(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の構成によれば、次のような問題点がある。
すなわち、断層画像に写り込んだ複数の被検体を識別することが困難であるという問題がある。
【0009】
従来装置で断層画像を表示させると、被検体が輪切りにされたような断層像が並べて表示される。操作者は、被検体の断層像を見比べることでは被検体の個体を識別することは難しい。
【0010】
また、従来装置では、断層画像の表示を切り替えたときに被検体の個体の識別が困難となる。例えば、被検体を輪切りにするような断層像がモニタに表示されている状態からモニタの表示を切り替えて、今度は被検体を左右に分断するような裁断方向で被検体を裁断したときの断層像をモニタに表示させたとする。このとき、モニタ表示されている断層像が輪切り表示における被検体のどれに対応するのかを認識することが難しい。この様に、従来装置では、操作者がモニタの表示を切り替えると切替前後で被検体の対応関係が分かり辛い。
【0011】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、複数の被検体の断層像を1画面に表示するデータ表示装置およびそれを備えた断層撮影装置において、画面上での個体識別を可能とし、利便性に優れたデータ表示装置およびそれを備えた断層撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上述の課題を解決するために次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係るデータ表示装置は、断層画像撮影装置が出力する複数の被検体が並列に配列された3次元空間データにおける各被検体が占める
3次元空間上の範囲を個体別に特定する
3次元データマトリックスとなっている位置データを取得する位置データ取得手段と、3次元空間データを基に被検体がイメージングされた2次元の画像を生成する画像生成手段と、位置データ
で各被検体の個体別に特定されている3次元空間上の範囲が2次元の画像に現れる位置を特定し、2次元の画像における各被検体が写り込む位置を認識することにより、画像に写り込んでいる被検体の像の各々について個体識別用のマークを
2次元の画像に重畳させて重畳画像を生成する重畳手段と、重畳画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
[作用・効果]本発明のデータ表示装置によれば、断層画像撮影装置が出力する複数の被検体が包含された3次元空間データにおける各被検体が占める位置を個体別に特定する。そして、特定した位置に基づいて、3次元空間データから生成した2次元の画像に個体識別用のマークを画像に重畳させて表示する。この様にすることで、表示手段に表示された画像に写り込んだ複数の被検体が容易に区別できるので、利便性に優れたデータ表示装置を提供できる。
【0014】
また、上述のデータ表示装置において、重畳手段は、画像生成手段が
2次元の画像を生成するたびに生成された画像に被検体が現れる位置を個体別に再認識して重畳画像を再生成すればより望ましい。
【0015】
[作用・効果]上述の構成は、本発明のデータ表示装置のより具体的な構成を示すものとなっている。すなわち、画像生成手段が画像を生成するたびに生成された画像に被検体が現れる位置を個体別に再認識して重畳画像を再生成するようにすれば、次のような利点がある。すなわち、表示手段に表示されている画像が新しく生成された画像に切り替わったとしても操作者が個体識別用のマークを視認することにより表示手段に写り込んだ被検体同士を混同することがない。
【0016】
また、上述のデータ表示装置において、位置データ取得手段は、断層画像撮影装置における撮影に使用された複数の被検体を保持するホルダの種類を識別することにより位置データを取得すればより望ましい。
【0017】
[作用・効果]上述の構成は、本発明のデータ表示装置のより具体的な構成を示すものとなっている。被検体を保持するホルダの種類さえ分かれば、ホルダに保持された被検体が3次元空間データのいずれに存在するかが分かる。上述のようにホルダの種類を識別することにより位置データを取得するようにすればより確実に3次元空間データ上の被検体の位置を個別に認識することができる。
