(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794538
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H04W 16/14 20090101AFI20150928BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20150928BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20150928BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20150928BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W84/10 110
H04W84/12
H04W88/06
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-122604(P2012-122604)
(22)【出願日】2012年5月30日
(65)【公開番号】特開2013-247666(P2013-247666A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2014年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢端 哲也
【審査官】
伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−278764(JP,A)
【文献】
特開2003−18170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信方式で通信を行なう第1通信装置と、
前記第1の無線通信方式と使用する周波数帯が重複する第2の無線通信方式で通信を行なう第2通信装置と、
前記第1通信装置を制御する第1制御部と、前記第2通信装置を制御する第2制御部と、を備えた無線通信装置において、
前記第1制御部は、前記第1通信装置が通信を開始する際に、前記第1の無線通信方式で規定されている複数の周波数チャネルから、上端の周波数チャネルを第1優先、下端の周波数チャネルを第2優先、他のチャネルを第3優先の優先順で、前記第1通信装置の使用チャネルを決定するとともに、前記第2制御部に、前記第1通信装置が決定した使用チャネルを通知し、前記第2制御部は、前記第2の無線通信方式で規定されている複数の周波数チャネルのうち前記第1通信装置が決定した使用チャネルの周波数帯域とは重複しない前記第2の無線通信方式の周波数チャネルの電波状態を調査し、その結果に基づいて使用チャネルを決定することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
第1の無線通信方式で通信を行なう第1通信装置と、
前記第1の無線通信方式と使用する周波数帯が重複する第2の無線通信方式で通信を行なう第2通信装置と、
前記第1通信装置を制御する第1制御部と、前記第2通信装置を制御する第2制御部と、を備えた無線通信装置において、
前記第1制御部は、前記第1通信装置が通信を開始する際に、前記第1の無線通信方式で規定されている複数の周波数チャネルから、上端の周波数チャネルを第1優先、上端から2番目の周波数チャネルを第2優先、下端の周波数チャネルを第3優先、他のチャネルを第4優先の優先順で、前記第1通信装置の使用チャネルを決定するとともに、前記第2制御部に、前記第1通信装置が決定した使用チャネルを通知し、前記第2制御部は、前記第2の無線通信方式で規定されている複数の周波数チャネルのうち前記第1通信装置が決定した使用チャネルの周波数帯域とは重複しない前記第2の無線通信方式の周波数チャネルの電波状態を調査し、その結果に基づいて使用チャネルを決定することを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無線通信装置において、
前記第2制御部は、前記第2通信装置が通信を開始する際に、前記第2通信装置を制御して通信接続を行い、通信接続が完了すると前記第1制御部に前記第2通信装置の通信接続完了を通知し、
