(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0025】
まず、本実施形態に係る攪拌装置1の構造について説明する。
図1(a)は、攪拌装置1の一例を示した正面図であり、同図(b)は、同図(a)のA−A線断面図である。これらの図に示されるように、攪拌装置1は、回転する回転体10と、回転体10に対向して配置される対向体20と、回転体10を回転駆動する駆動装置30と、回転体10と駆動装置30を接続する駆動軸40と、を備えている。
【0026】
攪拌装置1では、回転体10は駆動軸40の先端部に接続されており、この回転体10の先に対向体20が配置されている。対向体20は、回転体10の外側において駆動軸40と略平行に配置された2つの棒状の固定部材50の先端部に接続されており、これら2つの固定部材50の基端部は、駆動装置30のケーシングに固定されたブラケット60に固定されている。すなわち、本実施形態では、回転体10は駆動装置30に駆動されて回転するが、対向体20は回転しないように固定されている。
【0027】
図2(a)は、回転体10を示した平面図であり、同図(b)は、回転体10を示した正面図(側面図も同一)であり、同図(c)は、回転体10を示した底面図である。これらの図に示されるように、回転体10は、略砲弾形状、詳細には円柱の一方の底面10aを球面状に構成した形状、換言すれば円柱と半球を組み合わせた形状に構成されている。回転体10を構成する材質は、特に限定されるものではなく、例えば金属やセラミックス、樹脂、ゴム、木材等、使用条件に応じた適宜の材質を採用することができる。
【0028】
回転体10の球面状の底面10aの中心には、駆動軸40が接続される接続部11が設けられている。従って、回転体10は、駆動装置30に駆動されて中心軸Cを回転軸として回転するように構成されている。なお、駆動軸40と接続部11の接続方法は、例えばネジや係合等、既知のいずれの方法であってもよい。
【0029】
また、回転体10は、表面に設けられた複数の吸入口12と、吸入口12と同様に表面に設けられた複数の吐出口14と、吸入口12と吐出口14を繋ぐように回転体10の内部に形成された流通路16と、を備えている。回転体10の他方の底面10bは、中心軸Cと直交する略円形の平面状に形成されており、対向体20に対向する第1の対向面18を構成している。そして、流通路16の途中には、この対向面18において開口する開口部19が形成されている。
【0030】
吸入口12は、底面10aにおける接続部11の周囲(すなわち、回転体10の駆動軸側)に設けられている。本実施形態では、4つの円形状の吸入口12を、中心軸Cを中心とする円周上に等間隔で並べて配置すると共に、中心軸Cと同一方向に形成している。吐出口14は、略砲弾形状に構成されており、本体10の側面10cにおいて対向面18の周縁に接するように設けられている。本実施形態では、4つの吐出口14を、各吸入口12に対して回転体10の半径方向(遠心方向)外側となる位置(中心軸Cから中心軸Cに垂直な方向に離れた位置)にそれぞれ配置している。また、中心軸Cに対して直交する方向に吐出口14を形成している。
【0031】
流通路16は、1つの吸入口12と1つの吐出口14を繋ぐ通路として形成されている。従って、回転体10の内部には、4つの流通路16が形成されている。各流通路16は、吸入口12から中心軸C方向に沿って直進した後に直角に曲がり、本体10の遠心方向に向けて対向面18と平行に直進して吐出口14に到達するように形成されている。すなわち、本実施形態の流通路16は、中心軸C方向の軸方向部分16aおよび遠心方向の遠心方向部分16bから構成されている。
【0032】
開口部19は、流通路16の遠心方向部分16bに設けられている。本実施形態では、流通路16の遠心方向部分16bの略全範囲にわたって開口部19を設けている。従って、流通路16の遠心方向部分16bは、対向面18において開口した略砲弾形状断面の溝状に構成されている。すなわち、本実施形態の流通路16は、吸入口12から対向面18にかけて回転体12の内部に形成されたトンネル状の軸方向部分16aと、軸方向部分16aから吐出口14にかけて対向面18に形成された溝状の遠心方向部分16bと、から構成されており、溝状の遠心方向部分16bの開放された部分が開口部19となっている。また、この結果、吐出口14も対向面18側が開放された断面形状となっている。
【0033】
なお、吸入口12および吐出口14の形状は、特に限定されるものではなく、例えば楕円形状や多角形状等、その他の形状であってもよい。また、流通路16の断面形状は、特に限定されるものではなく、吸入口12および吐出口14の形状や位置、または加工方法等に応じて適宜の形状に構成することができる。また、本実施形態では、加工のしやすさから流通路16を略直角に曲折するL字状に構成しているが、滑らかに湾曲した曲線状の通路として流通路16を構成してもよい。また、本実施形態では、回転体10を流通路16以外の部分を中実に構成することで、強度を高めるようにしているが、回転体10の流通路16以外の部分を中空状に構成するようにしてもよい。
【0034】
図3(a)は、対向体20を示した平面図であり、同図(b)は、対向体20を示した正面図(側面図も同一)であり、同図(c)は、対向体20の配置を示した正面図である。同図(a)および(b)に示されるように、対向体20は、中心軸Cを中心とする略円盤状に構成されており、一方の面が回転体10の第1の対向面18に対向する第2の対向面22となっている。この第2の対向面22は、中心軸Cに直交する平面であり、回転体10の第1の対向面18よりも大きい円形状に構成されている。第2の対向面22の回転体10の外側となる周縁近傍の2箇所には、2つの固定部材50が接続される接続部24が形成されている。
【0035】
対向体20を構成する材質は、特に限定されるものではなく、回転体10と同様に、例えば金属やセラミックス、樹脂、ゴム、木材等、使用条件に応じた適宜の材質を採用することができる。また、回転体10と対向体20を同じ材質から構成するようにしてもよいし、異なる材質から構成するようにしてもよい。また、材質や熱処理等の違いにより、例えば回転体10(特に、第1の対向面18)の硬度を比較的高く設定し、対向体20(特に第2の対向面22)の硬度を比較的低く設定する等、両者(特に、第1の対向面18および第2の対向面22)の硬度を異ならせるようにしてもよいし、逆に両者の硬度を略等しくするようにしてもよい。
【0036】
