特許第5794820号(P5794820)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794820
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】酸化型染毛剤又は脱色剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20150928BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20150928BHJP
   A61K 8/43 20060101ALI20150928BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20150928BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20150928BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20150928BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20150928BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20150928BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61K8/41
   A61K8/43
   A61K8/19
   A61K8/22
   A61K8/06
   A61K8/02
   A61Q5/08
   A61Q5/10
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-96229(P2011-96229)
(22)【出願日】2011年4月22日
(65)【公開番号】特開2012-224605(P2012-224605A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2014年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】門田 圭司
(72)【発明者】
【氏名】松永 賢一
(72)【発明者】
【氏名】山田 孝
(72)【発明者】
【氏名】池田 直弘
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−020625(JP,A)
【文献】 特開2000−086471(JP,A)
【文献】 特開2010−105997(JP,A)
【文献】 特開2007−230900(JP,A)
【文献】 特開2002−220327(JP,A)
【文献】 特開平11−029443(JP,A)
【文献】 特開2000−128748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A61K8/00−8/99
A61Q1/00−90/00
DB JSTPlus/JMEDPlus/JST7580
(JDreamIII)
Thomson Innovation
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する乳化型のクリーム状第1剤と
過酸化水素を含有する乳化型のクリーム状第2剤と、
常温で液体である芳香族アルコールを30質量%以上含む第3剤と
を混合して使用する酸化型染毛剤又は毛髪用脱色剤組成物。
【請求項2】
第1剤の粘度が20,000〜200,000mPa・sであり、第2剤の粘度が6,000〜150,000mPa・sである請求項1記載の酸化型染毛剤又は毛髪用脱色剤組成物。
【請求項3】
第1剤、第2剤及び第3剤の全てを混合したときの粘度が15,000〜60,000mPa・sである請求項1又は2記載の酸化型染毛剤又は毛髪用脱色剤組成物。
【請求項4】
第1剤の質量と第2剤の質量との比(第1剤/第2剤)が、0.8〜1.2である請求項1〜3のいずれか1項記載の酸化型染毛剤又は毛髪用脱色剤組成物。
【請求項5】
第3剤の質量と第1剤及び第2剤の合計質量との比(第3剤/(第1剤+第2剤))が、0.03〜0.4である請求項1〜4のいずれか1項記載の酸化型染毛剤又は毛髪用脱色剤組成物。
【請求項6】
芳香族アルコールが、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェネチルアルコール、p-アニシルアルコール、p-メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール及び2-ベンジルオキシエタノールから選ばれるものである請求項1〜5のいずれか1項記載の酸化型染毛剤又は毛髪用脱色剤組成物。
【請求項7】
第1剤、第2剤及び第3剤からなる酸化型染毛剤又は毛髪用脱色剤キットであって、当該第1剤、第2剤及び第3剤が、請求項1記載の酸化型染毛剤又は毛髪用脱色剤組成物を用いて以下の規定を満たすように構成されたものである酸化型染毛剤又は毛髪用脱色剤キット。
1)第1剤の質量と第2剤の質量との比(第1剤/第2剤)が0.8〜1.2である
2)第3剤の質量と第1剤及び第2剤の合計質量との比(第3剤/(第1剤+第2剤))が0.03〜0.4である
