(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のフレームからなる動画像を検知対象として、各々の前記フレームを構成するトップフィールドおよびボトムフィールドが入れ替わるフィールドドミナンスを検知するノイズ検知装置であって、
処理の対象となる前記動画像を取得する取得部と、
前記動画像のうち、任意のフレームの前記トップフィールドと、前記任意のフレームと連続する少なくとも1つのフレームにおける前記トップフィールドおよび前記ボトムフィールドとの相関をそれぞれ検出し、検出した2種類の相関に基づいて、前記任意のフレームの前記トップフィールドと、前記任意のフレームと連続する少なくとも1つのフレームとの間の相関を第1の相関として検出するとともに、前記任意のフレームの前記ボトムフィールドと、前記任意のフレームと連続する少なくとも1つのフレームにおける前記トップフィールドおよび前記ボトムフィールドとの相関をそれぞれ検出し、検出した2種類の相関に基づいて、前記任意のフレームの前記ボトムフィールドと、前記任意のフレームと連続する少なくとも1つのフレームとの間の相関を第2の相関として検出する検出部と、
前記検出部における検出結果に基づいて前記第1の相関と前記第2の相関とを比較し、比較結果に基づいて、前記任意のフレームに前記フィールドドミナンスが発生しているか否かの判定を行う判定部と、
を備えることを特徴とするノイズ検知装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、実施形態でのノイズ検知装置の構成例を示すブロック図である。ノイズ検知装置には、処理の対象となる動画像(対象動画像)について、ノイズを検知するためのノイズ検知プログラムが予めインストールされる。
【0017】
なお、対象動画像はどのようなものであっても良い。例えば、デジタル画像を生成可能な撮像装置により生成されたものであっても良いし、アナログの動画像の画像データをデジタルデータに変換したものであっても良いし、ビデオテープなどに記録された動画像をデジタルデータに変換したものであっても良い。また、コンピュータなどにより作成された動画像であっても良い。
【0018】
また、以下では、対象動画像の全フレームをノイズ検知の対象として処理を行う例を示すが、対象動画像の一部のフレームのみをノイズ検知の対象として処理を行っても良い。この場合、ノイズ検知の対象となるフレームは、ユーザ操作に基づいて指定されても良いし、対象動画像の情報などに基づいて自動で指定されても良い。
【0019】
図1に示すノイズ検知装置11は、バッファメモリ12、メモリコントローラ13、ノイズ検知部14、CPU15、アラーム出力部16および入出力I/F17、バス18を有している。CPU15は、メモリコントローラ13とバス18を介して相互に接続されるとともに、入出力I/F17と相互に接続される。また、ノイズ検知部14の出力は、バス18を介してCPU15に接続される。さらに、アラーム出力部16は、CPU15により制御される。
【0020】
ノイズ検知装置11に入力された対象動画像の画像データは、メモリコントローラ13に入力されるとともに、ノイズ検知部14にも入力される。メモリコントローラ13に入力された画像データは、バッファメモリ12に書き込まれる。バッファメモリ12は、リングバッファ構成により複数フレームの画像データを残しておくことができるフレームバッファである。さらに、バッファメモリ12とメモリコントローラ13は、1フレーム遅延の信号を作成することが可能であり、この遅延された1フレームの画像データは、ノイズ検知部14のうち、後述する相関検出部に入力される。また、バッファメモリ12とメモリコントローラ13は、上述した1フレーム遅延の信号を元に、トップフィールドおよびボトムフィールドの順番を入れ替えた信号を作成することが可能であり、このフィールドの順番を入れ替えた信号の画像データも、上述したノイズ検知部14の相関検出部に入力される。
【0021】
さらに、ノイズ検知装置11には、入出力I/F17を介して、不図示の入力デバイス(キーボード、ポインティングデバイスなど)やモニタ、LAN接続のためのネットワークケーブルなどが接続されている。
【0022】
また、ノイズ検知装置11は、不図示の記憶装置(例えば、ハードディスクや、不揮発性の半導体メモリなどの記憶媒体で構成される)を備える。この記憶装置には、画像処理プログラムや、プログラムの実行に必要となる各種のデータが記録されている。
【0023】
