【実施例1】
【0018】
図1〜
図6に、本発明の溶解装置の第1実施例を示す。
この溶解装置Aは、回転翼23Aの回転によって、溶質及び溶媒を吸引するとともに、攪拌、溶解を行うようにした溶解ポンプ2と、溶解ポンプ2に溶質を供給する溶質タンク1とを備え、前記溶質タンク1内の圧力を負圧に維持するとともに、該負圧状態の溶質タンク1内から、溶解ポンプ2の回転翼23Aの回転により生じる吸引力によって、溶質を溶解ポンプ2に吸引するように構成している。
【0019】
ところで、本実施例においては、上記溶質タンク1内の圧力を負圧に維持する手段として、溶質タンク1の溶質投入口1Aを密閉する密閉手段10を設けるようにしている。
この密閉手段10は、溶質タンク1の溶質投入口1Aを密閉し、溶解運転時に外部から気体が流入することを防止することができるものである限りにおいて、その構成は特に限定されるものではないが、本実施例においては、溶質投入口1Aを覆う蓋部材11を使用するようにしている。
蓋部材11は、
図2に示すように、溶質投入口1Aの開口端部を外側に延出して形成した受部Cに、シール部材Pを介して装着し、クランプ、ボルト等の締結手段(図示省略)によって固定することによって、溶質投入口1Aを密閉するようにしている。
また、蓋部材11には、負圧状態の溶質タンク1から蓋部材11を取り外す際に、溶質タンク1内を昇圧するための開閉弁11aを配設するようにしている。
なお、開閉弁11aは、蓋部材11ではなく、溶質タンク1に直接配設するようにすることもできる。
【0020】
なお、密閉手段10としては、蓋部材11のほか、シャッタバルブ等の遮断手段(図示省略)を用いることもできる。
【0021】
また、溶質タンク1の溶質排出口1Bには、溶質定量供給機構3を配設することができる。
この溶質定量供給機構3は、溶質としての粉体を、所定量ずつ溶解ポンプ2に吸入部21Bを介して供給するもので、本実施例においては、ケーシング30内に回転可能に配設した計量回転体34と、計量回転体34を回転駆動する駆動機構M’とから構成するようにしている。
そして、この溶質定量供給機構3は、溶質排出口32から作用する吸引力によって、溶質供給口31よりも低圧に維持される膨張室33が形成されるとともに、計量回転体34の回転に伴って、各溶質収容室34aの状態が正圧状態と負圧状態とに変化するように構成されている。
また、溶質収容室34aは、計量回転体34の外周面及び中心部において開口するように構成し、計量回転体34の外周面側の開口は、溶質供給口31と連通する溶質供給口開放状態及び膨張室33と連通する膨張室開放状態以外ではケーシング30によって実質的に閉鎖されるとともに、計量回転体34の中心部側の開口は、密閉状態(溶質供給口31及び膨張室33と連通しない状態)及び溶質供給口開放状態において閉鎖されるように計量回転体34の中心部に開口閉鎖部材35を偏在させてケーシング30に固定して配設するようにしている。
また、溶質収容室34aが計量回転体34の外周面及び中心部において開口するように、計量回転体34を、駆動機構M’の駆動軸に配設した円盤部材34cに、この円盤部材34cの中心部を除いて放射状に複数枚(本実施例においては、8枚。)の板状の隔壁34bを等間隔に取り付けることによって、周方向に等間隔に溶質収容室34aを区画、形成するようにしている。
なお、溶質としての粉体の供給量は、計量回転体34を回転駆動する駆動機構M’による計量回転体34の回転数を変化させることによって調節することができる。
