特許第5794818号(P5794818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5794818吊りピン切断方法および吊りピン切断装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794818
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】吊りピン切断方法および吊りピン切断装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   H01L23/50 B
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-92133(P2011-92133)
(22)【出願日】2011年4月18日
(65)【公開番号】特開2012-227261(P2012-227261A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2014年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102864
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 実
(72)【発明者】
【氏名】磯村 勇一
【審査官】 太田 龍一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−068002(JP,A)
【文献】 特開平09−153579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
B21D 28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路が樹脂により封止された半導体装置パッケージをフレームに支持する吊りピンを切断することにより、前記半導体装置パッケージから前記フレームを切り離すステップと、
前記吊りピンが切断された後に、前記樹脂のうちの前記フレームの近傍に配置されていた不要部分を前記半導体装置パッケージから切り離すステップと
を具備し、
前記吊りピンは、前記半導体装置パッケージから離れる方向に前記フレームが移動することにより、切断される
吊りピン切断方法。
【請求項2】
請求項において、
前記フレームは、前記半導体装置パッケージがダイに固定されているときに、前記ダイに対して移動する突起部に押されることにより、前記方向に移動し、
前記不要部分は、前記ダイに対して移動する移動側刃部と前記ダイに形成される固定側刃部とにより前記樹脂がせん断されることにより、前記半導体装置パッケージから切り離される
吊りピン切断方法。
【請求項3】
請求項において、
前記突起部と前記移動側刃部とは、吊りピンカット用パンチに一体に形成され、
前記吊りピンカット用パンチは、前記ダイに対して前記吊りピンカット用パンチが移動することにより、前記突起部が前記フレームを押し、前記突起部が前記フレームを押した後に前記移動側刃部が前記樹脂をせん断する
吊りピン切断方法。
【請求項4】
集積回路が樹脂により封止された半導体装置パッケージが吊りピンを介してフレームに支持されている分離前半導体装置パッケージを作製するステップと、
前記吊りピンを切断することにより、前記半導体装置パッケージから前記フレームを切り離すステップと、
前記吊りピンが切断された後に、前記樹脂のうちの前記フレームの近傍に配置されていた不要部分を切断するステップと
を具備し、
前記吊りピンは、前記半導体装置パッケージから離れる方向に前記フレームが移動することにより、切断される
半導体装置製造方法。
【請求項5】
請求項において、
前記フレームは、前記半導体装置パッケージがダイに固定されているときに、前記ダイに対して移動する突起部に押されることにより、前記方向に移動し、
前記不要部分は、前記ダイに対して移動する移動側刃部と前記ダイに形成される固定側刃部とにより前記樹脂がせん断されることにより、前記半導体装置パッケージから切り離される
半導体装置製造方法。
【請求項6】
請求項において、
前記突起部と前記移動側刃部とは、吊りピンカット用パンチに一体に形成され、
前記吊りピンカット用パンチは、前記ダイに対して前記吊りピンカット用パンチが移動することにより、前記突起部が前記フレームを押し、前記突起部が前記フレームを押した後に前記移動側刃部が前記樹脂をせん断する
半導体装置製造方法。
【請求項7】
集積回路が樹脂により封止された半導体装置パッケージをフレームに支持する吊りピンを切断することにより、前記半導体装置パッケージから前記フレームを切り離す突起部と、
