(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の回転軸を中心として回転自在に車体側に支持されるボス部と、前記回転軸を中心とした環状であって車両の操舵時に表面側から把持されて回転操作されるリング部と、前記ボス部と前記リング部とを連結するスポーク部とを有するステアリングホイールと、
前記スポーク部に設けられたノブ支持部と、
前記ノブ支持部から前記表面側へ突出する使用位置と前記表面側への突出量が前記使用
位置よりも少ない格納位置との間で移動自在に前記ノブ支持部に支持されるノブと、
前記車両の挙動に関する情報を検出する車両情報検出手段と、
前記車両情報検出手段が検出した情報を用いて所定の使用条件が成立するか否かを判定する判定手段と、
前記使用条件が成立すると前記判定手段が判定した場合に限り前記格納位置から前記使用位置への前記ノブの移動を許容するように、前記格納位置から前記使用位置への前記ノブの移動を禁止又は許容する移動制限手段と、
前記ノブが前記格納位置に設定されているか否かを検出する検出手段と、
前記ノブが前記格納位置に設定されていないと前記検出手段が検出し、且つ前記使用条件が成立していないと前記判定手段が判定したとき、前記ノブが前記格納位置に設定されていないことを運転者に報知する報知手段と、を備えた
ことを特徴とするステアリングホイール装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施形態のステアリングホイール装置について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、ステアリングホイールの表面とは、運転者側の面を示し、裏面とは、インストルメントパネル側の面を示す。また、ステアリングホイールの上下左右方向は、中立位置のステアリングホイールを運転者から見たときの各方向を示す。また、図中の矢印は、ノブの移動方向を示す。
【0020】
図1〜
図4に示すように、本実施形態のステアリングホイール装置1は、ステアリングホイール2と支持部材10とノブ19とばね38とロック機構41と速度センサ63とロック検出センサ64とノブ検出センサ67とインジケータランプ68とコントローラ69とを備える。
【0021】
ステアリングホイール2は、車室内の運転席前部に設けられ、ボス部3とリング部4とスポーク部5とを有する。ボス部3は、車両のステアリングシャフト(図示省略)を中心として回転自在に車体側に支持される。リング部4は、ステアリングシャフトを中心とした環状であり、運転者によって車両の操舵時に把持されて回転操作される。スポーク部5は、ボス部3の左右でボス部3とリング部4とを連結し、ボス部3の左側に配設される左スポーク部6とボス部3の右側に配設される右スポーク部とを有する。左スポーク部6には、表面からリング部4の外周を含む仮想平面に直交する方向に、略円柱形状の格納孔7が形成されている。
【0022】
支持部材10は、下支持部11と上支持部15とを有する。下支持部11は、円筒形状であり、内周面に、一端12から他端13の近傍まで軸方向に沿って直線状に延びる溝部14が対向して2つ形成されている。下支持部11は、一端12が格納孔7の底面8に固定され、格納孔7に設けられる。上支持部15は、円筒形状であり、下支持部11の内径よりも僅かに小さい外径を有する。上支持部15の外周面には、上支持部15の一端16の近傍に、下支持部11の溝部14の幅よりも僅かに小さい外径を有する凸部18が対向して2つ形成されている。上支持部15は、凸部18が下支持部11の溝部14に係合され、一端16が格納孔7の底面8に当接する第1位置と、凸部18が下支持部11の溝部14の一端に当接する第2位置との間を移動自在である。すなわち、支持部材10は、左スポーク部6に設けられるノブ支持部として機能する。
【0023】
ノブ19は、回転軸20とロック受部27と握り部31とを有する。回転軸20は、底部21と軸部24とを有する。底部21は、円盤形状であり、上支持部15の内径と略同じ外径を有する。軸部24は、円柱形状であり、底部21の外径よりも小さい外径を有する。底部21と軸部24とは、底部21の上面22の略中央部に軸部24の一端25が固定され、一体的に形成されている。回転軸20は、底部21が支持部材10の上支持部15の他端17に嵌合されて固定され、支持部材10に支持される。
【0024】
ロック受部27は、円筒形状であり、上支持部15の外径と略同じ外径と、回転軸20の軸部24の外径と略同じ内径とを有する。ロック受部27には、外周面から軸方向に直交する方向に略円柱形状のロック孔30が形成されている。ロック受部27は、内周面が形成する貫通孔に回転軸20の軸部24が貫通され、下面29が回転軸20の底部21の上面22に当接した状態で固定される。
