特許第5794303号(P5794303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794303
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】培養装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20150928BHJP
   C12M 1/04 20060101ALI20150928BHJP
   C12M 1/36 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   C12M1/00 E
   C12M1/04
   C12M1/36
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-525785(P2013-525785)
(86)(22)【出願日】2012年7月27日
(86)【国際出願番号】JP2012069224
(87)【国際公開番号】WO2013015422
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2013年10月7日
(31)【優先権主張番号】特願2011-163868(P2011-163868)
(32)【優先日】2011年7月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】松澤 克明
(72)【発明者】
【氏名】石井 浩介
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩
(72)【発明者】
【氏名】山村 隼志
【審査官】 木原 啓一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−086689(JP,A)
【文献】 特開平05−168463(JP,A)
【文献】 特開平05−184348(JP,A)
【文献】 特開平09−057058(JP,A)
【文献】 特開平05−184347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12N 1/00−7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
藻類を培養する培養装置であって、
上面に開口部を有し、前記藻類を含む培養液である藻類液が収容される培養池と、
光透過性および可撓性を有し、前記培養池の前記開口部の少なくとも一部を封止するシート部と、
大気よりも高い二酸化炭素濃度を有する高濃度COガスを、前記培養池と前記シート部との間に供給するガス供給部と、
前記培養池と異なる領域で、前記培養池の外周に沿って形成され、液体が収容される外溝部と、
前記外溝部に収容される液体中に配置され、前記シート部の端部を鉛直下方に牽引して前記端部を前記液体中に保持する保持部と、
を備え、
供給された前記高濃度COガスの少なくとも一部によって、前記藻類液の液面と前記シート部との間にガスが滞留するガス滞留空間が形成され
前記保持部が前記シート部の端部を前記液体中で鉛直下方に牽引することで、前記シート部および前記液体が、前記培養池の開口部を全面に亘って封止する培養装置。
【請求項2】
前記保持部は、前記シート部の端部を着脱可能に掛止する請求項1に記載の培養装置。
【請求項3】
前記ガス滞留空間中の二酸化炭素の濃度を検出する濃度検出部をさらに備え、
前記ガス供給部は、前記濃度検出部が検出した二酸化炭素の濃度が所定値未満である場合に、前記高濃度COガスを供給するように構成されている請求項1に記載の培養装置。
【請求項4】
前記ガス供給部は、前記高濃度COガスを前記藻類液中に供給し、
前記高濃度COガスは、前記高濃度COガスに含まれる二酸化炭素のうち少なくとも一部が前記藻類液中に溶解した後に、前記藻類液の液面から放出される請求項1に記載の培養装置。
【請求項5】
前記シート部に振動を与えることで、前記シート部に付着した液滴を落下させるように構成された振動付与部をさらに備える請求項1に記載の培養装置。
【請求項6】
前記ガス滞留空間の照度と、この培養装置の外部空間の照度とを測定する照度測定部をさらに備え、
前記振動付与部は、前記ガス滞留空間の照度と前記外部空間の照度との差が所定値以上となる場合に、前記シート部に振動を与えるように構成されている請求項5に記載の培養装置。
【請求項7】
前記ガス滞留空間からこの培養装置の外部に向けて送出されたガスを、再び前記ガス滞留空間に循環して供給するための循環流路をさらに備える請求項1に記載の培養装置。
【請求項8】
藻類を培養する培養装置であって、
上面に開口部を有し、前記藻類を含む培養液である藻類液が収容される培養池と、
光透過性を有し、前記培養池の前記開口部を封止する封止部と、
前記培養池と異なる領域で、前記培養池の外周に沿って形成され、液体が収容される外溝部と、
を備え、
