(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記回転スリーブの一側方に側方起立壁を設け、前記側方起立壁に前記ケーブルサポートの他端部を固定し、前記回転スリーブと前記側方起立壁との間で前記ケーブルサポートがU字状に垂れるように保持したことを特徴とする請求項2に記載の線材成形機。
  円筒を縦割りにした半円弧状の第1半円弧カバーと、前記第1半円弧カバーより大きな半円弧状をなした第2半円弧カバーとを、内面同士を対向させて周方向の一端部同士を接続しかつ他端部同士の間をケーブル受容空間を空けた状態に配置して前記回転スリーブを構成し、
  前記ケーブルサポートの一端部を、前記第1半円弧カバーの他端部外面に固定し、
  一方の前記フランジ板のうち前記ケーブル受容空間に対応した位置にケーブル挿通窓を貫通形成して、前記ローラ駆動用サーボモータのケーブルを、前記ケーブル挿通窓、前記ケーブル受容空間を通して前記ケーブルサポートまで延ばしたことを特徴とする請求項2又は3に記載の線材成形機。
  前記回転スリーブと前記1対のフランジ板とからなるケーブル巻回ボビンを、縦割りに2分割したことを特徴とする請求項2乃至4の何れか1の請求項に記載の線材成形機。
  前記固定ベースに備えられ、前記回転スリーブに上方又は側方から対向する支持部材と、前記支持部材に支持されて前記1対のフランジ板の間に突入し、前記1対のフランジ板の前記ケーブルサポートを前記回転スリーブに向けて押圧するケーブルサポート押えとを備えたことを特徴とする請求項2乃至5の何れか1の請求項に記載の線材成形機。
  成形した前記線材を前記後続の線材から切断する度に、前記回転ベースが可動範囲の中央の原点位置に移動することを特徴とする請求項1乃至6のうち何れか1の請求項に記載の線材成形機。
  前記線材を任意の形状に成形するための成形ツールを前記線材送給軸と直交する軸方向に進退移動可能な成形ツール駆動機構を備えたことを特徴とする請求項1乃至7のうち何れか1の請求項に記載の線材成形機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  しかしながら、上述した従来の線材成形機では、回転ベースを回転させると、主動傘歯車と従動傘歯車の噛合により従動傘歯車自身も回転してしまい、回転ベースの回転に伴って1対のローラが回転する、所謂、連れ回りが生じるという問題があった。このため、線材を回転させる場合には、連れ回りの影響を考慮して線材の送り量を調整しなければならず、線材の送り制御が複雑であった。
【0005】
  本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、線材の送り制御を容易に行える線材成形機の提供を目的とする。
 
【課題を解決するための手段】
【0006】
  上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る線材成形機は、線材送給軸に沿って送給された線材を任意の形状に成形してから後続の線材から切断する線材成形機において、固定ベースに対して線材送給軸を中心に回転可能に支持された回転ベースと、固定ベースに取り付けられて、回転ベースを回転駆動するベース駆動用サーボモータと、回転ベースに取り付けられて、線材を挟んで対称回転することで線材を送給すると共に、回転ベースと共に線材送給軸を中心に回転することで線材を線材送給軸を中心に回転させる1対のローラと、回転ベースに取り付けられて、1対のローラを回転駆動するローラ駆動用サーボモータと、ローラ駆動用サーボモータのケーブルのうち第1と第2の位置を回転ベースと固定ベースとに固定しかつ、それら第1と第2の位置の間のケーブル中間可動部を、回転ベースが2回転以上回転することを許容した状態に支持するケーブル支持機構とを備えたところに特徴を有する。
【0007】
  請求項2の発明は、請求項1に記載の線材成形機において、ケーブル支持機構には、回転ベースに設けられて線材送給軸上に延び、回転ベースと一体に回転する回転スリーブと、内側にケーブルが挿通されたキャタピラー構造をなし、回転スリーブに一端部が固定されて回転スリーブから垂下され、回転ベースが一方向に回転したときに回転スリーブに巻き取られるケーブルサポートと、回転スリーブから側方に張り出してケーブルサポートを挟んで対向し、ケーブルサポートの幅方向への移動を規制する1対のフランジ板とが備えられ、ケーブルサポートにケーブル中間可動部が保持されたところに特徴を有する。
【0008】
  請求項3の発明は、請求項2に記載の線材成形機において、回転スリーブの一側方に側方起立壁を設け、側方起立壁にケーブルサポートの他端部を固定し、回転スリーブと側方起立壁との間でケーブルサポートがU字状に垂れるように保持したところに特徴を有する。
【0009】
  請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の線材成形機において、円筒を縦割りにした半円弧状の第1半円弧カバーと、第1半円弧カバーより大きな半円弧状をなした第2半円弧カバーとを、内面同士を対向させて周方向の一端部同士を接続しかつ他端部同士の間をケーブル受容空間を空けた状態に配置して回転スリーブを構成し、ケーブルサポートの一端部を、第1半円弧カバーの他端部外面に固定し、一方のフランジ板のうちケーブル受容空間に対応した位置にケーブル挿通窓を貫通形成して、ローラ駆動用サーボモータのケーブルを、ケーブル挿通窓、ケーブル受容空間を通してケーブルサポートまで延ばしたところに特徴を有する。
【0010】
  請求項5の発明は、請求項2乃至4の何れか1の請求項に記載の線材成形機において、回転スリーブと1対のフランジ板とからなるケーブル巻回ボビンを、縦割りに2分割したところに特徴を有する。
【0011】
  請求項6の発明は、請求項2乃至5の何れか1の請求項に記載の線材成形機において、固定ベースに備えられ、回転スリーブに上方又は側方から対向する支持部材と、支持部材に支持されて1対のフランジ板の間に突入し、1対のフランジ板のケーブルサポートを回転スリーブに向けて押圧するケーブルサポート押えとを備えたところに特徴を有する。
【0012】
  請求項7の発明は、請求項1乃至6のうち何れか1の請求項に記載の線材成形機において、成形した線材を後続の線材から切断する度に、回転ベースが可動範囲の中央の原点位置に移動するところに特徴を有する。
【0013】
  請求項8の発明は、請求項1乃至7のうち何れか1の請求項に記載の線材成形機において、線材を任意の形状に成形するための成形ツールを線材送給軸と直交する軸方向に進退移動可能な成形ツール駆動機構を備えたところに特徴を有する。
 