【0025】
握り部31は、下部32と上部35とを有する。下部32は、円筒形状であり、ロック受部27の外径と略同じ外径を有する。上部35は、円盤形状であり、下部32の外径よりも大きい外径と所定の厚みとを有し、縁部が円弧状に形成されている。また、上部35には、一面36から軸方向に、下部32の外径と略同じ内径を有する略円柱形状の嵌合孔37が形成されている。嵌合孔37には、下部32の一端33が嵌合されて固定されている。握り部31は、嵌合孔37の略中央部で回転軸20の軸部24の他端26に回転自在に連結され、下部32の他端34がロック受部27の上面28に当接している。
【0026】
ノブ19は、上支持部15が第1位置と第2位置との間を移動することによって、握り部31が左スポーク部6の表面へ殆ど突出しない格納位置と、握り部31が左スポーク部6の表面へ突出する使用位置との間を移動する。
【0027】
ばね38は、コイル状であり、上支持部15が第2位置にあるときの支持部材10の全体の長さよりも長い自然長を有し、下支持部11の長さよりも短い長さに収縮可能である。ばね38は、支持部材10の内周面が形成する空間に、上支持部15の設定位置に関わらず、一端39が格納孔7の底面8に当接し、他端40がノブ19の回転軸21の底部22の下面24に当接する状態で設けられる。ばね38は、付勢力によって、ノブ19を格納位置から使用位置へ移動させる。すなわち、ばね38は、ノブ19を使用位置へ付勢する付勢手段として機能する。
【0028】
ロック機構41は、ロック部材42と駆動部62とを有する。ロック部材42は、シーソ軸43と第1係合凸部54及び第2係合凸部58とを有する。シーソ軸43は、棒形状であり、略中心部に貫通孔46が形成されている。シーソ軸43の一端44の近傍には、第1ロック軸47が連結され、シーソ軸43の他端45の近傍には、第2ロック軸50が連結される。第1ロック軸47には、コイル状の第1ロックばね49が巻きつけられ、第2ロック軸50には、コイル状の第2ロックばね52が巻きつけられている。また、シーソ軸43の一端44の近傍には、駆動軸53が連結される。
【0029】
第1係合凸部54及び第2係合凸部58は、略円筒形状であり、ノブ19に形成されたロック孔30の内径よりも僅かに小さい外径と、第1ロック軸47及び第2ロック軸50の外径よりも僅かに大きい内径とを有する。第1係合凸部54及び第2係合凸部58は、それぞれ、一端55,59が円弧状に接合され、内周面が係合孔57,61を形成している。
【0030】
第1係合凸部54は、係合孔57に第1ロック軸47の一端48が係合され、第1ロック軸47に、第1ロック軸47の軸方向に沿って移動自在に連結される。第1係合凸部54は、他端56が第1ロックばね49の一端に当接しており、第1ロック軸47の軸方向に沿って移動することによって、第1ロックばね48を伸縮させる。第1係合凸部54は、ノブ19が格納位置に設定されたときに、ノブ19のロック孔30に係合する。
【0031】
第2係合凸部58は、係合孔61に第2ロック軸50の一端51が係合され、第2ロック軸50に、第2ロック軸50の軸方向に沿って移動自在に連結される。第2係合凸部58は、他端60が第2ロックばね52の一端に当接しており、第2ロック軸50の軸方向に沿って移動することによって、第2ロックばね52を伸縮させる。第2係合凸部58は、ノブ19が使用位置に設定されたときに、ノブ19のロック孔30に係合する。
【0032】
シーソ軸43は、貫通孔46に貫通される支軸(図示省略)によって、回転自在に支持され、第1係合凸部54が、第1ロックばね49を収縮させずに一端55が支持部材10の外周面に当接し、第2係合凸部58が、第2ロックばね52を収縮させずに一端59がノブ19の外周面に当接する状態で格納孔7に設けられる。シーソ軸43は、貫通孔46を回転中心として、第1係合凸部54が格納位置のノブ19のロック孔30に係合するときの格納ロック位置と、第2係合凸部58が使用位置のノブ19のロック孔30に係合するときの使用ロック位置との間を回転移動する。
【0033】
ロック部材42は、シーソ軸43が格納ロック位置に設定され、第1係合凸部54が格納位置のノブ19のロック孔30に係合することによって、ノブ19を格納位置でロックし、ノブ19の格納位置から使用位置への移動を禁止する。また、シーソ軸43が使用ロック位置に設定され、第2係合凸部58が使用位置のノブ19のロック孔30に係合することによって、ロック部材42は、ノブ19を使用位置でロックし、ノブ19の使用位置から格納位置への移動を禁止する。
【0034】
