特許第5794868号(P5794868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794868
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】天井下地構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   E04B5/58 B
   E04B5/58 S
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2011-197222(P2011-197222)
(22)【出願日】2011年9月9日
(65)【公開番号】特開2013-36316(P2013-36316A)
(43)【公開日】2013年2月21日
【審査請求日】2014年6月23日
(31)【優先権主張番号】特願2011-151874(P2011-151874)
(32)【優先日】2011年7月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594062260
【氏名又は名称】株式会社佐藤型鋼製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 孝治
(74)【代理人】
【識別番号】100075731
【弁理士】
【氏名又は名称】大浜 博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公章
【審査官】 湊 和也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−324424(JP,A)
【文献】 特開平08−021028(JP,A)
【文献】 特開2003−138689(JP,A)
【文献】 特開平11−044002(JP,A)
【文献】 特開2001−008327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で平行に並ぶ多数の中空な金属製角形筒(1),(1)・・と該金属製角形筒(1),(1)・・に直交して所定間隔で平行に並ぶ多数の金属製部材(2),(2)・・とからなり、前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・を吊りボルト(3), (3)・・を用いて建物の構造物(26)から吊り下げるとともに、前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものと前記吊りボルト(3),(3)・・のうちの選ばれたものの上端部とを、中空な金属製角形筒からなる斜め補強部材(20)で連結してなる天井下地構造であって、前記斜め補強部材(20)の下端部と前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものとの間に、前記斜め補強部材(20)の下端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片(21a),(21a)を備えた取付手段(21A)と前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものに対して結合される結合手段(21B)とを備えた下部固定金具(21)を介設する一方、前記斜め補強部材(20)の上端部と前記吊りボルト(3)の上端部との間に前記斜め補強部材(20)の上端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片(22a),(22a)を備えた取付手段(22A)と前記吊りボルト(3)の上端部に対して結合される結合手段(22B)とを備えた上部固定金具(22)を介設したことを特徴とする天井下地構造。
【請求項2】
前記上部固定金具(22)における結合手段(22B)を、前記吊りボルト(3)の上端部を建物の構造物(26)に対して結合する結合金具(23)に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の天井下地構造。
【請求項3】
所定間隔で平行に並ぶ多数の中空な金属製角形筒(1),(1)・・と該金属製角形筒(1),(1)・・に直交して所定間隔で平行に並ぶ多数の金属製部材(2),(2)・・とからなり、前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・を吊りボルト(3), (3)・・を用いて建物の構造物(26)から吊り下げるとともに、前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものと前記建物の構造物(26)とを中空な金属製角形筒からなる斜め補強部材(20)で連結してなる天井下地構造であって、前記斜め補強部材(20)の下端部と前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものとの間に、該斜め補強部材(20)の下端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片(21a),(21a)を備えた取付手段(21A)と前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものに対して結合される結合手段(21B)とを備えた下部固定金具(21)を介設する一方、前記斜め補強部材(20)の上端部と前記建物の構造物(26)との間に、前記斜め補強部材(20)の上端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片(22a),(22a)を備えた取付手段(22A)と前記建物の構造物(26)に対して結合される結合手段(22B)とを備えた上部固定金具(22)を介設したことを特徴とする天井下地構造。
【請求項4】
前記建物の構造物(26)として、コンクリート壁を採用するとともに、前記斜め補強部材(20)の上端部における上部固定金具(22)を構成する結合手段(22B)を前記コンクリート壁(26)に取り付けたことを特徴とする請求項3記載の天井下地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、天井下地構造に関し、さらに詳しくは耐震性能を高めた天井下地構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来型の天井下地構造としては、野縁と該野縁と直交する野縁受けとからなり、建物の構造体から吊りボルトで吊り下げて支持され、隣り合う吊りボルト同士をブレース材(筋交い状の部材)で連結することにより、耐震性を強化しているものがある(例えば、特許文献1参照) 。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−50784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示されている天井下地構造の場合、野縁に対して天井仕上げボードが専用のビスで取り付けられることとなっている。また、天井には、照明器具や空調機器等が建物の構造体から吊りボルト等で吊り下げられ、天井開口部に天井仕上げボード面と同じ高さで取り付けられており、建物の竣工後、通常は作業員が天井点検口から天井裏を覗いて照明器具や空調機器等の点検・修理を行うこととなっているが、劇場・ホールや体育館、工場等のように、天井に沢山の照明器具・空調機器等がある場合には、天井裏に人が歩けるぐらいの高さを取って、キャットウォークという点検・修理専用の狭い通路を設けることとなっている。但し、キャットウォークは、全ての天井面を網羅出来るように設置されているわけではないので、やむを得ず従来型の天井下地材の上を作業員が歩いて点検・修理を行っている場合がある。従来型の天井下地材は、人が野縁の上に乗れるような耐荷重構造となっていないので、吊りボルトと野縁あるいは野縁受けとを結合しているハンガーという金具が開いたり、野縁受けが倒れたりして、天井面がガタガタになったり、最悪の場合には、天井下地材と天井仕上げボードが落下してしまうという事故が発生するおそれがある。
