【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図7に示すように、特許文献1の技術と特許文献2の技術を組み合わせて用いると、ガスの流量が小流量の時の一次空気の吸引比率(以下、一次吸引率という)をさらに高くでき、器具栓操作等で急激にガス量が下がっても、乱流状態を維持して吸引の低下を抑える効果が得られるものであるが、つぎの課題がありこれらの点の改善が望まれていた。
【0007】
(1)ノズル内の障害物はノズル内に仕込まれているので、ノズルの外観からは存在の有り無しの判断が困難で、入れ忘れたときの確認が困難である。(ノズル孔からピンゲージを通す等の検査により可能であるが手間がかかることになる。)
【0008】
つまり、工場において当該技術を用いた製品や部品を生産する際に、外観によって検査できないことから、ピンゲージなどの検査装置による検査を必要とすることになり、検査の工数増加に起因して生産コストの増加を招くことになってしまうので、改善が望まれていた。
【0009】
(2)ガスの流れに対して乱れを加えることになるので、ガスの噴出速度(ガス流量)に応じた乱れしか加えることが出来ない。
【0010】
しかし、燃料ガスの種類あるいはガス燃焼量が異なる場合においては、ガスの噴出速度(ガス流量)が異なり、燃焼状態が不安定になるおそれがある。
【0011】
つまり、ガスコンロとしては、火炎形成部が大径の調理用鍋等の大型の被加熱物に対応するような大径の火炎を形成する大火力用のガス燃焼部や、火炎形成部が小径の調理用鍋等の小型の被加熱物に対応するような小径の火炎を形成する小火力用のガス燃焼部を備えるガスコンロ等が存在するものであり、そして、大火力用のガス燃焼部における最大ガス流動量は、小火力用のガス燃焼部における最大ガス流動量に比べて多いものとなる。
【0012】
そして、このような最大ガス流動量が異なるガス燃焼部を備えるガスコンロに対して、ガスの噴出速度(ガス流量)に依存した乱れを生じせしめる乱流形成体では、最大ガス流動量が異なる場合には、適正な混合ガスを生成できなくなることがあり、改善が望まれていた。
【0013】
また、ガスコンロに使用される燃料ガスとしては、例えばLPガスや都市ガス等、異なる種類の燃料ガスが用いられることがあるが、このように種類が異なる燃料ガスは単位ガス量当たりの発熱量が異なるものであり、発熱量の多い燃料ガスは発熱量の少ない燃料ガスよりもガスノズルからの噴出速度を大きくして、エジェクター効果を高める必要があるが、異なる種類の燃料ガスに対して同様の乱流形成体を用いると、発熱量の多い燃料ガスと、発熱量の少ない燃料ガスとに対する乱流効果が異なることに起因して、適正な混合ガスを生成できなくなることがあり、改善が望まれていた。
【0014】
本発明の目的は、生産の際には容易にその装着の有無が検査できて、かつ、ガス燃焼部における最大ガス流動量が異なる場合であっても、適正な混合ガスを生成して良好な燃焼を行うことが可能となるガスコンロにおける乱流形成方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るガスコンロにおける乱流形成装置は、
ガス噴出用のノズル孔とそのノズル孔に燃料ガスを供給するガス流動路を備えたガスノズルと、吸引口を備える筒体とにより主体が構成され、前記ノズル孔から前記燃料ガスが噴出されることによるエジェクター効果によって、燃焼用空気を前段一次空気として前記吸引口から吸引し、前記ノズル孔から噴出する前記燃料ガスと前記前段一次空気とが前記筒体において混合されて第1混合気を成し、さらに、前記第1混合気を前記筒体の先端から噴出し、前記第1混合気が供給されて、前記第1混合気が前記筒体の先端から噴出されることによるエジェクター効果によって吸引される燃焼用空気と前記第1混合気とを混合し第2混合気を作る混合部と、前記第2混合気を燃焼させる火炎形成部とを有するガス燃焼部が備えられているガスコンロにおける乱流形成装置であって、その第1特徴構成は、
前記筒体に、前記筒体の先端から噴出される前記第1混合気の流れに乱れを生じさせる乱流形成体が備えられて
おり、前記乱流形成体が、前記ノズル孔の中心軸を延長した延長軸上に配設されており、前記乱流形成体が、前記延長軸上から前記筒体に向けて延びる3本以上の放射状体により構成されている点にある。
【0016】
すなわち、本発明の第1特徴構成では、前記筒体の先端から噴出される前記第1混合気の流れに乱れを生じさせる乱流形成体を前記筒体に備えられているのである。
【0017】
つまり、ガスコンロとして、大径の調理用鍋等の大型の被加熱物に対応するような大径の火炎を形成する大火力用のガス燃焼部や、小径の調理用鍋等の小型の被加熱物に対応するような小径の火炎を形成する小火力用のガス燃焼部を備えるガスコンロ等、被加熱物の大きさの違いに対応した燃焼状態が得られるように複数種のガス燃焼部を備えるガスコンロが存在するものであるが、大火力用のガス燃焼部は最大ガス流動量が多く、小火力用のガス燃焼部は、大火力用のガス燃焼部に比べて最大ガス流動量が少ないものであり、上記した複数種のガス燃焼部は、最大ガス流動量が互いに異なるものとなる。そして、このようなガス燃焼部における最大ガス流動量の違いがあった場合にも、ガス流動量の幅広い範囲で乱流形成効果を生じせしめることが可能になるように、混合気の流れに関するレイノルズ数が大きな値となるように、前記筒体の内部から噴出される、前記第1混合気の流れに乱れを生じさせる乱流形成体を前記筒体に備えるようにするのである。
【0018】