この溶質定量供給機構3は、溶質定量供給機構3の溶質収容室34aが、(1)第1密閉状態では、膨張室33及び溶質供給口31との連通が遮断され、膨張室33に開放された状態と同様の低圧状態が維持され、(2)溶質供給口開放状態では、溶質が、溶質収容室34aより高圧状態(ただし、絶対値としては負圧状態)の溶質供給口31から低圧状態の溶質収容室34aに、圧力差によって、具体的には、圧力差による吸引力と、溶質間に存在する気体の膨張力とによって、溶質の自重のみによる場合と比較して、強制的に効率よく安定して確実に供給、充填され、(3)第2密閉状態では、膨張室33及び溶質供給口31との連通が遮断され、溶質供給口31に開放された状態と同様の高圧状態で、溶質が溶質収容室34aに充填された状態が維持され、(4)膨張室開放状態では、溶質収容室34aに充填された溶質が、高圧状態の溶質収容室34aから低圧状態の膨張室33に、圧力差によって、具体的には、圧力差による吸引力と、溶質間に存在する気体の膨張力とによって、溶質の自重のみによる場合と比較して、強制的に効率よく安定して確実に放出される。
そして、この溶質定量供給機構3は、溶質収容室34a等に溶質としての粉体が付着、堆積することがなく、粉体の流量を安定させて、粉体を所定量ずつ連続して供給することができる。
また、上記(2)の溶質供給口開放状態において、溶質収容室34aより高圧状態の溶質供給口31から低圧状態の溶質収容室34aに溶質が供給、充填される際に生じる衝撃によって機械的な振動が発生することで溶質の流動が促進され、例えば、溶質タンク1におけるラットホールの発生や溶質の滞留、ひいては、供給する溶質への気体の同伴による混入を防止することができる。
また、上記(4)の膨張室開放状態において、膨張室33に放出された溶質は、低圧状態におかれるため、体積密度の関係から凝集が抑制され、下流側に連なる溶質の供給路における溶質の詰まりを防止することができる。
【0022】
溶質定量供給機構3は、溶質タンク1から溶解ポンプ2へ粉体を所定量ずつ連続して供給する機能のほかに、溶質タンク1内の圧力を負圧にする機能を備える。
すなわち、後述の脱気運転の際、溶解ポンプ2の吸引力を、計量回転体34とケーシング30の隙間から溶質タンク1に作用させることによって、前記隙間を気体の流通のみを許容するフィルタとして機能させて、当該隙間から溶質タンク1内の気体を吸引し、密閉手段10によって溶質投入口1Aを密閉した溶質タンク1内を負圧状態にすることができる。
このとき、溶解ポンプ2には、吸入部21Aから溶媒の供給を行って、溶媒のみの循環運転とすることで、溶解ポンプ2の焼け付きを防止することが望ましい。
【0023】
溶解ポンプ2に溶媒を供給する溶媒供給機構5は、流量計を備え、溶媒としての液体を、所定量ずつ溶解ポンプ2に供給するものである。
【0024】
溶解ポンプ2への溶質及び溶媒の供給は、ミキシングノズル6を介して行うようにしている。
このミキシングノズル6は、ミキシングノズル6に溶媒供給機構5から溶媒を旋回させながら供給することによって、溶質及び溶媒の初期混合を行った後、溶解ポンプ2の吸入部21から吸入するようにして、溶質及び溶媒の溶解ポンプ2への供給を円滑に行うことができるようにしている。
【0025】
溶解ポンプ2は、回転翼23Aの回転によって、溶質及び溶媒を吸引するとともに、攪拌、溶解を行うことができるものである限りにおいて、その構成は特に限定されるものではないが、本実施例においては、円筒状のケーシング20の内部に駆動機構Mの駆動軸に取り付けたロータ23の外周部に複数の回転翼23Aを突設し、ロータ23を回転させることによって、吸入部21から溶質及び溶媒を導入室25に吸入して攪拌し、吐出部22から溶解液を吐出させるように構成している。
この場合において、ケーシング20は、円筒状のケーシング本体20Aと、ケーシング本体20Aの前側(
図4(a)において左側)及び後側(
図4(a)において右側)に配設された前面ケーシング20B及び後面ケーシング20Cとを備え、ケーシング本体20Aには攪拌して溶解した溶解液を吐出する吐出部22が設けられている。