CPU15は、ノイズ検知装置11の各部を統括的に制御するプロセッサである。また、アラーム出力部16は、スピーカ、モニタ、ランプなどの報知部材を備え、ノイズ検知部14による検知結果をユーザに報知する。
【0024】
以上説明した構成のノイズ検知装置11は、ノイズとして、フィールドドミナンスを検知する。フィールドドミナンスとは、上述したように、トップフィールドとボトムフィールドとが入れ替わってしまうノイズである。
【0025】
ノイズ検知部14は、
図1に示すように、複数のフィールドの相関を検出する相関検出部21と、検出した相関に基づいて上述したフィールドドミナンスの有無を判定するノイズ判定部22とを有する。
【0026】
次に、ノイズの検知の詳細について、
図2および
図3の流れ図を参照して説明する。
【0027】
なお、
図2および
図3の流れ図の処理は、ユーザによるプログラム実行指示に応じて、各部がノイズ検知プログラムを実行することで開始される。
【0028】
(ステップS101)
ノイズ検知装置11は、ユーザにより指定された対象動画像の第1フレームの画像データを取得する。取得した第1フレームの画像データは、
図1に示したメモリコントローラ13に入力される。なお、以下では、第Nフレームの画像をフレームF[N]と称する。第1フレームの画像は、フレームF[1]となる。
【0029】
(ステップS102)
ノイズ検知装置11は、ユーザにより指定された対象動画像の第2フレームの画像データを取得する。取得したフレームF[2]の画像データは、
図1に示したメモリコントローラ13に入力されるとともに、ノイズ検知部14の相関検出部21にも入力される。
【0030】
なお、第2フレームの画像データが相関検出部21に入力される際には、1つ前のフレームである第1フレームに関する2種類の画像データも、メモリコントローラ13から相関検出部21に入力される。すなわち、このタイミングで、相関検出部21には、3つの画像データが入力される。
【0031】
1つ目の画像データは、
図1のD1に示す画像データであり、上述した第2フレームの画像データである。2つ目の画像データは、
図1のD2に示す画像データであり、ステップS
101で取得し、メモリコントローラ13に入力された画像データである。3つ目の画像データは、
図1のD3に示す画像データであり、上述したD2の画像データのトップフィールドおよびボトムフィールドの順番を入れ替えた画像データである。このようなフィールドの順番の入れ替えは、バッファメモリ12とメモリコントローラ13により行われる。通常、各フレームの画像データは、トップフィールド、ボトムフィールドの順であるため、上述したD1およびD2は、トップフィールド、ボトムフィールドの順の画像データであり、D3は、ボトムフィールド、トップフィールドの順の画像データである。
【0032】
(ステップS103)
ノイズ検知装置11は
、フレームF[
1]内のフィールド同士の相関検出を行う。ノイズ検知部14の相関検出部21は、ステップS
102において相関検出部21に入力された3つの画像データのうち、D2およびD3の画像データに基づいて、相関検出を行う。なお、以下では、第Nフレームの画像のトップフィールドをfN[t]と称し、ボトムフィールドをfN[b]と称する。第
1フレームの画像のトップフィールドは、f
1[t]となり、ボトムフィールドはf
1[b]となる。
【0033】
相関検出部21は、上述したD2およびD3のトップフィールド同士から相関を求めることにより、f
1[t]およびf
1[b]の相関を検出する。
【0034】
相関の検出は、どのような方法で行われても良い。例えば、相関検出部21は、各フィールドに含まれる画素の画素値に基づいて相関値を算出する。相関検出部21は、各フィールドのラインに沿って、画素ごとに画素値の差分値を求める。差分値は、類似度が高いほど0に近くなり、類似度が低いほど大きい値になる。そして、相関検出部21は、フィールド内に含まれる画素に関する差分値のうち、所定の閾値以下の差分値の数をカウントして相関値とする。類似度の高い画素が多い場合には、カウントされる差分値の数(画素数に相当する)は多くなり、相関値は大きくなる。一方、類似度の低い画素が多い場合には、カウントされる差分値の数(画素数に相当する)は少なくなり、相関値は小さくなる。
【0035】
(ステップS104)
ノイズ検知装置11は、連続するフレーム(第1フレームおよび第2フレーム)間で、4通りのフィールド同士の相関検出を行う。ノイズ検知部14の相関検出部21は、ステップS102で取得した3つの画像データに基づいて、第1フレームおよび第2フレーム間で、4通りのフィールド同士の相関検出を行う。4通りの相関とは、以下の4種類である。
