(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794831
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】2つの位置の間で移動可能な時間表示針を有する時計
(51)【国際特許分類】
G04B 19/02 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
G04B19/02 Z
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-126862(P2011-126862)
(22)【出願日】2011年6月7日
(65)【公開番号】特開2011-257398(P2011-257398A)
(43)【公開日】2011年12月22日
【審査請求日】2014年5月22日
(31)【優先権主張番号】00912/10
(32)【優先日】2010年6月8日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】515188350
【氏名又は名称】ブルガリ オロジェリー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ ビアス, アルフレド
【審査官】
櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−521371(JP,A)
【文献】
特開2009−300447(JP,A)
【文献】
特開2008−197112(JP,A)
【文献】
実公昭50−041917(JP,Y1)
【文献】
特開2005−017292(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第0562155(EP,A1)
【文献】
国際公開第2007/115984(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/02
19/00
19/22
G04F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計ムーブメントを有し、第1の位置にあるときに第1の時間情報を、第2の位置にあるときに第2の時間情報を指し示すことができる時間表示針(2、3)と、前記第1および前記第2の時間指示をそれぞれ表示するための2つの同心の固定された目盛り(4、5)と、同心に配置され、2つの異なる周期性で駆動されるように前記時計ムーブメントに連結された第1の時間指示可動部(9)および第2の時間指示可動部(11)とを備える時計であって、前記時計ムーブメントが、前記第1の時間指示可動部(9)に固定され、前記時間表示針(2、3)をその第1の位置にシフトさせるように成形された第1のカム(7)と、前記第1のカム(7)と同軸であり、前記時間表示針(2、3)に固定され、前記第1のカム(7)に対して回転可能であり、かつ前記時間表示針(2、3)を前記第2の位置にシフトさせるように成形された第2のカム(8)と、前記第2の時間指示可動部(11)上に枢動式に装着されたレバー(20)と、前記時間指示針(2、3)を前記第2の位置にシフトさせるために前記レバー(20)を前記第2のカム(8)に係合させるための操作手段と、前記レバー(20)が前記第2のカム(8)と係合しなくなるとすぐに、前記時間表示針(2、3)を前記第1の位置に戻すために前記第1のカム(7)に係合された弾性の戻り手段とを含み、
前記弾性の戻り手段が、前記第1のカム(7)上で移動する圧力ローラ(17)と、前記時間表示針(2、3)を前記第1の位置に配置するために前記圧力ローラ(17)を前記第1のカム(7)のくぼみ(7a)内に戻すための弾性手段とを含むことを特徴とする、時計。
【請求項2】
前記弾性の戻り手段が、前記第2のカム(8)が締結され、前記第1のカム(7)に対して回転可能である、回転可能な可動部(12)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の時計。
【請求項3】
前記圧力ローラ(17)と前記弾性手段は、前記回転可能な可動部(12)の、前記第2のカム(8)が締結された面と反対の面上に固定されていることを特徴とする、請求項2に記載の時計。
【請求項4】
前記回転可能な可動部(12)が、前記時間表示針(2、3)が締結された第2のチューブ(16)に固定され、前記第1のカム(7)が、前記第2のチューブ(16)の内側に嵌合された第1のチューブ(10)に固定されることを特徴とする、請求項2または3に記載の時計。
【請求項5】
