特許第5794454号(P5794454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794454
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】天井搬送車
(51)【国際特許分類】
   B66C 11/06 20060101AFI20150928BHJP
   B66F 7/06 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   B66C11/06
   B66F7/06 B
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-137121(P2012-137121)
(22)【出願日】2012年6月18日
(65)【公開番号】特開2014-1043(P2014-1043A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2014年2月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】村山 繁人
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−188669(JP,A)
【文献】 特開昭60−242194(JP,A)
【文献】 特開昭50−052755(JP,A)
【文献】 特開2003−142547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 11/06
B66F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井側に配設された走行レールに案内支持された状態で走行経路に沿って走行自在な走行体と、前記走行体に吊下げ支持され且つ物品を支持自在な支持体と、前記走行体に対して前記支持体を昇降移動操作する昇降操作機構とを備え、
前記昇降操作機構が、上端部が前記走行体の上側連結部に連結され且つ下端部が前記支持体の下側連結部に連結されて上下方向に伸縮自在なリンク機構と、前記リンク機構を伸縮させる伸縮用駆動部とを備えて構成されている天井搬送車であって、
前記リンク機構が、上端部が前記上側連結部に揺動自在に連結された上側リンク体の下端部と、下端部が前記下側連結部に揺動自在に連結された下側リンク体の上端部と、を揺動自在に連結させて構成され、
前記リンク機構が、各別に伸縮自在な状態で一対設けられ、
前記伸縮用駆動部が、前記一方のリンク機構における前記上側リンク体と前記他方のリンク機構における前記上側リンク体との夫々を互いに逆方向に揺動させることで前記一対のリンク機構の夫々を伸縮させるように構成され、
前記一対のリンク機構の夫々における前記上側リンク体及び前記下側リンク体が、棒状に形成され、
前記一方のリンク機構が、前記他方のリンク機構と同高さで、かつ、前記他方のリンク機構に対して前記上側リンク体及び前記下側リンク体が揺動する揺動軸心に沿う方向に異なる箇所で、かつ、前記他方のリンク機構に対して前記揺動軸心と直交する水平方向に異なる箇所で、前記上側連結部及び前記下側連結部に連結され、
前記一対のリンク機構が、その夫々を最も短縮させた状態において、前記揺動軸心に沿う方向視で、前記一方のリンク機構における前記上側リンク体と前記他方のリンク機構における上側リンク体とが交差し、且つ、前記一方のリンク機構における前記下側リンク体と前記他方のリンク機構における前記下側リンク体とが交差する状態で設けられ
前記伸縮用駆動部が、前記一方のリンク機構における前記上側リンク体を揺動駆動させる一方側伸縮駆動部と、前記他方のリンク機構における前記上側リンク体を揺動駆動させる他方側伸縮駆動部とを備えて構成され、
前記一方側伸縮駆動部及び前記他方側伸縮駆動部の作動を制御する制御部が設けられている天井搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井側に配設された走行レールに案内支持された状態で走行経路に沿って走行自在な走行体と、前記走行体に吊下げ支持され且つ物品を支持自在な支持体と、前記走行体に対して前記支持体を昇降移動操作する昇降操作機構とを備え、前記昇降操作機構が、上端部が前記走行体の上側連結部に連結され且つ下端部が前記支持体の下側連結部に連結されて上下方向に伸縮自在なリンク機構と、前記リンク機構を伸縮させる伸縮用駆動部とを備えて構成されている天井搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる天井搬送車は、走行体を走行経路に沿って走行させ、その走行体を走行経路上における搬送対象箇所に対応する箇所に停止させた状態で、伸縮用駆動部にてリンク機構を伸縮させて支持体を昇降移動させることにより、搬送対象箇所に物品を搬送するように構成されている。ちなみに、搬送対象箇所としては、例えば、物品を用いる装置の授受箇所や物品を収納する収納容器の収納部等がある。