駆動部62は、例えば、電動アクチュエータであって、駆動軸53の一端に連結される。電動アクチュエータは、コントローラ69によって、シーソ軸43を格納ロック位置から使用ロック位置へ回転させる第1駆動状態と、シーソ軸43を使用ロック位置から格納ロック位置へ回転させる第2駆動状態と、駆動しない停止状態とに設定される。
【0035】
シーソ軸43が格納ロック位置に設定されているときに、電動アクチュエータが第1駆動状態に設定されると、第1係合凸部54は、ロック孔30から外れて支持部材10の外周面から離間し、第2係合凸部58は、ノブ19の外周面に接近して当接し、第2支持ばね52を収縮させる。第1係合凸部54がロック孔30から外れることによって、格納位置に設定されていたノブ19は、ばね38の付勢力によって使用位置に設定される。ノブ19が使用位置に設定されることによって、ノブ19の外周面に第2ロックばね52を収縮させて当接していた第2係合凸部58は、第2ロックばね52の付勢力によってロック孔30に係合する。
【0036】
一方、シーソ軸43が使用ロック位置に設定されているときに、電動アクチュエータが第2駆動状態に設定されると、第2係合凸部58は、ロック孔30から外れてノブ19の外周面から離間し、第1係合凸部58は、支持部材10の外周面に接近して当接し、第1ロックばね49を収縮させる。第2係合凸部58がロック孔30から外れることによって、使用位置に設定されていたノブ19は、格納位置に設定可能となり、運転者によって格納位置に設定される。ノブ19が格納位置に設定されることによって、支持部材10の外周面に第1ロックばね59を収縮させて当接していた第1係合凸部54は、第1支持ばね49の付勢力によってロック孔30に係合する。
【0037】
速度センサ63は、所定時間毎に、車両の速度を検出し、コントローラ69に出力する。すなわち、速度センサ63は、車両の挙動に関する情報を検出する車両情報検出手段として機能する。
【0038】
ロック検出センサ64は、格納ロック検出センサ65と使用ロック検出センサ66とを有する。格納ロック検出センサ65は、シーソ軸43が格納ロック位置に設定されているか否かを検出し、コントローラ69に出力する。使用ロック検出センサ65は、シーソ軸43が使用ロック位置に設定されているか否かを検出し、コントローラ69に出力する。
【0039】
ノブ検出センサ67は、ノブ19が格納位置に設定されているか否かを検出し、コントローラ69に出力する。すなわち、ノブ検出センサ67は、ノブ19が格納位置に設定されているか否かを検出する検出手段として機能する。
【0040】
インジケータランプ68は、車両のインストルメントパネル(図示省略)に設けられ、コントローラ69によって点灯又は消灯される。
【0041】
コントローラ69は、コントローラ69に内部に記憶された処理プログラムを実行することによって、使用条件判定部70とロック状態判定部71とロック制御部72と報知制御部73として機能する。
【0042】
使用条件判定部70は、速度センサ63が検出した車両の速度に基づいて、使用条件が成立するか否かを判定する。使用条件判定部70は、車両の速度が所定速度未満であるとき、使用条件が成立すると判定し、所定速度以上であるとき、使用条件が成立しないと判定する。所定速度は、駐停車時などのようにステアリングホイールを急速に且つ大きく回転操作する可能性が高い場合の速度に基づいて設定される。すなわち、使用条件判定部70は、速度センサ63が検出した車両の速度を用いて使用条件が成立するか否かを判定する判定手段として機能する。
【0043】
ロック状態判定部71は、ロック検出センサ64の検出結果に基づいて、ロック部材42は使用ロック状態でないか否か、或いはロック部材42は格納ロック状態でないか否かを判定する。ロック状態判定部71は、シーソ軸43が使用ロック位置に設定されていないと使用ロック検出センサ66が検出したとき、ロック部材42は使用ロック状態でないと判定し、シーソ軸43が使用ロック位置に設定されていると使用ロック検出センサ66が検出したとき、ロック部材42は使用ロック状態であると判定する。また、ロック状態判定部71は、シーソ軸43が格納ロック位置に設定されていないと格納ロック検出センサ65が検出したとき、ロック部材42は格納ロック状態でないと判定し、シーソ軸43が格納ロック位置に設定されていると格納ロック検出センサ65が検出したとき、ロック部材42は格納ロック状態であると判定する。
【0044】
