(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のインプラント組立体において、前記切離し可能なジョイント及び前記末端の戻り電極の少なくとも一方が親水性コーティングを有することを特徴とするインプラント組立体。
請求項1に記載のインプラント組立体において、前記末端の戻り電極が前記切離し可能なジョイントの周りを周方向に延び、前記電気絶縁シースが前記末端の戻り電極の周りに設けられることを特徴とするインプラント組立体。
請求項4に記載のインプラント組立体がさらに、前記プッシャ部材の遠位端部に結合された電気絶縁スペーサを具え、当該電気絶縁スペーサが前記切離し可能なジョイントと前記末端の戻り電極との間の接触を防止することを特徴とするインプラント組立体。
請求項8に記載の医療システムにおいて、前記切離し可能なジョイント及び前記末端の戻り電極の少なくとも一方が親水性コーティングを有することを特徴とする医療システム。
請求項8に記載の医療システムにおいて、前記末端の戻り電極が前記切離し可能なジョイントの周りを周方向に延び、前記電気絶縁シースが前記末端の戻り電極の周りに設けられることを特徴とする医療システム。
請求項11に記載の医療システムにおいて、前記インプラント組立体が前記プッシャ部材の遠位端部に結合された電気絶縁スペーサを具え、当該電気絶縁スペーサが前記切離し可能なジョイントと前記末端の戻り電極との間の接触を防止することを特徴とする医療システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電解式に分離可能な血管閉塞コイルは、一般に首尾よく使用されているが、血管閉塞コイルをプッシャワイヤから分離させるのに必要な時間は、比較的長く(現在、平均30〜40秒)且つ不定であり、その結果、手技に要する時間が長くなる。この問題は、多数の血管閉塞コイルを患者の体内に展開する必要があるために複雑になる。比較的長く且つ不定の分離時間は、大部分、犠牲ジョイントと接地電極との間の比較的大きく且つ広いばらつきのある患者毎の組織インピーダンスに起因している。加えて、犠牲ジョイントの周りの体液は、分離領域に電気化学反応を引き起こす上で(生理食塩水と比較して)最適の電解質ではない場合があり、それにより<分離のための時間が長くなる。血液環境は又、血液凝固の可能性及び患者毎の血液成分のばらつきに起因して分離時間にばらつきを生じさせる場合がある。
【0008】
理論的にいえば、分離時間を短縮するためには、犠牲ジョイントに供給される電気エネルギーの電圧を増大させるのがよい。しかしながら、電圧の増大により、電気化学反応中におけるガス発生生成物に起因して気泡発生が生じることがあり、かかるガス発生生成物は、犠牲ジョイントに隣接した分離領域を電解質から絶縁する場合があり、それにより電気化学反応がゆっくりになり又は停止し、しかも、少なくとも、分離時間にばらつきが生じる。加えて、気泡は、血管閉塞コイルを配送するために用いられるマイクロカテーテルのシース内に封じ込められる可能性が多分にあるので、配送システムは、犠牲ジョイントがプッシャワイヤ及びマイクロカテーテルの寸法上の公差の積み重ねに対応するようマイクロカテーテルの遠位先端部から或る特定の距離(例えば、1mm)にわたって延びるよう設計されている場合が多い。
【0009】
しかしながら、マイクロカテーテルからこのように遠くに出ることは、血管閉塞コイルの剛性に対するプッシャワイヤの遠位端部の剛性に起因して、キックバック性能を低下させる(換言すると、血管閉塞コイルの分離に対するマイクロカテーテルの応答は、最小にすべきである)。加えて、犠牲ジョイントをマイクロカテーテルの遠位先端部からこのように遠くに位置決めすることにより、犠牲ジョイントが、先に展開された血管閉塞コイルに接触する場合があり、それにより、コイルを介して犠牲ジョイントが短絡し、その結果、分離時間が長くなり且つ/又は変動する場合がある。気泡に関する問題にもかかわらず、犠牲ジョイントが血液と接触状態にあることを確認することは、困難な場合があり、かかる接触は、電気化学反応を開始させ、次に血管閉塞コイルの分離を開始させるために起こらなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの側面によれば、インプラント組立体は、細長いプッシャ部材と、プッシャ部材の遠位端部に取付けられたインプラント可能な器具(例えば、血管閉塞器具)とを有する。インプラント組立体は、更に、プッシャ部材に設けられた電解式に切離し可能なジョイントを有し、切離し可能なジョイントを切離すと、インプラント可能な器具がプッシャ部材から分離する。インプラント組立体は、更に、プッシャ部材の遠位端部によって支持された戻り電極を有し、戻り電極は、切離し可能なジョイントに近接して位置するが、それから電気的に絶縁される。例えば、戻り電極は、プッシャ部材の周りに配置されたコイルの形態を有するのがよい。切離し可能なジョイントを切離したとき、戻り電極は、インプラント可能な器具と一緒のままであるように又はプッシャ部材と一緒のままであるように、プッシャ部材によって支持される。インプラント組立体は、更に、切離し可能なジョイントと電気的連通関係をなすようにプッシャ部材の近位端部によって支持された端子を有する。戻り電極をプッシャ部材に設けて用いることにより、アノードの切離し可能なジョイントとカソードの戻り電極との間の有効距離が短くなり、それにより、分離時間が短くなると共に、分離プロセスの信頼性、再現性及び一様性が高まる。
【0011】
1つの実施形態では、インプラント組立体は、更に、戻り電極と電気的連通関係をなしてプッシャ部材の近位端部によって支持された別の端子を有する。別の実施形態では、切離し可能なジョイントと電気的連通関係にある端子は、プッシャ部材の近位端部によって支持された唯一の端子である。選択的な実施形態では、切離し可能なジョイント及び戻り電極の一方又は両方は、切離し可能なジョイントと戻り電極の電解反応を可能にために、塩化銀を含む。例えば、切離し可能なジョイント及び/又は戻り電極は、銀のコアと、塩化銀コーティングとで構成されるのがよい。別の実施形態では、プッシャ部材は、端子と切離し可能なジョイントを互いに電気的連通状態にする導電性補剛部材を含む。
【0012】
本発明の別の側面によれば、医療システムが、インプラント組立体を有し、このインプラント組立体は、近位端部及び遠位端部を備えた細長いプッシャ部材と、プッシャ部材の遠位端部に取付けられたインプラント可能な器具と、プッシャ部材に設けられた電解式に切離し可能なジョイントとを有し、切離し可能なジョイントを切離すと、インプラント可能な器具がプッシャ部材から分離する。インプラント組立体は、更に、プッシャ部材の遠位端部によって支持された戻り電極を有し、戻り電極は、切離し可能なジョイントに近接して位置するが、それから電気的に絶縁される。インプラント組立体の詳細な特徴は、上述した特徴とほぼ同じである。医療システムは、更に、切離し可能なジョイントに電気的に結合された端子を備えた電源を有し、切離し可能なジョイントと端子とは、例えば、プッシャ部材の近位端部によって支持された端子及び/又はプッシャ部材の導電性補剛部材を介して結合される。
【0013】
幾つかの実施形態では、電源は、別の端子を有し、別の端子は、戻り電極に(例えば、プッシャ部材の近位端部によって支持された別の端子を介して)電気的に結合され、又は、戻り電極とは別体の接地電極に電気的に結合される。1つの実施形態では、電源は、直流電流をインプラント組立体に送るよう構成される。別の実施形態では、医療システムは、更に、インプラント組立体を摺動可能に受け入れるよう構成された配送カテーテルを有する。
【0014】
本発明の別の側面によれば、インプラント組立体は、補剛部材及び補剛部材の上に配置された導電性シース(例えば、コイル、メッシュ又は編組体)を備えた細長いプッシャ部材を有する。補剛部材は、適当な金属、例えばステンレス鋼で構成されるのがよく、導電性シースは、適当な材料、例えば銅又は銀で構成されるのがよい。インプラント組立体は、更に、プッシャ部材の遠位端部に取付けられたインプラント可能な器具(例えば、血管閉塞器具)を有する。インプラント組立体は、更に、プッシャ部材に設けられ且つ電解式に切離し可能なジョイントを有し、切離し可能なジョイントを切離すと、インプラント可能な器具がプッシャ部材から分離する。インプラント組立体は、更に、プッシャ部材の遠位端部によって支持された(例えば、それに取付けられた)戻り電極を有し、戻り電極は、切離し可能なジョイントに近接して位置するが、それから電気的に絶縁される。1つの実施形態では、戻り電極は、プッシャ部材の周りに配置されたコイルの形態を有する。切離し可能なジョイントを切離したとき、戻り電極は、インプラント可能な器具と一緒にとどまるように又はプッシャ部材と一緒にとどまるように、プッシャ部材によって支持されるのがよい。
【0015】
インプラント組立体は、更に、切離し可能なジョイントと電気的連通関係をなしてプッシャ部材の近位端部によって支持された端子を有する。インプラント組立体は、更に、この端子と切離し可能なジョイント及び戻り電極のうちの一方との間に延びる導電性経路を有し、この導電性経路は、導電性シースを含む。導電性シースを使用すると、端子と切離し可能なジョイント又は戻り電極との間の導電性経路のコンダクタンスが、導電性シースなしに補剛部材の標準型導体を用いた場合よりも増大する。
【0016】
1つの実施形態では、導電性経路は、端子と戻り電極との間に延び、この場合、導電性シースと補剛部材は、互いに電気的に絶縁される。例えば、補剛部材は、導電性コアワイヤと、導電性コアワイヤの上に配置された絶縁性コーティングとを有するのがよく、導電性シースが絶縁コーティングの上に配置される。別の実施形態では、補剛部材は、第1の直径を備えた近位部分と、それよりも大きい第2の直径を備えた遠位部分とを有し、この場合、導電性経路は、補剛部材の遠位部分に沿って端子と切離し可能なジョイントとの間にだけ延びる。
【0017】
別の実施形態では、インプラント組立体は、更に、戻り電極と電気的連通関係をなしてプッシャ部材の近位端部によって支持された別の端子を有し、プッシャ部材は、補剛部材の上に配置された別の導電性シースを有する。この場合、インプラント組立体は、更に、別の端子と別の切離し可能なジョイント及び戻り電極との間に延びる別の導電性経路を、別の導電性シースを含むように有するのがよい。
【0018】
本発明の別の側面によれば、別のインプラント組立体が提供される。インプラント組立体は、細長いプッシャ部材と、プッシャ部材の遠位端部に取付けられたインプラント可能な器具と、プッシャ部材に設けられた電解式に切離し可能なジョイントと、プッシャ部材の近位端部によって支持された端子とを有し、インプラント組立体は、更に、端子と切離し可能なジョイントとの間に延びる導電性経路を有し、導電性経路は、導電性シースを有する。インプラント組立体の特徴は、上述した特徴とほぼ同じである。
【0019】
本発明の更に別の側面によれば、インプラント組立体は、細長いプッシャ部材と、プッシャ部材の遠位端部に取付けられたインプラント可能な器具(例えば、血管閉塞器具)とを有する。インプラント組立体は、更に、プッシャ部材に設けられた電解式に切離し可能なジョイントを有し、切離し可能なジョイントを切離すと、インプラント可能な器具がプッシャ部材から分離する。インプラント組立体は、更に、切離し可能なジョイントと電気的連通関係をなしてプッシャ部材の近位端部によって支持された端子を有する。1つの実施形態では、プッシャ部材は、端子と切離し可能なジョイントを互いに電気的連通状態にする導電性補剛部材を含む。
【0020】
インプラント組立体は、更に、プッシャ部材の遠位端部によって支持された戻り電極を有する。1つの実施形態では、戻り電極は、プッシャ部材の周りに設けられたコイルの形態を有している。戻り電極は、切離し可能なジョイントから電気的に絶縁されており、切離し可能なジョイントを切離すときにプッシャ部材と一緒にとどまるように構成されている。戻り電極は、長期的な植え込みに適した高価で且つ電気的に制約のある生体適合性材料で構成される必要はなく、その理由は、戻り電極がプッシャ部材と一緒にとどまるからである。1つの実施形態では、インプラント組立体は、更に、戻り電極と電気的連通関係をなしてプッシャ部材の近位端部によって支持された別の端子を有する。別の実施形態では、切離し可能なジョイントと電気的連通状態にある端子は、プッシャ部材の近位端部によって支持された唯一の端子である。
