【実施例】
【0053】
(実施例1)
溶解剤に応じた、上皮細胞トランスウエルアッセイを用いたインスリンの取込み及び輸送のin vitroでの比較
材料及び方法
口腔上皮細胞を、
図2に示すように複数(4〜5層)の細胞層が形成されるまでトランスウエルインサートで2週間にわたり増殖させた。適切な溶液をドナーウエルに加え、10分後にレシーバーウエルから試料を除去することにより、輸送試験を行った。溶液は、水、+/−EDTA(0.45mg/ml)、NaCl(0.85重量/容積%)、1mg/ml インスリン及びpHを3.8に維持するために十分な量の酸からなっていた。レシーバーウエル中のインスリンの量をELISAを用いてアッセイした。
【0054】
結果
図3a及び3bに示す結果は、いくつかの酸が上皮細胞を経るインスリンの取込み及び輸送を増大させるのにより有効であることを実証している。これらは、容易に試験し、HClを用いて得られた結果と比較することができ、それにより、任意の酸を試験し、溶解剤(すなわち、HClと比較して取込み及び輸送を増大させる)であるか、否かを決定することができる基準を得ることができる。
【0055】
3.2〜3.8のpH範囲を有する酸を用いて得られた結果を
図3aでグループ化する。より強い酸(pH<3)を
図3bでグループ化する。
【0056】
結果から、同じ濃度のキレート剤を用いての酸の選択が細胞培養物を経るインスリンの輸送に実質的な影響を有することが確認される。好ましい酸は、クエン酸である。
【0057】
(実施例2)
溶解剤の濃度に応じた、上皮細胞トランスウエルアッセイを用いたインスリンの取込み及び輸送のin vitroでの比較
材料及び方法
実施例1の材料及び方法を異なる濃度の試薬で用いた。試験において、等モル濃度の酸及びキレート剤を加えた。溶液は、水、+/−EDTA(0.56mg/ml)、NaCl(0.85重量/容積%)、1mg/mL インスリン及び酸:アスパラギン酸(0.20mg/mL)、グルタミン酸(0.22mg/mL)又はクエン酸(0.20mg/mL)からなっていた。クエン酸は、キレート剤の存在下及び不存在下で1.8mg/mLというより高い濃度で試験した。このデータは、細胞ドナーチャンバーの投与後の2つの時間、10及び30分について示す。
【0058】
結果
アスパラギン酸(0.20mg/mL)、グルタミン酸(0.22mg/mL)又はクエン酸(0.29mg/mL)を用いて得られた結果を
図4aに示す。この場合、キレート剤の添加に関して有意差は認められなかった。
【0059】
これに反して、1.80mg/mLでの、より高い濃度のクエン酸を用いた試験では、その溶液へのキレート剤の添加による有意な増加が示されている(t検定比較、片側)。
図4bを参照のこと。これは、取込み及び輸送を最適化するうえで両成分の濃度が重要であることを実証するものである。
【0060】
(実施例3)
キレート剤に応じた、上皮細胞トランスウエルアッセイを用いたインスリンの取込み及び輸送のin vitroでの比較
材料及び方法
口腔上皮細胞を、複数(4〜5層)の細胞層が形成されるまでトランスウエルインサートで2週間にわたり増殖させた。適切な溶液をドナーウエルに加え、10、20及び30分後にレシーバーウエルから試料を除去することにより、輸送試験を行った。
【0061】
溶液は、トランスウエル実験の直前に次の方法で調製した:1.8mg/mlのクエン酸を0.85重量/容積%の食塩水に溶解し、次いで、次のキレート剤の1つをこの溶液に、示す濃度で加えた:1.80mg/mlのEDTA、1.84mg/mlのEGTA、0.88mg/mlのDMSA及び1.42mg/mlのTSC。CDTAはその液体形態で用いたため、クエン酸をCDTAに直接加えた。これらの場合のそれぞれにおいて、キレート剤の濃度は、4.84×10
−3モルで一定であった。
【0062】
インスリンを次に1mg/mlで加え、必要な場合、pHを3.8に再調整した。pH調整用にHClのみを用いた試料の対照セットを比較のために含めた。0.2mlの各溶液をドナーウエルに加えることにより、トランスウエル実験を行った。
【0063】
レシーバーウエル中のインスリンの量をELISAを用いてアッセイした。
【0064】
結果
30分のインスリンデータのグラフを
図5に示す。TSC(クエン酸三ナトリウム)を用いて得られた結果と比較したときを除いて、クエン酸又はグルタミン酸を用いた場合に細胞を経て送達された有意により多くのインスリンが存在した。TSCの場合、pH調整のためにHClを用いた。pHの調整によりクエン酸が発生したが、これにより、これらの結果が説明される。