前面ケーシング20Bには、回転翼23Aと導入室25との間に位置するように円筒状のステータ24Aを配設し、絞り流路Sを、このステータ24Aに形成した透孔Sa、Sbによって構成するようにしている。
なお、絞り流路Sは、透孔のほか、スリットやノズルによって構成することもできる。
また、必要に応じて、回転翼23Aの外周側に、絞り流路Sとして透孔(本実施例においては、スリット状の長孔)を形成したステータ24Bを配設することができる。
これにより、溶解液に対して、透孔を通過する際に、回転翼によって剪断力を作用させることができ、溶解を促進させることができる。
【0026】
また、回転翼23Aの内側のさらにステータ24Aの内側には、濾斗状の仕切板26が複数のボス26aを介してロータ23に固定されている。
この仕切板26は、吸入部21の一方の吸入部21Aから、ミキシングノズル6において初期混合を行った溶質及び溶媒が導入される導入室25Aと、吐出部22から吐出された溶解液の一部が、他方の吸入部21Bを介して循環し、導入される導入室25Bとを区画するもので、この仕切板26とケーシング20との摺動部は、階段状のラビリンス構造となっており、導入室25Aへの溶質及び溶媒の吸入を円滑に行うことができるようにしている。
【0027】
ここで、導入室25を、導入室25Aと導入室25Bとに区画して形成するようにしたため、本実施例においては、
図4(b)に示すように、ステータ24Aに形成する透孔Sa、Sbの形状を、導入室25Aに対向する透孔Saを溶質が詰まりにくい円形に、導入室25Bに対向する透孔Sbを溶解液に対して回転翼による剪断力が作用しやすい長円形に設定するようにしている。
なお、透孔Sa、Sbの形状は、溶質及び溶媒並びに循環する溶解液の性状等に応じて任意に設定することができる。
【0028】
溶解ポンプ2の吐出部22には、比重によって溶解液を循環流路46と排出流路45とに分離して供給する分離手段4を設けるようにしている。
この分離手段4は、本実施例においては、
図5に示すように、溶解ポンプ2の吐出部22に連なる導入パイプ41を円筒状容器40の底面から内部に突出して配設し、円筒状容器40の上部に排出流路45と連なる排出口42を備えるとともに、下部に循環流路46と連なる循環口43を備え、導入パイプ41の吐出端に、導入パイプ41から吐出される溶解液の流れを旋回させる捻り板44を配設して構成している。
なお、捻り板44に代えて、又は捻り板44と共に、導入パイプ41の吐出端の上部に、導入パイプ41から吐出される溶解液を攪拌する攪拌羽根を配設することもできる。
この分離手段4を設けることによって、比重の大きい完全に溶解していない溶解液成分を循環流路46に、比重の小さい溶解が完了した溶解液成分を排出流路45に、それぞれ分離して供給することができ、完全に溶解していない溶解液成分が排出流路45から排出されることを防止するとともに、装置の運転効率を向上することができる。
【0029】
また、溶質定量供給機構3の溶質排出口32と溶解ポンプ2の吸入部21Bとの間には、閉止手段7を配設するようにしている。
この閉止手段7は、溶解ポンプ2の吸入部21への溶質の吸入を閉止することができるようにするもので、本実施例においては、流路の内径と略同径の通過孔を形成した仕切板をシリンダの先端に配設し、仕切板を流路に対して直交して移動させるシャッタバルブを用いるようにしている。
【0030】
閉止手段7は、溶解ポンプ2の吸入部21への溶質の吸入を閉止することができるようにする限りにおいて任意の箇所に配設することができるが、本実施例においては、溶質定量供給機構3とミキシングノズル6との間にシャッタバルブを配設するようにしている。
【0031】