さらに説明すると、前記筒体の先端に設けられた開口から流出する前記第1混合気の流量は、前記吸引口から吸引される前段一次空気の流量と前記ノズル孔を流れるガスの流量との和であるから、前記ガスノズルを流れるガスの流量より大きい値となり、小さな乱流形成体であっても大きな乱れを生じせしめる効果が得られるのである。
【0019】
つまり、任意の流路を通過するガス流動量が大きい値から小さい値に変化していったときに、ガス流動量が大きい値のときにはレイノルズ数が大きい値となる乱流を形成することになるが、ガス流動量がある限界流量より小さい値となったときには、レイノルズ数が小さい値となり、乱流ではなく層流を形成する状態となる。
【0020】
一方、燃焼部において燃焼部の混合部に向けて気体を噴出させて、この噴出によるエジェクター効果によって燃焼用空気を吸引する場合、この噴出する気体が乱流であるときの方が噴出する気体が層流であるときに比べてエジェクター効果が大きいものである。
【0021】
そのため、火力が大火力の時には大きなエジェクター効果が得られることにより適切な燃焼用空気を吸引することができ良好な燃焼が可能であっても、火力を小火力に絞った場合にガス流動量がある限界流量より小さい値となったときには、レイノルズ数が小さい値となって層流を形成する状態となって、エジェクター効果が大きく低下してしまい、適切な燃焼用空気を吸引することができなくなってしまうことが考えられる。
【0022】
これに対して、乱流形成体を備えることで、噴出させる気体の流れを乱流形成体によって乱流状体に保つことができることになるが、本願においては、乱流形成体を、前記ガスノズル内ではなく、前記筒体に備えることで、レイノルズ数が大きい状態にある気体の流れを、さらに乱流形成体によって乱流状体に保つものであるから、広いガス流動量の範囲において、小さな通過抵抗を有する小さな乱流形成体により、バーナすなわちガス燃焼部の混合部における気体の噴出を乱流状体に保つという効果が得られるものとなる。
【0023】
従って、本発明の第1特徴構成によれば、ガス燃焼部における最大ガス流動量が異なる場合であっても、適正な混合ガスを生成して良好な燃焼を行うことが可能となるガスコンロにおける乱流形成体を提供できるに至った。
【0025】
また、前記乱流形成体が前記ノズル孔の中心軸を延長した延長軸上にない場合には、前記第1混合気の流れに対して乱流を生じせしめにくいものとなるが、前記乱流形成体が前記ノズル孔の中心軸を延長した延長軸上に配設されているから、小さな通過抵抗でも大きな乱流を生じせしめることになる。
【0026】
つまり
、前記乱流形成体の通過抵抗を極力小さな通過抵抗として、大きな乱流を生じせしめることができる。
【0028】
また、前記乱流形成体が、前記延長軸上から前記筒体に向けて延びる3本以上の放射状体により構成されているから、前記筒体を通過する前記第1混合気が前記筒体の内部において多少偏って流れた場合にも、前記第1混合気の流れに対して前記乱流形成体によって乱流を生じさせやすいものとなるから、乱流を生じせしめる効果のバラツキを小さいものとすることができる。
【0029】
従って
、前記筒体を通過する前記第1混合気が前記筒体の内部において多少偏って流れた場合にも、前記乱流形成体により乱流を生じせしめる効果のバラツキを小さいものとすることができる
【0030】
本発明の第
2特徴構成は、第1特徴構
成に加えて、前記乱流形成体が、前記筒体の先端に設けられている点にある。
【0031】
すなわち、前記乱流形成体が、前記筒体の先端に設けられているから、外観により前記乱流形成体の有り無しが判別可能となり、前記乱流形成体の装着の有無が確認し易いものとなる。
【0032】
従って、本発明の第
2特徴構成によれば、第1特徴構
成による作用効果に加えて、前記乱流形成体の装着の有無が確認し易いものとすることができる。
【0033】
本発明の第
3特徴構成は、第1特徴構成
または第2特徴構成のいずれかに加えて、前記乱流形成体が、前記筒体の壁面から離れるほど前記第1混合気の流れの下流側に位置する形態で湾曲して設けられている点にある。
【0034】
すなわち、前記筒体における前記乱流形成体装着箇所の周辺を流れる前記第1混合気の流速が小さい前記筒体の壁面近傍では、前記第1混合気の流れ方向の長い距離に亘り前記乱流形成体が存在することになり前記筒体の径方向における前記第1混合気の流速が大きい前記筒体の中心軸近傍では、前記第1混合気の流れ方向の短い距離に亘り前記乱流形成体が存在し、このようにすることで前記筒体の径方向における前記第1混合気の流速の分布に応じて効果的に乱流を生じせしめる構成とすることが容易にできる。
【0035】
従って、本発明の第
3特徴構成によれば、第1特徴構成
または第2特徴構成のいずれかの作用効果に加えて、前記筒体の径方向における前記第1混合気の流速の分布に応じて効果的に乱流を生じせしめる乱流形成体が容易に構成できる。
【0036】
本発明の第
4特徴構成は、第
3特徴構成に加えて、前記乱流形成体が、前記筒体の先端より前記第1混合気の流れの下流側に突出して設けられている点にある。
【0037】
すなわち、前記乱流形成体が、前記筒体の先端より前記第1混合気の流れの下流側に突出して設けられていることにより、前記延長軸上にある前記乱流形成体が前記筒体の先端より下流側の開放空間に位置することになり、より小さな通過抵抗で乱流を生じせしめることが可能となる。
【0038】
従って、本発明の第
4特徴構成によれば、第
3特徴構成による作用効果に加えて、より小さな通過抵抗で乱流を生じせしめることが可能となる。