前記レバー(20)が、前記第2のカム(8)を圧迫することが意図された第1のほぼ曲線状の端部(21)と、指形状の第2の端部(22)とを有し、前記レバー(20)を操作するための手段が、前記第2の時間指示可動部(11)の周りで枢動し、その内側周囲に歯(25)を有する伝えリング(24)であって、前記歯(25)が、前記レバー(20)の前記第2の端部(22)と1つの歯(25)の間の相互作用によって、前記レバー(20)を前記第2の時間指示可動部(11)に対して枢動させることができるように配置されている、伝えリング(24)を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の時計。
【請求項6】
前記操作手段が、ロッカ(29)と、前記伝えリング(24)が締結された伝え歯車(23)と、前記ロッカ(29)によって回転させられ、前記伝え歯車(23)と係合する駆動歯車(30)とを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の時計。
【請求項7】
前記時間表示針(2、3)が、前記分針(3)であり、前記第1の位置が、分を指示し、前記第2の位置が、日付を指示し、前記第1の時間指示可動部(9)が、かなであり、前記第2の時間指示可動部(11)が、31個の歯を備える星形状の日回し車であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の時計。
【請求項8】
前記時計ムーブメントが、1日につき1回転を完了し、前記第2の時間指示可動部(11)の駆動指(41)をその中心に有する歯車(39)を含み、前記駆動指(41)が、この部分を、毎日1インターバルで枢動させることを特徴とする、請求項7に記載の時計。
【請求項9】
歯車(33)が、前記伝え歯車(23)と係合し、ジャンパーばね(34)を前記第2の時間指示可動部(11)に対して係止するように配置された突出部(32)を含むことを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の時計。
【請求項10】
前記時計が、腕時計(1)であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの異なる時間情報を指し示すために2つの位置間で移動可能な時間表示針を含む時計に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの時計は、従来技術でよく知られている。
【0003】
より詳細には、特許文献1が、時間表示針、たとえば分針が、現在時間およびストップウォッチ時間などの異なる2つの情報を、プッシュボタンの操作によって引き起こされた、現在時間を指し示すための位置と、ストップウォッチ時間を指し示す位置との間のその移動によって指し示すことができる切り替え機構を有する時計を説明している。
【0004】
説明された切り替え機構は、表示されるべき第1の情報を示すために、時計ムーブメントの第1の可動部によって回転する伝えかなと、伝えかな上に遊休状態で(idly)装着され、表示されるべき第2の情報を示すためにムーブメントの第1の可動部または第2の可動部によって回転する第1のスプリットセコンドコアを有する要素とを含む。
【0005】
切り替え機構はまた、伝えかなに締結された第2のスプリットセコンドコアと、伝えかな上に遊休状態で装着され、第1および第2のコアそれぞれに対して付勢された第1および第2のハンマを有する伝え車と、伝え車の周囲上に回転可能に装着され、表示される第1または第2の情報それぞれに従って伝え車の位置を変更する目的で、第1のハンマと第1のコアの間の接触および第2のハンマと第2のコアの間の接触それぞれを交互に分離するために第1および第2のハンマ上でそれぞれ作用する第1および第2のカムと、伝えかな上に緩く装着され、切り替え車と係合する中間駆動車であって、伝え機構の駆動機構を用いることによって制御された方法で回転することができる駆動車に締結された中間駆動車とを含む。
【0006】
特許文献1で説明された切り替え機構は、数多くの部分を使用しそれらを配置するので複雑である。特に、これは、2つのハンマを備えた伝え車と、2つのカムを備えた切り替え車を必要とする。
【0007】
分または日付を分針によって指し示すことができる時計用の別の切り替え機構が、特許文献2で説明されている。
【0008】
この機構は、差動システムおよびリセットカムに固定された遊星ギアと共に作動し、差動システムは、角運動を分針に付与して日付を指し示すことができる。この機構は、複雑であり、差動装置の可動部間に置かれた遊星キャリアは、一定量の垂直空間を占有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第1959317号