ロック制御部72は、使用条件判定部70及びロック状態判定部71の判定結果に基づいて、電動アクチュエータの駆動を制御する。ロック制御部72は、使用条件が成立すると使用条件判定部70が判定し、且つロック部材42は使用ロック状態でないとロック状態判定部71が判定したとき、電動アクチュエータを第1駆動状態に設定し、使用条件が成立すると使用条件判定部70が判定し、且つロック部材42は使用ロック状態であるとロック状態判定部71が判定したとき、電動アクチュエータを停止状態に設定する。また、ロック制御部72は、使用条件が成立しないと使用条件判定部70が判定し、且つロック部材42は格納ロック状態でないとロック状態判定部71が判定したとき、電動アクチュエータを第2駆動状態に設定し、使用条件が成立しないと使用条件判定部70が判定し、且つロック部材42は格納ロック状態であるとロック状態判定部71が判定したとき、電動アクチュエータを停止状態に設定する。すなわち、ロック機構41とロック状態判定部71とロック制御部72とは、ノブ19の格納位置から使用位置への移動を禁止又は許容する移動制限手段として機能する。
【0045】
報知制御部73は、使用条件判定部70の判定結果とノブ検出センサ67の検出結果とに基づいて、インジケータランプ68を点灯又は消灯させる。報知制御部73は、使用条件が成立しないと使用条件判定部70が判定し、且つノブ19が格納位置に設定されていないとノブ検出センサ67が検出したとき、インジケータランプ68を点灯させる。また、報知制御部73は、使用条件が成立すると使用条件判定部70が判定したとき、又は、使用条件が成立しないと使用条件判定部70が判定し、且つノブ19が格納位置に設定されているとノブ検出センサ67が検出したとき、インジケータランプ68を消灯させる。すなわち、インジケータランプ68と報知制御部73とは、ノブ19が格納位置に設定されていないとノブ検出センサ67が検出し、且つ使用条件が成立していないと使用条件判定部70が判定したとき、ノブ19が格納位置に設定されていないことを運転者に報知する報知手段として機能する。
【0046】
次に、
図5を用いて、コントローラ69が実行する処理について説明する。本処理は、車両のイグニッションキーがON状態であるとき、所定時間毎に繰り返して実行される。
【0047】
本処理が開始されると、使用条件判定部70は、使用条件が成立するか否かを判定する(ステップS1)。
【0048】
使用条件が成立すると使用条件判定部70が判定したとき(ステップS1:YES)、ロック状態判定部71は、ロック部材42は使用ロック状態でないか否かを判定する(ステップS2)。
【0049】
ロック部材42は使用ロック状態でないとロック状態判定部71が判定したとき(ステップS2:YES)、ロック制御部72は、電動アクチュエータを第1駆動状態に設定する(ステップS3)。
【0050】
一方、ロック部材42は使用ロック状態であるとロック状態判定部71が判定したとき(ステップS2:NO)、ロック制御部72は、電動アクチュエータを停止状態に設定する(ステップS4)。
【0051】
次に、報知制御部73は、インジケータランプ68を消灯させて(ステップS5)、本処理を終了する。
【0052】
また、使用条件が成立しないと使用条件判定部70が判定したとき(ステップS1:NO)、ロック状態判定部71は、ロック部材42は格納ロック状態でないか否かを判定する(ステップS6)。
【0053】
ロック部材42は格納ロック状態でないとロック状態判定部71が判定したとき(ステップS6:YES)、ロック制御部72は、電動アクチュエータを第2駆動状態に設定する(ステップS7)。
【0054】
一方、ロック部材42は格納ロック状態であるとロック判定部71が判定したとき(ステップS6:NO)、ロック制御部72は、電動アクチュエータを停止状態に設定する(ステップS8)。
【0055】
次に、報知制御部73は、ノブ19が格納位置に設定されているか否かを判定する(ステップS9)。
【0056】
ノブ19が格納位置に設定されているとき(ステップS9:YES)、報知制御部73は、インジケータランプ68を消灯させて(ステップS5)、本処理を終了する。
【0057】
一方、ノブ19が格納位置に設定されていないとき(ステップS9:NO)、報知制御部73は、インジケータランプ68を点灯させて(ステップS10)、本処理を終了する。
【0058】
上記のように構成されたステアリングホイール装置1では、車両の速度が所定速度未満である間には、ノブ19は、使用位置に設定されてロック部材42によってロックされている。車両の速度が所定速度未満から所定速度に達すると、使用位置のロックが解除され、インジケータランプ68が点灯される。インジケータランプ68が点灯された後、運転者がノブ19を格納位置に設定すると、ノブ19はロック部材42によってロックされ、インジケータランプ68は消灯される。また、ノブ19が格納位置に設定され、車両の速度が所定速度以上である間には、ノブ19は、格納位置に設定されてロック部材42によってロックされている。車両の速度が所定速度以上から所定速度に達すると、格納位置のロックが解除され、ノブ20は、ばね38によって使用位置に設定され、ロック部材42によってロックされる。