同図(c)に示されるように、対向体20は、回転体10の第1の対向面18と自身の第2の対向面22の間に所定の隙間Gを設けた状態で、回転体10と同軸的に配置される。また、第1の対向面18と第2の対向面22は、互いに略平行となるように配置され、回転体10が回転している場合にも、所定の隙間Gが維持され、回転体10と対向体20は接触しないようになっている。
【0037】
この第1の対向面18と第2の対向面22の間の隙間Gは、流体である被攪拌物に剪断力を付与し、強力な分散・混合作用を発生させる部分である。隙間Gの大きさは特に限定されるものではなく、被攪拌物の粘性等の性状や、混合する粉末の粒径等の各種条件に基づいて適宜に設定される。図示は省略するが、本実施形態では、固定部材20の長さを調節して対向体20の位置を調整する既知の構造の調整機構を固定部材50に設けるようにしており、隙間Gの設定を容易に変更することが可能となっている。
【0038】
なお、本実施形態では、対向体20を駆動装置30に固定するようにしているが、例えば、被攪拌物を収容する容器や駆動装置30が設置される架台等のその他の部材に対向体20を固定するようにしてもよい。また、対向体20を固定する固定部材50の個数が2つに限定されないことは言うまでもない。
【0039】
図1(a)および(b)に戻って、駆動装置30は、本実施形態ではモータから構成されており、駆動軸40を介して回転体10を回転駆動し、中心軸Cを中心に回転させる。なお、本実施形態では、駆動装置30が駆動軸40を直接駆動するように構成しているが、駆動装置30が歯車やチェーンおよびスプロケット等の伝達機構を介して駆動軸40を回転駆動するように構成してもよい。また、駆動装置30は、例えば電動モータやエアモータ等、既存のいずれの形式のものであってもよい。
【0040】
次に、攪拌装置1における回転体10および対向体20の作動について説明する。
図4(a)は、回転体10および対向体20の作動を示した平面図であり、同図(b)は、回転体10および対向体20の作動を示した正面図であり、同図(c)は、同図(a)のB−B線断面を拡大して示した断面図である。
【0041】
回転体10は、流体である被攪拌物内において、駆動装置30に駆動されて中心軸Cを中心に回転することにより、被攪拌物を攪拌する。流体中に回転体10を浸漬して回転させると、流通路16内に進入した流体も回転体10と共に回転することとなる。すると、流通路16内の流体に遠心力が作用し、同図(a)および(b)に示されるように、流通路16内の流体は回転体10の半径方向外側に向けて流動する。吐出口14は、吸入口12よりも本体10の半径方向外側に設けられているため、吐出口14では吸入口12よりも強い遠心力が働くこととなる。従って、流体は、回転体10が回転している限り吸入口12から吐出口14に向けて流動する。すなわち、流通路16内の流体が吐出口14から噴出すると共に、外部の流体が吸入口12から流通路16内に吸引される。これにより、回転体10の周囲の流体には、吐出口14のある回転体10の側面10cから放射状に広がる流動と、吸入口12に向かう流動が発生することとなる。なお、吸入口12に向かう流動は、吸入口12の回転により旋回流となる。
【0042】
また、流体中に回転体10を浸漬して回転させると、回転体10の表面(球面状の底面10aおよび側面10c)近傍の流体が粘性の影響により回転体10と共に回転することとなる。従って、回転体10の表面近傍の流体にも遠心力が働き、同図(a)および(b)に示されるように、球面状の底面10a近傍の流体は表面に沿って側面10cまで流動し、吐出口14からの噴流の随伴流となる。
【0043】
本実施形態では、一方の底面10aを球面状に構成することにより、回転体10の形状を中心軸C方向の厚みが半径方向外側に向けて漸次減少する形状としているため、底面10a近傍の流動を、側面10cから放射状に広がる流動にスムーズに合流させることを可能としている。また、底面10aをこのような形状にすることで、吸入口12に向かう流動の一部を、底面10aに沿って側面10cまでスムーズに流動させて、側面10cから放射状に広がる流動に合流させることを可能としている。この結果、回転体10は、周囲の流体に強力な流動を発生させ、効率的な攪拌を行うことが可能となっている。
【0044】
一方、第1の対向面18と第2の対向面22の間に進入した流体は、回転する第1の対向面18および静止した第2の対向面22によって剪断力Fを受けるため、同図(c)に示されるように、複雑な渦等を発生させながら第1の対向面18と共に回転し、この遠心力によって、同図(a)に示されるように、徐々に遠心方向に(半径方向外側に向けて)移動することとなる。さらに、第1の対向面18と第2の対向面22の間では、回転体10の回転に伴い、同図(c)に示されるように、開口部19の進行方向逆側縁部19aにおける流通路16からの流体の流入、および開口部19の進行方向側縁部19bにおける流通路16への流体の流出が発生する。
【0045】
このように、攪拌装置1では、第1の対向面18と第2の対向面22の間において第1の対向面18の回転による剪断力F、ならびに開口部19の縁部19a、19bにおける流入および流出に伴う圧力変動(楔効果等)の発生により、流体をきわめて複雑に流動させると共に、流体中に混入された粉末等の塊や互いに混じり合わない混合物等を破砕して微細化することが可能であるため、非常に強力な分散・混合作用を発生させることが可能となっている。
【0046】
さらに、このようにして第1の対向面18と第2の対向面22の間で十分に分散・混合された流体は、遠心力の作用によって、最終的に回転体10から放射状に広がる流動に合流することとなるため、回転体10から十分に離れた遠方へと運ばれることとなる。すなわち、攪拌装置1によれば、十分に分散・混合した流体を広い範囲で略均一に行き渡らせることが可能であり、比較的大きな容器内に収容された流体についても効率的な攪拌を行うことが可能となっている。
【0047】
図5(a)および(b)は、攪拌装置1の使用例を示した概略図である。これらの図に示されるように、攪拌装置1は、回転体10および対向体20を、容器70内に収容された流体である被攪拌物80内に浸漬された状態で使用される。なお、攪拌装置1は、容器70や図示を省略した架台等に固定されるものであってもよいし、適宜のハンドル等を備え、使用者が保持して操作するものであってもよい。
【0048】