【0005】
そこで、複数の人が乗っても大丈夫なように、予め角形鋼を建物の構造体から吊り下げて、一定間隔に並べたぶどう棚という吊天井構造が採用されている。このような吊天井構造であっても、地震等の激しい揺れに対する耐振性が問題となる場合がある。
【0006】
上記のような問題に対処するために、上記特許文献1に開示されているように、建物の構造体から吊りボルトで吊り下げて支持され、隣り合う吊りボルト同士をブレース材(筋交い状の部材)で連結することにより、耐振性を強化することが考えられるが、特許文献1に開示されているものは、ブレース材として、断面C型形状の溝形鋼(チャンネル鋼材)が用いられているため、地震発生時の揺れに対する強度が十分でなく、耐震性の強化に限界があった。また、ブレース材と吊りボルトとの結合部分の構造によっては、十分な耐振性強化が得られない場合が生ずる。
【0007】
本願発明は、上記のような課題を解決するために行われたものであり、天井下地材上を作業員が歩いて点検・修理を行う場合にも十分な強度を維持できるとともに、地震発生時の耐震性能に優れた天井下地構造を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)課題を解決するための第1の手段
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、所定間隔で平行に並ぶ多数の中空な金属製角形筒(1),(1)・・と該金属製角形筒(1),(1)・・に直交して所定間隔で平行に並ぶ多数の金属製部材(2),(2)・・とからなり、前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・を吊りボルト(3),(3)・・を用いて建物の構造物(26)から吊り下げるとともに、前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものと前記吊りボルト(3),(3)・・のうちの選ばれたものの上端部とを、中空な金属製角形筒からなる斜め補強部材(20)で連結してなる天井下地構造であって、前記斜め補強部材(20)の下端部と前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものとの間に、前記斜め補強部材(20)の下端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片(21a),(21a)を備えた取付手段(21A)と前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものに対して結合される結合手段(21B)とを備えた下部固定金具(21)を介設する一方、前記斜め補強部材(20)の上端部と前記吊りボルト(3)の上端部との間に、前記斜め補強部材(20)の上端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片(22a),(22a)を備えた取付手段(22A)と前記吊りボルト(3)の上端部に対して結合される結合手段(22B)とを備えた上部固定金具(22)を介設したことを特徴としている。
【0009】
この第1の手段では、まず金属製角形筒(1),(1)・・あるいは金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものと吊りボルト3の上端部とが、中空な金属製角形筒からなる斜め補強部材(20)で連結されることにより、金属製角形筒(1),(1)・・あるいは金属製部材(2),(2)・・の上を作業員が安心して歩くことができるとともに、斜め補強部材(20)を、捩れおよび上下左右方向に対する強度を有する中空な金属製角形筒で構成したことにより、地震時における激震に耐え得る耐震性能に優れた天井下地構造となる。
【0010】
次に、同手段では、それに加えて、前記斜め補強部材(20)の下端部と前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものとの間に、前記斜め補強部材(20)の下端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片(21a),(21a)を備えた取付手段(21A)と前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものに対して結合される結合手段(21B)とを備えた下部固定金具(21)を介設する一方、前記斜め補強部材(20)の上端部と前記吊りボルト(3)の上端部との間に、前記斜め補強部材(20)の上端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片(22a),(22a)を備えた取付手段(22A)と前記吊りボルト(3)の上端部に対して結合される結合手段(22B)とを備えた上部固定金具(22)を介設している。
【0011】
その結果、前記斜め補強部材(20)の上下端部と吊りボルト(3)の上端部および金属製角形筒(1),(1)・・あるいは金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものとの結合強度が大幅に強化されることとなり、より一層耐震性能に優れた天井下地構造が得られる。
(2)課題を解決するための第2の手段
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第2の手段として、上記第1の手段の構成において、前記上部固定金具(22)における結合手段(22B)を、前記吊りボルト(3)の上端部を前記建物の構造物(26)に対して結合する結合金具(23)に対して取り付けるようにしている
【0012】
このように、上部固定金具(22)における結合手段(22B)を、吊りボルト(3)の上端部を建物の構造物(26)に対して結合する結合金具(23)に対して取り付けるようにした場合、前記斜め補強部材(20)の上端部における結合強度が、より一層強化される。
(3)課題を解決するための第3の手段
