(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御部は、現実に負荷装置を運転させたことによる使用電力である実績使用電力を表示させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電力ナビゲーション装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本実施形態における電力ナビゲーション装置(運転計画作成装置)を備える設備の構成例を示している。この図に示す設備は、建物1において、第1設備グループ100−1から第N設備グループ100−NまでのN組の設備グループと運転計画作成装置200と太陽光発電300を備える。
【0017】
第1設備グループ100−1から第N設備グループ100−Nは、建物1における所定のエリアごとに応じて区分される設備群である。なお、以降の説明において第1設備グループ100−1から第N設備グループ100−Nについて特に区別しない場合には、設備グループ100と記載する。
【0018】
第1設備グループ100−1は、6つの空調機111−1から111−6を備える。また、第2設備グループ100−2は、4つの空調機111−7から111−10を備える。そして、第N設備グループ100−Nは、6つの空調機111−(N−5)から111−Nを備える。つまり、第1設備グループ100−1から第N設備グループ100−Nは、それぞれ、1以上の空調機111を備える。
【0019】
これらの空調機111は、本実施形態の設備における負荷装置である。空調機111の各々は、商用交流電源2と太陽光発電300から供給される電力を入力して動作する。
【0020】
なお、負荷装置の種別としては空調機のみに限定される必要はなく例えば照明機器、ポンプ、送風機、温水機なども含めることができるが、ここでは説明の便宜上、空調機のみとしている。また、上記空調機111は、それぞれが異なる機種などとされてかまわない。
【0021】
運転計画作成装置200は、設備の管理者が入力したデマンド目標値に基づいて空調機111についてのデマンド制御運転計画を作成する。デマンド制御運転計画は、入力電力が上記デマンド目標値を越えることがないように所定の空調機111の運転を停止させるデマンド制御の実行を含めた運転計画である。
【0022】
また、運転計画作成装置200は、上記のように作成された運転計画に関連した所定の情報の表示を行う。例えば、運転計画作成装置200は、デマンド制御運転計画を表示する。また、デマンド制御を行う場合と行わない場合のそれぞれにおいて予測される使用電力を視覚的に把握可能なように表示する。また、空調機111についての運転結果やこの運転結果における使用電力などの運転実績を表示する。
【0023】
また、運転計画作成装置200は、管理者の操作によって「自動運転」が指定されている場合には、デマンド制御運転計画にしたがって各設備グループ100における空調機111を運転させる。このために、運転計画作成装置200と空調機111の各々は例えばデータインターフェースやネットワークなどにより通信が可能なように接続される。なお、運転計画作成装置200は、例えばコンピュータ装置に運転計画作成装置の機能を実現するためのプログラムを実行させることにより実現することができる。
【0024】
太陽光発電300は、自然エネルギーを利用して発電する発電装置であり、例えば、入射される太陽光から電力を生成する発電装置である。この太陽光発電300にて生成された電力は空調機111に対して供給される。
【0025】
図2は、運転計画作成装置200の構成例を示している。運転計画作成装置200は、デマンド目標値設定部201、電力予測部202、運転計画作成部203、表示制御部204、運転制御部205、記憶部206、操作部207、表示部208、ネットワーク通信部209およびデータインターフェース210を備える。
【0026】
デマンド目標値設定部201は、デマンド目標値を所定の時間帯(例えば1時間)ごとに対応させて入力する操作に応じて上記時間帯ごとのデマンド目標値を設定する。本実施形態におけるデマンド目標値は、設備全体において許容される買電電力からの消費電力の上限を示す値である。また、本実施形態におけるデマンド目標値は、例えば電力会社と需要家との間で取り決められる契約デマンドにおけるデマンド目標値とは異なり、需要家側で任意に決定することのできるものである。そのうえで、契約デマンドにおけるデマンド目標値が時間帯に関係なく一律に決定されるものであるのに対して、本実施形態におけるデマンド目標値は上記のように時間帯ごとに需要家側で任意に決定することができる。
【0027】
デマンド目標値設定部201は、デマンド目標値の入力操作に応じてデマンド制御のためのデマンド目標値を設定する。このために、デマンド目標値設定部201は、操作により入力されたデマンド目標値をデマンド目標値データ261として生成し、記憶部206に記憶させる。このデマンド目標値データ261は、操作により入力されたデマンド目標値を時間帯ごとに対応付けて格納した構造を有する。
