(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794428
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】折版屋根用雪止め具
(51)【国際特許分類】
E04D 13/10 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
E04D13/10 F
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-112656(P2012-112656)
(22)【出願日】2012年5月16日
(65)【公開番号】特開2013-238070(P2013-238070A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2014年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】599045534
【氏名又は名称】有限会社盛岡原田
(74)【代理人】
【識別番号】100063819
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 理一
(72)【発明者】
【氏名】原田 新平
【審査官】
五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−308140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/10
E04H 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折版屋根体の谷部において設置する雪止め部材の正面部は、左右両側部の前傾斜杆材間の上側部,中間部及び下側部にそれぞれ前上杆材,前中杆材及び前下杆材を架設し、この前上杆材,前中杆材及び前下杆材間には縦中杆材及び縦側杆材を架設し、
前記前下杆材の左右側端部から後側方に下側杆材を延設し、この下側杆材の後側部間には後下杆材を架設し、
前記前中杆材の左右側端部から後側方に中側杆材を延設し、
前記前下杆材の後側方位置の左右下側杆材間に中下杆材を架設し、この中下杆材の左右両側部に中傾斜杆材を延設し、
前記前下杆材の上方位置の前記中側杆材間に中中杆材を架設し、
前記中中杆材の後側方の中側杆材の後端部間に後中杆材を架設し、この後中杆材は前記前中杆材と左右の前記中側杆材とによって中間枠部を構成し、
前記中下杆材の左右両側部の左右下側杆材間に後下杆材を架設し、この後下杆材の左右両側部に後傾斜杆材を架設し、
前記両前傾斜杆材の上端部の前後側部間に上側杆材を架設し、この上側杆材間に架設した前記前上杆材の後側方には間隔をおいて中上杆材と後上杆材を架設し、
前記縦中杆材の上端部から前記前上杆材,中上杆材及び後上杆材に中頂杆材を架設し、この中頂杆材の左右両側部には前記各縦側杆材の上端部から後側方に側頂杆材を架設して成る折版屋根用雪止め具。
【請求項2】
雪止め部材の左右両側の上側杆材に平行に、前上杆材,中上杆材及び後上杆材間に固定板をそれぞれ懸架し、この両固定板は螺着し、折版屋根体の山部上に取付く曲折帯片は前記固定板とそれぞれ螺着して成る請求項1に記載した折版屋根用雪止め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折版屋根用雪止め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
折版屋根において設置する雪止め具にあっては、従来、鉄鋼板をL形状に成形した羽根板又は短冊板を折版屋根の谷部分に垂下して使用したものが普及しているが、積雪の滑落時に雪の滑落重量が雪止め具に達した時に、折版屋根の頂点に「てこ」の原理で積雪の滑落重量が円
軌道状に作用して数倍に加重され、「てこ」の応力によって折版屋根の山部分を穿孔してしまう事故が発生することが指摘されていた。
【0003】
また、従来公知の技術としては次に挙げるようなものが存していたが、いずれも専ら積雪の滑落阻止を目的としており、融雪機能を促進して消雪効果を高めることは一切考慮されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3040079号公報
【特許文献2】意匠登録第1269279号公報
【特許文献3】意匠登録第1352391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、以上のような欠点を解消した雪止め具を提供することにより、山部と谷部とから成る折版屋根における折損等の事故の発生を防止するとともに積雪状態の溶解消去を早期に実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
折版屋根体の谷部において設置する雪止め部材の正面部は、左右両側部の前傾斜杆材間の上側部,中間部及び下側部にそれぞれ前上杆材,前中杆材及び前下杆材を架設し、この前上杆材,前中杆材及び前下杆材間には縦中杆材及び縦側杆材を架設し、前記前下杆材の左右側端部から後側方に下側杆材を延設し、この下側杆材の後側部間には後下杆材を架設し、前記前中杆材の左右側端部から後側方に中側杆材を延設し、前記前下杆材の後側方位置の左右下側杆材間に中下杆材を架設し、この中下杆材の左右両側部に中傾斜杆材を延設し、前記前下杆材の上方位置の前記中側杆材間に中中杆材を架設し、前記中中杆材の後側方の中側杆材の後端部間に後中杆材を架設し、この後中杆材は前記前中杆材と左右の前記中側杆材とによって中間枠部を構成し、前記中下杆材の左右両側部の左右下側杆材間に後下杆材を架設し、この後下杆材の左右両側部に後傾斜杆材を架設し、前記両前傾斜杆材の上端部の前後側部間に上側杆材を架設し、この上側杆材間に架設した前記前上杆材の後側方には間隔をおいて中上杆材と後上杆材を架設し、前記縦中杆材の上端部から前記前上杆材,中上杆材及び後上杆材に中頂杆材を架設し、この中頂杆材の左右両側部には前記各縦側杆材の上端部から後側方に側頂杆材を架設して成る折版屋根用雪止め具である。
【0007】
また本発明は、