【0059】
このように、本実施形態のステアリングホイール装置1によれば、車両の速度が所定速度未満のとき、ノブ19はステアリングホイール2の表面へ突出する使用位置に設定されるので、車両の駐停車時などのようにステアリングホイール2を急速に且つ大きく回転操作する場合に、ノブ19が使用位置に設定され、運転者はノブ19を把持することによって、ステアリングホイール2の回転操作の負担を軽減することができる。
【0060】
また、車両の速度が所定速度以上のとき、ノブ19は表面への突出量が使用位置よりも少ない格納位置に設定可能であるので、ステアリングホイール2を大きく且つ急速に回転させる必要がない車両走行中には、ノブ19を格納することができ、ノブ19がステアリングホイール2の回転操作の妨げにならずに、操作性を良好に維持することができる。
【0061】
また、車両の速度が所定値未満の場合に限り、ノブ19は、格納位置におけるロックが解除されて使用することができるので、ノブ19の過剰な使用を抑制することができ、車両走行中における操作性を良好に維持することができる。
【0062】
また、ノブ19は、格納位置のロックが解除されると、ばね38の付勢力によって格納位置から使用位置へ移動されるので、運転者が自らノブ19を使用位置に設定する必要がなく、利便性を向上させることができる。
【0063】
また、車両の速度が所定速度以上の場合にノブ19が格納位置に設定されていないときには、インジケータランプ68が点灯されてノブ19が格納位置に設定されていないことが運転者に報知されるので、運転者がノブ19の格納を忘失することを防止することができるとともに、ノブ19の過剰な使用を抑制する効果を向上させることができる。
【0064】
また、ノブ19は、ステアリングホイール2のスポーク部5に設けられるので、ノブ19が使用位置に設定されている間に、ノブ19を把持せずにステアリングホイールを回転操作する場合であっても、ノブ19がステアリングホイール2の回転操作の妨げになり難く、操作性を良好に維持することができる。
【0065】
また、ノブ19は、ステアリングホイール2のリング部4よりも中心部寄りのスポーク部5に設けられるので、大型車のようにステアリングホイール2の径が大きい場合には、運転者はノブ19を把持することによって、径が大きいことによるステアリングホイール2の回転操作の負担を軽減することができる。
【0066】
なお、ノブ19は、ステアリングホイール2の左スポーク部6ではなく、右スポーク部に設けてもよい。
【0067】
また、スポーク部5自体に格納孔7を形成するのではなく、
図6に示すように、格納孔74が形成されたケース75をスポーク部5に固定してもよい。
【0068】
また、ノブ19の形状は、運転者が把持しやすいものであれば、上記に限定されない。
【0069】
また、ばね38を設けず、使用条件が成立して格納位置のロックが解除されたとき、運転者が自らノブ19を使用位置に設定する構成であってもよい。
【0070】
また、使用条件が成立している間は、常にノブ19を使用位置でロックしていることに限定されず、例えば、運転者から使用位置のロックを解除する指示が入力される入力手段を備えることによって、使用条件が成立している間であっても、運転者の意思によって使用位置のロックを解除し、ノブ19を格納位置に設定することを可能とする構成であってもよい。
【0071】
また、ロック部材42は、第1ロックばね49及び第2ロックばね52を有さず、シーソ軸43を所定の弾性を有する部材で形成してもよい。
【0072】
また、ロック機構41は、上記に限定されず、例えば、格納位置のノブ19をロックするロック手段と使用位置のノブ19をロックするロック手段とをそれぞれ別々に備えてもよく、格納位置のロック手段のみを備えてもよい。
【0073】
また、ロック機構41の駆動部62は、電動アクチュエータに限定されず、電気エネルギー以外のエネルギーを機械エネルギーに変換するアクチュエータであってもよい。
【0074】
また、使用条件が成立するか否かの判定基準は、車両の速度のみに限定されず、例えばシフトポジションや操舵角等の他の情報を含んでもよく、また他の情報のみであってもよい。
【0075】
また、ノブ19が格納位置に設定されていないことを運転者に報知する方法は、上記に限定されず、ブザーや音声等であってもよい。
【0076】
また、ノブ19を軸方向に沿って上下移動させるのではなく、
図7及び