前記封止部の端部が、前記外溝部に収容される液体中に保持されることで、前記封止部および前記液体が、前記培養池の開口部を全面に亘って封止する培養装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、藻類等を培養する培養装置に関する。
本願は、2011年7月27日に日本に出願された特願2011−163868号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、バイオ燃料(炭化水素やバイオディーゼル)や、アスタキサンチン等の生理活性物質を産生することができる藻類(特に、微細藻類)が注目されている。このような藻類を大量に培養し、その産生物を石油に代わるエネルギーとして利用したり、薬や化粧品、食品等に利用したりすることが検討されている。
【0003】
藻類等の大量培養用の培養装置として、培養液の水面が大気開放されている培養装置(開放系リアクタ)、例えばレースウェイ型やオープンポンド型の培養装置(培養池)が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。藻類等の植物は、光照射条件下で二酸化炭素(CO)を炭素源として光合成を行うことで、増殖したり炭化水素等の産生物を産生したりする。そのため、バイオ燃料や生理活性物質といった産生物の産生効率を向上させるためには、培養池内部まで光を到達させるとともに、バブリング等によって培養液中に二酸化炭素を供給して十分に溶解させることが望ましい。
【0004】
レースウェイ型の培養装置において、培養池内部まで光を到達させることと、バブリング等を用いた、培養液中への二酸化炭素の供給による溶解とはトレードオフの関係にある。
【0005】
具体的に説明すると、レースウェイ型の培養装置では、水面からのみ光が培養池内部に入射する。そのため、藻類が増殖すると藻類自体が光を遮ってしまい、光の到達距離が短くなり、藻類の光合成の効率が低下する可能性がある。したがって、レースウェイ型の培養装置は、藻類が増殖しても光が培養池の底面まで到達するように、ある程度浅く(例えば、30cm程度に)形成される。
【0006】
しかしながら、光の到達を考慮して培養池の深さ(鉛直方向の長さ)を短くすると、バブリング等によって培養液中に二酸化炭素を供給したとしても、供給された二酸化炭素が水面から大気中へすぐに放出されてしまう可能性がある。そのため、二酸化炭素と培養液との接触時間を確保できず、培養液中に二酸化炭素が十分に溶解されない場合がある。また、一般的に培養液中の溶解二酸化炭素濃度は、大気中の二酸化炭素濃度と平衡状態になるまで変化する。そのため、予め二酸化炭素を高濃度(例えば、2〜3%程度)に溶解させた培養液を培養池に供給したとしても、レースウェイ型の培養装置では水面が大気開放されているため、培養液中の溶解二酸化炭素濃度は大気中の二酸化炭素濃度(400ppm程度)まで短時間で低下してしまう。
【0007】
そのため、藻類を含む培養液である藻類液に高濃度の二酸化炭素を溶解させる培養装置と、高濃度の二酸化炭素が溶解され培養装置から送出された藻類液を収容すると共に藻類の光合成が行われる培養池とを個別に備える技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の技術では、ビニル樹脂やアクリル樹脂の板状部材で構成された箱形状のカバー部材(蓋)を培養池の外縁に設置して、培養池の開口部を覆うことで、培養池における二酸化炭素の大気への放出を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本国特開平08−173139号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Elsevier, Bioresource Technology 101, 2010:1406-1413
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、藻類の更なる大量培養が試みられており、培養池の大きさが、数ヘクタール〜数百ヘクタール程度に及ぶことが想定されている。このような広大な培養池の開口部に、上述した特許文献1の技術を利用して箱形状の蓋を設置する場合、樹脂等からなる蓋のみでは強度不足となる可能性がある。そのため、箱形状の蓋を鉛直下方から支持するための支柱を培養池に複数本設置しなければならない。
【0011】