前記第2制御部から通信接続完了の通知をうけた前記第1制御部は、前記優先順に従って、前記第1通信装置が使用チャネルを変更するとともに、前記第2制御部に、前記第1通信装置が変更した後の使用チャネルを通知し、前記第2制御部は、前記第2の無線通信方式で規定されている複数の周波数チャネルのうち前記第1通信装置が決定した使用チャネルの周波数帯域とは重複しない前記第2の無線通信方式の周波数チャネルの電波状態を調査し、その結果に基づいて使用チャネルを決定することを特徴とする無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる2つの無線通信方式に対応した無線通信装置に関し、特に、それぞれの無線通信方式による通信を同時に行なうことができる無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ISM(Industry Science Medical)バンドと呼ばれる周波数帯のなかで、2.4GHz帯を用いて電子機器間を無線で接続するための無線通信装置が盛んに開発されている。この種の無線通信装置で用いられる無線通信方式としては、IEEE802.11b/g/nや、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などが知られている。
【0003】
ブルートゥース対応の無線通信装置(以下、BT装置)は、2.40GHzから2.48GHzまでの周波数帯に定められた1MHz幅の79個の周波数チャネルのうちから、1つの周波数チャネルを選択するとともに、時間経過に伴って、周波数チャネルを切換えて無線通信を行う周波数ホッピング方式を採用している。
【0004】
BT装置の周波数ホッピング方式は、予め決められた疑似ランダムアルゴリズムに基づいて一定時間間隔で繰り返すように周波数チャネル選択を行い、1つの周波数チャネルに留まっている間の時間(タイムスロット)に1パケットデータを割り当てて通信を行なう。
【0005】
一方、IEEE802.11b/g/n対応の無線通信装置(以下、WLAN装置)は、2.401GHz〜2.495GHzまでの周波数帯に定められた22MHz幅の14個または、2.401GHz〜2.483GHzまでの周波数帯に定められた22MHz幅の13個の周波数チャネルの1つを固定的に使用して通信を行なう。
【0006】
したがって、同じ2.4GHz帯を使用して通信するBT装置とWLAN装置が、それぞれの無線通信装置の通信エリア内に存在する場合、それぞれの無線装置が送出する電波が干渉し、それぞれの通信が妨害を受けることになる。
【0007】
特に、BT装置とWLAN装置の双方を備えた無線通信装置や、これらの無線通信方式を併用する無線通信システムでは、この相互干渉による通信品質の劣化を防止する必要がある。
【0008】
BT装置とWLAN装置の双方を備えた無線通信装置における相互干渉の発生を回避して通信品質の劣化を防止する技術が下記特許文献1に記載されている。
以下、
図6を用いて、特許文献1に記載の無線通信装置について説明する。
図6は、従来の無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【0009】
特許文献1に記載の無線通信装置は、
図6に示すように、WLAN装置901と、BT装置902と、WLAN装置901で生成された周波数チャネル情報に基づいて、BT装置902が使用可能な周波数チャネルを決定する無線チャネル制御部903と、を有しており、BT装置902は、通信品質の劣化を検出した場合、不足帯域または必要帯域を無線チャネル制御部903に対して通知し、無線チャネル制御部903は、BT装置902から不足帯域または必要帯域の通知を受けた場合には、WLAN装置901に対し、使用チャネルの変更を指示する制御を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−278764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の無線通信装置は、無線チャネル制御部が、BT装置から不足帯域または必要帯域の通知を受けた場合には、WLAN装置に対し、使用チャネルの変更を指示する制御を行なうので、WLAN装置とBT装置との干渉は避けられるが、使用チャネルの変更の際、BT装置が使用する周波数チャネルの数を考慮していないため、使用チャネルの変更によってBT装置が周波数ホッピングに使用できる周波数チャネルが減少してしまい、他のBT装置との間で、BT装置同士の電波干渉が起きる虞があった。
【0012】
本発明は、上述した課題を解決して、WLAN装置が通信で使用する周波数帯域と、BT装置が通信で使用する周波数帯域が、重複して設定されている周波数チャネルを、効率よく共存して使用し、BT装置が周波数ホッピングに使用可能な周波数チャネル数を最大限確保することができる無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために、第1の無線通信方式で通信を行なう第1通信装置と、前記第1の無線通信方式と使用する周波数帯が重複する第2の無線通信方式で通信を行なう第2通信装置と、前記第1通信装置を制御する第1制御部と、前記第2通信装置を制御する第2制御部と、を備えた無線通信装置において、前記第1制御部は、前記第1通信装置が通信を開始する際に、前記第1の無線通信方式で規定されている複数の周波数チャネルから、上端の周波数チャネルを第1優先、下端の周波数チャネルを第2優先、他のチャネルを第3優先の優先順で、前記第1通信装置の使用チャネルを決定するとともに、前記第2制御部に、前記第1通信装置が決定した使用チャネルを通知し、前記第2制御部は、前記第2の無線通信方式で規定されている複数の周波数チャネルのうち前記第1通信装置が決定した使用チャネルの周波数帯域とは重複しない前記第2の無線通信方式の周波数チャネルの電波状態を調査し、その結果に基づいて使用チャネルを決定する、という特徴を有する。