駆動装置30によって回転体10を回転させることにより、上述のように回転体10から放射状に広がる流動、および回転体10の吸入口12に向かう旋回流(渦)が発生する。これにより、同図(a)および(b)に示されるように、被攪拌物80内に複雑な循環流が発生する。さらに、第1の対向面18と第2の対向面22の間においては、剪断力Fおよび圧力変動の発生により、強力な分散・混合作用が発生し、これにより十分に分散・混合された被攪拌物80は、回転体10および対向体20の周囲に発生した循環流によって容器70内の隅々にまで運ばれ、略均一な状態に拡散される。このようにして、被攪拌物80は、短時間できわめて効率的に攪拌されることとなる。
【0049】
また、攪拌装置1では、容器70内の被攪拌物80を吸入口12から吸引し、流通路16および開口部19を通じて第1の対向面18と第2の対向面22の間に導くようになっているため、例えば水と油からエマルションを生成したいような場合においても、容器70内に水と油を直接投入するだけで、吸入口12へと向かう旋回流によって水と油を適度に混合した後に流通路16内の乱流によってさらに細かく分散・混合し、最終的に第1の対向面18と第2の対向面22の間でよりきめ細かく分散・混合することが可能となっている。すなわち、攪拌装置1によれば、短時間できわめて容易にエマルションを生成することが可能となっている。
【0050】
次に、攪拌用回転体1のその他の形態について説明する。
【0051】
図6(a)は、開口部19を部分的に設けた場合の一例を示した断面図である。同図に示されるように、開口部19は、流通路16の遠心方向部分16bの全範囲にわたって設けられるものではなく、部分的に設けられるものであってもよい。また、図示は省略するが、1つの流通路16に対して複数の開口部19を設けるようにしてもよいし、流通路16を途中で分岐させて吐出口14と開口部19に向かうように構成してもよい。
【0052】
また、開口部19の形状は、特に限定されるものではなく、矩形状、円形状または楕円形状等、種々の形状に構成することができる。また、流通路16の遠心方向部分16bを第1の対向面18に沿って曲折または蛇行するように構成すると共に、これに合わせて開口部19を曲折または蛇行した形状に構成するようにしてもよい。さらに、開口部19にメッシュ状の板を配置するようにしてもよい。このように、開口部19の大きさ、配置、個数および形状等を調節することで、分散・混合力を適宜に調整することができる。
【0053】
図6(b)および(c)は、第1の対向面18および第2の対向面22をそれぞれ略円錐状に構成した場合の例を示した断面図である。第1の対向面18および第2の対向面22は、それぞれ平面状に構成されるものに限定されず、このように、例えば円錐状に構成されるものであってもよい。また、円錐状以外にも、例えば円錐台状や階段状に構成されるものであってもよく、さらに部分球面状や放物面状等、適宜の曲面を含んで構成されるものであってもよい。また、この場合、同図(b)および(c)に示されるように、第1の対向面18および第2の対向面22のいずれを凸状に構成してもよい。このように、第1の対向面18および第2の対向面22の形状を適宜に設定することで、被攪拌物80の性状等に応じた所望の分散・混合力を得ることができる。
【0054】
図7(a)および(b)は、第1の対向面18および第2の対向面22の間の隙間Gの大きさが変化するように構成した場合の例を示した図である。ここで、同図(a)は、第1の対向面18を略円錐状に窪ませることにより、隙間Gの大きさが中心軸Cの遠心方向において変化するように構成した例を示した断面図であり、同図(b)は、第1の対向面18を開口部19の間で山形に膨出させることにより、中心軸Cに対する周方向および遠心方向において変化するように構成した例を示した正面図である。
【0055】
このように、隙間Gの大きさを変化させることで、例えば同図(a)に示す例では、第1の対向面18と第2の対向面22の間の流体が遠心方向に流動する際に楔効果を発生させることが可能となり、同図(b)に示す例では、回転体10の回転によっても楔効果を発生させることが可能となる。これにより、第1の対向面18と第2の対向面22の間における分散・混合力を高めることができる。
【0056】
なお、同図(a)および(b)では、いずれも中心軸Cから遠心方向に離れるに従って隙間Gの大きさが漸次縮小するようにした例を示しているが、中心軸Cから遠心方向に離れるに従って隙間Gの大きさが漸次拡大するようにしてもよいし、縮小させた後に拡大させたり、拡大させた後に縮小させたりするようにしてもよい。さらに、縮小率または拡大率を変化させるようにしてもよい。
【0057】
また、同図(a)および(b)に示す例では、第1の対向面18の形状を平面以外の形状とすることで隙間Gの大きさを変化させているが、第2の対向面22を平面以外の形状として隙間Gの大きさを変化させるようにしてもよいし、第1の対向面18および第2の対向面22の両方の形状を平面以外の形状として隙間Gの大きさを変化させるようにしてもよい。
【0058】
図7(c)は、被攪拌物80の外部の気体を流通路16に導入する通気路17を設けた場合の一例を示した断面図である。このように、被攪拌物80の外部と流通路16を繋ぐ通気路17を設けることで、各種気体を被攪拌物80中に効率的に導入すると共に、第1の対向面18と第2の対向面22の間において、気体を被攪拌物80中に十分に溶け込ませたり、きわめて微細な気泡(マイクロバブル)を発生させたりすることができる。
【0059】
なお、同図(c)に示す例では、通気路17を駆動軸40および回転体10に形成した例を示したが、回転体10を被攪拌物80から一部が露出するような形状(例えばひょうたん形)に構成すると共に、この回転体10の露出部分に吸気口を設け、この吸気口と流通路16を繋ぐように通気路17を形成するようにしてもよい。また、流通路16を介さずに、通気路17を直接第1の対向面18と第2の対向面22の間に繋ぐように形成してもよい。さらに、ロータリージョイント等を介して通気路17にポンプを接続し、気体を圧送するようにしてもよい。
【0060】
図8(a)〜(d)は、第1の対向面18または第2の対向面22に凹凸形状18a、22aを形成した場合の例を示した図であり、
図4(a)のB−B線断面を拡大して示した断面図である。ここで、
図8(a)は、第1の対向面18に凹部18a1および凸部18a2からなる凹凸形状18aを形成した場合の一例を示しており、同図(b)は、第2の対向面22に凹部22a1および凸部22a2からなる凹凸形状22aを形成した場合の一例を示しており、同図(c)は、第1の対向面18に凹部18a1および凸部18a2からなる凹凸形状18aを形成すると共に、第2の対向面22にも凹部22a1および凸部22a2からなる凹凸形状22aを形成した場合の一例を示している。
【0061】
