(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態であるLED駆動回路10の構成を示す図である。LED駆動回路10は、例えば、振幅が90〜140Vの範囲で変動する商用電源の交流電圧Vacに基づいて、LED30〜39を駆動する回路である。LED駆動回路10は、全波整流回路20、平滑化回路21、基準電圧生成回路22、LED30〜39、NMOSトランジスタ40、インダクタ41、ダイオード42、抵抗43、及び制御IC(Integrated Circuit)50を含んで構成される。
【0012】
全波整流回路20は、入力される交流電圧Vacを全波整流し、整流電圧Vrecを出力する。
【0013】
平滑化回路21は、整流電圧Vrecの振幅に応じた直流電圧を生成するための回路であり、抵抗60,61、及びコンデンサ62を含んで構成される。抵抗60,61は、整流電圧Vrecを分圧し、コンデンサ62は、抵抗61に発生する電圧を平滑化する。このため、コンデンサ62には、整流電圧Vrec(交流電圧Vac)の振幅に応じたレベルの直流の電圧Vc1が生成される。
【0014】
基準電圧生成回路22は、整流電圧Vrecに相似となる基準電圧Vrefを生成する回路であり、分圧回路65、NMOSトランジスタ66、及びコンデンサ67を含んで構成される。分圧回路65は、直列に接続された抵抗70〜72を含んで構成される。抵抗70(第1抵抗)には、整流電圧Vrecが印加され、抵抗71(第2抵抗)は、抵抗70,72の間に設けられ、抵抗72(第3抵抗)は、接地されている。NMOSトランジスタ66(スイッチ)のソース電極は、抵抗71の一端に接続され、ドレイン電極は、抵抗71の他端に接続され、ゲート電極にはコンデンサ67が接続されている。
【0015】
このため、抵抗71及び抵抗72が接続されたノードに発生する基準電圧Vrefは、式(1)で表される電圧となる。
Vref=(R3/(R1+(R2//Rm)+R3))×Vrec・・・(1)
ここで、抵抗70〜72の抵抗値をそれぞれR1〜R3とし、NMOSトランジスタ66のドレイン−ソース間の抵抗をRmとしている。
【0016】
そして、NMOSトランジスタ66がオフの場合の基準電圧Vref1は、
Vref1=(R3/(R1+R2+R3))×Vrec・・・(2)
となる。なお、NMOSトランジスタ66がオフの際の抵抗値Rmは、抵抗値R2より十分大きくなるよう設計されている。
【0017】
一方、NMOSトランジスタ66がオンの場合の基準電圧Vref2は、
Vref2=(R3/(R1+R3))×Vrec・・・(3)
となる。なお、NMOSトランジスタ66がオンの際の抵抗値Rmは、抵抗値R2より十分小さくなるよう設計されている。また、ここでは、NMOSトランジスタ66がオフの場合の分圧回路65の分圧比(R3:(R1+R2+R3))を分圧比A(第1の分圧比)とし、NMOSトランジスタ66がオンの場合の分圧回路65の分圧比(R3:(R1+R3))を分圧比B(第2の分圧比)とする。また、式(2)の係数(R3/(R1+R2+R3))を、分圧比Aの値とし、式(3)の係数(R3/(R1+R3))を、分圧比Bの値とする。したがって、分圧比Aの値は、分圧比Bの値より小さくなる。
【0018】
このように、基準電圧生成回路22からは、NMOSトランジスタ66の状態に応じてレベルが変化するとともに整流電圧Vrecに相似となる基準電圧Vrefが出力される。
【0019】
LED30〜39は、直列に接続された10個の白色LEDであり、LED30のアノードには整流電圧Vrecが印加され、LED39のカソードはインダクタ41の一端に接続されている。なお、LED30〜39の夫々の順方向電圧は、例えば3Vであることとする。
【0020】
NMOSトランジスタ40は、インダクタ41及びダイオード42とともに、LED30〜39を駆動するための駆動電流Isの増減を制御する。具体的には、整流電圧VrecのレベルがLED30〜39の全ての順方向電圧の和(30V)よりも高い状態でNMOSトランジスタ40がオンすると、駆動電流Isは整流電圧Vrecに応じて増加する。そして、インダクタ41には、駆動電流Isの電流値に応じたエネルギーが蓄えられる。一方、NMOSトランジスタ40がオフすると、インダクタ41に蓄えられたエネルギーは、LED30〜39、インダクタ41、ダイオード42のループを介して放出され、駆動電流Isは減少する。なお、整流電圧Vrecのレベルが30Vより低い場合、NMOSトランジスタ40がオンした場合であっても、LED30〜39の全てはオフしているため駆動電流Isは流れない。つまり、LED30〜39は、整流電圧Vrecのレベルが30Vより高い場合にのみ発光する。