3)第1剤、第2剤及び第3剤の全てを混合したときの粘度が15,000〜60,000mPa・sである
4)第1剤が、容器に収容され、単独での粘度が20,000〜200,000mPa・sであり、質量が30〜80gである
5)第2剤が、容器に収容され、単独での粘度が6,000〜150,000mPa・sであり、質量が30〜80gである
6)第3剤が、吐出口の面積が1.00〜2.00mm2である樹脂製の容器に収容され、単独での粘度が1〜3000mPa・sであり、質量が3〜20gである
【請求項8】
第3剤の容器を押したときの押し圧が10〜50Nである請求項7記載の酸化型染毛剤又は毛髪用脱色剤キット。
【請求項9】
第3剤の容器本体の胴部外形が、容器本体の高さ方向の中央部において、容器断面の短径と長径の比が0.60〜0.80である請求項7又は8記載の酸化型染毛剤又は毛髪用脱色剤キット。
【請求項10】
第3剤における芳香族アルコールが、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェネチルアルコール、p-アニシルアルコール、p-メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール及び2-ベンジルオキシエタノールから選ばれるものである請求項7〜9のいずれか1項記載の酸化型染毛剤又は毛髪用脱色剤キット。
【請求項11】
必要量を取り出して分割使用可能なものである請求項7〜10のいずれか1項記載の酸化型染毛剤又は毛髪用脱色剤キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化型の染毛剤又は脱色剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
染毛剤の剤型としては、古くから、クリーム状や液状のものが知られている。クリーム状(すなわち乳化型)の剤型は、チューブに収納して、使用時に使用したい分だけを取り出して、第1剤と第2剤とを混合して用いることができるため、部分染め用に適している。これに対し、液状の剤型は、第1剤と第2剤との混合が簡便であるという利点はあるが、使用したい分だけを正確に量り取ることが困難であるため、通常は全量を一度に混合することを前提としており、全頭染めに適している。
【0003】
ところで、アルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤との酸化反応によって毛髪を脱色ないし染色する酸化型の染毛剤又は脱色剤組成物は、毛髪損傷を引き起こし易く、くすみを生じさせ、ツヤの失われた仕上がりとなるという欠点を有している。
【0004】
一方、芳香族アルコールは、処理後の毛髪の揃いを良くすることで、ツヤを向上させることができるため、染毛剤や毛髪脱色剤に配合されることがある成分である。芳香族アルコールを多量に配合した酸化型染毛剤又は脱色剤組成物として、例えば、特許文献1には、クリーム状の第1剤に2-ベンジルオキシエタノールを10%含有し、かつ第2剤もクリーム状である毛髪脱色剤が開示されており、特許文献2には、クリーム状の第1剤と、液状(すなわち可溶化系)の第2剤にベンジルアルコールを10%含有する酸化染毛剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-193770号公報
【特許文献2】特開2002-220327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、クリーム状の処方に10%程度の高濃度の芳香族アルコールを含有させたものは、40〜50℃といった高温下で保存すると1ヶ月程度で分離が生じてしまうことがわかった。一方で、可溶化系の処方の場合には、10%程度の高濃度の芳香族アルコールを含有させ、40〜50℃といった高温下で保存しても分離は生じないが、第2剤が液状であるため、部分染め用として使いづらい剤型である。
【0007】
従って本発明は、第1剤及び第2剤が、使用時に使用したい分だけを用いることができ部分染め用に好適な、クリーム状の酸化型染毛剤又は脱色剤組成物において、芳香族アルコールを高濃度に含有するにもかかわらず、高温で保存した場合でも安定性に優れ、高濃度の芳香族アルコールによる効果を享受できる酸化型染毛剤又は脱色剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる実情において、本発明者らは、第1剤及び第2剤がクリーム状である酸化型染毛剤又は脱色剤組成物において、芳香族アルコールを高濃度に含有させる手段について鋭意検討を重ねた結果、クリーム状の第1剤及び第2剤とは別に、有機溶剤を第3剤として用意して、使用時に第1剤、第2剤及び第3剤を混合して用いれば、高温下での保存安定性で問題を生じることがなく、しかも一般的には毛髪損傷を引き起こし易い酸化型の染毛剤又は脱色剤であるにもかかわらず、毛髪の揃いがよく、良好なツヤのある仕上がりが得られることを見出した。
【0009】
本発明は、アルカリ剤を含有する乳化型のクリーム状第1剤と過酸化水素を含有する乳化型のクリーム状第2剤を混合して使用する酸化型染毛剤又は脱色剤組成物であって、更に常温で液体である芳香族アルコールを30質量%以上含む第3剤を有する酸化型染毛剤又は脱色剤組成物を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、第1剤、第2剤及び第3剤からなる酸化型染毛剤又は脱色剤キットであって、当該第1剤、第2剤及び第3剤が、上記の酸化型染毛剤又は脱色剤組成物を用いて以下の規定を満たすように構成されたものである酸化型染毛剤又は脱色剤キットを提供するものである。