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第3の手段として、所定間隔で平行に並ぶ多数の中空な金属製角形筒(1),(1)・・と該金属製角形筒(1),(1)・・に直交して所定間隔で平行に並ぶ多数の金属製部材(2),(2)・・とからなり、前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・を吊りボルト(3), (3)・・を用いて建物の構造物(26)から吊り下げるとともに、前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものと前記建物の構造物(26)とを中空な金属製角形筒からなる斜め補強部材(20)で連結してなる天井下地構造であって、前記斜め補強部材(20)の下端部と前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものとの間に、該斜め補強部材(20)の下端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片(21a),(21a)を備えた取付手段(21A)と前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものに対して結合される結合手段(21B)とを備えた下部固定金具(21)を介設する一方、前記斜め補強部材(20)の上端部と前記建物の構造物(26)との間に、前記斜め補強部材(20)の上端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片(22a),(22a)を備えた取付手段(22A)と前記建物の構造物(26)に対して結合される結合手段(22B)を備えた上部固定金具(22)を介設したことを特徴としている
【0013】
この第3の手段では、まず金属製角形筒(1),(1)・・あるいは金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものと建物の構造物(26)とが、中空な金属製角形筒からなる斜め補強部材(20)で連結されることにより、金属製角形筒(1),(1)・・あるいは金属製部材(2),(2)・・の上を作業員が安心して歩くことができるとともに、斜め補強部材(20)を、捩れおよび上下左右方向に対する強度を有する中空な金属製角形筒で構成したことにより、地震時における激震に耐え得る耐震性能に優れた天井下地構造となる。
【0014】
次に、同手段では、それに加えて前記斜め補強部材(20)の下端部と前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものとの間に、該斜め補強部材(20)の下端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片(21a),(21a)を備えた取付手段(21A)と前記金属製角形筒(1),(1)・・あるいは前記金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものに対して結合される結合手段(21B)とを備えた下部固定金具(21)を介設する一方、前記斜め補強部材(20)の上端部と前記建物の構造物(26)との間に、前記斜め補強部材(20)の上端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片(22a),(22a)を備えた取付手段(22A)と前記建物の構造物(26)に対して結合される結合手段(22B)とを備えた上部固定金具(22)を介設している。
【0015】
したがって、このような構成の場合、斜め補強部材(20)の上下端部と建物の構造物(26)および金属製角形筒(1),(1)・・あるいは金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものとの結合強度が大幅に強化されることとなり、より一層耐震性能に優れた天井下地構造が得られる。
(4)課題を解決するための第4の手段
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第4の手段として、上記第3の手段の構成において、前記建物の構造物(26)としてコンクリート壁を採用するとともに、前記斜め補強部材(20)の上端部における上部固定金具(22)を構成する結合手段(22B)を、前記コンクリート壁(26)に取り付けるようにしている
【0016】
このように構成した場合、建物の構造物(26)としてコンクリート壁を採用した場合であっても、斜め補強部材(20)の上下端部と建物の構造物(26)および金属製角形筒(1),(1)・・あるいは金属製部材(2),(2)・・のうちの選ばれたものとの結合強度が大幅に強化されることとなり、より一層耐震性能に優れた天井下地構造が得られる。
【発明の効果】
【0017】
以上の結果、本願発明によれば、点検・修理時において作業員が歩く場合の十分な強度が維持されるとともに、地震発生時の耐震性能にも優れた天井下地構造を実現することができる
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造を示す全体斜視図である。
図2図1に示す天井下地構造における斜め補強部材の取付状態を示す拡大斜視図である。
図3】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における金属製角形筒、金属製部材に使用される金属製角形筒および斜め補強部材を構成する金属製角形筒の構造を示す拡大斜視図である。
図4】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における下部固定金具を示す拡大斜視図である。
図5】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における下部固定金具の変形例1を示す拡大斜視図である。
図6】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における下部固定金具の変形例2を示す拡大斜視図である。
図7】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における下部固定金具の変形例3を示す拡大斜視図である。
図8】(イ)は図7に示す下部固定金具の拡大分解斜視図であり、(ロ)は図7に示す下部固定金具における補強板の変形例を示す斜視図である。
図9】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における下部固定金具の変形例4を示す拡大分解斜視図である。
図10】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における下部固定金具の変形例5における取付手段の一部(即ち、抱持片の構成)を示す拡大斜視図である。
図11】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における下部固定金具の変形例6を示す拡大斜視図である。
図12図11に示す下部固定金具の拡大分解斜視図である。
図13】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における下部固定金具の変形例7を示す拡大斜視図である。