また、蓋の支柱との接触部分は、支柱で支持できる程度の強度が必要となる。そのため、蓋を構成する板状部材の板厚をある程度厚くしなければならず、コスト高になる可能性がある。さらに、広大な培養池の開口部を覆うための、板厚が厚く、巨大な箱形状の蓋は、その重量も大きくなる。したがって、重機を複数台利用しなければ、メンテナンス等のために培養池を開閉することは困難である。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑み、簡易な構成で、培養池を覆う蓋の強度を確保しつつ低コスト化を図るとともに、メンテナンス性を高めることが可能な培養装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、藻類を培養する培養装置は、上面に開口部を有し、藻類を含む培養液である藻類液が収容される培養池と、光透過性および可撓性を有し、培養池の開口部の少なくとも一部を封止するシート部と、大気よりも高い二酸化炭素濃度を有する高濃度COガスを培養池とシート部との間に供給するガス供給部と、を備える。供給された高濃度COガスの少なくとも一部によって、藻類液の液面とシート部との間にガスが滞留するガス滞留空間が形成される。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、上記第1の態様において、上記培養装置は、培養池と異なる領域で、培養液の外周に沿って形成され、液体が収容される外溝部と、外溝部に収容される液体中に配置され、シート部の端部を鉛直下方に牽引してこの端部を液体中に保持する保持部と、をさらに備える。保持部がシート部の端部を液体中で鉛直下方に牽引することで、シート部および液体が、培養池の開口部を全面に亘って封止する。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、上記第2の態様において、上記保持部は、シート部の端部を着脱可能に掛止する。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、上記第1から第3のいずれか1つの態様において、上記培養装置は、ガス滞留空間中の二酸化炭素の濃度を検出する濃度検出部をさらに備える。ガス供給部は、濃度検出部が検出した二酸化炭素の濃度が所定値未満である場合に、高濃度COガスを供給するように構成されている。
【0017】
本発明の第5の態様によれば、上記第1から第4のいずれか1つの態様において、上記ガス供給部は、高濃度COガスを藻類液中に供給する。高濃度COガスは、この高濃度COガスに含まれる二酸化炭素のうち少なくとも一部が藻類液中に溶解した後に、藻類液の液面から放出される。
【0018】
本発明の第6の態様によれば、上記第1から第5のいずれか1つの態様において、上記培養装置は、シート部に振動を与えることで、シート部に付着した液滴を落下させるように構成された振動付与部をさらに備える。
【0019】
本発明の第7の態様によれば、上記第6の態様において、上記培養装置は、ガス滞留空間の照度と、この培養装置の外部空間の照度とを測定する照度測定部をさらに備える。振動付与部は、ガス滞留空間の照度と上記外部空間の照度との差が所定値以上となる場合に、シート部に振動を与えるように構成されている。
【0020】
本発明の第8の態様によれば、上記第1から第7のいずれか1つの態様において、上記培養装置は、ガス滞留空間からこの培養装置の外部に向けて送出されたガスを、再びガス滞留空間に循環して供給するための循環流路をさらに備える。
【0021】
本発明の第9の態様によれば、藻類を培養する培養装置は、上面に開口部を有し、藻類を含む培養液である藻類液が収容される培養池と、光透過性を有し、培養池の開口部を封止する封止部と、培養池と異なる領域で、培養池の外周に沿って形成され、液体が収容される外溝部と、を備える。封止部の端部が、外溝部に収容される液体中に保持されることで、封止部および液体が、培養池の開口部を全面に亘って封止する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡易な構成で、培養池を覆う蓋の強度を確保しつつ低コスト化を図るとともに、メンテナンス性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態における培養装置の外観斜視図である。
図2図1におけるII−II線での断面図である。
図3】本発明の第1実施形態における培養装置の概略的な機能を説明するための機能ブロック図である。
図4A】保持部の具体的構成の一例を示す断面図である。
図4B】保持部によるシート部の牽引を説明するための説明図である。
図5】本発明の第2実施形態における培養装置の概略的な機能を説明するための機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定しない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における培養装置100の外観斜視図であり、図2は、図1におけるII−II線での断面図であり、図3は、培養装置100の概略的な機能を説明するための機能ブロック図である。また、図3中、制御に伴う信号の流れを波線の矢印で示す。
【0026】
図1図2図3に示すように、培養装置100は、培養池110と、ガス供給部120と、シート部130(封止部)と、外溝部140と、保持部150と、制御部160(ガス供給部、振動付与部)と、濃度検出部170と、振動付与部180と、照度測定部190とを含んで構成される。なお、図1および図2において、説明の便宜上、制御部160、濃度検出部170、振動付与部180、照度測定部190の記載を省略する。
【0027】
