(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ダクトと前記杭の地上に露出している部分との間に形成される隙間には、当該隙間を通過する空気の熱と前記杭の熱とを交換する通気性の熱交換部材が配設されていることを特徴とする請求項3に記載の空気調和システム。
前記ダクトの途中位置には、前記ダクトに比べて断面積が大きく、前記ダクトに比べて空気の流速が低下する滞留部が設けられていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の空気調和システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)空気調和システムの第1実施形態:
(2)空気調和システムの第2実施形態:
(3)空気調和システムの第3実施形態:
(4)まとめ:
【0013】
(1)空気調和システムの第1実施形態:
図1及び
図2は、空気調和システムの第1実施形態を説明する図である。
図1は、空気調和システムS1によって発生する空気の流れに沿って当該空気調和システムS1を上下に切断して示した模式的な概略図であり、
図2は、
図1のX−X’切断面に沿って切断した断面を示す図である。
【0014】
空気調和システムS1は、家屋Hの床下空間Uに設けられた熱交換部10により、温度を調整した空気を、ダクトを介して家屋Hの居住空間Lへ送り込むように構成されている。なお、ここで言うダクトは、後述のダクト13、滞留空間20、及びダクト30を含む概念としてとらえることができる。また、空気調和システムS1は、熱交換部10や、熱交換部10とダクト30の間に設けられた滞留部20により、空気中に含まれる塵埃を減少させた空気を、ダクト30を介して家屋Hの居住空間Lへ送り込むように構成されている。以下、空気調和システムS1の各部の具体的な構成について説明する。
【0015】
家屋Hは、屋外Oと床下空間Uとの間で空気が流入又は流出可能な通気口U1、メンテナンス者等が家屋Hの居住空間Lの側から床下空間Uに設置された熱交換部10等にアクセスするための開口60、及び、側げたの間に複数の踏面と蹴込みとを配置して構成された階段STを備える。また、床下空間Uの地面には、基礎コンクリートCが打設してある。なお、通気口U1が設けられていない既存の家屋Hに空気調和システムS1を設ける場合は、施工時に通気口U1を新たに設けておくことが望ましい。
【0016】
なお、家屋Hや当該家屋Hの居住空間Lは、空気調和システムS1が空気を送り込む箇所の一例として挙げたものであり、空気調和システムS1を設置する対象は、人が居住する建物に限らず、その他の様々な建物とすることができる。また、階段STも、空気調和システムS1が空気を送り込む建物内の箇所の一例として挙げたものであり、既存の階段STを有さない家屋の場合は、壁面や床面等の他の箇所から空気を送出するように構成することもできる。
【0017】
熱交換部10は、地熱と空気熱との熱交換を行うものであり、地中に下部を埋設された杭11、多孔性の熱交換部材12、ダクト13、及び、断熱材14を備える。
【0018】
杭11は、少なくとも地盤や空気に比べて熱伝導率の高い材料で構成され、例えば、鉄等の金属を用いることができる。熱交換部材12は、少なくとも地盤や空気に比べて熱伝導率の高い材料で構成され、例えば、スチールウールタワシ等の金属製の線材を用いることができる。なお、線材の太さは、熱伝導率が良好になるように適宜に選択されるものとする。その他、砂利や砂鉄も熱交換に用いることができる。
【0019】
図3は、
図1における熱交換部10の部分を拡大して示した図である。同図に示すように、杭11は、地中に埋設されている埋設部11aと、地表よりも上に露出している露出部11bを備える。埋設部11aや露出部11bの長さは、施工される家屋Hの床下空間Uの高さ等の状況に応じて適宜に選択されるものであるが、埋設部11aについては、少なくとも基礎コンクリートCの打設深さよりも深い位置まで延びて地盤Gに到達する長さとする。