1)第1剤の質量と第2剤の質量との比(第1剤/第2剤)が0.8〜1.2である
2)第3剤の質量と第1剤及び第2剤の合計質量との比(第3剤/(第1剤+第2剤))が0.03〜0.4である
3)第1剤、第2剤及び第3剤の全てを混合したときの粘度が15,000〜60,000mPa・sである
4)第1剤が、容器に収容され、単独での粘度が20,000〜200,000mPa・sであり、質量が30〜80gである
5)第2剤が、容器に収容され、単独での粘度が6,000〜150,000mPa・sであり、質量が30〜80gである
6)第3剤が、吐出口の面積が1.00〜2.00mm2である樹脂製の容器に収容され、単独での粘度が1〜3000mPa・sであり、質量が3〜20gである
【発明の効果】
【0011】
本発明の酸化型染毛剤又は脱色剤組成物、及び酸化型染毛剤又は脱色剤キットは、部分染めに好適であり、混合物中に高濃度の芳香族アルコールを含有するにもかかわらず保存安定性に優れ、通常であればくすみが生じてツヤの低下が起こりやすい酸化型の染毛剤又は脱色剤組成物であるにもかかわらず毛髪の揃いを良くし、良好なツヤのある仕上がりを得ることができ、酸化型の染毛剤又は脱色剤組成物としての基本性能である髪色を明るくする能力にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第3剤の容器における吐出部を示す断面図である。
図2】第3剤の容器の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の酸化型染毛剤又は脱色剤組成物、及び酸化型染毛剤又は脱色剤キットは、第1剤、第2剤及び第3剤からなるものである。これは、染毛又は脱色処理の前又は後に用いる剤として、前処理剤や後処理剤をキットに含むことを排除するものではない。一方で、染毛又は脱色処理に用いる混合物を作る剤として第1剤、第2剤及び第3剤以外の剤は、キットの中に含まないことを意味する。
【0014】
本明細書において「混合物」とは、第1剤、第2剤及び第3剤の混合物をいうものとする。
【0015】
≪酸化型染毛剤又は脱色剤組成物≫
〔アルカリ剤〕
本発明の酸化型染毛剤又は脱色剤組成物は、第1剤にアルカリ剤を含有する。アルカリ剤としては、アンモニア及びその塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノブタノール等のアルカノールアミン及びその塩、1,3-プロパンジアミン等のアルカンジアミン及びその塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩等が挙げられる。
【0016】
アルカリ剤は、2種以上を併用してもよく、混合物中の含有量は、十分な染毛効果の点、及び毛髪損傷や頭皮刺激の低減の点から、0.05〜15.0質量%が好ましく、更には0.1〜10.0質量%、更には0.2〜5.0質量%が好ましい。
【0017】
〔酸化染料〕
本発明の組成物が染毛剤組成物である場合には、第1剤に酸化染料を含有する。酸化染料としては、通常染毛剤に使用されている公知のプレカーサー及びカプラーを用いることができる。プレカーサーとしては、例えばパラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、2-クロロ-パラフェニレンジアミン、N-メトキシエチル-パラフェニレンジアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2-(2-ヒドロキシエチル)-パラフェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラフェニレンジアミン、4,4′-ジアミノジフェニルアミン、1,3-ビス(N-(2-ヒドロキシエチル)-N-(4-アミノフェニル)アミノ)-2-プロパノール、PEG-3,3,2′-パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、3-メチル-4-アミノフェノール、2-アミノメチル-4-アミノフェノール、2-(2-ヒドロキシエチルアミノメチル)-4-アミノフェノール、オルトアミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、2-アミノ-5-アセタミドフェノール、3,4-ジアミノ安息香酸、5-アミノサリチル酸、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノ-4-ヒドロキシピリミジン、4,5-ジアミノ-1-(4′-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ヒドロキシエチルピラゾールとこれらの塩等が挙げられる。
【0018】