培養池110は、上面に開口部112を有し、藻類を含む培養液である藻類液Mが収容される。培養池110は、略水平方向に延びる底部と、底部の端から上方に延びる側壁部とを備える。本実施形態において、培養池110は、地面を掘って形成されるため、培養池110の上端(側壁部の上端)は、グランドレベル(図2中GLで示す)よりも低い位置に配置されている。
【0028】
ガス供給部120は、ガス供給口122と、ポンプ124(ガス供給部)とを含んで構成される。ガス供給口122は、培養池110内の底面に設けられたガス供給用部材(例えば、多孔質部材)として構成されている。ポンプ124は、不図示のガス源からのガスを培養池110に向けて送出する。ガス供給口122とポンプ124とは、供給管で接続されている。
ガス供給部120は、不図示のガス源から高濃度COガス(大気よりも高い二酸化炭素濃度を有するガス)を、藻類液M中に供給する。本実施形態においてガス供給部120は、後述する制御部160による制御指令に応じて、高濃度COガスを間欠的に藻類液M中に供給する。また、ガス供給部120は、培養装置100の稼働開始時に、二酸化炭素が10%程度含まれる高濃度COガスを供給し、後述するガス滞留空間Gの圧力が所定値Pとなると高濃度COガスの供給を停止する。
培養装置100の稼働中において、ガス供給部120は、二酸化炭素が10%程度含まれる高濃度COガスを、制御部160による制御指令に応じて藻類液M中に供給する。制御部160によるガス供給部120のガス供給処理については後に詳述する。
【0029】
藻類を培養する際に、藻類液Mを培養池110内で循環させない場合は、培養液中で藻類が沈殿して藻類のクラスタが形成され、光合成効率や培養液の消費効率が低下して全体的な培養効率が低下する可能性がある。本実施形態では、ガス供給部120が、ガスを液中に供給するバブリング等によって藻類液M中に高濃度COガスを供給するため、高濃度COガスで藻類液Mを攪拌することができる。これにより、藻類が沈殿することによる、光合成効率の低下や培養液の消費効率の低下を抑制することが可能となる。
【0030】
ガス供給部120が藻類液M中に供給した高濃度COガスは、この高濃度COガスに含まれる二酸化炭素のうち少なくとも一部が藻類液M中に溶解した後に、藻類液Mの液面114から放出される。
【0031】
シート部130は、シート状に形成された光透過性および可撓性を有する部材(好ましくは、紫外線に強い樹脂であり、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等)である。シート部130は、培養池110の開口部112を十分覆うことができる大きさに形成されている。すなわち、シート部130は、培養池110の開口部112を全体的に封止する部材である。また、培養装置100の稼働中において、ガス供給部120によってシート部130の内側、すなわち培養池110とシート部130との間に高濃度COガスが供給される。ガスの供給によりシート部130が膨張するため、シート部130は、この膨張を考慮した大きさに形成されている。図2に示すように、シート部130の端部132が、後述する保持部150によって、外溝部140に収容された液体S中に保持される。これにより、シート部130と液体Sは、開口部112を全面に亘って封止する。
【0032】
ガス供給部120によって藻類液M中に供給された高濃度COガスに含まれる二酸化炭素の一部は、藻類液Mを液面114に向けて移動する間に藻類液Mに溶解できずに液面114から放出される。しかしながら、シート部130が培養池110の開口部112を封止しているため、液面114から放出された二酸化炭素を含むガスがシート部130の内側に留まり、ガス滞留空間Gを形成する。すなわち、供給された高濃度COガスの少なくとも一部によって、液面114とシート部130との間にガス滞留空間Gが形成される。したがって、液面114から放出された二酸化炭素の、大気(培養装置100の外部の大気、以下同じ)への放出を防止できる。
また、ガス滞留空間Gに滞留するガスの二酸化炭素濃度は、大気よりも高い。上述したように、藻類液M中の溶解二酸化炭素の濃度は、ガス滞留空間Gの気相中二酸化炭素濃度と平衡状態になるまで変化するため、藻類液M中の溶解二酸化炭素の濃度を大気よりも高濃度に維持することが可能となる。また、藻類による二酸化炭素の消費によって藻類液M中の溶解二酸化炭素濃度が低下しても、藻類液Mは高い二酸化炭素濃度を有するガス滞留空間Gと接触している状態を維持するため、ガス滞留空間G中の二酸化炭素を藻類液Mに溶解させることができる。
【0033】
また、上述したようにシート部130は可撓性を有するため、その内側の圧力が上昇すると、シート部130は上方に膨らむことが可能である。ガス供給部120が、ガス滞留空間Gの圧力P(ゲージ圧)が単位面積あたりのシート部130の重さ(g/cm)以上の圧力となるように高濃度COガスを供給すると、この高濃度COガスによってシート部130が膨らみ、ガス滞留空間Gが形成される。すなわち、ガス供給部120が供給するガスによってシート部130を内側(下方)から支持することができる。
