(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2ステップで形成された空気層の容積は、前記揚液管の断面積と、前記揚液管の送液口と揚液タンク内の液面との高低差から前記エアーポンプの揚液可能高さを差し引いた値との積より大きい、ことを特徴とする請求項4に記載の揚液方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この揚液装置の場合、エアーポンプ102が発生する最大吐出圧力に応じた揚液可能高さ以上には揚液できない。例えば、液体が水で、エアーポンプ102が発生する最大吐出圧力が2kPaである場合には、エアーポンプ102による密閉タンク100内の液面からの揚液可能高さh0は約20cmである。
【0005】
本発明の目的は、加圧ポンプを用いてこのポンプの揚液可能高さ以上の高さに揚液できる加圧式揚液装置及び揚液方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、液体を貯留した密閉構造の揚液タンクと、前記揚液タンク内を加圧するエアーポンプと、一端が前記揚液タンク内の液体中に連通し、他端部が上方に起立し、他端部先端に送液口が形成され、前記揚液タンクの液面高さから前記送液口までの高さが前記
エアーポンプの揚液可能高さより大き
く、かつ管内の液体を前記送液口側に空気層を介して押し上げ可能な揚液管と、前記揚液管の途中に設けられた分岐部に一端部が接続され、他端部に上方へ起立した起立部を有する給気管と、前記給気管の他端部に設けられ、大気に対して開閉可能なエアーバルブと、前記送液口と前記分岐部との間の揚液管の部分に形成され、前記分岐部より下方に位置し、所定量の液体を貯留できる貯液部と、を備え、
前記貯液部の容積は、前記揚液管の断面積と前記エアーポンプの揚液可能高さとの積より小さく、前記分岐部が前記揚液タンクの液面高さより高く、かつ前記エアーポンプの揚液可能高さより低い位置にあることを特徴とする加圧式揚液装置を提供する。
【0007】
本発明では、貯液部に液体が溜められていない状態でエアーポンプを駆動し、揚液タンク内を加圧すると、液体は揚液管内の揚液可能高さまで上昇する。このとき、液体の一部は分岐部を乗り越え、貯液部に入る。次に、エアーバルブを開いた状態でエアーポンプを停止すると、分岐部が揚液タンクの液面高さより高く、かつエアーポンプの揚液可能高さより低い位置にあるので、揚液管内の液面が降下すると共に、給気管を介して分岐部へ空気層が流入し、その空気層により貯液部の液体と分岐部よりタンク側の揚液管内の液体とが分割される。この状態で、貯液部には所定量の液体が残される。次に、エアーバルブを閉めてエアーポンプを駆動すると、揚液管途中の空気層が揚液タンクから押し出された液体に押されるので、貯液部に残された液体を空気層を介して揚液管の他端送液口側へ押し上げ、送液口から吐出させることができる。その結果、エアーポンプの最大吐出圧力に相当する高さ(揚液可能高さ)よりも高い位置に液体を揚液できる。
【0008】
貯液部の形状は任意であるが、所定量の液体を貯留でき、かつ全体が液封される断面形状を有する必要がある。つまり、貯留している液体を揚液管内の空気層により下流側(揚液管の送液口側)へ押し出す機能を備えている必要がある。エアーポンプとしては、如何なる形式のポンプでもよい。好ましくは、圧電ブロアのように駆動/停止が瞬時に行え、かつ停止状態において吐出口と吸入口とが連通する構造(逆止弁を有しない構造)のポンプが望ましい。停止状態において吐出口と吸入口とが連通することで、タンク内を速やかに大気圧に戻すことができ、短時間に駆動/停止を繰り返すことで揚液効率が向上するからである。
【0009】
給気管の起立部は、エアーポンプの揚液可能高さよりも高い位置まで延びており、給気管の起立部のエアーポンプの揚液可能高さよりも高い位置にエアーバルブが取り付けられているのが望ましい。この場合には、何らかの原因で給気管内に液体が流入した場合でも、エアーバルブがエアーポンプの揚液可能高さよりも高い位置にあるので、エアーバルブに液体が接触することがない。そのため、液体中の不純物がバルブに付着することがなく、長期間にわたってバルブの開閉性能を維持できる。なお、エアーバルブの取付位置は給気管の起立部に限るものではなく、例えば給気管の他端部に上向きの起立部と下向部とを連続して形成し、その下向部にエアーバルブを取り付けても良い。この場合、起立部の上端がエアーポンプの揚液可能高さより高い位置にあれば、液体が起立部を乗り越えることができないので、エアーバルブに液体が接触することがない。