【発明の効果】
【0014】
  [請求項1の発明]
  請求項1の線材成形機では、1対のローラを回転駆動するローラ駆動用サーボモータが回転ベースに取り付けられているので、回転ベースを回転させたときのローラの連れ回りがなくなる。これにより、連れ回りを考慮して線材の送り量を制御する必要がなくなり、線材の送り制御が容易となる。また、本発明の構成では、ローラ駆動用サーボモータのケーブルのケーブル中間可動部が回転ベースと固定ベースとを連絡した状態になるので回転ベースの回転範囲が規制されることになるが、ケーブル中間可動部が回転ベースが2回転以上回転することを許容した状態に支持されているので、ケーブルによる回転ベースの回転規制の影響が抑えられ、成形可能な線材の形状の自由度が高い。
【0015】
  [請求項2の発明]
  請求項2の線材成形機では、内側にケーブルが挿通されたキャタピラー構造をなしたケーブルサポートが、回転ベースに備えた線材保護スリーブに一端部を固定されて垂下すると共に、線材保護スリーブから張り出した1対のフランジ板の間に挟まれている。そして、回転ベースの回転位置に応じて線材保護スリーブにおけるケーブルサポートの巻き取り量が変化する。本発明では、このケーブルサポートにケーブル中間可動部が保持されているので、回転ベースの回転に伴うケーブルへの負担が抑えられる。
【0016】
  [請求項3の発明]
  請求項3の線材成形機では、線材保護スリーブの一側方の側方起立壁にケーブルサポートの他端部が固定され、線材保護スリーブと側方起立壁との間でケーブルサポートがU字状に垂れるように保持されている。そして、回転ベースが一方に回転すると、線材保護スリーブにおけるケーブルサポートの巻き取り量が増加する一方、U字状に垂れたケーブルサポートの全長が短くなっていき、逆に、回転ベースが他方に回転すると、線材保護スリーブにおけるケーブルサポートの巻き取り量が減少する一方、U字状に垂れたケーブルサポートの全長が長くなっていく。即ち、本発明によれば、回転ベースの回転位置に応じて、ケーブルサポートの一部が線材保護スリーブにおける巻回部分かU字状の湾曲部分かの何れかに移動するので、線材保護スリーブからケーブルサポートを単に垂らしただけのものに比べて、ケーブルサポート全体をコンパクトに纏めることができる。
【0017】
  [請求項4の発明]
  請求項4の構成によれば、第1半円弧カバーと第2半円弧カバーとを一端部同士を接続しかつ他端部同士の間にケーブル受容空間を空けた状態に配置して線材保護スリーブを構成して、ケーブルサポートの一端部を第1半円弧カバーの他端部外面に固定したので、線材保護スリーブによりケーブルサポートの2巻目が1巻目より外側にずらされ、スムーズにケーブルサポートを巻き取ることができる。また、一方のフランジ板のうちケーブル受容空間に対応した位置にケーブル挿通窓を貫通形成したので、ローラ駆動用サーボモータのケーブルを、ケーブル挿通窓、ケーブル受容空間を通してケーブルサポートまで容易に取り廻すことができる。
【0018】
  [請求項5の発明]
  請求項5の線材成形機では、線材保護スリーブと1対のフランジ板とからなるケーブル巻回ボビンが縦割りに2分割されているので、線材送給軸の側方からケーブル巻回ボビンを着脱することができ、ケーブルやケーブルサポートの交換等のメンテナンスが容易になる。
【0019】
  [請求項6の発明]
  請求項6の線材成形機では、1対のフランジ板のケーブルサポートを線材保護スリーブに向けて押圧するケーブルサポート押さえを備えているので、線材保護スリーブにおけるケーブルサポートの巻き付けが緩み、ケーブルサポートが1対のフランジ板の間から外側に膨らむような事態を防ぐことができる。
【0020】
  [請求項7の発明]
  請求項7の線材成形機では、線材の成形が終了する度に、線材の捻れを解消することができる。
【0021】
  [請求項8の発明]
  請求項8の線材成形機では、線材送給軸と直交する方向で成形ツールが進退移動するので、線材送給軸方向に成形領域を広く確保することができる。
【0022】
  [追記]
  なお、上記した請求項1に記載の線材成形機において、「ケーブル支持機構には、回転ベースのうち線材の送給方向の後側部分で線材送給方向に延びた線材保護スリーブと、複数の板状部材を線材保護スリーブの周方向に沿って並べて、隣り合った板状部材同士を板厚方向に回動可能に連結してなり、一端部と他端部とが回転ベースと固定ベースとに固定されたケーブルガイドと、ケーブル中間可動部を各板状部材に重ねた状態に保持するケーブル保持手段とが備えられ、板状部材同士の連結部を、ケーブルガイドの中間部が線材保護スリーブの一端部から途中まで一方向に巻き付けられる一方、途中でヘアピン状に折り返されて他端部まで逆方向に巻き付けられ、回転ベースの回転位置に応じて、ケーブルガイドにおけるヘアピン状の折り返し部分が線材保護スリーブの回りを回転しながら線材保護スリーブの軸方向に移動するように」構成してもよい。このように構成すれば、回転ベースの回転位置に応じて、ケーブルガイドにおけるヘアピン状の折り返し部分が線材保護スリーブの回りを回転しながら線材保護スリーブの軸方向に移動し、回転ベースが回転することによるケーブル中間可動部の捻れを解消することができる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0024】
  [第1実施形態]
  以下、本発明の第1実施形態を
図1〜
図7を用いて説明する。
図1に示すように本実施形態の線材成形機10が有する固定ベース11は、前後方向で対向した前側起立壁12と後側起立壁13とを箱形台座部90の上面に備えていて、それら前側起立壁12及び後側起立壁13の間に回転ベース50が回転可能に支持されている。
 
