【実施例】
【0019】
以下では、例示的な略図に基づいて本発明を詳しく説明する。
【0020】
図1によれば倉庫1には棚2および入出庫装置3が含まれている。慣用のように棚2は、プレート5の形態した倉荷用の上下に配置された複数の収容個所4を有する。わかり易くするため、
図1では棚2に入れられたプレート5は、ただ1つだけ示されている。
【0021】
入出庫装置3は、棚2の倉荷ないしはプレート5を入れるまたは取り出すための装置を構成している。支持および案内フレーム6により、荷搬送手段として設けられた入出庫装置3の往復運動ステージ7が垂直方向に案内される。原動機駆動の往復運動駆動器8により、往復運動ステージ7を上昇または下降させることができる。
【0022】
入出庫装置3の往復運動駆動器8には、同期サーボモータとして実施された2つの電気式駆動モータ、すなわち往復運動モータ9が含まれている。これらのモータは、上記の支持および案内フレーム6において互いに向き合って取り付けられている。
【0023】
各往復運動モータ9は、駆動シャフト10を有する駆動装置を介し、チェーンホイールとして構成された2つの駆動歯車を駆動する。各駆動歯車は、関連する駆動シャフト10のそれぞれの端部に取り付けられている。
図1および2において上記のチェーンホイールは、往復運動駆動器8の駆動部ケーシング11によって覆われている。
【0024】
これらのチェーンホイールはそれぞれ、駆動チェーンないしは往復運動チェーン12に噛み合っている。往復運動チェーン12は、支持および案内フレーム6の垂直方向を向いたそれぞれの柱の横を走行する。
図1および2では全部で4つある往復運動チェーン12のうちの1つが見ることができる。往復運動チェーン12は、慣用のローラチェーンである。
【0025】
往復運動チェーン12は、上記の駆動装置およびチェーンホイールと共に、往復運動駆動器8の各往復運動モータ9と、入出庫装置3の往復運動ステージ7との間の駆動接続を形成している。この駆動接続は、例えば
図3に示されている。
【0026】
また
図3からわかるように、各往復運動モータ9にはモータセンサ13が設けられている。モータセンサ13により、関連する往復運動モータ9の実際回転数についての情報も、往復運動ステージ7の垂直方向の往復運動位置についての情報も、すなわち、往復運動モータ9の動作によって往復運動位置がどのように調整されるはずであるかについての情報も共に得られる。しかしながら往復運動ステージ7の理論的な往復運動位置は、例えば、往復運動チェーン12の負荷によってきまる伸びに起因して、往復運動ステージ7の実際の往復運動位置とは偏差し得るため、往復運動ステージ7に位置センサ14が設けられているのである。
【0027】
モータセンサ13の往復運動位置情報と、位置センサ14の往復運動位置情報とから平均値が形成され、この値が、往復運動実際位置として往復運動駆動器8の数値制御部によってあらかじめ設定される位置目標値と比較される。実際値/目標値比較によって位置に差分が生じた場合、この差分は、位置制御器15において所定の増幅係数で増幅される。増幅したこの位置差分に基づき、速度制御器16および電流制御器17により、この位置差分を取り除くという点から往復運動モータ9のモータ電流が制御される。モータセンサ13、位置センサ14、位置制御器15、速度制御器16および電流制御器17は、往復運動駆動制御部20の一部である。往復運動モータ9ならびにそれぞれ対応する駆動装置、チェーンホイールおよび往復運動チェーン12は、入出庫装置3の往復駆動部器8を構成する。
【0028】
入出庫装置3の往復運動駆動器8は、垂直方向の搬送運動だけ行うためではなく、往復運動ステージ7の垂直方向の位置検出運動を実現するためにも使用される。この点で往復運動駆動器8は、位置検出駆動器も構成するのである。
【0029】
このために往復運動ないしは位置検出駆動器8には、詳しくいうと往復運動制御部20には検出ユニット18および評価ユニット19が接続される。検出ユニット18により、各往復運動モータ9の詳しく示していない変換器においてモータ電流が検出ないしは測定される。検出した複数のモータ電流は加算されて、評価ユニット19において、あらかじめ定めた境界値と比較される。この比較結果に依存して往復運動制御部20が応動する。
【0030】
垂直方向の負荷検出運動は、倉庫1の棚2から倉荷を取り出す
図2に示した動作フェーズにおいて、往復運動駆動器8によって実行される。取り出すプロセス中の詳しい流れは、
図4の流れ図に示されている。
【0031】
図4によればパレット、すなわち図示の実施例の場合のパレット5は、棚2の関連する収納個所4から入出庫装置3に、詳しくいえばその往復運動ステージ7に受け渡される。ここで関連するパレット5は、
図1に示しかつ搬送チェーンを備えた慣用の搬送装置24により、棚2の関連する収納個所4から、往復運動ステージ7に搬送される。往復運動ステージ7にパレット5が完全に受け渡されて(
図2)これに相応して水平方向のパレット運動が終了した後(
図4)、垂直方向の負荷検出運動が開始される。
【0032】