このように、第1の対向面18または第2の対向面22に凹凸形状18a、22aを設けることにより、第1の対向面18と第2の対向面22の間において、より複雑な流動や渦と共に楔効果やキャビテーション等を広範囲に発生させることが可能となるため、分散・混合力をより高めることができる。さらに、凸部18a2、22a2を粉末の塊等に衝突させることにより、粉末の塊等の破砕効果も向上させることができる。
【0062】
なお、凹部18a1、22a1および凸部18a2、22a2の形状は、特に限定されるものではなく、被攪拌物80の性状や使用条件等に応じて適宜の形状を採用することができる。例えば、
図8(d)に示す例では、凹部18a1、22a1を、それぞれ半円形状の断面形状となるように構成しており、これ以外にも例えば三角形状等、任意の断面形状に凹部18a1、22a1を構成することができる。また、凸部18a2、22a2についても、任意の断面形状に構成可能であることは言うまでもない。
【0063】
また、凹凸形状18a、22aに加えて(または、凹凸形状18a、22aの代りに)、第1の対向面18および第2の対向面22の表面粗さを調節することで、分散・混合力を調整するようにしてもよい。
【0064】
図9(a)〜(c)は、凹部18a1、22a1および凸部22a1、22a2の遠心方向における配置の例を示した図であり、
図4(a)のD−D線断面を拡大して示した断面図である。ここで、
図9(a)は、第1の対向面18の凹部18a1と第2の対向面22の凹部22a1の中心軸Cに対する遠心方向の位置を略等しくして互いに対向するように形成すると共に、第1の対向面18の凸部18a2と第2の対向面22の凸部22a2の中心軸Cに対する遠心方向の位置を略等しくして互いに対向するように形成した例を示している。また、同図(b)は、第1の対向面18の凹部18a1と第2の対向面22の凹部22a1の中心軸Cに対する遠心方向の位置をずらすと共に、第1の対向面18の凸部18a2と第2の対向面22の凸部22a2の中心軸Cに対する遠心方向の位置をずらすようにした例を示している。
【0065】
このように、凹部18a1、22a1および凸部22a1、22a2の遠心方向における配置を適宜に設定することにより、第1の対向面18と第2の対向面22の間で被攪拌物80が遠心方向に流動する際の径路を調節することが可能となるため、分散・混合力を適宜に調整することができる。
【0066】
また、同図(c)に示されるように、第1の対向面18の凹部18a1と第2の対向面22の凸部22a2が互いに対向するように配置すると共に、凸部22a2の一部が凹部18a1の内部に収容されるようにする、または第1の対向面18の凸部18a2と第2の対向面22の凹部22a1が互いに対向するように配置すると共に、凸部18a2の一部が凹部22a1の内部に収容されるようにすることで、被攪拌物80が遠心方向に流動する際の径路をラビリンス状にすることが可能となる。
【0067】
このようにした場合、より一層複雑な流動や渦を広範囲に発生させることが可能となるため、分散・混合力をさらに高めることができる。また、流動抵抗を高めて被攪拌物80が遠心方向に流動し難くすることが可能となるため、第1の対向面18と第2の対向面22の間に被攪拌物80をなるべく滞留させて、分散・混合をよりきめ細かく行うようにすることができる。
【0068】
なお、攪拌装置1では、流通路16内の流動により、開口部19を通じて第1の対向面18と第2の対向面22の間から適宜に被攪拌物80を排出することができるため、第1の対向面18と第2の対向面22の間における遠心方向の流動を減少させた場合においても処理能力が低下しないようになっている。
【0069】
図9(d)は、第1の対向面18および第2の対向面22の外周部に外周壁22bを設けた場合の一例を示した図である。このように、外周壁22bを設けることによっても、第1の対向面18と第2の対向面22の間における遠心方向の流動を調節することができる。
【0070】
なお、外周壁22bは、同図(d)に示されるように第2の対向面22の外周部から突設されるものであってもよいし、第1の対向面18の外周部から突設されるものであってもよい。また、同図(d)に示す例では、凹凸形状18a、22aを設けない場合の例を示したが、凹凸形状18a、22aを設けるようにしてもよい。また、外周壁22bは、第1の対向面18および第2の対向面22の外周部の全周にわたって設けるようにしてもよいし、部分的に設けるようにしてもよい。さらに、外周壁22bの高さおよび形状は、被攪拌物80の性状等に応じて任意の高さおよび任意の形状を採用可能であることは言うまでもない。
【0071】
図10(a)〜(c)および
図11(a)〜(c)は、凹凸形状18a、22aの例を示した図であり、回転体10の底面図および対向体20の平面図を並べて示している。ここで、
図10(a)は、遠心方向に連続する凹部18a1、22a1および凸部18a2、22a2を放射状に形成した例を示しており、同図(b)は、遠心方向に連続する凹部18a1、22a1および凸部18a2、22a2を湾曲した放射状に形成した例を示しており、同図(c)は、複数の略半球状の凸部18a2、22a2を放射状に配列して形成した例を示している。
【0072】
このように、第1の対向面18の凹凸形状18aおよび第2の対向面22の凹凸形状22aは、遠心方向に連続する凹部18a1、22a1および凸部18a2、22a2から構成されるものであってもよいし、複数の凹部18a1、22a1または凸部18a2、22a2を遠心方向に配列して構成されるものであってもよい。
【0073】
図11(a)は、周方向に連続する円環状の凹部18a1、22a1および凸部18a2、22a2を同心円状に複数形成した例を示しており、同図(b)は、複数の円弧状の凸部18a2、22a2を周方向に配列したものを同心円状に複数形成した例を示しており、同図(c)は、複数の略矩形状の凸部18a2、22a2を周方向に沿う千鳥状に配列して形成した例を示している。
【0074】
このように、第1の対向面18の凹凸形状18aおよび第2の対向面22の凹凸形状22aは、周方向に連続する凹部18a1、22a1および凸部18a2、22a2から構成されるものであってもよいし、複数の凹部18a1、22a1または凸部18a2、22a2を周方向に配列して構成されるものであってもよい。
【0075】
なお、第1の対向面18の凹凸形状18aおよび第2の対向面22の凹凸形状22aは、これら以外にも、例えば渦巻状、波状、格子状またはマトリクス状等、被攪拌物80の性状等に応じて任意の形状を採用することができる。また、第1の対向面18の凹凸形状18aと第2の対向面22の凹凸形状22aは、互いに同一の形状や相補的な形状に構成されるものであってもよいし、互いに異なる形状に構成されるものであってもよい。