【特許文献2】スイス特許第693155号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
その結果、単一の時間表示針が2つの異なる情報を指し示すことができる時計において、既存の切り替え機構を取り換え、時計ムーブメントを簡易化する必要がある。
【0011】
本発明の目的は、上記で述べた欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のため、本発明は、時計ムーブメントを有し、第1の位置にあるときに第1の時間情報を、第2の位置にあるときに第2の時間情報を指し示すことができる時間表示針と、第1および第2の時間指示をそれぞれ表示するための2つの同心の固定された目盛りと、同心に配置され、2つの異なる周期性で駆動されるように時計ムーブメントに連結された第1の時間指示可動部および第2の時間指示可動部とを備える時計について説明する。
【0013】
時計ムーブメントは、第1の時間指示可動部に固定され、時間表示針をその第1の位置にシフトさせるように成形された第1のカムと、第1のカムと同軸であり、時間表示針に固定され、第1のカムに対して回転可能であり、かつ時間表示針を第2の位置にシフトさせるように成形された第2のカムと、第2の時間指示可動部上で枢動式に装着されたレバーと、時間表示針を第2の位置にシフトさせるために、レバーを第2のカムに係合させるための操作手段と、レバーが第2のカムと係合しなくなるとすぐに時間表示針を第1の位置に戻すために、第1のカムに係合された弾性の戻り手段とを含む点で、特有のものである。
【0014】
好ましくは、弾性の戻り手段は、第2のカムが締結され、第1のカムに対して回転可能である、回転可能な可動部を含む。
【0015】
また、好ましくは、弾性の戻り手段は、第1のカム上を移動する圧力ローラと、時間表示針を第1の位置に配置するために、圧力ローラを第1のカムのくぼみ内に戻すための弾性手段とを含み、これらすべての手段は、回転可能な可動部の、第2のカムが締結された面と反対の面上に締結されている。
【0016】
好ましくは、回転可能な可動部は、時間表示針が締結された第2のチューブに固定され、第1のカムは、第2のチューブの内側に嵌合された第1のチューブに固定される。
【0017】
レバーは、ほぼ曲線状であり、第2のカムを圧迫することが意図された第1の端部と、指形状の第2の端部とを有する。
【0018】
レバーを操作するための手段は、第2の時間指示可動部の周りで枢動し、その内側周囲に歯を有する伝えリングであって、歯が、レバーの第2の端部と1つの歯の間の相互作用によって、レバーを第2の時間指示可動部に対して枢動させることができるように配置されている、伝えリングを含む。
【0019】
添付の図は、この場合は腕時計である、本発明によって提案された時計の例示的な実施形態の概略図にすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】表示部材、特に分針を示し、第1の位置を示す、腕時計の文字板の前面図である。
【
図2】表示部材、特に分針を示し、ユーザがプッシュボタンを押した後に到達した第2の位置を示す、腕時計の文字板の前面図である。
【
図3】表示部材、特に分針を示し、プッシュボタンが放された後に再度とられた第1の位置を示す、腕時計の文字板の前面図である。
【
図4】第1のカムおよび第2のカムを連結および連結解除するために本発明によって使用される回転可能な可動部の上方から見た斜視図である。
【
図5】第1のカムおよび第2のカムを連結および連結解除するために本発明によって使用される回転可能な可動部の下方から見た斜視図である。
【
図6】第1の位置にある回転可能な可動部および2つのカムの平面図である。
【
図7】第2の位置にある回転可能な可動部および2つのカムの平面図である。
【
図8】分針が、
図1に示した第1の位置を指し示す、本発明による時計ムーブメントの文字板側からの平面図である。
【
図9】分針が、
図2に示した第2の位置を指し示す、
図8に類似する図である。
【
図10】本発明による時計ムーブメントのムーブメント側からの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下で説明する時計は、
図1から3で示すように、腕時計1であり、この腕時計1は、時針2を用いることによって時間を指し示し、分針3を用いることによって分を指し示し、針は、第1の固定された時間表示目盛り4に対して読み取られる第1の位置に置かれている。
【0022】
図4から10を用いて説明された本発明による時計ムーブメントの特有の機構により、針のうちの1本は、図示する実施形態の場合には分針3であるが、腕時計1上の4時の位置に置かれたプッシュボタン6が押さえ付けられた後、この場合には日付を示す目盛りである第2の固定された時間表示目盛り5に対して読み取られる第2の位置に移動される。