【0021】
本発明の更に別の側面によれば、医療システムが、インプラント組立体を有し、このインプラント組立体は、細長いプッシャ部材と、プッシャ部材の遠位端部に取付けられたインプラント可能な器具と、プッシャ部材に設けられた電解式に切離し可能なジョイントとを有し、切離し可能なジョイントを切離すと、インプラント可能な器具がプッシャ部材から分離する。インプラント組立体は、更に、プッシャ部材の遠位端部によって支持された戻り電極を有する。インプラント組立体の詳細な特徴は、上述した特徴とほぼ同じである。医療システムは、更に、切離し可能なジョイントに電気的に結合されている端子を備えた電源を有し、切離し可能なジョイントと端子とは、例えば、プッシャ部材の近位端部によって支持された端子及び/又はプッシャ部材の導電性補剛部材を介して結合される。
【0022】
本発明の更に別の側面によれば、インプラント組立体は、細長いプッシャ部材と、プッシャ部材の遠位端部に取付けられたインプラント可能な器具(例えば、血管閉塞器具)とを有する。インプラント組立体は、更に、プッシャ部材に設けられた電解式に切離し可能なジョイントを有し、切離し可能なジョイントを切離すと、インプラント可能な器具がプッシャ部材から分離する。インプラント組立体は、更に、切離し可能なジョイントと電気的連通関係をなしてプッシャ部材の近位端部によって支持された端子を有する。1つの実施形態では、プッシャ部材は、端子と切離し可能なジョイントを互いに電気的連通状態にする導電性補剛部材を含む。
【0023】
インプラント組立体は、更に、プッシャ部材の遠位端部により支持されると共に切離し可能なジョイントから電気的に絶縁された戻り電極を有する。切離し可能なジョイントを切離したとき、戻り電極は、インプラント可能な器具と一緒にとどまるように又はプッシャ部材と一緒にとどまるように、プッシャ部材によって支持されるのがよい。
【0024】
インプラント組立体は、更に、プッシャ部材に固定的に結合されると共に切離し可能なジョイント及び戻り電極を周方向に包囲する電気絶縁シース(例えば、ポリマー材料で構成される)を有する。1つの実施形態では、戻り電極は、切離し可能なジョイントの周りを周方向に延び、絶縁シースが、戻り電極の周りに設けられる。この場合、戻り電極は、例えば、コイル又は連続筒体であるのがよい。インプラント組立体は、更に、切離し可能なジョイントと戻り電極との接触を阻止するようにプッシャ部材の遠位端部に取付けられた電気絶縁スペーサを有するのがよい。
【0025】
1つの実施形態では、絶縁シースは、切離し可能なジョイントと戻り電極との間の分離領域からの電解質の拡散を阻止するよう構成される。このように、電気絶縁シースは、インプラント組立体の分離を容易にするために、切離し可能なジョイントと戻り電極との間の分離領域内の理想的な電解質環境を維持することができる。1つの実施形態では、例えば、望むように分離領域内の電解質のしみ込み(ウィッキング)を容易にするために、切離し可能なジョイント及び戻り電極の一方又は両方は、疎水性コーティングを有する。
【0026】
本発明の更に別の側面によれば、医療システムが、インプラント組立体を有し、このインプラント組立体は、細長いプッシャ部材と、プッシャ部材の遠位端部に取付けられたインプラント可能な器具と、プッシャ部材に設けられた電解式に切離し可能なジョイントとを有し、切離し可能なジョイントを切離すと、インプラント可能な器具がプッシャ部材から分離する。インプラント組立体は、更に、プッシャ部材の遠位端部によって支持された戻り電極と、プッシャ部材に固定的に結合されると共に切離し可能なジョイント及び戻り電極を周方向に包囲する電気絶縁シースとを有する。インプラント組立体の詳細な特徴は、他の実施形態において上述した特徴とほぼ同じである。医療システムは、更に、切離し可能なジョイントに電気的に結合されている端子を備えた電源を有し、切離し可能なジョイントと端子とは、例えば、プッシャ部材の近位端部によって支持された端子及び/又はプッシャ部材の導電性補剛部材を介して結合される。
【0027】
本発明の更に別の側面によれば、医療システムが、インプラント組立体を有し、このインプラント組立体は、細長いプッシャ部材と、プッシャ部材の遠位端部に取付けられたインプラント可能な器具(例えば、血管閉塞器具)と、プッシャ部材に設けられた電解式に切離し可能なジョイントとを有し、切離し可能なジョイントを切離すと、インプラント可能な器具がプッシャ部材から分離する。医療システムは、更に、インプラント組立体に結合された電源を有し、この電源は、パルス化電気エネルギー(例えば、直流電流)を切離し可能なジョイントに送るよう構成される。非限定的な例では、パルス化電気エネルギーは、5パーセント〜20パーセントのデューティーサイクル及び5KHz〜20KHzの周波数を有するのがよい。切離し可能なジョイントに送られる電気エネルギーをパルス化することは、分離時間を短縮すると共に、分離プロセスの信頼性、再現性及び一様性を向上させる傾向がある。
【0028】
1つの実施形態では、インプラント組立体は、更に、切離し可能なジョイントと電気的連通関係をなしてプッシャ部材の近位端部によって支持された端子を有し、電源の端子は、インプラント組立体の端子に電気的に結合されている。別の実施形態では、電源は、戻り電極に電気的に結合された別の端子を有し、戻り電極は、プッシャ部材によって支持されるのがよい。電源の上記端子及び別の端子は、互いに異なる電位にある。
【0029】
1つの実施形態では、電源は、電気エネルギーを、例えば、0.25mA〜10mAの大きさで送る定電流源を含む。1つの実施形態では、電源は、電気エネルギーを、例えば、0.5V〜11Vの大きさで送る定電圧源を含む。選択的な実施形態では、電源は、定電流源と、定電圧源と、コントローラとを有し、コントローラは、最初に電気エネルギーを定電流源から送ってから、次に電気エネルギーを定電圧源から送るよう構成される。別の実施形態では、医療システムは、インプラント組立体を摺動可能に受け入れるように構成された配送カテーテルを有する。
【0030】
本発明の更に別の側面によれば、インプラント組立体を有する医療システムが提供され、このインプラント組立体は、細長いプッシャ部材と、プッシャ部材の遠位端部に取付けられたインプラント可能な器具(例えば、血管閉塞器具)と、プッシャ部材に設けられた電解式に切離し可能なジョイントとを有し、切離し可能なジョイントを切離すと、インプラント可能な器具がプッシャ部材から分離する。医療システムは、更に、インプラント組立体に結合された電源を有する。電源は、定電流源(例えば、0.25mA〜10mAの大きさを有する定電流源)と、定電圧源(例えば、0.5V〜11Vの大きさを有する定電圧源)と、コントローラとを有し、コントローラは、電気エネルギーを定電流源から切離し可能なジョイントに送り(例えば、0.5秒〜1秒の期間にわたり)、次に電気エネルギーを定電圧源から切離し可能なジョイントに送るように構成される。電気エネルギーは、例えば、直流電流であるのがよい。
【0031】
定電流源からの当初の電気エネルギーは、切離し可能なジョイントの酸化物層を迅速に突破することができ、定電圧源からの電気エネルギーは、分離領域のところの気泡発生を最小にすることができ、それにより、分離時間が短縮されると共に、分離プロセスの信頼性、再現性及び一様性が向上する。
【0032】
1つの実施形態では、インプラント組立体は、更に、切離し可能なジョイントと電気的連通関係をなしてプッシャ部材の近位端部によって支持された端子を有し、電源の端子は、インプラント組立体の端子に電気的に結合されている。別の実施形態では、電源は、プッシャ部材によって支持される戻り電極に電気的に結合された別の端子を有する。電源の上記端子及び別の端子は、互いに異なる電位にある。別の実施形態では、医療システムは、インプラント組立体を摺動可能に受け入れるよう構成された配送カテーテルを有する。
【0033】
図面は、本発明の実施形態の設計及び有用性を示しており、図中、同じ要素は、共通の参照符号で示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1及び
図2を全体的に参照し、本発明の1つの実施形態に従って構成された医療システム10を説明する。医療システム10は、血管及び神経血管適応に用いられ、特に脳動脈瘤等の動脈瘤の治療に用いられる。医療システム10は、螺旋コイル等の血管閉塞器具を動脈瘤内で展開するための電解式分離手段を利用する。変形例として、医療システム10は、血管閉塞器具以外のインプラント可能な器具を展開するために利用されてもよい。例えば、変形例として、医療システム10は、ステント及び下大静脈フィルタを展開するために使用されてもよく、これらのことは、米国特許第6,468,266号明細書に詳細に記載されている。
【0036】
この目的のため、医療システム10は、概略的には、血管構造内の標的部位に接近するために患者の体内に静脈を通して導入可能な配送カテーテル12と、配送カテーテル12内に摺動自在に配置することができるインプラント組立体14と、電解式分離プロセスを実施するために電気エネルギーをインプラント組立体14に供給することができる電源16とを有している。
【0037】
種々のインプラント組立体14を本明細書において説明するが、これらは全て、プッシャ部材18と、電解式に切離し可能なジョイント20と、プッシャ部材18の遠位端部に取付けられた分離可能な血管閉塞インプラント22とを有している。後で更に詳細に説明するように、ジョイント20を電解式に切離すとき、血管閉塞インプラント22は、プッシャ部材18から分離する。
【0038】
本明細書で説明するインプラント組立体14のいくつかは、血管閉塞インプラント22を切離し可能なジョイント20のところでプッシャ部材18から分離させる双極電解手段を使用し、他のインプラント組立体14は、血管閉塞インプラント22を切離し可能なジョイント20のところでプッシャ部材18から分離させる単極電解手段を使用する。
図1に具体的に示す双極の場合、インプラント組立体14は、プッシャ部材18の近位端部24に配置された正端子28及び負端子30と、プッシャ部材18の遠位端部26によって支持された戻り(接地)電極(
図1には示さず)とを有している。正端子28は、切離し可能なジョイント20に電気的に結合され、負端子30は、戻り電極に電気的に結合されている。
図2に具体的に示す単極の場合、インプラント組立体14は、プッシャ部材18の近位端部24に配置された単一の端子28を有している。この場合、医療システム10は、接地パッチ電極又は接地ニードル電極の形態をなす戻り電極32を有し、また選択的に、プッシャ部材18の遠位端部26によって支持された中間の戻り電極(
図2には示さず)を有している。単極構成及び双極構成のいずれにおいても、切離し可能なジョイント20は、アノードとして機能し、戻り電極又は接地電極は、カソードとして機能する。
【0039】
特に、双極の場合、切離し可能なジョイント20と戻り電極とが互いに近接していることに起因して、分離プロセスに悪影響を及ぼす気泡発生を戻り電極が誘発する可能性が比較的高い。すなわち、電解質に取って代わることができる大容量の気泡が戻り電極のところに形成される場合があり、かくして、戻り経路が絶縁され、それにより、戻り電極可変インピーダンスが生じ、即ち、切離し可能なジョイント20のところの電圧降下が変化する。後で詳細に説明するように、プッシャ部材18は、かかる気泡発生を防止し又は最小にする種々の特徴を有するのがよく、その結果、双極構成の全ての利点の達成することができる。これらの特徴は、単極構成においても、気泡発生の可能性を減少させるために同様に利用されるのがよい。
【0040】
電源16は、電気エネルギーをインプラント組立体14(及び特に切離し可能なジョイント20)に送り、電気エネルギーをインプラント組立体14(及び特に戻り電極)又は接地電極のいずれかから戻し、血管閉塞インプラント22の電解式分離を実施する。この目的のために、電源16は、ケーブル38を介してインプラント組立体14の正端子28と接続するように構成された正端子34と、ケーブル40を介してインプラント組立体14の負端子30(
図1)又は接地電極32(
図2)と接続するよう構成された負端子36とを有している。変形例として、単極構成の場合、インプラント組立体14の正端子24は、電源16の正端子34に直接接続され、双極構成の場合、インプラント組立体14の正端子28及び負端子30は、電源16の正端子34及び負端子36に直接接続され、