【0034】
このように、可撓性を有する部材でシート部130を構成するとともに、ガス供給部120がシート部130の内側に高濃度COガスを供給するという簡易な構成で、シート部130を支持するための支柱等を用いずに、ガス滞留空間Gを形成しつつ開口部112をシート部130で覆うことができる。また、開口部112を封止する蓋としての機能を備えるシート部130を、厚みの薄い(例えば、0.1mm程度)部材で形成することが可能である。そのため、蓋を板状の樹脂で形成する場合と比較して、軽量化と利便性の向上を図ることができ、メンテナンス時に容易に培養池110を開閉することが可能となる。
【0035】
さらに、上述したように、シート部130は、光透過性を有する部材で形成されるため、シート部130によって開口部112の全面が封止されたとしても開口部112を通して藻類液Mに太陽10等からの光が十分に入射される。
なお、シート部130には、シート部130の内側から外側にガスを排出するための排出バルブ136が取り付けられている。
【0036】
外溝部140は、培養池110と異なる領域に形成され、液体が収容される。外溝部140も、培養池110と同様に、底部と、底部の端から上方に延びる側壁部とを備える。図1に示すように、本実施形態において外溝部140は、培養池110の外周に沿って形成されている。すなわち、外溝部140の側壁部は、培養池110の側壁部を平面視で囲むように配置されている。外溝部140の内部(外溝部140の側壁部と培養池110の側壁部との間の空間)には滅菌効果を有する液体(例えば、次亜塩素酸を含む水溶液等)Sが収容されている。なお、本実施形態において、外溝部140は、地面を掘って形成され、外溝部140の上端(側壁部の上端)は、グランドレベル(図2中GLで示す)と実質的に等しい位置に配置されている。
【0037】
保持部150は、例えば、金属を用いて培養池110の外周を囲む枠状に形成され、外溝部140の液体S中に沈んで配置されている。保持部150は、外溝部140に収容される液体S中において、シート部130の端部132を鉛直下方に牽引して、端部132を液体S中に保持する。
詳細に説明すると、シート部130には、その内側に形成されたガス滞留空間Gの圧力Pによって膨張する向きに力が加わり、その鉛直方向成分が浮力Fとなる。保持部150の重量を、浮力F以上の力で鉛直下方に牽引することができる重さにすることで、端部132を液体S中に保持することができる。本実施形態では、液体Sの保持部150(シート部130)より内側(培養池110側)の液面の高さは、液面114の高さと実質的に等しくなっている。また、液体Sの保持部150(シート部130)より外側の液面は、内側の液面の高さより、浮力Fに相当する圧力水頭分(図2中にHで示す)高くなっている。
【0038】
上記構成により、シート部130の端部132は、全周に亘って液体S中に保持される。したがって、シート部130および液体Sが、培養池110の開口部112を全面に亘って確実に封止することができる。
【0039】
また、開口部112は全面に亘ってシート部130および液体Sによって封止されているため、外部の微生物は、液体Sを通過して培養池110に侵入する可能性がある。そのため、液体Sを、滅菌効果(微生物を死滅させる効果)を有する液体とすることにより、外部から侵入する微生物を滅菌することができ、藻類液Mへの汚染物質の侵入(藻類液Mのコンタミネーション)を防止することが可能となる。
【0040】
また、本実施形態において保持部150は、シート部130の端部132を着脱可能に掛止する構成となっている。
【0041】
図4Aは、保持部150の具体的構成の一例を示す断面図であり、図4Bは、保持部150によるシート部130の牽引を説明するための説明図である。本実施形態において、シート部130の端部132近傍には、複数の掛合孔134が形成されている。複数の掛合孔134は、シート部130の外周に沿って、例えば実質的に等間隔に設けられている。
【0042】
一方、図4Aに示すように、保持部150は、本体枠152と、複数の掛合鉤154と、釣上部156とを含んで構成される。
【0043】
本体枠152は、培養池110の外周を囲むように形成されている。掛合鉤154は、リベット等で構成され、本体枠152に複数設けられており、シート部130に設けられた複数の掛合孔134それぞれに掛合できる。複数の掛合鉤154はそれぞれ、対応する掛合孔134と掛合可能な寸法に設定されている。釣上部156は、Iボルト等で構成され、本体枠152に複数設けられている。クレーン等が釣上部156を掛止して釣り上げることで、保持部150全体が釣り上げられる。
【0044】
培養池110にシート部130を設置する場合、まず、クレーン等で釣上部156を掛止して吊り下げ、外溝部140に収容された液体S中に本体枠152を沈めて設置する。続いて、保持部150の掛合鉤154に、シート部130の掛合孔134を掛合する。これにより、図4Aに示すように、掛合孔134の鉛直上側の端部134aが、掛合鉤154に掛止され、シート部130および液体Sによって開口部112が全面に亘って封止される。