【0021】
抵抗43は、NMOSトランジスタ40がオンされた際の駆動電流Isの電流値を検出するための抵抗であり、NMOSトランジスタ40のソースとグランドGNDとの間に設けられている。なお、抵抗43の一端に発生し、駆動電流Isの電流値に応じた電圧を検出電圧Vsとする。
【0022】
制御IC50は、基準電圧生成回路22に対し整流電圧Vrecの振幅に応じたレベルの基準電圧Vrefを生成させるとともに、基準電圧Vref及び検出電圧Vsに基づいて、NMOSトランジスタ40のスイッチングを制御する。制御IC50は、電源回路80、基準電圧回路81、コンパレータ82、及びスイッチング制御回路83を含んで構成される。
【0023】
電源回路80は、例えば、図示しない端子を介して整流電圧Vrecが入力されると、制御IC50内の各ブロックを動作させるための電源を生成する。
【0024】
基準電圧回路81及びコンパレータ82は、端子DCに印加される電圧Vc1のレベル、つまり、整流電圧Vrecの振幅に応じて、コンデンサ67を充放電する充放電回路である。
【0025】
基準電圧回路81(電圧生成回路)は、所定レベルVAの電圧V1を生成する。なお、所定レベルA(第1のレベル)は、所定の振幅Vpの整流電圧Vrecが平滑化回路21に入力された際に、平滑化回路21で得られる電圧Vc1のレベルと等しいレベルである。
【0026】
コンパレータ82の反転入力端子には、端子DCを介して電圧Vc1が印加され、非反転入力端子には、所定レベルVAの電圧V1が印加されている。このため、電圧Vc1のレベルが所定レベルVAより低い場合、コンパレータ82は端子SWを介してコンデンサ67を充電し、電圧Vc1のレベルが所定レベルVAより高い場合、コンパレータ82はコンデンサ67を放電する。
【0027】
ところで、例えば、平滑化回路21において所定の振幅Vpより小さい整流電圧Vrecが平滑化され続けた場合、電圧Vc1のレベルは所定レベルVAを超えることは無い。このような場合、コンデンサ67は充電され続けるため、コンデンサ67の充電電圧Vc2のレベルは、NMOSトランジスタ66がオンとなる所定レベルVB(第2のレベル)より高くなる。この結果、基準電圧Vrefとしては、例えば
図2の実線で示すように、整流電圧Vrecが値の大きい分圧比Bで分圧された基準電圧Vref2が出力される。
【0028】
一方、例えば、平滑化回路21において所定の振幅Vpより大きい整流電圧Vrecが平滑化され続けた場合、電圧Vc1のレベルは所定レベルVAより高くなる。このような場合、コンデンサ67は放電されるため、NMOSトランジスタ66はオフとなる。この結果、基準電圧Vrefとしては、例えば
図2の一点鎖線で示すように、整流電圧Vrecが値の小さい分圧比Aで分圧された基準電圧Vref1が出力される。
【0029】
このように、制御IC50は、振幅の大きい交流電圧Vacが入力され続けると、基準電圧Vrefが低下するよう分圧回路65の分圧比を調整し、振幅の小さい交流電圧Vacが入力され続けると、基準電圧Vrefが上昇するよう分圧回路65の分圧比を調整している。したがって、LED駆動回路10では、交流電圧Vacの振幅が大きく変動した場合であっても、基準電圧Vrefのレベルが大きく変化することが抑制される。
【0030】
なお、基準電圧回路81、コンパレータ82、NMOSトランジスタ66、及びコンデンサ67は、分圧回路65の分圧比を調整する分圧調整回路に相当する。
【0031】
スイッチング制御回路83(制御回路)は、駆動電流Isの波形が基準電圧Vrefの波形と相似形になるよう、NMOSトランジスタ40のスイッチングを制御する回路であり、発振回路90、コンパレータ91、SRフリップフロップ92、及び駆動回路93を含んで構成される。
【0032】
発振回路(OSC)90は、所定周期の発振信号Voscを出力し、コンパレータ91は、端子RINを介して入力される基準電圧Vrefと、端子CSを介して入力される検出電圧Vsとを比較する。なお、発振信号Voscの周期は、例えば100kHz程度であり、交流電圧Vacの周期(例えば、50Hz)より十分短いこととする。
【0033】
また、発振回路90は、例えば