図14】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具を示す拡大斜視図である。
図15】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例1を示す拡大斜視図である。
図16】本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例2を示す拡大斜視図である。
図17】(イ)は本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例3を示す拡大斜視図、(ロ)は変形例3における補強板の斜視図、(ハ)は変形例3における補強板の変形例を示す斜視図である。
図18】(イ)は本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例4を示す拡大斜視図、(ロ)は変形例4における取付手段の一部(即ち、抱持片の構成)を示す斜視図、(ハ)は変形例4における取付手段の一部(即ち、抱持片の構成)の変形例を示す斜視図である。
図19】本願発明の第2の実施の形態にかかる天井下地構造を示す全体斜視図である。
図20図19に示す天井下地構造における斜め補強部材の取付状態を示す拡大斜視図である。
図21】本願発明の第2の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具を示す拡大斜視図である。
図22】本願発明の第2の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具における結合手段を構成する板状部材の内面を示す正面図である。
図23】本願発明の第2の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例1を示す拡大斜視図である。
図24】(イ)は本願発明の第2の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例1を構成する結合手段を示す正面図、(ロ)は変形例1を構成する結合手段における補強板を示す正面図である。
図25】本願発明の第2の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例2を示す拡大斜視図である。
図26】本願発明の第2の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例3を示す拡大斜視図である。
図27】本願発明の第2の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例4を示す拡大斜視図である。
図28】本願発明の第2の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例5を示す拡大斜視図である。
図29】本願発明の第3の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具を示す拡大斜視図である。
図30】本願発明の第3の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例1を示す拡大斜視図である。
図31】(イ)は本願発明の第3の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例2を示す拡大斜視図、(ロ)は変形例2における補強板を示す斜視図、(ハ)は変形例2における補強板の変形例を示す斜視図である。
図32】(イ)は本願発明の第3の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例3を示す拡大斜視図、(ロ)は上部固定金具における取付手段の要部を示す斜視図、(ハ)は上部固定金具における取付手段の要部の変形例を示す斜視図である。
図33】本願発明の第4の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の取付状態を示す拡大斜視図である。
図34】本願発明の第4の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例1を示す拡大斜視図である。
図35】(イ)は本願発明の第4の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例2を示す拡大斜視図、(ロ)は上部固定金具における取付手段の要部を示す斜視図、(ハ)は上部固定金具における取付手段の要部の変形例を示す斜視図である。
図36】(イ)は本願発明の第4の実施の形態にかかる天井下地構造における上部固定金具の変形例3を示す拡大斜視図、(ロ)は上部固定金具における取付手段の要部を示す斜視図、(ハ)は上部固定金具における取付手段の要部の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾つかの実施の形態について説明する。
【0020】
第1の実施の形態
図1ないし図18には、本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造が示されている。
【0021】
この天井下地構造は、図1に示すように、所定間隔で平行に並ぶ多数の中空な金属製角形筒1,1・・と該金属製角形筒1,1・・の下側において該金属製角形筒1,1・・に直交して所定間隔で平行に並ぶ多数の中空な金属製角形筒からなる金属製部材2,2・・とからなり、前記金属製角形筒1,1・・のうちの選ばれたものを吊りボルト3, 3・・を用いて建物の構造物から吊り下げるように構成されている。そして、前記金属製角形筒1,1・・のうちの選ばれたものと前記吊りボルト3,3・・のうちの選ばれたものの上端部とは、中空な金属製角形筒からなる斜め補強部材20で連結されている。また、前記金属製角形筒1,1・・には、該金属製角形筒1,1・・形成した嵌挿穴11,11・・(図2参照)に対して直交する多数のチャンネル6,6・・が挿通されている。符号4は前記金属製角形筒1,1・・の端部を支持する断面コ字状の支持部材、5は前記金属製部材2,2・・の下面に取り付けられた天井板である。
【0022】
そして、前記各金属製角形筒1、前記各金属製部材2および前記各斜め補強部材20は、図3に示すように、所定の幅に切断された金属板をその両端がコーナの一点において接するように四角筒状に折曲して構成された中空な金属板四角筒によって構成されている。前記金属板の一方の端部には、前記金属板角形筒の内側に折曲され、さらにその先端部が外側に向かって折曲されてなる逆J字状折曲部a が設けられ、前記金属板の他方の端部には、内側に逆U字状折曲部bが設けられており、両者を連続して嵌合圧着せしめて水平方向に連続するコーナ型接続部cとして成形されている。そして、該コーナ型接続部cにおける逆U宇状折曲部bの基端から内側に向かってコの字状に突出するリブdが水平方向に連続して形成されている。このように構成したことにより、金属製角形筒のいずれの四面を、開口形成部およびボード貼付面として選択することが可能となる。また、コーナ型接続部cの外れをリブdにより防止できるとともに金属製角形筒の剛性強化も図れる。
【0023】