【0076】
図12(a)〜(d)は、凹凸形状18a、22aを設けた場合に、凸部18a2、22a2の形状を頂点18a3、22a3を有する楔形状(または、三角形状)に構成した場合の一例を示した図である。より詳細には、この例では、同図(a)に示されるように、第1の対向面18の凹凸形状18aの凸部18a2は、第1の対向面18に平行な断面形状が頂点18a3を有する楔形状となるように構成されると共に、頂点18a3が回転体10の回転方向に向くようにして複数が同心円状に配列されている。また、第2の対向面22の凹凸形状22aの凸部22a2は、第2の対向面22に平行な断面形状が頂点22a3を有する楔形状となるように構成されると共に、頂点22a3が回転体10の回転方向の逆方向に向くようにして複数が同心円状に配列されている。そして、凸部18a2、22a2は、互いに遠心方向の位置をずらして配置されており、同図(b)〜(d)に示されるように、第1の対向面18と第2の対向面22の間において、互いに隣り合うようになっている。
【0077】
このようにすることで、回転体10の回転に伴って、凸部18a2、22a2の頂点18a3、22a3を被攪拌物80に混入された粉末の塊等に衝突させることができるため、粉末の塊等の破砕能力を高めることが可能となる。また、凸部18a2、22a2をこのような形状に構成することで、同図(b)〜(d)に示されるように、回転体10の回転に伴って第1の対向面18の凸部18a2と第2の対向面22の凸部22a2が相対的にすれ違う場合に、両者の間の距離Sが漸次縮小することとなるため、被攪拌物80に混入された粉末の塊等を凸部18a2と凸部22a2の間で圧砕することも可能となる。
【0078】
なお、この場合における凸部18a2、22a2の第1の対向面18および第2の対向面22に平行な断面形状は、周方向に沿って幅が漸次拡大または縮小する形状であれば、どのような形状であってもよい。また、頂点18a3、22a3は、必ずしも鋭利である必要はない。
【0079】
図13(a)は、凹凸形状18a、22aを設けた場合に、第1の対向面18の凹部18a1および第2の対向面22の凹部22a1を互いに交差する溝状に構成した場合の一例を示した図である。この例では、同図(a)に示されるように、石臼の摺動面に形成される溝と同様の形状に凹部18a1、22a1を構成し、回転体10の回転に伴って凹部18a1と凹部22a1の交差する部分が遠心方向に移動するようにしている。凹部18a1、22a1をこのような溝状に構成することで、石臼と同様に、第1の対向面18と第2の対向面22の間の被攪拌物80を剪断しつつ遠心方向に搬送することが可能となる。これにより、第1の対向面18と第2の対向面22の間で強力な分散・混合力を発生させながら、被攪拌物80を遠心力と共に積極的に遠心方向に流動させることができる。
【0080】
なお、この場合において、凹部18a1、22a1は、同図(a)に示されるように直線的に構成されるものであってもよいし、曲線的に構成されるものであってもよいし、凹部18a1、22a1の一方を曲線的に(例えば、渦巻状に)構成し、他方を直線的に構成するようにしてもよい。また、石臼とは逆に、回転体10の回転に伴って凹部18a1と凹部22a1の交差する部分が求心方向に(中心軸Cに向けて)移動するようにし、第1の対向面18と第2の対向面22の間における被攪拌物80の遠心力による流動を阻害するようにしてもよい。
【0081】
図13(b)および(c)は、回転体10の第1の対向面18を含む一部分を着脱可能な着脱部材10dとすることで、第1の対向面18を回転体10に対して着脱可能に構成した場合の一例を示した図である。なお、同図(b)は、回転体10の正面図(側面図)であり、同図(c)は、着脱部材10dの底面図である。
【0082】
この場合、着脱部材10dは、同図(c)に示されるように、例えば円盤に4つの開口部19を切り欠いた形状に構成され、ネジや係合等の既知の手法によって回転体10に固定される。また、図示は省略するが、着脱部材10dの第1の対向面18となる部分には、必要に応じて適宜の凹凸形状18aが形成される。
【0083】
このようにすることで、例えば第1の対向面18が摩耗したような場合にも、回転体10全体を交換するのではなく、着脱部材19dのみを交換すればよいため、攪拌装置1のランニングコストを低減することが可能となる。また、着脱部材10dを耐摩耗性材料から構成し、回転体10を樹脂等の比較的安価且つ加工の容易な材料から構成するといったことも可能となるため、攪拌装置1の製造コストを低減することも可能となる。
【0084】
また、異なる凹凸形状18aや異なる大きさまたは形状の開口部19が形成された複数種類の着脱部材10dを、異なる凹凸形状22aが形成された複数種類の対向体20と共に用意しておき、これらを適宜組み合わせて交換するようにすれば、分散・混合力を容易に調整することが可能となるため、攪拌装置1の汎用性を高めることができる。
【0085】
なお、着脱部材10dは、同図(b)および(c)に示されるように、第1の対向面18を全体的に交換するものであってもよいし、複数に分割されて第1の対向面18を部分的に交換可能なものであってもよい。また、着脱部材10dの形状は特に限定されるものではなく、さらに、着脱部材10dは、回転体10よりも遠心方向寸法が大きい(例えば、大径の)ものであってもよいし、遠心方向の寸法が小さい(例えば、小径の)ものであってもよい。また、対向体20において、第2の対向面22を着脱可能に構成するようにしてもよい。
【0086】
図14(a)〜(c)は、開口部19の進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19bを第2の対向面22側に向けて漸次拡大するように形成した場合の例を示した図であり、
図4(a)のB−B線断面を拡大して示した断面図である。ここで、
図14(a)は、進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19bを丸みを付けて拡大した例を示しており、同図(b)は、進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19bを直線的に拡大した例を示しており、同図(c)は、進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19bを窪ませて拡大した例を示している。
【0087】