【0018】
また、上述のデータ表示装置において、画像生成手段が生成する
2次元の画像は、被検体を裁断面で裁断したときの断層画像であればより望ましい。
【0019】
また、上述のデータ表示装置において、画像生成手段が生成する
2次元の画像は、最大値投影表示画像であればより望ましい。
【0020】
また、上述のデータ表示装置において、画像生成手段が生成する
2次元の画像は、3次元ボリューム表示画像であればより望ましい。
【0021】
[作用・効果]上述の構成は、本発明のデータ表示装置のより具体的な構成を示すものとなっている。すなわち、本発明は、断層画像、最大値投影表示画像、および3次元ボリューム表示画像を生成するデータ表示装置に適用が可能である。
【0022】
また、本明細書は、以下のような発明も開示している。
(1)放射線を照射する放射線源と、放射線を検出する検出手段と、放射線源および検出手段を一体的に回転させる回転手段と、回転手段を制御する回転制御手段と、検出手段の出力を基に、複数の被検体が並列に配列している3次元空間データを生成する3次元空間データ生成手段と、3次元空間データにおける各被検体が占める
3次元空間上の範囲を位置を個体別に特定する
3次元データマトリックスとなっている位置データを取得する位置データ取得手段と、3次元空間データを基に被検体がイメージングされた2次元の画像を生成する画像生成手段と、位置データ
で各被検体の個体別に特定されている3次元空間上の範囲が2次元の画像に現れる位置を特定し、2次元の画像における各被検体が写り込む位置を認識することにより、画像に写り込んでいる被検体の像の各々について個体識別用のマークを
2次元の画像に重畳させて重畳画像を生成する重畳手段と、重畳画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする断層撮影装置。
【0023】
(2)被検体から放射される放射線を検出する検出器リングと、検出器リングの出力を基に、複数の被検体を包含した3次元空間データを生成する3次元空間データ生成手段と、3次元空間データにおける各被検体が占める
3次元空間上の範囲位置を個体別に特定する
3次元データマトリックスとなっている位置データを取得する位置データ取得手段と、3次元空間データを基に被検体がイメージングされた2次元の画像を生成する画像生成手段と、位置データ
で各被検体の個体別に特定されている3次元空間上の範囲が2次元の画像に現れる位置を特定し、2次元の画像における各被検体が写り込む位置を認識することにより、画像に写り込んでいる被検体の像の各々について個体識別用のマークを
2次元の画像に重畳させて重畳画像を生成する重畳手段と、重畳画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする断層撮影装置。
【0024】
[作用・効果]上述の構成は、本発明を実際の断層撮影装置に組み込んだ構成を示すものとなっている。本発明は、放射線を照射する放射線源を備えた断層撮影装置に用いることもできるし、被検体から放射される放射線を検出する検出器リングを備えた断層撮影装置にも用いることができる。このような断層撮影装置によれば、表示手段に表示された画像に写り込んだ複数の被検体が容易に区別できるので、利便性に優れた断層撮影装置を提供できる。
【0025】
また、上述の断層撮影装置において、小動物撮影用となっていればより望ましい。
【0026】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の断層撮影装置のより具体的な構成を示すものとなっている。複数の被検体を同時に撮影する小動物撮影用の装置に本発明を適用すれば、より利便性に優れた断層撮影装置が提供できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のデータ表示装置によれば、断層画像撮影装置が出力する複数の被検体が包含された3次元空間データにおける各被検体が占める位置を個体別に特定する。そして、特定した位置に基づいて、3次元空間データから生成した2次元の画像に個体識別用のマークを画像に重畳させて表示する。この様にすることで、表示手段に表示された画像に写り込んだ複数の被検体が容易に区別できるので、利便性に優れたデータ表示装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以降、発明を実施するための形態として具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0030】
