【実施例1】
【0019】
本発明による実施例1に係る燃料電池・ガスタービンコンバインド発電システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本実施例に係る燃料電池・ガスタービンコンバインド発電システムの概略図である。
図1に示すように、燃料電池・ガスタービンコンバインド発電システム(SOFC13及びガスタービン11が結合されたシステム)10Aは、ガスタービン11の圧縮機14からの吐出空気18AをSOFC13側に供給するノルマルクローズの自動弁21を介装した吐出空気流路(空気供給ライン)L
2と、SOFC13から排出される排出空気18Bをガスタービンの燃焼器16に供給するノルマルクローズの自動弁22を介装した排出空気流路(排出空気供給ライン)L
3と、排出空気流路(排出空気供給ライン)L
3から分岐され、外部に排出空気18Bを放出するノルマルオープンの自動弁63及び第1のオリフィス81を介装した分岐排出空気流路L
4と、燃料ガス31をSOFC13側に供給するノルマルクローズの自動弁35を介装した燃料ガス流路L
5と、SOFC13の燃料極側から排出される排燃料ガス31Aをガスタービン燃焼器16に供給するノルマルクローズの自動弁32を介装した排燃料ガス流路L
6と、排燃料ガス流路L
6から分岐されノルマルオープンの自動弁53及び第2のオリフィス82を介装した分岐排燃料ガス流路L
7と、燃料ガス流路L
5とノルマルクローズの自動弁35とSOFC13との間に導入されるパージガス70を供給するパージガス供給手段71と、分岐排出空気流路L
4のノルマルオープンの自動弁63と前記第1のオリフィス81との間に前記分岐排燃料ガス流路L
7が合流する合流部85とを具備するものである。なお、
図1中、符号、13AはSOFC容器を図示する。
【0020】
燃料電池・ガスタービンコンバインド発電システム(以下「発電システム」ともいう)10Aには、ガスタービン11と、ガスタービン11により駆動される発電機Gと、SOFC13と、が備えられている。
【0021】
この発電システム10Aは、SOFC13による発電と、ガスタービン11による発電とを組み合わせて、高い発電効率を得るように構成したものである。
【0022】
ガスタービン11には、空気18を圧縮する圧縮機14と、燃焼ガス15を生成するガスタービン燃焼器16と、ガスタービン燃焼器16から供給された燃焼ガス15を膨張させて回転するタービン17と、が備えられている。空気18を空気導入ラインL
1により導入して圧縮する圧縮機14は、タービン17と同軸に連結されている。発電機12は、タービン17と同軸に連結されている。
【0023】
圧縮機14で圧縮され、吐出された吐出空気18Aは、吐出空気流路(空気供給ライン)L
2を通ってSOFC13の空気極の導入部に供給される。
この吐出空気18AはSOFC13で酸化剤として用いられた後、SOFC13の空気極側から排出空気18Bとして排出される。この排出空気18Bは、排出空気流路(排出空気供給ライン)L
3を通ってガスタービン燃焼器16に供給される。
【0024】
吐出空気流路L
2には、圧縮機14側から順に、タービン17からの排燃焼ガス15Aと吐出空気18Aとを熱交換させるエアヒータ(AH)19と、SOFC13とガスタービン11とを切り離すノルマルクローズの自動弁21が介装されている。なお、本実施例では省略しているが、排出空気流路L
3の排出空気18Bと吐出空気18Aとを熱交換させる空気熱交換器と、吐出空気18Aを燃焼する燃焼器とを設けるようにしてもよい。
排出空気流路L
3には、SOFC13とガスタービン11とを切り離すノルマルクローズの自動弁22が備えられている。
【0025】
また、SOFC13の燃料極には、燃料ガス流路L
5から燃料ガス31、例えば都市ガス(天然ガス)等が供給される。この燃料ガス31はSOFC13で還元剤として一部が用いられた後、SOFC13の燃料極側から排燃料ガス31Aとして排出される。この排燃料ガス31Aは、排燃料ガス流路L
6を通ってガスタービン燃焼器16に供給される。
なお、本実施例では省略しているが、燃料ガス流路L
5には、排燃料ガス流路L
6の排燃料ガス31Aから熱回収する燃料ガス熱交換器を備えるようにしてもよい。
【0026】
また、排燃料ガス流路L
6には、排燃料ガス31Aの圧力を調整するノルマルクローズの自動弁32が備えられている。また、排燃料ガス流路L
6から排燃料ガス31Aを燃料ガス流路L
5側に再循環させる再循環ブロア33が介装された再循環流路L
8が備えられており、排燃料ガス31Aの再利用を図っている。
【0027】
ガスタービン燃焼器16では、排出空気流路L
3からの排出空気18Bを用いて排燃料ガス流路L
6から供給される排燃料ガス31A及び別途供給される燃料ガス34、たとえば、都市ガス(天然ガス)を燃焼させ、生成した高温高圧の燃焼ガス15をタービン17へ供給する。
【0028】
燃焼ガス15の供給を受けたタービン17では、燃焼ガス15が膨張する際のエネルギーで回転して軸出力を発生する。この軸出力は、主として図示しない発電機12の駆動に使用されて電気エネルギーに変換されるが、一部は圧縮機14の駆動源として使用される。燃焼ガス15は、タービン17で仕事をした後にはエアヒータ19で吐出空気18Aと熱交換すべく、排燃焼ガス15Aとして排出される。
【0029】
なお、上述のように、SOFC13から排出された排燃料ガス31Aの一部を再びSOFC13の燃料極側に戻し、残りの排燃料ガスの一部をガスタービン燃焼器16に送るように構成されていてもよいし、SOFC13から排出された排燃料ガス31Aの全てをガスタービン燃焼器16側に送る構成とされていてもよい。
【0030】