【0025】
  回転ベース50は、同一水平軸上に配置された前端スリーブ52と後端シャフト53との間に本体部50Hを備えている。本体部50Hは、前後方向で対向したシャフト支持板50F,50Bを、それらに直交したローラ支持板50Cにて連結してなる。そして、前側のシャフト支持板50Fの前面から前端スリーブ52が突出する一方、後側のシャフト支持板50Bの後面から後端シャフト53が突出している。また、前端スリーブ52は、扁平の円筒状をなし(
図2参照)、後端シャフト53は、前端スリーブ52より長くかつ小径な円筒状をなしている。
 
【0026】
  上記した前端スリーブ52に対し、前側起立壁12には、
図2に示すように、前面側に円形凹部33Aが陥没形成されると共に、その円形凹部33Aの奥壁33Bの中央に貫通孔33Cが形成されている。また、貫通孔33Cには、前側から支持シャフト33Dが挿入されて、その支持シャフト33Dに備えたフランジ33Fが奥壁33Bに重ねて固定されている。そして、前側起立壁12から後方に突出した支持シャフト33Dの先端部の外側に、前端スリーブ52がベアリングを介して嵌合されている。また、
図1に示すように、上記した後端シャフト53に対し、後側起立壁13にはシャフト支持孔31Bが貫通形成されている。そして、後端シャフト53が図示しないベアリングを介してシャフト支持孔31B内に嵌合されている。これにより、上記したように、回転ベース50が前側起立壁12と後側起立壁13とに回転可能に支持されている。
 
【0027】
  回転ベース50には、前端スリーブ52及び後端シャフト53の中心軸上を貫通するように線材挿入孔20T(
図2参照)が貫通形成され、その線材挿入孔20Tを通って線材Wが送給されるようになっている。即ち、本実施形態では、前端スリーブ52及び後端シャフト53の中心軸上に、本発明に係る線材送給軸J1が延びている。また、上記ローラ支持板50Cは、線材送給軸J1の側方にずらされ、そのローラ支持板50Cの側面に隣接配置された2対計4つのローラ30が線材送給軸J1を挟んで対称配置されている。そして、これらローラ30の中心から突出した図示しないローラ中心シャフトが、ローラ支持板50Cに形成された支持孔を貫通した状態で回転可能に支持されている。
 
【0028】
  また、各ローラ中心シャフトの先端には、図示しないローラ駆動ギヤが取り付けられ、線材送給軸J1を挟んで配置されたローラ30,30のローラ駆動ギヤ同士が噛合し、これにより、各対のローラ30,30が対称回転する。また、ローラ支持板50Cには、減速機一体のローラ駆動用サーボモータ60が取り付けられ、そのローラ駆動用サーボモータ60の出力軸が、図示しないギヤを介してローラ駆動ギヤに連結されている。これにより、ローラ駆動用サーボモータ60にてローラ30群を回転駆動して、線材Wを線材送給軸J1に沿って送給することができる。
 
【0029】
  図1に示すように、後端シャフト53の後端部は、後側起立壁13の後側に突出していて、そこに従動プーリ56Aが一体回転可能に固定されている。また、従動プーリ56Aの斜め下方には主動プーリ56Bが設けられ、その主動プーリ56Bを挟んで後側起立壁13に対向するように箱形台座部90の上面からモータ支持壁13Aが突出している。また、そのモータ支持壁13Aの後面には、減速機一体のベース駆動用サーボモータ50Mが固定され、その出力軸に主動プーリ56Bが取り付けられている。そして、従動プーリ56Aと主動プーリ56Bとの間にタイミングベルト56Cが架け渡されている。これにより、回転ベース50がベース駆動用サーボモータ50Mから動力を受けて任意の回転位置に位置制御されるようになっている。
 
【0030】
  後端シャフト53の後方延長線上には、線材Wを直線状に矯正するための第1及び第2の矯正装置92,93が後端シャフト53と一体回転可能に取り付けられている。第1矯正装置92には、複数の矯正ローラ92Aが線材送給軸J1を挟んだ一方と他方とに交互に並べて備えられ、これら矯正ローラ92A群の間を線材Wが通過するようになっている。
 
【0031】
  第2矯正装置93は、線材送給軸J1と平行なベース板93Aを有している。そのベース板93Aの一側縁部には、1対の連結軸部93J,93Jが前後に並べて固定され、前端の連結軸部93Jが第1矯正装置92の後端部に固定されている。また、後端の連結軸部93Jを支持するために、後側起立壁13の上端部からは、後方に水平バー37が延び、その水平バー37の先端から垂直バー37Aが垂下されている。そして、垂直バー37Aの下端部に固定された線材導入シャフト37Bに第2矯正装置93の後端部が回動可能に支持されている。さらに、連結軸部93J,93J及び線材導入シャフト37Bの中心には、図示しない線材送給孔が貫通形成され、線材導入シャフト37Bから後端の連結軸部93Jの線材送給孔へと通された線材Wが、線材送給軸J1に接する円を描くようにベース板93Aに沿って1巻、巻回されて前端の連結軸部93Jの線材送給孔に通されている。また、ベース板93Aには、円状に巻回された線材Wを内側から支持するように複数の矯正ローラ93Bが環状に並べられてそれぞれ回転可能に支持されると共に、各矯正ローラ93Bとの間で線材Wを挟むように複数の補強矯正ローラ93Cが環状に並べられてそれぞれ回転可能に支持されている。
 
