特許第5794848号(P5794848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794848
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】積層鉄心の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/03 20060101AFI20150928BHJP
   H02K 1/27 20060101ALI20150928BHJP
   H02K 1/28 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   H02K15/03 Z
   H02K1/27 501D
   H02K1/28 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-158063(P2011-158063)
(22)【出願日】2011年7月19日
(65)【公開番号】特開2013-27104(P2013-27104A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】明神 巌
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−204068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/03
H02K 1/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周方向に並べて形成された磁石挿入孔に永久磁石が挿入された積層鉄心本体を、加圧プレートと保持プレートの間に配置し、前記加圧プレートに設けた樹脂吐出手段によって融けた樹脂を前記磁石挿入孔に充填する積層鉄心の製造方法において、
前記樹脂吐出手段は、前記加圧プレートから前記積層鉄心本体側にスプリングを介して設けられた樹脂ポットブロックと、該樹脂ポットブロックからプランジャによって押し出された前記樹脂を前記磁石挿入孔に導くカルプレートとを有し、前記積層鉄心本体の樹脂注入側面に前記カルプレートの一面が密着した状態で前記樹脂を充填し、しかも、前記カルプレートは1又は複数の隣接する前記磁石挿入孔毎に分割されていることを特徴とする積層鉄心の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の積層鉄心の製造方法において、前記樹脂ポットブロックには、前記加圧プレートまで貫通する樹脂ポットスリーブが設けられ、前記プランジャは前記樹脂ポットスリーブ内を昇降することを特徴とする積層鉄心の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の積層鉄心の製造方法において、前記樹脂ポットブロックは前記カルプレートと共に分割されていることを特徴とする積層鉄心の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層鉄心の製造方法において、前記積層鉄心本体は、1又は複数の磁極片部を有するセグメント鉄心片を連結部で連結した帯状鉄心片を前記連結部で折り曲げて形成する巻鉄心本体であることを特徴とする積層鉄心の製造方法。
【請求項5】
請求項記載の積層鉄心の製造方法において、前記巻鉄心本体は、主軸を中央に有する下型プレートに前記帯状鉄心片を巻き付けて製造することを特徴とする積層鉄心の製造方法。
【請求項6】
請求項記載の積層鉄心の製造方法において、前記主軸の周囲には所定ピッチで線状突起を有し、前記帯状鉄心片の内側に形成される位置決め凹部に噛合させながら、前記巻鉄心本体を製造することを特徴とする積層鉄心の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状の鉄心片を積層した積層鉄心本体又は帯状鉄心片を螺旋状に巻いて積層した積層鉄心本体の磁石挿入孔に永久磁石(未磁化のものを含む)を樹脂封止する積層鉄心の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環状の鉄心片をかしめ積層して形成した積層鉄心本体の磁石挿入孔に永久磁石を入れて、樹脂封止することについて、特許文献1に開示されている。この特許文献1には、積層鉄心本体の上にダミー板(カルプレート)を配置して、上型に設けた樹脂溜め部からの溶融樹脂を、ダミー板を介して磁石挿入孔に充填している。
【0003】
また、特許文献2には、複数の磁極片部を有するセグメント鉄心片を連結部で連結した帯状鉄心片を螺旋状に巻いて積層鉄心本体を製造することが開示されている。この積層鉄心本体には半径方向外側領域に複数の磁石挿入孔が形成され、この磁石挿入孔に永久磁石を入れて樹脂封止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−54376号公報