【0045】
ガス供給部120によって藻類液M中に高濃度COガスが供給されると、液面114とシート部130との間に圧力Pのガス滞留空間Gが形成される。そのため、図4Bに示すように、ガス滞留空間Gの圧力Pによってシート部130に浮力Fが生じ、掛合孔134の鉛直下側の端部134bが、掛合鉤154に掛止される。
保持部150が、浮力F以上の力で鉛直下方に牽引することができる重さに設定されているため、浮力Fに抗して端部132を液体S中に保持することができる。
【0046】
上述したように、保持部150を、シート部130に掛止するといった簡易な構成とすることで、シート部130を保持部150に容易に着脱することが可能となる。したがって、シート部130が外気や紫外線等を原因として破損・劣化した場合に、シート部130の交換を容易に行うことができる。
【0047】
図3に戻って説明すると、制御部160は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路を備え、培養装置100を管理および制御する。
【0048】
制御部160は、濃度検出部170から送信される濃度信号(後述)に基づいて、ポンプ124の動作および排出バルブ136(シート部130の内側から外側にガスを排出するためのバルブ)の開度を調整する(ガス供給処理)。また、制御部160は、照度測定部190から送信される照度信号(後述)に基づいて、振動付与部180を制御する(振動付与処理)。制御部160によるガス供給処理と、振動付与処理については、後に詳述する。
【0049】
濃度検出部170は、ガス滞留空間G中の二酸化炭素の濃度を検出して、検出した濃度を示す信号である濃度信号を制御部160に送信する。
【0050】
制御部160は濃度信号を受信し、受信した濃度信号に示された二酸化炭素濃度が所定値(例えば、2%)未満である場合に、ガス供給処理を行う。具体的に説明すると、藻類は光合成を行う際に二酸化炭素を消費して酸素を産生する。上述したように、培養装置100において開口部112はシート部130で封止されているため、藻類が光合成をし続けると、藻類液M中の溶解二酸化炭素濃度は低下し、ガス滞留空間G中の二酸化炭素が藻類液Mに溶解する。また、藻類が産生した酸素は藻類液Mからガス滞留空間Gへ放出される。したがって、ガス滞留空間G中の二酸化炭素濃度は低下し、逆に酸素濃度が上昇する。
【0051】
制御部160は、濃度信号に示された二酸化炭素濃度が所定値未満(例えば、2%)であると、まず、排出バルブ136の開度を調整して、ガス滞留空間Gにおける50%の容量のガスをシート部130の外側に排出する。続いて、制御部160は、ガス供給部120のポンプ124を駆動して、二酸化炭素濃度が10%程度含まれる高濃度COガスを、ガス滞留空間Gの圧力が圧力Pとなるまで藻類液M中に供給する。これにより、ガス滞留空間G中の二酸化炭素濃度を、このガス供給処理を行う前と比較して上昇させることができ、例えば、6%とすることが可能となる。
【0052】
上述したように、藻類の光合成による二酸化炭素の消費によって、ガス滞留空間G中の二酸化炭素濃度が低下すると、制御部160がガス供給部120を用いて新たな高濃度COガスを藻類液M中に供給する。したがって、ガス滞留空間G中の二酸化炭素濃度を所定値に保つことができ、結果として藻類液Mの溶解二酸化炭素濃度も所定値に保つことが可能となる。よって、藻類の光合成効率を高く維持することができる。
【0053】
振動付与部180は、シート部130の近傍に設置されたエアガンやバイブレータ等で構成され、制御部160の制御指令に応じて、シート部130に振動を与えることが可能である。
上述したように、培養装置100において開口部112はシート部130で封止されているため、藻類の培養を継続すると、藻類液Mから蒸発した水蒸気等がシート部130の内側で凝縮し、シート部130の内側に液滴となって付着する場合がある。この場合、シート部130の外側から内側への光の入射が、液滴によって遮られてしまい、光の藻類液Mへの到達効率が低下する可能性がある。
【0054】
上記のような場合に、振動付与部180がシート部130に振動を与えて、シート部130の内側に付着した液滴を培養池110に落下させることで、シート部130の内側から液滴を除去することができる。なお、液滴が外溝部140に落下しても構わない。これにより、液滴による、シート部130の光透過効率の低下を防止することが可能となる。
【0055】
また、シート部130の外側に液滴が付着している場合であっても、振動付与部180が、シート部130に振動を与えることで、シート部130の外側に付着した液滴をシート部130の外部(外溝部140等)に落下させることができ、シート部130から除去することが可能となる。
【0056】