【0032】
  図2に示すように、前側起立壁12の円形凹部33A内には、クイル用プーリ15が収容され、その円形凹部33Aの内面に嵌合したベアリングと支持シャフト33Dの外側に嵌合したベアリングとによって回転可能に支持されている。そして、そのクイル用プーリ15の前端面にクイル14が固定されている。そのクイル14は、後端部にクイル用プーリ15に固定するためのフランジ14Fを備え、そのフランジ14Fより前側部分は、円柱体の外周面に一部に平坦面を形成してなる断面略D字状の柱構造をなしている。また、クイル14及び支持シャフト33Dの中心にも、前記した線材挿入孔20Tが貫通形成され、前記したローラ30群にて送給される線材Wがクイル14の先端から前方に排出される。
 
【0033】
  前側起立壁12の前面には、円形凹部33Aに連通する図示しないベルト収容溝が形成されている。そして、前側起立壁12の後面に取り付けられた減速機一体のクイル駆動用サーボモータ16(
図1参照)の出力軸が、前側起立壁12を貫通してベルト収容溝内に突出し、そこに図示しない駆動側プーリが固定されている。その駆動側プーリと前記したクイル用プーリ15との間にタイミングベルト34Cが架け渡されている。これにより、クイル14がクイル駆動用サーボモータ16から動力を受けて任意の回転位置に位置制御されるようになっている。
 
【0034】
  図1に示すように、前側起立壁12のうちクイル14より下側部分からは、固定テーブル20が前方に張り出していて、その固定テーブル20の上面には、第1可動テーブル21が前後方向に直動可能に組み付けられ、さらに、その第1可動テーブル21の上面には、第2可動テーブル22が前後方向に直交する水平横方向に直動可能に組み付けられている。そして、減速機一体の図示しないX軸駆動用モータ及びY軸駆動用モータとによって、第1と第2の可動テーブル21,22が任意の直動位置に位置制御されるようになっている。また、第2可動テーブル22の上面には、減速機一体の図示しないテーブル駆動用モータが軸方向を横方向に向けた状態にして固定されている。そして、そのテーブル駆動用モータの出力軸に固定されたツールテーブル25に、複数の成形ツール25Tが固定されている。このように、本実施形態の線材成形機10では、成形ツール25Tを線材送給軸J1とそれに直交する方向で成形ツール25Tが直動可能になっているので、線材Wの成形を行うクイル14の前面の成形領域を広く確保することができる。
 
【0035】
  前側起立壁12の前面には、クイル14の上方に複数(例えば、3つ)の補助ツール駆動機構70がクイル14を中心とした放射状に配置して備えられている。各補助ツール駆動機構70には、クイル14の前方の成形空間に対して接離する方向に直動する図示しない直動ベースが備えられ、その直動ベースの先端部に切断ツール、折り曲げツール等の補助ツールが取り付けられている。また、各補助ツール駆動機構70には、直動ベースを駆動するための駆動源として減速機一体のサーボモータ70Mが備えられている。
 
【0036】
  さて、本実施形態の線材成形機10では、回転ベース50に取り付けられたローラ駆動用サーボモータ60のケーブル(信号ケーブルと電力ケーブル)を取り廻すために、回転ベース50の本体部50Hと後側起立壁13との間に、ケーブル巻回ボビン40が後端シャフト53に嵌合した状態に組み付けられている。
 
【0037】
  ケーブル巻回ボビン40は、例えば板金製であって、
図6に示すように、線材送給軸J1に延びた線材保護スリーブ47の前後両端部に1対のフランジ板43F,43Bを備えた構造をなしている。線材保護スリーブ47は、円筒を縦割りにした半円弧状の第1半円弧カバー47Aと、第1半円弧カバー47Aより大きな半円弧状をなした第2半円弧カバー47Bとから構成されている。また、それら第1半円弧カバー47Aと第2半円弧カバー47Bとは、互いの内面同士を対向させた状態で周方向の一端部同士が接続されると共に、他端部同士の間がケーブル受容空間47Cを空けた状態に配置されて、線材保護スリーブ47全体は、略渦巻き形状になっている。
 
【0038】
  1対のフランジ板43F,43Bは、外径同一の円形をなして共に中心を線材送給軸J1上に配置された状態で対向配置されている。また、フランジ板43F,43Bの中心部には、中央孔43H,43Jが形成されていて、それらのうち後側のフランジ板43Bの中央孔43Jは、前側の前側のフランジ板43Fの中央孔43Hより内径が大きくなっている。さらに、両フランジ板43F,43Bの外縁には、互いに離れる側に突出した環状補強リブ44,44が備えられている。
 
【0039】
  線材保護スリーブ47は、軸方向の両端面をフランジ板43F,43Bの対向面に押し付けられた状態でそれらフランジ板43F,43Bに溶接されている。そして、第1半円弧カバー47Aが、中央孔43H,43Jの同心円上に配置されている。また、前側のフランジ板43Fには、ケーブル受容空間47Cの前方位置にケーブル挿通窓43Gが貫通形成されている。さらに、ケーブル挿通窓43Gに臨んだ第1半円弧カバー47Aの端部外面には、平板状の板金を溶接してケーブルベア用座部81(
図7参照)が形成され、そのケーブルベア用座部81に対して複数の座ぐり孔81Aが第1半円弧カバー47Aの裏面側から穿孔されている。
 