また、溶質タンク1内の圧力を所定の圧力範囲に保持するための圧力調節弁9を設けることができる。
この圧力調節弁9によって、溶質タンク1内の圧力を溶解ポンプ2の吸引力が相対的に低下しない圧力範囲に保持し、吸引力が低下することを防止するとともに、併せて、溶質が溶質タンク1へ逆流することを防止することができる。
【0032】
次に、この溶解装置Aの運転方法について説明する。
まず、溶質定量供給機構3を停止し、閉止手段7によって溶質の吸入を閉止した状態で、溶媒供給機構5から溶媒(例えば、清水)のみを供給しながら溶解ポンプ2の運転を開始する(溶媒運転)。
そして、溶質定量供給機構3を停止した状態で、閉止手段7を開放する。
これによって、溶質定量供給機構3の計量回転体34とケーシング30との隙間から溶質タンク1内の気体を吸引し、密閉手段10によって溶質投入口1Aを密閉した溶質タンク1内を負圧状態にする(脱気運転)。
この脱気運転を行うことによって、
図6に示すように、溶質タンク1内の圧力は負圧(例えば、−0.05MPa)に維持され、溶解ポンプ2によって溶質タンク1から溶質を吸引する際に、溶解ポンプ2に溶質と共に吸引される気体の絶対量を低減することができ、気体の混入によって溶解効率が低下することを防止することができる。
また、粉体と共に吸引された気体による溶解液の発泡を抑制することができ、溶解液の品質を向上することができる。
この脱気運転は、必要に応じて省略することもできる。
なお、気体の通過のみを許容するフィルタを備えた配管及び吸引機構(図示省略)を溶質タンク1に配設し、吸引機構の吸引によって、溶解ポンプ2の吸引力による脱気運転を行うことなく、溶質タンク1内を負圧状態にすることもできる。
【0033】
そして、脱気運転によって、溶質タンク1内を負圧に維持した状態で、溶質定量供給機構3を作動させ、溶質(例えば、粉体)の溶解ポンプ2への供給を開始する。
溶質及び溶媒は、ミキシングノズル6において、初期混合を行った後、溶解ポンプ2の吸入部21Aから導入室25Aに導入される。
そして、回転翼23Aの内側と外側とに配設されたステータ24Aに形成した透孔Sa及びステータ24Bに形成した透孔を通過することによって、剪断作用を受けながら攪拌、溶解され、吐出部22から吐出される(溶解運転)。
このとき、負圧に維持した状態の溶質タンク1から溶質を吸引することで、吸引される気体の絶対量を低減した状態で溶解ポンプ2が運転されることとなり、溶解ポンプ2の効率を向上することができ、導入室25A、25Bを高真空状態にして、絞り流路Sとしてのステータ24Aに形成した透孔Sa及びステータ24Bに形成した透孔を通過する溶解液にキャビテーションを起こさせ、溶解液に含まれる気泡の膨張とそれによって生じる衝撃により、溶解を促進させる。
【0034】
吐出部22から吐出された溶解液は、分離手段4により、比重の大きい完全に溶解していない溶解液成分は、循環流路46を介して、溶解ポンプ2の吸入部21Bから導入室25Bに導入され、ステータ24Aに形成した透孔Sb及びステータ24Bに形成した透孔を通過することによって、剪断作用を受けながら攪拌、溶解され、吐出部22から吐出され、一方、比重の小さい溶解が完了した溶解液成分は、排出流路45を介して、次工程Nに排出される。
【0035】
そして、所定量の溶質の供給がなされたとき、閉止手段7によって、溶質の吸入を閉止し(このとき、溶媒の供給も合わせて停止する。)、溶質に溶媒が完全に溶解するまで溶解ポンプ2の運転を継続する(循環運転)。
これによって、例えば、粒子径の大きい溶質や発泡性の高い溶質に溶媒を溶解させる場合でも、溶解時の発泡を抑え、高いポンプ効率で溶解装置の運転ができ、溶解に要する時間を大幅に短縮することができるとともに、気体の流入による障害を抑え、分散、溶解を確実に行うことができる。