特許第5794571号(P5794571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794571
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】スプレー装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20150928BHJP
   B05B 11/00 20060101ALI20150928BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   B65D83/00 L
   B65D83/00 K
   B05B11/00 103G
   B05B11/00 103K
   B65D47/34 A
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-285151(P2011-285151)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-133140(P2013-133140A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝之
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−034009(JP,A)
【文献】 実開昭57−145566(JP,U)
【文献】 実開昭58−040259(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00−83/76
B05B 11/00
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気の導入蓄圧機構を備え、上端に上方付勢状態で押し込み可能に突設した吐出管(A4)の押し下げにより、吐出管(A4)より加圧エアーが噴出する装置本体(A)と、吐出管(A4)に嵌着した噴霧ヘッド(B)とを備え、噴霧ヘッド(B)は、吐出管(A4)と連通する噴霧ノズル(83)付きの薬剤収容室(R2)を備え、薬剤収容室(R2)内への薬剤挿入手段を備え、噴霧ヘッド(B)の押し下げにより、薬剤を収容した薬剤収容室(R2)内に吐出管(A4)からの加圧エアーを噴出して気化薬剤を噴霧ノズル(83)より噴霧可能に構成したスプレー装置において、
噴霧ヘッド(B)は、吐出管(A4)に嵌着した取付筒(80)上に、取付筒(80)内と複数の小孔(91)を介して連通する噴霧ノズル(83)付きの薬剤収容室(R2)を備え、噴霧ノズル(83)内に小孔(94)を備えた区画壁(92)を備えてなるスプレー装置。
【請求項2】
薬剤挿入手段として、薬剤収容室(R2)の頂部を、蓋体(85)により開閉可能且つ気密な閉塞が可能に構成し、薬剤収容室(R2)内底部に底部破断突起(89)を起立するとともに、蓋体(85)より上部破断突起(90)を垂設し、薬剤収容室(R2)内に挿入した薬剤容器(A8)を底部破断突起(89)及び上部破断突起(90)で破断挟持する請求項1に記載のスプレー装置。
【請求項3】
蓋体(85)が、弾性圧搾可能な帽子状の頂部(85a)を有し、この頂部(85a)から上部破断突起(90)を垂設して、頂部(85a)を下方へ弾性変形することで、上部破断突起(90)が下降するように構成した請求項に記載のスプレー装置。
【請求項4】
薬剤容器(A8)は、薬剤を収納する容器本体(95)の周縁部より係止用フランジ(96)を突設し、薬剤収容室(R2)内周縁部に突設した縦リブ(93)上に載置可能に構成した請求項又は請求項に記載のスプレー装置。
【請求項5】
装置本体(A)が、加圧室(R1)を備える容器体(A1)の上部に回転可能に設けたカバー筒(A3)の回転により、内蔵外気導入機構が作動して加圧室(R1)内への外気の導入を行い、内蔵蓄圧機構により導入エアーの蓄圧を可能に構成した請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のスプレー装置。
【請求項6】