【0014】
この課題を解決するために、第1の無線通信方式で通信を行なう第1通信装置と、前記第1の無線通信方式と使用する周波数帯が重複する第2の無線通信方式で通信を行なう第2通信装置と、前記第1通信装置を制御する第1制御部と、前記第2通信装置を制御する第2制御部と、を備えた無線通信装置において、前記第1制御部は、前記第1通信装置が通信を開始する際に、前記第1の無線通信方式で規定されている複数の周波数チャネルから、上端の周波数チャネルを第1優先、上端から2番目の周波数チャネルを第2優先、下端の周波数チャネルを第3優先、他のチャネルを第4優先の優先順で、前記第1通信装置の使用チャネルを決定するとともに、前記第2制御部に、前記第1通信装置が決定した使用チャネルを通知し、前記第2制御部は、前記第2の無線通信方式で規定されている複数の周波数チャネルのうち前記第1通信装置が決定した使用チャネルの周波数帯域とは重複しない前記第2の無線通信方式の周波数チャネルの電波状態を調査し、その結果に基づいて使用チャネルを決定する、という特徴を有する。
【0015】
請求項3に記載の無線通信装置は、前記第2制御部は、前記第2通信装置が通信を開始する際に、前記第2通信装置を制御して通信接続を行い、通信接続が完了すると前記第1制御部に前記第2通信装置の通信接続完了を通知し、前記第2制御部から通信接続完了の通知をうけた前記第1制御部は、前記優先順に従って、前記第1通信装置が使用チャネルを変更するとともに、前記第2制御部に、前記第1通信装置が変更した後の使用チャネルを通知し、前記第2制御部は、前記第2の無線通信方式で規定されている複数の周波数チャネルのうち前記第1通信装置が決定した使用チャネルの周波数帯域とは重複しない前記第2の無線通信方式の周波数チャネルの電波状態を調査し、その結果に基づいて使用チャネルを決定する、という特徴を有する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、第1制御部は、第1通信装置が通信を開始する際に、第1の無線通信方式で規定されている複数の周波数チャネルから第1の無線通信方式の上端の周波数チャネルを第1優先、下端の周波数チャネルを第2優先、他の周波数チャネルを第3優先、の優先順で第1通信装置の使用チャネルを決定するので、第2の無線通信方式で使用可能な周波数チャネル数を最大限確保することができ、第2制御部に、第1通信装置が決定した使用チャネルを通知し、第2制御部は、第2の無線通信方式で規定されている複数の周波数チャネルのうち第1通信装置が決定した使用チャネルの周波数帯域とは重複しない第2の無線通信方式の周波数チャネルの電波状態を調査し、その結果に基づいて使用チャネルを決定するので、第1の無線通信方式と、第2の無線通信方式の通信が、重複する周波数帯域で効率よく共存することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、第1制御部は、第1通信装置が通信を開始する際に、第1の無線通信方式で規定されている複数の周波数チャネルから第1の無線通信方式の上端の周波数チャネルを第1優先、上端から2番目の周波数チャネルを第2優先、下端の周波数チャネルを第3優先、他の周波数チャネルを第4優先、の優先順で第1通信装置の使用チャネルを決定するので、第2の無線通信方式で使用可能な周波数チャネル数を最大限確保することができ、第2制御部に、第1通信装置が決定した使用チャネルを通知し、第2制御部は、第2の無線通信方式で規定されている複数の周波数チャネルのうち第1通信装置が決定した使用チャネルの周波数帯域とは重複しない第2の無線通信方式の周波数チャネルの電波状態を調査し、その結果に基づいて使用チャネルを決定するので、第1の無線通信方式と、第2の無線通信方式の通信が、重複する周波数帯域で効率よく共存することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、既に第1の無線通信方式で通信が行なわれている場合であっても、第2制御部は、第2通信装置が通信を開始する際に、第2通信装置を制御して通信接続を行い、通信接続が完了すると第1制御部に第2通信装置の通信接続完了を通知し、第2制御部から通信接続完了の通知をうけた前記第1制御部は、優先順に従って、第1通信装置が使用チャネルを変更するので、第2の無線通信方式で使用可能な周波数チャネル数を最大限確保することができ、第2制御部に、第1通信装置が変更した後の使用チャネルを通知し、第2制御部は、第2の無線通信方式で規定されている複数の周波数チャネルのうち第1通信装置が決定した使用チャネルの周波数帯域とは重複しない第2の無線通信方式の周波数チャネルの電波状態を調査し、その結果に基づいて使用チャネルを決定することで、第1の無線通信方式と、第2の無線通信方式の通信が、重複する周波数帯域で効率よく共存することができる。