【0028】
電力予測部202は、所定状態での時間帯ごとにおける負荷装置の使用電力(買電電力)を予測する。例えば、電力予測部202は、デマンド制御の実行を伴わない運転計画にしたがって空調機111を運転した場合の使用電力(制御非対応使用電力)を予測する。また、電力予測部202は、デマンド制御を伴う運転計画(デマンド制御運転計画)にしたがって空調機111を運転した場合の使用電力(制御対応使用電力)についても予測する。
【0029】
運転計画作成部203は、上記のように予測された制御非対応使用電力(買電電力)が前記デマンド目標値設定部201により設定されたデマンド目標値を越えないようにするデマンド制御を行うこととした場合の負荷装置の計画が示されるデマンド制御運転計画を作成する。
【0030】
表示制御部204は、上記のように作成されたデマンド制御運転計画を表示部208に表示させる。また、電力予測部202により予測されたデマンド制御非対応予測電力やデマンド制御対応予測電力を表示させる。さらに、運転制御部205により現実に空調機111を運転させたことによる消費電力(実績使用電力)を表示させる。なお、これらの運転計画および電力の表示態様例については後述する。
【0031】
運転制御部205は、各設備グループ100における空調機111に対する運転制御を実行する。本実施形態において、運転制御部205は、自動運転と手動運転とに対応した運転制御を実行する。つまり、運転計画作成装置200は、操作部207に対して行われる所定操作に応じて、自動運転と手動運転のいずれかを設定するようにされている。そして、自動運転が設定されている場合、運転制御部205は、運転計画作成部203が作成したデマンド制御運転計画にしたがって運転制御を実行する。また、手動運転が設定されている場合、運転制御部205は、管理者が操作部207に対する操作により設定した運転計画にしたがって運転制御を実行する。
【0032】
記憶部206は、デマンド制御運転計画作成のために必要とされる各種のデータを記憶する。ここでは、記憶部206が記憶するデータのうち、運転計画作成部203が利用するデータとして、デマンド目標値データ261、気象予報データ262、実績データ263、機器データ264、運転計画データ265、デマンド制御運転計画データ266および制御可否データ267が示されている。
【0033】
デマンド目標値データ261は、前述のようにデマンド目標値設定部201がデマンド目標値設定のために生成したデータであり、操作により入力された時間帯ごとのデマンド目標値の情報から成る。
【0034】
気象予報データ262は、ネットワーク3を経由して気象予報サーバ(図示せず)から取得した気象予報情報から成るデータである。この気象予報データ262には、予報日ごとにおける時間帯ごとの天候、気温、湿度などの情報が含まれる。
【0035】
実績データ263は、過去における空調機111の運転制御内容やこれに伴う使用電力などの運転実績が示されるデータである。
【0036】
機器データ264は、本実施形態における負荷装置である空調機111ごとについての定格電力や空調性能などの仕様に関する情報を格納するデータである。
【0037】
運転計画データ265は、デマンド制御を考慮することなく作成された基本的な運転計画を示すデータである。この運転計画データ265は、例えば運転計画作成装置200が上記気象予報データ262、実績データ263、および機器データ264などを利用して所定のアルゴリズムによって作成される。または、この運転計画データ265は、管理者が手動操作により作成したものであってもよい。
【0038】
デマンド制御運転計画データ266は、運転計画作成部203が作成したデマンド制御運転計画の内容が示されるデータである。
【0039】
制御可否データ267は、運転計画作成部203が作成したデマンド制御運転計画にしたがった運転制御「自動運転」を実行させるか否かを示すデータである。この制御可否データ267の内容は、管理者が操作部207に対して行う所定操作に応じて設定される。
【0040】
操作部207は、例えばキーボードやマウスなど、各種の操作デバイスを一括して示したものである。上記操作デバイスに対して操作が行われるのに応じて、操作部207は操作信号を出力する。この操作信号に応じて、
図2に示される所定の機能部がしかるべき動作を実行する。
【0041】
表示部208は、例えば液晶ディスプレイなどの所定のディスプレイデバイスを備え、表示制御部204の制御に応じて画像を表示する。
【0042】
ネットワーク通信部209は、ネットワーク3経由で通信を実行する部位である。このネットワーク通信部209により、前述のようにネットワーク3上に存在する気象予報サーバにアクセスして気象予報データ262をダウンロードすることが可能となる。
【0043】