【0036】
(1)f1[t]とf2[t]
(2)f1[t]とf2[b]
(3)
f1[b]とf2[t]
(4)f1[b]とf2[b]
相関検出部21は、上述したD1およびD2のトップフィールド同士から相関を求めることにより、(1)のf1[t]およびf2[t]の相関を検出し、上述したD1およびD2のボトムフィールド同士から相関を求めることにより、(4)のf1[b]およびf2[b]の相関を検出する。また、相関検出部21は、上述したD1およびD3のトップフィールド同士から相関を求めることにより、(3)の
f1[b]および
f2[t]の相関を検出し、上述したD1およびD3のボトムフィールド同士から相関を求めることにより、(2)のf1[t]およびf2[b]の相関を検出する。
ここで、D3の画像データは、D2の画像データのトップフィールド及びボトムフィールドの順番を入れ替えた画像データである。したがって、D1およびD3のトップフィールド同士から求まる相関は、D1のトップフィールドとD2のボトムフィールドから求まる相関に相当する。また、D1およびD3のボトムフィールド同士から求まる相関は、D1のボトムフィールドとD2のトップフィールドから求まる相関に相当する。これら相関の検出は、ステップS103と同様に行われる。求められる相関値は、ステップS103と同様に、類似度の高い画素が多い場合には大きくなり、類似度の低い画素が多い場合には小さくなる。相関検出部21は、上述した4通りの組み合わせについて相関値を求める。
【0037】
(ステップS105)
ノイズ検知装置11は、ユーザにより指定された対象動画像のフレームF[3]の画像データを取得する。
【0038】
なお、ステップS102と同様に、フレームF[3]の画像データが相関検出部21に入力される際には、1つ前のフレームであるフレームF[2]に関する2種類の画像データも、メモリコントローラ13から相関検出部21に入力される。
【0039】
(ステップS106)
ノイズ検知装置11は、ステップS
102で取得したフレームF[
2]内のフィールド同士の相関検出を行う。相関検出は、ステップS103と同様に行われ、ノイズ検知部14の相関検出部21は、f
2[t]およびf
2[b]の相関を検出する。
【0040】
なお、2回目以降のステップS106においては、直前のステップS111で取得したフレーム
の1つ前のフレーム内のフィールド同士の相関検出が行われる。
【0041】
(ステップS107)
ノイズ検知装置11は、連続するフレーム(第2フレームおよび第3フレーム)間で、ステップS104と同様に、4通りのフィールド同士の相関検出を行う。ノイズ検知部14の相関検出部21は、ステップS105で取得した3つの画像データに基づいて、ステップS104と同様に、第2フレームおよび第3フレーム間で、4通りのフィールド同士の相関検出を行う。
【0042】
なお、2回目以降のステップS107においては、直前のステップS111で取得したフレームと、その1つ前のフレームとの間で、相関検出を行う。
【0043】
(ステップS108)
ノイズ検知装置11は、ステップS102で取得した第2フレームの画像にノイズがあるか否かを判定する。そして、ノイズがあると判定するとステップS109に進み、ノイズがないと判定すると、後述するステップS110に進む。
【0044】
ノイズがあるか否かの判定は、ノイズ検知部14のノイズ判定部22により行われる。ノイズの判定の詳細は後述する。
【0045】
なお、2回目以降のステップS108においては、直前のステップS111で取得したフレームの1つ前のフレームの画像にノイズがあるか否かを判定する。
【0046】
(ステップS109)
ノイズ検知装置11のノイズ検知部14は、判別内容として、ノイズが存在することを示す情報を、バス18を介してCPU15に出力する。
【0047】
(ステップS110)
ノイズ検知装置11のCPU15は、ステップS106からステップS109の処理を、全フレーム分行ったか否かを判定する。CPU15は、全フレーム分終了したと判定すると一連の処理を終了し、全フレーム分終了していないと判定すると、ステップS111に進む。
【0048】
(ステップS111)
ノイズ検知装置11は、対象動画像の次のフレームの画像の画像データを取得し、ステップS106に戻る。なお、ステップS111で取得されたフレームの画像データが相関検出部21に入力される際には、ステップS102と同様に、1つ前のフレームに関する2種類の画像データも、メモリコントローラ13から相関検出部21に入力される。