前記樹脂のうちの前記フレームの近傍に配置されていた不要部分を切断する移動側刃部と
を具備し、
前記フレームは、前記突起部に押されることにより切断方向に移動し、
前記吊りピンは、前記半導体装置パッケージから離れる方向に前記フレームが移動することにより、切断される
吊りピン切断装置。
【請求項8】
請求項において、
前記半導体装置パッケージを固定するダイをさらに具備し、
前記不要部分は、前記移動側刃部と前記ダイに形成される固定側刃部とにより前記樹脂がせん断されることにより、前記半導体装置パッケージから切り離される
吊りピン切断装置。
【請求項9】
請求項において、
前記突起部と前記移動側刃部とは、吊りピンカット用パンチに一体に形成され、
前記吊りピンカット用パンチは、前記ダイに対して前記吊りピンカット用パンチが移動することにより、前記突起部が前記フレームを押し、前記突起部が前記フレームを押した後に前記移動側刃部が前記樹脂をせん断する
吊りピン切断装置。
【請求項10】
請求項において、
前記移動側刃部は、前記切断方向と平行な第1の刃と、一端が前記第1の刃と交差する第2の刃を有し、
前記突起部は、前記第2の刃の他端と接続され、前記切断方向に沿って、前記第1の刃よりも進行方向側に位置する
吊りピン切断装置。
【請求項11】
集積回路が樹脂により封止された半導体装置パッケージをフレームに支持する吊りピンが切断されるように、前記半導体装置パッケージから離れる方向に前記フレームを押す突起部と、
前記樹脂のうちの前記フレームの近傍に配置されていた不要部分が前記半導体装置パッ
ケージから切り離されるように、前記半導体装置パッケージを固定するダイに形成される固定側刃部とともに前記樹脂をせん断する移動側刃部とを具備する
吊りピンカット用パンチ。
【請求項12】
請求項11において、
前記移動側刃部は、切断方向と平行な第1の刃と、一端が前記第1の刃と交差する第2の刃を有し、
前記突起部は、前記第2の刃の他端と接続され、前記切断方向に沿って、前記第1の刃よりも進行方向側に位置する
吊りピンカット用パンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊りピン切断方法および吊りピン切断装置に関し、特に、リードフレームから半導体装置パッケージを切り離すときに利用される吊りピン切断方法および吊りピン切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置パッケージをリードフレームに支持している吊りピンを切断し、半導体装置パッケージを個片分離するリード成形装置の吊ピンカット金型が知られている。その吊ピンカット金型は、ダイとパンチとを備えている。その吊ピンカット金型は、その吊ピンをそのダイにクランプした後に、そのパンチとそのダイと合致させることにより、その吊ピンをパッケージ根元から切断する。リードフレームから半導体パッケージをより適切に切り離すことが望まれている。
【0003】
特開平09−148505号公報には、半導体装置の種類によらず、適切に吊りピンリードを切断することができる半導体装置の吊りピンリード切断装置が開示されている。その半導体装置の吊りピンリード切断装置は、半導体装置を載置し、該半導体装置の吊りピンリードを切断するためのダイと、前記ダイに対向して配置され、前記ダイに合致して前記吊りピンリードを切断するパンチとをそれぞれが備える4つのユニット部と、載置すべき半導体装置のサイズに応じて、各ユニット部を平面上のX軸方向及びY軸方向に移動して、その位置を制御する駆動装置と、前記駆動装置により位置が調整されたユニットに半導体装置を搬送する搬送手段と、前記パンチを前記ダイに合致させて、前記ユニット上に載置された半導体装置の前記吊りピンリードを切断する切断制御部と備えることを特徴としている。
【0004】
特開平04−171851号公報には、確実に一定の位置から吊りピンを切断することが可能であり、吊りピンがICの樹脂モールド部の外部に残る現象をなくすことができるICの吊りピン切断金型が開示されている。そのICの吊りピン切断金型は、樹脂モールドされたICの吊りピンを切断するICの吊りピン切断金型において、樹脂モールド部から出ている吊りピンの根本にV字型の溝を形成するパンチを吊りピン切断用パンチに併設したことを特徴としている。
【0005】
特開平09−36290号公報には、吊りピン部より確実に切断することができ、吊りピンがICの内部で切断されたり、パンチやダイを破損したりすることが無い吊りピン切断装置が開示されている。その吊りピン切断装置は、外枠リードフレームと半導体とを接続している吊りピンを切断する金型において、前記吊りピンを挟持する上型および下型と、前記上型または下型の、吊りピンを挟持する面に形成した突起部と、前記吊りピンをその長さ方向と交差する方向に押下するパンチとを備えたことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−148505号公報