データインターフェース210は、所定のデータインターフェース規格にしたがって外部端末と通信を実行する。本実施形態においては、このデータインターフェース210を介して、各設備グループ100における空調機111と通信を実行するようにされている。これにより、運転計画作成装置200の空調機111に対する運転制御が可能となる。
【0044】
図3は、デマンド目標値設定部201が表示部208に表示させるデマンド目標値入力画面400の例を示している。この図に示すデマンド目標値入力画面400における1行は、項目領域401と合計電力量領域402と時刻領域403が左から右にかけて配列されてなる。
【0045】
項目領域401における1行目は「過去実績(前日)」と表示されていることで、過去の運転実績として、前日の運転実績が表示されていることを示している。この1行目における合計電力量領域402には、前日における24時間の運転による消費電力量の合計が示されている。
【0046】
また、時刻領域403には、24時間を1時間ごとに区分した時間帯(「00:00」から「23:00」)が示されている。そのうえで、「過去実績(前日)」に対応する時刻領域403においては、「00:00」から「23:00」までに対応する時間帯ごとに、前日における運転による消費電力量の数値が示されている。これらの24個の時間帯ごとの消費電力量の合計値が上記合計電力量領域402の1行目において示される数値と一致する。
【0047】
また、項目領域401における2行目は「目標値(買電電力量)」と表示されていることで、当該行がデマンド目標値を入力するため操作を行うべき行であることが示される。そして、この2行目における時刻領域403においては、「00:00」から「23:00」までに対応する時間帯ごとに、目標値入力ボックス431が配置される。
【0048】
なお、この図に示されている目標値入力ボックス431の数値は初期表示に対応する。つまり、ここでは、デマンド目標値入力画面400が初期表示された段階では、過去実績における時間帯ごとの消費電力量と同じ数値が各目標値入力ボックス431に設定されているものである。
【0049】
そして、管理者は、所定操作によって、上記目標値入力ボックス431に対して任意の数値を入力することができる。このように、本実施形態の運転計画作成装置200は、1時間区切りの時間帯ごとにデマンド目標値を入力する操作を行うことが可能とされている。そして、デマンド目標値設定部201は、上記のように時間帯ごとの目標値入力ボックス431に入力された電力の数値をデマンド目標値データ261として生成し、記憶部206に記憶させる。
【0050】
運転計画作成部203は、上記デマンド目標値データ261を利用してデマンド制御運転計画を作成する。具体的に、運転計画作成部203は、電力予測部202が予測したデマンド制御非対応予測電力と、デマンド目標値データ261が示すデマンド目標値とを時間帯ごとに比較する。デマンド制御非対応予測電力は、デマンド制御を行わない場合の運転計画(つまり、運転計画データ265)にしたがって空調機111を運転した場合の電力を予測したものである。
【0051】
そして、運転計画作成部203は、デマンド制御非対応予測電力がデマンド目標値を越える時間帯において、買電電力がデマンド目標値以下となるように所定の空調機111を停止させた運転計画を作成する。このようにデマンド目標値を越えないように負荷装置(空調機111)を停止させることをデマンド制御といい、上記のようにデマンド制御による負荷装置の停止計画を含む運転計画作がデマンド制御運転計画である。
【0052】
また、運転計画作成部203は、実績データ263を利用して学習を行うようにされている。これにより、例えば実績データ263として蓄積される過去の運転についての実績の情報量が増加するのに応じて、運転計画作成部203により作成されるデマンド制御運転計画の精度を高くしていくことができる。
【0053】
本実施形態では、デマンド制御における空調機111の運転と停止については設備グループ100単位で設定するものとする。ただし、例えば居住者の快適性などを考慮し、設備グループ100におけるすべての空調機111を一斉に停止させるのではなく、そのうちの一部の空調機111を停止させる。そのうえで、例えば単位時間(例えば20分から30分程度)ごとに、その設備グループ100において停止させるべき空調機111をローテーションさせる。一例として、
図1の第2設備グループ100−2において1つの空調機111を停止させるようにデマンド制御を行うこととした場合、上記の単位時間ごとに、例えば空調機111−7、111−8、111−9、111−10の間で所定順にしたがって順次停止させ、残りについては運転させるというものである。これにより、1つの設備グループ100において空調が効かないエリアを時間的に分散することができ、室内の快適性を保つことができる。
【0054】
また、本実施形態のデマンド制御において停止させるべき空調機111については以下のように選択する。つまり、予めデマンド制御のための運転停止に関する優先順位を空調機111ごとに設定しておく。そして、デマンド制御により空調機111を停止させるべき時間帯において、買電電力からの消費電力がデマンド目標値以下となるまで、優先順位が高い方の空調機111から停止すべきと設定する。
