特許第5794539号(P5794539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794539
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】床版の撤去方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 24/00 20060101AFI20150928BHJP
   E01D 19/12 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   E01D24/00
   E01D19/12
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-225127(P2012-225127)
(22)【出願日】2012年10月10日
(65)【公開番号】特開2014-77279(P2014-77279A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2014年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】502143319
【氏名又は名称】株式会社あけぼの産業
(73)【特許権者】
【識別番号】392022835
【氏名又は名称】株式会社丸辰道路工業
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】小池 浩
(72)【発明者】
【氏名】永野 貴麗
(72)【発明者】
【氏名】大塚 了
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−024742(JP,A)
【文献】 特開2007−100415(JP,A)
【文献】 特開平09−189011(JP,A)
【文献】 特開2007−239365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 24/00
E01D 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁の鋼製の桁の上に設置してあるコンクリート製の床版を撤去区域ごとに切断して撤去する方法であって、
桁で支持した床版を橋梁の軸方向に切断するに際し、
軸方向切断線は、
桁の上の位置ではなく床版下が開放してある位置であって、
かつ撤去区域を支持している桁に対して遠い高欄の側に形成し、
さらに軸方向切断線と直交する方向に横断切断線を形成し、
この軸方向切断線と横断切断線によって撤去区域を形成し、
一方、床版を桁の上でかつ、複数の位置において円柱状に切断し、
その上に鉛直方向にジャッキを設置し、
複数のジャッキの上には水平桁を水平方向に設置し、
水平桁と撤去区域の一部とを、二つのジャッキの外側に、ジャッキの位置から離れて設置した鉛直方向の吊り材で連結し、
ジャッキの伸長によって水平桁、吊り材を上昇させて、吊り材で吊っている床版の撤去区域と桁とを剥離して行う、
床版の撤去方法。
【請求項2】
上記の方法であって、
床版を桁の上でかつ、複数の位置において円柱状に切断して内部のコアを撤去し、
コアを抜いた円柱穴の内部に反力受けを挿入し、
反力受けの上に鉛直方向にジャッキを設置して行う、
請求項1記載の床版の撤去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床版を撤去する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
橋梁の長年の使用で老朽化したり、設計基準が変更したという理由で橋梁の床版を解体、撤去する要求が生じている。
そのために例えば特許文献1に示すような技術が公開されている。
その内容を図5で示すと、床版aの上から主桁bに達する深さまで切断線cを形成し、かつそれと直角にも切断して矩形の切断領域を形成する。
さらに、やはり主桁の上で床版に円柱状のコア抜きを行い、コアを撤去した穴にジャッキdを設置する。
切断領域の床版aと架台eとを吊り材fで連結し、その架台eを主桁b上の穴に設置したジャッキdで押し上げる。
この結果、床版aと主桁bの縁切りを行い、その後に床版aを撤去する、という方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−24742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した図5や特許文献1に示す従来の床版の撤去方法にあっては、次のような問題点がある。
<1> 床版aの上から、主桁bに沿って切断線cを形成する方法であるために、両側の高欄g部分は切断線cの外側に位置する。
<2> そのために高欄g部分はジャッキdの押し上げでは主桁bとの縁切りすることができない。
<3> そのために、切断領域のジャッキdによる押し上げとは別に、切断線cの外側に残った高欄gを人力によってハツる作業が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような課題を解決する本発明の床版の撤去方法は、橋梁の鋼製の桁の上に設置してあるコンクリート製の床版を撤去区域ごとに切断して撤去する方法であって、桁で支持した床版を橋梁の軸方向に切断するに際し、軸方向切断線は、桁の上の位置ではなく床版下が開放してある位置であって、かつ撤去区域を支持している桁に対して遠い高欄の側に形成し、さらに軸方向切断線と直交する方向に横断切断線を形成し、この軸方向切断線と横断切断線によって撤去区域を形成し、一方、床版を桁の上でかつ、複数の位置において円柱状に切断し、その上に鉛直方向にジャッキを設置し、複数のジャッキの上には水平桁を水平方向に設置し、水平桁と撤去区域の一部とを、二つのジャッキの外側に、ジャッキの位置から離れて設置した鉛直方向の吊り材で連結し、ジャッキの伸長によって水平桁、吊り材を上昇させて、吊り材で吊っている床版の撤去区域と桁とを剥離して行う床版の撤去方法を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の床版の撤去方法は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<1> 軸方向切断線は床版を受ける桁の存在しない位置で行う。そのために床版の両側では、高欄も含めて切断領域を形成することができる。