<データ表示装置の全体構成>
実施例1に係るデータ表示装置1は、
図1に示すように、複数の被検体Mを包含した3次元空間データ(以降、単に空間データD1と呼ぶ)を入力すると、各種の画像処理が施された2次元画像P1が生成される構成となっている。空間データD1とは、各種の断層撮影装置を用いて複数の被検体Mを一度に撮影した時に得られる生データを再構成したものである。生データは、具体的には、サイノグラムやリストデータ等を意味している。
【0031】
実施例1に係るデータ表示装置1は、
図1に示すように空間データD1における被検体Mが占める位置を被検体Mの個体別に特定する位置データHを取得する位置データ取得部13と、空間データを基に被検体Mがイメージングされた2次元画像P0を生成する2D画像生成部14と、位置データHを基に2次元画像P0に被検体Mが現れる位置を個体別に認識して2次元画像に写り込んでいる被検体Mの像の各々について個体識別用のマークを画像に重畳させることで重畳画像P1を生成する重畳部17とを備えている。位置データ取得部13は、本発明の位置データ取得手段に相当し、2D画像生成部14は、本発明の画像生成手段に相当する。重畳部17は、本発明の重畳手段に相当する。
【0032】
空間データD1は、
図2に示す様に、複数の被検体(マウス)を3次元空間上に包含する3次元マトリックスデータとなっている。この空間データD1は、放射線断層撮影装置により検出されたデータ(例えば輝度)が各ボクセルに配列されているものである。空間データD1は、放射線断層撮影装置の撮影視野内に複数の被検体Mを導入した状態で取得されたものであり、被検体Mを保持するホルダもこの空間データD1に表されている。空間データD1は、直方体の空間内にボクセルが配列されて構成される。空間データD1が直方体を表すものとなっているのは、この様にするとデータの保持に都合がよいからである。直方体を表す空間データD1の内部には、円柱形状となっている放射線断層撮影装置の視野範囲の全域が含まれる。
【0033】
このように、空間データD1は、放射線断層撮影装置が断層画像を生成する前の段階の3次元再構成データに相当している。
【0034】
位置データ取得部13は、放射線断層撮影装置が撮影に用いたホルダ(具体的な形状は
図13を用いて後述する)の種類を特定するホルダ種類データdを放射線断層撮影装置から読み出して空間データD1における各被検体Mの位置を個体別に認識する。すなわち、記憶部28にはホルダの種類とこれに対応する位置データHとが関連したテーブルが記憶されている(具体的には、
図3参照)。位置データ取得部13は、このテーブルを参照することで、各被検体Mの位置を個別に特定するのである。位置データ取得部13は、ホルダの種類を識別することにより位置データを取得する。
【0035】
図4は、5体の被検体Mが包含できる5穴ホルダを用いて断層撮影したときの位置データH5を説明している。このとき位置データ取得部13が取得する位置データH5は、
図4において空間データD1に占める5つの直方体B1〜B5の範囲を特定するデータとなっている。
【0036】
これら直方体B1〜B5の各々は、空間データD1における被検体Mの全身が収まる範囲を特定するものとなっている(具体的には
図5参照)。これら5つの直方体B1〜B5は、各々が異なるものであるとして区別される。この様にすることにより各直方体B1〜B5に収まる被検体Mの固体を識別することができる。位置データ取得部13は、取得した位置データHを重畳部17に送出する。
【0037】
2D画像生成部14は、