また、カプラーとしては、例えばメタフェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチルアミノ)アニソール、2,4-ジアミノ-5-メチルフェネトール、2,4-ジアミノ-5-(2-ヒドロキシエトキシ)トルエン、2,4-ジメトキシ-1,3-ジアミノベンゼン、2,6-ビス(2-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、2,4-ジアミノ-5-フルオロトルエン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、メタアミノフェノール、2-メチル-5-アミノフェノール、2-メチル-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2, 4-ジクロロ-3-アミノフェノール、2-クロロ-3-アミノ-6-メチルフェノール、2-メチル-4-クロロ-5-アミノフェノール、N-シクロペンチル-メタアミノフェノール、2-メチル-4-メトキシ-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2-メチル-4-フルオロ-5-アミノフェノール、レゾルシン、2-メチルレゾルシン、4-クロロレゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、4-ヒドロキシインドール、5-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドール、7-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,4-メチレンジオキシフェノール、2-ブロモ-4,5-メチレンジオキシフェノール、3,4-メチレンジオキシアニリン、1-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジン、2,6-ジメトキシ-3,5-ジアミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-メチルアミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、2,6-ジアミノピリジンとこれらの塩等が挙げられる。
【0019】
プレカーサーとカプラーは、それぞれ2種以上を併用してもよく、その含有量は、それぞれ混合物中の0.01〜5.0質量%、更には0.1〜4.0質量%が好ましい。
【0020】
〔他の染料〕
本発明の染毛剤組成物は、酸化染料以外の染料として、更に直接染料を併用することができる。直接染料としては、ニトロ染料、分散染料、塩基性染料、酸性染料等が挙げられる。ニトロ染料としては、2-ニトロ-パラフェニレンジアミン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、3-ニトロ-パラヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ニトロ-オルトフェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、HCブルーNo.2、HCオレンジNo.1、HCレッドNo.1、HCイエローNo.2、HCイエローNo.4、HCイエローNo.5、HCレッドNo.3、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-パラフェニレンジアミン等が挙げられ、分散染料としては、ディスパーズバイオレット1、ディスパーズブルー1、ディスパーズブラック9等が挙げられ、塩基性染料としては、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックレッド76、ベーシックレッド51、ベーシックイエロー57、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31等が挙げられる。酸性染料としては、だいだい色205号、赤色106号等が挙げられる。
【0021】
直接染料は、2種以上を併用してもよい。またその含有量は、混合物中に0.001〜5.0質量%、更には0.01〜3.0質量%が好ましい。
【0022】
〔過酸化水素〕
本発明の酸化型染毛剤又は脱色剤組成物は、第2剤に過酸化水素を含有する。混合物中の過酸化水素の含有量は、十分な染毛効果、及び毛髪損傷や頭皮刺激の低減の点から、0.1〜12.0質量%が好ましく、更には0.5〜9.0質量%、更には1.0〜6.0質量%が好ましい。
【0023】
〔界面活性剤〕
本発明の酸化型染毛剤又は脱色剤組成物には、第1剤及び第2剤に界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれをも使用することができる。
【0024】
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル系アニオン界面活性剤;N-アシルアミノ酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩、アミド型N-アシルアミノ酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、コハク酸アルキル又はコハク酸アルケニルの塩等のカルボン酸系アニオン界面活性剤;スルホコハク酸塩型、イセチオン酸塩型、タウリン塩型、アルキルベンゼンスルホン酸塩型、α-オレフィンスルホン酸塩型、アルカンスルホン酸型等のスルホン酸系アニオン界面活性剤;アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル系アニオン界面活性剤が挙げられる。これらのうち、カルボン酸系、硫酸エステル系が好ましく、特にカルボン酸系が好ましい。カルボン酸系アニオン界面活性剤の中でも、N-アシルアミノ酸塩、エーテルカルボン酸塩が好ましく、特に、アシル基の炭素数が10〜18、好ましくは10〜16、更には10〜14のN-アシルグルタミン酸塩、アルキル基の炭素数が10〜18、好ましくは10〜16、更には10〜14でオキシエチレン基の平均付加モル数が3〜15、好ましくは3〜12、更には4〜10のポリオキシエチレンアルキルカルボン酸塩が好ましい。