【0055】
そして、表示制御部204は、上記のように作成されたデマンド制御運転計画を、運転計画画面として表示部208に表示させる。
【0056】
図4および
図5は、表示部208に表示される運転計画画面500の一例を示している。
図4と
図5により1つの運転計画画面500を示しており、
図4は運転計画画面500の左側部分を示し、
図5は、
図4の運転計画画面500に続く右側部分を示す。
【0057】
運転計画画面500における1つの行は、1つの設備グループに対応して、ID領域501、設備グループ名称領域502、制御可否指示領域503、ローテーション可否指示領域504、時刻領域505から成る。
【0058】
ID領域501は、対応の設備グループ100を一意に特定する設備グループ識別子としての数値を示す。設備グループ名称領域502は、対応の設備グループ100の名称を示す。
【0059】
制御可否指示領域503は、対応の設備グループ100内の空調機111についてデマンド制御による停止が許可されているか否かを、例えば図のように「する」、「しない」の各文言により示す。なお、この制御可否指示領域503における内容は、予めの管理者の操作によって設定された結果が反映されている。
【0060】
ローテーション可否指示領域504は、対応の設備グループ100内の空調機111をデマンド制御により停止させるにあたり、前述のローテーションを行うように設定されているか否かを「する」、「しない」の各文言により示す。なお、ローテーションを行うべきか否については、管理者の操作によって変更設定可能とされている。
【0061】
時刻領域505には、24時間を30分ごとに区分した時間帯(00:00から23:00)が示されている。そして、この時刻領域505においては、対応の設備グループ100ごとのデマンド制御運転計画が示される。つまり、デマンド制御運転計画のもとで決定された、対応の設備グループ100内の空調機111の制御内容が時間帯ごとに示される。ここでの制御内容は、「運転」、「停止」、「デマンド制御対象」のいずれかとなる。
【0062】
上記制御内容のうち、「運転」は、対応の設備グループ100における空調機111をすべて運転させる制御である。「停止」は、対応の設備グループ100における空調機111をすべて停止させる制御である。
【0063】
「デマンド制御対象」は、以下の制御内容をいう。つまり、その時間帯における買電電力がデマンド目標値を越えなければ、対応の設備グループ100における空調機111をすべて運転させる。しかし、デマンド目標値を越えたときには、予めの設定にしたがって対応の設備グループ100における所定の空調機111を停止させるというものである。
【0064】
なお、設備グループ100の数が多いために、1画面分の運転計画画面500によってはすべての設備グループ100の情報を表示できない場合には、例えばスクロールやページ送りによって、次の設備グループ100の情報を表示させるようにすればよい。
【0065】
また、表示制御部204は、実績データ263を利用して、過去における1日分の運転実績を、運転実績画面として表示させる。
図6および
図7は、運転実績画面600の表示態様例を示している。この場合にも、
図4および
図5と同様に、
図6および
図7により1つの運転実績画面600を示しており、
図6は運転実績画面600の左側部分を示し、
図7は、
図6の運転実績画面600に続く右側部分を示す。
【0066】
運転実績画面600における1つの行は、1つの設備グループに対応して、ID領域601、設備グループ名称領域602、制御可否指示領域603、ローテーション可否指示領域604および時刻領域605から成る。これらの各領域については、
図5および
図6におけるID領域501、設備グループ名称領域502、制御可否指示領域503、ローテーション可否指示領域504および時刻領域505と同様である。
【0067】
ただし、運転実績画面600における時刻領域505には、過去の或る1日において現実に運転を行った際の制御結果が示される。ここでの制御結果は、「運転」、「停止」、「デマンド制御対応停止」のいずれかとなる。
【0068】
「運転」と「停止」については、
図5および
図6に示した運転計画画面500の場合と同様である。「デマンド制御対応停止」は、その時間帯において買電電力がデマンド目標値を越えたことに応じてデマンド制御が行われたために、対応の設備グループ100における所定の空調機111が停止されたことを示す。
【0069】
また、表示制御部204は、
図8に示す予測電力画面700Aを表示する。この予測電力画面700Aは、横軸が時刻とされ、縦軸が電力とされたうえで、図示するように、デマンド目標値701、制御非対応買電電力702および制御非対応受電電力703のそれぞれがグラフとして示される。