図8に示すように、ノブ19を所定の軸を回転中心として回転移動させてもよい。この場合、格納孔は、左スポーク部6の表面から裏面にかけて、扇形状に形成される。また、ノブ支持部として、ノブ19を回転可能に支持する支持軸75が、格納孔に左スポーク部6の軸方向に沿って設けられる。また、付勢手段として、ぜんまいばね76が設けられる。ぜんまいばね76は、渦巻き状のばねであり、中心部に配置される一端77が支持軸75に連結され、外周部に配置される他端78がノブ19の回転軸21の底部22の下面24に連結される。
【0077】
また、ノブ19をスポーク部5の内部に格納するのではなく、
図9に示すように、スポーク部5の裏面に格納してもよい。この場合、ノブ19は、所定の軸を回転中心として回転移動され、格納孔は、少なくとも左スポーク部6の表面から裏面にかけて、扇形状に形成される。格納孔の開口部分には、格納孔を覆うためのノブ19の移動を許容する蓋部79を設けてもよい。
【0078】
次に、本発明の第2実施形態のステアリングホイール装置について図面を参照して説明する。本実施形態は、ノブ19を格納位置から使用位置、及び使用位置から格納位置へ移動させる移動機構を設ける点で、上記第1実施形態と相違する。なお、上記第1実施形態と同様の構成には、同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0079】
図10及び
図11に示すように、本実施形態のステアリングホイール装置は、移動機構80と加速度センサ91とを備える。
【0080】
ノブ19の握り部31の下部32は、支持部材10の上支持部15の外径と略同じ外径を有する。握り部31は、下部32の他端34が上支持部15の他端17に当接している。
【0081】
移動機構80は、移動部材81と駆動部91とを有する。移動部材81は、連結部82と操作軸85と駆動軸88とを有する。連結部82は、略中心部で屈折するL字形状である。操作軸85は、棒形状であり、一端86が連結部82の一端83に回転自在に連結され、他端87がノブ19の回転軸32の底部22の下面24に回転自在に連結されている。駆動軸88は、棒形状であり、一端89が連結部82の他端84に回転自在に連結され、ノブ19の軸方向に対して直交する方向に設けられる。
【0082】
駆動軸88が軸方向に移動すると、連結部82は、他端84を回転中心として回転移動し、連結部82の一端83に連結された操作軸85の一端86は、ノブ19の軸方向及び軸方向に直交する方向に移動する。操作軸85の一端86が移動すると、操作軸85は、他端87を回転中心として回転移動し、操作軸85の他端87に連結された支持部材10の上支持部15と上支持部15に固定されたノブ19とは、軸方向に移動する。駆動軸88は、上支持部15が第1位置に設定される格納設定位置と、上支持部15が第2位置に設定される使用設定位置との間を移動自在である。
【0083】
駆動部91は、例えば電動アクチュエータであって、駆動軸88の他端90に連結される。電動アクチュエータは、コントローラ69によって、駆動軸88を格納設定位置から使用設定位置へ移動させる使用開始状態と、駆動軸88を使用設定位置から格納設定位置へ移動させる使用終了状態と、駆動しない停止状態とに設定される。すなわち、移動機構80は、ノブ19を格納位置から使用位置へ移動させて保持する使用開始状態と、ノブ19を使用位置から格納位置へ移動させて保持する使用終了状態とに設定可能な移動手段として機能する。
【0084】
加速度センサ92は、所定時間毎に、車両の加速度を検出し、コントローラ69に出力する。すなわち、加速度センサ92は、車両の挙動に関する情報を検出する車両情報検出手段として機能する。
【0085】
ノブ検出センサ67は、使用位置ノブ検出センサ93と格納位置ノブ検出センサ94とを有する。使用位置ノブ検出センサ93は、ノブ19が使用位置に設定されているか否かを検出し、コントローラ69に出力する。格納位置ノブ検出センサ94は、ノブ19が格納位置に設定されているか否かを検出し、コントローラ69に出力する。
【0086】
コントローラ69は、コントローラ69に内部に記憶された処理プログラムを実行することによって、使用条件判定部70と使用開始終了条件判定部95と移動制御部96として機能する。
【0087】
使用開始終了条件判定部95は、加速度センサ92が検出した車両の加速度に基づいて、使用条件が成立すると使用条件判定部70が判定したとき、使用開始条件が成立するか否かを判定し、使用条件が成立しないと使用条件判定部70が判定したとき、使用終了条件が成立するか否かを判定する。使用開始終了条件判定部95は、車両の加速度が所定加速度未満であるとき、使用開始条件が成立したと判定し、所定加速度以上であるとき、使用開始条件が成立しないと判定する。また、使用開始終了条件判定部95は、車両の加速度が所定加速度以上であるとき、使用終了条件が成立したと判定し、所定加速度未満であるとき、使用終了条件が成立しないと判定する。すなわち、使用開始終了条件判定部95は、加速度センサ92が検出した車両の加速度を用いて使用開始条件が成立するか否か、又は使用終了条件が成立するか否かを判定する判定手段として機能する。