【0040】
  図7に示すように、ケーブル巻回ボビン40は、第1半円弧カバー47Aの周方向の両先面を含む分割面で、1対のボビン構成体40K,40Lに2分割されている。また、これらボビン構成体40K,40Lを合体した状態に固定するために、両ボビン構成体40K,40Lにおいて前側のフランジ板43Fを分割してなる1対のフランジ半円板43S,43Sの各外面と、後側のフランジ板43Bを分割してなる1対のフランジ半円板43T,43Tの各外面とには、それぞれの分割面側の縁部の2位置に増肉用の板金を溶接して1対ずつの合体固定用座部80が形成され、各合体固定用座部80に螺子孔80Aがそれぞれ形成されている。そして、ボビン構成体40K,40Lを合体させた状態で隣り合わせとなった合体固定用座部80,80に共通の図示しない接合板を接合し、その接合板に形成された1対の貫通孔を通して螺子を各合体固定用座部80の螺子孔80Aに締め付けることで、ボビン構成体40K,40Lが合体した状態に固定される。
 
【0041】
  図6に示すように、前側のフランジ板43Fには、外面に増肉用の板金を溶接して第1〜第3の取付座部82,83,84が設けられている。これら第1〜第3の取付座部82,83,84は、ケーブル巻回ボビン40の分割面を挟んだ両側に対称に配置されている。また、第1の取付座部82には、フランジ板43Fの内面側から座ぐり孔82Aが貫通形成され、第2と第3の取付座部83,84には、それぞれ螺子孔83A,84Aが貫通形成されている。そして、第1の取付座部82の座ぐり孔82Aに通されたボルトが、本体部50Hのシャフト支持板50B(
図1参照)に形成された図示しない螺子孔に締め付けられると共に、シャフト支持板50Bに形成された貫通孔に通されたボルトが第2と第3の取付座部83,84の螺子孔83A,84Aに締め付けられてケーブル巻回ボビン40が回転ベース50に固定されている。
 
【0042】
  また、前側のフランジ板43Fの外面には、ケーブル挿通窓43Gの隣に増肉用の板金を溶接してケーブル固定用座部85が設けられている。そして、ケーブル固定用座部85に形成された螺子孔85Aに図示しないボルトを締め付けて図示しないケーブル押えが取り付けられている。
 
【0043】
  図6に示すように、線材保護スリーブ47のケーブルベア用座部81には、ケーブルベア49(本発明の「ケーブルサポート」に相当する)の一端部が固定されている。具体的には、線材保護スリーブ47のり面側から座ぐり孔81Aに挿入されたボルトがケーブルベア49の一端部に設けられた螺子孔に締め付けられている。また、ケーブルベア49は、
図3に示すようにケーブル巻回ボビン40を後側から見て、ケーブルベア用座部81から右方向に延びて線材保護スリーブ47の右側部から下方に垂らされ、線材保護スリーブ47を反時計周り方向に回転させたときに、ケーブルベア49が線材保護スリーブ47に巻き取られるようになっている。なお、「ケーブルベア」、「キャタピラー」は共に登録商標である。
 
【0044】
  なお、ケーブルベア49は、広く流通している市販品であり、複数の角筒体をそれらの内部空間が連通するように1列に並べて、隣り合った角筒体同士を回動可能に連結して全体をキャタピラー構造にしたものである。
 
【0045】
  ケーブルベア49の他端部は、ケーブル巻回ボビン40の右側方に設けられた側方起立壁13Sに固定されている。詳細には、側方起立壁13Sは、例えば、後側起立壁13から前方に張り出した縦長の板金によって構成されている。そして、側方起立壁13Sのうち線材送給軸J1より僅か上方となる位置にケーブルベア49の他端部が固定されている。これにより、線材保護スリーブ47と側方起立壁13Sとの間でケーブルベア49がU字状に垂れるように保持されると共に、側方起立壁13Sより外側に膨らむことが規制されている。また、箱形台座部90の上面壁には、線材保護スリーブ47の下方位置から側方起立壁13Sの下方位置に亘って貫通孔90Hが形成されている。そして、U字状に垂れたケーブルベア49の一部が貫通孔90Hを介して箱形台座部90内に受容されるようになっている。
 
【0046】
  図4に示すように、ケーブルベア49は、線材保護スリーブ47の周りに2.5巻以上に巻回可能な長さをなしている(より具体的には、ケーブルベア49は、線材保護スリーブ47に3巻まで巻回可能な長さをなしている)。また、本実施形態の線材成形機10では、線材保護スリーブ47の可動範囲がプログラム上設定されていて、線材成形機10を後方から見て回転ベース50を反時計回り方向に回転させると、同図に示すように、ケーブルベア49が、線材保護スリーブ47に2.5巻、巻回されたところで回転ベース50が第1リミット位置に到達して停止する。なお、この状態で、線材保護スリーブ47と側方起立壁13Sとの間でU字状に湾曲したケーブルベア49の下端部は、箱形台座部90の上方に位置している。また、第1リミット位置から回転ベース50を時計回り方向に回転させると、そこから2回転したところで回転ベース50が第2リミット位置に到達して停止する。このとき、ケーブルベア49は、
図5に示すように、線材保護スリーブ47に0.5巻、巻回された状態になり、線材保護スリーブ47と側方起立壁13Sとの間でU字状に湾曲したケーブルベア49の下端部は、箱形台座部90内の底面に当接した状態になる。
 
【0047】
  なお、箱形台座部90の両側面には、窓90W,90Wが形成されていて、通常は、それら窓90Wが蓋板90Fにて閉塞されている。なお、
図1に示すように、箱形台座部90の後面には、制御ボックス90Aが螺子止めされている。
 