【0065】
これらの結果により実証されたように、取込み及び輸送の増大は、キレート剤の選択に依存する。
【0066】
(実施例4)
ブタにおけるクエン酸をベースとするインスリン製剤中のキレート剤の前臨床評価
材料及び方法
公表された試験、A. Plum、H. Agerso及びL. Andersen、Pharmacokinetics of the rapid−acting insulin analog,insulin aspart,in rats,dogs,and pigs,and pharmacodynamics of insulin aspart in pigs.Drug Metab. Dispos.,28巻(2号)、155〜60頁(2000年)と調和して、消失の遅延は注射部位からの吸収がより遅いことを意味するので、消失半減期がインスリンの吸収の有効な決定因子であると決定した。したがって、ミニブタ試験の非コンパートメント解析を行って、PK及びPDパラメーター、特に消失半減期を調査した。
【0067】
糖尿病ブタにインスリンの4つの製剤のうちの1つを皮下注射した。3つの製剤は、キレート剤(EDTA、EGTA又はTSC)を含んでおり、第4の対照は、レギュラーヒトインスリンRHIのみを含み、キレート剤を含んでいなかった。クエン酸(1.8mg/ml)をすべてのキレート剤製剤における酸として用い、NaCl及びm−クレゾールをすべての場合に等張性及び製剤の無菌性のために加えた。キレート剤は、すべて4.84×10
−3モルという同じモル濃度であった。
【0068】
ブタには、一夜絶食させ、EDTAを含有する0.125U/kgヒトインスリン(n=3)又はEGTA若しくはTSCを含有する0.08U/kgヒトインスリン(n=2)の用量を皮下投与した。より高用量では極度の血糖の低下のため、用量を低くした。血糖及びインスリンレベルを投薬後8時間までのすべての時点で測定した。
【0069】
薬物動態モデリングは、均一重み付きの非コンパートメントモデルを用いてWin Nonlinを用いて行われた。消失半減期を以下の表1で比較した。
【0070】
表1:キレート剤に応じたブタにおける血糖の比較
【0071】
【表1】
ブタにおけるこのパイロット試験におけるレギュラーヒトインスリンの消失半減期(120分)は、文献にみられるものと一致しており、データをバリデートするためのテストポイントとして用いた。これは静脈投与後よりかなり長いので、注射後の注射部位からの持続的な遅い吸収があることがこれによって確認される。クエン酸製剤中のキレート剤は、このパラメーターの低下を明らかに示しており、これらの3つのキレート剤が、程度は異なるが、レギュラーヒトインスリンの吸収を増大させるのに有効であることが実証されている。
【0072】
(実施例5)
ヒト臨床試験におけるEDTAクエン酸インスリン製剤とレギュラーヒトインスリンとの比較
材料及び方法
本試験の目的は、クエン酸及びEDTAと組み合わせてインスリンを含有する試験製剤(「CE25−4」)の薬力学的(PD)特性を評価することであった。5回の正常血糖グルコースクランプ(Biostator;標的血糖90mg/dl)を10例の絶食健常志願者(平均年齢40歳(年齢範囲20〜62歳);BMI22.5(19.2〜24.9)kg/m
2)において実施した。固定された治療順序でのクロスオーバーデザインを用いて、12IUのレギュラーインスリン及び12IUのCEインスリン製剤を腹部に皮下注射した。
【0073】
結果
結果を
図6及び7に示す。CE25−4のSC注射は、グルコース消費レギュラーヒトインスリンの有意により速やかな上昇をもたらした時間−作用プロファイルをもたらした(
図6)。平均薬物動態データは、PD結果を確認するものとなっている(
図7)。
【0074】
本試験は、レギュラーヒトインスリンへのクエン酸及びEDTAの添加が、レギュラーインスリン単独と比較して最高濃度までのより速い到達時間(
図7)及び作用のより速やかな発現(
図6)によって実証されるように、インスリンの吸収速度を改善することを示している。
【0075】
(実施例6)
1型糖尿病患者における食事の直前に皮下注射した場合のCEインスリン、インスリンリプロ及びレギュラーヒトインスリンの薬物動態及び薬力学
背景及び目的:
本試験の目的は、1型糖尿病患者における標準食後の食後血糖(BG)の逸脱に対するCE25−4、RHI及びILの作用を測定することであった。
【0076】
材料及び方法
9例の患者(男性5例及び女性4例;年齢40±10歳、BMI24.0±2.0kg/m
2)のBGを、食事摂取前のグルコースクランプにより安定化させた(標的BG120mg/dl)。グルコースの注入は、標準食及びインスリン投薬の前に止めた。固定された治療順序でのクロスオーバー試験デザインを用いて、VIAject(商標)(CE25−4)、IL又はRHIの同一患者固有の用量を食事の直前にs.c.注射した。その後、食後血糖逸脱を8時間にわたり連続的にモニターし、BGが60mg/dl未満であった場合にはグルコース注入を再開した。試験中、血漿インスリンレベルを測定した。
【0077】
結果
平均値±標準偏差として表2に示す結果は、食事、レギュラーヒトインスリン、インスリン+クエン酸及びEDTA(CE)並びにリスプロ後の2型糖尿病患者への皮下注射後のインスリンTmaxを比較したものである。表3における結果は、同じ被験者の血糖を比較したものである。
【0078】
表2:インスリンTmax(分)の比較
【0079】
【表2】
*p<.001、対応のあるt検定
表3:インスリン薬物動態の比較 血糖
【0080】
【表3】
*p<0.05、対応のあるt検定
注射後3〜8時間の低血糖事象の総数(グルコース注入を必要とする時間)は、RHI製剤で13、IL製剤で11、CE25−4製剤で4であった。この時間中の低血糖を予防するために注入したグルコースの平均総量は、CE25−4を用いた場合よりRHIでは6倍高く、ILでは2倍多かった。群ごとのすべての患者について合計した正常血糖標的ゾーンの上及び下の面積(140mg/dLを上回る及び80mg/dLを下回るBG AUC)は、RHIで81,895mg/dL*分、ILで57,423mg/dL*分、CE25−4で38,740mg/dL*分であった。平均血糖値を
図8に示す。
【0081】
CE25−4は、標準食後の血糖の上昇を逆転させるのが最も速かった。CE25−4で治療した患者は、低い食後血糖逸脱を経験した。対照的に、RHIは、そのより遅い吸収速度と一致する、最も高い血糖逸脱を有した。血糖値の変動(最大値と最小値との間の平均値の差)は、CE25−4でILより有意に小さく、これらの1型糖尿病患者におけるCE25−4のより良好な血糖調節が実証されている。
【0082】
(実施例7)
光散乱によるインスリンのサイズの特徴づけ:
CE100−4は、患者において作用の非常に速やかな発現を有する。この速やかな吸収プロファイルの基礎を理解するために、CE100−4のin vitro実験を他の市販の組換えヒトインスリン及びインスリンの速効型類似体と比較して実施した。光散乱法を最初の製品並びに合成細胞外液緩衝液による希釈系列に適用した。結果から、レギュラー組換えインスリン及び速効型類似体と異なり、CE100−4が1:3希釈後にほぼ二量体のサイズにサイズを減少することが示される。これは、その速やかな吸収プロファイルと一致している。
【0083】
材料及び方法
この速やかな作用の発現のメカニズムを解明するために、皮下注射後に自然に起こることをシミュレートする手段としての合成細胞外液緩衝液による伝統的な製剤の希釈の効果を試験するためのin vitro実験を設計した。光散乱法を用いて、平均サイズ分布(nm)を評価した。これらのin vitro実験での比較のために用いた市販の速効型又は食事インスリン製剤は、IL、IA、RHI及びCE100−4であった。サイズの比較のために、単量体(pH2.0)及び六量体亜鉛インスリン(pH7)の標準調製物を基準のために用いた。
【0084】
市販のインスリンをZetasizer nano(Malvern Inst、UK)を用いてサイズについて特徴づけした。1mLの試料をガラスキュベットに入れ、分析して溶解したインスリンの平均体積平均サイズ分布(nm)を測定した。3つの試料(各試料を数回測定)の平均値を比較のための基礎として用いた。最初の完全な強度解析の後に、細胞外液の同様なpH及び緩衝能力を有する緩衝液(ECF、0.7mN MgCl
2、1.2mM CaCl
2、0.2mM KCl、0.5mM Na
2SO
4、104mM NaCl、28.3mM NaHCO
3)による1:2〜1:16の希釈系列を実施した。各製剤の単量体/二量体/六量体のサイズ分布を理解するために、市販のインスリン及びCE100−4のそれぞれの平均サイズをすべての希釈度について測定した。