図2に示す横並びの関係ではなく、前後の関係に配置されるのがよい。本明細書の目的上、端子に対する用語「正」及び「負」は相対的であり、正端子が、負端子の電圧よりも高い電圧を有することを意味するに過ぎない。
【0041】
単極構成では、電源16は、好ましくは、定電流源(
図1及び
図2には示さず)を有し、電気エネルギーは、定電流源から送られる。この場合、分離時間は、異なる患者の間でばらつきが大きい、互いに離して位置決めされた切離し可能なジョイント20と接地電極32との間の組織インピーダンスの影響を受けない。定電流源に適した大きさの範囲は、0.25mA〜10mAである。双極構成が特に有利であり、その理由は、切離し可能なジョイント20と戻り電極とが互いに近接しているため、組織インピーダンスのばらつきは、分離時間に悪影響を及ぼさないからである。そのようなとき、電源16は、好ましくは、予測可能な戻り経路電圧降下を生じさせる定電圧源(
図1及び
図2には示さず)を有し、それにより、切離し可能なジョイント20(アノード)のところにおける電圧の過大発生を回避し、そうでなければ、ガス発生(即ち、気泡発生)を引き起こすことがある。定電圧源に適した大きさの範囲は、0.5V〜11Vである。
【0042】
双極構成又は単極構成のいずれにおいても、電気エネルギーは、連続する直接的な電気エネルギーの形態をとり、即ち、電気エネルギーは、一方向にのみ連続して流れる。選択的な実施形態では、電源16は、定電流源又は定電圧源によって供給された直接的な電気エネルギーをパルス化するように構成される。電気エネルギーをパルス化することにより、分離領域における気泡発生をなくし又は最小にすることが判明した。電気エネルギーをパルス化するのに適当な周波数範囲及びデューティーサイクルはそれぞれ、5KHz〜20KHz及び5%〜20%である。
【0043】
図3に示す選択的な実施形態では、電源16は、無線周波数(RF)発振器46に結合された定電流源42と定電圧源44の両方と、コントローラ48とを有し、コントローラ48は、最初、電気エネルギーを定電流源42から送り、次いで、電気エネルギーを定電圧源44から送り、即ち、定電流源42及び定電圧源44を正端子34にスイッチ50を介して選択的に接続する。この選択は、双極構成において最もよく機能し、この場合、電気エネルギーを定電流源42から配送し、切離し可能なジョイント20の酸化物層を迅速に且つ或る期間(例えば、0.5秒〜1.0秒)にわたって突破させ、次いで、電気エネルギーを定電圧源44から配送して、分離領域のところの気泡発生を最小にすることができる。
【0044】
図1及び
図2に戻ってこれらを参照すると、配送カテーテル12は、細長い柔軟性の管状部材52を有し、管状部材52は、適当なポリマー材料で構成され、選択的には、強度をもたらし又はねじれ傾向をなくすようにコイル又は編組体で補強されている。配送カテーテル12は、更に、管腔(図示せず)を有し、インプラント組立体14は、管腔の中を通して選択的に配置される。配送カテーテル12は、更に、管状部材52の遠位端部54に配置された1対の放射線不透過性マーカ58を有し、放射線不透過性マーカ58は、血管閉塞インプラント22に対する配送カテーテル12の視覚化を可能にする。配送カテーテル12は、更に、インプラント組立体14の導入及び染料又は処理材料の選択的な導入のために、管状部材52の近位端部56に配置された近位取付け具60を有する。
【0045】
図4を参照すると、血管閉塞インプラント22は、標準型のものであり、この血管閉塞インプラントは、螺旋巻き一次コイル62を有し、一次コイル62は、近位端部64と、遠位端部66と、一次コイル62を貫いて延びる管腔68を有している。一次コイル62を構成するのに用いられる材料は、多種多様な材料のうちの任意のものであり、好ましくは、放射線不透過性材料、例えば、金属又はポリマーである。一次コイルを構成するワイヤに適した金属及び合金は、「ニチノール」として知られているチタン/ニッケル合金等の超弾性合金、及び、白金属の金属、特に白金、ロジウム、パラジウム、レニウム並びにタングステン、及び、金、銀、タンタル、及びこれらの金属の合金を含む。これらの金属は、主として生物学的に不活性であることに加えて、相当な放射線不透過性を有し、可撓性と剛性の適当な配合を達成するよう調製されるのがよい。白金/タングステン合金、例えば、8%のタングステン及び残部の白金が非常に好ましい。
【0046】
一次コイル62は、放射線透過性繊維又はポリマー(又は放射線透過性繊維又は放射線不透過性繊維で被覆された金属糸)、例えばダクロン(登録商標)(ポリエステル)、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、フルオロポリマー(ポリテトラフルオロエチレン)、ナイロン(ポリアミド)又は場合によっては綿若しくは絹で作られてもよい。ポリマーが一次コイル62の主成分として用いられる場合、ポリマーに幾分かの量の放射線不透過性材料を入れるのがよく、かかる不透過性材料は、例えば、粉末状タンタル、粉末状タングステン、酸化ビスマス、硫酸バリウム等である。
【0047】
一次コイル62は、一般に、直径0.0025インチ(0.0635mm)〜0.006インチ(0.1524mm)のワイヤで構成され、直径0.003インチ(0.0762mm)〜0.025インチ(0.635mm)の一次形態に巻かれている。大抵の神経血管用途を除き、0.008〜0.018インチ(0.2032〜0.4572mm)の直径は、一次コイル62を選択された身体部位、管腔又はキャビティ内の適所に保持するのに十分なフープ強度を、部位の壁を実質的に拡張させることなしに且つ血管系中に見られる繰り返し流体パルス化の結果として部位から移動することなしに提供する。一次コイル62の軸線方向長さは、普通、0.5cm〜100cmであり、もっと普通には、2cm〜40cmである。使用法に応じて、一次コイル62は、1センチメートル当たり10〜75の巻き数を有するのがよく、好ましくは、1センチメートル当たり10〜40の巻き数を有する。本明細書における寸法の全ては、ガイドラインとして与えられるに過ぎず、本発明は、それが血管閉塞器具に適用されるとき、かかる寸法に限定されるべきではない。しかしながら、血管閉塞器具に適用されるとき、身体内の部位を閉塞する際に使用するのに適した寸法だけが、本発明の範囲内に含まれる。
【0048】
所望の治療効果及び治療すべき部位の形状に応じて、一次コイル62の治療効果を高めるために、一次コイル62は、後で多くの仕方で処理され又はそれに付属物が付けられるのがよい。一次コイル62は、しばしば熱処理の使用により、種々の二次形状を形成するように作られるのがよく、かかる二次形状は、米国特許第5,853,418号及び同第6,280,457号に開示されているように、特定の治療部位を満たすのに適合しているのがよい。変形例として、米国特許第5,690,666号に開示されているように、一次コイル62は、脈管間隙内への導入後、ほとんど又は全く形状を有していないのがよい。加えて、一次コイル62の血栓性を高める外部材料が、一次コイル62の外部に追加されるのがよい。これらの変形実施形態は、米国特許第5,226,911号、同第5,304,194号、同第5,549,624号、同第5,382,259号及び同第6,280,457号に開示されている。
【0049】
血管閉塞インプラント22は、更に、伸びにくい(stretch-resisting)フィラメント70を有し、伸びにくいフィラメント70は、コイル管腔68の中を延びており、血管閉塞インプラント22の位置を変えるためにプッシャ部材18を引込めたり再位置決めしたりしなければならない場合の一次コイル62の軸線方向の伸びを阻止するために、一次コイル62に2箇所で固着されている。詳細には、伸びにくいフィラメント70の近位端部及び遠位端部はそれぞれ、一次コイル62の近位端部64及び遠位端部66に固定されている。変形例では、伸びにくいフィラメント70は、管腔68の一部分の中しか延びておらず、一次コイル62の近位端部64と遠位端部66の間の箇所で、一次コイル62に取付けられる。
【0050】
伸びにくいフィラメント70の遠位端部は、一次コイル62に固着され、その仕方は、伸びにくいフィラメント70を一次コイル62の遠位端部のところで又は一次コイル62の近位端部64と遠位端部66との間のどこかの箇所のところで一次コイル62に融着することによってでもよいし、接着することによってでもよいし、固定的に取付けるその他の仕方によってでもよい。図示の実施形態では、伸びにくいフィラメント70の遠位端部は、遠位キャップ72の中に接着され又は融着され、且つ再成形され、遠位キャップ72の直径は、一次コイル62の内径よりも大きい。変形例として、伸びにくいフィラメント70は、結び目(図示せず)の形態に結ばれてもよく、結び目は、一次コイル62に取付けられてもよいし、取付けられなくてもよい。これら取付け方法は、米国特許第5,582,619号明細書に詳細に開示されている。
【0051】
1つの実施形態では、伸びにくいフィラメント70は、繊維質であり、望ましくは、ポリマーである。適当なポリマー材料は、熱硬化性又は熱可塑性であるのがよく、糸の束で構成されてもよいし、単一のフィラメントで構成されてもよい。熱可塑性プラスチックが好ましく、その理由は、熱可塑性プラスチックを溶融して遠位キャップ72の形態に形成してもよいため、熱可塑性プラスチックが、組立体を構成するための手順の簡単化を可能にするからである。簡単なツール、例えば、はんだごてが、遠位キャップ72を形成するのに使用されるのがよい。熱硬化性プラスチックは、典型的には、接着剤によって適所に保持される。適当なポリマーは、繊維の状態に形成されることができるほとんどの生体適合性材料を含み、かかる生体適合性材料は、熱可塑性プラスチック、例えば、熱可塑性プラスチックは、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、特にダクロン(登録商標))、ナイロンを含むポリアミド、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、及びそれらの混合物、合金、ブロックコポリマー及びランダムコポリマー)、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、フルオロポリマー(ポリテトラフルオロエチレン)を含み、絹又はコラーゲンさえも含む。伸びにくいポリマーは、導入後の動脈瘤中の細胞成長を促進するために、溶解可能な縫合糸として用いられる材料、例えば、ポリ乳酸又はポリグリコール酸で作られるのがよい。特に好ましいのは、ポリプロピレンであり、例えば、10−0及び9−0ポリプロピレン縫合糸材料の形態をなすものである。ポリマーの直径は、典型的には、約0.0001インチ(0.00254mm)〜約0.01インチ(0.254mm)である。
【0052】
血管閉塞インプラント22は、更に、コイル管腔68内に同軸に配置されたアンカーコイル74を有している。アンカーコイル74は、好ましくは、一次コイル62の内面に、はんだ付け又は溶接される。図示の実施形態では、アンカーコイル74は、好ましくは、長さが2.6mm未満、好ましくは、約1.0mm未満である。アンカーコイル74は、伸びにくいフィラメント70が取付けられる遠位フック76を有している。アンカーコイル74は、一次コイル62と同じ材料で構成されるのがよい。血管閉塞インプラント22は、更に、ポリマープラグ78を有し、ポリマープラグ78は、プッシャ部材18の遠位端部の上に嵌められて一次コイル62の近位端部64内に滑り込まされている。組立てられたジョイントを加熱することにより、ポリマープラグ78の熱可塑性プラスチック流動させ、一次コイル62をプッシャ部材18に固着させる。
【0053】
次に、
図5を参照して、双極インプラント組立体の1つの実施形態14(1)を説明する。双極インプラント組立体14(1)は、上述した血管閉塞インプラント22と、プッシャ部材18(1)とを有している。プッシャ部材18(1)は、細長い補剛部材80を有し、この補剛部材80は、導電性コアワイヤと、コアワイヤの上に配置された電気絶縁コーティングとを有している。補剛部材80のコアワイヤは、任意適当な導電性且つ剛性の材料、例えばステンレス鋼で構成されるのがよく、コーティングは、任意適当な電気絶縁材料、例えばポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ポリパラキシルキシレン(例えば、パリレン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、シアノアクリレート接着剤又は他の適当な絶縁層で構成されるのがよい。