<2> したがって高欄部分と桁との剥離、縁切りを同時に行うことができ、剥離残りの部分が発生しない。そのために切断領域の剥離作業とは別に人力による破壊作業が不要であり、撤去作業を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の床版の撤去方法の実施例の説明図。
図2】その断面からの説明図。
図3】床版を桁から剥離した状態の説明図。
図4】剥離後に高欄の一体化した床版を撤去する状態の説明図。
図5】従来の床版の撤去方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図面を参照にしながら本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0009】
<1>前提条件
本発明は、合成桁、あるいは単に鋼材の桁1の上に設置してある橋梁であって、かつその床版2の最も外側には高欄が形成してある床版2を撤去する方法である。
合成桁の場合はもちろん一般の橋梁においても、鋼材の桁1と場所打ちのコンクリート床版2がジベルやボルトを介して強固に一体化しているので、その一体化部分における床版2の剥離が重要である。
【0010】
<2>床版の軸方向切断
まずコンクリート製の床版2を、橋梁の軸方向に切断して軸方向切断線3を形成する。
この軸方向切断線3によって橋梁の軸方向の撤去区域を定める。
その際に軸方向切断線3は、桁1の上ではなく、下に桁1の存在しない部分において切断線3を形成する。
したがって床版2の下が開放状態にあるので、回転カッターを深く侵入させても、床版2下の鋼桁1に食い込むというような問題がない。
【0011】
<3>高欄の位置との関係
ある桁1と高欄5との関係では、近い高欄5と、それより遠い高欄5が存在する。
そこで上記の軸方向切断線3は、桁1の上ではなく、かつその桁1に対して遠い高欄5の側に設ける。
前記したように橋梁において高欄5およびその取り付け部分は桁1から外方に張り出している。
そのために切断線3を桁1の上に形成すると、従来の問題点で指摘したように、桁1よりも張り出した高欄5とその取り付け部分は撤去区域の範囲外となり一体的に吊り上げ解体を行うことができない。
しかし本発明の方法では軸方向の切断線3を、桁1の上ではなく、その桁1に対して遠い高欄5の側であって、下に桁1の存在しない部分において形成する。
そのために桁1から外方に張り出した高欄5とその取付部分を含んで撤去区域を設定することができ、高欄5と床版2とを一体的に撤去することができる。
【0012】
<4>横断方向切断線
さらに軸方向切断線3と直交する方向に横断方向切断線4を形成する。
前記の軸方向切断線3と横断方向切断線4によって、矩形の撤去区域を形成することができる。
【0013】
<5>円柱穴の形成
それとは別に、桁1の上において、複数の位置において円柱状に切断線6を形成する。
この円柱切断線6は、桁1の上において形成し、床版2と桁1との境界まで切断することで円柱状に独立したコアが発生する。
そして場合によってはこの内部のコアを撤去して円柱穴7を形成する。
円柱穴7は2か所を1組とし、この1組は横断方向切断線4と平行する位置に形成する。
円柱穴7の内径は、少なくとも後述するジャッキ8のピストンの外径よりも大きい寸法に形成する。
【0014】
<6>反力受けの挿入
コアを除去した場合には円柱穴7の内部に反力受け9を挿入する。
この反力受け9は、単なる鋼材の円柱ブロックである。
円柱穴7の下面は桁1の上面であるから、反力受け9は桁1の上に搭載した状態を呈する。
円柱穴7に反力受け9を挿入する理由のひとつは、コアを残したまま、その上にジャッキ8を設置して反力を取ると、コアが座屈する可能性があるからである。
他の理由は、ジャッキ8にはシリンダーの側面に油圧パイプとの接続部が突出しているから、その全体を円柱穴7に設置しようとすると、円柱穴7の直径が大きくなるためである。
その点でジャッキ8のピストン側を反力受け9の上に設置すれば、小さい直径の円柱穴7を形成した場合でも、床版2の上昇可能な寸法を十分に得ることができる。
ただし反力受けの挿入は不可欠の要件ではない。ジャッキ8のピストンの外径次第で円柱穴7に挿入できるからである。
【0015】
<7>ジャッキの設置
撤去区域の床版と縁切りした各コアの上に、あるいは各円柱穴7の内部の反力受け9の上に鉛直方向にジャッキ8を設置する。
前記したように反力受け9の上には、ジャッキ8のピストン先端を設置して、シリンダー側が上昇するように配置する。
【0016】
<8>水平桁の設置
横断方向切断線4と平行に配置した1組のジャッキ8の上には水平桁10を水平方向に設置する。
この水平桁10は、例えばH型鋼を採用することができる。
【0017】
<9>吊り材による連結
水平桁10と撤去区域の一部とを、鉛直方向の吊り材11で連結する。
そのために水平桁10の下の適宜の位置に、床版2を貫通する貫通孔を削孔する。
その貫通孔に吊り材11を挿入し、吊り材11の下端と床版2とをナットなどで固定する。
また吊り材11の上端と水平桁10とをナットなどで固定する。
こうして、床版2と水平桁10とを吊り材11によって一体化する。
【0018】
<10>ジャッキの伸長
以上の準備が整った状態で、ジャッキ8を伸長する。
ジャッキ8の伸長によって、桁1に反力を取って水平桁10と吊り材11が上昇するから、吊り材11で吊っている床版2の撤去区域も上昇する。
すると撤去区域の床版2を桁1から剥離することができる。
【0019】
<11>高欄の一体吊り上げ
上記したように本発明の方法では軸方向の切断線3を、桁1の上ではなく、その桁1に対して遠い高欄5の側であって、下に桁1の存在しない部分において形成する。
そのために桁1から外方に張り出した高欄5とその取付部分を含んで撤去区域を設定することができ、ジャッキ8の伸長によって高欄5と床版2とを一体的に撤去することができる。
その結果、従来の方法のように高欄5と取り付け部分だけが桁1の外に残り、別の工程で破壊する、という手数を必要としない。
【0020】
<12>床版の撤去
床版2を、桁1からいったん縁切りできたら、ジャッキ8を短縮して床版2を桁1の上に降ろしても問題はない。
その状態で水平桁10の下に仮受けの架台などを設置して水平桁10を受けておき、ジャッキ8を短縮してジャッキ8や反力受け9を撤去する。
その後に水平桁10をクレーンで吊り上げると、水平桁10と撤去区域の床版2を一体として吊り上げることができる。
それを未解体の橋梁上や路上で待機するトラックに搭載して解体場所や廃棄場所へ運搬する。
こうして床版の1区域の撤去が完了する。
【符号の説明】
【0021】
1:桁
2:床版
3:切断線
4:横断方向切断線
5:高欄
6:円柱切断線
7:円柱穴
8:ジャッキ
9:反力受け
10:水平桁
11:吊り材
図1
図2
図3
図4
図5