【0085】
インスリン
RHI、IL、IA及びCE100−4
希釈剤
滅菌水中ECF、0.7mM MgCl
2、1.2mM CaCl
2、2mM KH
2PO
4、2mM KCl、0.5mM Na
2SO
4、104mM NaCl、28.3mM NaHCO
3
結果
サイズ測定試験において、未希釈CE100−4は、IL、IA及びRHIより大きい。しかし、1:3の希釈度については、CE100−4の平均サイズは、単量体/二量体のサイズまでの2nmに減少したが、試験した他のインスリンは、約5nmの六量体サイズのままであった。IL、IA及びRHIは別として、CE100−4は、希釈度の増加に伴ってさらに減少した。未希釈RHIは、明らかにより小さいが、一旦、1:1に希釈されたならば5nmより大きなサイズに成長し、1:16の希釈度までこのサイズ範囲のままである。
【0086】
未希釈CE100−4は、最初は試験した他のインスリンより明らかに大きく、これは、表面電荷を遮へいすることにより皮下部位からの吸収速度をさらに増加させる役割を果たし得る、表面に弱く結合しているクエン酸及びEDTAにおそらく起因する。電荷は、吸収の妨げとなり得る。皮下投与の直後に、注射された物質がECFにより希釈されるので、CE100−4は、同じ希釈度の速効型インスリン類似体及びRHIより小さい平均サイズを有する。
【0087】
(実施例8)
インスリンの分析用超遠心分離
材料及び方法
浮力有効モル重量に比例する推定の重量平均沈降係数(Svedbergs 20℃、水 S(20、w))を決定する、分析用超遠心法を用いた一連の実験を開発した。この分析の手順は、光散乱サイズ測定と多少異なっていた。第1に、各試料を、市販製品の希釈剤と組成が同じ希釈剤で希釈する。これを得るために、3kDa MWカットオフを有するCentriprep(登録商標)Ultracel−3膜フィルターユニット(Millipore Inc、MA、USA)を用いてインスリンを希釈剤から分離した。最初の希釈剤を回収し、インスリン含量の存在について分析した。インスリン不含有が確認済みの希釈剤を用いて市販製品を希釈した。
【0088】
これらの最初のデータセットを用いて、安定単一種、又はそれ自体の希釈剤中の六量体、二量体、単量体から変化するもののいずれかとしてのインスリンを特徴づけした。分析用超遠心分離を用いて2セットのデータを得た。第1のセットのデータは、製剤の希釈剤を厳密に希釈することにより得た。市販の製剤の場合、これは、インスリン又は類似体を希釈剤から分離するセンチプレプ(centiprep)チューブにより得た。ろ液をタンパク質含量についてチェックし、確認後のものを第1回の実験における希釈剤に用いた。
【0089】
第2のセットの試料は、希釈剤の代わりにECF緩衝液を置換して調製した。これが有効になるために、最も濃い試料を最初にECFで1:2に希釈した。次いで、ECFを用いてさらなる希釈を行った。CE100−4の場合、ECFによる最初の希釈は、等電点を越えさせて任意の沈殿物を除去することを確実にするために1:4であった。これらの実験は、皮下注射後を模倣することを意図するものであった。
【0090】
標準状態に補正した、各負荷濃度についての重量平均沈降係数について得られた値を下表に示す。速度分析は、Beckman−Coulter XL分析用超遠心分離機により、干渉光学機器を用いて20℃、55,000RPMにおいて実施した。サファイアウインドウを装着したダブルセクター合成バウンダリセルを用いて、試料及び基準メニスカスを一致させた。ローターを真空中20℃で平衡化させ、20℃で約1時間の後、ローターを55,000RPMまで加速した。干渉スキャンを5時間にわたり60秒間隔で得た。
【0091】
いくつかの解析プログラムをデータについて実行して(DcDt+vers.2.1.02及びSedfit、vers11.3b3)各試料に固有の情報を引き出した。Sedfitプログラムからのデータを下の結果に示す。DcDtは、濃度プロファイルの時間導関数を用いるモデル非依存性沈降係数分布g(s
*)である。濃度の増加に伴うSのより高い値への変化がない場合、それは、可逆的反応が起こっていない(すなわち、単量体、二量体、六量体)という強い証拠である。希釈によりサイズ及び形状が変化する場合(六量体から、二量体、単量体への変化)、推定の分子量を決定することは可能でないが、沈降係数S(w)に関するSedfitプログラムから有用な情報を得ることができる。さらに、このプログラムは、Lamm方程式