そして、このような天井搬送車の従来例として、リンク機構を、一対の上側リンク体と一対の下側リンク体とを備えて構成し、一対の上側リンク体における長手方向の中間部を揺動自在に連結し、一対の下側リンク体における長手方向の中間部を揺動自在に連結して、上下方向に並ぶ複数のXリンク機構にて構成したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1では、Xリンク機構にて構成されたリンク機構を上下方向に伸縮自在とするために、上側リンク体を上側連結部に水平方向に移動自在に連結し且つ下側リンク体を下側連結部に水平方向に移動自在に連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−029793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のリンク機構では、上側リンク体同士や下側リンク体同士を連結する必要があるため、リンク機構の構成が複雑なものとなり、また、上側リンク体を上側連結部に水平方向に移動自在に連結する必要や下側リンク体を下側連結部にスライド移動自在に連結する必要があるため、リンク機構の上側連結部や下側連結部との連結構造も複雑なものとなっていた。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、支持体を昇降移動させるリンク機構を簡素に構成できる天井搬送車を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる天井搬送車は、天井側に配設された走行レールに案内支持された状態で走行経路に沿って走行自在な走行体と、前記走行体に吊下げ支持され且つ物品を支持自在な支持体と、前記走行体に対して前記支持体を昇降移動操作する昇降操作機構とを備え、前記昇降操作機構が、上端部が前記走行体の上側連結部に連結され且つ下端部が前記支持体の下側連結部に連結されて上下方向に伸縮自在なリンク機構と、前記リンク機構を伸縮させる伸縮用駆動部とを備えて構成されているものであって、その第1特徴構成は、
前記リンク機構が、上端部が前記上側連結部に揺動自在に連結された上側リンク体の下端部と、下端部が前記下側連結部に揺動自在に連結された下側リンク体の上端部と、を揺動自在に連結させて構成され、前記リンク機構が、各別に伸縮自在な状態で一対設けられ、前記伸縮用駆動部が、前記一方のリンク機構における前記上側リンク体と前記他方のリンク機構における前記上側リンク体との夫々を互いに逆方向に揺動させることで前記一対のリンク機構の夫々を伸縮させるように構成され、前記一対のリンク機構の夫々における前記上側リンク体及び前記下側リンク体が、棒状に形成され、前記一方のリンク機構が、前記他方のリンク機構と同高さで、かつ、前記他方のリンク機構に対して前記上側リンク体及び前記下側リンク体が揺動する揺動軸心に沿う方向に異なる箇所で、かつ、前記他方のリンク機構に対して前記揺動軸心と直交する水平方向に異なる箇所で、前記上側連結部及び前記下側連結部に連結され、前記一対のリンク機構が、その夫々を最も短縮させた状態において、前記揺動軸心に沿う方向視で、前記一方のリンク機構における前記上側リンク体と前記他方のリンク機構における上側リンク体とが交差し、且つ、前記一方のリンク機構における前記下側リンク体と前記他方のリンク機構における前記下側リンク体とが交差する状態で設けられ、前記伸縮用駆動部が、前記一方のリンク機構における前記上側リンク体を揺動駆動させる一方側伸縮駆動部と、前記他方のリンク機構における前記上側リンク体を揺動駆動させる他方側伸縮駆動部とを備えて構成され、前記一方側伸縮駆動部及び前記他方側伸縮駆動部の作動を制御する制御部が設けられている点にある。
【0007】
すなわち、伸縮用駆動部にて一対の上側リンク体を逆方向に揺動させて、一対のリンク機構を同期させた状態で上下方向に伸縮させることで、Xリンク機構を上下方向に2つ並べて設けた場合のように、支持体を所望の姿勢に維持させた状態で支持体を昇降移動させることができる。
しかも、リンク機構をXリンク機構にて構成した場合のように、上側リンク体同士や下側リンク体同士を連結する必要がなく、また、上側リンク体を上側連結部にスライド移動自在に連結する必要や下側リンク体を下側連結部にスライド移動自在に連結する必要もないため、リンク機構の構成及び上側連結部や下側連結部との連結構造の簡素化を図ることができる。