【0048】
  ケーブルベア49には、ローラ駆動用サーボモータ60のケーブル(信号ケーブルと電力ケーブル。図示せず)の中間部分(本発明に係る「ケーブル中間可動部」に相当する)が通されている。そして、ケーブルベア49の一端部から引き出されたケーブルは、ケーブル挿通窓43Gに通されて図示しないケーブル押えに保持されてケーブル固定用座部85(
図6参照)に固定されている。そして、ケーブル押えより先端側がローラ駆動用サーボモータ60にコネクタ接続されている。一方、ケーブルベア49の他端部から引き出されたケーブルは、図示しないケーブル押えに保持されて側方起立壁13Sに固定されている。
 
【0049】
  本実施形態の線材成形機10の構成に関する説明は以上である。次に、この線材成形機10の作用効果について説明する。本実施形態の線材成形機10では、ローラ駆動用サーボモータ60にてローラ30群を回転させることでクイル14の先端から線材Wが排出される。そして、例えば、線材Wを送給しながら成形ツール25Tや補助ツールに衝合又は摺接させたり、線材Wの送給を停止した状態で成形ツール25Tや補助ツールを線材Wに押し付けて曲げたりして、線材Wから任意の形状の製品が成形される。その際、線材Wを折り曲げた状態で、回転ベース50を回転させることで線材Wの先端の向きを任意の向きに変更することができるので、成形ツール25Tや補助ツールの動作が簡素化され、生産効率を高めることができる。
 
【0050】
  そして、本実施形態の線材成形機10では、ローラ30群を回転駆動するローラ駆動用サーボモータ60が回転ベース50に取り付けられているので、回転ベース50を回転させたときのローラ30の連れ回りが防がれる。これにより、連れ回りを考慮して線材Wの送り量を制御する必要がなくなり、線材Wの送り制御が容易となる。
 
【0051】
  また、本実施形態の線材成形機10では、ローラ駆動用サーボモータ60のケーブルの中間可動部が回転ベース50と固定ベース11とを連絡した状態になるので回転ベース50の回転範囲が規制されることになるが、ケーブル中間可動部が回転ベース50が2回転以上回転することを許容した状態に支持されているので、ケーブルによる回転ベース50の回転規制の影響が抑えられ、成形可能な線材Wの形状の自由度が高い。
 
【0052】
  ここで、回転ベース50が1回転だけ回転可能な場合で、回転ベース50を原点から一方向に回転して線材Wに第1の成形を行ってから第2の成形を行う際に、回転ベース50を他方向に1回転近く回転せざるを得ない事態が生じ得るが、本実施形態の線材成形機10では、そのような事態が生じ難い。即ち、本実施形態の線材成形機10によれば、回転ベース50の回転範囲の中心を原点にして、原点から正逆両方向に1回転以上、回転可能に設定しておくことで、回転ベース50を任意の位置に移動する場合に、原点から一方向に回転しても他方向から回転してもその任意の同じ位置に回転ベース50を移動することができる。これにより、回転ベース50が1回転だけ回転可能なもので生じ得る前記した事態は生じなくなり、効率よく線材Wを成形することが可能になる。
 
【0053】
  また、回転ベース50と一体に回転する線材保護スリーブ47に取り付けられかつ1対のフランジ板43F,43Bの間に配置されたケーブルベア49にケーブル中間可動部が保持されているので、回転ベースの回転に伴うケーブルへの負担が抑えられる。さらに、そのケーブルベア49のうち線材保護スリーブ47の巻き取られていない部分は、線材保護スリーブ47と側方起立壁13Sとの間でU字状に垂れるように保持されているので、ケーブルベア49全体がコンパクトに纏まる。具体的には、回転ベース50が一方に回転すると、
図3と
図4とに比較して示すように線材保護スリーブ47におけるケーブルベア49の巻き取り量が増加する一方、ケーブルベア49のうちU字状に垂れた部分が短くなっていき、逆に、回転ベース50が他方に回転すると、
図3と
図5とに比較して示すように巻き取り量が減少する一方、U字状に垂れた部分が長くなっていく。即ち、本実施形態によれな、回転ベース50の回転位置に応じて、ケーブルベア49の一部が線材保護スリーブ47における巻回部分かU字状の湾曲部分かの何れかに移動するので、線材保護スリーブ47からケーブルベア49を単に垂らしただけのものに比べて、ケーブルベア49全体をコンパクトに纏めることができる。
 
【0054】
  また、第1半円弧カバー47Aと第2半円弧カバー47Bとを一端部同士を接続しかつ他端部同士の間にケーブル受容空間47Cを空けた状態に配置して線材保護スリーブ47を構成して、ケーブルベア49の一端部を第1半円弧カバー47Aの他端部外面に固定したので、
図3に示すように、線材保護スリーブ47によりケーブルベア49の2巻目が1巻目より外側にずらされ、スムーズにケーブルベア49を巻き取ることができる。また、前側のフランジ板43Fのうちケーブル受容空間47Cに対応した位置にケーブル挿通窓43Gを貫通形成したので、ローラ駆動用サーボモータ60のケーブルを、ケーブル挿通窓43G、ケーブル受容空間47Cを通してケーブルベア49まで容易に取り廻すことができる。
 
【0055】
  さらに、線材保護スリーブ47と1対のフランジ板43F,43Bとからなるケーブル巻回ボビン40が縦割りに2分割されているので、線材送給軸J1の側方からケーブル巻回ボビン40を着脱することができ、ケーブルやケーブルベア49の交換等のメンテナンスが容易になる。
 
【0056】
  なお、線材Wから所定の形状の製品が成形されたら、切断ツールにて後続の線材Wから製品が切り離される。そして、回転ベース50が原点位置(上記した第1と第2のリミット位置の中央の位置)に戻る。これにより、製品が成形される度に回転ベース50より後方側における線材Wの捻れが解消される。
 