この垂直方向の負荷検出運動に対し、往復運動制御部20には位置目標値が格納されている。図示した例の場合、この位置目標値0.05mmは、パレット5を受け渡された際の往復運動ステージ7に対する位置目標値を上回っている。この垂直方向の負荷検出運動の絶対値は、これに相応して0.05mmに達する。この絶対値は、往復運動駆動器8のチェーンホイールのピッチよりも小さい。これによって保証されるのは、全負荷検出運動中に上記のチェーンホイールの関連する歯と、往復運動チェーン12の同じ一環とが噛み合うことである。往復運動ステージ7の駆動系における振動、すなわち往復運動チェーン12のチェーンの一環が関連するチェーンホイールの1つの歯から別の1つの歯に移行する際に生じ得る振動(「多角形作用」)は、回避される。
【0033】
パレット5を積載した往復運動ステージ7を上記の垂直方向の負荷検出運動の位置目標値に相応する往復運動位置に移動させるため、往復運動駆動器8の往復運動モータ9を作動させ、相応するモータ電流を供給する。このモータ電流と、往復運動モータ9の出力ないしは力とは、比例するため、このモータ電流は、垂直方向の負荷検出運動に起因する往復運動駆動器8の負荷を反映する。
【0034】
往復運動モータ9のモータ電流は、検出ユニット18によって測定される。上記のモータ電流の測定は、上記の垂直方向の負荷検出運動の開始に時間的に続く後の時点に行われる。
【0035】
この測定時点は、遅延タイマによって定められ、この遅延タイマは、上記の負荷検出運動の開始と共にスタートされる(
図4)。この実施例では0.3秒である上記のあらかじめ定めた遅延時間が経過した後、上記のモータ電流の測定が行われる。上記の負荷検出運動の開始よりも上記の測定を時間的に遅延させることによって保証されるのは、この測定結果が、モータ電流の変動によって変化してしまうことである。この変化のただ一つの原因は、往復運動ステージ7およびパレット5が、静止状態から運動状態に移行することである。
【0036】
上記のモータ電流に対して検出した測定値は、評価ユニット19の比較器により、そこに格納された境界値と比較される。この境界値を上回った場合、往復運動ステージ7およびパレット5の垂直方向の搬送運動は行われないままになる。その代わりに往復運動ステージ7は、これが前にパレット5に受け渡された際の往復運動位置に下げられるだけである。引き続いてパレット5は、入出庫装置3の受け渡し装置24によって棚2の関連する収納個所4に戻される(
図4)。
【0037】
上記の測定値がモータ電流の境界値を上回らない場合、パレット5は、垂直方向の搬送運動によって搬出される(
図4)。すなわち、パレット5を取り出すための作業が継続されるのである(
図3)。
【0038】
図5には、パレット5を取り出す間のモータ電流の時間的な発展経過が線21で例示的に示されている。線22は、取り出しプロセス中の往復運動ステージ7の位置目標値を示している。
【0039】
時間t
1中、往復運動ステージ7は垂直方向にパレット5が受け渡される位置にある。この時間の間、モータ電流に対する線21は、多数の著しい振れを有する。この振れの原因は、パレット5が一様な運動で往復運動ステージ7に搬送されるのではなく、むしろ時々負荷の振動が生じることにあり、往復運動駆動器8は、モータ電流を急峻に上昇させることによってこの振動に応動しているのである。時間t
1の終わりに往復運動ステージ7にはパレット5が完全に受け渡されており、また垂直方向の負荷検出運動が開始されている。これに相応して、往復運動ステージ7に対する位置目標値が展開経過する。パレット5を水平方向に受け渡す時間t
1に持続時間0.3秒の負荷検出運動の時間t
2が続く。
【0040】
時間t
2の終わり近くになってはじめて、あらかじめ定めた境界値と比較されるモータ電流の測定値が求められる。
図5によれば、パレット5を伴う往復運動ステージ7の運動状態の変化に起因した先行の振れの後、この測定時点に上記のモータ電流は再び落ち着きを取り戻す。結果的に上記のめた測定値により、往復運動駆動器8の負荷状況が精確に表される。この測定時点は、
図5においてモータ電流の線21の点23によって印が付けられている。
【0041】
上記のモータ電流の測定値と比較される境界値とは、往復運動モータ9の公称電流に関連する値のことである。図示の実施例においてモータ電流は、上記の測定の時点にモータ公称電流の約60%に到達する。この値は、あらかじめ定めた境界値(ここではモータ公称電流の75%)を下回っている。そのため、往復運動駆動器8が、搬送すべき負荷によって過負荷状態にはされてはおらず、したがって往復運動ステージ7の垂直方向の搬送運動によってパレット5を搬出できると推定することができる。このために、パレット5によって負荷が加えられた往復運動ステージ7はまず、負荷検出運動によって持ち上げられた位置から、往復運動ステージ7がパレット5を受け渡された際の往復運動位置に戻される。つぎにこの開始位置から出発して垂直方向の搬送運動が行われるのである。
【0042】
図5において往復運動モータ9の電流境界に参照符号「25」が付されている。ここでこの電流境界は、モータ公称電流の200%である。この電流境界は、動的な負荷とは無関係に搬送装置の機械的なコンポーネントを保護するのに使用される。往復運動モータ9の動作中に電流境界25に達すると、これらの往復運動モータは直接停止される。この点において電流境界25は、上で説明した負荷制限に対して付加的に設けられた安全予防対策を表す。上記の負荷成分の境界値は、電流境界値25を大きく下回る。