【0025】
非イオン界面活性剤としては、アルキルポリグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグリセリルエーテル等が挙げられる。アルキルポリグルコシドとしては、アルキル基の炭素数が8〜18、更には8〜14、特に9〜11であるものが好ましく、またこのアルキル基が直鎖であるものが好ましい。グルコシドの平均重合度は1〜5、特に1〜2が好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が10〜22、特に12〜18であるものが好ましく、またこのアルキル基が直鎖であるものが好ましい。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがより好ましく、なかでもオキシエチレン基の平均付加モル数が1〜50、特に2〜40であるものが好ましい。アルキルグリセリルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が8〜18、特に8〜12であるものが好ましく、またこのアルキル基が分岐鎖であるものが好ましい。
【0026】
カチオン界面活性剤としては、モノ長鎖アルキル4級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキル4級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、セトリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ステアロキシプロピルトリモニウムクロリド、ジアルキル(C12−18)ジモニウムクロリド等が挙げられ、ステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ステアロキシプロピルトリモニウムクロリド、ジアルキル(C12−18)ジモニウムクロリドがより好ましい。カチオン界面活性剤の市販品としては、コータミン86W、同86P コンク、同60W、同E-80K、同D2345P(以上、花王社製)、ニッコール CA-2580(日本サーファクタント工業社製)が挙げられる。
【0027】
両性界面活性剤としては、炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基又はアシル基を有するカルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系、ホスホベタイン系、イミダゾリニウム系の界面活性剤が挙げられ、なかでもカルボベタイン系界面活性剤、スルホベタイン系界面活性剤が好ましい。好ましい両性界面活性剤としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0028】
界面活性剤は二種以上を併用することもでき、混合物中の含有量は、混合物の安定性の観点より、2.0〜8.0重量%が好ましく、更には2.5〜7.0質量%、特に3.0〜6.0質量%が好ましい。
【0029】
〔高級アルコール〕
本発明の酸化型染毛剤又は脱色剤組成物には、感触改善、安定性の観点から、第1剤及び第2剤に、炭素数12以上の高級アルコールを含有させることが好ましい。これらは、界面活性剤と構造体を形成して分離を防ぐと共に、すすぎ時の感触を改善する効果がある。
【0030】
高級アルコールとしては、炭素数12〜30、特に16〜22のものが好ましく、具体的には、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール等、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0031】
高級アルコールは、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、混合物の粘度及び安定性の観点より、混合物中の3.0〜11.0重量%、特に4.0〜9.0重量%が好ましい。
【0032】
〔多価アルコール〕
本発明の染毛剤又は脱色剤組成物は、いずれか1以上の剤に、更に多価アルコールを含有することが好ましい。多価アルコールとしては、炭素数2〜20のもの、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類;キシリット、マンニット、ガラクチット、ソルビット等の糖アルコール類;その他トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0033】
多価アルコールは、二種以上を併用してもよい。また、混合物中の含有量は、毛髪にうるおいを与え、毛髪のぱさつきを抑止する効果に優れる点から、0.1〜20質量%が好ましく、更には0.5〜15.0質量%、更には1.0〜10.0質量%が好ましい。