【0019】
以上により、本発明によれば、第1の無線通信方式で使用するチャネルを、第2の無線通信方式に与える影響が少ないチャネルから優先的に選択されるので、第1の無線通信方式と、第2の無線通信方式の通信が、重複する周波数帯域で効率よく共存し、第2の無線通信方式で使用可能な周波数チャネルの数を最大限確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る無線通信装置のブロック図である。
【
図2】実施形態に係る無線通信装置の動作を説明するための図である。
【
図3】無線通信方式による周波数チャネル配置を示す図である。
【
図4】実施形態に係る無線通信装置の第1制御部と第2制御部の接続手順である。
【
図5】実施形態に係る無線通信装置の第1制御部のチャネル移行制御手順である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下に第1実施形態における無線通信装置100について説明する。
【0022】
まず始めに本実施形態における無線通信装置100の構成について
図1を用いて説明する。
図1は無線通信装置100の構成を示すブロック図である。
【0023】
無線通信装置100は、
図1に示すように、第1通信装置1と、第2通信装置2と、第1通信装置1を制御する第1制御部3と、第2無線通信装置を制御する第2制御部4と、を備えている。
【0024】
図2は無線通信装置100の動作を説明するための図である。
図2に示すように、無線通信装置100は、図示しないインターフェース部を経由して、無線通信装置100に接続されているホスト装置20と、第1の無線通信方式で通信するデータおよび、第2の無線通信方式で通信するデータの受け渡しを行ない、第1の無線通信方式で通信を行なう第1の外部通信装置30と通信を行なうことができるとともに、第2の無線通信方式で通信を行なう第2の外部通信装置40と通信を行なうことができる。
【0025】
第1制御部3は、送受信を行う第1通信装置1の送信データを、図示しないインターフェース部からを受けとり、第1通信装置1に出力し、第1通信装置1から受けとる受信データを、インターフェース部に出力するとともに、第1通信装置1を、第1の無線通信方式の通信手順に従って、送受信周波数や通信速度の制御を行なう。
【0026】
第1通信装置1は、第1制御部3によって制御され、第1の無線通信方式で通信を行なう第1の外部通信装置30と通信を行ない、第1制御部3から受けとった送信データを、無線通信信号に変換して、第1の外部通信装置30へ送信し、第1の外部通信装置30から送信された無線通信信号を受信し、受信データに変換して第1制御部3へ出力する。
【0027】
第2制御部4は、送受信を行う第2通信装置2の送信データを、図示しないインターフェース部からを受けとり、第2通信装置2に出力し、第2通信装置2から受けとる受信データを、インターフェース部に出力するとともに、第2通信装置2を、第2の無線通信方式の通信手順や通信手順に従って、送受信周波数や通信速度の制御を行なう。
【0028】
第2通信装置2は、第2制御部4によって制御され、第2の無線通信方式で通信を行なう第2の外部通信装置40と通信を行ない、第2制御部4から受けとった送信データを、無線通信信号に変換して、第2の外部通信装置40へ送信し、第2の外部通信装置40から送信された無線通信信号を受信し、受信データに変換して第2制御部4へ出力する。
【0029】
図3は、第1の無線通信方式としてIEEE802.11b/g/n規格のWLANと、第2の無線通信方式としてBluetooth(登録商標)規格の、それぞれの無線通信方式の周波数チャネルの対応関係を示した図である。
【0030】
図3に示すように、Bluetooth(登録商標)規格の周波数チャネルは全部で79個あるが、BT装置の通信範囲でWLANの通信が行なわれると、WLAN装置がWLANの14chで通信を行なった場合、Bluetooth(登録商標)の周波数チャネルのうち、8ch分がWLANの干渉をうける。
【0031】
また、WLAN装置がWLANの13chで通信を行なった場合、Bluetooth(登録商標)の周波数チャネルのうち、20ch分がWLANの干渉をうけ、WLAN装置がWLANの1chで通信を行なった場合、Bluetooth(登録商標)の周波数チャネルのうち、22ch分がWLANの干渉をうけ、WLAN装置がWLANの2chから12chのいずれかの周波数チャネルで通信を行なった場合、Bluetooth(登録商標)の周波数チャネルのうち、23ch分がWLANの干渉をうける。