【特許文献2】特開平04−171851号公報
【特許文献3】特開平09−36290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
その吊りピンが切断されたパッケージは、その吊ピンの近傍に形成されたエアベントバリが残存することがある。そのパッケージは、さらに、その吊ピンに塗布されたはんだが側面に転写されることがある。そのエアベントバリをより確実に除去することが望まれ、パッケージの側面にはんだが付着することをより確実に防止することが望まれている。
【0008】
本発明の課題は、パッケージをリードフレームに支持している吊りピンをより適切に切断する吊りピン切断方法および吊りピン切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に、発明を実施するための形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
本発明の一実施形態による吊りピン切断方法は、集積回路が樹脂により封止された半導体装置パッケージ(3)をフレーム(6)に支持する吊りピン(7)を切断することにより、半導体装置パッケージ(3)からフレーム(6)を切り離すステップと、吊りピン(7)が切断された後に、その樹脂のうちのフレーム(6)の近傍に配置されていた不要部分(8)を半導体装置パッケージ(3)から切り離すステップとを備えている。このような吊りピン切断方法は、フレーム(6)と不要部分(8)とを半導体装置パッケージ(3)から一度に切り離す他の吊りピン切断方法に比較して、半導体装置パッケージ(8)から不要部分(8)をより確実に除去するここができ、半導体装置パッケージ(8)からフレーム(6)をより適切に切り離すことができる。
【0011】
本発明の一実施形態による半導体装置製造方法は、集積回路が樹脂により封止された半導体装置パッケージ(3)が吊りピン(7)を介してフレーム(6)に支持されている分離前半導体装置パッケージを作製するステップと、吊りピン(7)を切断することにより、半導体装置パッケージ(3)からフレーム(6)を切り離すステップと、吊りピン(7)が切断された後に、その樹脂のうちのフレーム(6)の近傍に配置されていた不要部分(8)を切断するステップとを備えている。このような半導体装置製造方法は、フレーム(6)と不要部分(8)とを半導体装置パッケージ(3)から一度に切り離す他の半導体装置製造方法に比較して、半導体装置パッケージ(8)から不要部分(8)をより確実に除去するここができ、半導体装置パッケージ(8)からフレーム(6)をより適切に切り離すことができる。
【0012】
本発明の一実施形態による吊りピン切断装置は、突起部(18)と移動側刃部(19)とを備えている。突起部(18)は、集積回路が樹脂により封止された半導体装置パッケージ(3)をフレーム(6)に支持する吊りピン(7)を切断することにより、半導体装置パッケージ(3)からフレーム(6)を切り離す。移動側刃部(19)は、その樹脂のうちのフレーム(6)の近傍に配置されていた不要部分(8)を切断する。このような吊りピン切断装置は、フレーム(6)と不要部分(8)とを半導体装置パッケージ(3)から一度に切り離す他の吊りピン切断装置に比較して、半導体装置パッケージ(8)から不要部分(8)をより確実に除去するここができ、半導体装置パッケージ(8)からフレーム(6)をより適切に切り離すことができる。
【0013】
本発明の一実施形態による吊りピンカット用パンチ(12)は、突起部(18)と移動側刃部(19)とが形成されている。突起部(18)は、集積回路が樹脂により封止された半導体装置パッケージ(3)をフレーム(6)に支持する吊りピン(7)が切断されるように、半導体装置パッケージ(3)から離れる方向(22)にフレーム(6)を押す。移動側刃部(19)は、その樹脂のうちのフレーム(6)の近傍に配置されていた不要部分(8)が半導体装置パッケージ(3)から切り離されるように、半導体装置パッケージ(3)を固定するダイ(11)に形成される固定側刃部(15)とともにその樹脂をせん断する。このような吊りピンカット用パンチ(12)が適用される吊りピン切断装置は、フレーム(6)と不要部分(8)とを半導体装置パッケージ(3)から一度に切り離す他の吊りピン切断装置に比較して、半導体装置パッケージ(8)から不要部分(8)をより確実に除去するここができ、半導体装置パッケージ(8)からフレーム(6)をより適切に切り離すことができる。このような吊りピン切断装置は、さらに、このような吊りピンカット用パンチ(12)が適用されることにより、より容易に作製されることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態による吊りピン切断方法および吊りピン切断装置は、集積回路が樹脂により封止された半導体装置パッケージをフレームから切り離すときに、その樹脂のうちの不要部分をより確実に除去するここができ、その吊りピンをより適切に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明による吊りピン切断装置の加工対象であるリードフレームを示す平面図である。