図6に示すように空間データD1を基に被検体Mの各々を一括に輪切りにする断層画像を生成する。空間データD1には5体の被検体Mが包含されていることからすると、生成された断層画像には5体の被検体Mの断層画像が写り込んでいることになる。この断層画像は2D画像生成部14が生成する2次元画像P0の一種である。2D画像生成部14は、断層画像と輪切りの断層画像に係る裁断面と空間データD1との位置関係を示す裁断面データとを重畳部17に送出する。
【0038】
重畳部17は、位置データHおよび裁断面データを参照して、断層画像に被検体Mが現れる位置を個体別に認識する。断層画像は空間データD1を基に生成されたものである。したがって、重畳部17は、位置データHと裁断面データとを用いた幾何学的な演算により断層画像における各直方体B1〜B5の位置を特定することができる。
【0039】
重畳部17は、断層画像上における各直方体B1〜B5の位置を示す矩形の枠線と、各直方体B1〜B5に対応する検体の番号とを
図6の断層画像に重畳させて重畳画像P1を生成する。直方体B1〜B5の各々は被検体1〜5の各々に対応していたものとする。重畳部17が断層画像に重畳させる検体番号は、被検体個体識別用のマークとなっている。
【0040】
重畳画像P1は、
図7に示すように、各被検体Mの断層像が矩形の枠線で囲まれるとともに各枠線には各被検体Mを識別する検体番号を示すマークが重ねられた断層画像となっている。この重畳画像P1が表示部25に表示される。表示部25は、本発明の表示手段に相当する。
【0041】
<断層画像の裁断面の変更に伴う重畳部の動作>
図6は、被検体Mを輪切りにする断層画像となっていたが、2D画像生成部14が生成する断層画像はこの様な断層画像に限られない。2D画像生成部14は、
図8に示すように被検体Mを縦切りにするような断層画像も生成可能である。断層画像の裁断面は術者が操作卓26を通じて自由に設定することができる。
【0042】
重畳部17が
図7に示す輪切りの断層像が写り込んだ重畳画像P1を生成した後に、術者が操作卓26を通じて
図8に示す被検体Mを縦切りにする断層画像を生成する旨の指示を行ったとする。すると、2D画像生成部14は、被検体Mを縦切りにする新たな断層画像を生成する。この断層画像も2D画像生成部14が生成する2次元画像の一種である。2D画像生成部14は、縦切りの断層画像に係る新たな裁断面と空間データD1との位置関係を示す裁断面データとともに生成した断層画像を重畳部17に送出する。
【0043】
重畳部17は、位置データHおよび縦切りに係る新たな裁断面データを参照して、断層画像に被検体Mが現れる位置を個体別に再認識する。そして、重畳部17は、断層画像上における各直方体B1〜B5の位置を示す矩形の枠線と、各直方体B1〜B5に対応する検体の番号とを断層画像に重畳させて重畳画像P1を再生成する。
図8においては、断層画像上に検体番号2の被検体Mしか写り込んでいないので、この被検体Mのみについて重畳処理が施されている。
【0044】
<2D画像生成部が生成するMIP画像>
2D画像生成部14は、断層画像以外に様々な2次元画像P1の生成が可能である。2D画像生成部14が生成できる2次元画像P1としては、例えばMIP画像がある。
【0045】
MIP画像について説明する。MIP(Maximum Intensity Projection)画像は、
図9に示す様に、空間データD1をある平面Fに投影したときの2次元画像となっている。MIP画像は、次のようにして生成される。まず、MIP画像を生成しようとするときの平面Fとこれに直交する直線を考える。この直線が通過するボクセルデータが示す各輝度のうち、最大輝度のものを選択し、これを平面Fにおける直線の通過する位置に配置する。すなわち、最大輝度は、直線が被検体の3次元像を横切る
図9において点線上のいずれかから選択されることになる。この動作を平面F上の他の位置についても行えば、各直線における最大輝度が2次元的に配列されたMIP画像が取得されることになる。
【0046】
<2D画像生成部が生成する3次元ボリューム表示画像>
また、2D画像生成部14は、空間データD1を基に3次元ボリューム表示画像を生成することもできる。3次元ボリューム表示画像は、2次元画像P1の一種であり、
図10に示すように、空間データD1をある視点から見たときの画像となっている。
