【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑みた本発明に係るナビゲーションシステムの特徴構成は、
少なくとも道路ネットワーク情報を含むクライアント側地図データベースを有するクライアント装置と、前記クライアント側地図データベースと同じ又はそれより新しいバージョンのサーバー側地図データベースを有するサーバー装置と、を備えるナビゲーションシステムであって、
前記サーバー装置は、
少なくとも案内開始地点及び目的地点を含む探索情報、及び前記クライアント側地図データベースのバージョンを特定可能な情報であるバージョン特定情報を受信する探索情報受信部と、
前記探索情報に基づき前記サーバー側地図データベースを用いて前記案内開始地点から前記目的地点までの案内経路を探索する経路探索部と、
前記バージョン特定情報に基づき、前記サーバー側地図データベースと前記クライアント側地図データベースとの前記案内経路に沿った情報の差分を示す差分情報を抽出する差分情報抽出部と、
前記差分情報に基づいて、前記クライアント装置における案内情報の生成のために不足する情報を案内用不足情報として生成する案内用不足情報生成部と、
前記案内経路を特定可能な情報である経路特定情報と前記案内用不足情報とを含む探索結果情報を前記クライアント装置に送信する探索結果情報送信部と、を備え、
前記クライアント装置は、
前記探索情報及び前記バージョン特定情報を前記サーバー装置に送信する探索情報送信部と、
前記探索結果情報を前記サーバー装置から受信する探索結果情報受信部と、
前記クライアント側地図データベース及び前記探索結果情報に基づき、前記クライアント側地図データベースに含まれる情報と前記案内用不足情報とを用いた前記案内情報を生成する案内情報生成部と、を備え
、
前記差分情報抽出部は、前記サーバー側地図データベースに含まれる道路ネットワーク情報に基づいて前記経路探索部により探索された前記案内経路を構成する道路リンクの配列を示すリンク列を生成し、前記バージョン特定情報に示されるバージョンの前記クライアント側地図データベースに含まれる道路ネットワーク情報に、当該リンク列を当てはめた際の不一致箇所の情報を前記差分情報として抽出し、
前記案内用不足情報生成部は、前記差分情報として前記案内経路を構成する道路の情報が含まれている場合には、当該差分情報に含まれている道路における前記案内経路を構成する部分の全体を示す情報を含めて前記案内用不足情報を生成し、前記差分情報として前記案内経路を構成する道路に接続する接続道路が存在することを示す情報が含まれている場合には、当該接続道路における前記案内経路から所定の範囲内の部分を示す情報を含めて前記案内用不足情報を生成するものであり、
前記案内用不足情報が生成される前記所定の範囲は、前記クライアント装置によってモニター装置に規定範囲の縮尺で地図が表示される際に、前記接続道路が途中で途切れることなく、前記モニター装置の表示面に表示可能な範囲である点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、案内開始地点から目的地点までの案内経路は、クライアント側地図データベースと同じ又はそれより新しいバージョンのサーバー側地図データベースを用いて探索される。従って、常にナビゲーションシステムにおける最新の情報を含む地図データベースを用いて案内経路が探索されることになる。クライアント装置において、ユーザーを案内するためには、この案内経路に沿った情報が、最新の情報であれば充分である。本特徴構成によれば、クライアント側地図データベースのバージョンを特定可能なバージョン特定情報がサーバー装置に提供される。そして、サーバー装置の差分情報抽出部は、探索された案内経路に沿って、サーバー側地図データベースとクライアント側地図データベースとの差分を示す差分情報を抽出する。つまり、ごく限られた範囲において両地図データベースの差分情報が抽出されることになるので、演算負荷並びに差分情報のデータ量は抑制される。
【0009】
ところで、実際にユーザーを案内するための案内情報を生成する際に用いられるのは、クライアント側地図データベースである。従って、案内経路に沿った範囲に差分情報が存在する場合、クライアント装置は、案内情報の生成を適切に実施できない可能性がある。本特徴構成によれば、差分情報に基づいて、クライアント装置が案内情報を生成する際に不足する情報が、案内用不足情報として生成される。そして、この案内用不足情報と、案内経路を特定可能な情報である経路特定情報とが、探索結果情報としてサーバー装置からクライアント装置に送信される。クライアント装置は、クライアント側地図データベースに含まれる情報と、案内用不足情報を含む探索結果情報とを用いることによって、最新の情報を含む地図データベースを用いて案内情報の生成を行うことが可能となる。このように、本特徴構成によれば、サーバー装置とクライアント装置との通信量を抑制しつつ、クライアント装置において最新の地図データに基づく経路案内を行うことが可能となる。
【0010】
上述したように、地図データベースには、道路ネットワーク情報が含まれる。案内経路は、道路ネットワーク情報に基づいて探索されるから、それぞれの地図データベースに含まれるそれぞれの道路ネットワーク情報の案内経路に沿った差分を抽出することで、好適に差分情報を抽出することが可能となる
