特許第5794769号(P5794769)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794769
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】トルクモータを有するパルパ
(51)【国際特許分類】
   D21B 1/34 20060101AFI20150928BHJP
   D21B 1/32 20060101ALI20150928BHJP
   H02P 27/06 20060101ALI20150928BHJP
   D21C 5/02 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   D21B1/34
   D21B1/32
   H02P7/63 Z
   D21C5/02
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-170344(P2010-170344)
(22)【出願日】2010年7月29日
(65)【公開番号】特開2011-42917(P2011-42917A)
(43)【公開日】2011年3月3日
【審査請求日】2013年6月13日
(31)【優先権主張番号】10 2009 035 247.3
(32)【優先日】2009年7月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510207346
【氏名又は名称】ビーティーエー インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BTA International GmbH
(73)【特許権者】
【識別番号】510207357
【氏名又は名称】バイオテック システミ ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Biotec Sistemi S.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ハリー ヴィルヤン
(72)【発明者】
【氏名】ローラント カラ
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ ボツァーノ
【審査官】 長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−106181(JP,A)
【文献】 特開2005−040793(JP,A)
【文献】 特開2006−342483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B1/00−1/38
D21C1/00−11/14
D21D1/00−99/00
D21F1/00−13/12
D21G1/00−9/00
D21H11/00−27/42
D21J1/00−7/00
H02P21/00
23/00
25/00
25/04
25/10−25/14
25/18−25/20
25/24−27/08
27/16
29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃物および/または製品残材を再生利用するためのパルパであって、タンクが設けられており、該タンク内に、再生利用されるべき材料混合物を離解するためのロータが備えられており、さらに離解された流出材料を前記タンクから排出するためのスクリーンが設けられており、前記ロータが、該ロータに動力を伝達するドライブシャフトを有する電動モータにより駆動されている形式のものにおいて、
前記電動モータが、0〜1000rpmの速度で運転するための三相同期モータとして形成されており、該三相同期モータが、制御装置により制御される周波数変換器の出力部に接続されており、前記ドライブシャフトの出力部分が、前記ロータシャフトを成していることを特徴とする、廃物および/または製品残材を処理するためのパルパ。
【請求項2】
前記制御装置が、負荷電流を検知するための手段の出力部と、前記三相同期モータのドライブシャフト出力部分の回転を検知するための手段の出力部とに接続されており、前記ロータが詰まった場合に、前記制御装置が、ドライブシャフト出力部分の実際の負荷電流および/または実際の回転状態に応じて、前記ドライブシャフト出力部分を往復反転運動させるために周波数変換器を作動させ、詰まったロータを振動させる、請求項1記載のパルパ。
【請求項3】
ロータの静止状態での始動運転の第1の段階において、前記同期モータの速度を、所定の負荷電流限界値を用いて、定のモータトルクで、所定の目標速度になるように制御し、ドライブシャフトの出力部分の詰まりが検知されると、逆転方向に動力を制御し、次いでドライブシャフト出力部分の、所定の期間にわたる逆転または負荷電流限界値での所定の速度の検知後に、正転方向に動力を戻すことを特徴とする、請求項1または2記載のパルパを運転するための方法。