【0049】
次に、
図3の流れ図および
図4の模式図を参照して、
図2の流れ図のステップS108におけるノイズの判定について説明する。
【0050】
フィールドドミナンスは、上述したように、あるフレームのトップフィールドとボトムフィールドとが入れ替わる現象である。そこで、あるフレームにおいてフィールドドミナンスが発生しているか否かを、前後のフレームとの相関を見ることにより判定することができる。
図4は、フィールドドミナンスの検知について説明する図である。以下では、
図4Aに示す連続する3つのフレーム(F[A]、F[B]、F[C])を用いて、中央のフレームF[B]においてフィールドドミナンスが発生しているか否かを判定する場合を例に挙げて説明する。
【0051】
読み出し順がフレームF[A]、フレームF[B]、フレームF[C]である際に、フィールド単位の読み出し順は、フレームF[A]のトップフィールドfA[t]、ボトムフィールドfA[b]、フレームF[B]のトップフィールドfB[t]、ボトムフィールドfB[b]、フレームF[C]のトップフィールドfC[t]、ボトムフィールドfC[b]の順になる。
【0052】
したがって、フィールドドミナンスが発生していない場合には、フレームF[B]のトップフィールドfB[t]およびフレームF[A](トップフィールドfA[t]、ボトムフィールドfA[b])の相関(
図4A中(a))は、ボトムフィールドfB[b]およびフレームF[A]の相関(
図4A中(b))よりも高くなる。同様に、フレームF[B]のボトムフィールドfB[b]およびフレームF[C](トップフィールドfC[t]、ボトムフィールドfC[b])の相関(
図4A中(c))は、トップフィールドfB[b]およびフレームF[C]の相関(
図4A中(d))よりも高くなる。
【0053】
一方、フィールドドミナンスが発生している場合には、フレームF[B]のトップフィールドfB[t]およびフレームF[A](トップフィールドfA[t]、ボトムフィールドfA[b])の相関(
図4A中(a))は、ボトムフィールドfB[b]およびフレームF[A]の相関(
図4A中(b))よりも低くなる。同様に、フレームF[B]のボトムフィールドfB[b]およびフレームF[C](トップフィールドfC[t]、ボトムフィールドfC[b])の相関(
図4A中(c))は、トップフィールドfB[b]およびフレームF[C]の相関(
図4A中(d))よりも低くなる。
【0054】
ノイズ検知部14のノイズ判定部22は、上述した特性を見ることにより、フレームF[B]においてフィールドドミナンスが発生しているか否かを判定する。
【0055】
上述した
図2のステップS103、ステップS106では、フレーム内のフィールド同士の相関が検出される。この相関は、
図4B中(e)に相当する。また、
図2のステップS104、ステップS107では、連続するフレーム間で、4通りのフィールド同士の相関が検出される。この相関は、
図4B中(f−1)から(f−8)に相当する。
【0056】
(ステップS121)
ノイズ判定部22は、フレームF[B]のトップフィールドfB[t]およびフレームF[A]の相関を検出する。この相関は
図4C中(g)に相当する。フレームF[B]のトップフィールドfB[t]およびフレームF[A]の相関は、フレームF[B]のトップフィールドfB[t]およびフレームF[A]のトップフィールドfA[t]の相関(
図4B中(f−1))に関する相関値と、フレームF[B]のトップフィールドfB[t]およびフレームF[A]のボトムフィールドfA[b]の相関(
図4B中(f−2))に関する相関値とを加算することにより求められる。ここで求められるフレームF[B]のトップフィールドfB[t]およびフレームF[A]の相関に関する相関値を、以下ではRB[t]F[A]と称する。
【0057】
(ステップS122)
ノイズ判定部22は、フレームF[B]のボトムフィールドfB[b]およびフレームF[A]の相関を検出する。この相関は
図4D中(h)に相当する。フレームF[B]のボトムフィールドfB[b]およびフレームF[A]の相関は、フレームF[B]のボトムフィールドfB[b]およびフレームF[A]のトップフィールドfA[t]の相関(
図4B中(f−3))に関する相関値と、フレームF[B]のボトムフィールドfB[b]およびフレームF[A]のボトムフィールドfA[b]の相関(
図4B中(f−4))に関する相関値とを加算することにより求められる。ここで求められるフレームF[B]のボトムフィールドfB[b]およびフレームF[A]の相関に関する相関値を、以下ではRB[b]F[A]と称する。