【0054】
図示の実施形態では、補剛部材80は、大径部分81から小径部分83までテーパしている。補剛部材80のコアワイヤは、このテーパを実現するように研削されるのがよい。図示の実施形態では、補剛部材80の大径部分81におけるコアワイヤの直径は、0.004インチ(0.1016mm)であり、小径部分83のコアワイヤの直径は、0.0025インチ(0.0635mm)である。絶縁コーティングは、適当な厚さ(例えば、0.00035インチ(0.00889mm))を有するのがよい。特に、補剛部材80の大径部分81は、横方向剛性及び引張強さをプッシャ部材18(1)に与え、補剛部材80の小径部分83は、血管閉塞インプラント22に隣接したところにおいて望ましい横方向可撓性をプッシャ部材18(1)に与え、それにより、血管閉塞インプラント22の分離中におけるキックバック(反動)を最小にする。
【0055】
小径部分83のところのコアワイヤの遠位領域は、絶縁コーティングで被覆されていないか、コアワイヤの一部分を露出させるために絶縁コーティングの一部分が(例えば、レーザ除去を用いて)除去されているかのいずれかであり、それにより、双極インプラント組立体18(1)のアノードとして機能する電解式に切離し可能なジョイント20を構成する。好ましくは、切離し可能なジョイント20の長さは、比較的短い(例えば、0.002インチ(0.0508mm))。その結果、切離し可能なジョイント20は、電解質との狭い周方向接触範囲しか有しておらず、それにより、コアワイヤの溶解が、広い周方向帯域ではなく、狭い周方向帯域に制限され、コアワイヤの厚さ全体にわたる迅速な腐食を生じさせる。
【0056】
プッシャ部材18(1)は、更に、戻り電極86(即ち、双極インプラント組立体14(1)のカソード)として機能する導電性コイルを有している。戻り電極コイル86は、適当な直径(例えば、0.00175インチ(0.04445mm))のワイヤをマンドレルの周りに巻くことによって形成されるのがよい。戻り電極コイル86は、適当な寸法を有しており、例えば、0.006インチ(0.1524mm)の内径(かくして0.0095インチ(0.2413mm)の外径)及び0.75mmの長さを有する。図示の実施形態では、戻り電極コイル86を形成するワイヤの長さ方向の一部分は、巻かれておらず、電気導体に結合可能な真直ぐなテール部(尾部)88を形成し、このことを後で詳細に説明する。戻り電極コイル86は、切離し可能なジョイント20の周りを周方向に延びており、切離し可能なジョイント20の近くの箇所において適当な接着剤を用いて補剛部材80に取付けられたスペーサ要素90を介して、切離し可能なジョイント20から空間的に隔離されている。戻り電極コイル86は、適当な導電性材料、例えば銀又は銅で構成されるのがよい。図示の実施形態では、スペーサ要素90は、電気絶縁材料でコーティングされたコイルの形態をなし、電気前縁材料は、例えば、ポリイミド、PTFE、TFE、パリレン、PET、PBT、シアノアクリレート接着剤、又はその他の適当な絶縁層である。変形例として、スペーサ要素90は、電気絶縁材料で構成された管の形態をなしていてもよく、電気絶縁材料は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。
【0057】
重要なことは、血管閉塞インプラント22の展開及び引込めの間、プッシャ部材18(1)の遠位端部を横方向に可撓性のままにしながら、補剛部材80は、引張要素として機能し、戻り電極コイル86は、圧縮要素として機能することである。かくして、血管閉塞インプラント22を軸線方向圧縮状態で装填するとき(例えば、展開の間)、戻り電極コイル86を、切離し可能なジョイント20の遠位側に位置する構造体に押し当てることができ、それにより、分離領域に圧縮負荷が働くことが回避され、かくして、分離に先立って切離し可能なジョイント20をねじれさせたり、疲労させたり、その他の仕方で損傷させる可能性を減少させる。
【0058】
図示の実施形態では、戻り電極コイル86は、塩化銀の厚い層を備えた銀で構成され、その結果、ワイヤの単位長さ当たりの全電荷容量が高くなる。この特徴により、気泡を発生させない固相から液相への円滑な電気化学反応が得られる。この電気化学反応は、非常に低いバイアス電圧で起こり、電流の大きさに対して比較的鋭敏ではない。かくして、上述したように分離領域を電気化学反応に必要な電解質から絶縁させて血管閉塞インプラント22の分離を長引かせることがある気泡を生じさせることなしに、戻り電極コイル86を切離し可能なジョイント20の近くに配置することができる。
【0059】
戻り電極コイル86のところにおける電解質、例えば塩化ナトリウムとの電気化学反応により、塩素イオンが次の式、即ち、AgCl(s)+1e
-→Ag(s)+Cl
-(aq),E
0=0.22VHSEに従って、電解質中に放出される。この電気化学反応では、低電圧しか必要でなく、電荷移動が迅速であり、その結果、イオン拡散が速くなる。塩化銀は、水中での溶解度が最小であるという独特の特性を有しており、戻り電極コイル86から放出された塩化物は、切離し可能なジョイント20に引き寄せられる。特に、図示の実施形態では、切離し可能なジョイント20は、ステンレス鋼(即ち、鉄、クロム及びニッケル)で構成されている。結果的に生じた塩化鉄、塩化ニッケル及び塩化クロム六水化物は、水に非常によく溶ける。切離し可能なジョイント20における電気化学反応により、イオンを電解質中に放出し、それにより、次の式、即ち、Fe(s)−2e
-,Fe(s)−3e
-→Fe
2+(s),Fe
2+(s);Fe
2+(s)+2Cl
-(aq)→FeCl
2(aq)に従って、切離し可能なジョイント20を溶解させる。
【0060】
戻り電極コイル86を任意適当な仕方で塩素化することができる。1つの実施形態では、戻り電極コイル86を純銀で構成し、巻き部を50〜100%の開放ピッチに引き伸ばしながら純銀を食塩水中に配置することによって、純銀はを塩素化する。戻り電極コイル86を電源に接続し、適当な電極電流(例えば、0.1mA)を適当な期間(例えば、10分)にわたって、アノードとしてのコイル86とカソードとしての戻り電極との間に流す。外側シース(後で説明する)をコイル86の上で熱収縮させると、戻り電極コイル86の開放ピッチは、自然に閉じる。
【0061】
プッシャ部材18(1)は、更に、戻り電極コイル86のすぐ近位側で補剛部材80の周りを周方向に延びる放射線不透過性マーカ、特に白金マーカコイル92を有している。適当な直径(例えば、0.002インチ(0.0508mm))のワイヤをマンドレルに巻くことによって、マーカコイル92を形成するのがよい。マーカコイル92は、適当な寸法、例えば、0.005インチ(0.127mm)の内径(かくして0.009インチ(0.2286mm)の外径)及び3.0mmの長さを有する。マーカコイル92は、その横方向可撓性を増大させるために開放ピッチ(例えば、10%)を有するのがよい。マーカコイル92は、適当な接着剤を用いて補剛部材80に結合される。
【0062】
かかる結合に先立って、戻り電極コイル86のテール部88をマーカコイル92の管腔の中に近位方向に通して、適当な手段、例えば、はんだ付け、溶接、又は銀入りエポキシ等の導電性接着剤を用いた結合により、電気導体94に接続する。電気導体94は、ポリイミド等の電気絶縁材料で被覆された銅又は銀ワイヤであるのがよく、それにより、補剛部材80からの電気導体94の電気的絶縁を確保し、かくして、戻り電極コイル86と切離し可能なジョイント20との間の電気的絶縁を確保する。電気導体94は、適当な直径、例えば、0.0015インチ(0.0381mm)のワイヤ直径及び0.002インチ(0.0508mm)の全直径(絶縁体を含む)を有する。
【0063】
プッシャ部材18(1)は、更に、戻り電極コイル86、マーカコイル92及び補剛部材80を含む組立体の上に配置された電気絶縁シース96を有している。電気前縁シース96は、適当なポリマー材料、例えば、PTFE又はTFEで構成されるのがよく、適当な寸法(例えば、0.002インチ(0.0508mm)の肉厚及び0.006インチ(0.1524mm)の内径)を有している。図示の実施形態では、電気前縁シース96を組立体の上に熱収縮させている。
【0064】
重要なことは、電気絶縁シース96が、切離し可能なジョイント20と戻り電極コイル86の両方を周方向に包囲することである。電気絶縁シース96の存在により、プッシャ部材18(1)の遠位端部に増大した圧縮強さを戻り電極コイル86と共に与えることに加えて、分離時間を延長させることがある、先に展開された血管閉塞器具と切離し可能なジョイント20との短絡の可能性を減少させる。加えて、電気絶縁シース96は、体液(例えば、血液)をプッシャ部材18(1)の内部から排除する傾向があり、それにより、インプラント組立体14が体液に晒されたときに理想的な電解質環境が分離領域から離れていく理想的な電解質環境の拡散及び対流を減少させる。理想的な電解質環境は、理想的な電解質、例えば、塩化ナトリウム溶液(生理的食塩水)を分離領域に導入することによって作られるのがよく、例えば、インプラント組立体14を配送カテーテル12内へ導入する前に、インプラント組立体14の遠位端部を生理的食塩水中に浸すことによって作られる。
【0065】
分離領域中への生理的食塩水のしみ込み(wicking)を容易にするために、親水性コーティングを、再水和性ゲル又はポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーとして、切離し可能なジョイント20及び戻り電極コイル86の一方又は両方にコーティングするのがよい。好ましくは、親水性コーティングは、血管閉塞器具22の分離を阻止することがないように、切離し可能なジョイント20に弱く固定されている。かくして、電気絶縁シース96が分離領域を外部環境から実質的に隔離しているにもかかわらず、インプラント組立体14(1)を液体の中に浸したとき、分離領域の親水性により、液体が分離領域にしみ込むことを可能にする。選択的な実施形態では、親水性材料は、容易に溶ける1種類又は複数種類の塩、例えば塩化ナトリウム、他の金属クロリド、金属クロレート又は金属スルフェートで構成され又はそれを含むのがよい。水の存在下において、これらの塩は溶解し、イオン過多電解質を生じさせ、かかるイオン過多電解質は、切離し可能なジョイント20のところにおける電気化学反応及び溶解を促進する。選択的な実施形態の場合、インプラント組立体14を電解質溶液中に浸す必要はなく、その代わりに、それを水中に浸し、その理由は、水が切離し可能なジョイント20及び/又は戻り電極コイル86に接触すると、分離領域内に電解質溶液が作られるからである。
【0066】
プッシャ部材18(1)は、更に、ステンレス鋼等の適当な導電性材料で構成された導電性ハイポチューブ98を有している。補剛部材80の近位端部内のコアワイヤは、露出され、銀入りエポキシ等の適当な導電性結合材料を用いて、ハイポチューブ98の内部に結合される。ハイポチューブ98の遠位端部は、電気絶縁シース96の近位端部に当接する。ハイポチューブ98は、適当な寸法を有し、例えば0.012インチ(0.3048mm)の外径及び0.006インチ(0.1524mm)の内径を有する。かくして、ハイポチューブ98のどの部分も正端子28(
図1参照)を形成し、正端子28は、補剛部材80のコアワイヤを含む順方向電気経路を介して、切離し可能なジョイント20と電気的に連通する。
【0067】
プッシャ部材18(1)は、ハイポチューブ98の一部分の上に配置された別の電気絶縁シース100と、この電気絶縁シース100の周りに設けられ且つ負端子30(
図1参照)として機能する導電性端子コイル102とを更に有している。絶縁シース100は、適当なポリマー材料、例えばPTFE又はTFEで構成されるのがよく、適当な寸法(例えば、0.002インチの肉厚及び0.006インチの内径)を有する。図示の実施形態では、電気絶縁シース100をハイポチューブ98の上に熱収縮させる。導電性端子コイル102は、白金等の材料で構成されるのがよく、電気導体94及び戻り電極コイル86のテール部88を含む戻り電気経路を介して、戻り電極コイル86に電気的に結合されている。
