94は、位相差信号Spa、周波数差信号Sfaおよびモード選択信号Sm2を入力する。論理積器94は、これらの信号Spa、Sfa、Sm2がいずれもHighレベルである場合に、位相一致を示すHighレベルの位相判定信号Sp(位相一致信号の一例)を出力する。一方、論理積器94は、これらの信号Spa、Sfa、Sm2のいずれかがLowレベルである場合、位相不一致を示すLowレベルの位相判定信号Spを出力する。
【0131】
このように、出力位相判定器36は、第1移行モードにおいて、入力位相θiと仮想出力位相θ1との差が位相閾値Δθ
ZE_cmp以下、かつ、仮想出力周波数ω1が周波数閾値ω
ZE_cmp以下になると、位相一致を示す位相判定信号Spを出力する。
【0132】
仮想出力周波数ω1が周波数閾値ω
ZE_cmp以下であることを条件とすることによって、PI制御器63が過渡状態である場合であるにも関わらず、位相一致を示す位相判定信号Spを出力することを防止することができる。
【0133】
なお、出力位相判定器36は、絶対値演算器91および比較器93を設けない構成であってもよい。この場合、出力位相判定器36は、位相差信号Spaおよびモード選択信号Sm2がいずれもHighレベルである場合に、位相一致を示すHighレベルの位相判定信号Spを出力する。
【0134】
[7.モード切替判定器37の構成]
図15は、モード切替判定器37の構成例を示す図である。
図15に示すように、モード切替判定器37は、減算器96と、比較器97と、論理積器(AND回路)98とを備える。
【0135】
減算器96は、仮想出力位相θ1から位相θ
ZE(=nπ/6;nは、1〜12のうち1つ以上の整数)を減算し、減算結果Δθ1を比較器97へ出力する。比較器97は、減算器96の減算結果Δθ1と位相閾値θ
ZE_Bandとを比較する。比較器97は、Δθ1≦θ
ZE_Bandである場合に、Highレベルのタイミング判定信号Stを論理積器98へ出力し、Δθ1>θ
ZE_Bandである場合に、Lowレベルのタイミング判定信号Stを論理積器98へ出力する。
【0136】
論理積器98は、タイミング判定信号Stと位相判定信号SpとがいずれもHighレベルの場合に、切替指示を示すHighレベルのモード切替信号Sswを出力し、それ以外の場合には、切替待機を示すLowレベルのモード切替信号Sswを出力する。
【0137】
このように、モード切替判定器37は、出力位相判定器36から位相一致を示す位相判定信号Spが出力されている場合に、出力位相θoがnπ/6−θ
ZE_Bandからnπ/6+θ
ZE_Bandの範囲内であれば、切替指示を示すモード切替信号Sswを出力する。
【0138】
以上のように、本実施形態に係るマトリクスコンバータ1は、出力周波数ωo(出力周波数指令ω
*)と入力周波数ωiとの差が所定範囲内となった場合に、電圧上昇制御と位相追従制御とを行い、これらの制御が終了した場合に、双方向スイッチSを駆動するモードをPWM制御モードから直結制御モードへ移行する。これにより、出力電流Ioにショックが発生することを抑制しつつ電圧利用率を向上させることができるマトリクスコンバータ1を提供することができる。
【0139】
なお、上述においては、周波数一致や電圧一致などを示す信号の状態として、「Highレベル」を一例に挙げたが、周波数一致や電圧一致などを示す信号の状態は、「Lowレベル」であってもよい。
【0140】
また、上述の追従位相演算器66は、出力周波数指令ω
*と入力周波数ωiとの差に応じた位相調整量θajを生成して出力したが、出力周波数指令ω
*を用いずに位相調整量θajを生成してもよい。この場合、追従位相演算器66には、絶対値演算器111、乗算器114および加算器115は設けられない。
【0141】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。