【特許文献2】特開2009−100516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載のような積層鉄心本体の磁石挿入孔の全部に対してその中の永久磁石を樹脂封止する場合、図12に示すように、帯状鉄心片70の巻き始めと巻き終わりに段差71があり、更に積層鉄心本体72は、上下面が外周に対して直角ではなく、円周方向に一周(一条巻きの場合)した螺旋状の傾きを有し、樹脂溜めポットが設けられた金型(通常、上型)で押圧しても金型と積層鉄心本体との間に形成された隙間から樹脂漏れを起こすので、適当な段差73を有する治具(ダミー板)75、76を必要とする。ここで、78は樹脂溜めポットを、79は磁石挿入孔を示す。
また、環状の鉄心片を積層した積層鉄心本体においても、鉄心片の厚みが均一でないので、上型又は下型の積層鉄心本体への押圧面が平面であっても、樹脂漏れを起こす場合があるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、積層鉄心本体又は積層鉄心本体の上下面に、磁石挿入孔の位置によって高さの相違又は多少の傾きがあっても、樹脂漏れを生じることなく、樹脂封止が可能な積層鉄心の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係る積層鉄心の製造方法は、円周方向に並べて形成された磁石挿入孔に永久磁石が挿入された積層鉄心本体を、加圧プレートと保持プレートの間に配置し、前記加圧プレートに設けた樹脂吐出手段によって融けた樹脂を前記磁石挿入孔に充填する積層鉄心の製造方法において、
前記樹脂吐出手段は、前記加圧プレートから前記積層鉄心本体側にスプリングを介して設けられた樹脂ポットブロックと、該樹脂ポットブロックからプランジャによって押し出された前記樹脂を前記磁石挿入孔に導くカルプレートとを有し、前記積層鉄心本体の樹脂注入側面に前記カルプレートの一面が密着した状態で前記樹脂を充填し、しかも、前記カルプレートは1又は複数の隣接する前記磁石挿入孔毎に分割されている。
【0008】
第2の発明に係る積層鉄心の製造方法は、第1の発明に係る積層鉄心の製造方法において、前記樹脂ポットブロックには、前記加圧プレートまで貫通する樹脂ポットスリーブが設けられ、前記プランジャは前記樹脂ポットスリーブ内を昇降する。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
の発明に係る積層鉄心の製造方法は、第1、第2の発明に係る積層鉄心の製造方法において、前記樹脂ポットブロックは前記カルプレートと共に分割されている。
【0013】
の発明に係る積層鉄心の製造方法は、第1〜第3の発明に係る積層鉄心の製造方法において、前記積層鉄心本体は、1又は複数の磁極片を有するセグメント鉄心片を連結部で連結した帯状鉄心片を前記連結部で折り曲げて形成する巻鉄心本体である。
【0014】
の発明に係る積層鉄心の製造方法は、第の発明に係る積層鉄心の製造方法において、前記巻鉄心本体は、主軸を中央に有する下型プレートに前記帯状鉄心片を巻き付けて製造する。
【0015】
そして、第の発明に係る積層鉄心の製造方法は、第の発明に係る積層鉄心の製造方法において、前記主軸の周囲には所定ピッチで線状突起を有し、前記帯状鉄心片の内側に形成される位置決め凹部に噛合させながら、前記巻鉄心本体を製造する。
【発明の効果】
【0016】
第1〜第の発明に係る積層鉄心の製造方法において、樹脂吐出手段は、加圧プレートから積層鉄心本体側にスプリングを介して設けられた樹脂ポットブロックと、樹脂ポットブロックからプランジャによって押し出された樹脂を磁石挿入孔に導くカルプレートとを有しているので、積層鉄心本体の樹脂注入側面にカルプレートが密着し、樹脂漏れを防止することができる。
【0017】
特に、第2の発明に係る積層鉄心の製造方法において、樹脂ポットブロックには、加圧プレートまで貫通する樹脂ポットスリーブが設けられ、プランジャは樹脂ポットスリーブ内を昇降するので、加圧プレートと樹脂ポットブロックとの間で樹脂漏れを生じることがない。
【0018】
【0019】
【0020】
更に、第1の発明に係る積層鉄心の製造方法において、カルプレートは1又は複数の隣接する磁石挿入孔毎に分割されているので、より正確に高さや傾きの異なる積層鉄心本体の面にカルプレートを個々に合わせ、樹脂漏れ防止を図ることができる。
【0021】
の発明に係る積層鉄心の製造方法においては、樹脂ポットブロックはカルプレートと共に分割されているので、積層鉄心本体の表面、カルプレート及び樹脂ポットブロックの面を合わせてることができて、樹脂漏れの防止をより確実に行える。
【0022】
の発明に係る積層鉄心の製造方法においては、積層鉄心本体が1又は複数の磁極片部を有するセグメント鉄心片を連結部で連結した帯状鉄心片を連結部で折り曲げて形成される巻鉄心本体であるので、積層鉄心本体の上下面には段差を有していることになり、第、第の発明に係る積層鉄心の製造方法に特に適している。