照度測定部190は、ガス滞留空間Gの照度と、シート部130の外側の空間A(培養装置100の外部空間)の照度とをそれぞれ測定して、測定した照度を示す信号である照度信号を制御部160に送信する。制御部160は照度信号を受信し、受信した照度信号に示されたガス滞留空間Gの照度と、シート部130の外側の空間Aの照度との差が所定閾値(所定値)以上である場合に振動付与処理を行う。上述したように、藻類液Mから蒸発した水蒸気等が凝縮して液滴となってシート部130の内側に付着すると、光の入射が液滴によって遮られる場合がある。つまり、ガス滞留空間Gの照度が低下する。
【0057】
上記のような場合に、制御部160は、ガス滞留空間Gの照度と、シート部130の外側の空間Aの照度との差が所定閾値以上となった場合、すなわち、外側の空間Aよりもガス滞留空間Gが暗くなった場合、シート部130に液滴が付着したとみなし、振動付与部180を駆動して、シート部130に振動を与える。したがって、シート部130から液滴が除去され、シート部130が本来有する光透過効率を維持することが可能となる。
【0058】
また、制御部160が、ガス滞留空間Gの照度と、シート部130の外側の空間Aの照度との差分を算出するため、単に天候が曇り等であることによってガス滞留空間Gの照度が低下し、液適が付着していなくてもシート部130の内側に液適が付着しているとの誤判断を回避することができる。そのため、振動付与部180が不要に振動を付与する事態を回避することが可能となる。
【0059】
以上に説明したように、本実施形態の培養装置100によれば、培養池110の開口部112を、可撓性を有するシート部130で覆うとともに、シート部130の内側に高濃度COガスを滞留させている。そのため、支柱がなくとも、この高濃度COガスが内側からシート部130を確実に支持することができる。
また、開口部112を覆う蓋の機能を有するシート部130が厚みの薄い部材である。そのため、蓋を板状部材で構成する場合と比較して、その厚みを著しく低減することができ、蓋の軽量化を図ることが可能となる。したがって、蓋を板状部材で構成する場合と比較して、支柱に要するコストおよび蓋として利用する材料に要するコストを削減することができる。
さらに、シート部130は蓋を板状部材で構成する場合と比較して、きわめて軽い。そのため、培養装置100の開閉を容易に行うことが可能となり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0060】
(第2実施形態)
図5を参照して、本発明の第2実施形態における培養装置について説明する。図5は、本発明の第2実施形態における培養装置200の概略的な機能を説明するための機能ブロック図である。なお、以下の説明において、第1実施形態の構成要素と同様の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0061】
ガス供給部120は、ガス供給口122と、ポンプ124と、供給管126と、供給停止バルブ128とを備える。供給管126は、ガス供給口122とポンプ124とを接続する。ポンプ124から送出される高濃度COガスは、供給管126及びガス供給口122を通って藻類液M内に供給される。供給停止バルブ128は、供給管126に設けられ、制御部160の制御指令に基づいて供給管126の流路を開閉可能である。
【0062】
シート部130と排出バルブ136とは、排出管138によって接続されている。すなわち、排出管138は、シート部130の内側のガス滞留空間Gと、排出バルブ136とを互いに連通している。排出バルブ136は、制御部160の制御指令に基づいて排出管138の流路を開閉可能である。
【0063】
本実施形態では、供給管126と排出管138とを接続する循環管210が設けられている。循環管210の一端は、供給停止バルブ128とガス供給口122との間の供給管126に接続され、循環管210の他端は、シート部130と排出バルブ136との間の排出管138に接続されている。すなわち、培養装置200には、排出管138の一部の流路と、循環管210と、供給管126の一部の流路とにより、循環流路220が形成されている。循環流路220は、ガス滞留空間Gから培養装置200の外部に向けて送出されたガスを、再びガス滞留空間Gに循環して供給するための流路である。
循環管210(本実施形態では供給管126の近傍)には、第2ポンプ212(ガス供給部)が設けられている。第2ポンプ212は、ポンプ124が動作していない状態でも、循環管210や供給管126におけるガスをガス滞留空間Gに向けて供給可能である。また、第2ポンプ212の動作は、制御部160の制御指令に基づいて制御される。
【0064】
続いて、本実施形態における培養装置200の動作を説明する。
制御部160と濃度検出部170が第1実施形態と同様に構成されている場合、ガス滞留空間Gの二酸化炭素濃度が所定値未満であるときには、制御部160はガス滞留空間G内の二酸化炭素が不足していると判断するため、制御部160の制御指令に基づいてポンプ124が作動する。この場合、本実施形態では循環管210に第2ポンプ212が設けられているため、高濃度COガスがガス滞留空間Gを介さずに循環管210を通って排出バルブ136に向けて流動してしまうことを、第2ポンプ212によって防止できる。