外気導入機構が、カバー筒(A)の容器体(A1)に対する回転動作をプランジャ(A5)の容器体(A1)に対する上昇動作に変換する変換機構により、容器体(A1)内に下方付勢状態で上下動可能に装着されたプランジャ(A5)を上昇させ、プランジャ(A5)の上昇により容器体(A1)底部に設けた逆止弁(14)を介して容器体(A1)内に外気が導入される如く構成した請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のスプレー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスプレー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スプレー装置として、芳香剤、消臭剤、除菌剤、抗菌剤等の剤液を、噴霧するものが種々提案されており、例えば、容器体の上端に上方付勢状態で押し込み可能に突出した吐出管に噴霧ヘッドを嵌着し、容器体内においてエアゾールによる液面加圧された剤液を、噴霧ヘッドの押し下げにより開弁する内蔵吐出弁を開いて噴霧する機構のものが提案されている。
【0003】
また、容器の廃棄に際して爆発の危険のないようにエアゾールを使用しないで、空気による剤液の液面加圧を行なう如く構成したものも提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
特許文献1に記載のスプレー装置は、上半部を円筒室とし下半部を液槽とした容器本体と、容器本体の上部に被着された回転ヘッドと、容器本体の円筒室内に回転および昇降自在に嵌装された円筒状の摺動部材と、円筒室下部に形成された逆止弁付きの液体加圧室と、摺動部材の下部に設けられて前記液体加圧室に嵌合されるピストンと、円筒室内に設けられた摺動部材圧下用のコイルバネと、加圧室の逆止弁下部より前記液槽内に垂設した吸上げパイプと、ピストンの中央に穿設した液通路と回転ヘッド上部に設けた噴霧弁組立体とを連結するフレキシブルチューブとからなり、前記回転ヘッドの頂壁より垂設した内筒外面と摺動部材の円筒部内面に摺動部材を垂直に昇降ガイドするスプラインを設けると共に、前記円筒室の内面と摺動部材の円筒部外面との間に回転ヘッドの回転力を摺動部材の上昇力に変える変換手段を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭54−25245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のものはいずれも剤液を使用したものであり、噴霧液が噴霧対象部位以外へ付着する等の不都合があった。また、内容液を気化させるものでは、温度や風通りなどの条件で気化量が変わってしまい、効果にばらつきが見られた。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、噴霧される剤が液状ではなく、気体状の噴霧を行なえて、噴霧対象部位以外への噴霧剤の付着等を防止することができ、また、使用にあたっても、取り扱いが便利なスプレー装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、
外気の導入蓄圧機構を備え、上端に上方付勢状態で押し込み可能に突設した吐出管A4の押し下げにより、吐出管A4より加圧エアーが噴出する装置本体Aと、吐出管A4に嵌着した噴霧ヘッドBとを備え、噴霧ヘッドBは、吐出管A4と連通する噴霧ノズル83付きの薬剤収容室R2を備え、薬剤収容室R2内への薬剤挿入手段を備え、噴霧ヘッドBの押し下げにより、薬剤を収容した薬剤収容室R2内に吐出管A4からの加圧エアーを噴出して気化薬剤を噴霧ノズル83より噴霧可能に構成したスプレー装置において、
噴霧ヘッドBは、吐出管A4に嵌着した取付筒80上に、取付筒80内と複数の小孔91を介して連通する噴霧ノズル83付きの薬剤収容室R2を備え、噴霧ノズル83内に小孔94を備えた区画壁92を備えてなる。
【0010】
の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段於いて、薬剤挿入手段として、薬剤収容室R2の頂部を、蓋体85により開閉可能且つ気密な閉塞が可能に構成し、薬剤収容室R2内底部に底部破断突起89を起立するとともに、蓋体85より上部破断突起90を垂設し、薬剤収容室R2内に挿入した薬剤容器A8を底部破断突起89及び上部破断突起90で破断挟持する。
【0011】
の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第の手段に於いて、蓋体85が、弾性圧搾可能な帽子状の頂部85aを有し、この頂部85aから上部破断突起90を垂設して、頂部85aを下方へ弾性変形することで、上部破断突起90が下降するように構成した。
【0012】
の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第の手段又は第の手段に於いて、薬剤容器A8は、薬剤を収納する容器本体95の周縁部より係止用フランジ96を突設し、薬剤収容室R2内周縁部に突設した縦リブ93上に載置可能に構成した。