【請求項4】
通常運転段階において、所定の負荷電流限界値を維持しつつ同期モータの所定の目標モータ速度を維持するために、前記制御装置によって前記周波数変換器を作動させ、負荷電流限界値の超過後に直ちに速度を減じ、過剰負荷運転段階の終了後に直ちに目標速度に戻し制御する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
通常運転段階におけるドライブシャフト出力部分の詰まりの検知に応じて動力を逆転し、次いで、ドライブシャフト出力部分の、所定の期間にわたる逆方向の回転、または負荷電流限界値での設定された逆転速度の到達に至った逆方向の回転の検知の後に、正転方向の運転に動力を戻す、請求項4記載の方法。
【請求項6】
ドライブシャフト出力部分を、該ドライブシャフト出力部分の逆方向回転時の停止の検知後に、即座に正転方向の回転に戻す、請求項3から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ドライブシャフト出力部分の回転方向を、ロータの回転エネルギおよび同期モータのトルクを利用して繰り返し反転させ、詰まりを解消するようにロータを振動させる、請求項3から6までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルパと、パルパの運転方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
パルパは、容易に離解可能な材料混合物の再生利用という役割を担っている。1つの重要な適用分野は、特に、たとえば古紙のような廃棄製品と、生物学的な廃棄物を含む類似の廃棄物とを、再生利用不能な成分から再生利用可能な成分を分離することによって再生利用することにある。
【0003】
このようなパルパは、通常、ロータを収容するタンクを有している。このタンク内には、再利用されるべき供給材料が、液体、通常は水と共に充填される。ロータが回転駆動されると、固形物を離解する強い流れ力が生成される。流れ力は、固体を離解することに役立ち同時に繊維を短縮する。結果として、材料混合物に含まれた繊維の一部と別の物質とが溶液に溶け込む。しかし、このプロセスは主に離解に関するので、付随するサイズの短縮および溶解についてはこの文脈において特に言及しないが、これらは含まれているものとする。
【0004】
供給材料の離解された成分は、液体と共に懸濁液を形成する。この懸濁液は、パルパから、たとえばスクリーンを通って流出させられる。
【0005】
このようなパルパの基本システムは、ドイツ連邦共和国特許第3149135号明細書に記載されている。このパルパは、主に、電動式の底部ロータを備えたパルパタンクを有している。公知先行技術に基づき、さらに、誘導モータの回転トルク(rotational torque)を液圧ポンプ/モータを介してロータに供給することにより、ロータに液圧的に動力を供給することも知られている。これに加えて、誘導モータを用いて動力を供給された直交型歯車伝動装置を使用することが知られている。高い維持コストと効率の悪さという共通する欠点に加えて、伝動装置を有する動力駆動装置(geared power drive)は、極めて重い不均衡な重量負荷という欠点を有しており、同時に機械的にそれぞれ弱点を構成する関連する多数の軸受けおよび連結部を有している。これに加えて、このような電動式システムは騒音を発生する。このような理由から、公知先行技術では、クラスタ式モータ(Clustermotor)が提案されている。このクラスタ式モータは、通常は4つのモータを有している。このクラスタ式モータはコンパクトでありかつパルパのロータを中心として位置決め可能であるので、クラスタ化された重量はパルパおよび該パルパのタンク上で中心に置かれるが、クラスタ化されたアプローチにもかかわらず未だ解決されていない、たとえば軸受けのような機械的弱点の欠点を有しているだけでなく、モータの各相互接続部は摩擦損失を伴う。
【0006】
パルパの別の設計によれば、ドライブトレーンが電動モータを有している。この電動モータには、けん引手段伝動装置、たとえばベルトドライブが後置されている。このアプローチによって、単純な駆動配列により約200回転/分〜500回転/分の速度でロータを使用することが達成されるが、極めて大きく高価なプーリが必要となる。これらの大きなプーリは、高い慣性モーメントを有しているので、ロータが破壊することを防ぐために、負荷を制限するかまたは負荷を分離する連結部、有利には滑りクラッチが、軸とプーリとの間のハブに、またはハブ内に必要となる。たとえ低速であっても、ダブルベルトドライブが必要である。