特許第5794745号(P5794745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5794745エンジンが燃料供給停止モードにある間に回転されるクランクシャフトを含む内燃エンジンおよびエンジンを動作させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794745
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】エンジンが燃料供給停止モードにある間に回転されるクランクシャフトを含む内燃エンジンおよびエンジンを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   F01M 7/00 20060101AFI20150928BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20150928BHJP
   F02D 29/04 20060101ALI20150928BHJP
   F01M 1/02 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   F01M7/00 C
   F02D29/02 D
   F02D29/04 Z
   F01M1/02 A
【請求項の数】15
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-534866(P2013-534866)
(86)(22)【出願日】2010年10月20日
(65)【公表番号】特表2013-541667(P2013-541667A)
(43)【公表日】2013年11月14日
(86)【国際出願番号】US2010053329
(87)【国際公開番号】WO2012054025
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2013年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】508205718
【氏名又は名称】マック トラックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100116757
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 英雄
(74)【代理人】
【識別番号】100123216
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 祐一
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(72)【発明者】
【氏名】ジャーウィック,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バーテル,ジョン,ビー.
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−067238(JP,A)
【文献】 実開昭55−076812(JP,U)
【文献】 特開平11−013608(JP,A)
【文献】 特開平05−195741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 1/00− 9/12
F02D 29/00−29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジンおよび代替駆動機構を包含するエンジン・システムを動作させる方法であって、
前記内燃エンジンが軸受けジャーナルを有するクランクシャフトおよび前記軸受けジャーナルが中で回転することができる軸受けを包含しており、前記内燃エンジンを燃料供給モードにおける動作と燃料供給停止モードにおける非動作の間において切り換えることと、
前記内燃エンジンが前記燃料供給モードにあるとき、前記内燃エンジンを介して前記クランクシャフトを回転することと、
前記内燃エンジンが前記燃料供給停止モードにあるとき、前記代替駆動機構を動作させることと、
前記内燃エンジンが前記燃料供給停止モードにある間、オイル・ポンプを駆動して前記軸受けジャーナルおよび前記軸受けの潤滑を行なうことを包含することと、
前記代替駆動機構が動作されており、かつ前記内燃エンジンが燃料供給停止モードにあって動作されていないとき、前記軸受けジャーナルと前記軸受けの間において流体潤滑が維持されるように、前記代替駆動機構を介して前記クランクシャフトを恒常的に回転することと、
を包含するエンジン・システムを動作させる方法。
【請求項2】
前記内燃エンジンが前記燃料供給停止モードにあるとき、前記クランクシャフトを360°より小さい角度にわたって回転することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記内燃エンジンが前記燃料供給停止モードにあるとき、前記クランクシャフトを恒常的に回転することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記クランクシャフトの回転が前記オイル・ポンプを駆動するように、前記オイル・ポンプが前記クランクシャフトと機械的に接続される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記オイル・ポンプは電気的に駆動される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記エンジン・システムは、ハイブリッド・エンジンを包含し、前記代替駆動機構は、前記クランクシャフトと機械的に接続される前記ハイブリッド・エンジンの電気モータを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記代替駆動機構は、バッテリによって電力供給される第2の電気モータを包含する、請求項に記載方法。
【請求項8】
バッテリによって電力供給される電気モータを介して前記クランクシャフトを回転することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