【0068】
この目的のために、テール部88を介して戻り電極コイル86に接続された電気導体94は、ハイポチューブ98の中に近位方向に通され、ハイポチューブ98の近位端部を周って、遠位方向に曲げられ、その結果、電気導体94の近位端部が、電気絶縁シース100と導電性端子コイル102の間に配置される。好ましくは、電気導体94を電気絶縁シース100上に配置し、次いで、導電性端子コイル102を、はんだ付け、溶接、又は銀入りエポキシ等の導電性接着剤を用いて、電気導体94及び絶縁シース100の上に結合させる。
【0069】
次に
図6を参照して、単極インプラント組立体の1つの実施形態14(2)を説明する。単極インプラント組立体14(2)は、上述した血管閉塞インプラント22と、プッシャ部材18(2)とを有している。プッシャ部材18(2)は、細長い補剛部材180を有し、この補剛部材180は、絶縁処理が施されていない導電性コアワイヤを有している。補剛部材180のコアワイヤは、任意適当な導電性且つ剛性の材料、例えばステンレス鋼で構成されるのがよい。図示の実施形態では、補剛部材180は、近位部分185と遠位部分187とを有し、近位部分185及び遠位部分187は、圧着ブッシュ189により互いに結合されている。変形例として、補剛部材180の近位部分185と遠位部分187を互いにはんだ付けし手もよいし、それらを互いに溶接してもよい。遠位部分187のコアワイヤは、近位部分185の最小直径と等しい一様な直径を有するのがよい。
【0070】
図示の実施形態では、補剛部材180は、大径部分181から小径部分183までテーパしている。補剛部材180のコアワイヤは、このテーパを実現するように研削されるのがよい。図示の実施形態では、補剛部材180の大径部分181のコアワイヤの直径は、0.010インチ(0.254mm)であり、小径部分183のコアワイヤの直径は、0.0025インチ(0.0635mm)である。
【0071】
上述した補剛部材80と同様、補剛部材180の大径部分181は、横方向剛性及び引張強さをプッシャ部材18(2)に与え、補剛部材180の小径部分183は、血管閉塞インプラント22に隣接したところにおいて望ましい横方向可撓性をプッシャ部材18(2)に与え、それにより、血管閉塞インプラント22の分離中におけるキックバックを最小にする。
【0072】
単極インプラント組立体14(2)のアノードとして機能する電解式に切離し可能なジョイント20の形成は、プッシャ部材18(1)に関して上述した仕方と同じで仕方であるのがよい。補剛部材180の大径部分181のどの部分も、正端子28(
図2参照)として機能するのがよく、この正端子28は、補剛部材180のコアワイヤを含む順方向電気経路を介して、切離し可能なジョイント20と電気的に連通する。
【0073】
プッシャ部材18(2)は、更に、中間の戻り電極、即ち、切離し可能なジョイント20と接地電極32(
図2参照)との間の戻り電極として機能する導電性コイル186を有している。戻り電極コイル186は、適当な直径(例えば、0.00175インチ(0.04445mm))のワイヤをマンドレルに巻くことによって形成されるのがよい。戻り電極コイル186は、適当な寸法を有し、例えば、0.006インチ(0.1524mm)の内径及び0.75mmの長さを有する。戻り電極コイル86は、切離し可能なジョイント20の周りを周方向に延び、切離し可能なジョイント20の近くの箇所において適当な接着剤を用いて補剛部材180に取付けられたスペーサ要素190を介して、切離し可能なジョイント20から空間的に隔離されている。戻り電極コイル186は、適当な導電性材料、例えば銀又は銅で構成されるのがよい。スペーサ要素190は、上述したスペーサ要素90と同じ形態を有し且つ同じ材料で構成されるのがよい。
【0074】
上述した戻り電極86と同様、戻り電極コイル186は、圧縮要素として機能し、気泡の発生を一段と防止し又は減少させるために、塩化銀の層で被覆されるのがよい。上述した戻り電極86と異なり、戻り電極コイル186は、端子に電気的に結合されているわけではない。その代わりに、
図9に示すように、2つの電気化学回路が形成され、即ち、1つは、切離し可能なジョイント20と戻り電極コイル186との間の電気化学回路であり、もう1つは、戻り電極コイル186と接地戻り電極32との間の電気化学回路である。戻り電極コイル186の大きい表面積により、電解質それ自体よりも低いインピーダンスをアースまで有する戻り経路を含む電気化学回路が得られる。切離し可能なジョイント20と接地戻り電極32との間に電圧を付与すると、戻り電極コイル186は、
図9に示すように、切離し可能なジョイント20と接地戻り電極32との間の電圧になる。かくして、戻り電極コイル186は、金属イオンの拡散距離を短くすると共に、金属イオンを電解質から奪うことができる還元表面を構成し、かくして、分離領域のところの金属イオン濃度が減少する。これにより、金属イオン溶解速度が増大し、必要な過剰電圧の大きさが減少する。これにより、分離領域のところの気泡発生が軽減され、それにより、分離時間を短縮し、分離プロセスを一層確実にする。
【0075】
プッシャ部材18(2)は、更に、補剛部材180の周りを周方向に延びる放射線不透過性マーカ、特に白金マーカコイル192を有している。マーカコイル192は、適当な直径(例えば、0.002インチ(0.0508mm))のワイヤをマンドレルに巻くことによって形成されるのがよい。図示の実施形態では、マーカコイル192は、戻り電極コイル186の近位端部内に配置される。この目的のために、マーカコイル192の内径は、0.002インチ(0.0508mm)であるのがよく(かくして、外径は、0.006インチであるのがよく)、その長さは、3.0mmであるのがよい。上述したマーカコイル92と同様、マーカコイル192は、その横方向可撓性を増大させるために開放ピッチ(例えば、10%)を有するのがよく、また、エポキシ等の適当な接着剤を用いて、補剛部材180に結合されるのがよい。戻り電極コイル186の内面は、エポキシ等の適当な接着剤を用いてマーカコイル192の外面に結合されるのがよい。
【0076】
プッシャ部材18(2)は、更に、戻り電極コイル186、マーカコイル192及び補剛部材180を含む組立体上に配置された電気絶縁シース196を有している。電気絶縁シース196は、適当なポリマー材料、例えばPTFE又はTFEで構成されるのがよく、適当な寸法(例えば、0.002インチの肉厚及び0.006インチの内径)を有する。図示の実施形態では、電気絶縁シース196を組立体の上に熱収縮させている。
【0077】
重要なことは、電気絶縁シース196が、切離し可能なジョイント20と戻り電極コイル186の両方を周方向に包囲することである。かくして、双極プッシャ部材18(1)の上述した電気絶縁シース96と同様、電気絶縁シース196は、プッシャ部材18(2)の圧縮強さを増大させると共に、インプラント組立体14(2)が体液に晒されたときに理想的な電解質環境が分離領域から離れていく理想的な電解質環境の拡散及び対流を減少させる。上述したように、理想的な電解質環境は、理想的な電解質を分離領域に導入することによって、又は、前もって塩でコーティングされた分離領域中に水を導入することによって作られるのがよい。分離領域中への生理的食塩水又は水のしみ込み(wicking)を容易にするために、親水性コーティングを切離し可能なジョイント20及び戻り電極コイル186の一方又は両方に、上述した仕方と同様な仕方でコーティングするのがよい。
【0078】
次に
図7を参照して、双極インプラント組立体の別の実施形態14(3)を説明する。双極インプラント組立体14(3)が上述した双極インプラント組立体14(1)と異なっている点は、双極インプラント組立体14(3)が露出された分離領域を有していることである。この目的のために、双極インプラント組立体14(3)は、上述した血管閉塞インプラント22と、プッシャ部材18(3)とを有している。プッシャ部材18(3)は、細長い補剛部材280を有し、この補剛部材280は、導電性コアワイヤと、その上に配置された電気絶縁コーティングとを有している。補剛部材280のコアワイヤは、任意適当な導電性且つ剛性の材料、例えばステンレス鋼で構成されるのがよく、コーティングは、任意適当な電気絶縁材料、例えばポリイミド、PTFE、TFE、パリレン、PET、PBT、シアノアクリレート接着剤又はその他適当な絶縁層で構成されるのがよい。
【0079】
図示の実施形態では、補剛部材280は、大径部分281から小径部分283までテーパしている。補剛部材280のコアワイヤは、このテーパを実現するように研削されるのがよい。図示の実施形態では、補剛部材280の大径部分281におけるコアワイヤの直径は、0.04インチ(0.1016mm)であり、小径部分283のコアワイヤの直径は、0.0025インチ(0.0635mm)である。
【0080】
上述した補剛部材80と同様、補剛部材280の大径部分281は、横方向剛性及び引張強さをプッシャ部材18(3)に与え、補剛部材280の小径部分283は、血管閉塞インプラント22に隣接したところにおいて望ましい横方向可撓性をプッシャ部材18(3)に与え、それにより、血管閉塞インプラント22の分離中におけるキックバックを最小にする。コアワイヤの構成及びコーティング、及び、双極インプラント組立体14(3)のアノードとして機能する電解式に切離し可能なジョイント20の形成は、プッシャ部材18(1)に関して上述したことと同じであるのがよい。
【0081】
プッシャ部材18(3)は、更に、戻り電極(即ち、双極インプラント組立体14(3)のカソード)として機能する導電性コイル286を有している。戻り電極コイル286は、適当な直径(例えば、0.002インチ(0.0508mm))のワイヤをマンドレルに巻くことによって形成されるのがよい。戻り電極コイル286は、適当な寸法を有しており、例えば、0.003インチ(0.0762mm)の内径(かくして0.007インチ(0.1778mm)の外径)及び0.75mmの長さを有する。図示の実施形態では、戻り電極コイル286は、その横方向可撓性を増大させるために開放ピッチ(例えば、20%)を有している。戻り電極コイル286は、適当な導電性材料、例えば銀又は銅で構成されるのがよい。戻り電極コイル286は、補剛部材280の周りを周方向に延び、特に、切離し可能なジョイント20の近位側の箇所において補剛部材280にエポキシ等の適当な接着剤を用いて結合されている。戻り電極コイル286は、上述した戻り電極コイル86と同様、圧縮要素として機能すると共に、気泡の発生を一段と防止し又は減少させるために、塩化銀の層で被覆されるのがよい。
【0082】
プッシャ部材18(3)は、更に、補剛部材280の周りを周方向に延びる放射線不透過性マーカ、特に白金マーカコイル292を有している。マーカコイル292は、適当な直径(例えば、0.002インチ(0.0508mm))を有するワイヤをマンドレルに巻くことによって形成されるのがよい。図示の実施形態では、マーカコイル292の内径及び外径は、好ましくは、戻り電極コイル286の内径及び外径と同じであるのがよく、即ち、0.003インチ(0.0762mm)の内径及び0.007インチ0.007インチ(0.1778mm)の外径を有する。マーカコイル292の長さは、3.0mmであるのがよい。マーカコイル292は、上述したマーカコイル92と同様、その横方向可撓性を増大させるために開放ピッチ(例えば、10%)を有すると共に、エポキシ等の適当な接着剤を用いて補剛部材280に結合されるのがよい。
【0083】
プッシャ部材18(3)は、更に、中間連結の可撓性コイル295を有し、可撓性コイル295の近位端部は、マーカコイル292の遠位端部の周りに周方向に配置され、その遠位端部は、戻り電極コイル286の近位端部の周りに周方向に配置されている。可撓性コイル295は、ステンレス鋼等の導電性材料で構成されるのがよく、銀入りエポキシ等の導電性接着剤を用いてマーカコイル292及び戻り電極コイル286に適当に結合されている。そのとき、マーカコイル292と戻り電極コイル286は、互いに電気的に結合されている。可撓性コイル295は、適当な直径(例えば、0.00175インチ(0.04445mm))のワイヤをマンドレルに巻くことによって形成されるのがよい。可撓性コイル295は、適当な寸法、例えば、0.007インチ(0.1778mm)の内径(かくして0.0105インチ(0.2667mm)の外径)及び30mmの長さを有している。図示の実施形態では、可撓性コイル295は、閉鎖ピッチを有している。