また、一対のリンク機構は、上側リンク体と下側リンク体とでく字状に形成されており、く字状に形成された一対のリンク機構を、その夫々を最も短縮させた状態において、揺動軸心に沿う方向視で、夫々の上側リンク体同士が交差し、且つ、夫々の下側リンク体同士が交差する状態で設けられている。このように、揺動軸心に沿う方向視で、上側リンク体同士及び下側リンク体同士が交差するように、一対のリンク機構を揺動軸心と直交する水平方向に近づけて設けられている。そのため、く字状に形成された一対のリンク機構を、揺動軸心と直交する水平方向に並べて設けた場合に比べて、揺動軸心と直交する水平方向おいて小さなスペースに設けることができる。
【0009】
また、一方のリンク機構における上側リンク体を一方側伸縮用駆動部にて一方向に揺動させ、他方のリンク機構における上側リンク体を他方側伸縮用駆動部にて他方向に揺動させることで、一対のリンク機構を逆方向に揺動させることができる。
そして、一対の上側リンク機構を一方側伸縮用駆動部及び他方側伸縮用駆動部にて各別に揺動駆動させるものであるため、一対のリンク機構を単一の伸縮用駆動部にて揺動させる場合に比べて、一方側伸縮用駆動部や他方側伸縮用駆動部を駆動力が小さな小型のものを用いることができる。そのため、一方側伸縮用駆動部や他方側伸縮用駆動部を設置し易いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】物品搬送設備の斜視図
図2】天井搬送車の一部切り欠き側面図
図3】天井搬送車の要部を示す斜視図
図4】天井搬送車におけるリンク機構の伸縮を示す作用図
図5】天井搬送車のチルト機能を示す基板受渡作用図
図6】制御ブロック図
図7】フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品搬送設備に備えられた天井搬送車1は、天井に設置された走行レール2に案内支持される状態で設けられており、搬送対象箇所Eの上方を経由する走行経路3に沿って走行して物品としての板状に形成された基板Wを搬送するように構成されている。ちなみに、本実施形態では、基板Wとして、液晶パネル等のガラス基板の加工に用いられるフォトマスクを天井搬送車1にて搬送している。
尚、走行方向に沿う水平方向を前後方向と称し、この前後方向に直交する水平方向を横幅方向と称して説明する。図1において、前後方向を矢印Xで示し、横幅方向を矢印Yで示している。天井搬送車1は、前後方向の後方側(図1の右側)から前方側(図1の左側)に一方向に走行するようになっている。
【0014】
物品搬送設備には、基板W(フォトマスク)を用いてガラス基板の加工処理を行う処理装置4や複数枚の基板Wを収納自在な基板収納容器6が設けられている。
そして、天井搬送車1は、基板支持台5の授受箇所5aや基板収納容器6の収納部6aに基板Wを受け渡し、授受箇所5aや収納部6aから基板Wを受け取るように構成されている。
基板支持台5は、処理装置4に対して横幅方向に隣接した状態で設けられており、処理装置4には、基板支持台5の基板Wを処理装置4内に取り込み且つ処理装置4内の基板Wを基板支持台5に取り出す基板搬送装置(図示せず)が設けられている。
【0015】
基板支持台5の授受箇所5aは、基板Wの表面が前後方向に沿う姿勢で基板Wを保持するように構成されている。また、基板収納容器6の収納部6aは、前後方向に沿って複数備えられており、基板Wの表面が横幅方向に沿う姿勢で基板Wを保持するように構成されている。
尚、基板支持台5や基板収納容器6が搬送対象箇所Eに相当し、基板支持台5の授受箇所5aや基板収納容器6の複数の収納部6aの夫々が基板保持部eに相当するものであり、基板保持部eの夫々は走行経路3の真下に位置している。
【0016】
基板保持部eは、天井搬送車1の支持体12の下降移動により下降する基板Wが上方側から挿入自在に基板Wの厚み方向に一対の挾持用部材8を離間させた挿入状態と、一対の挾持用部材8の間に挿入された基板Wを挾持するべく一対の挾持用部材8を接近させた挟持状態とに切り換え自在に構成されている。
【0017】
一対の挾持用部材8について、授受箇所5aに備えられた一対の挾持用部材8を例に挙げて説明すると、図1及び図5に示すように、一対の挾持用部材8は横幅方向に並べた状態で設けられており、一対の挾持用部材8の下端部を支点として上端部同士が互いに遠近移動するように揺動自在に設けられており、自然状態では上端部同士が互いに離間して前後方向視で逆ハ字状となり、挿入状態となっている。そして、挿入される基板Wの荷重にて下端部が下方に押し下げられることで、一対の挾持用部材8の夫々が鉛直姿勢となって基板Wを挾持する挟持状態に切り換えられるように構成されている。