【0020】
埋設部11aの長さをこのようにする理由は、地盤Gの地中温度Tgは、地表に近いほど外気温Taの変動等に影響されて変動しやすいが、深い箇所では変動が少なく、例えば17℃等で安定しているためである。このため、埋設部11aの長さがより深い位置まで延びるほど、杭11の温度は、外気温Taに比べて、安定地中温度Tg0に近い温度に安定する。ただし、実際には、施工の作業負担やコストとのバランスを考えて、杭11を深く埋め込み深さを適宜に選択することになる。
【0021】
なお、本明細書では、基礎コンクリートCよりも深い部位を地盤Gと呼び、空気調和システムS1の設置場所における一定以上の深さの地中温度の平均温度を安定地中温度Tg0と呼ぶものとする。また、理想的には、安定地中温度Tg0とは、年間や一日を通して温度変動が無い深さの地中温度を指すものとする。
【0022】
杭11の埋設部11aは、所望の地中温度Tgの地盤に接する部位を除き、断熱材14で覆うことにより地盤との間を断熱してある。例えば、埋設部11aのうち、基礎コンクリートCと接する部位については、断熱材14で覆いつつ埋設してあり、基礎コンクリートCよりも深く埋設される部位については、直接に地盤と接触するように埋設してある。
【0023】
以上のように構成された熱交換部10においては、杭11は、露出部11bに接触する空気の外気温Taの影響も受けるものの、外気温Taに比べて埋設部11aに接触する地面の地中温度Tgに近い温度となる。すなわち、杭11の露出部11bにおける温度Txは、安定地中温度Tg0に近い温度となる。具体的には、日本であれば、杭11の露出部11bの温度Txは、冬には、地中温度Tgが外気温Taよりも高いため外気温Taよりも高くなり、夏には、地中温度Tgが外気温Taよりも低いため外気温Taよりも低くなる。
【0024】
杭11の露出部11bには、ダクト13が接続されている。ダクト13は、一方の開口13aに杭11の露出部11bの一部を遊嵌してあり、他方の開口13bを滞留部20に接続されている。ダクト13の内径r2は、杭11の外径r1よりも大きく、例えば、ダクト13の内径が約10cmの場合、杭11の外径は約8cmとする。これにより、ダクト13の開口13aに杭11の露出部11bを遊嵌したとき、ダクト13と杭11の間に隙間Ap1が形成される。この隙間Ap1は、杭11の露出部11bの周囲に均一に形成されることが望ましい。
【0025】
また、ダクト13の開口13aに対する杭11の露出部11bの遊嵌長さd2は、露出部11bの長さをd1とすると、開口13aと地表の間に長さd3の隙間Ap2が残るように設計される。これにより、外部の空気は、この隙間Ap2を介して開口13aへ流入可能となり、開口13aへ流入した空気は、隙間Ap1を通ってダクト13の内部へ流入することができる。
【0026】
隙間Ap1には、熱交換部材12が介挿されている。この熱交換部材12は、杭11との間で熱を伝達し合うことにより、外気温Taに比べて安定地中温度Tg0に近い温度となる。熱交換部材12は、上述したように熱伝導率の高い素材であり、同じく熱伝導率の高い部材である杭11と接触することにより、互いに高い熱伝達率で熱を伝達し合うからである。
【0027】
そして、空気が隙間Ap1を通過する際に、露出部11b及び熱交換部材12と接することにより熱交換が行われ、熱交換部材12の中を通過してダクト内部に流入する空気は、外気温Taに比べて地中温度Tgに近い温度になる。
【0028】
また、熱交換部材12は、空気との接触面積が広い多孔性の部材を用いてあるため、隙間Ap1を通過する空気と熱交換部材12との熱効交換効率が向上し、開口13aからダクト13内へ流入した空気は、より地中温度Tgに近い温度に調整される。具体的には、冬であればより暖くなるように調整され、夏であればより冷えるように調整される。このようにして、温度を調整された空気は、ダクト13から滞留部20へ流入する。
【0029】