【0084】
プッシャ部材18(3)は、更に、マーカコイル292の外面に適当な手段を介して連結された電気導体294を有し、かかる適当な手段は、例えば、はんだ付け、溶接、又は、銀入りエポキシ等の導電性接着剤を用いた結合である。電気導体294は、ポリイミド等の電気絶縁材料で被覆された銅又は銀ワイヤであるのがよく、それにより、補剛部材280からの電気導体294の電気的絶縁を確保し、かくして、戻り電極コイル286と切離し可能なジョイント20との間の電気的絶縁を確保する。電気導体294は、適当な直径、例えば、0.0015インチ(0.0381mm)のワイヤ直径及び0.002インチ(0.0508mm)の全直径(絶縁体を含む)を有している。
【0085】
プッシャ部材18(3)は、更に、マーカコイル292の近位端部、電気導体294及び補剛部材280のうちのマーカコイル292から近位側に延びる部分を含む組立体の上に配置された電気絶縁シース296を有し、電気絶縁シース296の遠位端部は、可撓性コイル295の近位端部に当接している。電気絶縁シース296は、適当なポリマー材料、例えば、PTFE又はTFEで構成されるのがよく、適当な寸法(例えば、0.002インチ(0.0508mm)の肉厚及び0.006インチ(0.1524mm)の内径)を有している。図示の実施形態では、電気絶縁シース296を組立体の上に熱収縮させている。
【0086】
プッシャ部材18(3)は、更に、ステンレス鋼等の適当な導電性材料で構成された第1の導電性ハイポチューブ298を有している。補剛部材280のコアワイヤの近位端部は、露出され、銀入りエポキシ等の適当な導電性結合材料を用いて第1の導電性ハイポチューブ298の内部に結合されている。第1の導電性ハイポチューブ298の遠位端部は、電気絶縁シース296の近位端部に当接する。第1の導電性ハイポチューブ298は、適当な寸法を有し、例えば、0.012インチ(0.3048mm)の外径、0.006インチ(0.1524mm)の内径及び150cmの長さを有する。かくして、第1の導電性ハイポチューブ298のどの部分も正端子28(
図1参照)を形成し、この正端子28は、補剛部材280のコアワイヤを含む順方向電気経路を介して切離し可能なジョイント20と電気的に連通する。
【0087】
プッシャ部材18(3)は、更に、ステンレス鋼等の適当な導電性材料で構成された第2の導電性ハイポチューブ299を有している。電気導体294の近位端部は、露出され、銀入りエポキシ等の適当な導電性結合材料を用いて第2の導電性ハイポチューブ299の内部に結合されている。第2の導電性ハイポチューブ299は、適当な寸法を有し、例えば、0.012インチ(0.3048mm)の外径、0.006インチ(0.1524mm)の内径及び10mmの長さを有するのがよい。かくして、第2の導電性ハイポチューブ299のどの部分も、負端子30(
図1参照)を形成し、この負端子30は、電気導体294、マーカコイル292及び可撓性コイル295を含む戻り電気経路を介して、戻り電極コイル286と電気的に連通する。
【0088】
プッシャ部材18(3)は、更に、補強マンドレル300を有し、第1の導電性ハイポチューブ298の近位端部及び第2の導電性ハイポチューブ299の遠位端部は、エポキシ等の適当な接着剤を用いて補強マンドレル300の周りに結合されている。補強マンドレル300は、ポリイミド等の電気絶縁材で被覆されたステンレス鋼であるのがよく、第1の導電性ハイポチューブ298と第2の導電性ハイポチューブ299との間の電気的絶縁を確保し、かくして、切離し可能なジョイント20と戻り電極コイル286との間の電気的絶縁を確保する。補強マンドレル300は、適当な寸法を有し、例えば、0.004インチ(0.1016mm)のワイヤ直径及び10mmの長さを有する。
【0089】
次に
図8を参照して、単極インプラント組立体の別の実施形態14(4)を説明する。単極インプラント組立体14(4)が上述した単極インプラント組立体14(2)と異なっている点は、中間の戻り電極が、血管閉塞インプラント23と一緒になったままプッシャ部材18(4)から分離されるように構成されていることである。単極プッシャ部材18(2)に関して上述したように、中間の戻り電極の大きい表面積により、分離領域における気泡発生を減少させる。
【0090】
血管閉塞インプラント23が上述した血管閉塞インプラント22と同様である点は、血管閉塞インプラント23が、一次コイル62と、伸びにくいフィラメント70と、遠位キャップ(図示せず)を有していることである。血管閉塞インプラント23が異なっている点は、それが、一次コイル62の近位端部内に設けられた導電性ハイポチューブの形態を有する中間の戻り電極386を有していることである。図示の実施形態では、一次コイル62の近位端部は、開放ピッチ(例えば、近位側の巻きのうちの4つは、開放ピッチである)を有し、中間の戻り電極386の周りに巻かれ、適当な手段を用いた結合によって中間の戻り電極386に取付けられ、かかる適当な手段は、例えば、はんだ付け、溶接、又は銀入りエポキシ等の導電性接着剤である。変形実施形態では、中間の戻り電極386は、導電性コイルの形態を有していてもよい。中間の戻り電極386は、好ましくは、長期間にわたる植え込みに適した生体適合性材料で構成される。特に、一次コイル62は、中間の戻り電極386に電気的に結合されるので、中間の戻り電極386の有効表面積は、一次コイル62自体が導電性になる程度まで実質的に増大され、それにより、気泡発生の可能性を最小に近づける。
【0091】
プッシャ部材18(4)は、細長い補剛部材380を有し、この補剛部材380は、絶縁されていない導電性コアワイヤを有している。補剛部材380のコアワイヤは、任意適当な導電性且つ剛性の材料、例えばステンレス鋼で構成されるのがよい。図示の実施形態では、補剛部材380は、大径部分381から小径部分383までテーパしている。補剛部材380のコアワイヤは、このテーパを実現するように研削されるのがよい。図示の実施形態では、補剛部材380の大径部分381のコアワイヤの直径は、0.010インチ(0.254mm)であり、小径部分383のコアワイヤの直径は、0.0025インチ(0.0635mm)である。
【0092】
上述した補剛部材80と同様、補剛部材380の大径部分381は、横方向剛性及び引張強さをプッシャ部材18(4)に与え、補剛部材380の小径部分383は、血管閉塞インプラント23に隣接したところにおいて望ましい横方向可撓性をプッシャ部材18(4)に与え、それにより、血管閉塞インプラント23の分離中におけるキックバックを最小にする。
【0093】
プッシャ部材18(4)は、更に、補剛部材380の周りを周方向に延びる放射線不透過性マーカ、特に白金マーカコイル392を有している。マーカコイル392は、適当な直径(例えば、0.002インチ(0.0508mm))のワイヤをマンドレルに巻くことによって形成されるのがよい。マーカコイル392は、適当な寸法を有し、例えば、0.003インチ(0.0762mm)の内径及び3.0mmの長さを有する。マーカコイル392は、その横方向可撓性を増大させるために開放ピッチ(例えば、10%)を有するのがよい。
【0094】
プッシャ部材18(4)は、更に、電気絶縁コイル395を有し、電気絶縁コイル395は、導電性ワイヤと、その上に配置された電気絶縁コーティングとを有している。電気絶縁コイル395は、適当な直径(例えば、0.00175インチ(0.04445mm))のワイヤをマンドレルに巻くことによって形成されるのがよい。図示の実施形態では、電気絶縁コイル395は、その横方向可撓性を増大させるために開放ピッチ(例えば、50%)を有している。電気絶縁コイル395の近位側の巻き部の絶縁コーティングが剥ぎ取られ、適当な手段を用いた結合、例えば、はんだ付け、溶接、又は銀入りエポキシ等の導電性接着剤を用いた結合によって、補剛部材380の遠位端部の周りに周方向に取付けられている。
【0095】
電気絶縁コイル395の遠位端部397は、真直ぐにされ、血管閉塞器具23の戻り電極386の管腔中に通されている。真直ぐな部分397の領域は、絶縁材料で被覆されていないか、ワイヤの一部分を露出させるために絶縁材料の一部分が(例えば、レーザ除去を用いて)除去されいるかのいずれかであり、それにより、電解式に切離し可能なジョイント20を構成する。単極インプラント組立体14(4)のアノードとして機能する電解式に切離し可能なジョイント20の形成は、プッシャ部材18(2)に関して上述した仕方と同じ仕方であるのがよい。
【0096】
中間の戻り電極386は、上述した中間の戻り電極186と同様、気泡の発生を一段と防止し又は減少させるために、塩化銀の層で被覆されるのがよい。分離領域への生理的食塩水又は水のしみ込みを容易にするために、親水性コーティングを切離し可能なジョイント20及び戻り電極コイル386の一方又は両方に、上述した仕方と同じ仕方で付与するのがよい。変形実施形態では、中間の戻り電極386の縁部だけが切離し可能なジョイント20に対して露出され、それにより、電解質の灌流を促進させると共に、インプラント組立体の全体直径を減少させる。
【0097】
図示のように、中間の戻り電極386は、切離し可能なジョイント20の周りを周方向に延びている。切離し可能なジョイント20の近位側及び遠位側の絶縁コーティングは、切離し可能なジョイント20と戻り電極386との間の接触を阻止する機械的スペーサを構成する。補剛部材380の近位端部のどの部分も正端子28(
図2参照)を形成し、この正端子28は、補剛部材380のコアワイヤ及び電気絶縁コイル395を含む順方向電気経路を介して、切離し可能なジョイント20と電気的に連通する。
【0098】
電気絶縁コイル395の真直ぐな部分397を、伸びにくいフィラメント70の中に通し、180°曲げ、それにより、伸びにくいフィラメント70とのリンクを形成する。次いで、真直ぐな部分397を、中間の戻り電極386の周りに巻き、適当な手段によって中間の戻り電極386に取付け、かかる適当な手段は、例えば、はんだ付け、溶接、又は銀入りエポキシ等の導電性接着剤を用いた結合である。電気絶縁コイル395に新しく形成された巻き部は、中間の戻り電極386の外径の増大を最小にするために、一次コイル62の開放ピッチの巻き部と巻き部の間に嵌められる。
【0099】
プッシャ部材18(4)は、更に、電気絶縁コイル395、マーカコイル392及び補剛部材380を含む組立体の上に配置された電気絶縁シース396を有している。電気絶縁シース396は、適当なポリマー材料、例えば、PTFE又はTFEで構成されるのがよく、適当な寸法(例えば、(例えば、0.002インチ(0.0508mm)の肉厚及び0.006インチ(0.1524mm)の内径)を有する。図示の実施形態では、電気絶縁シース396を組立体の上に熱収縮させる。
【0100】
インプラント組立体14(4)を単極組立体として説明したが、中間の戻り電極を、配送カテーテル12(
図1及び
図2参照)に取付けられたワイヤ又はプッシャ部材18(4)を貫通して延びるワイヤを介してアースに接続することによって、双極インプラント組立体を構成してもよい。この場合、血管閉塞インプラント23の一次コイル62は、中間の戻り電極386から電気的に絶縁されるのがよい。
【0101】
次に
図10を参照して、双極インプラント組立体の別の実施形態14(5)を説明する。双極インプラント組立体14(5)が上述した双極インプラント組立体14(1)と異なっている点は、双極インプラント組立体14(5)が、切離し可能なジョイント20と正電極28との間の順方向電気経路において、及び、戻り電極と負端子30(
図1参照)との間の戻り電気経路において、導電性シースを利用していることである。
【0102】
双極インプラント組立体14(5)は、上述した血管閉塞インプラント22と、プッシャ部材18(5)とを有している。プッシャ部材18(5)は、細長い補剛部材480を有し、この補剛部材480は、近位補剛部材要素485と遠位補剛部材要素487とを有している。近位補剛部材要素485は、絶縁されていないコアワイヤを有し、遠位補剛部材要素487は、絶縁コアワイヤを有している。補剛部材要素485,487のコアワイヤは、任意適当な導電性且つ剛性の材料、例えばステンレス鋼で構成されるのがよく、コーティングは、任意適当な電気絶縁材料、例えばポリイミド、PTFE、TFE、パリレン、PET、PBT、シアノアクリレート接着剤又は他の適当な絶縁層で構成されるのがよい。
【0103】
近位補剛部材要素485の遠位端部は、フォーク形部材489を有し、遠位補剛部材要素487の近位端部は、フォーク形部材489内に取付けられている。遠位補剛部材要素487のコアワイヤの近位端部は、露出されたままであり、従って、近位補剛部材要素485は、遠位補剛部材要素487と電気的連通状態にある。絶縁されていないワイヤが、コイル491を形成するように、近位補剛部材要素485の遠位端部に巻付けられ、コイル491は、遠位補剛部材要素487を近位補剛部材要素485のフォーク形部材489内にしっかりと固定している。
【0104】
図示の実施形態では、近位補剛部材要素485は、大径部分481から小径部分483までテーパしている。近位補剛部材要素485のコアワイヤは、このテーパを実現するように研削されるのがよい。図示の実施形態では、大径部分481におけるコアワイヤの直径は、0.010インチ(0.254mm)であり、小径部分483のコアワイヤの直径は、0.0025インチ(0.0635mm)である。遠位補剛部材要素487のコアワイヤの直径は、近位補剛部材要素485の小径部分483のコアワイヤよりも小さく、例えば、0.0015インチ(0.0381mm)である。遠位補剛部材要素487のコアワイヤ上の絶縁コーティングは、適当な厚さ(例えば、0.00035インチ(0.00889mm))を有するのがよい。
【0105】
上述した補剛部材80と同様、近位補剛部材要素485の大径部分481は、横方向剛性及び引張強さをプッシャ部材18(4)に与え、近位補剛部材要素485の小径部分483及び小径の遠位補剛部材要素487は、血管閉塞インプラント22に隣接したところにおいて望ましい横方向可撓性をプッシャ部材18(5)に与え、それにより、血管閉塞インプラント22の分離中におけるキックバックを最小にする。双極インプラント組立体14(5)のアノードとして機能する電解式に切離し可能なジョイント20は、それがプッシャ部材18(1)の補剛部材80のコアワイヤに形成される仕方と同じ仕方で、遠位補剛部材要素487に形成される。
【0106】
プッシャ部材18(5)は、更に、戻り電極(即ち、双極インプラント組立体14(5)のカソード)として機能する導電性コイル486を有している。戻り電極コイル486は、適当な直径(例えば、0.00175インチ(0.04445mm))のワイヤをマンドレルに巻くことによって形成されるのがよい。戻り電極コイル486は、適当な寸法を有しており、例えば、0.006インチ(0.1524mm)の内径(かくして0.0095インチ(0.2413mm)の外径)及び0.75mmの長さを有する。戻り電極コイル486は、適当な導電性材料、例えば銀又は銅で構成されるのがよい。図示の実施形態では、戻り電極コイル486は、その横方向可撓性を増大させるために開放ピッチ(例えば、20%)を有している。戻り電極コイル486は、切離し可能なジョイント20の周りを周方向に延びており、切離し可能なジョイント20の近位側の箇所において適当な接着剤を用いて遠位補剛部材要素487に取付けられたスペーサ要素490を介して、切離し可能なジョイント20から空間的に隔離されている。スペーサ要素490は、上述したスペーサ要素90と同じ形態を有し且つ同じ材料で構成されるのがよい。戻り電極コイル486は、上述した戻り電極コイル86と同様、圧縮要素として機能すると共に、気泡の発生を一段と防止し又は減少させるために、塩化銀の層で被覆されるのがよい。
【0107】
プッシャ部材18(5)は、銀入りエポキシ又は収縮チューブ材等の適当な手段を用いて、近位補剛部材要素485の小径部分483の周りに結合された導電性シース493を有している。図示の実施形態では、導電性シース493は、近位補剛部材要素485の小径部分483の近位端部から、固着コイル491のすぐ近位側の近位補剛部材要素485の小径部分483の遠位端部まで延びている。プッシャ部材18(5)は、更に、近位補剛部材要素485、導電性シース493及び固着コイル491の上に配置された電気絶縁シース497を有している。プッシャ部材18(5)は、更に、エポキシ等の適当な手段を用いて、近位補剛部材要素485の大径部分481と一致するように電気絶縁シース497の周りに適当に結合された別の導電性シース498を有している。プッシャ部材18(5)は、更に、戻り電極コイル486、マーカコイル492及び可撓性コイル495を含む組立体の上に配置された電気絶縁シース496を有している。
【0108】
導電性シース493,498は、例えば、メッシュ、編組体又はコイルの形態をしているのがよい。
図10に示す実施形態では、導電性シース493,498は、メッシュの形態をしている。補剛部材480のコアワイヤは、好ましくは、導電性シース493,498を構成する材料のジュロメータよりも大きいジュロメータを有する材料、例えばステンレス鋼で構成されるが、導電性シース493,498は、好ましくは、補剛部材480のコアワイヤの構成材料の導電性よりも高い導電性を有する材料、例えば、銀又は銅で構成される。電気絶縁シース496,497は、適当なポリマー材料、例えば、PTFE又はTFEで構成されるのがよく、適当な寸法(例えば、0.002インチ(0.0508mm)の肉厚及び0.006インチ(0.1524mm)の内径)を有している。
【0109】
重要なことは、電気絶縁シース496が切離し可能なジョイント20と戻り電極コイル486の両方を周方向に包囲していることである。かくして、電気絶縁シース496は、上述した双極プッシャ部材18(1)の電気絶縁シース96と同様、プッシャ部材18(5)の圧縮強さを増大させると共に、インプラント組立体14(5)が体液に晒されたときに理想的な電解質環境が分離領域から離れていくかかる理想的な電解質環境の拡散及び対流を減少させる。上述したように、理想的な電解質環境は、理想的な電解質を分離領域に導入するか、予め塩でコーティングされた分離領域に水を導入するかによって作られるのがよい。分離領域への生理的食塩水又は水のしみ込み(wicking)を容易にするために、親水性コーティングを切離し可能なジョイント20及び戻り電極コイル486の一方又は両方に、上述した仕方と同じ仕方で付与するのがよい。
【0110】
プッシャ部材18(5)は、更に、近位補剛部材要素485の小径部分483の周りを周方向に延びる放射線不透過性マーカ、特に白金マーカコイル492を有している。マーカコイル492は、上述したマーカコイル92と同じ材料で形成され且つ構成されるのがよい。プッシャ部材18(5)は、更に、マーカコイル492のすぐ近位側において、近位補剛部材要素485の小径部分483の周りを周方向に延びる可撓性コイル495を有している。可撓性コイル495は、導電性材料、例えばステンレス鋼で構成されている。図示の実施形態では、可撓性コイル495は、閉鎖ピッチを有している。マーカコイル492及び可撓性コイル495は、好ましくは、戻り電極コイル486と同じ直径を有している。
【0111】
プッシャ部材18(5)は、更に、戻り電極コイル486と導電性シース498との間に適当な手段を介して連結された電気導体494を有し、かかる適当な手段は、例えば、はんだ付け、溶接、又は、銀入りエポキシ等の導電性接着剤用いた結合である。電気導体492は、銅又は銀ワイヤであるのがよい。図示の実施形態では、電気導体494は、電気絶縁シース497の外面上に配置され、それにより、補剛部材480からの電気導体492の電気的絶縁を確保し、かくして、戻り電極コイル486と切離し可能なジョイント20との間の電気的絶縁を確保する。電気導体492は、適当な寸法を有し、例えば、0.0015インチ(0.0381mm)のワイヤ直径及び0.002インチ(0.0508mm)の全直径(絶縁体を含む)を有している。
【0112】
プッシャ部材18(5)は、更に、戻り電極コイル486、マーカコイル492及び可撓性コイル495を含む組立体の上に配置された電気絶縁シース496を有している。電気絶縁シース496は、適当なポリマー材料、例えば、PTFEで構成されるのがよく、適当な寸法(例えば、0.002インチ(0.0508mm)の肉厚及び0.006インチ(0.1524mm)の内径)を有している。図示の実施形態では、電気絶縁シース496を組立体上に熱収縮させている。
【0113】
近位補剛部材要素485のコアワイヤの一部分、図示の実施形態では、近位補剛部材要素485の近位先端部は、正端子28(
図1参照)を形成するために露出されたままであり、正端子28は、補剛部材480及び導電性シース493を含む順方向電気経路を介して切離し可能なジョイント20と電気的に連通している。有利には、補剛部材480は、インプラント組立体14(5)に必要な押込み性能を与え、高導電性シース493は、順方向電気経路のうちの近位補剛部材要素485の小径部分483と一致した部分に沿った電気コンダクタンスを著しく減少させ、そうでなければ、上記部分の電気コンダクタンスが近位補剛部材要素485の大径部分481に対して減少する。
【0114】
プッシャ部材18(5)は、更に、導電性端子リボン499を有し、導電性端子リボン499は、近位補剛部材要素485の近位端部の箇所で導電性シース498の周りに取付けられた負端子30(
図1参照)として機能する。導電性端子リボン499は、銀又は銅等の材料で構成されるのがよく、戻り電極コイル486に電気的に結合されている。かくして、導電性端子リボン499は、導電性シース498及び電気導体494を含む戻り電気経路を介して、戻り電極コイル486と電気的に連通している。有利には、高導電性シース498は、戻り電気経路に沿う電気コンダクタンスを、電気導体494が戻り電極コイル486と端子リボン499の間の全長にわたって延びる場合よりも著しく減少させる。
【0115】
次に
図11を参照して、双極インプラント組立体の更に別の実施形態14(6)を説明する。双極インプラント組立体14(6)が上述した双極インプラント組立体14(5)と異なっている点は、双極インプラント組立体14(6)が、戻り電極と負端子30(
図1参照)との間の戻り電気経路において、導電性シースを1つしか利用していないことである。双極インプラント組立体14(5)は、上述した血管閉塞インプラント22と、プッシャ部材18(6)とを有している。
【0116】
プッシャ部材18(6)は、補剛部材580の全長が実質的に絶縁されていることを除き、上述した補剛部材480と同様な細長い補剛部材580を有している。かくして、補剛部材580は、テーパ付き近位補剛部材要素585と、遠位補剛部材要素587とを有し、近位補剛部材要素585は、大径部分581と小径部分583とを有している。近位補剛部材要素585の遠位端部は、フォーク形部材589を有し、遠位コアワイヤ要素587の近位端部は、固着コイル591によってフォーク形部材589に取付けられている。近位補剛部材要素585、遠位補剛部材要素587及び固着コイル591の構成及び寸法は、補剛部材要素585,587の両方が電気絶縁材料で被覆されたコアワイヤを有していることを除き、上述した近位補剛部材要素485、遠位補剛部材要素487及び固着コイル491と同じであるのがよい。
【0117】
上述した補剛部材80と同様、近位補剛部材要素585の大径部分581は、横方向剛性及び引張強さをプッシャ部材18(6)に与え、近位補剛部材要素585の小径部分583及びそれよりも小径の遠位補剛部材要素587は、血管閉塞インプラント22に隣接したところにおいて望ましい横方向可撓性をプッシャ部材18(6)に与え、それにより、血管閉塞インプラント22の分離中におけるキックバックを最小にする。双極インプラント組立体14(6)のアノードとして機能する電解式に切離し可能なジョイント20は、それがプッシャ部材18(1)の補剛部材80に形成される仕方と同じ仕方で、遠位補剛部材要素587に形成される。
【0118】
プッシャ部材18(6)は、エポキシ等の適当な手段を用いて近位補剛部材要素585の周りに適当に結合された導電性シース598を有している。導電性シース598は、例えば、メッシュ、編組体又はコイルの形態をしているのがよい。図示の実施形態では、導電性シース598は、コイルである。導電性シース598は、補剛部材580を構成する材料の導電性よりも大きい導電性の材料、例えば銀又は銅で構成されている。
【0119】
プッシャ部材18(6)は、更に、戻り電極(即ち、双極インプラント組立体14(6)のカソード)として機能する導電性コイル586と、放射線不透過性マーカ、特に白金マーカコイル592と、補剛部材590の周りを周方向に延びる可撓性コイル595とを、上述した戻り電極コイル486、マーカコイル492及び可撓性コイル495と同じ仕方で有している。すなわち、戻り電極コイル586の近位端部は、固着コイル591の周りに結合され、マーカコイル592及び可撓性コイル595は、近位補剛部材要素585の小径部分583に沿って導電性シース598の周りに結合されている。戻り電極コイル586は、切離し可能なジョイント20の近位側の箇所において適当な接着剤を用いて遠位補剛部材要素587に取付けられたスペーサ要素590を介して、切離し可能なジョイント20から空間的に隔離されている。
【0120】
戻り電極コイル586、マーカコイル592、可撓性コイル595及びスペーサ要素590はそれぞれ、上述した戻り電極コイル486、マーカコイル492、可撓性コイル495及びスペーサ要素490と同じ形態を有し且つ同じ材料で構成されるのがよい。戻り電極コイル586は、上述した戻り電極コイル86と同様、圧縮要素として機能し、気泡の発生を一段と防止し又は減少させるために、塩化銀の層で被覆されるのがよい。
【0121】
プッシャ部材18(6)は、更に、戻り電極コイル586、マーカコイル592及び可撓性コイル595を含む組立体の上に配置された電気絶縁シース596を有している。電気絶縁シース596は、上述した電気絶縁シース496と同じ材料で構成され且つ同じ寸法であるのがよい。重要なことは、電気絶縁シース596が切離し可能なジョイント20と戻り電極コイル586の両方を周方向に包囲していることである。かくして、電気絶縁シース596は、双極プッシャ部材18(1)の上述した電気絶縁シース96と同様、プッシャ部材18(6)の圧縮強さを増大させると共に、インプラント組立体14(6)が体液に晒されたときに理想的な電解質環境が分離領域から離れていくかかる理想的な電解質環境の拡散及び対流を減少させる。上述したように、理想的な電解質環境は、理想的な電解質を分離領域に導入するか、予め塩でコーティングされた分離領域に水を導入するかによって作られるのがよい。分離領域への生理的食塩水又は水のしみ込み(wicking)を容易にするために、親水性コーティングを、切離し可能なジョイント20及び戻り電極コイル586の一方又は両方に上述した仕方と同様の仕方で付与するのがよい。
【0122】
近位補剛部材要素585のコアワイヤの一部分、図示の実施形態では、コアワイヤの近位先端部は、正端子28(
図1参照)を形成するために露出されたままであり、正端子28は、補剛部材580だけによって形成された順方向電気経路を介して、切離し可能なジョイント20と電気的に連通している。導電性シース598のどの部分も、負端子30(
図1参照)として機能するのがよい。かくして、導電性シース598全体は、戻り電極コイル586までの順方向電気経路を形成する。有利には、高導電性シース598は、戻り電極コイル586までの電気経路に沿う電気コンダクタンスを、戻り電極コイル586と負端子30との間に延びる標準型ワイヤよりも著しく減少させる。
【0123】
次に
図12を参照して、双極インプラント組立体の更に別の実施形態14(7)を説明する。双極インプラント組立体14(7)が、上述した双極インプラント組立体14(5)と異なっている点は、双極インプラント組立体14(7)が導電性シースとして、メッシュの代わりにコイルを利用していることである。この目的のために、双極インプラント組立体14(7)は、上述した血管閉塞インプラント22と、プッシャ部材18(7)とを有している。
【0124】
プッシャ部材18(7)は、上述した補剛部材480と同様である細長い補剛部材680を有している。特に、補剛部材680は、テーパ付き近位補剛部材要素685と、遠位補剛部材要素687とを有し、テーパ付き近位補剛部材要素685は、大径部分681と小径部分683とを有している。近位補剛部材要素685の遠位端部は、フォーク形部材689を有し、遠位コアワイヤ要素687の近位端部は、固着コイル691によってフォーク形部材689内に取付けられている。近位補剛部材要素685、遠位補剛部材要素687及び固着コイル691の構成及び寸法は、上述した近位補剛部材要素485、遠位補剛部材要素487及び固着コイル491と同じであるのがよい。
【0125】
上述した補剛部材80と同様、近位補剛部材要素685の大径部分681は、横方向剛性及び引張強さをプッシャ部材18(7)に与え、近位補剛部材要素685の小径部分683及びそれよりも小径の遠位補剛部材要素687は、血管閉塞インプラント22に隣接したところにおいて望ましい横方向可撓性をプッシャ部材18(7)に与え、それにより、血管閉塞インプラント22の分離中におけるキックバックを最小にする。双極インプラント組立体14(7)のアノードとして機能する電解式に切離し可能なジョイント20は、切離し可能なジョイント20がプッシャ部材18(1)の補剛部材80に形成される仕方と同じ仕方で、遠位補剛部材要素687に形成される。
【0126】
プッシャ部材18(7)は、銀入りエポキシ又は収縮チューブ材等の適当な手段を用いて、近位補剛部材要素685の小径部分683の周りに結合された導電性シース693を有している。図示の実施形態では、導電性シース693は、近位補剛部材要素685の小径部分683の近位端部から、固着コイル691のすぐ近位側の近位補剛部材要素685の小径部分683の遠位端部まで延びている。プッシャ部材18(7)は、更に、近位補剛部材要素685、導電性シース693及び固着コイル691の上に配置された電気絶縁シース697を有している。プッシャ部材18(7)は、更に、エポキシ等の適当な手段を用いて、近位補剛部材要素685の大径部分681及び近位補剛部材要素685の小径部分683と一致するように電気絶縁シース697の周りに適当に結合された別の導電性シース698を有している。プッシャ部材18(7)は、戻り電極コイル686、マーカコイル692及び導電性シース698の一部を含む組立体の上に配置された電気絶縁シース696を有している。
【0127】
導電性シース693,698は、例えば、メッシュ、編組体又はコイルの形態をしているのがよい。
図12に示す実施形態では、導電性シース693,698は、コイルの形態をしている。導電性シース693,698は、好ましくは、補剛部材680のコアワイヤの構成材料の導電性よりも高い導電性を有する材料、例えば、銀又は銅で構成される。電気絶縁シース696,697は、適当なポリマー材料、例えば、PTFE又はTFEで構成されるのがよく、適当な寸法(例えば、0.002インチ(0.0508mm)の肉厚及び0.006インチ(0.1524mm)を有している。
【0128】
プッシャ部材18(6)は、更に、上述した戻り電極コイル486及びマーカコイル492と同じ仕方で、戻り電極(即ち、双極インプラント組立体14(6)のカソード)として機能する導電性コイル686と、補剛部材680の周りを周方向に延びる放射線不透過性マーカ、特に白金マーカコイル692を有している。即ち、戻り電極コイル686の近位端部は、固着コイル691の周りに結合され、マーカコイル692は、近位補剛部材要素685の小径部分683に沿って導電性シース698の周りに結合されている。特に、導電性シース698は、可撓性コイルとして機能し、かくしてこの実施形態では、別の可撓性コイルは不要である。
【0129】
戻り電極コイル686は、切離し可能なジョイント20の近位側の箇所において適当な接着剤を用いて遠位補剛部材要素587に取付けられたスペーサ要素690を介して、切離し可能なジョイント20から空間的に隔離されている。戻り電極コイル686、マーカコイル692及びスペーサ要素690はそれぞれ、上述した戻り電極コイル486、マーカコイル492及びスペーサ要素490と同じ形態を有し且つ同じ材料で構成されるのがよい。戻り電極コイル686は、上述した戻り電極コイル86と同様、圧縮要素として機能すると共に、気泡の発生を一段と防止し又は減少させるために、塩化銀の層で被覆されるのがよい。
【0130】
重要なことは、電気絶縁シース696が、切離し可能なジョイント20と戻り電極コイル686の両方を周方向に包囲していることである。かくして、電気絶縁シース696は、上述した双極プッシャ部材18(1)の電気絶縁シース96と同様、プッシャ部材18(7)の圧縮強さを増大させると共に、インプラント組立体14(7)が体液に晒されたときに理想的な電解質環境が分離領域から離れていくかかる理想的な電解質環境の拡散及び対流を減少させる。上述したように、理想的な電解質環境は、理想的な電解質を分離領域に導入するか、予め塩でコーティングされた分離領域に水を導入するかによって作られるのがよい。分離領域への生理的食塩水又は水のしみ込み(wicking)を容易にするために、親水性コーティングを、切離し可能なジョイント20及び戻り電極コイル686の一方又は両方に上述した仕方と同様な仕方で付与するのがよい。
【0131】
近位補剛部材要素685のコアワイヤの一部分、図示の実施形態では、コアワイヤの近位先端部は、正端子28(
図1参照)を形成するために露出されたままであり、正端子28は、補剛部材580だけによって形成された順方向電気経路を介して、切離し可能なジョイント20と電気的に連通している。導電性シース698のどの部分も、負端子30(
図1参照)として機能するのがよい。かくして、導電性シース693,698は、上述した導電性シース593,598と同様、切離し可能なジョイント20までの順方向電気経路及び戻り電極コイル686からの戻り電極経路の電気コンダクタンスを増大させる。
【0132】
医療システム10の構成及び機能を説明したので、次に、
図13A〜
図13Cを参照して、血管700内の動脈瘤702を閉塞する際の医療システム10の使用方法を説明する。血管閉塞器具23(
図8参照)を以下のようにして動脈瘤702まで同様に配送することができるが、簡略のために、血管閉塞器具23の配送だけを詳細に説明する。
【0133】
特に
図13Aを参照すると、配送カテーテル12を動脈瘤702の首部704内ちょうどに操縦する。この時点において、血管閉塞器具22は、その非展開形状にあり、電解式に切離し可能なジョイント20を介してプッシャ部材18に結合されている。インプラント組立体14を、血管閉塞器具22が配送カテーテル12の遠位端部54内に位置するように配送カテーテル12の管腔内に配置する。
【0134】
図13Bを参照すると、次に、プッシャ部材18を配送カテーテル12に対して遠位方向に押し、それにより、血管閉塞器具22を配送カテーテル12の遠位端部54の外に延ばし、首部704の中を通し、動脈瘤702内に入れる。血管閉塞器具22を配送カテーテル12の外に押出すとき、配送カテーテル12の拘束から自由になった血管閉塞器具22の部分は、その展開形状をとることができる。
【0135】
図13Cを参照すると、プッシャ部材18を、血管閉塞器具22全体が動脈瘤702内に展開されるまで、配送カテーテル12に対して遠位方向に押し続ける。次いで、電流をプッシャ部材18の中に流して、切離し可能なジョイント20を電解式に溶解させることによって、血管閉塞器具22をプッシャ部材18から分離させる。
【0136】
双極構成(
図1参照)では、電流を電源16の正端子34からプッシャ部材18の正端子28に、そしてプッシャ部材18内の順方向電気経路に沿って切離し可能なジョイント20に流し、電流をプッシャ部材18の戻り電極からプッシャ部材18内の戻り電気経路に沿って、そして、プッシャ部材18の負端子30から電源16の負端子36に戻すことによって、血管閉塞器具22の分離を達成できる。必要に応じて、プッシャ部材18を配送カテーテル12から取出し、別のインプラント組立体14を配送カテーテル12の管腔内に挿入し、
図13B及び
図13Cに示すステップを繰返すことによって、追加の血管閉塞器具22を動脈瘤702内に展開してもよい。
【0137】
単極構成(
図2参照)では、電流を電源16の正端子34からプッシャ部材18の正端子28に、そしてプッシャ部材18内の順方向電気経路に沿って切離し可能なジョイント20に流し、電流をプッシャ部材18上の戻り電極(利用可能な場合)から患者の体内の戻り電気経路に沿って、そして接地電極32(
図2参照)から電源16の負端子36に戻すことによって、血管閉塞器具22の分離を達成できる。