一対の挾持用部材8の夫々における上下方向の長さは、基板Wの上下方向の長さの1/3程度の長さに形成されており、一対の挾持用部材8にて基板Wの下部を厚み方向に挾持する形態で保持するように構成されている。
尚、収納部6aに備えられた一対の挾持用部材8については、一対の挾持用部材8を前後方向に並べた状態で設けられている点以外は授受箇所5aのものと同様に構成されているため、説明は省略する。
【0018】
図2図4に示すように、天井搬送車1は、走行レール2に案内支持された状態で走行経路3に沿って走行自在な走行体11と、走行体11に吊り下げ支持され且つ基板Wを支持自在な支持体12と、走行体11に対して支持体12を昇降移動操作する昇降操作機構13とを備えて構成されている。
【0019】
〔走行体〕
図2に示すように、走行体11の走行本体部15(本体部に相当)には、走行用電動モータ16にて回転駆動されて走行レール2の上面を転動する駆動輪17と、走行レール2の側面に当接する回転自在な案内輪(図示せず)とが設けられている。そして、走行用電動モータ16にて駆動輪17が回転駆動され、案内輪が走行レール2にて接触案内されることにより、走行体11が走行レール2に案内されて走行経路3に沿って走行するように構成されている。
【0020】
図2及び図3に示すように、走行体11には、昇降操作機構13が連結される上側連結部18が設けられている。この上側連結部18は、走行体11における走行本体部15に対して前後方向(走行体11の走行方向)に沿う第1軸心L1(水平軸心)周りに揺動自在に支持されている。
そして、走行体11の走行本体部15に、上側連結部18を走行本体部15に対して第1軸心L1周りに揺動させる揺動用駆動部としての揺動用電動モータ19が設けられている。走行体11は、揺動用電動モータ19の駆動により上側連結部18を揺動させて、図5に示すように、上側連結部18に連結されている昇降操作機構13を第1軸心L1周りに揺動させるように構成されている。
【0021】
〔昇降操作機構〕
昇降操作機構13は、上端部が走行体11の上側連結部18に連結され且つ下端部が支持体12の下側連結部23に連結されて上下方向に伸縮自在なリンク機構21と、リンク機構21を伸縮させる伸縮用駆動部22とを備えて構成されている
【0022】
図2及び図3に示すように、リンク機構21は、上側リンク体24の上端部を走行体11の上側連結部18に第2軸心L2周りに揺動自在に連結し、上側リンク体24の下端部と下側リンク体25の上端部とを第3軸心L3周りに揺動自在に連結し、下側リンク体25の下端部を支持体12の下側連結部23に第4軸心L4周りに揺動自在に連結して構成されている。
ちなみに、リンク機構21は、第2軸心L2と第3軸心L3と第4軸心L4とが平行となる状態で設けられており、これら第2軸心L2と第3軸心L3と第4軸心L4とは、第1軸心L1と直交し、横幅方向に沿っている。
【0023】
そして、リンク機構21は、各別に伸縮自在な状態で一対設けられており、一対のリンク機構21の夫々における上側リンク体24及び下側リンク体25は、棒状に形成されている。また、一対のリンク機構21の夫々は、上側リンク体24と下側リンク体25とが同じ長さに形成されている。
尚、一対のリンク機構21は、互いに前後方向にずらした状態で上側連結部18及び下側連結部23に連結されており、便宜上、前側に連結された一方のリンク機構21を前側リンク機構21Fと称し、後側に連結された他方のリンク機構21を後側リンク機構21Rと称する。
【0024】
リンク機構21の設置について説明を加えると、上側連結部18における横幅方向の一方側(右側)を向く面に前側リンク機構21Fの上側リンク体24が連結され、上側連結部18における横幅方向の他方側(左側)を向く面に後側リンク機構21Rの上側リンク体24が連結されている。
また、下側連結部23における横幅方向の一方側(右側)を向く面に前側リンク機構21Fの下側リンク体25が連結され、下側連結部23における横幅方向の他方側(左側)を向く面に後側リンク機構21Rの下側リンク体25が連結されている。
このようにして、一方のリンク機構21は、他方のリンク機構21に対して横幅方向に異なる箇所で、上側連結部18及び下側連結部23に連結されている。
【0025】
また、前側リンク機構21Fの上側リンク体24と後側リンク機構21Rの上側リンク体24とが、同じ高さで且つ前後方向にずらした箇所で上側連結部18に連結されており、前側リンク機構21Fの下側リンク体25と後側リンク機構21Rの下側リンク体25とが、同じ高さで且つ前後方向にずらした箇所で下側連結部23に連結されている。