滞留部20は、ダクト13やダクト30との接続箇所を除くと、断熱材で囲われた略密閉された空間を有する。滞留部20を囲う断熱材は、例えば、一般建築材として用いられる断熱材としての高質スチレンフォームが用いられる。滞留部20には、熱交換部10のダクト13の開口13bに接続される開口21と、ダクト30の空気流入口31に接続部材33を介して接続される開口22が形成されている。
【0030】
滞留部20は、ダクト13やダクト30に比べて空気の流路断面積が大きくなっており、空気調和システムS1の外部からダクト13に流入して熱交換した空気を居住空間Lへ供給する前に一時的に滞留させる。このため、ダクト13から滞留部20へ流入した空気は、滞留部20の中では流速が大幅に低下し、空気中に混入した塵や埃等は、滞留部20で沈降して堆積しやすくなる。これにより、ダクト13へ流出して家屋H内に供給される空気の中から塵埃を減少することができる。なお、滞留部20には、埃等を除去するフィルタ等を設けて、塵埃の除去効率を向上してもよい。
【0031】
滞留部20の開口22に接続されるダクト30は、滞留部20と家屋Hの居住空間Lの階段STの下に形成されるボックス状部としての整流部50との間を連通しており、滞留部20の開口22に接続される空気流入口31、開口22と空気流入口31の間の接続に用いられる接続部材33、整流部50に接続される空気流出口32、及び、空気流出口32と整流部50との接続に用いられる接続部材34、を備える。また、ダクト30内の途中位置としての接続部材33の内部には、送風手段としてのファン40が配設されている。
【0032】
ファン40は、空気調和システムS1内に空気流を発生させる送風手段であり、ダクト30の空気流入口31から空気流出口32へ空気を流す方向に送風する。家屋H内の所定箇所には、このファン40の動作を制御するコントローラ(不図示)が設けてあり、このコントローラを操作によりファン40のオン/オフを制御したりファン40の回転数を変更したりすることができる。むろん、コントローラを設けず、ファン40は常時回転させてもよい。なお、ファン40を設ける位置は、接続部材34の内部に限らず、ダクト30やダクト13の内部であれば、他の部位に設けてもよい。
【0033】
接続部材33は、円筒部の一方の開口に円盤状のフランジを設けたハット型であり、滞留部20の開口22側の内壁側にフランジを密接させつつ開口22の外側に円筒部の一部を露出させた状態で、例えば、開口22と円筒部の間に保温性の充填材を充填することにより、滞留部20に固定されている。円筒部の外径は、開口22の径及びダクト30の空気流入口31の内径に略一致しており、この円筒部の露出部分にダクト30の空気流入口31を接続することにより、滞留部20とダクト30とが連通連接される。
【0034】
図4は、接続部材34の底面図であり、
図5は、接続部材34の側面図である。接続部材34は、円筒部34bの一方の開口の縁に略矩形のフランジ部34aを設けたハット型であり、円筒部34bとフランジ部34aの角部に突起34cがフランジ部34aの各辺に対応して1つずつ形成されている。円筒部34bは、略矩形のフランジ部34aの略中央に配されている。
【0035】
接続部材34は、整流部50の開口52側の内壁側にフランジ部34aを密接させつつ円筒部34bの一部を開口52から整流部50の外側に露出させた状態で、例えば、開口52と円筒部34bの間に保温性の充填材を充填することにより、整流部50に固定される。円筒部34bの外径は、ダクト30の空気流出口32の内径に略一致しており、整流部50に対して固定された円筒部34bの露出部分にダクト30の空気流出口32を接続することにより、整流部50とダクト30とが連通連接される。
【0036】
家屋Hの居住空間Lには階段STがあり、その何れかの踏面の下に、整流部50が設けてある。なお、
図1では、階段STの一段目の踏面ST1aの下に整流部50を設けた状態を示してあるが、整流部50の設置箇所は、2段目やその他の段の下であってもよい。整流部50は、後述の通気構造51や開口52を除くと、例えば、整流部50自体を断熱材で形成したり、周囲を断熱材で覆ったりすることにより、外部と断熱してある。