【0057】
  [第2実施形態]
  本実施形態の線材成形機10Wは、
図8及び
図9に示されており、ケーブルベア49の跳ね上がりを防ぐためのケーブルベア押え18(本発明の「ケーブルサポート押え」に相当する)を備えている点のみが第1実施形態と異なる。具体的には、線材成形機10Wにおける前側起立壁12及び後側起立壁13(
図8参照)の上端部の間には、
図9(A)に示した断面円形の1対の上部補強シャフト11S,11T(本発明に係る「支持部材」に相当する)が差し渡されて横並びに配置されている。そして、線材保護スリーブ47を後方から見てその線材保護スリーブ47の左上方に位置した第1の上部補強シャフト11Sに、ケーブルベア押え18が回動可能に取り付けられている。
 
【0058】
  ケーブルベア押え18は、帯板部材をなして一端部に回動連結プレート18Aを固定して備えている。回動連結プレート18Aは、上部補強シャフト11Sに対応した図示しない貫通孔を有している。そして、その貫通孔を2分するように回動連結プレート18Aが分割され、貫通孔に上部補強シャフト11Sが通された状態で、回動連結プレート18Aがボルトにて合体状態に固定されている。これにより、ケーブルベア押え18が、上部補強シャフト11Sを中心に回動する。
 
【0059】
  また、
図8に示すように、上部補強シャフト11Sには、回動連結プレート18Aを両側から挟むように1対のズレ止めリング18N,18Nが固定されて、ケーブルベア押え18の前後の移動を規制している。なお、ズレ止めリング18N,18Nも、回動連結プレート18Aと同様に分割されていて、ボルトにて合体状態に固定されている。
 
【0060】
  ケーブルベア押え18の他端部には、ローラ支持シャフト18Jが貫通していて、そのローラ支持シャフト18Jの両端部に1対の押えローラ18R,18Rが回動可能に支持されている。そして、
図9(A)に示すように、ケーブルベア押え18は、ケーブル巻回ボビン40における1対のフランジ板43F,43Bの間に受容されて、上部補強シャフト11Sから右斜め下方に延びた傾斜姿勢になり、押えローラ18R,18Rがケーブルベア49に当接する。
 
【0061】
  線材保護スリーブ47を後方から見てその線材保護スリーブ47の右上方に位置した第1の上部補強シャフト11Tには、シリンダ支持リング19Nが固定され、そのシリンダ支持リング19Nにシリンダ19Cが回動可能に取り付けられている。シリンダ支持リング19Nは、ズレ止めリング18Nと同様に分割されていて、ボルトにて合体状態に保持されて上部補強シャフト11Tに固定されている。シリンダ19Cには、ロッド19Rが直動可能に受容されかつ抜け止めされている。また、ロッド19Rのうちシリンダ19C内に位置した基端部と、シリンダ19Cのうち回動中心側の基端部内面との間に図示しない圧縮コイルばねが受容され、ロッド19Rがシリンダ19Cから押し出される方向に付勢されている。そして、ロッド19Rの先端部が、ケーブルベア押え18の長手方向における中間部に回動可能に連結されて押えローラ18Rがケーブルベア49に押し付けられるようにケーブルベア押え18が付勢されている。
 
【0062】
  本実施形態の構成によれば、
図9(A)と
図9(B)とに対比して示すように、線材保護スリーブ47に対するケーブルベア49の巻回量に追従してケーブルベア押え18が回動してケーブルベア49を線材保護スリーブ47側に押圧するので、例えば、回転ベース50が高速で回転しても、線材保護スリーブ47におけるケーブルベア49の巻き付けが緩んで外側に膨らむような事態を防ぐことができる。
 
【0063】
  [第3実施形態]
  本実施形態の線材成形機10Xは、
図10に示されており、前記第2実施形態に対してケーブルベア押え18、シリンダ19Cの配置を変更し、第2のケーブルベア押え27(本発明の「ケーブルサポート押え」に相当する)と巻き取り補助プーリ26とを追加した点が異なる。以下、第2実施形態と異なる構成に関してのみ説明し、第2実施形態と同様の構成に関しては、同一符号を付して重複した説明は省略する。
 
【0064】
  図10(A)に示すように、本実施形態の線材成形機10Xでは、前記第2実施形態の線材成形機10Wにおいて一方の上部補強シャフト11Sに取り付けられていたケーブルベア押え18が他方の上部補強シャフト11Tに取り付けられ、他方の上部補強シャフト11Tに取り付けられていたシリンダ19Cが一方の上部補強シャフト11Sに取り付けられている。
 
【0065】
  そして、
図10(A)における他方の上部補強シャフト11Tの斜め下側部分に第2のケーブルベア押え27が設けられている。第2のケーブルベア押え27は、線材成形機10Xにおける前側起立壁12の後面に固定されたロッド支持ベース27Bと、そのロッド支持ベース27Bから線材保護スリーブ47に向かって平行に延びかつロッド支持ベース27Bに直動可能に支持された1対の加圧ロッド27R,27Rとを有してなる。また、1対の加圧ロッド27R,27Rの先端部は、図示しない共通の連絡ブロックに固定され、各加圧ロッド27R,27Rの外側には、それぞれ圧縮コイルバネ28,28が挿通されている。そして、それら圧縮コイルバネ28,28が連絡ブロックとロッド支持ベース27Bとの間で圧縮されて、加圧ロッド27R,27Rが線材保護スリーブ47側に付勢されている。また、連絡ブロックには押えローラ29のローラ支持シャフト29Jが前後方向に貫通した状態で回転可能に支持されている。そして、その押えローラ29がケーブルベア49に押し付けられている。
 
【0066】
  図10(A)において線材保護スリーブ47側の右斜め下方には、巻き取り補助プーリ26が備えられている。巻き取り補助プーリ26は、側方起立壁13Sからケーブル巻回ボビン40側に張り出した図示しないブラケットに回動可能に支持され、ケーブル巻回ボビン40における1対のフランジ板43F,43B(
図6参照)との間に一部が収まるように配置されている。そして、この巻き取り補助プーリ26は、
図10(B)に示すように、ケーブルベア49のうちU字状に湾曲した部分の内側に収まって、ケーブルベア49を安定させる。
 