このように、開口部19の進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19bを第2の対向面22側に向けて漸次拡大することにより、進行方向逆側縁部19aにおける流通路16から第1の対向面18と第2の対向面22の間への流入、および進行方向側縁部19bにおける第1の対向面18と第2の対向面22の間から流通路16への流入を促進することができるため、分散・混合力を高めることが可能となる。また、進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19bの形状を適宜に工夫することにより、分散・混合力を調整することができる。
【0088】
なお、進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19bの形状は、同図(a)〜(c)に示す例に限定されるものではなく、任意の形状を採用することができる。また、進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19bの両方を拡大させるのではなく、いずれか一方のみを拡大させるようにしてもよい。また、開口部19の縁部の進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19b以外の部分を拡大させるようにしてもよい。
【0089】
また、図示は省略するが、開口部19の進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19bを第2の対向面22側に向けて漸次縮小するように形成してもよい。この場合においても、進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19bの両方を縮小させるようにしてもよいし、いずれか一方のみを縮小させるようにしてもよく、一方を縮小させ、他方を拡大させるようにしてもよい。また、開口部19の縁部の進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19b以外の部分を縮小させるようにしてもよい。また、
図13(b)および(c)に示した着脱部材10dを交換することにより、進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19bを含む開口部19の縁部の形状を変更するようにしてもよい。
【0090】
図14(d)は、開口部19の進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19bに突出部19cを設けた場合の一例を示した図である。このように、開口部19の内側に向けて突出する突出部19cを設けることにより、混入された粉末等の塊や互いに混じり合わない混合物等を突出部19cに衝突させることができるため、分散・混合力を高めることが可能となる。
【0091】
なお、突出部19cの形状は、特に限定されるものではなく、任意の形状を採用することができる。また、突出部19cの先端部は、同図(d)に示す例のように、尖らせてもよいし、丸めてもよい。また、進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19bの両方に突出部19cを設けるようにしてもよいし、いずれか一方のみに突出部19cを設けるようにしてもよく、さらに、進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19bにおいて突出部19cの形状を異ならせるようにしてもよい。また、開口部19の縁部の進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19b以外の部分に突出部19cを設けるようにしてもよい。また、突出部19Cをネジや係合等によって着脱可能に回転体10に固定するようにし、被攪拌物80の性状等に応じて突出部19cを交換するようにしてもよく、この場合、
図13(b)および(c)に示した着脱部材10dに突出部19cを設けることで、突出部19cを第1の対向面18と共に交換可能としてもよい。
【0092】
図15(a)〜(d)は、回転体10および対向体20のその他の配置構成の例を示した図である。まず、同図(a)は、回転体10に対して対向体20を駆動装置30側に配置するようにした例を示している。この場合、対向体20には貫通孔26が形成され、駆動軸40はこの貫通孔26に挿通される。回転体10および対向体20をこのように配置した場合、容器70の下部の被攪拌物80を吸入口12によって吸い上げることが可能となる。
【0093】
同図(b)は、対向体20の両側に回転体10を配置するようにした例を示している。この場合、2つの回転体10が1つの対向体20を兼用することとなり、2つの回転体10によって攪拌を行うと共に、対向体20の両面を第2の対向面22として、対向体20の両面で分散・混合を行うことができるため、処理能力を高めることが可能となる。
【0094】
なお、同図(b)示す例では、対向体20に貫通孔26を形成し、この貫通孔26を介して2つの回転体10を接続することにより、1つの駆動装置30で2つの回転体10を回転駆動するようにしているが、2つの回転体10をそれぞれ専用の駆動装置30で駆動するようにしてもよい。また、2つの回転体10を同一方向に回転させるようにしてもよいし、互いに逆方向に回転させるようにしてもよい。
【0095】
同図(c)は、回転体10だけではなく、対向体20も回転させるようにした例を示している。この例では、駆動軸40および回転体10を中空構造に構成し、その内部に対向体20を駆動するための対向体駆動軸42を挿通して対向体20に接続するようにしている。そして、駆動装置30は、回転体10に接続された駆動軸40、および対向体20に接続された対向体駆動軸42をそれぞれ回転駆動可能に構成されている。
【0096】
この場合、回転体10を回転させると共に、対向体20を回転体10の回転方向とは逆方向に回転させる、すなわち回転体10と対向体20を二重反転させることにより、第1の対向面18と第2の対向面22の間における剪断力Fを強力にすることができるため、分散・混合力をより高めることが可能となる。なお、回転体10および対向体20の回転速度(回転数)は、同一であってもよいし、異ならせてもよい。回転体10および対向体20の回転速度を適宜に調節することで、分散・混合力を調整することができる。
【0097】