【0037】
図6は、接続部材34と整流部50の底面との関係を説明する模式的な図である。同図は、接続部材34を整流部50に取り付けた状態の整流部50の内底面を、整流部50の内部側から見て示してある。同図に示すように、整流部50の底面は略矩形であり、整流部50の底面の略中央部には、矩形の開口52が形成されている。
【0038】
このため、ダクト30を挿通させるために床面Fに形成される孔の位置ズレに対応して、接続部材34の位置を適切な位置に変えることが可能となる。
【0039】
また、接続部材34のフランジ部34aは、矩形(
図6では略正方形)としてある。そして、整流部50や接続部材34は、次の関係を有するように形成されている。すなわち、整流部50の底面や開口52のサイズと接続部材34のサイズの間には、フランジ部34aの辺34a1が整流部50の辺501に接したり円筒部34bの側面が開口52の辺521に接したりした状態で、辺34a1の対辺である辺34a2が開口52の辺522よりも整流部50の辺502寄りに位置するように形成されている。また、辺34a3が整流部50の辺503に接したり円筒部34bの側面が開口52の辺523に接したりした状態で、辺34a3の対辺である辺34a4が開口52の辺524よりも整流部50の辺504寄りに位置するように形成されている。これにより、接続部材34が開口52によって移動を規制される範囲内で変位可能としつつも、接続部材34が開口52を確実に閉塞することができる。
【0040】
また、接続部材34のフランジ部34aと円筒部34bの外側面との間の角部には、円筒の長さ方向に延びる突起が形成されている。これにより、接続部材34の円筒部34bの周面に充填材を充填して接続部材34を固定する際に、突起と充填材とが係合して接続部材34が安定的に固定される。
【0041】
図1に戻り説明を続ける。整流部50の蹴込みST1bの側の側面には、整流部50の内部を外部から視覚的に覆い隠しつつ、整流部50の内外を通気可能とする通気構造51が形成してある。通気構造は、例えば、スリット構造とすることができる。なお、蹴込みST1bに蹴込み板がある場合は、この蹴込み板については、取り外すか、整流部50と当接する部分に開口を設けるか、もしくは、通気可能なようにスリット構造を形成しておく。
【0042】
これにより、ファン40から整流部50へ向けて上向きに送風された空気は、その送風方向を蹴込みST1bへ向かう方向に変換され、階段STの蹴込みST1bから居住空間Lへ向けて緩やかに送出されることになる。よって、ファン40が直接に空気を居住空間へ送風する場合に比べて風力が低下され、居住者に不快感を与えることなく、均一な風速で緩やかに空気を居住空間Lへ送り込むことが出来る。
【0043】
また、空気調和システムS1のうち、熱交換部10や滞留部20は、居住空間Lの床面Fに設けられた開口60の下に配設されている。開口60には、蓋部材又は扉が取り付けてあり、開口60を開閉可能になっている。これにより、空気調和システムS1を家屋Hに設置する施工業者にとって施工が容易となり、また、空気調和システムS1の点検やメンテナンスを行う際も作業が容易になる。なお、床面Fに開口60が予め形成されていない家屋Hについては、空気調和システムS1の施工時に、新たに開口60を設けることが望ましい。
【0044】
ここで、開口60の具体的な一例について説明する。
図10は、開口60の具体的な構成の一例を示す図である。
図10において、(a)は開口60を通る位置で上下に切断した状態を示す模式的な断面図であり、(b)は大引柱や補強材と開口60を覆う蓋の位置関係を示す上から見た透し図である。
【0045】
図10に示すように、家屋Hの床Fは、大引柱601,602の上に補強合板604を載置し、その上に必要に応じて畳606などを敷設して形成される。大引柱601,602は、一階部分の床を支える土台607の間に一定間隔(一般的に、900mm〜1000mm)で取り付けられる横架材である。また、これら大引柱601,602を補強する補強材(根太等)603a、603b等が、必要に応じて、大引柱601,602に直交する方向に適宜の間隔で横架される。