図2図2は、吊りピンを示す平面図である。
図3図3は、図2のA−A’断面を示し、エアベントバリを示し、本発明による吊りピン切断装置を示す断面図である。
図4図4は、フレームをパッケージから切り離す吊りピン切断装置を示す断面図である。
図5図5は、エアベントバリをせん断する吊りピン切断装置を示す断面図である。
図6図6は、比較例の吊りピン切断装置を示す断面図である。
図7図7は、フレームをパッケージから切り離す比較例の吊りピン切断装置を示す断面図である。
図8図8は、比較例の吊りピン切断装置によりフレームが切り離されたパッケージを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して、本発明による吊りピン切断装置の実施の形態を記載する。その吊りピン切断装置が加工する加工対象である分離前半導体装置パッケージ1は、図1に示されているように、リードフレーム2とパッケージ本体3とを備えている。パッケージ本体3は、図示されていない複数の回路素子が集積された集積回路が樹脂により封止され、概ね長方形状に形成されている。その複数の回路素子としては、トランジスタ、抵抗、コンデンサ、コイルが例示される。
【0017】
リードフレーム2は、一枚の金属板から形成され、複数のリード5とフレーム6と吊りピン7とが形成され、図示されないダイパッド部が形成されている。そのダイパッド部は、長方形の板状に形成され、その集積回路がマウントされ、その集積回路とともにパッケージ本体3の内部にその樹脂により封止されている。
【0018】
複数のリード5は、それぞれ、棒状に形成され、パッケージ本体3が形成する長方形の辺に対応する位置に配置されている。複数のリード5のうちのある辺に配置されるリードは、その辺に垂直である直線に沿って、配置されている。複数のリード5は、それぞれ、一部がその樹脂により封止されることにより、パッケージ本体3に支持されている。複数のリード5の各々は、その複数の回路素子のうちのいずれかの回路素子の端子に電気的に接続されている。
【0019】
吊りピン7は、棒状に形成され、パッケージ本体3が形成する長方形の頂点に対応する位置からそのダイパッド部の縁までを結ぶ線分に沿って配置され、そのダイパッド部とともにパッケージ本体3の内部にその樹脂により封止されている。すなわち、リードフレーム2は、パッケージ本体3一個当たりに4つの吊りピン7が形成されている。吊りピン7は、そのダイパッド部に接合されている。
【0020】
フレーム6は、長方形の板状に形成されている。フレーム6は、パッケージ本体3が形成する長方形の頂点に対応する部分に接するように、配置されている。フレーム6は、その樹脂に被覆されないで、吊りピン7に接合されている。すなわち、パッケージ本体3は、吊りピン7を介してフレーム6に支持されている。
【0021】
複数のリード5とフレーム6とは、さらに、その樹脂に被覆されていない表面がはんだにより被覆されている。
【0022】
パッケージ本体3は、図2に示されているように、エアベントバリ8が形成されている。エアベントバリ8は、その樹脂から形成され、図3に示されているように、膜状に形成され、フレーム6のうちのパッケージ本体3に接する部分の表面を被覆している。
【0023】
図3は、さらに、本実施形態による吊りピン切断装置を示している。その吊りピン切断装置は、ダイ11と吊りピンカット用パンチ12とを備えている。ダイ11は、リードフレーム2が形成される材料より硬い金属材料から形成され、ボルスタに固定されている。ダイ11は、パッケージ支持部14と固定側刃部15と開口部16とが形成されている。パッケージ支持部14は、窪みであり、その窪みに分離前半導体装置パッケージ1のパッケージ本体3が嵌まるように形成されている。固定側刃部15は、刃が形成され、分離前半導体装置パッケージ1のパッケージ本体3がパッケージ支持部14に嵌まっているときに、その刃が吊りピン7のうちのフレーム6に接合されている部分の近傍に配置されるように、形成されている。開口部16は、分離前半導体装置パッケージ1のパッケージ本体3がパッケージ支持部14に嵌まっているときに、フレーム6の下部に配置されるように、形成されている。