【0032】
次に、無線通信装置100の動作について、
図4および
図5を用いて説明する。
【0033】
図4は、無線通信装置100の第1制御部3が第1通信装置1を制御し、
図2に示した第1の外部通信装置30と通信接続を行ない、第2制御部4が第2通信装置2を制御し、
図2に示した第2の外部通信装置40と通信接続を行なう際の、接続制御手順を示したフローチャートである。
【0034】
図4に示すように、第1制御部3は、第1通信装置1が通信接続を行なう際に、まず、日本で第1の無線通信方式に割当てられている周波数チャネルのうち上端の周波数チャネルである14chでの通信接続可否を確認するため、14chの使用の有無を第1通信装置1のキャリアセンス機能等で確認し、14chが使用可能と判断される場合、14chで、第1の外部通信装置30と、通信接続を行なう。
【0035】
14chが他の無線通信に使用されていると判断された場合や、通信相手が14chに対応しておらず14chで通信接続できない場合は、日本以外で割当てられている周波数チャネルのうち上端の周波数チャネルである13chでの通信接続可否を確認するため、13chの使用の有無を第1通信装置1のキャリアセンス機能等で確認し、13chが使用可能と判断される場合、13chで、第1の外部通信装置30と、通信接続を行なう。
【0036】
13chが他の無線通信に使用されていると判断された場合は、割当てられている下端の周波数チャネルである1chでの通信接続可否を確認するため、1chの使用の有無を第1通信装置1のキャリアセンス機能等で確認し、1chが使用可能と判断される場合、1chで、第1の外部通信装置30と通信接続を行なう。
【0037】
1chが他の無線通信に使用されていると判断された場合は、2chから12chの通信接続可否を確認し、2chから12chのうち通信接続可能な周波数チャネルで、第1の外部通信装置30と通信接続を行なう。
【0038】
第1制御部3は、第1の外部通信装置30との通信接続が完了したら、通信接続の有無を表す情報、通信接続している周波数チャネルの情報を含んだ接続情報を、第2制御部4へ通知する。
【0039】
第2制御部4は、第2通信装置2が通信接続を行なう際には、まず第1制御部3から通知された接続情報を取得し、第1通信装置1の通信接続の有無および、通信接続している周波数チャネルの情報を得る。
【0040】
第1通信装置1の通信接続の有無および、通信接続している周波数チャネルの情報から、第1通信装置1が通信接続されていない場合、第2制御部は第2の無線通信方式の1chから79chまでのすべての周波数チャネルの状態を確認し、通信状態が良好と判断された周波数チャネルを用いて、第2の外部通信装置40と通信接続を行なう。
【0041】
第1通信装置1の通信接続の有無および、通信接続している周波数チャネルの情報から、第1通信装置が通信接続されており、第1の無線通信方式の14chで通信接続している場合、第2制御部4は第1通信装置が使用している14chと帯域が重なる第2の無線通信方式の72chから79chを除いた、1chから71chまでの71ch分すべての周波数チャネルの状態を確認し、通信状態が良好と判断された周波数チャネルを用いて、第2の外部通信装置40と通信接続を行なう。
【0042】
第1通信装置1の通信接続の有無および、通信接続している周波数チャネルの情報から、第1通信装置1が通信接続されており、第1の無線通信方式の13chで通信接続している場合、第2制御部4は第1通信装置が使用している13chと帯域が重なる第2の無線通信方式の60chから79chを除いた、1chから59chまでの、59ch分すべての周波数チャネルの状態を確認し、通信状態が良好と判断された周波数チャネルを用いて、第2の外部通信装置40と通信接続を行なう。
【0043】
第1通信装置1の通信接続の有無および、通信接続している周波数チャネルの情報から、第1通信装置1が通信接続されており、第1の無線通信方式の1chで通信接続している場合、第2制御部4は第1通信装置が使用している1chと帯域が重なる第2の無線通信方式の1chから22chを除いた、23chから79chまでの、57ch分すべての周波数チャネルの状態を確認し、通信状態が良好と判断された周波数チャネルを用いて、第2の外部通信装置40と通信接続を行なう。
【0044】
第1通信装置1の通信接続の有無および、通信接続している周波数チャネルの情報から、第1通信装置1が通信接続されており、第1の無線通信方式の2chから12chのいずれかの周波数チャネルで通信接続している場合、第2制御部4は第1通信装置が使用している周波数チャネルと帯域が重なる第2の無線通信方式の23ch分を除いた、56ch分すべての周波数チャネルの状態を確認し、通信状態が良好と判断された周波数チャネルを用いて、第2の外部通信装置40と通信接続を行なう。
【0045】
第2制御部4は、第2の外部通信装置40との通信接続が完了したら、接続完了を表す情報を含んだ接続情報を、第1制御部3へ通知する。