【0046】
開口60は、床Fの所定範囲に補強合板604の非敷設箇所Hを設けることにより形成される。
図10では、この非敷設箇所Hを略矩形とし、その矩形の対向する辺H1,H2については、辺H1が大引柱601の上面において幅方向の途中に位置し、辺H2が大引柱601に隣接する大引柱602の上面において幅方向の途中に位置するように形成されている。そして、開口60の蓋部610は、この非敷設箇所Hの形状と略一致する形状としてある。これにより、蓋部610は、辺H1の側の縁部が大引柱601の上面に載置され、辺H2の側の縁部が大引柱602の上面に載置される。
【0047】
また、非敷設箇所Hの他の対向する辺H3,H4については、辺H3が補強材603aの幅方向の上面において途中に位置し、辺H4が補強材603aに隣接する補強材603bの幅方向の上面において途中に位置するように形成されている。これにより、蓋部610は、辺H3の側の縁部が補強材603aの上面に載置され、辺H4の側の縁部が補強材603bの上面に載置される。
【0048】
以上のようにして形成される開口は、従来の一般的な家屋における床下に続く開口に比べてやや大きいものとなる。従って、既存の家屋に、本実施形態の空気調和システムを設けたりメンテナンスを行ったりする際の作業性が向上する。
【0049】
また、従来の家屋における床下に続く開口は、大引柱の間隔より幅狭なものが一般的であったため、開口の縁部に蓋部を支持する専用の枠材を別途に用意する必要であった。これに対し、上述した開口60は、大引柱や補強材によって蓋部を支持する構造を採用しているため、このような専用の枠材が不要であり、設置の容易化及び設置費用の低価格化を実現できる。また、畳606の下に開口を形成すれば、開口60や蓋部610が隠蔽されるため美観を損なうこともない。
【0050】
以上説明した空気調和システムS1によれば、シンプルな構造で、外気温Taよりも地中温度Tgに近い温度の空気を、家屋内に送風することが出来る。また、塵埃を減少してから居住空間へ空気を送り込むため、居住空間が汚れにくい。この塵埃を減少させるための滞留部もシンプルな構造で実現できる。さらに、特殊な部材を用いずに実現可能であるため、低価格で実現することが出来る。また、施工や点検、メンテナンスが容易である。
【0051】
(2)空気調和システムの第2実施形態:
図7は、空気調和システムの第2実施形態を説明する図である。同図に示す空気調和システムS2は、地熱を用いて温度を調整した空気を、家屋Hの居住空間Lへ送り込むようになっている。なお、家屋Hの構成については、第1実施形態と同様であるため、以下では説明を省略する。
【0052】
同図において空気調和システムS2は、地熱と空気熱との熱交換を行うための熱交換室110、外部から吸引して熱交換した空気を家屋Hの居住空間Lに送り込むためのダクト130、及び、空気調和システムS2内に空気流を発生させるためのファン140を備える。ファン140が発生した空気流は、熱交換室110及びダクト130の中を流れる。
【0053】
熱交換室110は、地中に下部を埋設された杭111、多孔性の熱交換部材112、及び、断熱材により形成された熱交換室113を備える。杭111は、熱伝導率の高い素材で構成され、例えば、鉄等の金属製とする。熱交換部材112は、多孔性の素材で構成され、例えば、熱伝導率の高い金属製の線材(例えば、スチールウールタワシ等)、砂利、又は、砂鉄を用いることが出来る。熱交換室113を形成する断熱材は、例えば、一般建築材として用いられる断熱材である硬質スチレンフォームを用いることが出来る。
【0054】
杭111は、地中に埋設されている埋設部111aと、地表に露出している露出部111bを備える。埋設部111aや露出部111bの長さは、設計や施工される家屋Hの状況に応じて適宜に選択されるものであるが、埋設部111aについては、上述した第1実施形態と同様、基礎コンクリートの打設深さよりも深い位置まで延びる長さであることが望ましい。一方、露出部111bは必ずしも形成される必要は無く、少なくとも杭111の頭頂面が地表とほぼ同一平面上にある程度の長さを有すればよい。