このダブルベルトドライブは、極めて高いロータトルクを達成するが、相応のドライブエレメントの寸法を必要とし、これにより、パルパの設置面積の増大という欠点に加えて、このような設計では、コストが極めて大きいだけではなく、整備にかかる手間が増える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第3149135号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記欠点を克服する本発明の課題は、パルパのロータを駆動するための適切なアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1記載のパルパおよび請求項3に記載のパルパ運転方法により解決される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るパルパは、ドライブアセンブリが、有利には12〜64個の磁極を有する多極の同期モータとして設計された三相同期モータを有しており、三相同期モータが、0〜1000回転/分の速度で回転し、必要に応じて逆回転されることを特徴としている。この構成では、モータが、制御装置により制御される周波数変換器の出力部に接続されており、ドライブシャフトの出力は、介在するいかなる伝動装置も用いずに、直接にロータシャフトに伝達される。これにより、ドライブシャフトもしくは該ドライブシャフトの出力部分よりも速く回転する、トルクおよび/または力を伝達するドライブトレーンのエレメントはなくなる。ドライブシャフトの出力部分とロータシャフトとの動力伝達(active transmission)のためには、ドライブシャフトの出力部分には、モータ端部においてドライブシャフトが設けられて、直接にロータシャフトに連結されている。これにより、パルパのロータシャフトを、モータの駆動シャフトとして使用することが可能になる。換言すれば、モータのドライブシャフトの出力部分は、既にロータシャフトを成している。
【0011】
本発明に係るパルパのこの構成は、従来のパルパ装置の特性に勝る重大な利点を有している。同期モータを、直列の周波数変換器と共に使用することによって、パルパのロータにおいて利用され得るトルクを、全速度領域にわたって最大化することができ、装置が負荷下で始動され得るときに、始動段階を容易にする。すなわち、ロータの低速回転時に、パルプ材料混合物は、内部非流動状態になる傾向があり、この非流動状態は、ロータと該ロータの羽根とを硬く「固める」(詰まらせる)可能性がある。特にこのような「休止段階」後には、周波数に応じたロータの始動と、ダイレクトロータドライブとの、本発明による組合せの特性は、パルプの構造的粘度への適合により、特に有利であることが判った。本発明が特に適切に満たすことができる要求として、ロータの始動時のトルクは、粘度の増大により同様に高められる。
【0012】
いまや関連する運転段階に応じて速度をフレキシブルに設定することができるので、伝動装置を使用する必要がなく、したがって、別の場合にはドライブアセンブリに関連する慣性モーメントの大部分が排除される。このことは、ロータが突然詰まった場合にドライブトレーン自体もしくはロータを損傷させるおそれを同様に減じる。さらに、スリップクラッチ、パワーシフトまたはシアピン連結器のような、別の場合には通常である保護連結機構を使用する必要もない。従来のパルパでは、供給材料が、離解することのできない固体を含んでいる場合、ロータ、ひいてはそのドライブトレーンが大きな衝撃にさらされる。従来のドライブトレーンのこれらの回転質量は極めて不都合な影響を及ぼすが、これらは同期モータの磁界内で完全に緩衝されて、モータの伝動装置ハウジングに達することが阻止されている。関連する機械エレメントの数が減じられることによって、ドライブトレーンの総合効率は著しく増し、しがたって、エネルギが節約される。これに加えて、構成部材が少数であることによって、ドライブトレーンは比較的軽量かつほぼ整備不要である。動力は、同期モータ内で接触なしに伝達され、主駆動モータが、単にロータ自体と同じ速さで回転するので、このドライブトレーンはほぼ静寂な運転において優れている。これに加えて、同期モータをロータに直接に連結することによって、従来のパルパに比べて小さな嵩および重量と共に、小さな設置面積をもたらす。したがって、本発明に係るパルパは、移動式の使用にも特に適している。同期モータと、パルパロータにおけるドライブトレーンの直接的な連結とを結び付けることで、パルパは、変更された運転状態にほぼ即座に反応して、ドライブトレーンを運転状態の変更に合わせることが可能になる。なぜならば、ドライブトレーンは小さな慣性モーメントを有しており、制御装置を用いて、速度および/またはトルクを簡単に変更可能だからである。
【0013】
したがって、本発明の要旨は、可変速同期モータを直接に、つまり伝動装置や機械式に動力を供給される構成要素を用いずに、パルパのロータに結合させることである。最大化されたトルクを維持しながら、いまや速度を運転状態に適合させることができるか、またはトルクを運転状態に応じて微調整することができる。
【0014】