【0023】
本発明による時計ムーブメントは、
図4から7に示し、分針3を第1の位置にシフトさせるように成形された第1のカム7と、
図4から9に示し、分針3に固定され、第1のカム7と同軸であり、第1のカム7に対して回転可能であり、分針3を第2の位置にシフトさせるように成形された第2のカム8とを含む。
【0024】
図4、5、および10に示す第1の時間指示可動部9は、第1のカム7に固定され、図示する実施形態では動作作用とリンクした筒かなである。
【0025】
筒かな9および第1のカム7は、「第1のチューブ」と呼ばれる単一のチューブ10に固定される。
【0026】
図8から10に示す、第1の時間指示可動部9の周りに同軸に回転可能に位置する第2の時間指示可動部11は、第2のカム8に対して自由に回転可能である。第2の時間指示可動部11は、第1の時間指示可動部9のものとは異なる周期性で駆動されるように時計ムーブメントに連結される。本明細書において説明した実施形態では、第2の時間指示可動部11は、日回し車である。
【0027】
図4から7に示す回転可能な可動部12は、第1のカム7および第2のカム8を連結および連結解除するために使用され得る。回転可能な可動部12は、第2のカム8が締結された中央部13と、3本のアーム15によって中央部13に連結された、リングなどの周辺部14とを有する弾み車の形態をとる。
【0028】
回転可能な可動部12は、分針3が締結され、第1のチューブ10が内側に嵌合された、「第2のチューブ」と呼ばれるチューブ16に固定される。
【0029】
弾性の戻り手段が、回転可能な可動部12に、第2のカム8が締結された面と反対の面上に締結され、第1のカム7と係合する。弾性の戻り手段は、枢動アーム18によって可動部12のリング14に連結された圧力ローラ17を含む。圧力ローラ17は、第1のカム7と逆に移動する。
【0030】
リング14上に位置する戻りばね19は、枢動アーム18上に作用し、圧力ローラ17を、
図6に示すように、第1のカム7のくぼみ7a内の圧力ローラ17の配置に対応する平衡位置に戻すことを可能にする。したがって、回転可能な可動部12は、第1のカム7に対して回転可能であるように装着される。
【0031】
図6から10に示すように、第2のカム8の駆動レバー20が、分針3を第2の位置にシフトさせるために、第2のカム8と係合するように日回し車11上に枢動式に装着される。駆動レバー20は、日回し車11上に配置されるので、第2のカム8に対して日回し車11と共に移動する。
【0032】
駆動レバー20は、第2のカム8を第2の位置に移動させるために、第2のカム8を圧迫することが意図された第1のほぼ曲線状の端部21と、指形状の第2の端部22とを有する。
【0033】
図8および9に示すように、レバー20は、その第2の指形状の端部22と操作手段の相互作用によって回転する。
【0034】
レバー20を操作するための手段は、伝え歯車23と、日回し車11の周りに同軸に回転可能に配置された伝えリング24とを含み、伝え歯車23は、伝えリング24を担持している。
【0035】
伝えリング24の内側周囲は、レバー20の第2の端部22と相互作用する歯25を有し、したがって、レバー20が日回し車11に対して枢動することを可能にする。
【0036】
戻りリング26は、レバー20が歯25によって移動されないとき、レバーを日回し車11に対して固定された状態に保つために、レバー20の中間部上に位置するピン27上に作用する。
【0037】
操作手段はまた、L字形状のロッカ29も含み、このL字形状のロッカ29は、駆動車のピン31にロッカ29の端部を押さえ付けることによって駆動車30に機械的に連結されている。駆動車30は、伝え歯車23と係合する。
【0038】
伝え歯車23と係合する歯車33と同軸であり、歯車33に固定された突出部32は、枢動し、日付に対する一連の要求において日回し車11の意図されないあらゆる移動を防止するために、湾曲表面でジャンパーばね34上を圧迫して、ジャンパーばね34を日回し車11の2つの歯の間に保持する。
【0039】
戻りばね35は、伝えリング24、伝え歯車23および駆動歯車30が、プッシュボタン6が放された後、プッシュボタン6が押される前にとられていたそれぞれの位置に戻ることを可能にする。
【0040】
図8、9、および10に示すように、日回し車11は、星の形状を与える31個の均一に分散された歯を有する。日回し車11は、第2のカム8に対して自由に回転可能であるが、かな9、つまり第1のカム7に機械的に連結されている。
【0041】