【0055】
また、杭111の埋設部111aは、上述した第1実施形態に係る空気調和システムS1の場合と同様に、所望の地中温度Tgの地盤に接する部位を除き、断熱材117で覆うことにより地盤との間を断熱してある。
【0056】
床下空間Uにおいて、埋設された杭111の周囲には、上下に低い扁平空間を有した熱交換室113が形成されている。この熱交換室113は、底面が杭111の埋設された基礎コンクリートCの面で構成され、上面と側面が断熱材で形成されている。熱交換室113の上面と側面を形成する断熱材には、硬質スチレンフォーム等の一般建築材として用いられる断熱材を用いることが出来る。熱交換室113を形成する断熱材とコンクリート面は、アンカーボルト等を用いて互いに密着固定されている。
【0057】
熱交換室113には、断熱材で構成された側面を、内外を貫通する空気流入孔114と空気流出孔115が形成されている。これら空気流入孔114と空気流入孔115の途中位置には、上述した熱交換部材112が扁平空間を仕切るように配置されている。これにより、空気流入孔114から流入して空気流入孔115から流出する空気は、必ず、熱交換部材112の中を通過して熱交換されることになる。
【0058】
また、熱交換部材112は、上述した杭111と接触配置されており、第1実施形態において説明したように、熱交換部材112の温度は外気温Taに比べて杭111の埋設部111aの周囲の地盤の地中温度Tgに近い温度になる。このため、熱交換部材112を通過した空気は、外気温Taに比べて地中温度Tgに近い温度に調整されることになる。なお、杭111の数は特に限定されるものではなく、熱交換部材112の配置面積に応じて、1本以上の数を適宜に選択可能である。
【0059】
また、空気流入孔114には、所定のフィルタを配設することができる。所定のフィルタとしては、空気調和システムS2が配置される環境に応じて、空気中の埃やゴミを除去するフィルタや臭いを除去するフィルタ等、様々なフィルタを適宜に採用可能である。これにより、空気調和システムS2が居住空間へ送り込む空気から不要なものを除去することが出来る。
【0060】
また、空気流出孔115には、上述した第1実施形態に係る接続部材33と同様のハット型の接続部材133を用いてダクト130の開口131が接続されている。また、ダクト130の開口132は、上述した第1実施形態に係る整流部50と同様の整流部150の下面に、接続部材34と同様の接続部材134を用いて接続されている。
【0061】
接続部材134の内部には、ファン140が設けてあり、ファン140が回転すると、開口131から開口132へ向かう方向へ空気流が発生する。これにより、熱交換室113で熱交換された空気が、ダクト130を通って整流部150の側面に形成された通気構造から居住空間Lへ送出される。
【0062】
なお、熱交換室110を構成する各部の配置は、様々に変更可能であり、例えば、
図8に示す配置が例示される。
【0063】
また、
図8に示す例では、熱交換室110の上面の略中央に1つの空気流出孔115を形成し、この空気流出孔115を囲繞するように熱交換室110の中に熱交換部材112をリング状に配置し、その熱交換部材112の更に周囲の熱交換室110の上面に、同心円状に複数の空気流入孔114を形成してある。この
図9に示す例でも、空気流入孔114から流入して空気流出孔115から流出する空気は、必ず、熱交換部材112の中を通過することになる。なお、空気流入孔114と熱交換部材112と空気流出孔115との位置関係は、空気流入孔114から流入して空気が空気流出孔115から流出する空気が熱交換部材112の中を通過しさえすれば、様々に変更可能であることは言うまでもない。
【0064】