【0070】
デマンド目標値701は、デマンド目標値設定部201により設定されたデマンド目標値、つまり、デマンド目標値データ261の内容を示している。
【0071】
制御非対応買電電力702は、運転計画データ265により運転した場合、つまりデマンド制御を行うことなく空調機111を運転した場合に予測される買電電力を示している。管理者は、このように表示されるデマンド目標値データ261と制御非対応買電電力702とを比較することにより、例えばどの時間帯において買電電力が目標値を超えており、また、どの程度越えているのかなどを視覚的に把握できる。
【0072】
制御非対応受電電力703は、デマンド制御を行うことなく空調機111を運転した場合の空調機111全体での受電電力を示す。この制御非対応受電電力703は、制御非対応買電電力702と太陽光発電300により発電される電力の予測値とを合計したものとなる。したがって、予測電力画面700Aにおける制御非対応買電電力702と制御非対応受電電力703の差分は、時刻ごとにおいて予測される太陽光発電300の発電電力を示していることになる。つまり、制御非対応受電電力703を表示することにより、これを見た管理者は、太陽光発電300の発電電力がどの程度利用可能であるのかも知ることができる。
【0073】
この
図8に示されるデマンド目標値701は一律ではなく、時間帯に対して変化している。これは、本実施形態において設定されるデマンド目標値が時間帯ごとに任意に設定可能であることを示している。
【0074】
そのうえで、この
図8の場合、制御非対応買電電力702は、10:00から12:00頃の期間と、14:00頃から17:00頃の期間においてデマンド目標値701を越えている。したがって、この場合の運転計画作成部203は、上記のように制御非対応買電電力702がデマンド目標値701を越える期間においてデマンド制御が行われるようにされたデマンド制御運転計画を作成する。つまり、運転計画作成部203は、制御非対応買電電力702がデマンド目標値701を越える期間において、買電電力がデマンド目標値701以下となるようにしかるべき空調機111を停止させるように運転制御の内容を決定する。
【0075】
そして、表示制御部204は、
図9に示すデマンド制御対応の予測電力画面700Bを表示する。この予測電力画面700Bにおいては、横軸が時刻とされ、縦軸が電力とされたうえで、デマンド目標値701と制御対応買電電力704のそれぞれがグラフとして示される。
【0076】
制御対応買電電力704は、運転計画作成部203が作成したデマンド制御運転計画により空調機111を運転させた場合に予測される買電電力を示す。この図に示されるように、制御対応買電電力704は、そのピークがデマンド目標値701以下となるように抑制されている。つまり、制御対応買電電力704は、デマンド制御を行ったとする場合の買電電力を示しているものである。
【0077】
また、表示制御部204は、実績データ263を利用して、例えば
図10に示すように、建物全体での運転実績を示す実績電力画面700Cを表示する。この実績電力画面700Cにおいては、横軸が時刻とされ、縦軸が電力とされたうえで、デマンド目標値701と実績買電電力705および実績受電電力706のそれぞれがグラフとして示される。
【0078】
実績買電電力705は、空調機111を運転させた結果に対応した買電電力が示される。実績受電電力706は、空調機111を運転させた結果に対応した空調機111全体の受電電力を示す。この実績受電電力706は、同じ時間帯における実績買電電力705と太陽光発電300により発電された発電量とを合計したものとなる。したがって、実績電力画面700Cにおける実績買電電力705と実績受電電力706の差分は、時刻ごとにおいて過去において現実に太陽光発電300にて発電され、建物全体が利用した電力を示していることになる。
【0079】
なお、上記予測電力画面700A、700Bおよび実績電力画面700Cは、1つの同じ画面領域において同時に表示させることとしてもよい。1つの画面に表示させれば、デマンド目標値701、制御非対応買電電力702、制御非対応受電電力703、制御対応買電電力704、実績買電電力705および実績受電電力706を総合的に比較することができる。
【0080】
また、上記予測電力画面700A、700Bおよび実績電力画面700Cとともに、先に
図4から
図7に示した運転計画画面500と運転実績画面600を所定のレイアウトにより1つの画面において同時に表示させることとしてもよい。
【0081】
管理者は、上記
図4から
図10のように表示させた画面(ナビゲーション画面)を見ることにより、手動により運転計画を組み立てるにあたっての参考とすることができる。また、例えば管理者が運転計画画面500に表示されているとおりのデマンド制御運転計画でよいと判断したのであれば、管理者は、操作部207に対する所定操作によって自動運転を設定する。これにより、運転計画作成装置200における運転制御部205は、運転計画作成部203により作成されたデマンド制御運転計画にしたがって運転制御を実行する。つまり、デマンド制御運転計画にしたがった自動運転が行われる。