【0034】
〔芳香族アルコール〕
第3剤に含まれる常温で液体の芳香族アルコール(以下、単に「芳香族アルコール」という)としては、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェネチルアルコール、p-アニシルアルコール、p-メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール等が挙げられ、特にベンジルアルコール、2-ベンジルオキシエタノールが好ましい。なお、本出願において「常温」とは、25℃をいうものとする。芳香族アルコールは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これら芳香族アルコールは、第3剤に30質量%以上含有する以外に、第1剤及び第2剤の保存安定性を損ねない範囲で、第1剤及び第2剤にも含有させることができる。第1剤及び/又は第2剤のそれぞれの芳香族アルコールの含有量は、好ましくは2質量%以下、更には1.5質量%以下、更には1質量%以下が望ましい。芳香族アルコールは、毛髪への混合物のなじみやすさと適用した髪の揃いの観点より、混合物中に2質量%を超える量含有することが好ましく、より好ましくは混合物中に2.5〜10質量%、更に好ましくは3〜8質量%含有する。第3剤中に含まれる芳香族アルコールの量は、30質量%以上であるが、35質量%以上、更には40質量%以上とすることが好ましい。一方、芳香族アルコールを混合物中に適切な濃度で添加できるのであれば、第3剤中に含まれる芳香族アルコールの量は、100質量%でもかまわないが、粘度の調整その他の目的で他の成分を含ませてもよい観点から90質量%以下、更には80質量%以下とすることもできる。
【0035】
〔媒体〕
第1剤及び第2剤には、媒体として、水及び必要により有機溶剤が使用され、第3剤にも、芳香族アルコール以外に他の有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、エタノール、2-プロパノール等の低級アルカノール類、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン等のポリオール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ベンジルセロソルブ等のセロソルブ類、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類が挙げられる。
【0036】
〔その他任意成分〕
本発明の酸化型染毛剤又は脱色剤組成物には、以上述べた成分のほかに通常化粧品原料として用いられる他の成分を加えることができる。このような任意成分としては、炭化水素類、動植物油脂、高級脂肪酸類、天然又は合成の高分子、シリコーン類、エーテル類、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、防腐剤、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤が挙げられる。
【0037】
〔pH〕
本発明の酸化型染毛剤又は脱色剤組成物のpH(25℃)は、第1剤は8.0〜12、第2剤は2.0〜5.0が好ましく、第1剤〜第3剤の混合時の全組成物は、脱色・染毛効果と皮膚刺激性の点から、8.0〜11.5、特に9.0〜11.0が好ましい。pH調整剤としては、前記のアルカリ剤のほか、塩酸、リン酸等の無機酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸等の有機酸、塩酸モノエタノールアミン等の塩酸塩、リン酸二水素一カリウム、リン酸一水素二ナトリウム等のリン酸塩等が挙げられる。
【0038】
本発明の酸化型染毛剤又は脱色剤組成物における第1剤単独での粘度は、第1剤、第2剤及び第3剤を正しい比率で混合した場合でも、多少比率が外れた場合でも、髪への適用がしやすく、放置中に液だれしにくいものとする観点から、20,000〜200,000mPa・sが好ましく、更には40,000〜180,000mPa・sが好ましく、更には60,000〜190,000mPa・sが好ましい。また、第2剤単独での粘度は、同様な観点から6,000〜150,000mPa・sが好ましく、更には8,000〜120,000mPa・sが好ましく、更には10,000〜80,000mPa・sが好ましい。
【0039】
本発明の酸化型染毛剤又は脱色剤組成物における第3剤単独での粘度は、収容する容器と相まって、部分染めに用いるために小分けする際にも、取り出す量の微調整をしやすくする観点から1〜3000mPa・sが好ましく、更には5〜2000mPa・sが好ましく、更には10〜1500mPa・sが好ましい。
【0040】
また、本発明の酸化型染毛剤又は脱色剤組成物の第1剤、第2剤及び第3剤の全てを混合したときの粘度は、髪への適用がしやすく、放置中に液だれしにくいものとする観点から、15,000〜60,000mPa・sが好ましく、更には18,000〜55,000mPa・sが好ましく、更には20,000〜50,000mPa・sが好ましい。
【0041】
本発明の酸化型染毛剤又は脱色剤組成物の第1剤と第2剤の質量比(第1剤/第2剤)は、部分染めに用いるために小分けする場合であっても、第1剤と第2剤の混合比を揃えやすいものとする観点から0.8〜1.2が好ましく、更には0.85〜1.15が好ましく、更には0.9〜1.1が好ましい。