このようにして、前側リンク機構21Fは、後側リンク機構21Rと同高さで、かつ、後側リンク機構21Rに対して前後方向に異なる箇所で、上側連結部18及び下側連結部23に連結されている。
ちなみに、一対のリンク機構21の夫々は、横幅方向視で上側リンク体24を上側連結部18に連結する箇所から真下に位置する箇所において下側リンク体25を下側連結部23に連結する状態で設けられている。
【0026】
一対のリンク機構21は、横幅方向視で互いに逆方向に屈曲させた状態で設けられており、夫々を最も短縮させた状態(図4(a)参照)及び最も伸長させた状態(図4(b)(c)参照)において、横幅方向視で、前側リンク機構21Fにおける上側リンク体24と後側リンク機構21Rにおける上側リンク体24とが交差し、且つ、前側リンク機構21Fにおける下側リンク体25と後側リンク機構21Rにおける下側リンク体25とが交差する状態で設けられている。
ちなみに、前側リンク機構21Fにおける上側リンク体24と下側リンク体25との連結箇所は、後側リンク機構21Rにおける上側リンク体24の上側連結部18に連結する箇所や下側リンク体25の下側連結部23に連結する箇所より後方側に位置しており、また、後側リンク機構21Rにおける上側リンク体24と下側リンク体25との連結箇所は、前側リンク機構21Fにおける上側リンク体24の上側連結部18に連結する箇所や下側リンク体25の下側連結部23に連結する箇所より前方側に位置している。
【0027】
伸縮用駆動部22は、前側リンク機構21Fにおける上側リンク体24と後側リンク機構21Rにおける上側リンク体24との夫々を互いに逆方向に揺動させることで一対のリンク機構21の夫々を伸縮させるように構成されている。
また、伸縮用駆動部22は、前側リンク機構21Fにおける上側リンク体24を揺動駆動させる一方側伸縮用駆動部としての前側用電動モータ22Fと、後側リンク機構21Rにおける上側リンク体24を揺動駆動させる他方側伸縮用駆動部としての後側用電動モータ22Rとを備えて構成されている。
【0028】
伸縮用駆動部22は、左側側面視において、前側用電動モータ22Fにて前側リンク機構21Fの上側リンク体24を時計回りに揺動させ且つ後側用電動モータ22Rにて後側リンク機構21Rの上側リンク体24を反時計回りに揺動させることで、一対のリンク機構21の夫々を伸長させ、また、前側用電動モータ22Fにて前側リンク機構21Fの上側リンク体24を反時計回りに揺動させ且つ後側用電動モータ22Rにて後側リンク機構21Rの上側リンク体24を時計回りに揺動させることで、一対のリンク機構21の夫々を短縮させるように構成されている。
そして、昇降操作機構13は、伸縮用駆動部22にて一対のリンク機構21の夫々を伸長させることで、支持体12を下降移動させ、且つ、伸縮用駆動部22にて一対のリンク機構21の夫々を短縮させることで、支持体12を上昇移動させるように構成されている。
尚、前側用電動モータ22Fは、その出力軸が前側リンク機構21Fの上側リンク体24の第2軸心L2周りに回転駆動するように設けられており、後側用電動モータ22Rは、その出力軸が後側リンク機構21Rの上側リンク体24の第2軸心L2周りに回転駆動するように設けられている。
【0029】
ちなみに、前側用電動モータ22Fの駆動速度と後側用電動モータ22Rの駆動速度とを異ならせることにより、基板Wを面方向に沿って傾けながら昇降させることができる。また、前側用電動モータ22Fのみ又は後側用電動モータ22Rのみを駆動させることにより、図4(d)に示すように、基板Wを面方向に沿って傾けることができる。
【0030】
〔支持体〕
図2及び図3に示すように、支持体12には、リンク機構21の下側リンク体25が連結される下側連結部23に対して前後方向に沿う第5軸心L5周りに揺動自在に支持され且つ基板Wを支持する支持体28を上下方向に沿う第6軸心L6周りに回転自在に支持する揺動部27が備えられている。
また、支持体12には、揺動部27に対して支持体28を第6軸心L6周りに回転駆動させる回転用電動モータ29(図6参照)、及び、下側連結部23に対して揺動部27が第5軸心L5周りに揺動自在な状態と下側連結部23に対して揺動部27が第5軸心L5周りに揺動することを規制する状態とに切り換えるための切換用電動シリンダ30(図6参照)が備えられている。
【0031】
そして、回転用電動モータ29にて支持体28を回転駆動させることで、図4(c)に示すように、支持体28及びその支持体28に支持されている基板Wが第5軸心L5周りに回転し、基板Wの姿勢を、基板Wの表面が前後方向に沿う前後姿勢と基板Wの表面が横幅方向に沿う横姿勢とに切り換えることができるように構成されている。