【0024】
吊りピンカット用パンチ12は、リードフレーム2が形成される材料より硬い金属材料から形成され、切断方向に沿って平行移動可能にそのボルスタに支持されている。吊りピンカット用パンチ12は、突起部18と移動側刃部19とが形成されている。突起部18は、吊りピンカット用パンチ12の下端に形成されている。突起部18は、吊りピンカット用パンチ12が切断方向17に平行に移動するときに、分離前半導体装置パッケージ1がダイ11に固定されたときにパッケージ本体3が配置される位置の精度に基づいて算出される距離以上に、ダイ11の固定側刃部15から離れるように、形成されている。すなわち、その距離は、分離前半導体装置パッケージ1のパッケージ本体3がダイ11のパッケージ支持部14に嵌まっているときに、吊りピンカット用パンチ12が切断方向17に平行に移動することにより、突起部18がパッケージ本体3に接触しないように、すなわち、突起部18によりパッケージ本体3に傷が形成されないように、算出される。その距離としては、0.1mmが例示される。突起部18は、さらに、分離前半導体装置パッケージ1のパッケージ本体3がパッケージ支持部14に嵌まっているときに、切断方向17に平行に吊りピンカット用パンチ12が下降することにより、フレーム6のうちの押部21を切断方向17に押すように、形成されている。押部21は、フレーム6のうちの吊りピン7が接合されている部分から所定の距離だけ離れた部分である。移動側刃部19は、刃が形成され、切断方向17に平行に吊りピンカット用パンチ12が下降することにより、その刃が固定側刃部15の刃とすれ違うように、形成されている。すなわち、移動側刃部19は、突起部18より固定側刃部15に近い側に形成され、分離前半導体装置パッケージ1のパッケージ本体3がパッケージ支持部14に嵌まっているときに、エアベントバリ8が移動側刃部19と固定側刃部15とによりせん断されるように、形成されている。
【0025】
その吊りピン切断装置は、さらに、図示されていないクランプと吸引装置とアクチュエータとを備えている。そのクランプは、ユーザにより操作されることにより、分離前半導体装置パッケージ1のパッケージ本体3がパッケージ支持部14に嵌まるように、分離前半導体装置パッケージ1をダイ11に固定する。その吸引装置は、開口部16に配置された気体を吸引することにより、開口部16に配置された屑を回収する。そのアクチュエータは、ユーザにより操作されることにより、吊りピンカット用パンチ12を切断方向17に平行移動させる。
【0026】
本発明による半導体装置製造方法の実施の形態は、分離前半導体装置パッケージを作製する動作と吊りピン切断方法とを備えている。
【0027】
その分離前半導体装置パッケージを作製する動作では、分離前半導体装置パッケージ1が作製される。すなわち、複数の回路素子が集積された集積回路が作製され、一枚の金属板からリードフレーム2が作製される。その集積回路は、リードフレーム2のダイパッド部にマウントされる。その集積回路は、そのダイパッド部にマウントされた後に、複数のリード5の各々がその複数の回路素子のうちのいずれかの回路素子の端子に電気的に接続されるように、ワイヤボンディングされる。そのワイヤボンディングされたボンディング済みリードフレームは、成型金型の内部に配置され、その成型金型の内部に樹脂が充填されることにより、複数のリード5のうちのワイヤボンディングされた部分と一部と吊りピン7とともにその樹脂により樹脂封止される。その樹脂封止されたモールド成型済みリードフレームは、リードフレーム2のうちの樹脂に被覆されていない表面がはんだめっきされることにより、分離前半導体装置パッケージ1に形成される。
【0028】
その成型金型は、フレーム6のうちの吊りピン7に接合されている部分が配置される位置にエアベントが形成されている。このため、分離前半導体装置パッケージ1は、フレーム6のうちのパッケージ本体3に接する部分にエアベントバリ8が形成されている
【0029】
その吊りピン切断方法は、本発明の実施形態による吊りピン切断装置により実行される。ユーザは、まず、その吊りピン切断装置のクランプを操作することにより、分離前半導体装置パッケージ1をダイ11に固定する。ユーザは、さらに、その吊りピン切断装置のアクチュエータを操作することにより、吊りピンカット用パンチ12を下降させる。このとき、吊りピンカット用パンチ12の突起部18は、図4に示されているように、フレーム6の押部21に接触し、押部21を押さえ付ける。フレーム6は、押部21が押さえ付けられることにより、フレーム6のうちの吊りピン7に接合されている部分が引っ張り方向22に移動するように変形する。引っ張り方向22は、パッケージ本体3からから離れる方向である。吊りピン7は、フレーム6のうちの吊りピン7に接合されている部分が引っ張り方向22に移動することにより、伸び応力が発生し、吊りピン7のフレーム6との接合部分の近傍で引きちぎられる。