【0013】
の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第の手段のいずれかの手段に於いて、装置本体Aが、加圧室R1を備える容器体A1の上部に回転可能に設けたカバー筒A3の回転により、内蔵外気導入機構が作動して加圧室R1内への外気の導入を行い、内蔵蓄圧機構により導入エアーの蓄圧を可能に構成した。
【0014】
の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第の手段のいずれかの手段に於いて、外気導入機構が、カバー筒Aの容器体A1に対する回転動作をプランジャA5の容器体A1に対する上昇動作に変換する変換機構により、容器体A1内に下方付勢状態で上下動可能に装着されたプランジャA5を上昇させ、プランジャA5の上昇により容器体A1底部に設けた逆止弁14を介して容器体A1内に外気が導入される如く構成した。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液剤の使用がなく、噴霧ヘッドBから薬剤の気化物を噴霧できるため、噴霧対象部位以外へ薬剤が噴霧されても、そこへの薬剤の付着等を防止でき、その使用操作も簡単に行なえて使い勝手も良いという特徴がある。
【0016】
また、噴霧ヘッドBは、吐出管A4に嵌着した取付筒80上に、取付筒80内と複数の小孔91を介して連通する噴霧ノズル83付きの薬剤収容室R2を備え、噴霧ノズル83内に小孔94を備えた区画壁92を備えている場合には、より良好な噴霧状態を現出できる特徴がある。
【0017】
また、薬剤収容室R2の頂部を、蓋体85により開閉可能且つ気密な閉塞が可能に構成し、薬剤収容室R2内底部に底部破断突起89を起立するとともに、蓋体85より上部破断突起90を垂設し、薬剤収容室R2内に挿入した薬剤容器A8を底部破断突起89及び上部破断突起90で破断挟持する場合には、薬剤の設置、交換を容易に行なえる利点がある。
【0018】
蓋体85が、弾性圧搾可能な帽子状の頂部85aを有し、この頂部85aから上部破断突起90を垂設して、頂部85aを下方へ弾性変形することで、上部破断突起90が下降するように構成した場合には、薬剤容器A8をセットした後、頂部85aを押圧して破断することができるので、好きなタイミングで薬剤容器A8を開封できるという特徴があり、また、薬剤容器A8の設置をより行い易くなる。
【0019】
また、薬剤容器A8は、薬剤を収納する容器本体95の周縁部より係止用フランジ96を突設し、薬剤収容室R2内周縁部に突設した縦リブ93上に載置可能に構成した場合には、薬剤の設置を適正位置に容易に行なえ、また、交換をより容易に行なえるという特徴がある。
【0020】
また、装置本体Aが、加圧室R1を備える容器体A1の上部に回転可能に設けたカバー筒A3の回転により、内蔵外気導入機構が作動して加圧室R1内への外気の導入を行い、内蔵蓄圧機構により導入エアーの蓄圧を可能に構成した場合には、その取り扱い操作をより簡単に行える利点がある。
【0021】
外気導入機構が、カバー筒Aの容器体A1に対する回転動作をプランジャA5の容器体A1に対する上昇動作に変換する変換機構により、容器体A1内に下方付勢状態で上下動可能に装着されたプランジャA5を上昇させ、プランジャA5の上昇により容器体A1底部に設けた逆止弁14を介して容器体A1内に外気が導入される如く構成した場合には、同様にその取り扱い操作をより簡単に行える利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】スプレー装置の縦断面図である。(第1実施例)
図2】スプレー装置の正面図である。(第1実施例)
図3】スプレー装置の操作を説明する縦断面図である。(第1実施例)
図4】スプレー装置の操作を説明する縦断面図である。(第1実施例)
図5】スプレー装置の噴出ヘッド部分の要部縦断面図である。(第2実施例)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図1乃至図4は本発明の第1実施例を示し、スプレー装置1は、装置本体Aと、噴霧ヘッドBと、オーバーキャップCとを備えている。尚、説明の便宜上、図1に於ける左方を前部、右方を後部とし、手前を右部、奥側を左部として説明する。
【0025】
装置本体Aは、外気の導入蓄圧機構を備え、上端に上方付勢状態で押し込み可能に突設した吐出管A4の押し下げにより、吐出管A4より加圧エアーが噴出する如く構成している。
【0026】
本例に於いて装置本体Aは、容器体A1と、支持部材A2と、カバー筒A3と、吐出管A4と、プランジャA5と、第1連絡部材A6と、第2連絡部材A7とを備えている。