エンジンであって、
軸受けジャーナルを有するクランクシャフトおよび前記軸受けジャーナルが中で回転することができる軸受けを包含している内燃エンジンであって、それが燃料供給モードにおいて動作されているときは、前記クランクシャフトが前記内燃エンジンによって駆動される内燃エンジンと、
前記内燃エンジンが燃料供給停止モードにあるときに動作するべくアレンジされる代替駆動機構であって、前記代替駆動機構が動作され、かつ前記内燃エンジンが燃料供給停止モードにあって動作されていないときに前記クランクシャフトを恒常的に回転するための代替駆動機構と、
前記軸受けジャーナルおよび前記軸受けの潤滑を行なうべく配されるオイル・ポンプを駆動するためのオイル・ポンプ駆動手段と、を包含し、
前記代替駆動機構が動作され、かつ前記内燃エンジンが燃料供給停止モードにあって動作されていないときに、前記軸受けジャーナルと前記軸受けの間において流体潤滑が維持されるように、前記クランクシャフトが回転され、前記オイル・ポンプが駆動される、エンジン。
【請求項10】
前記エンジンは、電気モータを包含するハイブリッド・エンジンであり、前記代替駆動機構は、電気モータおよび前記電気モータに対する機械的な接続を包含する、請求項に記載のエンジン。
【請求項11】
前記代替駆動機構は、バッテリによって電力供給される第2の電気モータを包含する、請求項10に記載のエンジン。
【請求項12】
前記代替駆動機構は、バッテリによって電力供給される電気モータを包含する、請求項に記載のエンジン。
【請求項13】
前記軸受けジャーナルおよび前記軸受けの潤滑を行うべく配されるオイル・ポンプを包含する、請求項に記載のエンジン。
【請求項14】
前記オイル・ポンプ動手段は、前記クランクシャフトの回転が前記オイル・ポンプを駆動するように、前記オイル・ポンプと前記クランクシャフトの間における機械的な接続を包含する、請求項に記載のエンジン。
【請求項15】
前記オイル・ポンプ駆動手段は、電気的な駆動機構を包含する、請求項に記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃エンジンに関し、より詳細に述べれば、その種のエンジンに関連付けされるクランクシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
反復される内燃エンジンの始動および停止は、クランクシャフトの回転が開始するときにエンジンが適正に潤滑されていないことから、結果としてクランクシャフトのジャーナルおよびジャーナル軸受けの実質的な摩損に帰する。ジャーナル軸受けは、通常、完全な流体潤滑のために設計されている。言い換えると、クランクシャフト・ジャーナルおよびクランクシャフト・ジャーナル軸受けは、エンジンが回転しているとき、それらの間に流体力学的なオイルの膜が存在しており、それが金属と金属の接触を防止することから普通は接触しない。しかしながら、流体潤滑は、オイルの圧力およびシャフトの回転を必要とする。オイルの圧力のみでは流体潤滑が生み出されず、境界潤滑にしかならない。境界潤滑においては、金属と金属の接触の可能性があり、摩損が生じることになる。発明者らは、クランクシャフトのジャーナルおよび軸受けアレンジメントの流体潤滑を提供するには、オイルの圧力およびクランクシャフトの回転の両方が存在しなければならないことを認識した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の1つの態様によれば、エンジンを動作させる方法が、軸受けジャーナルを有するクランクシャフトおよび軸受けジャーナルが中で回転することができる軸受けを包含する内燃エンジンを燃料供給モードと燃料供給停止モードの間において切り換えることと、内燃エンジンが燃料供給停止モードにあるとき、クランクシャフトを恒常的に回転することとを包含する。
【0004】
本発明の別の態様によれば、エンジンが、軸受けジャーナルを有するクランクシャフトおよび軸受けジャーナルが中で回転することができる軸受けを包含している内燃エンジンと、内燃エンジンが燃料供給停止モードにあるとき、クランクシャフトを恒常的に回転するための手段とを包含する。
【0005】
本発明の特徴および利点は、次にリストする図面とともに以下の詳細な説明を読むことによって良好に理解されるであろう。これらの図面においては、類似の番号が類似した要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の1つの態様によるハイブリッド・エンジンの概略図である。
図2】本発明の1つの態様による別のエンジンの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の1つの態様によるエンジン21が図1に示されている。エンジン21は、内燃エンジン23を含み、かつ、軸受けジャーナル27を有するクランクシャフト25および軸受けジャーナルが中で回転することができる軸受け29を包含している。内燃エンジン23が燃料供給停止モードにあるときにクランクシャフト25を恒常的に回転するためのアレンジメントが提供される。この出願の目的のため、『燃料供給停止モード』は、内燃エンジンがクランクシャフトを駆動していないときの状態を含むものとし、そのときは一般に内燃エンジンに燃料が供給されないが、必ずしもそれ以外を排除する必要はない。このアレンジメントは、通常、完全な回転にわたってクランクシャフト25を回転することになるが、それに代えてクランクシャフトが360°より小さい角度にわたって回転されて、単に枢動されるか、または前後に揺動されるといったことは可能であり、これらの運動のすべては、この出願の目的のために、別の解釈が示されていない限りにおいては包括的に回転として参照されるものとする。
【0008】