【0088】
移動制御部96は、使用開始終了条件判定部95の判定結果とノブ検出センサ67の検出結果とに基づいて、電動アクチュエータの駆動を制御する。移動制御部96は、使用開始条件が成立すると使用開始終了条件判定部95が判定し、且つノブ19は使用位置に設定されていないと使用位置ノブ検出センサ93が検出したとき、電動アクチュエータを使用開始状態に設定する。また、使用開始条件が成立すると使用開始終了条件判定部95が判定し、且つノブ19は使用位置に設定されていると使用位置ノブ検出センサ93が検出したとき、電動アクチュエータを停止状態に設定する。
【0089】
また、移動制御部96は、使用終了条件が成立すると使用開始終了条件判定部95が判定し、且つノブ19は格納位置に設定されていないと格納位置ノブ検出センサ94が検出したとき、電動アクチュエータを使用終了状態に設定し、使用終了条件が成立すると使用開始終了条件判定部95が判定し、且つノブ19は格納位置に設定されていると格納使用位置ノブ検出センサ94が検出したとき、電動アクチュエータを停止状態に設定する。すなわち、移動制御部96は、移動機構80を制御する制御手段として機能する。
【0090】
次に、
図12を用いて、コントローラ69が実行する処理について説明する。本処理は、車両のイグニッションキーがON状態であるとき、所定時間毎に繰り返して実行される。
【0091】
本処理が開始されると、使用条件判定部70は、使用条件が成立するか否かを判定する(ステップS21)。
【0092】
使用条件が成立すると使用条件判定部70が判定したとき(ステップS21:YES)、使用開始終了条件判定部95は、使用開始条件が成立するか否かを判定する(ステップS22)。
【0093】
使用開始条件が成立すると使用開始終了条件判定部95が判定したとき(ステップS22:YES)、移動制御部96は、ノブ19は使用位置に設定されていないか否かを判定する(ステップS23)。
【0094】
ノブ19が使用位置に設定されていないとき(ステップS23:YES)、移動制御部96は、電動アクチュエータを使用開始状態に設定して(ステップS24)、本処理を終了する。
【0095】
一方、ノブ19が使用位置に設定されているとき(ステップS23:NO)は、移動制御部96は、電動アクチュエータを停止状態に設定して(ステップS25)、本処理を終了する。
【0096】
また、使用条件が成立しないと使用条件判定部70が判定したとき(ステップS21:NO)、使用開始終了条件95は、使用終了条件が成立するか否かを判定する(ステップS26)。
【0097】
使用終了条件が成立すると使用開始終了条件判定部95が判定したとき(ステップS26:YES)、移動制御部96は、ノブ19は格納位置に設定されていないか否かを判定する(ステップS27)。
【0098】
ノブ19が格納位置に設定されていないとき(ステップS27:YES)、移動制御部96は、電動アクチュエータを使用終了状態に設定する(ステップS28)。
【0099】
一方、ノブ19が格納位置に設定されているとき(ステップS27:NO)、移動制御部96は、電動アクチュエータを停止状態に設定した(ステップS25)、本処理を終了する。
【0100】
また、使用開始条件が成立しないと使用開始終了条件判定部95が判定したとき(ステップS22:NO)、及び使用終了条件が成立しないと使用開始終了条件判定部95が判定したとき(ステップS27:NO)、本処理を終了する。
【0101】
上記のように構成されたステアリングホイール装置では、車両の速度が所定速度未満である間には、ノブ19は、移動部材81によって使用位置で保持されている。車両の速度が所定速度未満から所定速度に達し、そのときの車両の加速度が所定加速度以上であると、ノブ19は、移動部材81によって使用位置から格納位置へ移動され、格納位置で保持される。車両の速度が所定速度未満から所定速度に達した場合であっても、そのときの車両の加速度が所定加速度未満であれば、ノブ19は、移動部材81によって使用位置で保持されたままである。
【0102】
また、ノブが格納位置に設定され、車両の速度が所定速度以上である間には、ノブ19は、移動部材81によって格納位置で保持されている。車両の速度が所定速度以上から所定速度に達し、そのときの車両の加速度が所定加速度未満であると、ノブ19は、移動部材81によって格納位置から使用位置へ移動され、移動部材81によって使用位置で保持される。車両の速度が所定速度以上から所定速度に達した場合であっても、そのときの車両の加速度が所定加速度以上であれば、ノブ19は、移動部材81によって格納位置で保持されたままである。