図3に示すように、抵抗100〜102、NMOSトランジスタ103〜105、PMOSトランジスタ106、バイアス電流源107,108、コンデンサ109、コンパレータ110、及びインバータ111を含んで構成される。
【0034】
NMOSトランジスタ103,104のそれぞれはオンされると、電圧VH,VL(<VH)をコンパレータ110の反転入力端子に印加する。NMOSトランジスタ105、PMOSトランジスタ106、及びバイアス電流源107,108は、コンパレータ110の出力に基づいてコンデンサ109を充放電する。
【0035】
まず、コンパレータ110の出力である発振信号Voscがハイレベル(以下、Hレベル)となると、NMOSトランジスタ104はオンし、NMOSトランジスタ103はオフする。このため、電圧VLがコンパレータ110の反転入力端子に印加される。また、NMOSトランジスタ105がオンするため、コンデンサ109は、バイアス電流源108が生成する電流により放電される。そして、コンデンサ109の充電電圧(コンパレータ110の非反転入力端子の電圧)が、電圧VLより低くなると、コンパレータ110は、発振信号Voscをローレベル(以下、Lレベル)に変化させる。
【0036】
つぎに、発振信号VoscがLレベルとなると、NMOSトランジスタ104がオフし、NMOSトランジスタ103がオンするため、電圧VHがコンパレータ110の反転入力端子に印加される。また、PMOSトランジスタ106がオンするため、コンデンサ109は、バイアス電流源107が生成する電流により充電される。そして、コンデンサ109の充電電圧(コンパレータ110の非反転入力端子の電圧)が、電圧VHより高くなると、コンパレータ110は、発振信号VoscをHレベルに変化させる。このような動作が繰り返されることにより、発振回路90は、所定周期の発振信号Vosc(クロック信号)を出力する。
【0037】
SRフリップフロップ92のS入力には、発振信号Voscが入力され、R入力には、コンパレータ91の比較結果が入力される。このため、SRフリップフロップ92のQ出力は、発振信号VoscがHレベルとなる所定周期毎にHレベルとなり、検出電圧Vsが上昇して基準電圧Vrefとなると、Lレベルとなる。
【0038】
駆動回路93は、SRフリップフロップ92のQ出力がHレベルとなると、端子OUTを介してNMOSトランジスタ40をオンし、SRフリップフロップ92のQ出力がLレベルとなると、NMOSトランジスタ40をオフする。したがって、駆動回路93は、所定周期毎にNMOSトランジスタ40をオンし、駆動電流Isのピーク電流に応じた検出電圧Vsが基準電圧Vrefとなると、NMOSトランジスタ40をオフする。この結果、駆動電流Isの波形は基準電圧Vrefの波形と相似形になる。
【0039】
<<LED駆動回路10の動作(整流電圧Vrecの振幅>所定の振幅Vp)>>
ここで、
図4を参照しつつ、振幅の大きい交流電圧Vacが入力された場合、つまり、所定の振幅Vpよりも大きい振幅の整流電圧Vrecが生成される場合におけるLED駆動回路10の起動時の動作について説明する。なお、LED駆動回路10が起動される前においては、コンデンサ62,67は放電され、電圧Vc1、充電電圧Vc2のそれぞれは0Vであることとする。また、ここでは、平滑化回路21に所定の振幅Vpの整流電圧Vrefが印加されてから、放電されたコンデンサ62の電圧Vc1のレベルが所定レベルVAとなるまでの期間を期間TAとし、放電されたコンデンサ67の充電電圧Vc2のレベルが所定レベルVBとなるまでの期間を期間TBとする。そして、本実施形態では、期間TB(第2の期間)が期間TA(第1の期間)より長くなるように、例えば、コンパレータ82のソース電流の電流値が設計されていることとする。なお、
図4においては、便宜上、所定の振幅Vpの整流電圧Vrecの波形と、所定の振幅Vpの整流電圧Vrecが印加された際の電圧Vc1の立ち上り波形とが描かれている。
【0040】
まず、時刻t0に交流電圧Vacが入力されると、交流電圧Vacに応じた整流電圧Vrecが生成されるため、電圧Vc1は0Vから上昇する。ここでは、電圧Vc1のレベルは電圧V1の所定レベルVAより低いため、コンデンサ67はコンパレータ82により充電され、充電電圧Vc2も0Vから上昇する。なお、この間において、充電電圧Vc2のレベルは所定レベルVBより低いため、NMOSトランジスタ66はオフしている。したがって、基準電圧Vrefとしては基準電圧Vref1が出力されることになる。