前記各金属製角形筒1には、図2に示すように、前記チャンネル6が挿通された嵌挿穴11に連続する開口12が形成されており、該開口12の口縁には、前記チャンネル6に近接される固定片13が取り付けられている。このように構成したことにより、固定片13を取り付けることにより、金属製角形筒1へのチャンネル6の組付が容易且つ確実に行うことができる.
ところで、本実施の形態においては、図1および図2に示すように、前記金属製角形筒1,1・・のうちの選ばれたものと前記吊りボルト3,3・・のうちの選ばれたものの上端部とは、中空な金属製角形筒からなる斜め補強部材20で連結されている。
【0024】
前記吊りボルト3の下端部は、図2に示すように、支持金具25を介して前記金属製角形筒1に支持されている。該支持金具25は、前記吊りボルト3の下端に対して螺着された下向きコ字状の上部支持金具25aと、前記金属製角形筒1を抱持した状態でビス止めされた上向きコ字状の下部支持金具25bとからなっており、該下部支持金具25bの上端部と前記上部支持金具25aの下端部とはボルト25cで結合されている。一方、前記吊りボルト3の上端部は、図2に示すように、建物の構造物であるH型鋼26の下部水平片26aに取り付けられた箱型の結合金具23に螺着されている。該結合金具23は、断面直方体形状の筒体からなっており、その一端側には、前記H型鋼26の下部水平片26aが挿入される切欠開口23aが形成されていて、該切欠開口23aに挿入された下部水平片26aを前記結合金具23の下面側から螺着された締付ボルト23bで締め付けることにより取り付けられることとなっている。このようにすると、吊りボルト3による金属製角形筒1を吊り下げる力が強固となり、地震発生時における耐振性を確保することができる。
【0025】
前記斜め補強部材20の下端部と前記金属製角形筒1との間には、図4に示すように、該斜め補強部材20の下端部における相対向する二面を抱持した状態でビス21b,21b・・で取り付けられる一対の抱持片21a,21a備えた取付手段21Aと前記金属製角形筒1に対して結合される結合手段21Bとを備えた下部固定金具21が介設されている。この場合、前記取付手段21Aは、前記抱持片21a,21aと該抱持片21a,21aの下端間を一体に連結する連結片21cにより一体に連結される一方、前記結合手段21Bは、前記金属製角形筒1おける相対向する二面を抱持した状態でビス21d,21d・・で取り付けられる一対の抱持片21e,21eと該抱持片21e,21eの上端間を一体に連結する連結片21fとからなっており、前記連結片21cと前記連結片21fとはボルト21gで結合されている。このようにすると、斜め補強部材20の下端部と金属製角形筒1との結合強度が大幅に強化されることとなり、取付が簡単になるとともに、より一層耐震性能に優れたものとなる。
【0026】
次に、上記下部固定金具21の変形例について説明する。
【0027】
図5には、上記下部固定金具21の変形例1が示されている。
【0028】
この場合、図4に示す下部固定金具21における連結片21c,21fが省略されており、下部固定金具21における取付手段21Aを構成する抱持片21a,21aと下部固定金具21における結合手段21Bを構成する抱持片21e,21eとが一体に連結されている。つまり、この場合、抱持片21a,21aと結合手段21Bを構成する抱持片21e,21eとが一体構成とされているのである。このようにすると、下部固定金具21の構成が簡略化されることとなり、コストダウンに寄与する。
【0029】
図6には、上記下部固定金具21の変形例2が示されている。
【0030】
この場合、下部固定金具21における取付手段21Aは、前記した一対の抱持片21a,21aと、該抱持片21a,21aの下端に一体に形成されたL字状連結片21h,21hとからなっている。一方、下部固定金具21における結合手段21Bは、金属製角形筒1を抱持した状態でビス止めされた一対の断面コ字状部材21i,21iからなっており、該断面コ字状部材21i,21iの上下端からそれぞれ延設された上部延設部21j,21jと下部延設部21k,21kとをボルト21m,21nによりそれぞれ結合して構成されている。そして、前記上部延設部21j,21jの間には、前記L字状連結片21h,21hが挟持され状態でボルト締めされている。このようにすると、L字状連結片21h,21hの取付状態が安定するとともに、斜め補強部材20の取付角度を自在に変更することが可能となる。
【0031】
図7および図8には、上記下部固定金具21の変形例3が示されている。
【0032】
この場合、図6に示す下部固定金具21において、L字状連結片21h,21hの上面には、矩形板形状の補強板21oがボルト21p,21pで取り付けられている。このようにすると、L字状連結片21h,21hの剛性が強化されることとなり、抱持片21a,21aの組付強度が向上する。また、図8(ロ)に示すように、前記補強板21oの両側部(前記抱持片21a,21aと直交する部分)に、下向きの補強リブ21t,21tが一体に形成する場合もある。このようにすると、L字状連結片21h,21hの強度がより一層強化される。その他の構成および作用効果は、前記変形例2と同様なので説明を省略する。符号21q,21r,21sは、ボルト21m,21n,21pにそれぞれ螺着されるナットである。
【0033】
図9には、上記下部固定金具21の変形例4が示されている。
【0034】
この場合、下部固定金具21における取付手段21Aは、一対の抱持片21a,21aと、該抱持片21a,21aの下端に一体に形成された連結片21cと、該連結片21cの下面に対してボルト21p,21pにより固定されたL字状連結片21h,21hとを備えて構成されており、図6に示す下部固定金具21と同様に、該L字状連結片21h,21hは、前記上部延設部21j,21j間にボルト21mを用いてボルト締めされている。このようにすると、抱持片21a,21aの組付強度が向上するとともに、斜め補強部材20の取付角度を自在に変更することが可能となる。その他の構成は、変形例2と同様なので説明を省略する。
【0035】
図10には、上記下部固定金具21の変形例5が示されている。
【0036】
この場合、図9に示す下部固定金具21において、抱持片21a,21aの下端を一体に連結する連結片21cの両側部(前記抱持片21a,21aと直交する部分)には、下向きの補強リブ21t,21tが一体に形成されている。このようにすると、連結片21cの強度が大幅に強化される。その他の構成は、変形例4と同様なので説明を省略する。
【0037】
図11および図12には、上記下部固定金具21の変形例6が示されている。
【0038】
この場合、下部固定金具21における取付手段21Aは、一対の抱持片21a,21aと、該抱持片21a,21aの下端に一体に形成された連結片21cと、該連結片21cの下面に対してボルト21p,21pにより固定されたL字状連結片21h,21hとを備えて構成されており、図6に示す下部固定金具21と同様に、該L字状連結片21h,21hは、前記上部延設部21j,21j間にボルト21mを用いてボルト締めされている。しかも、前記L字状連結片21h,21hの上部水平片21h′,21h′における両側部(前記抱持片21a,21aと直交する部分)には、下向きの補強リブ21u,21uが一体に形成されている。このようにすると、L字状連結片21h,21hの強度が大幅に強化される。その他の構成は、変形例4と同様なので説明を省略する。