【0082】
図11は、運転計画作成装置200がデマンド制御運転計画の作成に対応して実行する処理手順例を示している。この図に示す処理は、運転計画作成装置200におけるデマンド目標値設定部201、電力予測部202、運転計画作成部203および表示制御部204のいずれかが適宜実行するものとしてみることができる。
【0083】
例えばデマンド目標値入力画面400を表示させるための操作が行われるのに応じて、デマンド目標値設定部201は、デマンド目標値入力画面400を表示部208に表示させる(ステップS101)。そして、デマンド目標値設定部201は、デマンド目標値入力画面400に対するデマンド目標値の入力操作に応じてデマンド目標値を設定する(ステップS102)。つまり、デマンド目標値設定部201は、デマンド目標値データ261を生成して記憶部206に記憶させる。これにより、デマンド目標値が設定されたことになる。
【0084】
この後、例えば運転計画作成を指示する操作が行われるのに応じて、電力予測部202は、記憶部206に記憶される運転計画データ265に基づいて制御非対応買電電力を予測する(ステップS103)。
【0085】
次に、運転計画作成部203は、デマンド制御運転計画を作成する(ステップS104)。この際、運転計画作成部203は、デマンド目標値データ261が示すデマンド目標値を上記ステップS103にて予測された制御非対応買電電力が越えている時間帯において、デマンド制御によって停止すべき空調機111を決定するものである。また、運転計画作成部203は、実績データ263を利用した学習機能によって、デマンド制御運転計画を修正することも行う。
【0086】
上記のようにデマンド制御運転計画が作成されるのに応じて、電力予測部202は、制御対応買電電力を予測する(ステップS105)。制御対応買電電力は、前述のように、デマンド制御運転計画にしたがって運転を行ったとする場合における買電電力であり、例えば、
図9に示した予測電力画面700Bの制御対応買電電力704のグラフを表示するのに利用される。
【0087】
また、表示制御部204は、例えばナビゲーション画面の表示を指示する操作が行われるのに応じて、運転計画画面500、運転実績画面600、予測電力画面700A、700Bおよび実績電力画面700Cを表示させるための制御を実行する(ステップS106)。
【0088】
図12のフローチャートは、運転計画作成装置200が運転制御のために実行する処理手順例を示している。運転計画作成装置200において、運転制御部205は、記憶部206に記憶される制御可否データ267を参照して「自動運転」が設定されているか否かについて判定する(ステップS201)。
【0089】
「自動運転」が設定されていると判定した場合(ステップS201−YES)、運転制御部205は、運転計画作成部203が作成したデマンド制御運転計画にしたがって空調機111に対する運転制御を実行する(ステップS202)。
【0090】
これに対して、「自動運転」が設定されていないと判定した場合(ステップS201−NO)、運転制御部205は、管理者の手動操作によって作成された運転計画(手動設定運転計画)にしたがって空調機111に対する運転制御を実行する(ステップS203)。
【0091】
また、運転制御部205は、上記のようにデマンド制御運転計画または手動設定運転計画にしたがって運転制御を実行しながら、以下の処理を実行する。つまり、運転制御部205は、運転制御結果に基づいて、所定の単位時間ごとに対応する運転結果とこれに伴う使用電力などの情報から成る実績データ263を生成し、記憶部206における実績データ263に追加登録するように記録する(ステップS204)。
【0092】
なお、上記実施形態においては、使用電力として、買電電力がデマンド目標値を超えないようにデマンド制御を行うこととしている。しかし、例えば太陽光発電300などによる発電電力と上記買電電力とを合わせた受電電力を使用電力として扱い、この受電電力がデマンド目標値を越えることがないようにデマンド制御を行うようにしてもよい。
【0093】
上述した実施形態によれば、過去の電力の実績を表示し、これに対してデマンド値の入力を時間毎に受け付け、この入力に従って運転スケジュールを決定し表示することができる。従って、管理者に対し、デマンド値等の検討や立案をする支援をすることができ、従来に比べて運転計画を適切に決定することが可能となる。
【0094】
また、
図2における各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行させることとしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0095】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。