【0041】
ところで、時刻t0においては、平滑化回路21に所定の振幅Vpより大きな振幅の整流電圧Vrecが印加される。このため、電圧Vc1は、平滑化回路21に所定の振幅Vpの整流電圧Vrefが印加された場合(
図4の一点鎖線で示す波形)よりも若干速く上昇する。したがって、時刻t0から期間TAだけ経過した時刻t2よりも早い時刻t1において、電圧Vc1のレベルは所定レベルVAとなる。
【0042】
そして、時刻t1となるとコンデンサ67は放電されるため、時刻t1以降、充電電圧Vc2は低下する。このように、振幅の大きい交流電圧Vacが入力された場合には、充電電圧Vc2のレベルは所定レベルVBより高くなることは無い。このため、基準電圧Vrefとしては、基準電圧Vref1が常に出力されることになる。
【0043】
<<LED駆動回路10の動作(整流電圧Vrecの振幅<所定の振幅Vp)>>
図5を参照しつつ、振幅の小さい交流電圧Vacが入力された場合、つまり、所定の振幅Vpよりも小さい振幅の整流電圧Vrecが生成される場合におけるLED駆動回路10の起動時の動作について説明する。なお、
図5においても、
図4と同様に、便宜上、所定の振幅Vpの整流電圧Vrecの波形と、所定の振幅Vpの整流電圧Vrecが印加された際の電圧Vc1の立ち上り波形とが描かれている。
【0044】
まず、時刻t10に交流電圧Vacが入力されると、交流電圧Vacに応じた整流電圧Vrecが生成されるため、電圧Vc1は0Vから上昇する。また、電圧Vc1のレベルは電圧V1の所定レベルVAより低いため、充電電圧Vc2も0Vから上昇する。なお、この間において、充電電圧Vc2のレベルは所定レベルVBより低いため、基準電圧Vrefとしては、基準電圧Vref1が出力される。
【0045】
つぎに時刻t11において、電圧Vc1のレベルが、入力される整流電圧Vrecが平滑化された際に得られるレベルVCとなると、電圧Vc1の上昇は停止する。時刻t11以降、電圧Vc1のレベルは電圧VAのレベルより低いため、コンデンサ67は充電され続ける。したがって、電圧Vc2のレベルは徐々に高くなる。
【0046】
そして、時刻t10から期間TBだけ経過した時刻t12になると、電圧Vc2のレベルは所定レベルVBとなる。この結果、NMOSトランジスタ66はオンされることになるため、基準電圧Vrefとして基準電圧Vref2が出力される。なお、
図5における時刻t13は、時刻t10から期間TAだけ経過した時刻である。このため、
図5における時刻10,t13は、
図4における時刻t0,t2のそれぞれに対応する。
【0047】
このように、振幅の小さい交流電圧Vacが入力された場合、結果的に基準電圧Vrefが高くなるよう、分圧回路65の分圧比が調整される。一方、
図4で説明したように、振幅の大きい交流電圧Vacが入力された場合、基準電圧Vrefの上昇が抑制されるよう、分圧回路65の分圧比が調整される。したがって、LED駆動回路10では、交流電圧Vacの振幅が大きく変動した場合であっても、基準電圧Vrefのレベルが大きく変化することが抑制される。この結果、LED駆動回路10は、交流電圧Vacの振幅によらず、LED30〜39の駆動電流Isの電流値をほぼ一定に保つことが可能となる。つまり、LED駆動回路10は、LED30〜39を所望の明るさで発光させることができる。
【0048】
==制御ICの他の実施形態==
図6は、制御ICの他の実施形態を示す図である。制御IC51を、
図1に示した制御IC50と比較すると、基準電圧回路81及びコンパレータ82の代わりにインバータ150が設けられた点以外は同様である。なお、
図1及び
図6では、同じブロックには同じ符号が付されている。
【0049】
インバータ190(充放電回路)は、端子DCに印加される電圧Vc1のレベルが、所定レベルVAより高い場合、Lレベルの信号を端子SWに出力し、電圧Vc1のレベルが、所定レベルVAより低い場合、Hレベルの信号を端子SWに出力する。このように、所定レベルVAをしきい値とするインバータ190を用いても、前述のコンパレータ82と同様にコンデンサ67を充放電することができる。したがって、例えば、LED駆動回路10に対し、制御IC50の代わりに制御IC51を用いる場合であっても、制御IC50を用いる場合と同様に、例えば駆動電流Isの変化を抑制することができる。
【0050】
==発振回路の他の実施形態==
ここで、発振回路の他の実施形態について