【0039】
図13には、上記下部固定金具21の変形例7が示されている。
【0040】
図6図示の下部固定金具21を備えた2本の斜め補強部材20を互いに反対方向に傾斜させた姿勢(例えば、お互いが直交する姿勢)で金属製角形筒1に取り付けた状態が示されている。つまり、下部固定金具21における結合手段21Bを構成する一対の断面コ字状部材21i,21iの上部延設部21j,21jの間には、互いに反対方向に傾斜させた姿勢(例えば、お互いが直交する姿勢)の2本の斜め補強部材20,20に取り付けられた取付手段21Aを構成するL字状連結片21h,21h,21h.21hが挟着固定されている。このようにすると、金属製角形筒1に取り付けられた1個の結合手段21Bに対して、2本の斜め補強部材20,20に取り付けられた取付手段21A,21Aを構成する抱持片21a,21a.21a.21aを取り付けることが可能となり、構造の簡略化と組付作業の簡略化とを図ることができるとともに、更なる耐振性を確保することが可能となる。
【0041】
続いて、本実施の形態における前記斜め補強部材20の上端部と前記吊りボルト3の上端部との間に取り付けられる上部固定金具22の構成について説明する。
【0042】
前記斜め補強部材20の上端部と前記吊りボルト3の上端部との間には、図2に示すように、前記斜め補強部材20の上端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片22a,22aを備えた取付手段22Aと前記吊りボルト3の上端部に対して結合される結合手段22Bとを備えた上部固定金具22が介設されているが、該上部固定金具22は、図14に示すように、前記抱持片22a,22aの上端を連結片22cで一体に連結してなる断面コ状状の取付手段22Aと、建物の構造物であるH型鋼26の下部水平片26aに取り付けられた結合金具23の相対向する側面に対してボルト22c,22cで螺着された一対の抱持片22d,22dに下端を連結片22eで一体に連結してなる断面コ字状の結合手段22Bとからなっており、前記連結片22bと前記連結片22eとをボルト22fを用いて結合して構成されている。
【0043】
次に、上記上部固定金具22の変形例について説明する。
【0044】
図15には、上記上部固定金具22の変形例1が示されている。
【0045】
この場合、上部固定金具22における結合手段22Bを構成する連結片22eの両側(即ち、抱持片22d,22dと直交する両側)には、補強リブ22g,22gが一体に形成されている。このようにすると、連結片22e(換言すれば、抱持片22d,22d)の剛性が強化されることとなる。その他の構成は、図14に示すものと同様なので、説明を省略する。
【0046】
図16には、上記上部固定金具22の変形例2が示されている。
【0047】
この場合、上部固定金具22における取付手段22Aを構成する抱持片22a,22aは、それぞれの抱持片22a,22aの上端に一体に形成されたL字状連結片22h,22hを備えている。一方、上部固定金具22における結合手段22Bは、前記結合金具23の相対向する側面に対してボルト22c,22cで螺着された断面コ字状部材により構成されている。そして、この結合手段22Bの前面に対して前記L字状連結片22h,22hをボルト22iを用いて取り付けることにより上部固定金具22が構成されている。このようにすると、抱持片22a,22aの取付角度を自在に選定することが可能となり、斜め補強部材20の傾斜角度を任意に調整することが可能となる。
【0048】
図17(イ),(ロ)、(ハ)には、上記上部固定金具22の変形例3が示されている。
【0049】
この場合、図16に示す上部固定金具22において、L字状連結片22h,22hの下面側には、前記抱持片22a,22aの変形を防止するための補強板22x〔図17(ロ)参照〕がボルト22y,22yを用いて取り付けられている。このようにすると、抱持片22a,22aの変形を効果的に防止することができ、上部固定金具22の強度向上を図ることができる。なお、上記補強板22xは、図17(ハ)に示すように、その両側(即ち、抱持片22a,22aと直交する両側)に補強リブ22z,22zを一体に形成して構成することもできる。このようにすると、抱持片22a,22aの剛性がより一層強化されることとなる。その他の構成は、図16に示すものと同様なので、説明を省略する。
【0050】
図18(イ)、(ロ)、(ハ)には、上記上部固定金具22の変形例4が示されている。
【0051】
この場合、上部固定金具22における取付手段22Aには、抱持片22a,22aの上端間を一体に連結する連結片22m〔図18(ロ)参照〕が設けられており、該連結片22mの上面には、一対のL字状連結片22n,22nがボルト22o,22oを用いて取り付けられている。一方、上部固定金具22における結合手段22Bは、前記結合金具23の相対向する側面に対してボルト22c,22cで螺着された断面コ字状部材により構成されている。そして、この結合手段22Bの前面に対して前記L字状連結片22n,22nをボルト22iを用いて取り付けることにより上部固定金具22が構成されている。このようにすると、抱持片22a,22aの取付角度を自在に選定することが可能となり、斜め補強部材20の傾斜角度を任意に調整することが可能となる。なお、図18(ハ)に示すように、上記連結片22mの両側(即ち、抱持片22a,22aと直交する両側)に上向きの補強リブ22p,22pを一体に形成することもできる。このようにすると、抱持片22a,22aの剛性がより一層強化されることとなる。その他の構成は、図17に示すものと同様なので、説明を省略する。
【0052】
なお、本実施の形態にかかる天井下地構造においては、吊りボルト3は金属製角形筒1,1・・のうちの選ばれたものを吊り下げるように構成されているが、前記金属製部材2,2・・のうちの選ばれたものを吊りボルト3を用いて吊り下げるように構成する場合もある。また、本実施の形態にかかる天井下地構造においては、斜め補強部材20は、金属製角形筒1,1・・のうちの選ばれたものと吊りボルト3,3・・のうちの選ばれたものとを連結するようにしているが、金属製部材2,2・・のうちの選ばれたものと吊りボルト3,3・・のうちの選ばれたものの上端部とを斜め補強部材20で連結する場合もある。
【0053】
第2の実施の形態
図19ないし図28には、本願発明の第2の実施の形態にかかる天井下地構造が示されている。
【0054】
この天井下地構造は、図19に示すように、所定間隔で平行に並ぶ多数の中空な金属製角形筒1,1・・と該各金属製角形筒1に対して直交する多数の金属製部材としてのチャンネル2,2・・を挿通してなり、前記金属製角形筒1,1・・のうちの選ばれたものを吊りボルト3, 3・・を用いて建物の構造物(例えば、後述するH型鋼26)から吊り下げるように構成された天井下地構造Xに対して、互いに直交する断面コ字状のチャンネル部材11,11・・および12,12・・からなる天井下地構造Yを吊りボルト13,13・・で吊り下げて構成されていて、該天井下地構造Yに対して天井板5が張設されることとなっている。