【0023】
の発明に係る積層鉄心の製造方法においては、巻鉄心本体が主軸を中央に有する下型プレートに帯状鉄心片を巻き付けて製造されるので、巻鉄心本体の製造が容易となる。
【0024】
そして、第の発明に係る積層鉄心の製造方法において、主軸の周囲には所定ピッチで線状突起を有し、帯状鉄心片の内側に形成される位置決め凹部に噛合させながら、巻鉄心本体を製造するので、確実に帯状鉄心片を巻き取りながら巻鉄心本体の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法を示す一部省略断面図である。
図2】(A)、(B)は同積層鉄心の製造方法を示す斜視図、(C)は同積層鉄心の製造方法を適用する積層鉄心本体の斜視図である。
図3】(A)、(B)は同積層鉄心の製造方法を示す正面図である。
図4】同積層鉄心の製造方法に使用する樹脂ポットブロックの平面図である。
図5】同積層鉄心の製造方法に使用するカルプレートの平面図である。
図6】(A)、(B)はそれぞれ同積層鉄心の製造方法の説明図である。
図7】(A)、(B)はそれぞれ積層鉄心本体の製造方法を示す斜視図である。
図8】(A)、(B)はそれぞれ別例に係る積層鉄心本体の製造方法を示す平面図である。
図9】(A)、(B)は本発明の第2の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法を示す正面図である。
図10】同積層鉄心の製造方法に使用する樹脂ポットブロックの平面図である。
図11】同積層鉄心の製造方法に使用するカルプレートの平面図である。
図12】本発明の基礎となる積層鉄心の製造方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施の形態について説明する。
本発明の第1の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法に適用される積層鉄心本体23、29(図2図8参照)の製造方法について、図7(A)、(B)、図8(A)、(B)を参照しながら説明する。
図7(B)に示すように、磁性鋼板からなる薄板条材から、1又は複数の磁極片部11を有するセグメント鉄心片12が折り曲げ可能な連結部13を介して直線状に連結された帯状鉄心片14、15を打ち抜き形成する。
【0027】
この帯状鉄心片14、15の巻き出し端部を、中央に主軸17を有する下型プレート18に設けられている段差19、20に一致させて、下型プレート18上に載せる。この状態で、連結部13で折り曲げられた環状となった鉄心片の内側に形成された位置決め凹部22を、主軸17の周囲に所定ピッチで設けられた線状突起23aに噛合させながら、下型プレート18ごと主軸17を回転させる。なお、帯状鉄心片14、15の巻き始めの段階では、帯状鉄心片14、15を下型プレート18に仮クランプするのが好ましい。
【0028】
主軸17を徐々に回転させることによって、主軸17に対して接線逆方向から帯状鉄心片14、15を徐々に2条に巻いて、積層鉄心本体(巻鉄心本体)23を製造する。この場合、帯状鉄心片14、15の各セグメント鉄心片12を全く同一位相で重ねると、帯状鉄心片14、15の連結部13の位置も重なるので、各セグメント鉄心片12を1磁極片部ピッチだけずらす。これによって、積層鉄心本体23の上下の鉄心片の連結部13の位置が重ならず、強固な積層鉄心本体23を形成できる。なお、主軸17の中央には貫通孔24が設けられ、この主軸17を回転させる図示しない回転駆動源に連結されている。
【0029】
図7に示す積層鉄心本体23は帯状鉄心片14、15を2条巻きしているので、積層鉄心本体23の上表面に2つの段差26、27(図2(C)参照)が形成される。この例においては、2条(複数条)の帯状鉄心片14、15を用いて積層鉄心本体23を形成したが、図8に示すように1条の帯状鉄心片14のみを用いて積層鉄心本体29を形成することもできる。この場合においても、主軸17を有する下型プレート18を用いて積層鉄心本体29を製造することは同一である。この場合は、積層鉄心本体29の上下にはそれぞれ1つの段差しか形成されず、下型プレート18にはこれに符合する1つの段差が形成されている。また、1条又は2条巻きのいずれであっても、帯状鉄心片14、15の端部は必ず連結部13の位置に形成されている。
【0030】
なお、これらの積層鉄心本体23、29において、中央に貫通孔30を、その周囲に円周方向に並べて形成された複数の磁石挿入孔31を、その内側に抜き孔32を有していることは共通している。そして、図8(A)に示すように、隣り合うセグメント鉄心片12の端部には凹部33と凸部34が形成され、組み立て時に凹部33内に凸部34が嵌入し、隣り合うセグメント鉄心片12には連結部13に向かう分離線35が形成されている。この分離線35の記載は図2においては省略されている。
【0031】