【0030】
吊りピンカット用パンチ12の移動側刃部19は、吊りピンカット用パンチ12がさらに下降することにより、ダイ11の固定側刃部15にすれ違う。このとき、パッケージ本体3は、図5に示されているように、不要な部分が固定側刃部15と移動側刃部19とに挟まれることにより、せん断される。その不要な部分は、エアベントバリ8を含んでいる。なお、その不要な部分は、パッケージ本体3を形成する樹脂のうちの吊りピン7とともに切断された切断面23が形成されている部分を含むこともできる。
【0031】
ユーザは、その吊りピン切断装置の吸引装置を操作することにより、開口部16に配置された屑を回収する。その屑は、エアベントバリ8を含んでいる。ユーザは、その回収された屑を廃棄する。
【0032】
このような吊りピン切断方法によれば、パッケージ本体3は、吊りピン7が切断されたときに、パッケージ本体3にエアベントバリ8が残存していても、固定側刃部15と移動側刃部19とによりその不要な部分がせん断されることにより、エアベントバリ8をより確実に除去されることができる。
【0033】
すなわち、このような吊りピン切断方法が適用された半導体装置製造方法により作製された半導体装置パッケージは、エアベントバリ8をより確実に除去されることができる。
【0034】
本発明の実施形態による吊りピン切断装置は、吊りピンカット用パンチ12が切断方向17に平行移動することにより、吊りピン7を切断し、パッケージ本体3を形成する樹脂の不要な部分をせん断することができる。すなわち、本発明の実施形態による吊りピン切断装置によれば、ユーザは、吊りピンカット用パンチ12を切断方向17に平行移動させることにより、吊りピン7をより容易に切断することができ、パッケージ本体3を形成する樹脂の不要な部分をより容易にせん断することができる。本発明の実施形態による吊りピン切断装置は、吊りピンカット用パンチ12が適用されることにより、吊りピン7の切断とその不要な部分のせん断とをそれぞれ実行する2つの装置に比較して、より容易に作製されることができる。
【0035】
図6は、本発明の実施形態による吊りピン切断装置の比較例を示している。その比較例の吊りピン切断装置は、ダイ111とパンチ112とを備えている。ダイ111は、リードフレーム2が形成される材料より硬い金属材料から形成され、ボルスタに固定されている。ダイ111は、パッケージ支持部114と固定側刃部115と開口部116とが形成されている。パッケージ支持部114は、窪みであり、その窪みに分離前半導体装置パッケージ1のパッケージ本体3が嵌まるように形成されている。固定側刃部115は、刃が形成され、分離前半導体装置パッケージ1のパッケージ本体3がパッケージ支持部114に嵌まっているときに、その刃が吊りピン7のうちのフレーム6に接合されている部分の近傍に配置されるように、形成されている。開口部116は、分離前半導体装置パッケージ1のパッケージ本体3がパッケージ支持部114に嵌まっているときに、フレーム6の下部に配置されるように、形成されている。
【0036】
パンチ112は、リードフレーム2が形成される材料より硬い金属材料から形成され、切断方向17に平行移動可能にそのボルスタに支持されている。パンチ112は、移動側刃部119が形成されている。移動側刃部119は、刃が形成され、切断方向17に平行にパンチ112が下降することにより、その刃が固定側刃部115の刃とすれ違うように、形成されている。すなわち、移動側刃部119は、分離前半導体装置パッケージ1のパッケージ本体3がパッケージ支持部114に嵌まっているときに、吊りピン7とエアベントバリ8とが移動側刃部119と固定側刃部115とによりせん断されるように、形成されている。
【0037】
その比較例の吊りピン切断装置は、さらに、図示されていないクランプと吸引装置とアクチュエータとを備えている。そのクランプは、ユーザにより操作されることにより、分離前半導体装置パッケージ1のパッケージ本体3がパッケージ支持部114に嵌まるように、分離前半導体装置パッケージ1をダイ111に固定する。その吸引装置は、開口部116に配置された気体を吸引することにより、開口部116に配置された屑を回収する。そのアクチュエータは、ユーザにより操作されることにより、パンチ112を切断方向17に平行移動させる。
【0038】