一方、ガス滞留空間Gの二酸化炭素濃度が所定値以上であるときには、制御部160はガス滞留空間G内に十分な二酸化炭素が滞留していると判断するため、制御部160の制御指令に基づいてポンプ124の動作は停止する。
上述したように、藻類の光合成により藻類液M内の二酸化炭素が消費されると、ガス滞留空間G内の二酸化炭素が藻類液Mに溶解する。しかしながら、ポンプ124が停止している状態では、ガス滞留空間G内の二酸化炭素は液面114のみを介して藻類液Mに溶解するため、迅速に二酸化炭素を溶解させることが難しい場合がある。
【0065】
本実施形態では、濃度検出部170の検出によりガス滞留空間Gの二酸化炭素濃度が所定値以上であると判断された場合には、制御部160が、供給停止バルブ128と排出バルブ136とを閉じた状態で、第2ポンプ212を動作させる。第2ポンプ212の動作により、循環管210及び供給管126におけるガスがガス滞留空間Gに向けて流動する。さらに、供給停止バルブ128と排出バルブ136とが閉じた状態では、閉ループの循環流路220が形成されているため、第2ポンプ212の動作によって、循環流路220を一定の向きでガスが流動する。
濃度検出部170の検出によりガス滞留空間Gの二酸化炭素濃度が所定値以上であると判断されているため、ガス滞留空間Gには未だ十分な二酸化炭素が存在している。このようなガス滞留空間G内のガスが、循環流路220を介して再び藻類液M内に供給されるため、藻類液M内に迅速に二酸化炭素を溶解させることができる。
以上より、本実施形態によれば、ポンプ124が停止している状態であっても、藻類液Mにおける高い二酸化炭素濃度を確保でき、培養池110内を藻類の光合成に適した環境に維持できる。
【0066】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、添付の請求の範囲によってのみ限定される。上述の実施形態において示した各構成や動作態様は一例であって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【0067】
例えば、上述した実施形態において、シート部130の端部132が保持部150によって液体S中に保持され、シート部130および液体Sによって、培養池110の開口部112が全面に亘って封止されている。しかし、コンタミネーション等の外乱に強い藻類を培養する場合は、必ずしも開口部112を全面に亘って封止する必要はない。このような場合、シート部130が、開口部112の少なくとも一部を封止すれば、液面114から放出された二酸化炭素をシート部130の内側に滞留させることができ、藻類液Mへの二酸化炭素の溶解効率を向上することが可能となる。例えば、保持部150を培養池110の内周に沿って配置し、保持部150を培養池110内に沈めて設置することで、シート部130が、開口部112の少なくとも一部を覆ってもよい。この場合、外溝部140は設けずともよい。
【0068】
上述した実施形態において、ガス供給部120は、藻類液M中に高濃度COガスを供給している。しかし、シート部130の内側にガス滞留空間Gを形成できればよいため、ガス供給部120が、藻類液Mを経由することなくシート部130の内側に高濃度COガスを供給してもよい。
【0069】
上述した実施形態において、図4A及び図4Bに示す構成では、本体枠152がシート部130の外側に設置されている。しかし、本体枠152がシート部130の内側に設置されてもよい。この場合、釣上部156は、掛合鉤154が本体枠152に接続される位置と対向する位置で、本体枠152に設けられてもよい。
【0070】
上述した実施形態において、振動付与部180は、照度測定部190の測定結果に基づいて、シート部130に振動を付与している。しかし、照度測定部190を利用せずに、例えば、タイマ等を利用して、振動付与部180が所定時間ごとに定期的にシート部130に振動を与えてもよい。
【0071】
開口部112を封止する蓋(封止部)の形状は、シート形状に限られず、また、封止部は可撓性を備えない部材で形成されてもよい。いずれにしても、封止部の端部が、外溝部に収容される液体中に保持されるような構成とすることで、封止部および上記液体によって、培養池の開口部を全面に亘って封止するでき、外部からの汚染物質の侵入を防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、藻類等を培養する培養装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
G…ガス滞留空間
M…藻類液
S…液体
100,200…培養装置
110…培養池
112…開口部
114…液面
124…ポンプ(ガス供給部)
130…シート部(封止部)
132…端部
140…外溝部
150…保持部
160…制御部(ガス供給部,振動付与部)
170…濃度検出部
180…振動付与部
190…照度測定部
212…第2ポンプ(ガス供給部)
220…循環流路
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5