続いて、図1図2(A)〜(C)、図3(A)、(B)、図4図6を参照しながら、積層鉄心本体23(積層鉄心本体29においても同じ)の磁石挿入孔31に永久磁石37を入れて樹脂封止を行う本発明の第1の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法について説明する。
搬送治具として機能する下型プレート18の上に載った積層鉄心本体23を、保持プレート36の上に位置決めして載せる。なお、この積層鉄心本体23の磁石挿入孔31には永久磁石(未磁化のものを含む)37が挿入されている。この場合、積層鉄心本体23の上にカルプレート38が載せられている。そして、この状態で、カルプレート38の上に位置決めして載置され、加圧プレート39にコイルスプリング(スプリングの一例)40を介して取付けられた樹脂ポットブロック41を載せる。なお、下型プレート18は積層鉄心本体23の磁石挿入孔31の下部を塞いでいる。
【0032】
カルプレート38は、磁極部となる磁石挿入孔31毎に複数に分割され、樹脂ポットブロック41もカルプレート38に対応して複数に分割されている。平面視して円形の加圧プレート39には、それぞれ樹脂ポットブロック41を貫通する短管からなる樹脂ポットスリーブ42を貫通状態で有している。コイルスプリング40は一つの樹脂ポットスリーブ42の周囲に複数配置され、それぞれのコイルスプリング40の中央には、位置決めボルト43が設けられ、樹脂ポットブロック41が落下しないようにこれで保持している。なお、加圧プレート39に形成されているボルト挿通孔44は位置決めボルト43の直径より0.5〜2mm程度大きくガタ孔となって、樹脂ポットブロック41及びこの直下にあるカルプレート38が積層鉄心本体23の磁石挿入孔31の周囲の表面に合わせて傾斜できる構造となっている。なお、図4において44aは雌ねじ穴を示す。図8(B)に一点鎖線で示すように、カルプレート38aは複数(2又は3以上)の隣接する磁石挿入孔31毎に分割してもよい。この場合、帯状鉄心片の巻き終わりの段差に位置するカルプレートは段差に符合するように切断されている。
【0033】
樹脂ポットスリーブ42は加圧プレート39の上表面から突出し、内部には昇降可能なプランジャ46を有し、樹脂ポットスリーブ42内にある溶けた樹脂47をカルプレート38の樹脂注入孔48を介して磁石挿入孔31に充填できる構造となっている。これによって、積層鉄心本体23の表面に、段差や傾きがあっても、カルプレート38が柔軟に対応し、更には、樹脂ポットブロック41もこれに対応し、結果としてカルプレート38の下面が積層鉄心本体23の上面に密着して、漏れが発生することなく、樹脂封止ができる。なお、以上の加圧プレート39の下部にコイルスプリング40を介して設けられた樹脂ポットブロック41、カルプレート38、樹脂ポットスリーブ42及び樹脂ポットスリーブ42内の樹脂を押し出すプランジャ46を有して、樹脂吐出手段が構成されている。
【0034】
積層鉄心本体23から樹脂ポットブロック41を除去する場合は、加圧プレート39を上昇させることによって行う。この場合、カルプレート38は加圧プレート39の上昇初期には、樹脂ポットブロック41に設けられているコイルスプリング40によって積層鉄心本体23側に押圧されているので、カルプレート38を積層鉄心本体23の上に残した状態で、加圧プレート39及び樹脂ポットブロック41及び樹脂ポットブロック41に固着されている樹脂ポットスリーブ42が上昇する。
【0035】
積層鉄心本体23の上に残ったカルプレート38は、硬化した樹脂滓が残った状態で、下型プレート18ごと、保持プレート36から別位置に搬送されて図示しない作業台上に搬送される。そして、図1図6(A)、(B)に示すように、カルプレート除去部材49、50によって除去される。このカルプレート除去部材49、50はそれぞれ半径方向に進退する(図6(A)に矢視a、bで示す)図示しない進退機構と、カルプレート除去部材49、50が積層鉄心本体23から遠ざかった状態でカルプレート除去部材49、50を昇降させる(図6(A)に矢視c、dで示す)図示しない昇降機構を有している。なお、図1に示すように、主軸17にはカルプレート除去部材49が挿入可能な切欠き52が設けられている。
【0036】
カルプレート除去部材49、50は断面L字状となって、下部に掛止部を有し、図6(A)に示すように、この掛止部が各カルプレート38の半径方向内側及び半径方向外側からカルプレート38に掛止して、樹脂封止が完了した積層鉄心本体23(即ち、製品となる積層鉄心51)から、カルプレート38を外している。この後、下型プレート18から積層鉄心51を外すことになる。
【0037】
なお、この実施の形態では、カルプレート除去部材49、50を用いてカルプレート38を除去したが、手動又はその他、ロボットハンドや真空吸着機構によってカルプレート38を除去することもできる。