【0010】
エアーバルブとしては、開閉が瞬時に行え、空気もれの少ないバルブであれば如何なるバルブでもよいが、外部から給気管への空気の流入のみを許容する逆止弁を使用してもよい。この場合には、逆止弁が給気管内の空気圧により自動的に開閉する受動弁であることから、エアーバルブの開閉制御が不要になり、エアーポンプの駆動/停止の制御だけで揚液することができる。
【0011】
揚液するための条件として、貯液部の容積は、揚液管の断面積とエアーポンプの揚液可能高さとの積より小さいことが必要である。すなわち、
(貯液部の容積)<(揚液管の断面積)×(揚液可能高さ)
貯液部の容積を揚液管の断面積とエアーポンプの揚液可能高さとの積より小さく設定することにより、エアーポンプを駆動して揚液可能高さまで液面が上昇したとき、貯液部の液体を確実に揚液することができる。
【0012】
上述のように、貯液部に液体が溜まっていない状態でエアーポンプを駆動しても、初回は液体が貯液部に溜まるだけであり、そのまま揚液管の送液口から吐出させることはできないが、2回目以後のエアーポンプの駆動により液体を確実に送液口から吐出するには、次の条件を満たすのがよい。すなわち、
空気層の容積>(揚液管の断面積)×(揚液管の送液口とタンク内の液面の高低差−揚液可能高さ)
給気管を介して分岐部へ空気層を流入させた段階において、その空気層の容積を、揚液管の断面積と、揚液管の送液口と揚液タンク内の液面との高低差からエアーポンプの揚液可能高さを差し引いた値との積より大きくすることにより、2回目のエアーポンプの駆動から液体を連続的に吐出することができる。上記条件を満たさない場合には、3回以上のエアーポンプの駆動により液体を連続的に吐出することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、揚液管の途中に分岐部を介してエアーバルブを有する給気管が接続され、揚液管の分岐部より送液口側に貯液部が設けられているので、一旦貯液部に液体を溜めた後、エアーバルブを閉めてエアーポンプを駆動することにより、空気層を介して貯液部に残った液体を揚液管の送液口へ押し上げることができる。その結果、エアーポンプの揚液可能高さより高い位置まで揚液することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
−第1実施例−
図1は本発明に係る加圧式揚液装置の第1実施例を示す。この装置1は、低い位置に設けられた密閉構造の揚液タンク2と、タンク2に設けられた加圧ポンプであるエアーポンプ10とを備えている。なお、図示していないが、タンク2にはキャップにより開閉可能な液体供給口が設けられている。タンク2内には、後述する分岐部4より低いレベルまで液体(例えば水)が貯留されている。エアーポンプ10の吸入口19aは外部に開放し、吐出口13cがタンク2内に開口している。エアーポンプ10の詳細については後述する。この実施例では、エアーポンプ10は、タンク2内に貯留された液体Lに触れないように、タンク2の上壁部に取り付けられている。
【0016】
タンク2の底部には揚液管3の一端部3aが接続され、他端側が上方に起立し、その先端に送液口3bが開口している。タンク2内の液面(エアーポンプの非駆動時)と送液口3bとの高低差h2は、エアーポンプ10によるタンク2内の液面からの揚液可能高さh0より大きい。なお、タンク2の断面積は、エアーポンプ10の駆動時と非駆動時とでタンク2内の液面変化が大きくならないように、揚液管3の断面積よりも十分に大きい(例えば100倍以上)ことが望ましい。
【0017】
揚液管3は、上下にS字状に屈曲しており、その途中に二股に分岐した分岐部4が設けられている。分岐部4はタンク2内の液面より高い位置にあり、タンク2内の液面と分岐部4との高低差h1は、エアーポンプ10による揚液可能高さh0より小さい。この分岐部4に給気管5の一端部が接続され、給気管5の他端部5aは上方に起立している。給気管5の他端部5aの上端が大気に開放しており、その上端部に開閉可能なエアーバルブ6が取り付けられている。エアーバルブ6は、短時間で開閉できるバルブであれば如何なるものでもよく、電磁バルブのような能動弁でも、逆止弁のような受動弁でもよい。電磁バルブを使用した場合、エアーポンプ10とエアーバルブ6とは図示しない制御装置と接続され、後述するような作動順序にしたがって制御される。