【0103】
このように、本実施形態のステアリングホイール装置によれば、車両の速度が所定速度未満から所定速度に達し、そのときの車両の加速度が所定加速度以上であると、ノブ19は、移動部材81によって使用位置から格納位置へ移動されるので、運転者が自らノブ19を格納位置に設定する必要がなく、利便性を向上させることができる。
【0104】
また、ノブ19は、移動部材81によって確実に格納されるので、ノブ19の過剰な使用を防止することができる。
【0105】
また、車両の速度が所定速度未満から所定速度に達した場合であっても、そのときの車両の加速度が所定加速度未満であるときや、車両の速度が所定速度以上から所定速度に達した場合であっても、そのときの車両の加速度が所定加速度以上であるときには、ノブ19の設定位置は維持されるので、例えば、渋滞時などのように車両の速度が所定速度の近傍で推移している場合であっても、ノブ19の設定位置が頻繁に変えられることはなく、運転者が煩わしさを感じることはない。
【0106】
また、車両の速度が所定速度未満から所定速度に達した場合であっても、そのときの車両の加速度が所定加速度未満であると、ノブ19は、移動部材81によって使用位置で保持されたままであるので、駐停車時に多少所定速度を超えた場合であっても、ノブ19が使用位置で保持されたままであり、運転者は、ノブ19を把持したまま一連の回転操作を行うことができる。
【0107】
なお、支持機能を有する支持部材10と移動機能を有する移動部材80とを設けるのではなく、
図13及び
図14に示すように、支持機能及び移動機能を有する支持移動機構を設けてもよい。
図13は、ノブ19を軸方向に上下移動させる構成のステアリングホイール装置を示す。
図14は、ノブ19を回転移動させる構成のステアリングホイール装置を示す。
【0108】
図13のステアリングホイール装置は、上下移動型支持移動機構97を備える。上下移動型支持移動機構97は、上下移動型支持移動部材98と駆動部102とを有する。上下移動型支持移動部材98は、上下移動型支持部99と平歯車101とを有する。上下移動型支持部99は、円筒形状であり、ノブ19の握り部31の下部32の外径と略同じ外径と、ノブ19の回転軸の底部21の外径と略同じ内径とを有する。上下移動型支持部99の外周面には、一端から他端の近傍まで軸方向に沿って、平歯車101の歯が係合する複数の歯部100が形成されている。上下移動型支持部99の他端には、ノブ19の底部21が嵌合され固定される。平歯車101は、外周面に複数の歯を有し、中心部に駆動軸(図示省略)の一端が連結される。駆動部102は、駆動軸の他端に連結され、駆動軸を回転させる。駆動軸が回転することによって、平歯車101が回転し、平歯車101の歯が上下移動型支持部99の歯部100に順次係合され、上下移動型支持部99と上下移動型支持部99に固定されたノブ19とが軸方向に移動される。
【0109】
図14のステアリングホイール装置は、回転移動型支持移動機構103を備える。回転移動型支持移動機構103は、回転移動型支持移動部材104と駆動部111とを有する。回転移動型支持移動部材104は、回転移動型支持部105とねじ歯車109とを有する。回転移動型支持部105は、略円柱形状であり、外周面の一部107が平坦に形成されている。また、回転移動型支持部105は、中心部に貫通孔106が形成され、貫通孔106を貫通する支軸(図示省略)によって回転自在に支持される。回転移動型支持部105の外周面の一部107に対向する位置には、ねじ歯車109の歯が係合する複数の歯部108が形成されている。回転移動型支持部105の一部107には、ノブ19の底部21が固定される。ねじ歯車109は、外周面にらせん状の歯を有し、中心部に駆動軸110の一端が連結される。駆動部111は、駆動軸110の他端に連結され、駆動軸110を回転させる。駆動軸110が回転することによって、ねじ歯車109が回転し、ねじ歯車109の歯が回転移動型支持部105の歯部108に順次係合され、回転移動型支持部105と回転移動型支持部105とに固定されたノブ19とが支軸を回転中心として回転移動される。
【0110】
このように、
図13及び
図14のステアリングホイール装置によれば、支持機能及び移動機能を有する上下移動型支持部99又は回転移動型支持部105を備えるので、部品点数の増加を抑制することができる。
【0111】
上記実施形態及び変形例は、本発明の一例であり、本発明を逸脱しない範囲において変更可能である。