【0042】
また、第3剤の質量と第1剤及び第2剤の合計質量との比(第3剤/(第1剤+第2剤))は、第1剤、第2剤及び第3剤の全てを混合したときの粘度を適切な範囲としつつ、芳香族アルコールを混合物中にできる限り多量に含ませる観点から、0.03〜0.4が好ましく、更には0.05〜0.3が好ましく、更には0.08〜0.2が好ましい。
【0043】
≪酸化型染毛剤又は脱色剤キット≫
本発明の酸化型染毛剤又は脱色剤組成物は、第1剤と第2剤はクリーム状であるため、第1剤と第2剤とを正しい比率となるように計量することは比較的簡単である。しかし、芳香族アルコールを含有する第3剤が液状であることから、第1剤及び第2剤に対して正しい比率を容易に計量できるようにするために、以下に示す酸化型染毛剤又は脱色剤キットの形態とすることが望ましい。このキットによれば、第3剤を1滴ずつ滴下することが容易であり、かつ1滴1滴の量のぶれが少ないため、滴下した滴の数で正確に計量できるから、慣れない人が用いた場合でも、第3剤を過大に計量してしまうことがなく、そのような過大計量により混合物の粘度が低くなりすぎ、髪に塗布後の放置中に垂れ落ちることを回避することができる。しかも、少ない力によって1滴ずつ計量することが可能なため、所望の量を計量に要する時間も短時間で済ますことができる。
【0044】
本発明の酸化型染毛剤又は脱色剤キットは、以上述べた酸化型染毛剤又は脱色剤組成物の第1剤、第2剤及び第3剤を用いて以下の規定を満たすように構成されたものである。
1)第1剤の質量と第2剤の質量との比(第1剤/第2剤)が0.8〜1.2である
2)第3剤の質量と第1剤及び第2剤の合計質量との比(第3剤/(第1剤+第2剤))が0.03〜0.4である
3)第1剤、第2剤及び第3剤の全てを混合したときの粘度が15,000〜60,000mPa・sである
4)第1剤が、容器に収容され、単独での粘度が20,000〜200,000mPa・sであり、質量が30〜80gである
5)第2剤が、容器に収容され、単独での粘度が6,000〜150,000mPa・sであり、質量が30〜80gである
6)第3剤が、吐出口の面積が1.00〜2.00mm2である樹脂製の容器に収容され、単独での粘度が1〜3000mPa・sであり、質量が3〜20gである
【0045】
第1剤及び第2剤を収納する容器は、通常クリーム状の染毛剤に用いられるチューブ容器が好ましい。具体的には第1剤は内面にエポキシ樹脂を焼付け塗装したアルミチューブが好ましく、例えば武内プレス社製のφ28.5mm×128.8mmのチューブが好ましい。第2剤はプラスチックチューブが好ましく、例えば大和製罐社製の外層が直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、内層が低密度ポリエチレン(LDPE)の2層のφ30.0mm×128.5mmのチューブが好ましい。
【0046】
第1剤〜第3剤の質量比、粘度のより好ましい範囲は、前記の組成物の説明で述べたとおりである。
【0047】
本発明のキットにおける各剤の質量は、第1剤及び第2剤は30〜80gであり、更には35〜70g、更には40〜60gが好ましく、第3剤は3〜20gであり、更には5〜15g、更には8〜12gが好ましい。
【0048】
〔第3剤の容器〕
第3剤の容器は、慣れない人が用いた場合でも、容易に1滴ずつの計量ができ、微調整も容易であり、かつ1滴1滴の量のぶれが少なく、しかも1滴の体積が手ごろな量であるため多量の計量をする際にも手間がかからず、液だれもし難いものとするため、以下のように構成される。
【0049】
すなわち、第3剤を収容する容器の吐出口の面積は、1滴の体積を手ごろな量とし、しかも1滴1滴の量のぶれを少なくする観点から、前記のとおり、1.00〜2.00mm2であるが、好ましくは1.3〜1.9mm2、より好ましくは1.6〜1.8mm2である。ここでいう吐出口の面積とは、第3剤を滴下する吐出部の吐出径、すなわち開口部の最も狭い部分の孔径から計算される面積をいう。図1に例を示すように、吐出部は通常中栓に形成されるが、図中の開口部の最も狭い部分の面積を吐出口の面積とする。
【0050】
容器は、1滴ずつの滴下がし易いものとする一方で、一定のまとまった量を短時間で吐出することも可能となるように、樹脂製であることが好ましい。後述する押し圧の調整をしやすく、しかも第3剤を長期間保存しても容器と内容物の相互の影響が少なく、内容物が変質しにくいものとする観点から、具体的にはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート製が好ましい。なかでも容器の固さを調整しやすく、意図せざる押し過ぎによる過剰な滴下を防止する観点から、ポリエチレン製が好ましい。ポリエチレン容器の固さの調整は、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)のブレンドによって行うことが好ましい。高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)のブレンド比(HDPEの質量数/LDPEの質量数)は、50/50〜95/5、更には60/40〜90/10、更には70/30〜85/15が好ましい。
【0051】