【0027】
容器体A1は周壁10上に縮径した口頸部11を起立し、周壁10の下端開口部分に周縁部を気密に嵌着した底蓋12を装着している。底蓋12の中央には窓孔13が設けられており、該窓孔13を、外部より内部へ一方的に連通する逆止弁14で閉塞している。逆止弁14は、窓孔13を閉塞する弁板14aの周囲と、底蓋12に嵌着した支持筒部14bとの間を、周方向複数の弾性連結片14cで連結して、弁板14aを常時窓孔12周縁の底板上面に圧接して構成している。また、底蓋12の底板周縁部には、プランジャA5の摺動部50が嵌合する環状凹部15形成され、また、底板中央部には逆止弁14が固定された中央凹部16が形成されている。
【0028】
支持部材A2は、口頸部11外周に螺合させた装着筒20の上端より内方へフランジ21を延設し、フランジ21内周下部より下方へ下部筒部22を垂設し、下部筒部22の下端縁より内方へフランジ状の係止突片27を突設している。また、フランジ21の内周縁上面より上方へ、上部筒部23を起立し、上部筒部23の外周下部に第1係止突条24、その上部に第2係止突条25を突設している。フランジ21と容器体口頸部11上面との間にはパッキンpを介在させてこの部分を気密にシールしている。上部筒部23の内面には、変換機構を構成する断面半円形の縦溝26を周方向等間隔に複数縦設している。変換機構は、後述するが、カバー筒A3とプランジャA5との間に設けられ、カバー筒A3の支持部材A2に対する回転動作、及びカバー筒A3の容器体A1に対する回転動作を、プランジャA5の支持部材A2に対する上昇動作、及びプランジャA5の容器体A1に対する上昇動作に変換する機構である。
【0029】
カバー筒A3は、支持部材A2上に回転可能に設けられており、従って、容器体A1に対して回転可能に設けられており、周壁部30の下端を支持部材A2の装着筒20外周上部に形成された小径部に回動可能に嵌合している。周壁部30の内面下部に凹設した凹部に支持部材A2の第1係止突条24を相互の回動が可能に嵌合させ、カバー筒A3の上方への抜け出しを防止している。周壁部30の上縁より、湾曲状部分及び階段状部分を連設して構成された肩部を介して頂板部を延設しており、頂板部中央に開口した窓の周縁より、上部外周に係止突条33を突周設した連結筒31を起立している。また、階段状部分下面より垂設した筒部内面には、係合凹部32を凹設している。
【0030】
吐出管A4は、連結筒31内に上方付勢状態で押し込み可能に突設し、吐出管A4の押し込みにより開弁する吐出弁40を介して連絡管41内と連通しており、連絡管41の下端開口は容器体A1内に位置している。従って、容器体A1から連絡管41を通り、吐出弁40を介して吐出管A4の上端開口に連通している。
【0031】
本例では、カバー筒A3の頂部下面に嵌着し、頂壁中央に透孔を開口した下端開口の有頂筒状をなす固定筒42と、固定筒42頂部裏面に嵌着したフランジ45内周縁より下方に、下部が段部を介して小径部46aに形成された短筒46を垂下し、短筒46の大径部46b内面に周方向複数の縦リブを縦設した挟持部材43を備え、固定筒42の頂部と挟持部材43のフランジ45との間に、中央に透孔を開口した弁体44を挟持させている。また、吐出管A4は、大径の入口管部A4aの上方に小径の出口管部A4bを連設して構成しており、出口管部A4bの下端部外周に環状凹溝47を凹設しており、弁体44の透孔周縁部に環状凹溝47を嵌合させて弁体44の上方に出口管部A4bを立設し、入口管部A4aを挟持部材43の縦リブ内周に上下動可能に嵌合させており、入口管部A4aと挟持部材43の段部との間に第1スプリングs1を介在させて常時上方に付勢させている。そして、弁体44と吐出管A4とで吐出弁40を構成しており、吐出管A4の押し下げにより吐出弁40が開弁する如く構成している。また、挟持部材43の小径部46a外周に上端を嵌着し、下端を容器体A1内に開口する連絡管41を設けており、連絡管41の上端より外方へ延設したフランジを介して、固定筒42の周壁部分内周に嵌着する嵌合筒48を立設している。
【0032】
プランジャA5は、周縁部を容器体周壁10に気密に摺動する摺動部50とした加圧壁51を備え、加圧壁51の中央に開口した透孔の周縁部より、連絡管41外周を気密に摺動する摺動筒52を立設している。本例の場合は摺動筒52の上部内周に嵌着した環状のシール材53により連絡管41との間を気密にシールしている。また、摺動筒52下面より逆止弁14の弁板上面に当接する複数の係止腕54を垂設している。このプランジャA5は後述する第2スプリングs2により常時下方に付勢されており、使用前には容器体A1内の最下部に位置している。即ち、図1に示す如く、加圧壁51が底蓋12の底板上面に当接し、摺動部50が環状凹部15内に収納され、係止腕54の下面が逆止弁14の弁板上面に当接係止する状態にある。