【0055】
この場合、直交するチャンネル部材11,12は、図20に示すように、第1のハンガー14を介して結合されており、吊りボルト13の上下端は、前記第1の金属製角形筒1および一方のチャンネル部材11に対して第2および第3のハンガー15,16を介して連結されている。
【0056】
そして、斜め補強部材20の下端部と金属製角形筒1との結合構造および吊りボルト3と建物の構造物(例えば、H型鋼26)との結合構造は、第1の実施の形態におけると同様であるが、斜め補強部材20の上端部と吊りボルト3の上端部との結合構造は、第1の実施の形態におけるものとは相異している。
【0057】
そこで、斜め補強部材20の上端部と吊りボルト3の上端部との結合構造について、以下に説明する。
【0058】
この場合、斜め補強部材20の上端部は、吊りボルト3における結合金具23の直下位置に上部固定金具22を介して取り付けられている。この上部固定金具22は、図21に示すように、前記斜め補強部材20の上端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられた一対の抱持片22a,22aの上端に一体に形成されたL字状連結片22h,22hを備えた取付手段22Aと、前記吊りボルト3の上端部(例えば、結合金具23の直下位置)において該吊りボルト3を挟持するようにボルト22r,22rを用いて固定された2枚の板状部材22s,22sとからなる結合手段22Bとによって構成されており、該結合手段22Bを構成する板状部材22s,22sの一端側において、該板状部材22s,22sの間に前記取付手段22Aを構成するL字状連結片22h,22hを前記ボルト22r,22rの一つを用いて挟持固定することとなっている。また、前記板状部材22s,22sにおいて、前記吊りボルト3を挟持する位置には、図22に示すように、吊りボルト3のネジ部が食い込む多数の溝を有する溝形成部22tが形成されている。このようにすると、板状部材22s,22sにおける溝形成部22tに吊りボルト3のネジ部が食い込むこととなって、板状部材22s,22sが滑り落ちることがなくなり、結合手段22Bの取付状態が安定することとなる。
【0059】
次に、上記上部固定金具22の変形例について説明する。
【0060】
図23および図24には、上記上部固定金具22の変形例1が示されている。
【0061】
この場合、図21および図22に示す上部固定金具22において、結合手段22Bを構成する2枚の板状部材22s,22sにおける取付手段22Aを挟持する部位とは反対側には、前記吊りボルト3と接する部位に多数のギザギサを形成してなる係合部22vを備えた補強板22uが挟持固定されている。このようにすると、板状部材22s,22sがより一層滑り落ちにくくなり、結合手段22Bの取付状態がより一層安定することとなる。その他の構成は、図21および図22に示す上部固定金具22と同様なので、説明を省略する。
【0062】
図25には、上記上部固定金具22の変形例2が示されている。
【0063】
この場合、図21および図22に示す上部固定金具22において取付手段22Aを構成するL字状連結片22h,22hの下面側には、前記抱持片22a,22aの変形を防止する補強板22xがボルト22y,22yを用いて取り付けられている。このようにすると、補強板22xの存在により、抱持片22a,22aの変形防止を図ることが可能となり、取付手段22Aの強度を確保することができる。その他の構成は、図21および図22に示す上部固定金具22と同様なので、説明を省略する。
【0064】
図26には、上記上部固定金具22の変形例3が示されている。
【0065】
この場合、図25に示す上部固定金具22において、補強板22xの両側(即ち、抱持片22a,22aと直交する両側)には、上向きの補強リブ22z,22zが一体に形成されている。このようにすると、補強板22xの剛性が強化されることとなり、抱持片22a,22aの変形防止をより一層図ることが可能となり、取付手段22Aの強度をより一層確保することができる。その他の構成は、図21および図22に示す上部固定金具22と同様なので、説明を省略する。
【0066】
図27には、上記上部固定金具22の変形例3が示されている。
【0067】
この場合、上部固定金具22において、取付手段22Aは、前記斜め補強部材20の上端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられた一対の抱持片22a,22aの上端を連結片22bで一体に連結するとともに、該連結片22bの上面に対して一対のL字状部材22h′,L字状部材22h′をボルト22y′,22y′を用いて取り付けて構成されている。このようにすると、抱持片22a,22aの変形防止強度が向上することとなる。
【0068】
図28には、上記上部固定金具22の変形例4が示されている。
【0069】
この場合、図27に示す上部固定金具22において、連結片22bの両側(即ち、抱持片22a,22aと直交する両側)には、上向きの補強リブ22b′,22b′が一体に形成されている。このようにすると、抱持片22a,22aの変形防止強度がより一層向上することとなる。
【0070】
第3の実施の形態
図29ないし図32には、本願発明の第3の実施の形態にかかる天井下地構造における斜め補強部材上端部の結合構造が示されている。
【0071】
この場合、吊りボルト3の上端部を支持する建物の構造物であるH型鋼26に対して斜め補強部材20の上端部が取り付けられることとなっており、上部固定金具22は、斜め補強部材20の上端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片22a,22aを備えた取付手段22Aと前記H型鋼26の下部水平片26aにボルト26bを用いて取り付けられた断面コ字状の結合手段22Bとによって構成されている。前記取付手段22Aを構成する抱持片22a,22aの上端部には、L字状連結片22h,22hが一体に形成されており、前記結合手段22Bの前面に対して前記L字状連結片22h,22hをボルト22iを用いて取り付けることにより上部固定金具22が構成されている。このようにすると、抱持片22a,22aの取付角度を自在に選定することが可能となり、斜め補強部材20の傾斜角度を任意に調整することが可能となる。なお、本実施の形態においては、建物の構造物であるH型鋼26における二つの下部水平片26a,26aには、一対の結合手段22B,22Bがボルト26b,26bを用いて取り付けられている。そして、前記結合手段22B,22Bの下端から一体に延設された延設部22B1,22B1は、連結ボルト22B2を用いて連結されている。このようにすると、結合手段22B,22Bの取付状態が安定し且つ強固となる。
【0072】
次に、上記上部固定金具22の変形例について説明する。
【0073】
図30には、上記上部固定金具22の変形例1が示されている。
【0074】
この場合、図29に示す結合手段22B,22Bの両方に対して取付手段22A,22Aが取り付けられている。このようにすると、一つの建物の構造物26に対して二つの斜め補強部材20,20の上端部を取り付けることが可能となり、構造の簡略化を図ることができるとともに、耐振性能もより向上する。その他の構成および作用効果は、第3の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0075】