ちなみに、基板Wの姿勢を前後姿勢に姿勢変更した状態で、天井搬送車1を走行経路3に沿って走行移動させ且つ基板Wを基板支持台5の授受箇所5aに受け渡すようになっている。また、基板Wの姿勢を横姿勢に姿勢変更した状態で、基板Wを基板収納容器6の収納部6aに受け渡すようになっている。
【0032】
また、詳細な説明は省略するが、切換用電動シリンダ30は、下側連結部23側に設けられた接触部材(図示せず)を昇降移動させるように設けられており、切換用電動シリンダ30にて接触部材を揺動部27に接触させる規制位置に下降移動させることで、揺動部27が下側連結部23に対して揺動することが規制され、また、切換用電動シリンダ30にて接触部材を揺動部27から離間させた規制解除位置に上昇移動させることで、揺動部27の揺動規制が解除されて揺動部27が下側連結部23に対して自由に揺動する状態に切り換えられる構成となっている。
そして、揺動部27の揺動規制が解除された状態では、図5に示すように、揺動用電動モータ19の作動によりリンク機構21が第1軸心L1周りに揺動されても、揺動部27が第5軸心L5周りに揺動することで基板Wの姿勢が変わらず、基板Wの表面が鉛直方向に沿う姿勢で維持されるようになっている。
【0033】
図6に示すように、天井搬送車1には、走行用電動モータ16、揺動用電動モータ19、前側用電動モータ22F、後側用電動モータ22R、回転用電動モータ29及び切換用電動シリンダ30の作動を制御する制御装置H1が設けられている。制御装置H1は、地上側に設置される上位コントローラH2からの制御指令に基づいて、基板Wを搬送対象箇所Eに受け渡す受渡処理と、基板Wを搬送対象箇所Eから受け取る受取処理とを実行するべく、天井搬送車1に設けられている電動モータの作動を制御するように構成されている。
ちなみに、基板支持台5や基板収納容器6の設置誤差により、搬送対象箇所Eが走行経路3に対して真下の位置から横幅方向にずれている場合があり、このように位置がずれている搬送対象箇所Eについては位置ずれ箇所と記憶し、その位置ずれ箇所として記憶された搬送対象箇所Eに対して、走行経路3に対する搬送対象箇所Eの横幅方向でのずれ量及び搬送対象箇所Eと天井搬送車1との高低差から求めた補正揺動量が予め記憶されている。
【0034】
受渡処理について図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、基板Wを支持する天井搬送車1を搬送対象箇所Eに対応する停止位置に停止させる走行制御を実行する。そして、搬送対象箇所Eが基板収納容器6の収納部6aである場合は、回転用電動モータ29を作動させて支持体28を揺動部27に対して第6軸心L6周りに90°回転させる回転制御を実行する。また、搬送対象箇所Eが位置ずれ箇所である場合は、切換用電動シリンダ30を作動させて規制解除状態に切り換え、揺動用電動モータ19を作動させて上側連結部18を走行本体部15に対して補正揺動量だけ第1軸心L1周りに揺動させた後、切換用電動シリンダ30を作動させて規制状態に切り換えるチルト制御を実行する。その後、前側用電動モータ22F及び後側用電動モータ22Rを作動させて、一対のリンク機構21を伸長させる伸長制御を実行する。
尚、受取処理は、受渡処理の逆の手順で行うものであり、説明は省略する。
【0037】
〔別実施形態〕
)上記実施形態では、基板保持部eを、一対の挾持用部材8の下端部を支点として上端部同士が互いに遠近移動させることで挿入状態と挟持状態とに切り換えられるように構成したが、基板保持部eを、一対の挾持用部材8の全体を互いに遠近移動させることで挿入状態と挟持状態とに切り換えられるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、基板保持部eを、挿入された基板Wの自重により挿入状態から挟持状態に切り換えられるように構成したが、基板保持部eを、一対の挾持用部材8を駆動操作する駆動手段を設け、その駆動手段の駆動により基板保持部eを挿入状態から挟持状態に切り換えられるように構成してもよい。
【0038】
)上記実施形態では、基板としてフォトマスクを搬送したが、基板として液晶ガラス基板や有機ELパネル等の他の基板を搬送してもよい。また、物品としては、基板以外に、カートンケースやコンテナ、複数枚の基板を収納した基板収納容器等でもよい。
【符号の説明】
【0039】
2 走行レール
3 走行経路
11 走行体
12 支持体
13 昇降操作機構
18 上側連結部
22 伸縮用駆動部
22F 一方側伸縮用駆動部
22R 他方側伸縮用駆動部
23 下側連結部
24 上側リンク体
25 下側リンク体
W 物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7