本発明の実施形態による吊りピン切断方法の比較例は、その比較例の吊りピン切断装置により実行される。ユーザは、まず、その比較例の吊りピン切断装置のクランプを操作することにより、分離前半導体装置パッケージ1をダイ111に固定する。ユーザは、さらに、その比較例の吊りピン切断装置のアクチュエータを操作することにより、パンチ112を下降させる。パンチ112の移動側刃部119は、パンチ112がさらに下降することにより、ダイ111の固定側刃部115にすれ違う。このとき、パッケージ本体3は、図7に示されているように、吊りピン7とパッケージ本体3を形成する樹脂のうちのエアベントバリ8が形成されている部分とが固定側刃部115と移動側刃部119とに挟まれることにより、せん断される。ユーザは、その比較例の吊りピン切断装置の吸引装置を操作することにより、開口部116に配置された屑を回収する。その屑は、エアベントバリ8を含んでいる。
【0039】
このような比較例の吊りピン切断方法によれば、吊りピン7がせん断されるときに、フレーム6は、パッケージ本体3の樹脂がせん断された切断面123に擦り付けられる。このため、フレーム6にメッキされたはんだは、パッケージ本体3の切断面123に転写され、図8に示されているように、切断面123にはんだ屑100が付着することがある。
【0040】
本発明による吊りピン切断方法によれば、フレーム6が引っ張り方向22に移動することにより、切断される。このため、フレーム6は、吊りピン7が切断されるときに、パッケージ本体3の樹脂がせん断された切断面23に擦り付けられないで、フレーム6にメッキされたはんだがパッケージ本体3の切断面23に転写されることが防止される。すなわち、本発明による吊りピン切断方法は、このような比較例の吊りピン切断方法に比較して、パッケージ本体3の切断面23にはんだが付着することをより確実に防止することができる。本発明による吊りピン切断方法は、さらに、切断面23が形成されている部分をせん断することにより、切断面23にはんだ屑が付着している場合でも、パッケージ本体3にはんだが付着することをより確実に防止することができる。その結果、本発明による吊りピン切断方法が適用された半導体装置製造方法は、半導体装置パッケージにはんだが付着することをより確実に防止することができ、半導体装置パッケージをよりきれいに仕上げることができる。
【0041】
本発明による吊りピン切断方法の実施の他の形態は、別個の第1装置と第2装置とを用いて実行される。このとき、ユーザは、その第1装置を用いて、フレーム6のうちの吊りピン7に接合されている部分を引っ張り方向22に移動させて吊りピン7を切断することにより、パッケージ本体3からフレーム6を切り離す。ユーザは、吊りピン7が切断された後に、その第2装置を用いて、パッケージ本体3を形成する樹脂の所定の部分をせん断することより、その樹脂のうちのエアベントバリ8と切断面23とが形成されている部分をパッケージ本体3から切り離す。このような吊りピン切断方法は、既述の実施の形態における吊りピン切断方法と同様にして、半導体装置パッケージからエアベントバリ8をより確実に除去されることができ、半導体装置パッケージにはんだが付着することをより確実に防止することができる。
【0042】
本発明による吊りピン切断方法の実施のさらに他の形態は、せん断と異なる切断方法を用いてパッケージ本体3を形成する樹脂からその不要な部分を切り離す。その切断方法としては、1つの刃で切断することが例示される。このような吊りピン切断方法は、既述の実施の形態における吊りピン切断方法と同様にして、半導体装置パッケージからエアベントバリ8をより確実に除去されることができ、半導体装置パッケージにはんだが付着することをより確実に防止することができる。
【0043】
なお、本発明の実施形態による吊りピン切断装置は、吊りピン7に伸び応力を発生させて切断することと異なる他の切断方法で吊りピン7を切断するように構成されることもできる。その切断方法としては、刃を用いて切断することが例示される。このような吊りピン切断装置を用いて実行される吊りピン切断方法は、既述の実施の形態における吊りピン切断方法と同様にして、半導体装置パッケージからエアベントバリ8をより確実に除去されることができ、半導体装置パッケージにはんだが付着することをより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 :分離前半導体装置パッケージ
2 :リードフレーム
3 :パッケージ本体
5 :複数のリード
6 :フレーム
7 :吊りピン
8 :エアベントバリ
11:ダイ
12:パンチ
14:パッケージ支持部
15:固定側刃部
16:開口部
17:切断方向
18:突起部
19:移動側刃部
21:押部
22:引っ張り方向
23:切断面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8