また、同図(c)に示す例において、回転体10および対向体20を同一方向に回転させるようにしてもよい。この場合においても、回転体10の回転速度と対向体20の回転速度を異ならせれば、第1の対向面18と第2の対向面22の間において剪断力Fを発生させることができる。また、対向体駆動軸42を駆動軸40および回転体10の内部に挿通するのではなく、回転体10の反対側から対向体20に接続するようにし、回転体10とは別の駆動装置30によって対向体20を回転駆動するようにしてもよい。
【0098】
なお、対向体20は、同図(a)および(b)に示す例のように固定配置されるもの、および同図(c)に示す例のように回転駆動されるもの以外に、中心軸Cを中心に回転自在に支持された状態で配置されるものであってもよい。すなわち、対向体20は、第1の対向面18と第2の対向面22の間の流体の粘性により、回転する回転体10と共に連れ回りするように配置されるものであってもよい。この場合においても、回転体10の回転と対向体20の回転に速度差が生じていれば、第1の対向面18と第2の対向面22の間において剪断力Fを発生させることができる。
【0099】
同図(d)は、2つの回転体10の一方を対向体20とした場合の一例を示している。この例では、2つの回転体10を第1の対向面18同士が対向するように配置し、一方の回転体10を駆動軸40によって回転駆動し、他方の回転体10を駆動軸40および一方の回転体10の内部に挿通した対向体駆動軸42によって回転駆動するようにしている。この場合、例えば下側の回転体10は対向体20として機能し、下側の回転体10の第1の対向面18は、第2の対向面22として機能することとなる。また、対向体20に吸入口12、吐出口14、流通路16および開口部19を設けたこととなる。
【0100】
なお、同図(d)に示す例では、2つの回転体10を互いに逆方向に回転させるようにしてもよいし、異なる回転速度で同一方向に回転させるようにしてもよい。また、2つの回転体10をそれぞれ別の駆動装置30によって駆動するようにしてもよい。また、2つの回転体10は、互いに同一形状に構成されるものであってもよいし、互いに異なる形状に構成されるものであってもよい。また、対向体20とする回転体10においては、開口部19を設けないようにしてもよい。
【0101】
図16(a)および(b)は、被攪拌物80を収容した容器70の一部を対向体20とした場合の例を示した図である。同図(a)に示す例では、回転体10を容器70の底壁部72に近接させて配置し、第1の対向面18が所定の隙間Gを空けて底壁部72の内壁面72aと対向するようにしている。このようにすることで、容器70の底壁部72を対向体20とし、底壁部70の内壁面72aを第2の対向面22とすることができる。
【0102】
同図(b)に示す例では、回転体10を容器70の底壁部72に近接させて配置し、第1の対向面18が所定の隙間Gを空けて底壁部72の内壁面72aと対向するようにして、容器70の底壁部72を対向体20とし、底壁部72の内壁面72aを第2の対向面22とすると共に、磁気継手90によって回転体10を底壁部72の外側から回転駆動するようにしている。この例では、回転体10に磁石92を取り付けることにより、底壁部72を挟んだ容器70の外側から磁気継手90で回転体10を回転駆動することを可能としている。なお、磁気継手90の代りに、円筒状リニアモータを使用するようにしてもよい。
【0103】
このように、容器70の一部を対向体20とすることにより、攪拌装置1を簡素に構成すると共に、清掃や詰りの除去等のメンテナンスを容易にすることができる。また、容器70の底壁部72を対向体20とすることにより、容器70の底部に溜まった滞留物を攪拌することができるため、効率的な攪拌を行うことができる。なお、攪拌中に回転体10を底壁部72の内壁面72aに沿って移動させるようにしてもよい。また、例えば側壁部等、容器70の底壁部72以外の部分を対向体20とするようにしてもよい。
【0104】
以上説明したように、本実施形態に係る攪拌装置1は、回転軸(中心軸C)を中心に回転する回転体10と、回転軸方向の一側から回転体10に対向して配置される対向体20と、回転体10の表面に設けられる吸入口12と、回転体10の表面において吸入口12よりも回転軸から遠心方向外側の位置に設けられる吐出口14と、吸入口12と吐出口14を繋ぐ流通路16と、を備え、回転体10は、対向体20に対向する第1の対向面18を有し、対向体20は、所定の隙間Gを空けて第1の対向面18に対向する第2の対向面22を有し、流通路16の途中には、第1の対向面18において開口する開口部19が形成されている。
【0105】
このような構成とすることで、吸入口12からの吸入および吐出口14からの吐出による優れた攪拌力と、第1の対向面18と第2の対向面22の間の剪断力Fによる強力な分散・混合力とを、1つの攪拌装置1で両立させることができる。すなわち、強力な分散・混合力を備えながらも処理能力が高いため、被攪拌物80の性状や量によらず効率的な攪拌を行うことができる。
【0106】
また、流通路16は、回転軸(中心軸C)の遠心方向外側に向かうように形成された遠心方向部分16bを有し、開口部19は、遠心方向部分16bの第1の対向面18側に設けられている。このようにすることで、開口部19を効果的な位置に効率的に形成することができるため、第1の対向面18と第2の対向面22の間に被攪拌物80を適切に導入し、分散・混合作用を適宜に発生させることができる。
【0107】
また、第1の対向面18および第2の対向面22の少なくとも一方には、凹凸形状18a、22aが形成されるようにしてもよい。このようにすることで、第1の対向面18と第2の対向面22の間においてより複雑な流動や渦を発生させると共に、楔効果やキャビテーション等を適宜に発生させることが可能となるため、分散・混合力を高めることができる。
【0108】
また、第1の対向面18および第2の対向面22の一方には、凹部18a1、22a1が形成され、第1の対向面18および第2の対向面22の他方には、凹部18a1、22a1内に少なくとも一部が収容される凸部18a2、22a2が形成されるようにしてもよい。このようにすることで、第1の対向面18と第2の対向面22の間における流動経路をラビリンス状にすることが可能となり、より複雑な流動や渦を発生させたり、流動抵抗を高めて流動し難くしたりすることができる。
【0109】
また、第1の対向面18には、回転体10の回転方向に頂点18a3を向けた楔状断面の第1の凸部(凸部18a2)が形成され、第2の対向面22には、回転体10の回転方向の逆方向に頂点22a3を向けた楔状断面の第2の凸部(凸部22a2)が形成され、第1の凸部は、第2の凸部に対して回転軸(中心軸C)の遠心方向においてずれた位置に配置されるようにしてもよい。このようにすることで、頂点18a3、22a3を被攪拌物80に混入された粉末等の塊や互いに混じり合わない混合物等に衝突させて破砕し、効率的に微細化することができる。また、第1の凸部(凸部18a2)と第2の凸部(凸部22a2)がすれ違う際に、漸次狭くなっていく両者の間で、粉末の塊等を圧砕することができる。
【0110】
また、第1の対向面18には、溝状の第1の凹部(凹部18a1)が形成され、第2の対向面22には、溝状の第2の凹部(凹部22a1)が形成され、第1の凹部および第2の凹部は、互いに交差する方向に形成されるようにしてもよい。このようにすることで、第1の対向面18と第2の対向面22の間において石臼と同様の効果を発揮することが可能となり、例えば剪断力を加えつつ被攪拌物80を遠心方向に搬送したり、逆に遠心力による遠心方向への流動を阻害したりすることができる。
【0111】
また、開口部19の縁部(例えば、進行方向逆側縁部19aおよび進行方向側縁部19b)は、第2の対向面22側に向けて漸次拡大するように形成されるものであってもよい。このようにすることで、流通路16から第1の対向面18と第2の対向面22の間への被攪拌物80の流入、および第1の対向面18と第2の対向面22の間から流通路16への被攪拌物80の流入を促進すること可能となるため、分散・混合力を高めることができる。また、縁部の形状を工夫することで、分散・混合力を調整することができる。
【0112】
また、開口部19の縁部には、開口部19の内側に向けて突出する突出部19cが形成されるようにしてもよい。このようにすることで、混入された粉末等の塊や互いに混じり合わない混合物等を突出部19cに衝突させ、分散・混合力を高めることができる。
【0113】
また、対向体20は、回転軸(中心軸C)を中心に回転しないように固定配置されている。このようにすることで、第1の対向面18と第2の対向面22の間で、確実に剪断力Fを発生させることができる。
【0114】
また、対向体20は、被攪拌物80を収容する容器70の一部(例えば、底壁部72)であり、第2の対向面22は、容器70の内壁面の一部(例えば、底壁部72の内壁面72a)であるようにしてもよい。このようにすることで、攪拌装置1を簡素に構成すると共に、メンテナンスを容易にすることができる。
【0115】
また、対向体20は、回転軸(中心軸C)を中心に回転するものであってもよい。この場合、対向体20を回転体10とは逆方向に回転(反転)させることにより、剪断力Fを増大させて分散・混合力を高めることができる。また、対向体20を回転体10と同じ方向に回転させることにより、分散・混合力を弱めることができる。さらに、回転体10と対向体20の回転速度の差を調節することにより、分散・混合力を適宜に調整することができる。
【0116】
また、攪拌装置1は、対向体20の表面に設けられる対向体吸入口と、対向体20の表面において対向体吸入口よりも回転軸から遠心方向外側の位置に設けられる対向体吐出口と、対向体吸入口と対向体吐出口を繋ぐ対向体流通路と、をさらに備えるものであってもよい。また、対向体流通路の途中には、第2の対向面22において開口する対向体開口部が形成されるようにしてもよい。このようにすることで、対向体20にも対向体吸入口からの吸入および対向体吐出口からの吐出による攪拌力を持たせることができるため、より一層効率的な攪拌を行うことが可能となる。
【0117】
また、第1の対向面18は、回転体10に対して着脱可能に構成されるものであってもよい。このようにすることで、第1の対向面18が摩耗や破損等した場合においても速やかに交換することができる。また、第1の対向面18の凹凸形状18aや、開口部19の大きさおよび形状を容易に変更することが可能となる。
【0118】
なお、本実施形態では、回転体10を略砲弾形状に構成した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、回転体10の形状は、例えば円柱状、多角柱状、円錐状、多角錐状、円錐台状、多角錐台状および部分球状等、任意の形状を採用することができる。同様に、対向体20の形状についても、任意の形状を採用することができる。また、回転体10および対向体20の第1の対向面18および第2の対向面22以外の部分に、凹凸形状を設けるようにしてもよい。
【0119】
また、本実施形態では、第1の対向面18の面積よりも第2の対向面22の面積を広く構成した例を示したが、第1の対向面18よりも第2の対向面22を狭く構成してもよいし、第1の対向面18および第2の対向面22を同一の広さに構成してもよい。また、第1の対向面18は、第2の対向面22の一部と対向するものであってもよいし、同様に、第2の対向面22は、第2の対向面18の一部と対向するものであってもよい。
【0120】
また、本実施形態では、主に一組の回転体10および対向体20を備える例を示したが、攪拌装置1は、複数組の回転体10および対向体20を備えるものであってもよい。さらに、複数組の回転体10および対向体20を備えるようにした場合、
図15(b)に示したように、一部の回転体10または対向体20が兼用されるようにしてもよい。
【0121】
また、本実施形態では、流通路16を1つの吸入口12と1つの吐出口14を繋ぐように構成した例を示したが、流通路16は、1つの吸入口12と複数の吐出口14を繋ぐように構成されるものであってもよいし、複数の吸入口12と1つの吐出口14を繋ぐように構成されるものであってもよいし、複数の吸入口12と複数の吐出口14を繋ぐように構成されるものであってもよい。
【0122】
また、流通路16の内部、または吸入口12もしくは吐出口14の内部に被攪拌物80に衝突させる衝突部材を設けるようにしてもよい。この場合、衝突部材は、被攪拌物80を所定の方向に誘導するような形状に構成されるものであってもよい。また、流通路16の内部にゴミ等の異物を捕獲するフィルタを設けるようにしてもよい。
【0123】
また、第1の対向面18と第2の対向面22の間と外部を繋ぐ貫通孔を対向体20に形成するようにしてもよい。この場合、貫通孔を形成する位置により、貫通孔を通じて第1の対向面18と第2の対向面22の間に被攪拌物80を流入させたり、第1の対向面18と第2の対向面22の間から被攪拌物80を流出させたりすることが可能となる。この場合、貫通孔の形状、貫通孔を形成する位置、貫通孔の向きおよび貫通孔の個数は特に限定されるものではなく、適宜に設定することができる。
【0124】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の攪拌装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。