図7〜
図9を参照しつつ説明する。なお、
図7〜
図9において、
図1と同じ符号の付されたブロックは同じである。また、
図7〜
図9では、基準電圧生成回路22やコンパレータ82等の各ブロックは適宜省略されている。
【0051】
<<発振回路120>>
図7は、NMOSトランジスタ40のオフ時間を一定に制御するための発振回路120の一例を示す図である。発振回路120は、制御IC55に設けられており、PMOSトランジスタ130、コンデンサ131、バイアス電流源132、コンパレータ133、インバータ134、及びSRフリップフロップ92を含んで構成される。
【0052】
例えば、コンパレータ133の発振信号VoscがHレベルとなると、SRフリップフロップ92のQ出力もHレベルになり、NMOSトランジスタ40はオンされる。この際、PMOSトランジスタ130はオンとなるため、コンデンサ131の充電電圧のレベルは、バイアス電圧Vbi1のレベルとなる。そして、電流Isが増加して、電圧Vsが電圧Vrefとなると、SRフリップフロップ92はリセットされ、Q出力はLレベルとなる。この際に、PMOSトランジスタ130はオフされるため、コンデンサ131は、バイアス電流源132の電流(定電流)により放電される。そして、コンデンサ131の充電電圧がバイアス電圧Vbi2より低くなると、コンパレータ133は、発振信号Voscを再びHレベルに変化させる。なお、コンデンサ131の放電が開始されてから、充電電圧のレベルが電圧Vbi2のレベルとなるまでの時間、すなわち、NMOSトランジスタ40がオフされてから、NMOSトランジスタ40がオンされるまでの時間は一定である。したがって、NMOSトランジスタ40のオフ時間は、一定となるよう制御される。一方、NMOSトランジスタ40がオンされる時間は、例えば基準電圧Vrefのレベルに応じて変化する。しかしながら、NMOSトランジスタ40がオンされる時間は、基準電圧Vrefのレベルに応じて予め定まっている。このため、駆動回路93は、Vrefのレベルに応じて予め定まる期間毎に、つまり、所定期間毎にNMOSトランジスタ40をスイッチングする。
【0053】
<<発振回路140>>
図8は、NMOSトランジスタ40のオン時間を一定に制御するための発振回路140の一例を示す図である。発振回路140は、制御IC56に設けられており、PMOSトランジスタ130、コンデンサ131、バイアス電流源132、コンパレータ133、及びSRフリップフロップ92を含んで構成される。また、ここでは、電圧Vsがコンパレータ91の反転入力端子に印加され、基準電圧Vrefがコンパレータ91の非反転入力端子に印加されている。
【0054】
発振回路140においては、コンパレータ133からの発振信号VoscがSRフリップフロップ92のR入力(リセット)に入力され、コンパレータ91の出力がSRフリップフロップ92のS入力に入力される。そして、SRフリップフロップ92のQ出力がPMOSトランジスタ130のゲートに印加されている。
【0055】
まず、NMOSトランジスタ40がオフされると、電流Isが減少する。そして、電圧Vsが低下して電圧Vrefとなると、SRフリップフロップ92のQ出力はHレベルとなりNMOSトランジスタ40はオンされる。また、SRフリップフロップ92のQ出力がHレベルとなると、PMOSトランジスタ130はオフするため、コンデンサ131の放電が開始される。そして、コンデンサ131の充電電圧のレベルが、バイアス電圧Vbi2のレベルとなると、SRフリップフロップ92はリセットされるためNMOSトランジスタ40はオフされる。
【0056】
なお、コンデンサ131の放電が開始されてから、充電電圧のレベルが電圧Vbi2のレベルとなるまでの時間、すなわち、NMOSトランジスタ40がオンされてから、NMOSトランジスタ40がオフされるまでの時間は一定である。したがって、NMOSトランジスタ40のオン時間は、一定となるよう制御される。一方、NMOSトランジスタ40がオフされる時間は、例えば基準電圧Vrefのレベルに応じて変化する。しかしながら、NMOSトランジスタ40がオフされる時間は、基準電圧Vrefのレベルに応じて予め定まっている。このため、駆動回路93は、Vrefのレベルに応じて予め定まる期間毎に、つまり、所定期間毎にNMOSトランジスタ40をスイッチングする。
【0057】
<<発振回路150>>
