(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794711
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】デジタルホワイトボードシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20130101AFI20150928BHJP
G06F 3/0485 20130101ALI20150928BHJP
G09G 5/34 20060101ALI20150928BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20150928BHJP
G09G 5/14 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
G06F3/048 620
G06F3/048 656D
G09G5/34 C
G09G5/00 510H
G09G5/14 A
G09G5/00 555D
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-516918(P2013-516918)
(86)(22)【出願日】2011年6月30日
(65)【公表番号】特表2013-538381(P2013-538381A)
(43)【公表日】2013年10月10日
(86)【国際出願番号】BR2011000199
(87)【国際公開番号】WO2012003559
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年6月30日
(31)【優先権主張番号】13/156,023
(32)【優先日】2011年6月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/398,892
(32)【優先日】2010年7月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512333906
【氏名又は名称】マルセロ アマラル レゼンデ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルセロ アマラル レゼンデ
【審査官】
若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−198517(JP,A)
【文献】
特開2003−241872(JP,A)
【文献】
特開2002−118738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/0488
G06F 3/0485
G09G 5/00
G09G 5/14
G09G 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが好きな位置でものを書くことができるデジタルホワイトボードシステムであって、
コンピュータに接続されたプロジェクタからホワイトボードへ画像を投影することで表示され、かつ、動作中に複数の仮想パネルに分割されるデジタルホワイトボードを備え、
前記デジタルホワイトボードが、ツールおよびメニューバーを配置し、
前記デジタルホワイトボードが、ユーザが連続スクロールバーをドラッグすることで仮想パネルを上または下に動かすことができるように構成され、
前記仮想パネルが、前記スクロールバーがドラッグされる方向と同じ方向に動き、
前記デジタルホワイトボードが、前記ツールの一つであるアイコンが作動されることで、任意の仮想パネルに仮想コンピュータのデスクトップ画面を表示し、
前記デジタルホワイトボード側の操作で前記仮想コンピュータを操作できるとともに、前記デジタルホワイトボードにおいて前記仮想コンピュータのデスクトップ画面以外の領域が標準的なホワイトボードとして機能する、デジタルホワイトボードシステム。
【請求項2】
前記スクロールバーが、前記仮想パネルを長方形に分割する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記スクロールバーが、前記仮想パネルを横方向に動かす、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
絶対ポインタ状態としての動作と、同様の相対ポインタ状態としても動作とを切り替えるマウスを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記仮想コンピュータのデスクトップ画面は、前記デジタルホワイトボード上でコンピュータアプリケーションのように移動またはサイズ変更をすることができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記仮想コンピュータのデスクトップ画面に表示された描画オブジェクトをコピーして、該コピーした描画オブジェクトを、前記デジタルホワイトボードにおいて前記仮想コンピュータのデスクトップ画面以外の領域にペーストすることができる、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2010年7月6日出願の米国仮特許出願第61/398892号の優先日の利益を請求し、そのすべての内容がここに参考文献として援用される。
[分野]
本開示は、ディスプレイに関し、特に、ホワイトボードに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルホワイトボード(インタラクティブホワイトボードと呼ばれることもある)は大型のコンピュータ画面または投影画像であり、教師は、指でゼスチャーしたり、投影された画像または画面上の特別なスタイラスまたは任意のオブジェクトを動かしたりすることでマウス操作をシミュレートすることができる。一般に、これら画像および画面はきわめて大きい。例えば、デジタルホワイトボードはおよそ高さが1.2メートル、幅が1.6メートルであり、およそ80インチ画面となる。場合によっては、デジタルホワイトボードはさらに大きいことがある。
【0003】
デジタルホワイトボードは教育分野でよく用いられ、黒板や従来型のホワイトボードがデジタルホワイトボードに置き換えられている。デジタルホワイトボードは教師の間で最も重要なツールとなっている。
【0004】
ホワイトボードの大きさに限りがあるせいで問題が生じている。通常、教師は半時間の授業に最低でも4メートル長のボードを必要とする。授業中、教師はボードいっぱいに注意書きやメモを記入することができる。
【0005】
ほとんどのコンピュータアプリケーションがディスプレイ上部の横方向にツールを配置するため、従来のデジタルホワイトボードの大きさには限りがある。従来のコンピュータディスプレイではアクセス可能であるが、これらルーツは教師の手が届かないところにある。このため、デジタルホワイトボードの高さは、例えば1.90メートル未満に制限される。
【0006】
教師の手の届く範囲例である1.9メートル前後の範囲内にその端を収めるには、上述の寸法のデジタルホワイトボードは床から70cmのところに置くことになる。しかし、この配置は下記の事情により困難である。
【0007】
第1に、ほとんどのホワイトボードが低すぎてクラス全体に見えなくなる。
【0008】
第2に、多くの教師は文字を書くときにプロジェクタの前に立つため、影ができる。この結果、教師は自分が書く文字が見えなくなるかも知れない。
【0009】
第3に、教師が生徒に顔を向けたとき、プロジェクタ光に照らされて不快感を感じるかも知れない。
【0010】
最後に、多くの教師はホワイトボードの限られた部分、例えば、目の高さにおける20−30cmの狭い幅に文字を書く方が心地よいと感じるかも知れない。上述の寸法のデジタルホワイトボードでは、教師にとって文字を書き易いホワイトボードの領域はたった0.5平方メートルしかない。多くのケースでは、教師が業務をこなすのにこれは不十分である。
【0011】
図1に示したように、ホワイトボードを上げれば上記の難点はある程度緩和される。しかし、ホワイトボードを上げると、教師がその上部に文字を書くことが困難となる。レールに沿って上下動可能な複数のパネルを設けることでこの難点は回避可能である。しかし、これは費用がかかる上、故障の原因となる。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、デジタルホワイトボードが標準的なホワイトボードにより近く模擬することができ、かつ、完全に機能的な仮想パーソナルコンピュータのインタフェースが付加された、デジタルホワイトボードのインタフェースを提供する。当該パーソナルコンピュータのインタフェースは、当該仮想ホワイトボード上でコンピュータアプリケーションのように移動またはサイズ変更をすることができる。
【0013】
さらに、絶対ポインタ状態または相対ポインタ状態として動作するマウスポインタを使用することができる。マウスボタンまたは仮想ボタンのクリック、例えば、アイコンのクリックまたは特殊なゼスチャーによってある状態から別の状態へ変更することができる。このようなマウスの性能は、教師の手が届かないところにアイコンがあるような大きなデジタルホワイトボードにとって有用である。
【0014】
本発明の一局面に従ったシステムは、ユーザが好きな位置でものを書くことができるデジタルホワイトボードシステムである。かかるシステムは、コンピュータと協働し、動作中に複数の仮想パネルに分割されるデジタルホワイトボードを備え、前記デジタルホワイトボードが、ツールおよびメニューバーを配置し、前記デジタルホワイトボードが、ユーザが連続スクロールバーをドラッグすることで仮想パネルを上または下に動かすことができるように構成され、前記仮想パネルが、前記スクロールバーがドラッグされる方向と同じ方向に動く。
【0015】
本発明の実施形態に係る上記システムでは、前記スクロールバーが、前記仮想パネルを長方形に分割する。本発明の実施形態に係る上記システムでは、前記スクロールバーが、前記仮想パネルを横方向に動かす。本発明の実施形態に係る上記システムでは、前記デジタルホワイトボードが、コンピュータの表示のコピーが配置されるウィンドウを表示する。
【0016】
本発明の実施形態に係る上記システムは、絶対ポインタ状態としての動作と、同様の相対ポインタ状態としても動作とを切り替えるマウスを備えている。
【0017】
本発明のこれらおよびその他の特徴は以下の記載および添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来のホワイトボードと本開示に係る改良されたホワイトボードシステムとを比較した図である。
【
図2】スクロールバーのドラッグ方向と同じ方向への仮想パネルの動かし方を示す図である。
【
図3】第2の実施形態に係る仮想パネルを示す図である。
【
図4】マウスポインタとしての操作とペンとしての操作との切り替えを示す図である。
【
図7】いくつかのデジタルホワイトボードにおけるコンピュータインタフェースの位置を示す図である。
【
図8】壁に固定されたデジタルホワイトボードを示す図である。
【
図9】デジタルホワイトボードへの視線を示す図である。
【
図10】別のデジタルホワイトボードを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明はコンピュータと協働するデジタルホワイトボードに関する。デジタルホワイトボードは教師の手が届く範囲内にツールおよびメニューバーを配置する。これらツールは画面の下部、側部、または画面上の浮動的に配置することができる。
【0020】
多くの従来のホワイトボードはレールまたはトラックに沿って上下動する複数のパネルを有する点に特徴があった。本開示に係るデジタルホワイトボードはそのようなホワイトボードをエミュレートする。
【0021】
教師は、デジタルホワイトボードの仮想パネルを上または下に動かして、文字を書くのに好ましい高さに仮想パネルを保持することができる。これは、従来のスクロースバーの動作の仕方とは逆の動作をする連続スクロールバーをドラッグすることで行うことができる。特に、