ここで、本実施例では、パージガス供給手段71としては、パージガスボンベ71aと、パージガスボンベ71aからパージガス70を燃料ガス流路L
5とに供給するノルマルオープンの自動弁75を介装したパージガス供給ラインL
11と、パージガス供給ラインL
11のノルマルオープンの自動弁75の前流側に介装された第3のオリフィス83と、第3のオリフィス83の前後に設けられた減圧弁73及び背圧弁74とを具備する。
【0031】
そして、重篤なトリップが発生した場合には、ノルマルオープンの自動弁53,63を開くと共に、ノルマルクローズの自動弁35、32、22を閉とする。
そして、パージガス供給手段71から燃料ガス流路L
5にパージガス70を供給し、分岐排出空気流路L
9の第1のオリフィス81を介して排出される排出空気18Bに、パージガス70を第2のオリフィス82を介して合流させつつ、同一箇所から合流したガスを降圧させつつ外部に排出するようにしている。
【0032】
ここで、パージガス70の供給は、パージガスボンベ71aからとし、ノルマルオープンの自動弁75が開となることで、パージガス70を供給するようにしている。
パージガス70の供給流量は、第3のオリフィス83の前後に設けた減圧弁73及び背圧弁74を調整して圧力を規定することで、一定流量通気できる系統としている。
【0033】
ここで、ノルマルオープンの自動弁とは、計装空気若しくは電源が断となる際に、開となるバルブをいう。
また、ノルマルクローズの自動弁とは、計装空気若しくは電源が断となる際に、閉となるバルブをいう。
【0034】
本実施例では、空気の外部からの供給は行わず、SOFC容器13A内の空気(加圧分)をブローするようにしている。
また、排出空気18Bの降圧速度は、分岐排出空気流路L
4に介装した第1のオリフィス81により調整するようにしている。
【0035】
また、燃料ガス31側においては、排燃料ガス流路L
6からノルマルオープンの自動弁53を介装して、従来実施していた内圧制御を取りやめている。
そして、排燃料ガス流路L
6の下流側を、分岐排出空気流路L
4と、の第1のオリフィス81の上流側と合流部85で接続し、空気出口と燃料出口を同圧とするようにしている。
なお、排燃料ガス流路L
6のノルマルオープンの自動弁53の下流側に第2のオリフィス82を設置し、通気するパージガスの圧損分だけ燃料側の圧力が、空気側の圧力と同圧以上の状態とするようにしている。
パージガス量と作用させたい差圧から第2のオリフィス82の径を選定し、作用させる差圧は、SOFC13の破損に至らない範囲とするのが好ましい。
【0036】
パージガスの準備する量としては、系内をパージするのに必要な量とし、冷却に必要な時間を掛けて通気することとしている。
降圧中に燃料側のパージが終了し、ガス流れが悪くなった場合でも、SOFC13の燃料側の圧力は、空気出口部(空気側の第1のオリフィス81上部)と同圧となるため、SOFC13の破損には至らないものとなる。
【0037】
また、燃料ガス流路L
5の燃料側系統内にパージガス70を通気し、SOFC容器13A内の空気(加圧分)をブローすることで空気の熱量分を排気させ、最低限の冷却を行うようにしている。
【0038】
この結果、本実施例によれば、例えばシステム故障等の重篤な状態でも、パージガスによるパージ及び冷却を実施することが可能となる。
【0039】
これに対して、通常の停止の場合には以下のように行う。
通常停止の最終段階は、燃料系パージとなるため、燃料側においては、重篤なトリップ時の動作と基本的には同じ操作となる。
ただし、制御装置が使用できる状態であるので、パージガス70のガス量や燃料側の内圧をより細かく調整可能となる。
また、通常運転用に不活性供給ガスライン(図示せず)を別途設置している場合には、その不活性ガス供給ラインからガスを供給するようにしてもよい。
【0040】
また、合流部85において、排燃料ガス31Aと空気とによる燃焼を防止するため、排燃料流量と排空気流量の比率を考慮して(爆発範囲外とする)パージガス流量を設定するようにするのが好ましい。
【0041】
これに対し、合流部85に触媒等を設置し、排燃料ガス31Aを触媒燃焼処理するようにしてもよい。
【0042】
この際、燃料側への逆火を防止するため、第2のオリフィス82フレームアレスタ等の逆火防止装置を設置するのが好ましい。
なお、このフレームアレスタの設置により、適度な差圧が発生する場合には、第2のオリフィスを不要とすることもできる。
【0043】
また、パージガス70の投入位置を再循環流路L
8とし、再循環ブロワ33のラインパージ、軸封・冷却の機能を兼ねるようにしてもよい。この際、再循環ブロワ33の前段側にはノルマルクローズの自動弁を設置するようにして、ラインを閉とすればよい。
【0044】
さらに、停止後の再起動に備えて、SOFC13を高温状態で保持したい場合には、燃料側にパージに必要な分のガスを通気させた後、封じ込め状態とするようにすればよい。具体的には、ノルマルオープンの自動弁75、53を閉としてパージガスを封印させる。
【0045】
空気側の操作も同様であり、停止後の再起動に備えて、SOFC13を高温状態で保持したい場合には、空気側を封じ込め状態とするようにすればよい。具体的には、ノルマルオープンの自動弁63を閉としてパージガスを封印させる。
【0046】
以上、本実施例によれば、通常の停止操作及びインターロック発生時における緊急停止操作を兼ね備えた制御が可能となり、システム故障等の重篤な場合においてもパージ、冷却が可能となる。
【0047】
さらに、重篤なトリップ等におけるインターロック発生時用にバックアップ設備を別途設けることが必要なくなり、コンパクトな燃料電池・ガスタービンコンバインド発電システムを提供することができる。