図10においては説明の便宜上、被検体Mを円筒形状で表しているとともに、被検体Mを囲む枠線は省略している。
【0047】
術者の操作卓26を通じた指示により、
図10の3次元ボリューム表示画像が表示部25に表示されている状態から3次元ボリューム表示画像を作成する基準となる視点の位置を変えて3次元ボリューム表示画像が新たに生成されるとする。すると、重畳部17は3次元ボリューム表示画像が生成される度に重畳画像を生成する。したがって、3次元ボリューム表示画像を視点を変えながら次々と生成していったとすると、表示部25に表示された被検体Mは、視点が次々と切り替えられることにより画面上を移動していく。そして、表示部25には、被検体Mの検体番号が画像上を移動する被検体Mに追従するように移動していく。
【0048】
主制御部27は、各制御部を統括的に制御する目的で設けられている。この主制御部27は、CPUによって構成され、各種のプログラムを実行することにより各部13,14,17を実現している。
【0049】
以上のように、本発明のデータ表示装置によれば、断層画像撮影装置が出力する複数の被検体Mが包含された空間データD1(3次元空間データ)における各被検体Mが占める位置を個体別に特定する。そして、特定した位置に基づいて、空間データD1から生成した2次元の画像に個体識別用のマークを画像に重畳させて表示する。この様にすることで、表示部25に表示された画像に写り込んだ複数の被検体Mが容易に区別できるので、利便性に優れたデータ表示装置を提供できる。
【0050】
また、上述の構成は、2D画像生成部14が画像を生成するたびに生成された画像に被検体Mが現れる位置を個体別に認識して重畳画像を生成するようにしている。これにより、表示部25に表示されている画像が新しく生成された画像に切り替わったとしても操作者が個体識別用のマークを視認することができるので表示部25に写り込んだ被検体M同士を混同することがない。
【0051】
本発明は、断層画像、最大値投影表示画像、および3次元ボリューム表示画像を生成するデータ表示装置に適用が可能である。
【実施例2】
【0052】
以降、本発明の別の実施例を説明する。実施例2におけるX線は、本発明の放射線に相当する。また、FPDは、フラット・パネル・ディテクタの略である。また、本発明のX線断層撮影装置は、マウスなどの小動物撮影用となっている。また、実施例1における位置データ取得部13,2D画像生成部14および重畳部17は、実施例2においてはデータ加工部18として表すものとする。データ加工部18は、後述のCT−3D空間データ生成部12が生成する空間データD1について
図7のような重畳画像P1を生成するものとする。CT−3D空間データ生成部12は、本発明の3次元空間データ生成手段に相当する。
【0053】
まず、実施例2に係るX線断層撮影装置について説明する。X線断層撮影装置20は、
図11に示す様に被検体Mを載置する天板2と、天板2の伸びる方向に貫通した貫通孔を有するガントリ10とを備えている。天板2は、ガントリ10の貫通孔に挿通されており、天板2を支持する支持台2aに対して天板2の伸びる方向(後述における仮想円VCの直交方向)に進退自在に移動することができる。この天板2の移動は天板移動機構15が行う。天板移動制御部16は、天板移動機構15を制御するものである。天板移動機構15は、本発明の天板移動手段に相当する。
【0054】
ガントリ10の内部には、X線を照射するX線管3と、X線を検出するFPD4とが設けられている。X線管3から照射されたX線は、ガントリの貫通孔を横切るように通過して、FPD4に到達する。X線管3は、本発明の放射線源に相当し、FPD4は、本発明の放射線検出手段に相当する。
【0055】
X線管制御部6は、所定の管電流、管電圧、パルス幅でX線管3を制御する目的で設けられている。FPD4は、X線管3から発せられ、被検体Mを透過したX線を検出して検出信号を生成する。この検出信号は、透視画像生成部11に送出され、そこで被検体Mの投影像が写り込んだ透視画像P3が生成される。CT−3D空間データ生成部12は、透視画像生成部11で生成された透視画像P3を基に、複数の被検体Mを包含する空間データD1を生成する。
【0056】
生成された空間データD1は、既に
図2を用いて説明したように、3次元マトリックスデータとなっている。この空間データD1は、データ加工部18に送出される。データ加工部18では、空間データD1および主制御部27より出力されるホルダ種類データdを基に、操作卓26を通じた術者の指示に従って各種の重畳画像P1を生成する。データ加工部18は、実施例1における位置データ取得部13,2D画像生成部14および重畳部17に相当し、これらの動作は、実施例1で説明済みである。データ加工部18が生成する重畳画像P1の実際は、
図7〜
図10を用いて既に説明済みである。
【0057】
X線管3およびFPD4の回転について説明する。X線管3およびFPD4は、回転機構7により、天板2の伸びる方向に伸びた中心軸を中心に一体的に回転される。より具体的には、X線管3およびFPD4は、
図12に示す様に互いの相対的な位置関係を保った状態で回転移動される。このとき、X線管3は、回転機構7によりX線管3とFPD4とを結ぶ線分上にある中心点を中心とする仮想円VCの軌跡を描きながら回転することになる。この仮想円VCと直交する方向(
図12における紙面貫通方向:z方向)が、天板2の延伸方向と一致する。回転制御部8は、回転機構7を制御する目的で設けられている。回転機構7は、本発明の回転手段に相当し、回転制御部8は、本発明の回転制御手段に相当する。
【0058】
天板2には、被検体Mを保持するためのホルダ5が接続されている。このホルダ5の構造について説明する。ホルダ5は、
図13に示す様に、5つの円(立体として捕らえればz方向に伸びた円柱)の形状の空間5aが設けられている。この空間5aの各々に被検体Mが一体ずつ挿入されることになる。空間5aの内壁を形成する円筒5bは、z方向に伸びるとともに、ガントリ10の貫通孔に一体的に導入できるように積み重ねられている。また、円筒5bは、X線を透過しやすいアクリル樹脂で構成される。ホルダ5は、天板2に近い側の一段目に3個の空間5aが、天板2に遠い側の二段目に2個の空間5aが形成されているような形状をしている。
【0059】
円筒5bのz方向における両端には、複数の円筒5bを一体化させるホルダ板5cが設けられている。ホルダ板5cの各々には、円筒5bを挿通させる5つの穴が設けられており、円筒5bはこの穴を通じてホルダ板5cを貫通する。また、円筒5bの各々における上部には被検体Mを挿入するための切り欠きが設けられており、円筒5bの内壁が切り欠きから露出している。したがって、被検体Mをホルダ5に載置すると、被検体Mは円筒5bを切り欠いたときに残された樋状の部分で保持されることになる。
【0060】
<X線断層撮影装置の動作>
次に、X線断層撮影装置20の動作について説明する。実施例1に係るX線断層撮影装置20を用いて小動物の断層画像を取得するには、まず、被検体Mがホルダ5に収納され(被検体収納ステップS1),透視画像P3の撮影が開始される(撮影開始ステップS2)。そして、断層画像が生成される(断層画像生成ステップS3)。以降これらの各ステップについて順を追って説明する。
【0061】
<被検体収納ステップS1>
撮影に先立って、被検体Mが撮影中に移動しない様に被検体Mを麻酔しておく。麻酔された被検体Mの各々は、ホルダ5の空間5aに収納される。このとき、ホルダ5の空間5a1つ当たり一体の被検体Mが収納される。ホルダ5には、5つの空間5aが設けられているので、ホルダ5には5体の被検体Mを収納することができる。複数の被検体Mを収納したホルダ5は天板2に載置される。
【0062】
<撮影開始ステップS2>
操作者が操作卓26を通じてホルダ5の種別を入力するとともにX線断層撮影装置20に断層撮影開始の指示を行うと、天板2が摺動し、被検体Mがガントリ10の貫通孔の内部に導入される(
図11参照)。X線管制御部6は、記憶部28に記憶されている照射時間・管電流・管電圧に従い、X線を間欠的に照射する。その間に回転機構7は、X線管3およびFPD4を回転させる。FPD4は、X線管3が照射したX線のうち被検体Mを通過してきたX線を検出し、このときの検出データを透視画像生成部11に送出する。
【0063】
透視画像生成部11は、FPD4から送出された検出データを画像化して、X線の強さがマッピングされた透視画像P3を生成する。FPD4は、X線管3がX線を照射する度に検出データを透視画像生成部11に送出するので、透視画像生成部11は、複数枚の透視画像P3を生成することになる。X線管3およびFPD4が回転移動されながら複数枚の透視画像P3が取得されるのであるから、透視画像P3の各々には、被検体Mの透視像が透視する方向を変えながら写り込んでいることになる。X線管3およびFPD4が撮影開始から一回転したところで、X線管3はX線の照射を終了する。なお、撮影の際に、X線断層撮影装置のz方向における視野範囲が被検体Mの全身をカバーしきれないときは、天板2をz方向に摺動させながら空間データD1を取得するようにしてもよい。
【0064】
<断層画像生成ステップS3>
透視画像P3は、CT−3D空間データ生成部12に送出される。CT−3D空間データ生成部12では、方向を変えながら撮影されることにより被検体Mの立体的な構造に関する情報を有している一連の透視画像P3を再構成して複数の被検体Mを包含する空間データD1を生成する。この空間データD1は、データ加工部18に送出される。データ加工部18には、主制御部27から術者のホルダ5の種別入力に応じたホルダ種類データdが送られてきている。データ加工部18は、空間データD1およびホルダ種類データdを基に例えば
図7に示すような重畳画像P1を生成する。この重畳画像P1が表示部25に表示されて撮影は終了となる。重畳画像P1は、例えば、被検体Mを仮想円VCの存する平面およびこれに平行な平面で裁断したときの断面像となっている。
【0065】
以上のように、上述の構成は、本発明を実際の断層撮影装置に組み込んだ構成を示すものとなっている。本発明は、放射線を照射するX線管3を備えた断層撮影装置に用いることができる。このような断層撮影装置によれば、表示部25に表示された画像に写り込んだ複数の被検体Mが容易に区別できるので、利便性に優れた断層撮影装置を提供できる。
【実施例3】
【0066】
続いて実施例3に係る断層撮影装置30について説明する。実施例3に係る断層撮影装置30は、
図14に示すように実施例2に係る装置構成にポジトロン放出断層撮影装置(PET装置)を併設したものとなっている。そこで、実施例3に係る断層撮影装置30において、実施例2に係る装置構成と同様の部分については説明を省略する。また、実施例1における位置データ取得部13,2D画像生成部14および重畳部17は、実施例3においてはデータ加工部18として表すものとする。データ加工部18は、後述のPET−3D空間データ生成部34が生成する空間データD1について
図7のような重畳画像P1を生成するものとする。
【0067】
断層撮影装置30には、ガントリ10の他、PET装置1aに係るガントリ10aを有している。このガントリ10aも、z方向に伸びた貫通孔を有しており、天板2が挿通されている。したがって、PET装置1aは、X線管3・FPD4に対してz方向から隣接するように設けられている。
【0068】
ガントリ10aの内部にはガントリ10aの形状にならってリング状の検出器リング32が設けられている。この検出器リング32は、γ線を検出可能な検出器がリング状に配列されて構成されている。
【0069】
同時計数部33は、検出器リング32から出力された検出データに同時計数処理を施す目的で設けられている。この同時計数部33により、検出器リング32の異なる部分に同時に入射した消滅γ線対の検出頻度と検出位置とが特定される。同時計数部33は、同時計数の結果をPET−3D空間データ生成部34に出力する。PET−3D空間データ生成部34は、同時計数部33が特定した消滅γ線対の検出頻度と検出位置とを基に、消滅γ線対の発生位置を算出し、消滅γ線対の発生強度が3次元的にマッピングされた空間データD1を生成する。空間データD1は、複数の被検体Mを包含している。
【0070】
生成された空間データD1は、既に
図2を用いて説明したように、3次元マトリックスデータとなっている。この空間データD1は、データ加工部18に送出される。データ加工部18では、空間データD1および主制御部27より出力されるホルダ種類データdを基に、操作卓26を通じた術者の指示に従って各種の重畳画像P1を生成する。データ加工部18は、実施例1における位置データ取得部13,2D画像生成部14および重畳部17に相当し、これらの動作は、実施例1で説明済みである。データ加工部18が生成する重畳画像P1の実際は、