【0046】
図5は、第1制御部3が、第2制御部4から第2通信装置2の接続完了の通知を受けた際に、第1通信装置1が通信を行なっている周波数チャネルを変更する、チャネル移行制御手順を示したフローチャートである。
【0047】
図5に示すように、第1制御部3が第2制御部4から第2通信装置2の接続完了の通知を受けた場合、第1制御部3は、まず第1通信装置1の接続情報を取得し、第1通信装置1の通信接続の有無および、通信接続している周波数チャネルの情報を得る。
【0048】
第1通信装置1の通信接続の有無および、通信接続している周波数チャネルの情報から、第1通信装置1が通信接続されていない場合、制御を行なわず、第1通信装置1の接続情報を更新し、第2制御部4へ通知する。
【0049】
第1通信装置1の通信接続の有無の情報から、第1通信装置1が通信接続されている場合、まず、日本で第1の無線通信方式に割当てられている周波数チャネルのうち、上端の周波数チャネルである14chへの移行可否を確認するため、14chの使用の有無を第1通信装置1のキャリアセンス機能等で確認し、14chが使用可能と判断される場合、14chへ移行して、第1の外部通信装置30と通信接続を行なう。
【0050】
14chが他の無線通信に使用されていると判断された場合や、通信相手が14chに対応しておらず14chへ移行できない場合は、日本以外で割当てられている上端の周波数チャネルである13chへの移行可否を確認するため、13chの使用の有無を第1通信装置1のキャリアセンス機能等で確認し、13chが使用可能と判断される場合、13chへ移行して、第1の外部通信装置30と通信接続を行なう。
【0051】
13chが他の無線通信に使用されていると判断された場合は、割当てられている下端の周波数チャネルである1chへの移行可否を確認するため、1chの使用の有無を第1通信装置1のキャリアセンス機能等で確認し、1chが使用可能と判断される場合、1chへ移行して、第1の外部通信装置30と通信接続を行なう。
【0052】
1chが他の無線通信に使用されていると判断された場合は、移行処理を行なわない。
【0053】
通信接続チャネルの移行処理を行なった場合も、行なわなかった場合も、第1制御部3は、第1通信装置1の接続情報を更新し、第2制御部4へ通知する。
【0054】
第2制御部4は、第1制御部3から通知された接続情報に基づいて、先に述べた、
図4に示した第2制御部4の接続制御手順に基づいて、第2の外部通信装置40と通信接続を行なう。
【0055】
以上のように、本発明の第1実施形態の無線通信装置100によれば、第1の無線通信方式で無線通信を行なう第1通信装置1が通信を開始する際、第1制御部3は、第1の無線通信方式の周波数チャネルのうち上端の周波数チャネル(14chまたは13ch)を第1優先、下端の周波数チャネル(1ch)を第2優先、他の周波数チャネルを第3優先、とする優先順に従って、使用する周波数チャネルを決定するよう制御をおこなうので、第2の無線通信方式で使用できる第2の無線通信方式のチャネル数を最大限多く確保できる。
【0056】
また、第2制御部4に、第1通信装置1が決定した使用チャネルを通知し、第2制御部4は、第1通信装置1が決定した使用チャネルの周波数帯域外で、第2の無線通信方式の周波数チャネルの電波状態を調査し、その結果に基づいて使用チャネルを決定するので、第1の無線通信方式の通信と、第2の無線通信方式の通信が干渉することなく、重複する周波数帯域で効率よく共存し、第2の無線通信方式で使用可能な周波数チャネル数を最大限確保することができる。
【0057】
以上のように、本発明の実施形態の無線通信装置100によれば、第1の無線通信方式で通信を行なう第1通信装置1が、第2の無線通信方式で通信を行なう第2通信装置2が使用可能な周波数チャネル数を最大限確保することができる無線通信装置を提供することができる。
【0058】
以上のように、本発明の実施形態に係る無線通信装置を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0059】
(1)第1の無線通信方式として、IEEE802.11b/g/n規格のWLANを、また第2の無線通信方式として、Bluetooth(登録商標)を例示して説明を行なったが、2.4GHz帯を使用するコードレス電話等、他の無線通信方式も用いる事ができる。
【0060】
(2)ISMバンドとして2.4GHz帯を例示して説明を行なったが、2.4GHz帯以外のISMバンドおよび、その周波数帯で使用される複数の無線通信方式に置き換えて実施することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 第1通信装置
2 第2通信装置
3 第1制御部
4 第2制御部
20 ホスト装置
30 第1の外部通信装置
40 第2の外部通信装置
100 無線通信装置