【0058】
(ステップS123)
ノイズ判定部22は、フレームF[B]のトップフィールドfB[t]およびフレームF[C]の相関を検出する。この相関は
図4C中(i)に相当する。フレームF[B]のトップフィールドfB[t]およびフレームF[C]の相関は、フレームF[B]のトップフィールドfB[t]およびフレームF[C]のトップフィールドfC[t]の相関(
図4B中(f−5))に関する相関値と、フレームF[B]のトップフィールドfB[t]およびフレームF[C]のボトムフィールドfC[b]の相関(
図4B中(f−6))に関する相関値とを加算することにより求められる。ここで求められるフレームF[B]のトップフィールドfB[t]およびフレームF[C]の相関に関する相関値を、以下ではRB[t]F[C]と称する。
【0059】
(ステップS124)
ノイズ判定部22は、フレームF[B]のボトムフィールドfB[b]およびフレームF[C]の相関を検出する。この相関は
図4D中(j)に相当する。フレームF[B]のボトムフィールドfB[b]およびフレームF[C]の相関は、フレームF[B]のボトムフィールドfB[b]およびフレームF[C]のトップフィールドfC[t]の相関(
図4B中(f−7))に関する相関値と、フレームF[B]のボトムフィールドfB[b]およびフレームF[C]のボトムフィールドfC[b]の相関(
図4B中(f−8))に関する相関値とを加算することにより求められる。ここで求められるフレームF[B]のボトムフィールドfB[b]およびフレームF[C]の相関に関する相関値を、以下ではRB[b]F[C]と称する。
【0060】
(ステップS125)
ノイズ判定部22は、フィールドドミナンスの検知対象であるフレームF[B]について、フレーム内のフィールド同士の相関(
図4B中(e))に関する相関値が所定の閾値Th1より小さいか否かを判定する。ノイズ判定部22は、フレームF[B]内のフィールド同士の相関に関する相関値が所定の閾値Th1より小さいと判定するとステップS126に進み、所定の閾値Th1より大きいと判定すると、後述するステップS129に進む。
【0061】
ここで、フレームF[B]のフレーム内のフィールド同士の相関が小さい場合とは、フレームF[B]のトップフィールドfB[t]およびボトムフィールドfB[b]の類似性が低く、フィールド間の変化が多い場合である。このような場合には、被写体の動きが大きく、フィールドドミナンスが発生していると、ノイズとしての影響が大きいと考えられる。そのため、このような場合には、ノイズの判定が有用であるため、ステップS126以降の判定処理を行う。
【0062】
一方、フレームF[B]のフレーム内のフィールド同士の相関が大きい場合とは、フレームF[B]のトップフィールドfB[t]およびボトムフィールドfB[b]の類似性が高く、フィールド間の変化が少ない場合である。このような場合には、被写体の動きが小さく、フィールドドミナンスが発生していても、ノイズとしての影響は十分に小さいと考えられる。そのため、このような場合には、ノイズの判定は不要であるため、以降の判定処理をスキップし、ステップS129に進む。
【0063】
なお、閾値Th1は予め定められた閾値であり、上述した判定に適した値が実験などにより求められる。
【0064】
(ステップS126)
ノイズ判定部22は、ステップS121で検出した相関値RB[t]F[A]と、ステップS122で検出した相関値RB[b]F[A]とが、以下の関係を満たすか否かを判定する。
【0065】
RB[b]F[A]>RB[t]F[A]+閾値Th2 ・・・(式1)
式1中の閾値Th2は予め定められた閾値であり、相関値RB[t]F[A]と相関値RB[b]F[A]との大小の判定を確実に行うための値が実験などにより求められる。例えば、この閾値Th2が小さすぎる場合、相関値RB[t]F[A]と相関値RB[b]F[A]との差が非常に小さい場合でも、相関値RB[t]F[A]および相関値RB[b]F[A]は式1の関係を満たすことになり、誤検出の可能性が高くなる。そのため、閾値Th2を適切に設定することにより、相関値RB[t]F[A]と相関値RB[b]F[A]との差がある程度明確である場合にのみ、相関値RB[t]F[A]および相関値RB[b]F[A]が式1の関係を満たすようになり、誤検出の可能性が低くなる。
【0066】
ノイズ判定部22は、式1の関係を満たすと判定するとステップS127に進み、式1の関係を満たさないと判定すると、後述するステップS129に進む。