。差分情報抽出部は
、サーバー側地図データベースに含まれる道路ネットワーク情報と
、バージョン特定情報に示されるバージョン
のクライアント側地図データベースに含まれる道路ネットワーク情報と
の案内経路に沿った差分を
、差分情報として抽出す
る。
【0011】
ここで、道路ネットワーク情報に基づいて探索される案内経路は、道路ネットワーク情報を構成する道路リンクの配列であるリンク列によって表すことが可能である。従って、サーバー側地図データベースを用いて探索された案内経路を構成するリンク列を、クライアント側地図データベースの道路ネットワーク情報に当てはめることで、好適に差分情報を抽出することが可能となる。
上述したように、差分情報抽出部は
、サーバー側地図データベースに含まれる道路ネットワーク情報に基づい
て経路探索部により探索され
た案内経路を構成する道路リンクの配列を示すリンク列を生成し、当該リンク列
をクライアント側地図データベースに含まれる道路ネットワーク情報に当てはめた際の不一致箇所の情報
を差分情報として抽出す
る。
【0012】
クライアント側地図データベースのバージョンに対して、サーバー側地図データベースのバージョンが新しい場合、サーバー側地図データベースに含まれる道路ネットワーク情報には、クライアント側地図データベースの道路ネットワーク情報には存在しない新規道路が含まれる場合がある。このような新規道路は、探索された案内経路を構成する道路として適用される場合や、案内経路を構成することはないが案内経路に接続する接続道路となる場合がある。新規道路が案内経路を構成する道路として適用されるか、単に案内経路に対する接続道路であるかなど、新規道路の利用形態に応じて、案内用不足情報に含める新規道路の情報を異ならせると、案内用不足情報のデータ量を抑制することができる。
上述したように、案内用不足情報生成部は
、差分情報とし
て案内経路を構成する道路の情報が含まれている場合には、当該差分情報に含まれている道路におけ
る案内経路を構成する部分の全体を示す情報を含め
て案内用不足情報を生成し
、差分情報とし
て案内経路を構成する道路に接続する接続道路が存在することを示す情報が含まれている場合には
、当該接続道路におけ
る案内経路から所定の範囲内の部分を示す情報を含め
て前内用不足情報を生成する
ので、好適である。
さらに、この所定の範囲は、モニター装置に規定範囲の縮尺で表示される地図に違和感なく接続道路が表示可能な範囲とされているので、サーバー装置とクライアント装置との通信量を抑制しつつ、クライアント装置において最新の地図データに基づく経路案内を行うことが可能となる。
【0013】
ユーザーは、案内経路の途上にある交差点や分岐点などの案内地点において、拡大図を示されることによって、正確に交差点や分岐点などを通過することが容易となる。また、ユーザーは、このような案内地点において、目印となる施設や、道路の進行方向の地名、案内地点の地名を知ることができれば、正確に交差点や分岐点などを通過する上で有益である。従って、1つの態様として、本発明に係るナビゲーションシステムは、前記案内用不足情報が、案内地点拡大図、案内地点周辺の施設情報、案内用名称情報の少なくとも1つを含むと好適である。
【0014】
上述した本発明に係るナビゲーションシステムの種々の技術的特徴は、ナビゲーションプログラムや、ナビゲーション方法にも適用可能である。従って、本発明は、そのようなナビゲーションプログラムや、ナビゲーション方法も権利の対象とすることができる。例えば、本発明に係るナビゲーションプログラムは、上述したナビゲーションシステムの特徴を備えた各種の機能をコンピュータに実行させることが可能である。以下にその代表的な態様を例示する。当然ながらこのようなナビゲーションプログラムも、上述したナビゲーションシステムの作用効果を奏することができる。さらに、ナビゲーションシステムの好適な態様として例示した種々の付加的特徴をこのナビゲーションプログラムに組み込むことも可能であり、当該プログラムはそれぞれの付加的特徴に対応する作用効果も奏することができる。本発明に係るナビゲーション方法についても同様である。
【0015】
その場合における、本発明に係るナビゲーションプログラムの特徴構成は、
少なくとも道路ネットワーク情報を含むクライアント側地図データベースを有するクラ
イアント装置と、前記クライアント側地図データベースと同じ又はそれより新しいバージョンのサーバー側地図データベースを有するサーバー装置と、を複数のコンピュータに実現させるナビゲーションプログラムであって、
少なくとも案内開始地点及び目的地点を含む探索情報、及び前記クライアント側地図データベースのバージョンを特定可能な情報であるバージョン特定情報を受信する探索情報受信機能と、
前記探索情報に基づき前記サーバー側地図データベースを用いて前記案内開始地点から前記目的地点までの案内経路を探索する経路探索機能と、
前記バージョン特定情報に基づき、前記サーバー側地図データベースと前記クライアント側地図データベースとの前記案内経路に沿った情報の差分を示す差分情報を抽出する差分情報抽出機能と、