付着した樹脂を除去するクリーニング後のカルプレート38を積層鉄心本体23の所定位置に載せる場合は、各カルプレート38を積層鉄心本体23の上にカルプレート除去部材49、50を用いて装着してもよいし、別のハンドリング機構又は手動によって行ってもよい。
【0038】
また、樹脂ポットブロック41の底部に真空吸引孔を設けて、図3(A)に示すようにカルプレート38を真空吸引して、樹脂ポットブロック41の底部に配置してもよい。
なお、各カルプレート38には、樹脂ポットブロック41及び積層鉄心本体23の所定位置に正確に符合するように、図示しないパイロットピンや案内部材を設けるのが好ましい。
【0039】
いずれの場合であっても、図3(B)に示すように、積層鉄心本体23の上にカルプレート38、樹脂ポットブロック41を載せ、加圧プレート39で積層鉄心本体23を押圧した状態で、樹脂ポットスリーブ42内に樹脂47を入れて加熱し、樹脂47を溶融させた後、プランジャ46を樹脂ポットスリーブ42内に入れて、溶けた樹脂47をカルプレート38の樹脂注入孔48を介して磁石挿入孔31内に充填し、内部の永久磁石37を樹脂封止する。
【0040】
この後、加圧プレート39を上昇させて、カルプレート38を積層鉄心本体23上に残した状態で、樹脂ポットブロック41を外すことになる。そして、下型プレート18に載った状態で、積層鉄心本体23を保持プレート(下型)36から図示しない搬送手段で取り出し、カルプレート38を除去し、下型プレート18も外して積層鉄心51を得る。
【0041】
続いて、図9(A)、(B)、図10図11を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法について説明する。この実施の形態においては、積層鉄心本体55は帯状鉄心片14、15を螺旋巻した積層鉄心本体23、29ではなく、平面視してドーナツ状の環状鉄心片56を所定枚数かしめ積層して形成されている。この積層鉄心本体55においても、各環状鉄心片56の板厚偏差によって、積層鉄心本体55の上面及び下面が完全に平行ではなく、多少傾いており、下型プレートの上面と上型プレートの下面が完全に平行な樹脂封止装置を用いて、磁石挿入孔の樹脂封止を行うと、多少樹脂漏れが生じる。
【0042】
そこで、図10に示すような樹脂ポットブロック57と図11に示すようなカルプレート58を用いる。この樹脂ポットブロック57は、第1の実施の形態における各磁極部ごとに分割された樹脂ポットブロック41を環状に一体化したもの(環状板)である。また、カルプレート58は第1の実施の形態に係る分割されたカルプレート38を環状に一体化したものである。樹脂ポットスリーブ42及びコイルスプリング40はそのまま用いられている。
【0043】
従って、この実施の形態に使用するカルプレート58及び樹脂ポットブロック57は積層鉄心本体55の傾きに応じて傾き、積層鉄心本体55の下面と下型プレート18との隙間、及び積層鉄心本体55の上面とカルプレート58との隙間が無くなり、樹脂漏れが生じない。なお、その他の構成及び積層鉄心の製造方法については、第1の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法と同一であるので、詳しい説明は省略する。なお、この実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に分割された樹脂ポットブロック、及びカルプレートを使用してもよい。
【0044】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。例えば、前記実施の形態においては、カルプレートに形成される樹脂注入孔から直接積層鉄心本体の磁石挿入孔に樹脂を注入したが、カルプレートに樹脂流路(ランナー)を設け、樹脂ポットスリーブから押し出される樹脂を樹脂流路を介して1又は2の磁石挿入孔に充填するようにもできる。
また、前記実施の形態では上型となる加圧プレートに樹脂ポットスリーブを設けたが、保持プレート、下型プレートに樹脂ポットスリーブを設けることもできる。
【符号の説明】
【0045】
11:磁極片部、12:セグメント鉄心片、13:連結部、14、15:帯状鉄心片、17:主軸、18:下型プレート、19、20:段差、22:位置決め凹部、23a:線状突起、23:積層鉄心本体、24:貫通孔、26、27:段差、29:積層鉄心本体、30:貫通孔、31:磁石挿入孔、32:抜き孔、33:凹部、34:凸部、35:分離線、36:保持プレート、37:永久磁石、38、38a:カルプレート、39:加圧プレート、40:コイルスプリング、41:樹脂ポットブロック、42:樹脂ポットスリーブ、43:位置決めボルト、44:ボルト挿通孔、44a:雌ねじ穴、46:プランジャ、47:樹脂、48:樹脂注入孔、49、50:カルプレート除去部材、51:積層鉄心、52:切欠き、55:積層鉄心本体、56:環状鉄心片、57:樹脂ポットブロック、58:カルプレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12