【0067】
ここで、式1の関係を満たす場合とは、フレームF[B]のボトムフィールドfB[b]とフレームF[A]との相関が、フレームF[B]のトップフィールドfB[t]とフレームF[A]との相関よりも大きい場合である。このような場合には、上述したように、フィールドドミナンスが発生している可能性があると考えられる。ただし、単純にシーンが変わっている場合にも同じ結果となる場合があるため、フレームF[B]とフレームF[C]との相関を見るために、ステップS127に進む。
【0068】
一方、式1の関係を満たさない場合とは、フレームF[B]のボトムフィールドfB[b]とフレームF[A]との相関が、フレームF[B]のトップフィールドfB[t]とフレームF[A]との相関よりも小さい場合である。このような場合には、フィールドドミナンスが発生している可能性が低いと考えられるため、後述するステップS127の処理を行わずにステップS129に進む。
【0069】
(ステップS127)
ノイズ判定部22は、ステップS123で検出した相関値RB[t]F[C]と、ステップS124で検出した相関値RB[b]F[C]とが、以下の関係を満たすか否かを判定する。
【0070】
RB[t]F[C]>RB[b]F[C]+閾値Th3 ・・・(式2)
式2中の閾値Th3は予め定められた閾値であり、上述した閾値Th2と同様に求められる。なお、閾値Th2およびTh3は、同じ値であっても良いし、異なる値であっても良い。
【0071】
ノイズ判定部22は、式2の関係を満たすと判定するとステップS128に進み、式2の関係を満たさないと判定すると、後述するステップS129に進む。
【0072】
ここで、式2の関係を満たす場合とは、フレームF[B]のトップフィールドfB[t]とフレームF[C]との相関が、フレームF[B]のボトムフィールドfB[b]とフレームF[C]との相関よりも大きい場合である。このような場合には、ステップS128に進む。
【0073】
一方、式2の関係を満たさない場合とは、フレームF[B]のトップフィールドfB[t]とフレームF[C]との相関が、フレームF[B]のボトムフィールドfB[b]とフレームF[C]との相関よりも小さい場合である。このような場合には、後述するステップS129に進む。
【0074】
なお、ステップS126で説明した閾値Th2およびステップS127で説明した閾値Th3は、上述したように、誤検出を抑えるためのものであり、閾値Th2=0であっても良いし、閾値Th3=0であっても良い。
【0075】
(ステップS128)
ノイズ判定部22は、フレームF[B]にフィールドドミナンスが発生している、すなわち、フレームF[B]にノイズありと判定し、一連の処理を終了する。
【0076】
(ステップS129)
ノイズ判定部22は、フレームF[B]にフィールドドミナンスが発生していない、すなわち、フレームF[B]にノイズなしと判定し、一連の処理を終了する。
【0077】
なお、以降のフレームにおけるノイズの判定も同様に行われる。例えば、フレームF[C]にノイズがあるか否かの判定は、フレームF[B]、フレームF[C]、フレームF[D]の間の相関に基づいて行うことができる。このとき、フレームF[B]およびフレームF[C]に関する相関は、上述したフレームF[B]にノイズがあるか否かの判定時に既に求められている。したがって、既に求めた値等については繰り返し処理を行わず、前回の処理、演算結果を利用しても良い。
【0078】
以上説明した一連のノイズの検知の結果は、アラーム出力部16を介したユーザへの報知に用いられても良いし、入出力I/F17を介してノイズ検知装置11の外部に出力されても良い。また、対象動画像のタグ情報などに、検知したノイズの種類などを示す情報として記録しても良い。
【0079】
また、上述の例で説明した各処理は、ハードウエアで行っても良いし、CPU15によるソフトウェアで行っても良い。
【0080】
上記のように、本実施形態のノイズ検知装置は、複数のフレームからなる動画像を検知対象として、各々のフレームを構成するトップフィールドおよびボトムフィールドが入れ替わるフィールドドミナンスを検知するノイズ検知装置であって、処理の対象となる動画像を取得し、動画像のうち、任意のフレームのトップフィールドと、任意のフレームと連続する少なくとも1つのフレームとの間の相関を第1の相関として検出するとともに、任意のフレームのボトムフィールドと、任意のフレームと連続する少なくとも1つのフレームとの間の相関を第2の相関として検出する。そして、検出結果に基づいて第1の相関と第2の相関とを比較し、比較結果に基づいて、任意のフレームにフィールドドミナンスが発生しているか否かの判定を行うものである。