前記差分情報に基づいて、前記クライアント装置における案内情報の生成のために不足する情報を案内用不足情報として生成する案内用不足情報生成機能と、
前記案内経路を特定可能な情報である経路特定情報と前記案内用不足情報とを含む探索結果情報を前記クライアント装置に送信する探索結果情報送信機能と、を前記サーバー装置を構成するコンピュータに実現させ、
前記探索情報及び前記バージョン特定情報を前記サーバー装置に送信する探索情報送信機能と、
前記探索結果情報を前記サーバー装置から受信する探索結果情報受信機能と、
前記クライアント側地図データベース及び前記探索結果情報に基づき、前記クライアント側地図データベースに含まれる情報と前記案内用不足情報とを用いた前記案内情報を生成する案内情報生成機能と、を前記クライアント装置を構成するコンピュータに実現させ
、
前記差分情報抽出機能では、前記サーバー側地図データベースに含まれる道路ネットワーク情報に基づいて前記経路探索機能により探索された前記案内経路を構成する道路リンクの配列を示すリンク列を生成し、前記バージョン特定情報に示されるバージョンの前記クライアント側地図データベースに含まれる道路ネットワーク情報に、当該リンク列を当てはめた際の不一致箇所の情報を前記差分情報として抽出し、
前記案内用不足情報生成機能では、前記差分情報として前記案内経路を構成する道路の情報が含まれている場合には、当該差分情報に含まれている道路における前記案内経路を構成する部分の全体を示す情報を含めて前記案内用不足情報を生成し、前記差分情報として前記案内経路を構成する道路に接続する接続道路が存在することを示す情報が含まれている場合には、当該接続道路における前記案内経路から所定の範囲内の部分を示す情報を含めて前記案内用不足情報を生成するものであり、
前記案内用不足情報が生成される前記所定の範囲は、前記クライアント装置によってモニター装置に規定範囲の縮尺で地図が表示される際に、前記接続道路が途中で途切れることなく、前記モニター装置の表示面に表示可能な範囲である点にある。
【0016】
また、本発明に係るナビゲーション方法の特徴構成は、
少なくとも道路ネットワーク情報を含むクライアント側地図データベースを有するクライアント装置と、前記クライアント側地図データベースと同じ又はそれより新しいバージョンのサーバー側地図データベースを有するサーバー装置と、を用いたナビゲーション方法であって、
少なくとも案内開始地点及び目的地点を含む探索情報、及び前記クライアント側地図データベースのバージョンを特定可能な情報であるバージョン特定情報を
、探索情報受信部が受信する探索情報受信ステップと、
経路探索部が、前記探索情報に基づき前記サーバー側地図データベースを用いて前記案内開始地点から前記目的地点までの案内経路を探索する経路探索ステップと、
差分情報抽出部が、前記バージョン特定情報に基づき、前記サーバー側地図データベースと前記クライアント側地図データベースとの前記案内経路に沿った情報の差分を示す差分情報を抽出する差分情報抽出ステップと、
案内用不足情報生成部が、前記差分情報に基づいて、前記クライアント装置における案内情報の生成のために不足する情報を案内用不足情報として生成する案内用不足情報生成ステップと、
前記案内経路を特定可能な情報である経路特定情報と前記案内用不足情報とを含む探索結果情報を
、探索結果情報送信部が前記クライアント装置に送信する探索結果情報送信ステップと、を前記サーバー装置
のナビゲーション演算部に実行させ、
前記探索情報及び前記バージョン特定情報を
、探索情報送信部が前記サーバー装置に送信する探索情報送信ステップと、
探索結果情報受信部が、前記探索結果情報を前記サーバー装置から受信する探索結果情報受信ステップと、
案内情報生成部が、前記クライアント側地図データベース及び前記探索結果情報に基づき、前記クライアント側地図データベースに含まれる情報と前記案内用不足情報とを用いた前記案内情報を生成する案内情報生成ステップと、を前記クライアント装置
のナビゲーション演算部に実行させ
、
前記差分情報抽出ステップでは、前記差分情報抽出部が、前記サーバー側地図データベースに含まれる道路ネットワーク情報に基づいて前記経路探索機能により探索された前記案内経路を構成する道路リンクの配列を示すリンク列を生成し、前記バージョン特定情報に示されるバージョンの前記クライアント側地図データベースに含まれる道路ネットワーク情報に、当該リンク列を当てはめた際の不一致箇所の情報を前記差分情報として抽出し、
前記案内用不足情報生成ステップでは、前記案内用不足情報生成部が、前記差分情報として前記案内経路を構成する道路の情報が含まれている場合には、当該差分情報に含まれている道路における前記案内経路を構成する部分の全体を示す情報を含めて前記案内用不足情報を生成し、前記差分情報として前記案内経路を構成する道路に接続する接続道路が存在することを示す情報が含まれている場合には、当該接続道路における前記案内経路から所定の範囲内の部分を示す情報を含めて前記案内用不足情報を生成するものであり、
前記案内用不足情報が生成される前記所定の範囲は、前記クライアント装置によってモニター装置に規定範囲の縮尺で地図が表示される際に、前記接続道路が途中で途切れることなく、前記モニター装置の表示面に表示可能な範囲である点にある。