前記した折版屋根用雪止め具において、雪止め部材の左右両側の上側杆材に平行に、前上杆材,中上杆材及び後上杆材間に固定板をそれぞれ懸架し、この両固定板は螺着し、折版屋根体の山部上に取付く曲折帯片は前記固定板とそれぞれ螺着して成る折版屋根用雪止め具である。
【発明の効果】
【0008】
第1に、折版屋根面に多量の積雪があっても、その谷部
内に設置される本発明に係る雪止め具の全体が
杆材による縦横斜めの構成によるものであるため、積雪の滑落阻止に十分な機能を発揮するのみならず、積雪に対して
各杆材による切削力を発揮して細かく切断し消雪能力を高めることができる
ようになる。
【0009】
第2に、折版屋根面への取付構造は、各谷部分に設置する1個の雪止め部材が山部分では隣接する雪止め部材との間の連結状態を前後2個所で固着しているものであるから、積雪による加圧力が1点に集中することはなく分散することができ、山部分への折損事故等の発生はなくなる
ようになる。
【0010】
第3に、従来普及していた鉄鋼板のプレス成形物ではないから、材料コストが比較的安価になるとともに、
杆材による種々の立体的デザインの製作の余地が拡大し、平凡な形態に成る折版屋根において美観の発揮に貢献することができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る雪止め部材は前記手段のとおりの構成から成るものであるが、これを折版屋根体の各谷部分の適当位置に配置し、これを雪止め部材側の左右固定板の前後部に取付けた曲折帯片の山部分における直立部を合致させ、ここに螺子を締着するものである。
【0013】
これによって折版屋根体の谷部分の積雪が滑落しようとして加圧力が雪止め部材にかかっても、各
杆材の内部に侵入している積雪による加重は分散するようになり、しかも雪止め部材内部には大小の
多くの空間が出来る
から、空気の流通によって消雪能力が促進される
ようとになる。
【実施例1】
【0014】
aは適当深さに谷部とこの谷部の左右両側部に適度の傾斜面を形成して成る折版屋根体を示し、この折版屋根体の構成は、
図1に示すように、その山部において隣接する半屋根部を任意の接合手段によって連結するものや、
図6に示すように、その山部において隣接する半屋根
体部を重合して連結するもの等がある。
【0015】
1は全体を
細径杆材(以下、杆材という。)によって立体的に構成する雪止め部材で、
図1乃至
図5を参照されたい。
【0016】
2は雪止め部材1の正面部を示し、この正面部には左右両側部の前傾斜
杆材3,3間の上側部,中間部及び下側部に、
それぞれ前上
杆材4,前中
杆材5及び前下
杆材6を架設し、この前上
杆材4,前中
杆材5及び前下
杆材6間には縦中
杆材7及び縦側
杆材8,8を架設する。
【0017】
9,9は前記折版屋根体aの谷部と左右傾斜面部の角部に位置するようになる前下
杆材6の左右側端部から後側方に
延設する下側
杆材で、この下側
杆材の後側部間には後記後下
杆材25が架設する。
【0018】
10,10は前記前中
杆材5の左右側端部から後側方に
延設する中側
杆材で、この中側
杆材は前記折版屋根体aの左右傾斜面部に接する位置にある。
【0019】
11は前記前下
杆材6の後側方位置の左右の下側
杆材9,9間に架設した中下
杆材で、この中下
杆材の左右両側部には中傾斜
杆材12,12を
延設する。
【0020】
13は前記前下
杆材6の上方位置の前記中側
杆材10,10間に架設した中中
杆材である。
【0021】
14は前記中中
杆材13の後側方の中側
杆材10,10の後端部間に架設した後中
杆材で、この後中
杆材14は前記前中
杆材5
と,左右の中側
杆材10,10とにより、本雪止め部材の中間枠部を構成する。
【0022】
25は前記中下
杆材11の
左右両側部の左右下側
杆材9,9間に架設した後下
杆材で、この後下
杆材の左右両側部には後傾斜
杆材26,26を設ける。
【0023】
15,15は前記両前傾斜
杆材3,3の上端部の前後側部間に架設した上側
杆材で、この上側
杆材間に架設した前上
杆材4の後側方には
間隔をおき中上
杆材16および後上
杆材17をそれぞれ架設する。
【0024】
18は正面部の前記縦中
杆材7の上端部か
ら前上
杆材4,中上
杆材16及び後上
杆材17に架設する中頂
杆材で、この中頂
杆材の左右両側部には前記縦側
杆材8,8の上端部から後側方に側頂
杆材19,19を架設する。
【0025】
20は前記雪止め部材1の後側部を構成する支持部材で、この支持部材は任意方向に設けた
杆材により構成する。
【0026】
21,21は前記雪止め部材1の左右両側の上側
杆材15,15に平行に、前上
杆材4,中上
杆材16及び後上
杆材17間に懸架する固定板で、この両固定板の前後端部は螺子22,22,22,22にて固着する。
【0027】
23,23は折版屋根体
aの山部上に取付く曲折帯片で、この曲折帯片の一端部は前記固定板21,21に前記螺子22,22・・を介して止着し、曲折帯片の他端部の直立部23’,23’,23’,23’は、他の曲折帯片23,23・・の直立部23’,23’・・と折版屋根体
aの山部における接合部bをはさんで合致して螺子24,24,24,24にて固着するように成る。
【実施例2】
【0028】
1’は全体を
杆材によって立体的に構成した他の
実施例の雪止め部材であり、その構成内容は実施例1とは各
杆材の具体的な方向性が若干異なるだけであり、その目的及び効果は同
じである。(
図6参照)
【符号の説明】
【0029】
a 折版屋根体
b 折版屋根
体の山部の接合部
1 雪止め部材
1’ 他の雪止め部材
2 正面部
3,3 前傾斜
杆材
4 前上
杆材
5 前中
杆材
6 前下
杆材
7 縦中
杆材
8,8 縦側
杆材
9,9 下側
杆材
10,10 中側
杆材
11 中下
杆材
12,12 中傾斜
杆材
13 中中
杆材
14 後中
杆材
15,15 上側
杆材
16 中上
杆材
17 後上
杆材
18 中頂
杆材
19,19 側頂
杆材
20 支持部材
21,21 固定板
22,22,22,22 螺子
23,23,23,23 曲折帯片
23’,23’,23’,23’ 直立部
24,24,24,24 螺子
25 後下
杆材
26 後傾斜
杆材