3によるモデルに基づく数値解を用い、個々のデータセットについて直接的境界モデルを産出する。それは、連続沈降係数c(s)を沈降係数(s)に対してプロットして、沈降種の相対的サイズを記述する曲線を作製する。
【0092】
インスリン固有の希釈剤による各インスリンの希釈:
A.RHI
RHIを沈降速度超遠心分離による分析にかけた。推定保存溶液濃度は、3.745mg/mlであった。希釈剤は、上記の通りであった。
【0093】
以下の物理定数は、Sednterpプログラム
5を用いてそのタンパク質のアミノ酸組成から計算した。
RHI: MW
seq=5792Da N
20°=0.726ml/g
希釈剤の密度及び粘度は、Sednterpを用いてそれぞれ20℃で1.00231g/ml及び0.01041ポイズと計算された。
【0094】
結果
図9AにRHI(商標)の負荷濃度に対して正規化したc(s)分布のプロットを示す。正規化c(s)プロットについて示したデータは、DcDt+からのg(s
*)データと一致している。濃度の増加に伴う沈降におけるSのより低値への著しい変化がある。
【0095】
標準状態に補正した、各負荷濃度についての重量平均沈降係数について得られた値を下表に示す。
【0096】
【表4】
結論:
これら解析は、RHIがその実験条件下で主として六量体として存在することを示している。より低濃度の試料中存在する少量のより遅い沈降性物質並びに六量体からの二量体と思われるものが存在する。
【0097】
B.IL
材料及び方法は、上記の通りであった。
【0098】
結果
図9Bは、各濃度についての重量平均沈降係数のプロットである。そのタンパク質は、希釈により解離する。さらに、おそらく六量体からの二量体である少量(<5%)のより速い沈降性種が存在するのは明らかである。
【0099】
標準状態に補正した、各負荷濃度についての重量平均沈降係数について得られた値を下表に示す。
【0100】
【表5】
結論:
これら解析は、そのタンパク質試料ILがこの実験の条件下で主として六量体として存在することを示している。希釈によるILの解離の証拠があり、存在する六量体からの二量体であると思われるものが少量存在する。試験した濃度は、約30μm、100μm、300μm及び600μm(単量体単位)であった。
【0101】
C.IA
材料及び方法は、上記の通りであった。
【0102】
結果
図9Cに、負荷濃度に対して正規化したc(s)分布のプロットを示す。正規化c(s)プロットについて示したデータは、DcDt+からのg(s
*)データと一致している。低濃度におけるc(s)曲線は、濃度が増加するにつれて減少するより小さい種(単量体)の寄与を示している。濃度の増加に伴う沈降におけるSのより低値へのわずかな変化もある。おそらく六量体からの二量体である少量(<5%)のより速い沈降性種が存在することは明らかである。
【0103】
標準状態に補正した、各負荷濃度についての重量平均沈降係数について得られた値を下表に示す。
【0104】
【表6】
結論:
これら解析は、IAがこの実験の条件下で主として六量体として存在することを示している。希釈によるIAの解離の証拠があり、存在する六量体からの二量体であると思われるものが少量存在する。試験した濃度は、約30μm、100μm、300μm及び600μm(単量体単位)であった。
【0105】
D.CE−100 4
材料及び方法は、上記の通りであった。
【0106】
結果
CE−100 4のデータベースをSedfit及びc(s)モデルを用いて解析した。厳密に言えば、このモデルは、非相互作用性混合物にのみ適用できるが、相互作用性種の場合、溶解して存在する種についてのアイデアを得ることができる。
図9Dでは、負荷濃度に対して正規化したc(s)分布のプロットを示す。c(s)プロットは、希釈により、より低いS値への著しい変化があるという点でDcDt+からのg(s
*)データと一致している。より高い濃度におけるc(s)プロットは、CE100−4が六量体より大きい場合があることを明確に示している。
【0107】
標準状態に補正した、各負荷濃度についての重量平均沈降係数について得られた値を下表に示す。
【0108】
【表7】
結論:
これら解析は、タンパク質試料CE100−4がこの実験の条件下で単量体、二量体、六量体及びおそらくより大きいオリゴマーの間の平衡状態で存在することを示している。試験した濃度は、約30μm、100μm、300μm及び600μm(単量体単位)であった。