ロータが運転中に詰まることを阻止するためには、負荷電流を検知するための手段と、同期モータのドライブシャフトの回転を検知するための手段とが設けられていてよい。これらの手段の出力部には、運転状態の変更に即座に反応することができるように、制御装置が接続されている。ロータが詰まるとすぐに、電力消費が増大して、この電力消費は制御装置によって検知されて、モータパラメータを微調整することを可能にし、たとえば、ドライブシャフトの速度を運転状態の変更に合わせて変更する。さらに、供給材料内の障害が取り除かれるとすぐに、制御装置によりモータの電力消費の低減を検知して、装置は再び以前の目標パラメータに戻され得る。
【0015】
既に説明したように、周波数変換器に接続された三相同期モータと、パルパロータに動力を供給するための伝動装置なしの直接的な連結とを組み合せることによって、パルパロータは、運転状態のいかなる変更にも即座に反応することができるようにされるので、多くの場合、詰まりを生じるパルパの傾向を前もって検知することができる。しかし、たとえ本発明に係るパルパが詰まったとしても、パルパの小さな慣性モーメントと、ドライブトレーン全体の速度が可変であることとに基づいて、本発明に係るパルパは、ロータのいかなる詰まり運転も容易に克服することができるという利点を有している。この場合、ロータの詰まり運転の克服は、実際の負荷電流および/または実際の回転状態に応じてドライブシャフトを振動させることにより行われると有利である。
【0016】
モータの定格電力は約10〜500kWである。
【0017】
本発明による方法の課題は、上記のようなパルパを運転するための方法により達成される。この方法では、静止状態からロータを始動し、同期モータの速度を、所定の負荷電流限界値を用いて、ほぼ一定のモータトルクで、所定の目標rpm(毎分回転数)に増速し、詰まりを生じるドライブシャフトの傾向により、ドライブシャフトの回転方向の逆転を、所定の期間にわたって、または負荷電流限界値内の所定の速度で自動的に引き起こし、その後に正転速度に戻す。このことは、減じられた慣性モーメントに基づいて、負荷電流の上昇の検知後に即座に実行することができ、これにより、パルパが詰まるおそれは、いまや効果的に減じられるか、もしくは排除されている。
【0018】
選択されたトルクモータを用いてロータが逆転されるようにすることは、離解が難しい材料混合物の溶解を加速させるので、パルパの供給材料の処理において有利である。
【0019】
モータに過剰負荷をかけないためには、所定の負荷電流限界値が超過されると速度が自動的に減じられ、過剰負荷状態が補正されると、自動的にその目標値に戻されるようになっていてよい。
【0020】
基本的には、モータは所定の運転状態に応じて予め規定されているように作動され得る。これによって、一方ではロータシャフトが詰まることを防ぎ、他方ではモータが過剰負荷されることを防ぐことができる。特に、本発明に係るパルパを1つのプロセス連鎖において使用する場合、たとえばスループット(押出量)を一定に維持することによってパルパのスループットを調節することが必要となり得る。このためには、供給材料の重量、体積、または湿度のようなパラメータを、同期モータの速度の開ループ制御または閉ループ制御のために検知することができる。
【0021】
さらに本発明による方法では、同期モータの全速度領域をカバーするために配置された給電装置が、同期モータの電力消費に応じて制御される。
【0022】
以下に、本発明を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】トルクモータを備えたパルパの概略図である。
図2】パルパロータがトルクモータに接続されている様子を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には、パルパ全体が符号10で示されている。パルパロータ20は、円筒状のパルパハウジング12内に収容され、該パルパハウジング12内で中央に置かれて組み付けられている。このパルパロータ20の底部にはスクリーン22が設けられており、良好に離解されかつ溶解された物質のみが通過する。ロータ20は、三相同期モータを用いて駆動される。この三相同期モータのモータハウジング14は、パルパハウジング12上に中央に載置されていて、パルパハウジング12にフランジ固定19されている(図2を参照)。パルパの底部には、パルパ内容物を取り出すための流出部が設けられている。
【0025】
図2を参照すると、トルクモータがパルパにフランジ19を用いてフランジ固定されている様子が拡大図で示されている。モータハウジング14の断面図には、モータ固定子16と、モータ回転子15とが明示されている。接続領域17では、モータのドライブシャフトがパルパロータの軸に結合されている。
【符号の説明】
【0026】
10 パルパ
12 パルパハウジング
14 トルクモータハウジング
15 モータ回転子
16 モータ固定子
17 モータ軸とロータとの接続部
19 固定フランジ
20 ロータ
22 スクリーン
図1
図2