【0018】
給気管5の他端部(起立部)5aは、エアーポンプ10の揚液可能高さh0よりも高い位置まで延びているのが望ましく、給気管5の起立部5aのエアーポンプ10の揚液可能高さh0よりも高い位置に、エアーバルブ6が取り付けられているのが望ましい。つまり、液面とエアーバルブ6との高低差h3は揚液可能高さh0より大きい方がよい。このようにエアーバルブ6を高い位置に設けることで、液体が給液管5内を上昇しても、エアーバルブ6と接触するのを防止できる。なお、エアーバルブ6の取付位置は、揚液可能高さh0よりも高い位置である必要はない。
【0019】
揚液管3の他端送液口3bと分岐部4との間の部分に、分岐部4より下方に位置する貯液部7が形成されている。この実施例の貯液部7はU字形に屈曲した管で形成され、下向部7aと水平部7bと上向部7cとで構成されている。但し、この形状に限るものではなく、例えば湾曲したU字形状、S字状、らせん形状など任意である。貯液部7は、全体が液封される断面形状を有する管路であればよい。貯液部7の断面形状は、揚液管3と同一断面形状であってもよい。
【0020】
揚液するための条件として、貯液部7の容積は、揚液管3の断面積とエアーポンプの揚液可能高さh0との積より小さいことが必要である。すなわち、
(貯液部の容積)<(揚液管の断面積)×h0
このように、貯液部7の容積を揚液管3の断面積と揚液可能高さh0との積より小さく設定することにより、エアーポンプ10を駆動して揚液可能高さh0まで液面が上昇したとき、貯液部7の液体を送液口3bから確実に吐出することができる。なお、上述の関係は揚液管3の断面積が一定の場合であるが、揚液管3の断面積が変化した場合を含むように一般化すると、次式のようになる。
【数1】
ただし、h
Lは揚液管3内の任意の液面高さ、A(h)は液面高さhでの揚液管3の断面積である。この式は、貯液部7内の液体がすべて貯液部7を出て揚液管3内を上昇できる条件である。
【0021】
初回のエアーポンプ10の駆動時には、液体を貯液部7に溜めるだけであるが、2回目から液体を吐出するのに必要な条件としては、
空気層の容積>(揚液管の断面積)×(h2−h0)
と設定されていることが望ましい。空気層の容積とは、後述する
図3(b)の斜線で示すように、エアーバルブ6を開いて流入した空気の体積を指す。給気管5を介して分岐部4へ空気層を流入させた段階において、その空気層の容積を、揚液管3の断面積と(h2−h0)との積より大きくすることにより、2回目のエアーポンプ10の駆動から液体を連続的に吐出することができる。上記条件を満たさない場合には、3回以上のエアーポンプ10の駆動により液体を連続的に吐出することができる。
【0022】
液体の密度をρ、エアーポンプ10が発生する最大吐出圧をP、重力加速度をgとすると、エアーポンプ10による揚液可能高さh0は次式で与えられる。
h0=P/ρg
したがって、例えば液体が水で、エアーポンプ10が発生する最大吐出圧が2kPaである場合には、揚液可能高さh0は約20cmとなる。
【0023】
この場合、例えばタンク2内の液面と分岐部4との高低差h1を15cm、液面から送液口3bまでの高さh2を25cm、液面とエアーバルブ6との高低差h3を25cm、揚液管3(貯液部7を含む)の内径を6mmφ、給気管5の内径を6mmφ、タンク2の高さを10cm、タンク2の内径を10cmφとすれば、送液口3bから液体を吐出することが可能である。
【0024】
エアーポンプ10は、公知の如何なる加圧ポンプを使用してもよいが、本実施例では、吐出口がタンク2内に接続され、吸入口が大気に開放された圧電マイクロブロアを使用した。この圧電マイクロブロア10は、例えば特開2011−27079号公報に開示されたものと同じであり、その構造の一例を
図2に示す。
図2に示すように、ブロア本体11は、内ケース12と、内ケース12の外側を所定の隙間をもって非接触で覆う外ケース13とを備えている。外ケース13の中に内ケース12が所定の隙間をあけて収容され、内ケース12は外ケース13に対してばね連結部14を介して弾性的に支持されている。そのため、後述する振動板15の共振駆動に伴って内ケース12が上下方向に振動したとき、その振動が外ケース13に漏洩するのを抑制する働きを持つ。内ケース12と外ケース13との間には空気の流入通路17が形成されている。
【0025】
内ケース12は下方が開口した断面コの字形に形成され、内ケース12の開口を閉じるように振動板15が固定されて、内ケース12と振動板15との間に第1ブロア室16が形成されている。振動板15は、例えば圧電セラミックよりなる圧電素子15aを薄肉な弾性金属板よりなるダイヤフラム15bの中央部に貼り付けたユニモルフ構造であり、圧電素子15aに所定周波数の電圧を印加することにより、振動板15全体がベンディングモードで共振駆動される。この例では圧電素子15aは、ダイヤフラム15bの第1ブロア室側と逆側の面に固定されている。
【0026】
第1ブロア室16の一つの壁面を構成し、振動板15と対向する内ケース12の部位には、第1壁部12aが設けられている。この第1壁部12aを薄肉な弾性金属板で形成し、振動板15を所定のモードで共振駆動したとき、それに伴って第1壁部12aを励振させるように構成することが好ましい。振動板15の中心部と対向する第1壁部12aの部位には、第1ブロア室16の内部と外部とを連通させる第1開口部12bが形成されている。第1壁部12aと対向する外ケース13の部位には第2壁部13bが設けられ、第2壁部13bの中心部、即ち第1開口部12bと対向する部位には第2開口部13cが形成されている。この第2開口部13cが空気の吐出口となる。第1壁部12aと第2壁部13bとの間には所定の流入空間17aが形成され、この空間17aは前述の流入通路17の一部を構成している。流入空間17aは、流入通路17から導入された空気を第1開口部12b及び第2開口部13cの付近に導く役割を持つ。
【0027】
外ケース13の下面側、即ち振動板15を間にして第1ブロア室16と反対側には、振動板15との間で第2ブロア室18を形成するための第3壁部19が設けられている。第3壁部19の中央部には、外部と第2ブロア室18とを連通させる第3開口部19aが形成されている。この第3開口部19aが空気の吸入口となる。第2ブロア室18の容積及び第3開口部19aの開口面積は、振動板15の振動に伴って疑似的な共鳴空間を形成できるように設定されている。第2ブロア室18と流入通路17とは相互に接続されている。そのため、第3開口部19aを介して第2ブロア室18に流入した空気は、流入通路17を通って流入空間17aへと供給される。
【0028】
圧電素子15aに所定周波数の交流電圧を印加すると、振動板15が1次共振モード又は3次共振モードで共振駆動され、それにより第1ブロア室16の容積が周期的に変化する。第1ブロア室16の容積が増大するとき、流入空間17a内の空気が第1開口部12bを通り第1ブロア室16へと吸い込まれ、逆に第1ブロア室16の容積が減少するとき、第1ブロア室16内の空気が第1開口部12bを通り流入空間17aへと排出される。振動板15は高周波で駆動されるため、第1開口部12bから流入空間17aへと排出された高速/高エネルギーの空気流は、流入空間17aを通過して第2開口部13cから排出される。このとき、流入空間17a内にある周囲の空気を巻き込みながら第2開口部13cから排出するので、流入通路17から流入空間17aへ向かう連続した空気の流れが生じ、第2開口部13cから空気は噴流となって連続的に吐出される。空気の流れを
図2に矢印で示す。特に、振動板15の共振駆動に伴って第1壁部12aを励振させるようにすれば、吐出流量の飛躍的な増大を図ることができる。
【0029】
上述のような構造のマイクロブロア(エアーポンプ)10は、逆止弁を備えていないので、非駆動時において吸入口19aと吐出口13cとが連通している。そのため、エアーポンプ10の駆動を停止すると、タンク2内が瞬時に大気圧に戻り、揚液管3内の液体をタンク2に戻すことができ、揚液管3内の液体を空気層により分断できる。その結果、次の揚液動作を短時間で開始することができる。
【0030】
−作動の説明−
次に、上記構成からなる揚液装置1の作動の一例を
図3を参照しながら説明する。まず、エアーバルブ6を閉じた状態(開状態でもよい)でエアーポンプ10を駆動すると、タンク2内が加圧され、タンク2と接続された揚液管3に液体が送り出される。そのため、揚液管3内の液面はエアーポンプ10による揚液可能高さh0まで上昇する。つまり、液面は分岐部4より高い位置まで上昇し、貯液部7に液体が溜められる。ただし、送液口3bまでは到達できない。このとき、液体の一部は分岐部4を通って給気管5の中にも入るが、エアーバルブ6が閉じているので、液面上昇によって給気管5内の気圧が上昇し、エアーバルブ6の位置まで液面は上昇できない。なお、エアーバルブ6が開いていた場合には、給気管5の液面はさらに上昇するが、エアーバルブ6が揚液可能高さh0より高い位置に設定されているので、液体がエアーバルブ6と接触することはない。この状態が
図3(a)である。なお、
図3(a)では、理解を容易にするためタンク2内の液面が非駆動時に比べて低下している様子を示したが、実際には殆ど低下しない。
【0031】
次に、エアーポンプ10を停止してエアーバルブ6を開くと、タンク2内が大気圧に戻ると同時に、給気管5を通って外気が分岐部4へ流入し、流入した空気層A1(斜線で示す)により揚液管3内の液体が押し下げられ、多くは揚液タンク2に戻る。このとき、貯液部7に入っていた液体は分岐部4の高さを越えることができず、貯液部7に残る。貯液部7に所定量の液体柱L1が残された状態が、
図3(b)である。
【0032】
次に、エアーバルブ6を閉めてエアーポンプ10を再駆動すると、揚液管3に入った空気層A1がタンク2から押し出された液体によって押されるので、空気層A1を介して貯液部7に残った液体柱A1を揚液管3の送液口3b側へ押し上げる。
図3(c)は揚液動作の途中を示し、タンク2から押し出された液体の一部が分岐部4から給気管5内に流入し、給気管5の液面はほぼh0に到達しているが、貯液部7に流入した液体の液面はまたh0に到達していない。
【0033】
さらに、エアーポンプ10を駆動し続けると、揚液管3の送液口側の液面がh0近くまで上昇し、空気層A1を介して押された液体柱L1が送液口3bから吐出される。
図3(d)は、この状態を示している。
図3(d)の後、エアーバルブ6を開いてエアーポンプ10を停止すると、
図3(b)に戻り、以後同様の動作を繰り返すことで、エアーポンプ10の駆動に伴い連続して液体を吐出することが可能になる。このようにして、エアーポンプ10の最大揚液高さh0よりも高い位置まで揚液することができる。
【0034】
図4は、エアーバルブの他の実施例を示す。上記実施例では、エアーバルブとして電磁バルブ6を使用したが、
図4のような逆止弁8を使用することもできる。この逆止弁8は、給気管5の上端部に弁箱8aが形成され、弁箱8aの上側には開口部8bが形成され、この開口部8bを内側から閉じるばね板よりなる弁体8cが取り付けられている。すなわち、この逆止弁8は、外部から給気管5への空気の流入のみを許容する逆止弁である。
【0035】
このような逆止弁8を使用した場合には、エアーポンプ10の停止(
図3(b)参照)に伴う給気管5の負圧によって弁体8cが自動的に開く(
図4に破線で示す)ので、バルブ制御が不要となり、構造が簡素になる。なお、逆止弁8の構造は、
図4のようなばね板よりなる弁体8cを使用したものに限らず、ボール形状よりなる弁体を使用したものでもよく、構造は任意である。
【0036】
−第2実施例−
図5は本発明に係る加圧式揚液装置の第2実施例を示す。
図1の実施例では、給気管5の他端部5aが上方に起立し、その先端部にエアーバルブ6を取り付けたが、この実施例では、給気管5の他端側5aを上方へ起立させたあと下方を向くように屈曲させ、その下向部5bにエアーバルブ6を取り付けてある。この場合、給気管5の屈曲した頂部5cがエアーポンプ10による揚液可能高さh0より高い位置にあれば、液体が頂部5cを乗り越えられないので、エアーバルブ6が揚液可能高さh0より低い位置に取り付けられていても液体と接触することがない。給気管5の形状は、
図5のような角形に屈曲したものに限らず、逆U字形に湾曲していてもよい。
【0037】
−第3実施例−
図1、
図5の実施例では、揚液管3の一端3aが揚液タンク2の底部に接続された構造を示したが、これに限るものではなく、例えば
図6のように、揚液管3の一端部3aが揚液タンク2の内部に挿入され、その一端部3aが揚液タンク2の底部近傍まで垂下した構造であってもよい。この場合には、揚液管3の一部が揚液タンク2の中に配置されるため、揚液管3の占めるスペースを短縮でき、揚液装置を小型化できる。
【0038】
−第4実施例−
さらに、
図7のように、給気管5の上端部、エアーバルブ6、及び送液口側の揚液管3の他端部3bだけをタンク2の外部に突出させ、揚液管3の一端部3a、分岐部4、貯液部7を揚液タンク2の中に配置した構造としてもよい。この場合には、揚液管3の大部分がタンク2内に配置されるため、さらに小型に構成できる。なお、
図7ではタンク2の容積を第1、第2実施例(
図1、
図6)に比べて大きく描いたが、実際の揚液管3の断面積はタンク2の断面積より格段に小さいので、タンク2の容積は第1、第3実施例と同等にできる。