【0033】
第1連絡部材A6は、支持部材A2の上部筒部23外周に回動可能に嵌合させ、第2係止突条25下面に回動可能に係合する突条により上方への抜け出しを防止した嵌合筒部60を備え、嵌合筒部60の上端縁より内方へ、中央に連絡管41が貫通する透孔を開口した頂板部61を延設し、頂板部61の上面より突設した筒部の外周に、カバー筒A3の各係合凹部32にそれぞれ係合する複数の係合突部62を突設しており、カバー筒A3を回転させることで回転する如く連携している。また、頂板部61の下面中央部からは垂下筒63を垂設し、その外面に複数の縦溝64を縦設している。頂板部61周縁部には複数の透孔65を穿設している。
【0034】
第2連絡部材A7はプランジャA5に嵌着固定したので、プランジャA5の摺動筒52外面に嵌着させた嵌合筒70を基板71下面より垂設し、基板71の周縁部上面より連携筒72を起立している。基板71は中央に連絡管41を上下動可能に貫通させる透孔を備え、透孔周縁の下面よりシール材53を係止する係止筒75を垂設し、透孔周縁の上面より第2スプリングs2の下端部を嵌合させる係止筒を立設している。また、連携筒72の内面には第1連絡部材A6の各縦溝64にそれぞれ上下動可能に嵌合する縦突条73を突設しており、また、連携筒72の外面には変換機構を構成するカム溝74が凹設されている。カム溝74は、容器中心軸回りに互いに間隔をあけて形成された垂直溝74aと、容器中心軸回りで隣接する垂直溝74aの上端と下端とを連結する傾斜溝74bとからなる断面半円形状をなしおり、容器中心軸回りの全周に亘って設けられている。そして、このカム溝74及び支持部材A2の縦溝26それぞれには、ボールbが回動可能に係合している。即ち、ボールbの半分はカム溝74に挿入され、残りの半部が縦溝26に挿入されている。そして、基板71と第1連絡部材A6の頂板部61との間に第2スプリングs2を介在させて、第2連絡部材A7及びプランジャA5を常時下方に付勢させている。
【0035】
変換機構は、カバー筒A3とプランジャA5との間に設けられ、カバー筒A3の支持部材A2及び容器体A1に対する回転動作を、プランジャA5の支持部材A2及び容器体A1に対する上昇動作に変換する機構であり、従って、カバー筒A3とプランジャA5との間に設けられ、カバー筒A3の容器体A1に対する回転動作を、プランジャA5の容器体A1に対する上昇動作に変換する機構であるともいえる。
【0036】
変換機構は、図1の状態からカバー筒A3を支持部材A2に対して(即ち、容器体に対して)回動させることで第1連絡部材A6が回動し、この回転力が伝達された第2連絡部材A7は、図3に示す如く、ボールbが傾斜溝74bを相対的に下っていくため第2スプリングs2の下方付勢力に抗して第2連絡部材A7が上昇し、同時にプランジャA5が上昇する。その際プランジャA5の加圧壁51下方の加圧室R1内は負圧化するため、逆止弁14が開いて加圧室R1内に外気が導入されていき、外気導入機構が働く。そして、図4に示す如く、ボールbがカム溝74の傾斜溝74bの下端から垂直溝74aの下端に移行すると、ボールbは垂直溝74aを相対的な上昇が可能となる。この際、加圧室R1内に導入されたエアーは第2スプリングs2の下方付勢力により加圧されて蓄圧機構が働き、加圧室R1内は密閉状態となっているためその状態を維持し、吐出弁40を開くことで、第2スプリングs2の下方付勢力が働き ボールbの上昇が始まり、プランジャA5が下降する。
【0037】
噴霧ヘッドBは、吐出管A4の外周に嵌着した取付筒80を底壁81裏面より垂設し、底壁81周縁より周壁82を起立し、周壁の前部に一端を開口した噴霧ノズル83を前方へ突設している。また、周壁82上端部の右側にヒンジ84(図1では説明の便宜上後部に二点鎖線で示す)を介して開閉可能に連結した蓋体85により、周壁82の上端開口を閉塞しており、内部に薬剤収容室R2を画成している。ヒンジ84の対向位置である蓋体85の左側には指掛け突起86(図1では説明の便宜上前部に二点鎖線で示す)を突設しており、該指掛け突起86を掴んでの蓋体85の開閉が可能に構成している。
【0038】