本発明の1つの態様によれば、エンジン21が、電気モータ31も包含するハイブリッド・エンジンであり、好ましくはそれをモータ‐ジェネレータとする。電気モータ31は、内燃エンジン23が燃料供給停止モードにあるとき、クランクシャフト25を回転するために使用することが可能である。電気モータ31の従動シャフト35とクランクシャフトの間においては、ベルトまたはギア等といったクランクシャフト25への機械的な接続33(仮想線により示されている)を提供することができる。それに代えて、別のアレンジメント、たとえば、ハイブリッド・エンジンの場合であれば、バッテリ39等の電源によって電力供給される第2の電気モータ37(仮想線により示されている)をクランクシャフト25の回転のために提供することが可能である。バッテリ39は、モータ‐ジェネレータ31からのエネルギを蓄積しておくことが可能であり、第2のモータ37および/またはモータ‐ジェネレータの動作をコントロールするためにコントローラ40を提供することができる。
【0009】
図2に見られるようにエンジン21’がハイブリッド・エンジンでない場合には、電気モータ37’または機械的なアレンジメント、たとえば乗り物の制動から運動エネルギを吸収し、かつ内燃エンジン23’が燃料供給停止モードにあるときに、コントロールされた態様でクランクシャフトを回転するべくそれをリリースするばねといった任意の適切な手段によってクランクシャフト25’を回転することが可能である。当然のことながら、図1のエンジン21におけるクランクシャフト25の回転についても同様に、必ずしもモータ31またはモータ37に限定されることはなく、任意の適切な手段を使用することが可能である。
【0010】
図1を参照するが、金属と金属の接触が存在しないように、かつジャーナルと軸受けの間にオイル等の潤滑剤の膜が残存するように、クランクシャフト25の回転に加えて流体潤滑を軸受けジャーナル27と軸受け29の間において維持することが望ましい。流体潤滑は、クランクシャフト25を恒常的に回転すること、および圧力の下においてオイル等の潤滑剤を軸受け29およびジャーナル27に対して提供することによって達成される。通常、内燃エンジン23のオイル・ポンプ41が、圧力の下において軸受けジャーナル27および軸受け29に対してオイルを常時提供するべく配されている。したがって、内燃エンジン23が燃料供給停止モードにある間、オイル・ポンプ41を駆動するためのアレンジメントが提供される。このアレンジメントは、図1に示されているとおり、オイル・ポンプ41とクランクシャフト25の間におけるベルトまたはギア等といった機械的な接続43(仮想線により示されている)を包含しており、クランクシャフトの回転からオイル・ポンプの駆動を得るようにすることができる。それに代わるものとして、ハイブリッド・エンジンの構成要素の電気モータ31、または第2の電気モータ37等の電気的な駆動源によって、またはそのほかの任意の適切な電気的もしくは非電気的な手段によってオイル・ポンプ41を駆動することが可能である。
【0011】
本発明の1つの態様によるエンジン21を動作させる方法においては、ハイブリッド・エンジンの電気モータ31を動作させることが望ましいといったときなど、燃料供給モードと燃料供給停止モードの間において内燃エンジン23が周期的に切り換えられる。内燃エンジン23は、軸受けジャーナル27を有するクランクシャフト25および軸受けジャーナルが中で回転することができる軸受け29を包含している。クランクシャフト25は、内燃エンジンが燃料供給停止モードにあるとき、恒常的に回転され、言い換えるとそれは、枢動されることによって、または前後に揺動されることによって、または360°にわたって回転されることによって行なわれる。
【0012】
オイル・ポンプ41は、内燃エンジン23が燃料供給停止モードにある間、軸受けジャーナル27および軸受け29を潤滑するべく駆動される。通常、軸受けジャーナル27と軸受け29の間において流体潤滑が維持されるように、オイル・ポンプ41を駆動する間にクランクシャフト25が回転される。
【0013】
クランクシャフト25の回転およびオイル・ポンプ41の駆動は、任意の適切な手段によって行なうことが可能である。たとえば、クランクシャフト25およびオイル・ポンプ41のうちの一方または両方を、ハイブリッド・エンジン21のモータ31によって、ハイブリッド・エンジンのモータに追加して提供される第2のモータ37によって、ハイブリッド・エンジンの一部ではない電気モータによって、またはそのほかの、ばね、圧縮ガス、およびこれらの類といった任意の適切な駆動手段によって駆動することができる。乗り物に使用される場合には、クランクシャフトを駆動するための手段が、好ましくは、ハイブリッド・エンジンのモータ‐ジェネレータ31等の、乗り物が減速するときにエネルギを蓄積する手段になる。それに代えて、たとえばモータ‐ジェネレータ31またはモータ37によってクランクシャフトが駆動されているときには、クランクシャフト25とオイル・ポンプ41の間における機械的な接続の手段によってオイル・ポンプ41を駆動することができる。
【0014】
この出願においては、『含む』等の用語が特定の制限を伴うことなく使用されており、かつ『包含する』等の用語と同じ意味を有することが意図されており、そのほかの構造、材料、または作用の存在を排除しない。同様に、『可能』または『できる』等の用語は、特定の制限を伴うことなく使用されており、かつ構造、材料、または作用が必要不可欠でない意味を反映することを意図しているが、その種の用語を使用しないことが、構造、材料、または作用が必須である意味を反映することは意図されていない。構造、材料、または作用が現在のところ必須であるとみなされる限りにおいては、それらがそのとおりに識別される。
【0015】
以上、好ましい実施態様に従って本発明を図解し、かつ説明してきたが、それにおける変形および変更が、特許請求の範囲内に示されているとおりの本発明から逸脱することなく行ない得ることは認識されるであろう。
【符号の説明】
【0016】
21 エンジン、ハイブリッド・エンジン
21’ エンジン
23 内燃エンジン
23’ 内燃エンジン
25 クランクシャフト
25’ クランクシャフト
27 軸受けジャーナル
29 軸受け
31 電気モータ、モータ‐ジェネレータ
33 機械的な接続
35 従動シャフト
37 第2の電気モータ、第2のモータ
37’ 電気モータ
39 バッテリ
40 コントローラ
41 オイル・ポンプ
43 機械的な接続
図1
図2