【0109】
ECF緩衝液による希釈:
市販の製剤を最初にECFで1:2に希釈した。ただし、1:4に希釈したCE100−4を除く。pH4で開始するので、等電点による沈殿を避けるために、これを別に処理しなければならなかった。他の市販のインスリンは、既にpH7であり、そのため最初の希釈は1:2とした。
【0110】
A.RHI
RHIを沈降速度超遠心分離による分析にかけた。推定保存液濃度は、等容量の供給されたECFで希釈した後に1.87mg/mlであった。
【0111】
以下の物理定数は、Sednterpプログラム
5を用いてそのタンパク質のアミノ酸組成から計算した。
RHI: MW
seq=5792Da、 N
20°=0.726ml/g
希釈剤の密度及び粘度は、Sednterpを用いてそれぞれ20℃で1.00273g/ml及び0.01043ポイズと計算された。
【0112】
分析に用いた3つのセルについての保存溶液を用いた希釈スキームを下表に示す。
【0113】
【表8】
Lamm方程式
3によるモデルに基づく数値解を用いた個々のデータセットに対して、直接境界モデリングプログラムとともに、Sedfit、version 11.71を用いた。
【0114】
連続沈降係数分布c(s)モデルを計算した。c(s)分布プロットは、摩擦係数の平均値を用いることにより拡散の広がり効果が除去されているため、他の解析方法と比べて鋭い。
【0115】
結果
図10Aでは、負荷濃度に対して正規化したc(s)分布のプロットを示す。正規化c(s)プロットについて示したデータは、DcDt+からのg(s
*)データと一致している。c(s)プロットはほぼ一致しているが、濃度の増加に伴う沈降におけるSのより低値へのわずかな変化がある。
【0116】
2つの最低濃度試料中に少量(<1%)のより遅い沈降性物質、及びおそらく六量体からの二量体である少量(<3%)のより速い沈降性種が存在することは明らかである。濃度の増加に伴うより遅い種の減少及びより速い種の増加は、試験した濃度範囲にわたるRHIの自己会合の非常にわずかな変化があるにすぎないことを意味する。
【0117】
標準状態に補正した、各負荷濃度についての重量平均沈降係数について得られた値を下表に示す。
【0118】
【表9】
結論:
これら解析は、RHIがこの実験の条件下で主として六量体として存在することを示している。より低濃度の試料中に非常に少量のより遅い沈降性物質並びに六量体からの二量体と思われるものが存在する。試験する濃度は、約30μM、100μ及び300μM(単量体単位)であった。
【0119】
IL
方法は上記した。
【0120】
結果
図10Bでは、負荷濃度に対して正規化したc(s)分布のプロットを示す。正規化c(s)プロットについて示したデータは、DcDt+からのg(s
*)データと一致している。低濃度におけるc(s)曲線は、濃度が増加するにつれて減少するより小さい種(おそらく二量体)の有意な寄与を示している。濃度の増加に伴う沈降におけるSのより低値へのわずかな変化もある。
【0121】
2つのより高濃度の試料で特に明らかである、少量(<2%)のより速い沈降性種があることは明らかである。
【0122】
標準状態に補正した、各負荷濃度についての重量平均沈降係数について得られた値を下表に示す。
【0123】
【表10】
結論:
これら解析は、ILがこの実験の条件下で主として六量体として存在することを示している。希釈によるILの解離の証拠があり、存在する六量体からの二量体であると思われるものが少量存在する。試験する濃度は、約30μM、100μ及び300μM(単量体単位)であった。
【0124】
インスリンアスパルト(IA)
方法は上記した。
【0125】
結果
図10Cでは、負荷濃度に対して正規化したc(s)分布のプロットを示す。正規化c(s)プロットについて示したデータは、DcDt+からのg(s
*)データと一致している。低濃度におけるc(s)曲線は、濃度が増加するにつれて減少する少量のより小さい種(単量体/二量体)を示している。濃度の増加に伴う沈降におけるSのより低値へのわずかな変化もある。グラフは、そのタンパク質が希釈によりわずかに解離することを示している。さらに、六量体からの二量体であり得る少量(最高濃度試料で約3%)のより速い沈降性種が存在することは明らかである。
【0126】
標準状態に補正した、各負荷濃度についての重量平均沈降係数について得られた値を下表に示す。
【0127】
【表11】
結論:
これら解析は、IAがこの実験の条件下で主として六量体として存在することを示している。希釈によるIAの解離の証拠があり、存在する六量体からの二量体であると思われるものが少量存在する。試験する濃度は、約30μM、100μ及び300μM(単量体単位)であった。
【0128】
D.CE100−4
材料
推定保存液濃度は、3容量の供給されたECFで1容量の溶液を希釈した後に0.936mg/mlであった。
【0129】
方法
分析に用いた4つのセルについて、保存溶液を用いた希釈スキームを以下の表に示す。
【0130】
【表12】
結果
CE100−4についてデータベースをSedfit及びc(s)モデルを用いて解析した。厳密に言えば、このモデルは、非相互作用性混合物にのみ適用できるが、相互作用性種の場合、溶解して存在する種についてのアイデアを得ることができる。
図10Dに負荷濃度に対して正規化したc(s)分布のプロットを示す。c(s)プロットは、希釈によりより低いS値への著しい変化があるという点で、DcDt+からのg(s
*)データと一致している。より高い濃度におけるc(s)プロットは、CE100−4が六量体より大きくあり得ることを明確に示している。
【0131】
標準状態に補正した、各負荷濃度についての重量平均沈降係数について得られた値を下表に示す。
【0132】
【表13】
これら解析は、CE100−4がこの実験の条件下で、最高濃度では単量体、二量体、六量体及びおそらくより大きいオリゴマーの間の平衡状態で存在することを示している。試験した濃度は、約30μM、70μM及び145μM(単量体単位)であった。
【0133】
HCl pH2又はNaOH pH7で調整した水中の対照
以下の物理定数は、Sednterpプログラム
5を用いてそのタンパク質のアミノ酸組成から計算した。
IC−pH7: MW
seq=5792Da N
20°=0.726ml/g
希釈剤の密度及び粘度は、Sednterpを用いてそれぞれ20℃で0.99823g/ml及び0.01002ポイズと計算された。
【0134】
内部対照IC pH7
方法
分析に用いた4つのセルについての希釈剤としてのNaOHを含む水、pH7を用いた希釈スキームを下表に示す。
【0135】
【表14】
連続沈降係数分布c(s)
c(s)分布プロットは、摩擦係数の平均値を用いることにより拡散の広がり効果が除去されているため、他の解析方法と比べて鋭い。
【0136】
結果
IC−pH7についてのデータセットをSedfit及びc(s)モデルを用いて解析した。厳密に言えば、このモデルは、非相互作用性混合物にのみ適用できるが、相互作用性種の場合、溶解して存在する種についてのアイデアを得ることができる。
図11では、負荷濃度に対して正規化したc(s)分布のプロットを示す。c(s)プロットは、希釈によりより低いS値への著しい変化があるという点でDcDt+からのg(s
*)データと一致している。
【0137】
標準状態に補正した、各負荷濃度についての重量平均沈降係数について得られた値を下表に示す。
【0138】
【表15】
解析は、この実験の条件下において、試料IC−pH7が、最低希釈度では二量体−六量体平衡状態で存在し、ここで用いた3つの最高濃度では六量体状態が著しく有利であることを示している。試験した濃度は、約30μM、100μM、305μM及び620μM(単量体単位)であった。
【0139】
内部対照IC pH2
方法:
上記のようにインスリンを0.01N HClで希釈した。
【0140】
結果:
主として負荷濃度の良好な推定を得るために、IC−pH2のデータセットをSedfit及びc(s)モデルを用いて解析した。各負荷濃度についての重量平均沈降係数について得られた値は、DcDt+を用いて決定された値とかなり良く一致していた。Sedfitを用いて決定されたS
20.w値の表を下に示す。
【0141】
【表16】
これらの解析は、IC−pH2が、この実験の条件下で主として単一種(おそらくインスリン単量体)として存在し、さらなる自己会合の傾向がないことを示している。溶媒の状態は、支持電解質の欠如のため高度に非理想的であった。試験した濃度は、約30μM、97μM、305μM及び620μM(単量体単位)であった。
【0142】
全般的結論、沈降分析