その他、熱交換室110には、コンクリート面に排水孔116を設けてもよい。このとき、基礎コンクリートCに、排水孔116に向けて緩やかな傾斜を付けておくとなお好適である。これにより、仮に、空気中の水分凝結等の理由で熱交換室110の内底面に水が貯まっても、排水孔116に流れ込むため、カビの発生が防止され、熱交換室110を清潔に保ち、ひいては、居住空間へ送りこむ空気を清潔なものとすることが出来る。
【0065】
以上説明した空気調和システムS2によれば、第1実施形態に係る空気調和システムS1よりも更にシンプルな構造で、外気温Taよりも地中温度Tgに近い温度の空気を、家屋内に送風することが出来る。すなわち、第1実施形態に係るダクト13に相当する構成が不要であり、また、杭111の長さも第1実施形態の杭11に比べて短くできるため、特殊な部材を用いずに低価格で実現することが出来る。また、施工や点検、メンテナンスが容易である。
【0066】
(3)空気調和システムの第3実施形態:
図9は、空気調和システムの第3実施形態を説明する図である。同図に示す空気調和システムS3は、杭111や断熱材117を備えない点で、上述した空気調和システムS2と相違し、その他の点では、空気調和システムS2と同じであるため、空気調和システムS2と同じ符号を用いて説明する。
【0067】
この空気調和システムS3のように杭111を備えない場合には、熱交換部材112は、基礎コンクリートCの温度付近に温度調整される。ここで、基礎コンクリートCの温度Tcも、外気温Taに比べれば、十分に安定地中温度Tg0に近いためである。従って、熱交換部材112を通過した空気は、夏には涼しくなるように調整され、冬には暖かくなるように調整される。なお、この
図9に示すような基礎コンクリートCを介した熱交換は、上述した第2実施形態に係る
図7に示す空気調和システムにおいても実質的に行われているものである。
【0068】
以上説明した第3実施形態に係る空気調和システムS3によれば、第2実施形態に係る空気調和システムS2に比べて、杭をコンクリート及び地盤へ埋設するための作業工程が不要となるため、上述した第2実施形態に係る空気調和システムS2に比べて施工しやすく、施工費用を低価格にすることが可能であり、また、杭や断熱材が不要であるため、材料費を抑えることが出来る。
【0069】
(4)まとめ:
以上説明したように、第1実施形態に係る空気調和システムS1は、地中に下部を埋設された金属製の杭11と、一方の開口13aが、杭11の露出部11bの外側面との間に所定間隔d4の隙間を空けた状態で、杭11の露出部11bに対して取り付けられているダクト13と、ダクト13と連通しているダクト30の内部いずれかの位置に設けられ、ダクト30の空気流入口31から空気流出口32へ向けて送風するためのファン40と、を備えている。これにより、地盤と空気との間で、安価かつ効率的に熱交換を行い、地盤温度に近い温度に調整された空気をダクト30の空気流出口32から送出することが出来る。
【0070】
また、第2実施形態に係る空気調和システムS2や第3実施形態に係る空気調和システムS3は、基礎コンクリートCの上面を底面としつつその他の面を断熱材で囲われた上下に低い扁平空間を有し、前記扁平空間と外部とを連通する空気流入孔114及び空気流入孔115を断熱材で形成された側面に有する熱交換室と、前記扁平空間において空気流入孔114から空気流入孔115へ至る経路の途中位置に配設された通気性の熱交換部材112と、一方の開口が、空気流入孔115に対して取り付けられているダクト130と、ダクト130の内部いずれかの位置に設けられ、ダクト130の開口131から開口132へ向けて送風するためのファン140と、を備える。これにより、地盤と空気との間で、安価かつ効率的に熱交換を行い、地盤温度に近い温度に調整された空気をダクト130の開口132から送出することが出来る。
【0071】
なお、本発明は上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。また,本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。