また、底壁81の裏面周縁部より係止筒87を垂設し、その内面下端部に突設した係合突条88を、カバー筒の係止突条33下面に係合させて抜け出しの防止を図っている。底壁81の上面中央部には二枚の三角板をクロスさせた形態の底部破断突起89を立設し、また、蓋体85裏面中央には二枚の台形板をクロスさせた形態の上部破断突起90を垂設している。また、取付筒80内と薬剤収容室R2内とは、底壁81に穿設した複数の小孔91により連通しており、噴霧ノズル83の基端部には区画壁92を設け、区画壁92に小孔94を設けている。更に、周壁82の内周面には周方向複数の縦リブ93を突設している。また、周壁82及び係止筒87の外周には外周壁97を垂設している。尚、小孔94は、区画壁92に複数設けても良く、小孔の数や大きさは適宜変更することができ、そうすることにより、開口面積が変わり、噴射時間の調整が容易に設定できる。
【0039】
上記の如く構成したスプレー装置1には、その薬剤収容室R2内に薬剤を収納する薬剤容器A8を挿入固定している。薬剤容器A8は、薬剤を収納する容器本体95の周縁部より係止用フランジ96を突設し、薬剤収容室R2内周縁部に突設した縦リブ93上に載置可能に構成している。そして、噴霧ヘッドBの蓋体85を開いて薬剤容器A8を収納載置した後、蓋体85を閉じることで、薬剤容器A8を底部破断突起89及び上部破断突起90で容器本体95を破断して挟持する。尚、薬剤としては、この様な薬剤容器A8に収納されたものに限らず、例えば、不織布に薬剤を含浸させたものを使用することも可能であり、これらに限らない。
【0040】
オーバーキャップCは、支持部材A2の装着筒20外周に周壁下端部を着脱可能に嵌合し、その上方のスプレー装置1を被覆して着脱可能に装着している。尚、オーバーキャップC内上部に係止手段を設けて薬剤容器A8を装着可能に構成することも可能である。
【0041】
スプレー装置1を使用する場合には、例えば、図4に示す如く、前述した方法で薬剤容器A8を装着した後、カバー筒A3を回動させて加圧室R1内に外気を導入し、蓄圧した状態から、噴霧ヘッドBを押し下げれば、吐出弁40が開いて加圧エアーが小孔91を介して薬剤収容室R2内に噴出され、気化した薬剤を区画壁92の小孔94を介して噴霧ノズル83先端から噴霧することができる。
【0042】
噴霧ヘッドBの押圧を解除すれば第1スプリングs1の上方付勢力で噴霧ヘッドBは元の状態に戻る。
【0043】
図5は第2実施例を示し、本例では、図1の例に於いて、蓋体85が、弾性圧搾可能な帽子状の頂部85aを有し、この頂部85aから上部破断突起90を垂設して、頂部85aを下方へ弾性変形することで、上部破断突起90が下降するように構成している。図5では頂部85aが下方への弾性変形前の状態であり、この状態から頂部85aを押圧すると反転して上部破断突起90が第1実施例の図3の如く、薬剤収容室R2内に挿入した薬剤容器A8を底部破断突起89及び上部破断突起90で破断挟持する。第2実施例の場合、薬剤容器A8をセットした後、頂部85aを押圧して破断することができるので、好きなタイミングで薬剤容器A8を開封できるという特徴がある。その他の構成は図1の場合と同様であるため説明を省略する。
【符号の説明】
【0044】
1:スプレー装置
A:装置本体
A1:容器体
10…周壁、11…口頸部、12…底蓋、13…窓孔、14…逆止弁、14a…弁板、
14b…支持筒部、14c…弾性連結片、15…環状凹部、16…中央凹部
A2:支持部材
20…装着筒、21…フランジ、22…下部筒部,23…上部筒部、
24…第1係止突条、25…第2係止突条、26…縦溝、27…係止突片
A3:カバー筒
30…周壁部、31…連結筒、32…係合凹部、33…係止突条
A4:吐出管
A4a…入口管部、A4b…出口管部
40…吐出弁、41…連絡管、42…固定筒、43…挟持部材、44…弁体、
45…フランジ、46…短筒、46a…小径部、46b…大径部、47…環状凹溝、
48…嵌合筒
A5:プランジャ
50…摺動部、51…加圧壁、52…摺動筒、53…シール材、54…係止腕
A6:第1連絡部材
60…嵌合筒部、61…頂板部、62…係合突部、63…垂下筒、64…縦溝、
65…透孔
A7:第2連絡部材
70…嵌合筒、71…基板、72…連携筒、73…縦突条、74…カム溝、
74a…垂直溝、74b…傾斜溝、75…係止筒
B…噴霧ヘッド
80…取付筒、81…底壁、82…周壁、83…噴霧ノズル、84…ヒンジ、
85…蓋体、86…指掛け突起、87…係止筒、88…係合突条、
89…底部破断突起、90…上部破断突起、91…小孔、92…区画壁、93…縦リブ、94…小孔、97…外周壁
A8:薬剤容器
95…容器本体、96…係止用フランジ
C:オーバーキャップ
p:パッキン
s1:第1スプリング
s2:第2スプリング
b:ボール
R1:加圧室
R2:薬剤収容室
図1
図2
図3
図4
図5