図9は、いわゆる擬似共振型の発振回路150の一例を示す図である。発振回路150は、制御IC57に設けられており、抵抗160,161、コンパレータ162、AND回路163、インバータ164、及びダイオード165を含んで構成される。また、制御IC57の外部には、トランス170が設けられている。そして、トランス170は、インダクタ41一次コイルL1と、二次コイルL2とを備えており、一次コイルL1及び二次コイルL2の間は絶縁されている。一次コイルL1は、
図1におけるインダクタ41の代わりに設けられており、1次コイルL1と2次コイルL2とは、逆極性で電磁結合されている。
【0058】
ここで、
図9の発振回路150の動作を
図10のタイミングチャートを参照しつつ説明する。まず、時刻t50において、駆動回路93から出力される駆動信号VdrがHレベルとなると、NMOSトランジスタ40はオンする。その後、時刻t51に、電流Isの増加に応じて電圧Vsが上昇して基準電圧Vrefより高くなると、SRフリップフロップ92はリセットされる。この結果、NMOSトランジスタ40はオフとなる。また、1次コイルL1と2次コイルL2とは、逆極性で電磁結合電磁結合されているため、NMOSトランジスタ40がオフとなると、2次コイルL2が接続される端子TRの電圧Vtrは上昇し、電圧Vbi3より高くなる。そして、時刻t52に2次コイルL2に蓄えられたエネルギーが放出され、電圧Vtrが電圧Vbi3より低くなると、コンパレータ162の出力、及びAND回路163の出力である発振信号VoscはHレベルとなる。このため、時刻t52においては、再びNMOSトランジスタ40がオンされる。このように、発振回路150は、時刻と50〜t52までで定まる所定期間毎にNMOSトランジスタ40をオンする。
【0059】
以上、本実施形態のLED駆動回路10について説明した。LED駆動回路10では、整流電圧Vrecの振幅が所定の振幅Vpより小さい場合、整流電圧Vrecを値の大きい分圧比Bで分圧した電圧が基準電圧Vrefとなる。また、整流電圧Vrecの振幅が所定の振幅Vpより大きい場合、整流電圧Vrecを値の小さい分圧比Aで分圧した電圧が基準電圧Vrefとなる。したがって、交流電圧Vacの振幅が大きく変動した場合であっても、基準電圧Vrefのレベルが大きく変化しないため、LED30〜39の駆動電流Isの電流値の変化を抑制できる。
【0060】
また、LED駆動回路10では、起動時から、期間TAより長い期間TBだけ経過するまではNMOSトランジスタ66がオンすることは無い。つまり、起動時には、交流電圧Vacの振幅に関わらず、整流電圧Vrecが分圧比Aで分圧された基準電圧Vref1が常に出力される。したがって、LED30〜39に大きな電流が流れることはなく、LED駆動回路10には、いわゆるソフトスタート機能が実現されることになる。
【0061】
また、コンパレータ82を用いることにより、電圧Vc1のレベルが所定レベルVAとなると、確実にコンデンサ67を放電することができる。
【0062】
また、インバータ190を用いてコンデンサ67を充放電させる構成とし場合には、例えば、素子数を減らすことが可能となる。
【0063】
また、整流電圧Vrecが印加された分圧回路65の分圧比を調整することにより、単純な構成で、整流電圧Vrecに相似形の基準電圧Vrefのレベルを変化させることができる。
【0064】
なお、上記実施例は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0065】
LED駆動回路10では、LED30〜39がインダクタ41に接続されており、非絶縁型の回路構成となっているがこれに限られるものではない。例えば、NMOSトランジスタ40がスイッチングされた際のエネルギーが、トランス(不図示)を介してLEDに供給されるような回路(絶縁型の回路)であっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
また、例えば、NMOSトランジスタ66の代わりにトランスミッションゲート等を用いても良い。
【0067】
また、交流電圧Vacの振幅が例えば90〜140Vの範囲で変動する際に、所定レベルVAを、整流電圧Vrecの振幅が140Vとなる際の電圧Vc1のレベルより高いレベルとしても良い。このような場合、
図5に示す場合と同様に、確実にソフトスタートが実現される。
【0068】
また、スイッチング制御回路83は、例えば、発振回路90等の発振信号Voscに基づいて、NMOSトランジスタ40をスイッチングする。