図10に示すように、日回し車11は、かな9と、1日につき1回転を完了する第2の歯車39と係合するかな38をその中心に有する第1の中間歯車37とに係合する戻りかな36を備える可動部の組によって、かな9に連結される。
【0042】
第2の歯車39は、筒車40と係合し、その中心に日回し車11の駆動指41を有する。駆動指41は、日回し車11を、1日につき1インターバルで、日回し車11に締結されたレバー20と共に文字板に対して回転させ、したがって新しい日付が毎日指示されることを可能にする。
【0043】
上記で説明した時計機構の作動は、以下の通りである。
【0044】
ユーザが日付を確認するためにプッシュボタン6を押すと、プッシュボタン6の移動がロッカ29を駆動し、ロッカ29は、ピン31を用いることによって、駆動車30、伝え車23、およびレバー20を駆動する歯25を有する伝えリング24を駆動する。
【0045】
駆動レバー20は次いで、
図7および9に示すように、歯25によって駆動されたその第2の端部22の移動の結果、時計1の針の方向に枢動し、その第1の端部21は、分針3に固定された第2のカム8と接触する。
【0046】
第2のカム8は、次いで、レバー20の枢動によって駆動される。第2のカム8および第2のチューブ16に固定された回転可能な可動部12は、第1のチューブ10の周りで枢動する。回転可能な可動部12の移動は、レバー20が第2のカム8のくぼみ8a内に入るとすぐに停止し、この場合、分針3は、第2の時間指示に対応する第2の位置に位置する。
【0047】
ユーザが、プッシュボタン6を放したとき、回転可能な可動部12および第2のカム8は、弾性手段および圧力ローラ17の作用下で戻され、これにより第2のチューブ16および第2のカム8を、圧力ローラ17が、分針3の第1の位置に対応する第1のカム7のくぼみ7a内に位置するまで、第1のチューブ10周りで回転させる。
【0048】
レバー20は、次いで、第2のカム8と接触する第1の曲線状端部21を用いることによって、時計1の針に対して反対方向に駆動される。レバー20のピン27は、戻りばね26のフォーク内に係止される。
【0049】
伝え車23および伝えリング24は、戻りばね35によって時計1の針に対して反対方向に駆動され、駆動車30の移動、ひいてはピン31を用いることによるロッカ29の移動を引き起こす。
【0050】
この場合、第2のカム8および回転可能な可動部12は、圧力ローラ17を用いることによって第1のカム7、ひいてはかな9と共に駆動される。第2のチューブ16によって第2のカム8に固定された分針3は、かな9の移動に追随し、第1の位置を指し示す。言い換えれば、第1のチューブ10および第2のチューブ16は一緒に枢動する。
【0051】
したがって、弾性の戻り手段、特に回転可能な可動部12および圧力ローラ17は、プッシュボタン6が放されたときに第1のカム7に連結され、プッシュボタン6が押され、レバー20が、第2のカム8と接触するときに第1のカム7から連結解除される。
【0052】
回転可能な可動部12、2つのカム7および8、第1のチューブ10および第2のチューブ16は、他の配置が可能である。この場合、必要な特徴は、第2のカム8が、レバー20の作用無しに第1のカム7と共に枢動することができ、レバー20の作用下で第1のカム7から独立して枢動することができることであり、このレバーは、日回し車11上に装着され、時計の文字板に対して所与の頻度で1日1回移動されることである。
【0053】
本発明を、任意の時間指示、たとえば日付の指示の代替策としてパワーリザーブ表示に適用することができ、任意の時間表示針、たとえば分針3の代替策として時針2に適用することができる。
【0054】
変形形態では、日回し車11を永久日付機構に連結することも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 腕時計
2 時針
3 分針
4 第1の時間表示目盛り
5 第2の時間表示目盛り
6 プッシュボタン
7 第1のカム
7a 第1のカムのくぼみ
8 第2のカム
8a 第2のカムのくぼみ
9 第1の時間指示可動部
10 第1のチューブ
11 第2の時間指示可動部
12 回転可能な可動部
13 中央部
14 リング
15 アーム
16 第2のチューブ
17 圧力ローラ
18 枢動アーム
19 戻りばね
20 駆動レバー
21 駆動レバーの第1のほぼ曲線状の端部
22 駆動レバーの指形状の第2の端部
23 伝え歯車
24 伝えリング
25 歯
26 戻りばね
27 ピン
29 ロッカ
30 駆動車
31 駆動車のピン
32 突出部
33 歯車
34 ジャンパーばね
35 戻りばね
36 戻りかな
37 第1の中間歯車
38 かな
39 第2の歯車
40 筒車
41 駆動指