【0067】
  本実施形態の構成によっても、前記第2実施形態と同様にケーブルベア49の巻き付けが緩んで外側に膨らむような事態を防ぐことができる。
 
【0068】
  [第4実施形態]
  本実施形態の線材成形機10Vは、
図11〜
図13に示されており、前記第1実施形態のケーブルベア49に代えてケーブルガイド63を備えている点が大きく相違する。以下、第1実施形態と異なる構成に関してのみ説明し、第1実施形態と同様の構成に関しては、同一符号を付して重複した説明は省略する。
 
【0069】
  図11に示すように、本実施形態の回転ベース50の本体部50Hの後端部には、ベース側平歯車69Bが固定されている。また、後側起立壁13には、回転ベース50より下方側に減速機50Gが取り付けられ、その減速機50Gの出力軸に固定された動力側平歯車69Aが、前記したベース側平歯車69Bに噛合している。さらに、減速機50Gの入力側にはベース駆動用サーボモータ50Mが接続され、これにより回転ベース50が任意の回転位置に位置制御されるようになっている。
 
【0070】
  回転ベース50は、ベース側平歯車69Bと後側起立壁13との間に円筒状の線材保護スリーブ47Vを備えていて、その線材保護スリーブ47Vの周りにケーブルガイド63(例えば、イグス株式会社製のツイスターバンド)が巻かれている。
図12に示すように、ケーブルガイド63は、扇形の中心部を切り取った形状の円弧状プレート64を周方向に複数並べ、隣り合った円弧状プレート64同士を、例えば、ヒンジにて板厚方向で回動可能に連結した構造になっている。
 
【0071】
  各円弧状プレート64の一方側の面には、門形をなして脚部が円弧状プレート64の内側寄り位置と外側寄り位置とに連絡したケーブル固定部64Aが設けられている。また、ケーブルガイド63の一端部と他端部とがそれぞれ、線材保護スリーブ47Vと後側起立壁13とに固定されている。さらに、ケーブルガイド63の中間部は、線材保護スリーブ47Vの前端部から中間部までは線材保護スリーブ47Vの外側に一方向(
図12における矢印Aの方向)に巻き付けられる一方、線材保護スリーブ47Vの中間部でヘアピン状に折り返されて、線材保護スリーブ47Vの中間部から後端部までは、逆方向(
図12における矢印Bで示す方向)に巻き付けられている。そして、このケーブルガイド63のケーブル固定部64Aと円弧状プレート64との間にローラ駆動用サーボモータ60のケーブル62が挿通されている。
 
【0072】
  本実施形態の構成によれば、
図13(A)から
図13(B)への変化に示すように、回転ベース50の回転位置に応じて、ケーブルガイド63におけるヘアピン状の折り返し部分63Hが線材保護スリーブ47Vの回りを回転しながら線材保護スリーブ47Vの軸方向(
図13(B)の例では、回転ベース50の本体部50H側)に移動する。これにより、回転ベース50の回転に伴ったケーブルの捻れが解消される。
 
【0073】
  なお、
図13(A)及び
図13(B)では、線材保護スリーブ47Vの軸方向におけるケーブルガイド63の間隔が誇張して示されている。また、ケーブルガイド63は、線材保護スリーブ47Vの外側に2周以上巻き付けられていて、回転ベース50が2回転してもケーブルが捻れないようになっている。
 
【0074】
  [他の実施形態]
  本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
 
【0075】
  (1)前記第1〜第3の実施形態では、クイル14が前側起立壁12に回転可能に支持されていたが、回転不能に固定されていてもよい。
 
【0076】
  (2)前記第1〜第3の実施形態では、第1と第2の可動テーブル21,22によりツールテーブル25が直交する2つの軸方向に直動可能であったが、ツールテーブル25を相互に直交する3つの軸方向に直動可能な構成にしてもよい。
 
【0077】
  (3)
図14に示した線材成形機10Yのように、線材保護スリーブ47Vの上方に位置した固定ベース11の一部に引っ張りばね99を垂らしてその下端部にフック98を設けて本発明の「ケーブル支持機構」とし、そのフック98にローラ駆動用サーボモータ60のケーブル62を保持させてもよい。この構成によれば、ケーブル62への負荷に応じてフック98が上下動し、回転ベース50の回転に伴うケーブル62の突っ張りが防がれる。
 
【0078】
  (4)また、
図15に示した線材成形機10Zのように、固定ベース11に固定のオートリール68(本発明の「ケーブル支持機構」に相当する)にケーブル62を巻き付け、ケーブル62の弛みに応じて自動的にオートリール68にケーブル62が巻き取られるようにしてもよい。
 
【0079】
  (5)前記第2実施形態のケーブルベア押え18に代えて、フランジ板43F,43Bの内面にケーブルベア49との摺動抵抗が比較的高い、例えば軟性樹脂製のシートをそれぞれ重ねておき、そのシートとケーブルベア49との摺動抵抗によって、回転ベース50を高速回転させたときにケーブルベア49が跳ね上がらないようにしてもよい。
 
【0080】
  (6)回転ベース50の回転ストロークは、2回転(720度)以上であればよく、例えば、730度や1080度であってもよい。
 
【0081】
  (7)上記実施形態では、線材送給軸J1が水平方向に延びた構成であったが、鉛直方向に延びた構成であってもよい。
 
【0082】
  [その他]
  本発明の技術的範囲に含まれないが、上記第1〜第3の実施形態に示されたケーブル取り回しの技術は、回転ベースが2回転以上回転しない線材成形機に適用してもよい。