(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100の概要構成を説明するための断面図である。
図1を参照して、スプリンクラヘッド100の構成について説明する。
【0010】
[スプリンクラヘッド100の構成]
スプリンクラヘッド100は、スプリンクラヘッド100に供給される消火水が流れる配管に接続されるヘッド本体10、ヘッド本体10に接続されるフレーム20、ヘッド本体10を塞ぐ弁体30、スプリンクラヘッド100から放出される消火水を拡散する散水部40及び放水動作をしないときに弁体30を支持する弁体支持機構50を備えている。
本実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100は、弁体支持機構50に設けられた半田55の流出経路に改良が加えられたものである。
なお、スプリンクラヘッド100が放水動作をしないときを通常時又は監視状態時と称するものとする。また、
図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。さらに、以下の図面における上下は、紙面から見た上下と対応している。
【0011】
(ヘッド本体10)
ヘッド本体10は、消火水が流れる給水管に接続され、当該給水管からヘッド本体10を介してスプリンクラヘッド100内に消火水が供給されるものである。ヘッド本体10は、消火水を放水するための放水口12を有している。ヘッド本体10の外周部にはフランジ13が形成されており、フランジ13の下側の内周部には、フレーム20が取り付けられるためのねじ部15が形成されている。
【0012】
(フレーム20)
フレーム20は、円筒状に形成され、ヘッド本体10に接続されるものである。フレーム20の上部の外周部には、ねじ部21が形成され、ヘッド本体10の下部側に形成されたねじ部15に取付けられる。フレーム20の下部には、内側に突出した係止段部22が設けられ、係止段部22には後述のボール61が係止される。
【0013】
(弁体30)
弁体30は、通常時にヘッド本体10の開口部11から消火水が放出されることを防止するものである。この弁体30は、弁体支持機構50によって支えられている。
【0014】
(散水部40)
散水部40は、弁体30の下部に固定されるデフレクタ41、デフレクタ41に接続されるガイドロッド42、及びガイドロッド42に接続され、放水動作時に係止段部22に引っかかるまで下降するストッパリング43を備えている。
デフレクタ41は、中央に開口部を有する円板によって構成されている。
【0015】
(弁体支持機構50)
弁体支持機構50は、通常時において弁体30がヘッド本体10の開口部11を塞ぐように、弁体30を支持するものである。弁体支持機構50は、熱を半田55に伝達する感熱部51、フレーム20の下部に設けられるボール保持機構60、各種部品同士を固定するものであるセットスクリュー65を備えている。
【0016】
次に、
図2を参照して、スプリンクラヘッド100の感熱部51の概要構成について説明する。
図2は、
図1に図示される感熱部51の概要構成図である。なお、
図2(a)は、
図1に図示される感熱部51の近傍を説明するための拡大図である。また、
図2(b)は、
図2(a)に図示される断熱材54の下面図である。さらに、
図2(c)は、
図2(b)の点線Aにおける断熱材54の断面図であり、
図2(d)は、
図2(b)の点線Aにおける断面に対して垂直方向における断熱材54の正投影図である。
感熱部51は、熱により溶融する半田55、半田55を押圧するピストン52、スプリンクラヘッド100が設置される空間の熱を半田55に伝達させる感熱板72、感熱板72の熱を効率的に半田55に伝達させるための断熱材54、及び半田55が収容されるシリンダー53を備えている。
半田55は、火災時に発生する熱により溶融する。半田55は、ドーナツ形状として説明するが、それに限定されるものではない。この半田55は、ピストン52の上部から挿入され、後述するピストン52のフランジ52b上に設置される。
【0017】
ピストン52は、後述のボール保持機構60のバランサー63とともに、半田55を押圧するものである。このピストン52は、円筒状に形成された円筒部52a(棒状部)と、円筒部52aの下部に形成されたフランジ52bとから構成されている。また、円筒部52aの内面には、雌ねじ52cが形成され、セットスクリュー65の脚部にある雄ねじ65aがねじ込まれ、ピストン52とセットスクリュー65とが結合している。
なお、ピストン52はこのようにセットスクリュー65と結合して固定されている一方で、フランジ52bが、断熱部材54、感熱板72、シリンダー53、及び半田55を介してバランサー63に押圧されている。すなわち、半田55は、ピストン52のフランジ52bと、シリンダー53とによって押圧されている。
【0018】
感熱板72は、スプリンクラヘッド100が設置される空間の熱を半田55に伝達させるものである。感熱板72は、略ドーナツ形状をしており、ピストン52の円筒部52aが挿入されて設けられている。この感熱板72は、上面が断熱材54と接し、下面がシリンダー53と接して設けられている。
また、感熱板72は、断熱材54を介してバランサー63に押圧されているため、感熱板72はシリンダー53の上部を押圧する。これにより、感熱板72は、半田55が溶融するとシリンダー53とともに下降し、ピストン52のフランジ52bで半田55を押圧する。
さらに、感熱板72は、
図2(a)に図示されるように、感熱板72の内径が円筒部52aの外径よりも大きくなっているため、円筒部52aとの間に隙間72a(第2の隙間)が形成されている。この隙間72aは、後述の断熱材54の溝部54aと連通するとともに、シリンダー53の隙間53e(第1の隙間)と連通している。これにより、溶融した半田55は、隙間53e及び隙間72aを介して溝部54aから外部に流出可能となっている。
【0019】