図31(イ)、(ロ)、(ハ)には、上記上部固定金具22の変形例2が示されている。
【0076】
この場合、図30に示す上部固定金具22,22を構成する取付手段22A,22Aにおいて、各L字状連結片22h,22hの下面側には、前記抱持片22a,22aの変形を防止するための補強板22x〔図31(ロ)参照〕がボルト22y,22yを用いてそれぞれ取り付けられている。このようにすると、抱持片22a,22aの変形を効果的に防止することができ、上部固定金具22の強度向上を図ることができる。なお、上記補強板22xは、図31(ハ)に示すように、その両側(即ち、抱持片22a,22aと直交する両側)に補強リブ22z,22zを一体に形成して構成することもできる。このようにすると、抱持片22a,22aの剛性がより一層強化されることとなる。その他の構成および作用効果は、図30に示すものと同様なので、説明を省略する。
【0077】
図32(イ)、(ロ)、(ハ)には、上記上部固定金具22の変形例3が示されている。
【0078】
この場合、上部固定金具22,22を構成する取付手段22A,22Aにおいて、抱持片22a,22aの上端間を一体に連結する連結片22m〔図32(ロ)参照〕が設けられており、該連結片22mの上面には、一対のL字状連結片22n,22nがボルト22o,22oを用いて取り付けられている。なお、図32(ハ)に示すように、上記連結片22mの両側(即ち、抱持片22a,22aと直交する両側)に上向きの補強リブ22p,22pを一体に形成することもできる。このようにすると、抱持片22a,22aの剛性がより一層強化されることとなる。その他の構成は、図30に示すものと同様なので、説明を省略する。
【0079】
第4の実施の形態
図33ないし図36には、本願発明の第4の実施の形態にかかる天井下地構造における斜め補強部材上端部の結合構造が示されている。
【0080】
この場合、建物の構造物26として、コンクリート壁が採用されており、該コンクリート壁26の水平面26cに対して斜め補強部材20の上端部が取り付けられることとなっている。そして、上部固定金具22は、斜め補強部材20の上端部における相対向する二面を抱持した状態で取り付けられる一対の抱持片22a,22aを備えた取付手段22Aと前記コンクリート壁26の水平面26cにボルト26bを用いて取り付けられたL字型の結合手段22Bとによって構成されている。前記取付手段22Aを構成する抱持片22a,22aの上端部には、L字状連結片22h,22hが一体に形成されており、前記結合手段22Bの垂直面に対して前記L字状連結片22h,22hをボルト22iを用いて取り付けることにより上部固定金具22が構成されている。このようにすると、抱持片22a,22aの取付角度を自在に選定することが可能となり、斜め補強部材20の傾斜角度を任意に調整することが可能となる。なお、本実施の形態においては、吊りボルト3の上端は、建物の構造物であるコンクリート壁26に対して適宜の手段を介して取り付けられている。
【0081】
次に、上記上部固定金具22の変形例について説明する。
【0082】
図34には、上記上部固定金具22の変形例1が示されている。
【0083】
この場合、上部固定金具22における結合手段22Bは、コンクリート壁26の水平面26cに対してボルト26b,26bを用いて固着された一対のL字型部材により構成されており、前記取付手段22Aを構成する抱持片22a,22aの上端部には、L字状連結片22h,22hが一体に形成されており、これらのL字状連結片22h,22hは、前記結合手段22B,22Bの垂直面間に挟持された状態でボルト22iを用いて取り付けられている。このようにすると、抱持片22a,22aの取付角度を自在に選定することが可能となり、斜め補強部材20の傾斜角度を任意に調整することが可能となる。なお、本実施の形態においても、吊りボルト3の上端は、建物の構造物であるコンクリート壁26に対して適宜の手段を介して取り付けられている。
【0084】
図35(イ)、(ロ)、(ハ)には、上記上部固定金具22の変形例2が示されている。
【0085】
この場合、図33に示す上部固定金具22を構成する取付手段22Aにおいて、各L字状連結片22h,22hの下面側には、前記抱持片22a,22aの変形を防止するための補強板22x〔図35(ロ)参照〕がボルト22y,22yを用いてそれぞれ取り付けられている。このようにすると、抱持片22a,22aの変形を効果的に防止することができ、上部固定金具22の強度向上を図ることができる。なお、上記補強板22xは、図35(ハ)に示すように、その両側(即ち、抱持片22a,22aと直交する両側)に上向きの補強リブ22z,22zを一体に形成して構成することもできる。このようにすると、抱持片22a,22aの剛性がより一層強化されることとなる。その他の構成および作用効果は、図33に示すものと同様なので、説明を省略する。
【0086】
図36(イ)、(ロ)、(ハ)には、上記上部固定金具22の変形例3が示されている。
【0087】
この場合、上部固定金具22を構成する取付手段22Aにおいて、抱持片22a,22aの上端間を一体に連結する連結片22m〔図36(ロ)参照〕が設けられており、該連結片22mの上面には、一対のL字状連結片22n,22nがボルト22o,22oを用いて取り付けられている。なお、図36(ハ)に示すように、上記連結片22mの両側(即ち、抱持片22a,22aと直交する両側)に上向きの補強リブ22p,22pを一体に形成することもできる。このようにすると、抱持片22a,22aの剛性がより一層強化されることとなる。その他の構成は、図33に示すものと同様なので、説明を省略する。
【0088】
なお、本実施の形態にかかる天井下地構造においては、吊りボルト3は金属製角形筒1,1・・のうちの選ばれたものを吊り下げるように構成されているが、前記金属製部材2,2・・のうちの選ばれたものを吊りボルト3を用いて吊り下げるように構成する場合もある。また、本実施の形態にかかる天井下地構造においては、斜め補強部材20は、金属製角形筒1,1・・のうちの選ばれたものと建物の構造物(例えば、H型鋼26あるいはコンクリート壁26)を連結するようにしているが、金属製部材2,2・・のうちの選ばれたものと建物の構造物(例えば、H型鋼26あるいはコンクリート壁26)とを斜め補強部材20で連結する場合もある。
【0089】
なお、本願発明は、上記各実施の形態において説明したものに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
1は金属製角形筒
2は金属製部材(金属製角形筒またはチャンネル )
3は吊りボルト
20は斜め補強部材
21は下部固定金具
21Aは取付手段
21aは抱持片
21Bは結合手段
22は上部固定金具
22Aは取付手段
22aは抱持片
22Bは結合手段
23は結合金具
26は建物の構造物(H型鋼あるいはコンクリート壁)
図1
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