【0081】
よって、本実施形態の構成によれば、動画像におけるフィールドドミナンスを、処理負荷を抑えつつ、自動で検知することができる。
【0082】
また、本実施形態のノイズ検知装置は、任意のフレームにおけるトップフィールドと、任意のフレームと連続する少なくとも1つのフレームにおけるトップフィールドおよびボトムフィールドとの相関をそれぞれ検出し、検出した2種類の相関に基づいて第1の相関を検出するとともに、任意のフレームにおけるボトムフィールドと、任意のフレームと連続する少なくとも1つのフレームにおけるトップフィールドおよびボトムフィールドとの相関をそれぞれ検出し、検出した2種類の相関に基づいて第2の相関を検出する。実際には、一方のフレームのトップフィールドと、他方のフレームのボトムフィールドとの間で相関を求めると、画像が1ライン分ずれて比較されることになるため、誤検出となる場合もある。上述した構成によれば、それぞれ2種類の相関に基づいて第1の相関および第2の相関を検出することにより、1ライン分のずれによる誤差を打ち消すことができる。
【0083】
また、本実施形態のノイズ検知装置は、トップフィールド、ボトムフィールドの順で任意のフレームの情報を供給し、次のフレームにおいて、トップフィールド、ボトムフィールドの順で任意のフレームと連続する少なくとも1つのフレームの情報を供給するとともに、ボトムフィールド、トップフィールドの順で任意のフレームと連続する少なくとも1つのフレームの情報を供給する。そして、上述した情報の供給レートと同じレートで第1の相関および第2の相関を検出し、供給レートと同じレートで判定を行う。よって、入力される動画像のフレームレートと同じレートで、フィールドドミナンスを検知することができる。
【0084】
また、本実施形態のノイズ検知装置は、任意のフレームのトップフィールドと、任意のフレームのボトムフィールドとの相関を第3の相関として検出し、第3の相関と所定の閾値とを比較し、比較結果を、第1の相関と第2の相関との比較結果に加味して判定を行う。よって、被写体の動きが大きく、フィールドドミナンスが発生しているとノイズとしての影響が大きいと考えられる場合を考慮してノイズの判定を行うことができる。
【0085】
なお、上述した例では、ユーザによるプログラム実行指示に応じて、一連の処理を実行する例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、ノイズ検知装置11が何らかの動画像の画像データを読み込むたびに、自動で一連の処理を実行しても良い。
【0086】
<実施形態の補足事項>
(1)上記実施形態で説明した各閾値などは一例であり本発明はこの例に限定されない。
【0087】
(2)上記実施形態のノイズ検知における相関の検出方法は一例であり、本発明はこの例に限定されない。例えば、上記実施形態で説明した以外の方法で相関の検出を行っても良い。
【0088】
(3)上記実施形態のノイズ検知における各判定の方法は一例であり、本発明はこの例に限定されない。例えば、
図3のステップS125で説明したフレーム内でのフィールド同士の相関に関する判定を省略しても良いし、この判定を、ステップS126の後、または、ステップS127の後に行っても良い。また、例えば、ノイズの検知対象のフレームと、その直前のフレームとの2つのフレームのみに基づいてノイズの検知を行っても良いし、ノイズの検知対象のフレームと、その直後のフレームとの2つのフレームのみに基づいてノイズの検知を行っても良い
(4)上記実施形態で説明したノイズ検知装置による処理を実行するノイズ検知プログラムも本発明の具体的態様として有効である。このノイズ検知プログラムは、磁気ディスクなどの記憶媒体に記憶されたものであっても良いし、インターネットなどを介してダウンロード可能なものであっても良い。また、上記実施形態で説明したノイズ検知装置を備えた画像処理装置、撮像装置や再生装置(例えば、フォトビューアー、デジタルフォトフレーム、各種印刷装置など)も本発明の具体的態様として有効である。上述した再生装置においては、画像の再生を行う際に一連の処理を実行する構成としても良い。
【0089】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図する。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物によることも可能である。