また容器の固さを適切なものとし、かつ容器を押す力を解放したときに容器が円滑に復元することで、1滴1滴の滴下を連続的に円滑に行うことができる観点から、容器本体の樹脂量w(g)と容器本体の内容積V(mL)の2/3乗との比(w/V2/3)である「2/3乗係数」を0.40〜0.60とすることが好ましく、0.45〜0.55とすることがより好ましい。
【0052】
上述のように、容器の固さを調整することで、吐出のために容器の胴部を押したときの押し圧を適切なものとすることができる。押し圧は、10〜50N、好ましくは15〜45N、より好ましくは20〜40Nの範囲であるようなものが好ましい。なお、ここでいう押し圧は、プッシュプルゲージによって容器の胴部の真ん中辺りを5mm、短径方向に押して測定したときのピーク値をいうものとする。このような容器は、例えば東洋製罐社から入手することができる。
【0053】
また、容器本体の胴部外形は、滴下の際に、押し過ぎにより意図した以上の第3剤を滴下しないようにする観点から、その断面が扁平な形状であることが好ましく、具体的には、容器本体の高さ方向の中央部において、容器断面の短径と長径(図2)の比が0.60〜0.80であることが好ましく、更には0.62〜0.75が好ましく、更には0.64〜0.70が好ましい。
【0054】
〔使用方法〕
本発明の組成物又はキットを用いて毛髪を染色又は脱色処理するには、例えば本発明の組成物又はキットの第1剤〜第3剤のそれぞれ容器を開封して、クリーム状の第1剤と第2剤をそれぞれトレイ上に所定量及び所定比率取り出し、ここに第3剤を容器から必要量滴下して、第1剤〜第3剤を混合した後、毛髪に適用し、所定時間放置後、洗い流し、乾燥すればよい。毛髪への適用温度は15〜45℃、適用時間は3〜60分間、更に5〜45分間、特に10〜30分間が好ましい。
【0055】
本発明の組成物又はキットは、第1剤及び第2剤がクリーム状であり、液状の第3剤も必要量を正確に取り出し易いため、分割使用が可能であり、特に部分染め用として好適である。
【実施例】
【0056】
実施例1及び比較例1〜3
表1に示す三剤式あるいは二剤式の酸化型脱色剤を調製した。表1中、実施例1は、芳香族アルコールを第1剤、第2剤とは別個に第3剤としたもの、比較例1は、芳香族アルコールの全量を二剤式染毛剤の第1剤に含有させたもの、比較例2は、芳香族アルコールのを二剤式染毛剤の第1剤及び第2剤に半分ずつ含有させたもの、比較例3は第3剤を用いないこと以外は実施例1と同じものである。
【0057】
<保存安定性試験>
表1の各酸化型脱色剤をガラス瓶に入れて50℃の恒温室で1昼夜静置した後、室温(約25℃)に戻してそれぞれの剤の外観を確認し、下記基準に従って安定性を評価した。
【0058】
(保存安定性評価基準)
○:分離なく均一
△:わずかに分離
×:明らかに分離して不均一
【0059】
<脱色試験>
各酸化型脱色剤による脱色処理後の髪のツヤと明るさについて評価を行った。
第1剤は、内面にエポキシ樹脂を焼付け塗装した武内プレス社製のφ28.5mm×128.8mmのアルミチューブに封入しておいた。
第2剤は、大和製罐社製の外層が直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、内層が低密度ポリエチレン(LDPE)の2層のφ30.0mm×128.5mmのチューブに封入しておいた。
第3剤は、東洋製罐社製の高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)のブレンド比(HDPEの質量数/LDPEの質量数)が80/20であって、容器本体の樹脂量が2.5g、容器本体の内容積が11mL、2/3乗係数が0.51、短径が15.5mm、長径が23.5mm、扁平率(短径/長径)が0.66、吐出口の面積が1.77mm2である容器(容器1)に封入しておいた。
チューブから、第1剤と第2剤を15gずつプラスチックトレイ上に取り出し、実施例1はさらに第3剤を3g同じトレイ上に出して混合した。混合物をビューラックス社より購入した中国人黒髪トレス(長さ10cm、質量1g)に塗布し、30℃で20分静置後、温水ですすぎ、シャンプー、リンスして乾燥させた。乾燥後の髪のツヤ及び明るさを下記基準で評価した。
【0060】
(処理後の髪のツヤの評価基準)
○:髪が揃って自然なツヤを感じる
△:髪がやや揃っていて若干ツヤを感じる
×:髪の揃いが悪くツヤ感が弱い
【0061】
(処理後の髪の明るさの評価基準)
○:処理前よりも明るくなった
△:処理前よりわずかに明るくなった
×:処理前と同じ明るさ
【0062】
【表1】
【0063】
試験例1
実施例1の酸化型脱色剤について、第3剤10gを表2に示す容器(実施例1で用いた容器1ほか2種)に入れ、3g秤量した場合の秤量しやすさを下記の基準で評価した。
(秤量のしやすさ評価基準)
◎:1滴ずつの秤量が簡単にできる
○:1滴ずつの秤量は困難であり、微調整が難しいが、秤量自体はできる
【0064】
【表2】
【0065】
容器1:実施例1で用いた東洋製罐社製の容器
容器2:容器1の中栓を取り外し、吐出口の面積を大きくしたもの
容器3:円筒形のガラス瓶
【0066】
また、容器1の中栓を取り替えて吐出口の面積を3mm2とすると、1滴ごとに秤量する際に、秤量する人により1滴の量にばらつきが生じる場合があり、微調整が難しくなる。
また、容器1の樹脂をポリエチレンテレフタレート(PET)とすると、長期間保存した後、内容物が変質する場合がある。
図1
図2