図7〜
図10を用いて既に説明済みである。
【0071】
断層撮影装置30は、X線による断層画像と消滅γ線対によるPET画像との両画像を一度の検査で取得できるようになっている。断層撮影装置30を用いてPET画像を生成するには、まず、被検体Mに陽電子放出型の放射性薬剤が注射される。放射性薬剤は、被検体Mの病巣などの特定の部分に集中する性質を有している。放射性薬剤は陽電子を放出し、この陽電子は180度反対方向に飛び去る消滅γ線対を発生させる。したがって、被検体Mからは、消滅γ線対が放射されることになる。放射性薬剤の分布は被検体内で異なっているのであるから、消滅γ線対の発生の頻度は被検体Mの部分によって異なっていることになる。
【0072】
<断層撮影装置の動作>
断層撮影装置を用いた画像の撮影方法について説明する。放射性薬剤の注射から十分に時間が経過した後、被検体Mは麻酔され、ホルダ5に収納される。すなわち、ホルダ5の空間5aの各々に麻酔された被検体Mの一体が収納される。そして、複数の被検体Mを収納した状態となったホルダ5は、天板2に載置される。操作者が操作卓26を通じてホルダ5の種別を入力するとともに断層撮影装置30にPET画像撮影開始の指示を行うと、天板2が摺動し、被検体Mがガントリ10aの貫通孔の内部に導入される(
図14参照)。この時点から検出器リング32は、消滅γ線対の検出を開始し、PET−3D空間データ生成部34が空間データD1を生成する。空間データD1には、被検体Mの部分によって異なる消滅γ線対の発生の頻度がマッピングされている。消滅γ線対の発生頻度の分布はそのまま放射線薬剤の分布なのであるから、操作者はイメージングされた空間データD1を診断することで被検体中の放射性薬剤の分布を知ることができる。なお、撮影の際に、PET装置1aのZ方向における視野範囲が被検体Mの全身をカバーしきれないときは、天板2をz方向に摺動させながら空間データD1の取得をするようにしてもよい。
【0073】
後の動作は、上述のステップS2以降と同様である。すなわち、空間データD1は、データ加工部18に送出され、例えば
図7に示すような重畳画像P1が生成される。断層画像、PET画像を基にした重畳画像P1が表示部25に表示されて撮影は終了となる。
【0074】
以上のように、上述の構成は、本発明を実際の断層撮影装置に組み込んだ構成を示すものとなっている。本発明は、被検体Mから放射される放射線を検出する検出器リング32を備えた断層撮影装置に用いることができる。このような断層撮影装置によれば、表示部25に表示された画像に写り込んだ複数の被検体Mが容易に区別できるので、利便性に優れた断層撮影装置を提供できる。
【0075】
本発明は、上述の構成に限られず、下記のように変形実施することが可能である。
【0076】
(1)上述の構成において、撮影時に用いられるホルダは5穴ホルダとなっていたが、本発明はこのような構成に限られない。5穴ホルダに替えて、4穴や6穴ホルダなどを使用することができる。主制御部27は、その時々のホルダの種類に応じたホルダ種類データdを位置データ取得部13(データ加工部18)に送出することになる。
【0077】
(2)上述の構成において、主制御部27がホルダ種類データdを送出する構成の代わりに、操作者が操作卓26を通じてホルダの種別を入力することによって位置データ取得部13にホルダの種別を認識させるようにしてもよい。また、操作者が操作卓26を通じて空間データD1における各被検体Mの位置を個別に指定することによって位置データ取得部13にホルダの種別を認識させるようにしてもよい。
【0078】
(3)上述の実施例においては、断層撮影装置の具体例としてX線断層撮影装置やPET−CT装置が挙げられていたが本発明はこのような構成に限られない。本発明のデータ表示装置は、MRI装置、PET装置、SPECT装置など空間データD1を生成する他の断層撮影装置にも搭載可能である。
【0079】
以上のように、本発明のデータ表示装置は、医療分野に適している。