図2に示したように、仮想パネルは、スクロールバーがドラッグされる方向と同じ方向に動く。スクロールバー自体はホワイトボード上の別の位置へ動かすことができるため、教師はスクロールバーを人間工学的に好ましい位置に配置することができる。
【0022】
縦スクロールバーの代わりまたは追加として、デジタルホワイトボードは横スクロールバーを表示することもできる。横スクロールバーにより教師はボードを整理することができる。適当な所定のゼスチャーを用いて、教師はデジタルホワイトボードの任意の位置にスクロールバーを配置することができる。これにより、教師は、現実の可動式ホワイトボードにおけるパネルを動かすのと同じ方向に仮想パネルを動かすことができる。
【0023】
2.4×1.6メートルのデジタルホワイトボードにおいて、スクロールバーで1.2×0.8メートルの長方形にパネルを分割してもよい。縦スクロールバーをドラッグすることで、教師は仮想パネルを最適な高さに配置することができる。もし横スクロールが利用可能ならば、横スクロールバーをドラッグすることで、教師はパネルの水平位置を調整することができる。
【0024】
一般に、デジタルホワイトボードの上端の高さは床から2.2メートル以上である。このため、ホワイトボード上部の横方向に延びるメニューに手が届かないため、教師は、投影画像のような従来の方法でホワイトボードに表示されたほとんどのコンピュータアプリケーションを操作できないであろう。
【0025】
上記問題を解決するために、デジタルホワイトボード上の標準的なポインタのような絶対ポインタと、コンピュータ上の標準的なポインタのような相対ポインタとを切り替え可能なマウスが提供され得る。これら二つの動作モードを切り替えるために、デジタルホワイトボード上のユーザインタフェースとしてメニューバー、ツールバー、またはそれ以外のデジタルホワイトボードのどこにでもアイコンが提供される。教師がこのアイコンを作動させると、マウスはあるモードから別のモードへと切り替わる。この切り替え機能はポインタ上のボタンによっても実現することができる。
【0026】
絶対ポインタとして使用する場合、教師は、例えば、容易にメモ書きすることができたり、または、そばにあるツールを制御することができる。一方、相対ポインタとして使用する場合、教師は、ポインタによって、まさに従来のコンピュータインタフェースであるかのように仮想マウスパッドのそばのマウスを動かすだけで、通常は手の届かないアイコンに手が届く。いずれかのケースにおいて、ゼスチャー、例えば、デジタルホワイトボードを同じ方向に二度タップすることで、マウスダウン状態にすることができる。
【0027】
教師が必要な範囲に手が届くようにする別の方法として、押されたとき新たなウインドウを開くアイコンが提供される。この新ウィンドウはホワイトボードのインタフェースを持たないコンピュータ画面のコピーを表示する。教師は仮想コンピュータ画面およびそのすべての機能にアクセスすることができる。これには、この仮想画面の周囲でのマウスポインタの移動およびコンピュータの機能性の制御が含まれる。
【0028】
上記の仮想コンピュータ画面は、デジタルホワイトボードの周囲で動かすことも、他のコンピュータのウィンドウとしてサイズ変更することもできる。したがって、教師は、仮想コンピュータ画面の近くにメモ書きをしながら、デジタルホワイトボード上でビデオを再生したり、プレゼンテーションをしたりすることができる。例えば、
図5に示したように、教師はこの仮想コンピュータから地図をコピーしてそれをデジタルホワイトボードにペーストすることができる。
【0029】
図6に示したように、デュアル画面では、デジタルホワイトボードのアプリケーションが第2の画面に現れ、マウス位置を制御するための不可視レイヤーを持つメイン画面のコピーである仮想コンピュータが第1の画面に現れる。デジタルホワイトボードシステムでは上記の両手段が利用可能であり、教師は好みの手段を選択することができる。
【0030】
例として、
図7の(1)は2.5×1.6メートルのデジタルホワイトボード用に提案システムを示す。スクロールバーは、ホワイトボードを二つの0.8×2.5メートルの長方形パネルに分割する垂直線上に配置されている。メニューまたはツールバーのコピーは右側に、各長方形パネルに1個ずつ配置されている。
【0031】
図7の(2)では、仮想コンピュータの画面がデジタルホワイトボードに追加されている。
図7の(3)、(4)、および(5)は、パネルがどのように上または下に動くことができるのかを示している。
【0032】
図8は、教室の壁へのデジタルホワイトボードの固定の仕方を示す。外枠はホワイトボードの境界である。内枠はデジタルホワイトボードへの投影画像の境界である。当該境界の高さは投影角度を変えることで調整することができる。
【0033】
多くの場合、デジタルホワイトボードの主要コストはボード自体の裏側の電子回路のコストである。したがって、このようなボードのコストはその領域に比例する。本開示に係るシステムを用いることでこのコストを低減することができる。特に、教師が絶対位置のマウスポインタを使用する必要がなく、また、ボード全体に文字を書くことができず、また、デジタルホワイトボードの多くの部分が教師の手が届く範囲から遠く離れているため、ホワイトボードにおいて手が届かない領域の裏側には電子回路を設ける必要がない。このため、コストを増加させることなく、より大きなデジタルホワイトボードを製造することができる。
【0034】
図9は、本開示に係るデジタルホワイトボードシステムで正面投影することでデジタルホワイトボード上の教師の影の領域がどのように減少することかを示す。
【0035】
図10は、メニューおよびツールバーをより詳細に表したデジタルホワイトボードシステムのより詳細な図である。
【0036】
本発明はその精神または基本特性から逸脱することなくほかの特別な形態で実施することができる。上記実施形態はすべての点で説明を目的としたものであり、本発明を限定するものではない。それゆえ、本発明の範囲は上記記載よりもむしろ添付の特許請求の範囲によって示される。請求項の均等の目的および範囲内のすべての変更は本発明の範囲に含まれる。