DcDtソフトウエアを用いたRHI分子量の推定により、その分子量が全希釈範囲にわたって六量体と一致していること(35.6±1.6kDa)が確認された。単量体インスリン(2.29nm)の標準であるpH2インスリンの対照値は、希釈系列にわたって本質的に未変化のままである1.28S(20、w)の沈降係数値を有し、その単量体状態が確認される。全濃度における対照の非安定化インスリン、pH7は、六量体であるが、pH7希釈剤による希釈によるサイズの減少によって実証されたように、より小さい二量体形態と動的平衡状態にある。IA及びILは、六量体サイズ範囲で始まり、ECFで1:16に希釈した後に単量体/二量体形態の小集団を有する。CE100−4の単量体/二量体粒子の割合がより高いことは、そのより速やかな吸収プロファイルと一致する。
【0143】
(実施例10)
インスリン、pH7.4へのクエン酸ナトリウム及びEDTAの添加によるインスリンサイズに対する効果の測定
CES100−4のpHの7への上昇がブタモデルにおける速やかな吸収及びMalvernによるサイズの減少を示したので、クエン酸三ナトリウムの代わりにクエン酸を用いることがpH7.4でも有効であるかどうかを確認するために代替方法を設計した。
【0144】
材料及び方法
EDTA二ナトリウム(1.8mg/mL)及びクエン酸三ナトリウム(1.8mg/mL)をグリセリン(22mg/mL)を含む水に溶解した。インスリンを3.8mg/mLの濃度で溶液に加えた。水酸化ナトリウムを滴下して加えpHを7.4に上昇させた。次いで、未希釈物質を平均粒径についてMalvernで分析し、次いで、細胞外液緩衝液(ECF)で希釈し、希釈系列に沿った各時点に粒径を決定した。
【0145】
結果
CSE100−7、すなわち、ECF緩衝液で希釈したクエン酸ナトリウムインスリンpH7.4を酸性及び中性環境におけるクエン酸製剤と比較した。結果を
図12に示す。
図12は、CE100−7 pH7.5及びクエン酸の代わりにクエン酸ナトリウムを含有するCSE100−7、pH7.4について、希釈度に応じたインスリン平均粒径(nm)のグラフである。
【0146】
結果は、クエン酸ナトリウム、EDTA及び中性pHで溶解したインスリンを混合することによって、速やかに解離するインスリンを得ることができることを示している。平均粒径は、最初は一般的な六量体より大きく、これは、六量体が解離し、インスリン分子の緩く会合した多量体の形態にあることを推定して示している。注射後環境(ECFにより希釈)における1:2希釈により、インスリンは、より小さい単位(インスリン二量体である可能性が最も高い)に速やかに解離する。新たな製剤は、最初にpH4で調製され、次にpH7にされたクエン酸/EDTAインスリン製剤として正確に挙動する。
【0147】
(実施例11)
糖尿病ミニブタにおけるクエン酸EDTAインスリンpH7
材料及び方法
インスリンは、インスリン(3.8mg/ml)、EDTA二ナトリウム(1.8mg/ml)、クエン酸(1.8mg/ml)、グリセリン及びm−クレゾール(3mg/ml)を混合し、HClを用いてpHを4に調整することにより調製した。次いで、溶液のpHをNaOHの添加によりpH7に上昇させた。これにより、製剤がインスリンの等電点を短時間通過して、混濁した混合物が生じ、それは、7.4の最終pHに到達したときに清澄化した。CE100−7は、食事の前にブタに食事インスリンとして投与した。
【0148】
6匹の雄糖尿病ミニブタ(30〜50kg)に最初に0.25U/kgの試験インスリンを投与し、次いで、直ちに500gの標準ブタ飼料を与えた。血液試料を給餌前−30、−20、−10、0分に、次いで投薬後5、10、15、20、30、45、60、75、90、120、150、180、240、300、360、420、480分に採取した。2mLの血液試料を頸静脈カテーテルを介して採取し、そのうちの1滴を標準グルコースストリップ法を用いてグルコース測定をチェックするのに用い、残りの試料をK
2EDTAで処理し、血漿試料を将来の分析用に凍結した。
【0149】
結果
pH7製剤の薬物動態プロファイルを
図13に示す。この非常に速やかなプロファイルは、実施例6において糖尿病患者で示されたデータと一致している。クエン酸及びEDTAを含有する酸製剤のpHの7への上昇は、糖尿病ミニブタにおいて非常に十分に機能した。このpHの変化により、クエン酸がクエン酸ナトリウムになった。したがって、クエン酸の塩形態が酸と同様に十分に働く。
【0150】
本発明の改変及び変形は、上述の記載から当業者に明らかであり、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるものとする。