【実施例1】
【0014】
以下、実施例を示す図に従って本発明を説明する。
図1乃至
図4に示すようにワーク支持装置1の本体フレーム3の前方には前後方向(後述するワーク51の長手方向と直交する方向)へ延出する左右一対のレール5が設けられ、該レール5には上記前後方向と直交する水平方向へ延出する基台7が前後方向へ移動可能に支持される。該基台7には前後方向に軸線を有して軸両端部が本体フレーム3に軸支された第1前後送りねじ11がナット(図示せず)に噛合わされる。該第1前後送りねじ11の軸後端部は本体フレーム3に設けられたサーボモータ等の数値制御可能な第1電動モータ9に連結され、第1電動モータ9の駆動に伴って回転する第1前後送りねじ11により上記基台7が前後方向へ移動される。
【0015】
上記基台7の後部には該基台7の中間部から左右方向(後述するワーク51の長手方向と一致する方向)外側へそれぞれ延出する第1及び第2水平フレーム13・15が取付けステー17・19を介して固定される。上記第1及び第2水平フレーム13・15には第1及び第2水平可動体(図示せず)が水平方向へ移動可能に支持され、各第1及び第2水平可動体には水平方向に軸線を有し、軸両端部が上記第1及び第2水平フレーム13・15にそれぞれ軸支された第1及び第2水平送りねじ29・31がそれぞれのナット(図示せず)に噛合わされる。
【0016】
第1及び第2水平送りねじ29・31が一方軸端部にはサーボモータ等の数値制御可能な第2及び第3電動モータ25・27がそれぞれ連結され、第2及び第3電動モータ25・27の駆動に伴って回転する第1及び第2水平送りねじ29・31により上記各第1及び第2水平可動体が水平方向へそれぞれ移動される。
【0017】
各第1及び第2水平可動体には第1及び第2上下フレーム33・35がそれぞれ固定され、各第1及び第2上下フレーム33・35には第1及び第2上下可動体37・39が昇降可能に支持される。各第1及び第2上下可動体37・39には上下方向に軸線を有した第1及び第2上下送りねじ45・47がそれぞれのナット(図せず)に噛合わされる。
【0018】
また、第1及び第2上下送りねじ45・47の軸下端部には歯付きプーリ等の第1及び第2回転体41・43がそれぞれ固定される。更に、第1及び第2上下可動体37・39は後述する同期上下駆動手段49により同期回転する第1及び第2上下送りねじ45・47により昇降される。
【0019】
上記取付けステー17・19には第1及び第2水平フレーム13・15の水平方向長さに応じた長さで、水平方向に延出する同期上下駆動手段49の収容ケース50が固定される。該収容ケース50の上面には上記第1及び第2上下送りねじ45・47の軸端部に応じた位置にて水平方向へ所定幅で延出する長孔50aが形成され、該長孔50aを介して第1及び第2回転体41・43が収容ケース50内に収容される。
【0020】
また、上記第1及び第2上下可動体37・39の上部には水平側方へ延出するアーム部37a・39aがそれぞれ設けられ、各アーム部37a・39aには支持されるワーク51下面の支持個所にそれぞれ設けられた突部(図示せず)を把持したり、吸着したり又は当接して支持するワーク支持部材53・55がそれぞれ設けられる。
【0021】
上記ワーク支持部材53・55は、例えばアーム部37a・39aの先端部に側面が上開放コ字形の取付けフレームを取付け、該取付けフレームの一方側壁を押当て部とすると共に該押当て部に相対するロッドの先端部に押圧部が設けられたエアーシリンダ等の作動部材を取付け、後述するワーク51の下面における支持個所に予め形成された突片を挟持して保持する構成又はアーム部37a・39aの先端部に摩擦係数が高い当接部材(いずれも図示せず。)を取付け、ワーク51の下面における支持個所に当接して支持する構成の何れであってもよい。
【0022】
上記本体フレーム3の後方には本体フレーム3の中間部が水平方向外側へそれぞれ延出する第3及び第4水平フレーム57・59が設けられ、各第3及び第4水平フレーム57・59には第3及び第4水平可動体61・63が水平方向へ移動可能に支持される。各第3及び第4水平可動体61・63には水平方向に軸線を有し、軸両端部が上記第3及び第4水平フレーム57・59にそれぞれ軸支された第3及び第4水平送りねじ69・71がそれぞれのナット(図示せず)に噛合わされる。
【0023】
第3及び第4水平送りねじ69・71の各一方軸端部はサーボモータ等の数値制御可能な第4及び第5電動モータ65・67にそれぞれ連結され、第4及び第5電動モータ65・67の駆動に伴って回転する第3及び第4水平送りねじ69・71により第3及び第4水平可動体61・63が水平方向へそれぞれ移動される。
【0024】
図示する左方の第3水平可動体61には前後方向へ延出する前後フレーム73が設けられ、該前後フレーム73には前後可動体75が前後方向へ移動可能に支持される。該前後走行体75は前後方向に軸線を有し、軸両端部が前後フレーム73に軸支された第2前後送りねじ79がナット(図示せず)に噛合わされる。第2前後送りねじ79の一方軸端部にはサーボモータ等の数値制御可能な第6電動モータ77が連結され、第6電動モータ77の駆動に伴って回転する第2前後送りねじ79の回転により前後可動体75が前後方向へ移動される。
【0025】
前後走行体75における起立部75aの先端部(上端部)にはワーク51下面の支持個所にそれぞれ設けられた突部(図示せず)を把持したり、吸着したり又は当接して支持するワーク支持部材81が設けられる。該ワーク支持部材81は上記したワーク支持部材53・55と同様の構成とすればよい。
【0026】
また、図示する右方の第4水平可動体63には上下フレーム83が設けられ、該上下フレーム83には昇降体85が昇降可能に支持される。該昇降体85には上下方向に軸線を有し、軸両端部が上下フレーム83に軸支された第3上下送りねじ89がナット(図示せず)に噛合わされる。第3上下送りねじ89の一方軸端部にはサーボモータ等の数値制御可能な第7電動モータ87が連結され、第7電動モータ87の駆動に伴って回転する第3上下送りねじ89の回転により昇降体85が昇降される。
【0027】
上記昇降体85の上部にはワーク51下面の支持個所にそれぞれ設けられた突部(図示せず)を把持したり、吸着したり又は当接して支持するワーク支持部材91が設けられる。該ワーク支持部材91は上記したワーク支持部材53・55と同様の構成とすればよい。
【0028】
上記同期上下駆動手段49は収容ケース50の水平方向中間部に固定されたサーボモータ等の数値制御可能な第8電動モータ93と、該第8電動モータ93の出力軸と第1及び第2上下送りねじ45・47の間に配置され、各端部が支持軸95により揺動可能に軸支された複数個のリンクアーム97と、上記第8電動モータ93の出力軸に固定された歯付きプーリ等の駆動回転体99と、上記支持軸95の軸端部にそれぞれ固定される歯付きプーリ等の従動回転体101と、上記駆動回転体99を中心に隣接する従動回転体101及び従動回転体101と第1及び第2回転体41・43にそれぞれ掛渡される歯付きベルト等の駆動力伝達部材103から構成される。
【0029】
なお、駆動回転体99及びこれに隣接する従動回転体101の間には1個の駆動力伝達部材103が一体に掛渡されて駆動力を伝達するように構成される。このため、第8電動モータ93の出力軸に支持された隣接するリンクアーム97が互いに近づく方向へ揺動された際に、駆動回転体99に対する駆動力伝達部材103の噛合いが解除されて外れる恐れが生じる。これを防止するため、駆動力伝達部材103が掛渡された駆動回転体99に対して押圧回転体105を圧接して駆動力回転体99に掛渡された駆動力伝達部材103が外れるのを規制する。
【0030】
なお、上記したワーク支持装置1の近傍又は上方には該ワーク支持装置1にセットされたワーク51に対して穴開け加工する穴開け加工装置(図示せず)やワーク51周縁のバリを切断除去するバリ取り装置(図示せず)が配置される。
【0031】
次に、上記のように構成されたワーク支持装置1によるワーク51の支持作用に付いて説明すると、ワーク51下面に予め設定された支持個所の左右幅、前後幅や支持高さに応じて各ワーク支持部材53・55、81・91の相互間隔及び高さを以下のように調整する。
【0032】
先ず、前方に位置するワーク支持部材53・55と後方に位置するワーク支持部材81・91の前後幅(相互間隔)を調整するには、上記前後幅に応じて駆動制御される第1電動モータ9により第1前後送りねじ11を回転して基台7を前方または後方へ移動し、ワーク51前方における支持前方位置に対して対応するワーク支持部材53・55を、またワーク51後方における支持後方位置に対して対応するワーク支持部材81・91をそれぞれ一致させる。(
図5参照)
【0033】
また、上記状態にて後方に位置する一方のワーク支持部材81と他方のワーク支持部材91の前後間隔を調整するには、上記前後間隔に応じて駆動制御される第6電動モータ77により第2前後送りねじ79を回転して前後可動体75を前方または後方へ移動し、ワーク51後方における図示する左側の支持後方位置に対して対応するワーク支持部材81を一致させる。(
図6参照)
【0034】
次に、前方に位置するワーク支持部材53・55の左右方向幅をそれぞれ調整するには、先ず、前方における図示する左方のワーク支持部材53の図示する左方位置に応じた駆動量で第2電動モータ25を駆動制御して第1水平可動体を図示する左方へ移動してワーク支持部材53をワーク51前方における図示する左側の所定支持位置に一致させる。同様に前方における図示する右方のワーク支持部材55の図示する右方位置に応じた駆動量で第3電動モータ27を駆動制御して第2水平可動体を図示する右方へ移動してワーク支持部材55をワーク51前方における図示する右側の所定支持位置に一致させる。(
図7参照)
【0035】
上記のように前方に位置するワーク支持部材53・55の左右方向位置を調整する際、収容ケース50内に収容された同期上下駆動手段49の各リンクアーム97が回動軸95を中心に互いに揺動し、第1及び第2水平可動体の移動を可能にさせる。
【0036】
また、後方に位置するワーク支持部材81・91の左右方向幅をそれぞれ調整するには、先ず、後方における図示する左方のワーク支持部材81の図示する左方位置に応じた駆動量で第4電動モータ65を駆動制御して第3水平可動体61を図示する左方へ移動してワーク支持部材81をワーク51後方における図示する左側の所定支持位置に一致させる。同様に後方における図示する右方のワーク支持部材91の図示する右方位置に応じた駆動量で第5電動モータ67を駆動制御して第4水平可動体63を図示する右方へ移動してワーク支持部材91をワーク51後方における図示する右側の所定支持位置に一致させる。(
図8参照)
【0037】
次に、後方右側に位置するワーク支持部材91の高さ位置を調整するには、該ワーク支持部材91の高さ位置に応じた駆動量で第7電動モータ87を駆動制御して昇降体85を上下方向へ移動し、該ワーク支持部材91をワーク51後方における図示する右側の所定高さ位置に一致させる。(
図9参照)
【0038】
なお、本例においては、後方における図示する左方のワーク支持部材81は、上下方向に対して昇降不能で一定の高さに位置するように構成され、該ワーク支持部材81の支持高さがワーク51支持の高さ原点になるように設定される。
【0039】
次に、前方に位置するワーク支持部材53・55が左右方向の任意位置に移動した状態(
図10はワーク支持部材53・55が互いに離間した位置における高さ調整作用を、また
図11はワーク支持部材53・55が互いに近づいた位置における高さ調整作用を示す。)の高さ位置調整作用に付いて説明する。これらワーク支持部材53・55はワーク51に対する支持高さ位置が同一であるため、同期して昇降させる必要がある。
【0040】
本例においては、ワーク51に対するワーク支持部材53・55の支持高さ位置に応じた駆動量で第8電動モータ93を回転駆動すると、該第8電動モータ93による回転駆動力が駆動回転体99の図示する左側及び右側にそれぞれ位置する駆動力伝達部材103及び従動回転体101を介して第1及び第2回転体41・43へそれぞれ伝達され、対応する第1及び第2上下送りねじ45・47を同期した回転量で回転させる。
【0041】
上記したワーク支持部材53・55の支持高さ位置を調整する際に、第1及び第2水平フレーム13・15の各原点(ワーク支持装置1の機械中心)から第1水平可動体と第2水平可動体の位置がそれぞれ異なる場合には、駆動回転体66から図示左方に配置されるリンクアーム97相互が第1水平可動体の移動量に応じた揺動角度に、駆動回転体66から図示右方に配置されるリンクアーム97相互が第2水平可動体の移動量に応じた揺動角度になった状態で従動回転体101及び駆動力伝達部材103を介して第8電動モータ93の回転駆動力をそれぞれの第1及び第2回転体41・43へ伝達して第1及び第2上下送りねじ45・47を同期回転してそれぞれのワーク支持部材53・55を等しい移動量で昇降させる。これにより前方に位置する左右一対のワーク支持部材53・55は、常に同一の高さになるように設定される。(
図10及び
図11参照)
【0042】
本実施例は、前方に位置するワーク支持部材53・55と後方に位置するワーク支持部材81・91を前後方向及び水平方向、上下方向へ移動してワーク51の大きさに応じて予め設けられた支持個所に一致させてワーク51を安定した状態で支持することができ、該ワーク51に対して位置ずれが発生することなく所定の下降や処理を行うことができる。
【0043】
また、前方に位置するワーク支持部材53・55にあっては、単一の第8電動モータ93により対応する第1及び第2上下送りねじ45・47を同期回転して常に同一の高さになるように移動させることができると共に電動モータ数を低減して低コスト化することができる。
【0044】
上記説明は、第8電動モータ93の出力軸に1個の駆動回転体99を取付け、該駆動回転体99と図示する左方及び右方に隣設されたリンクアーム97に設けられた従動回転体101に1本の駆動力伝達部材103を掛渡すと共に該駆動力伝達部材103が掛渡された駆動力回転体99に押圧回転体105を圧接して設けて駆動回転体99から駆動力伝達部材103が外れるのを規制する構成としたが、上記出力軸に2個の駆動回転体99を同軸に取付け、一方の駆動回転体99と図示する左方に隣設されたリンクアーム97の従動回転体101に駆動力伝達部材103を、また他方の駆動回転体99と図示する右方に隣設されたリンクアーム97の従動回転体101に駆動力伝達部材103をそれぞれ掛渡して第1及び第2上下送りねじ45・47を同期回転する構成としてもよい。