断熱材54は、感熱板72の熱がボール保持機構60のバランサー63側に逃げないようにするものである。この断熱材54は、略ドーナツ形状をしており、上部がバランサー63の段部63aにはめられ、下部が感熱板72と接して設けられている。また、この断熱材54には、ピストン52の円筒部52aが挿入されて設けられている。断熱材54は、バランサー63によって押圧されているため、感熱板72を押圧する。
この断熱材54の下部には、
図2(a)〜
図2(d)に図示されるように、断熱材54の内側面と外側面とを連通するように形成された溝部(流出部)54aが形成されている。そして、溝部54aは、感熱板72の隙間72a及びシリンダー53の隙間53eに連通している。これにより、溶融した半田55は、隙間53e及び隙間72aを介して溝部54aから外部に流出可能となっている。
なお、
図2では、断熱材54に溝部54aが十字状に4つ形成された例を図示しているが、4つに限定されるものではない。また、
図2(b)に図示されるように、溝部54aは、断熱材54の中心Oから、断熱材54の下面周縁に向かって直線的に形成された例を図示しているが、それに限定されるものではなく、曲線的に形成されていてもよい。
【0020】
シリンダー53は、ピストン52の一部、及び半田55を収容するとともに、感熱板としての機能を有するものである。このシリンダー53は、円板形状部材の中央部が上方に突出し、該中央部にピストン52の円筒部52aが挿入されるように開口形成された形状をしているものである。具体的には、このシリンダー53は、略ドーナツ形状であり、シリンダー53の上部を構成するシリンダー上部53aと、略円筒形状であり、一方がシリンダー上部53aに接続された立設部53bと、略ドーナツ形状であり、立設部53bの他方に接続されたシリンダー下部53cとが一体に形成されたものである。なお、以下の説明において、シリンダー上部53a、立設部53b、及びシリンダー下部53cは一体であるものとして説明するが、別体でもよい。
通常時においては、このシリンダー53のシリンダー上部53a及び立設部53bと、ピストン52の円筒部52a及びフランジ52bとによって形成される空間に半田55が設置される。
【0021】
シリンダー上部53aは、略ドーナツ形状であり、シリンダー53の上部を構成するものであり、下面が半田55の上面に対向するように設けられている。また、シリンダー上部53aの上には感熱板72が設けられており、シリンダー上部53aはこの感熱板72及び断熱材54を介してバランサー63に押圧されている。
シリンダー上部53aの外周は、立設部53bに接続されている。また、シリンダー上部53aには、円筒部52aが挿入可能なように開口が形成されているが、このシリンダー上部53aと円筒部52aとの間には隙間53eが形成されている。これにより、半田55が溶融すると、この隙間53e及び感熱板72の隙間72aを介して断熱材54の溝部54aから外部に流出する。そして、半田55が流出すると、それに伴ってシリンダー上部53aの下面とフランジ52bとの対向間隔が小さくなる。
【0022】
立設部53bは、略円筒形状であり、一方がシリンダー上部53aに接続され、他方がシリンダー下部53cに接続されたものである。この立設部53bの内側に半田55が設けられている。すなわち、この立設部53bは、半田55の側面部を覆っている。
ここで、この立設部53bの内面と、ピストン52のフランジ52bとの間には、溶融した半田55が流出する隙間53dが形成されている。すなわち、半田55は、溶融すると、隙間53dから流出可能であるとともに、隙間53e及び隙間72aを介して溝部54aからも流出可能となっている。
【0023】
シリンダー下部53cは、略ドーナツ形状であり、立設部53bの他方に接続されたものである。シリンダー下部53cは、シリンダー53の中で、スプリンクラヘッド100が設置される空間に対して特に露出面積が大きくなっている。したがって、シリンダー下部53cは、露出面積が大きくなっている分、半田55を溶融させるための熱を多く受け取ることができる。すなわち、シリンダー53は、半田55を収容するだけでなく、感熱板としての機能も有している。
【0024】
(ボール保持機構60)
再び、
図1を参照して、スプリンクラヘッド100のボール保持機構60の概要構成について説明する。
ボール保持機構60(保持部)は、ボール61、外周側下部にボール61と接する凹部62aが形成されたスライダー62、スライダー62と弁体30との間に設けられる皿ばね32、及び半田55を押圧するバランサー63を備えている。
【0025】
ボール61は、その下部が、フレーム20の係止段部22及びバランサー63に接触して係止されている。また、この状態において、ボール61は、スライダー62によって上から押さえられているためスライダー62からボール61に力がかかり、ボール61には内側に入り込む方向に力が作用する。その結果、ボール61は、バランサー63を下方に移動させるように力が作用している。
【0026】
スライダー62は、略ドーナツ形状であって外周側下部にボール61と接する凹部62aが形成されたものである。この凹部62aは、ボール61と接する面に、下方に向かって内側に傾斜するようにテーパー状(傾斜部)に形成されている。また、このスライダー62の中央には、セットスクリュー65が挿入される。
【0027】
バランサー63は、略ドーナツ形状をしており、ボール61の動きを規制するものである。すなわち、バランサー63は、ボール61の内側に設けられ、この内側に入りこもうとするボール61の動きを規制するものである。このバランサー63には、中央に貫通穴が形成され、この貫通穴はセットスクリュー65が挿入される。
【0028】
バランサー63は、貫通穴を有する筒部と、その筒部の上方に設けられた円板部とを組み合わせた形状となっている。バランサー63の外周下部には段部が形成されている。この外周下部の段部は、フレーム20の係止段部22の内周下部にある段部に、当接するように構成されており、バランサー63の下側から外力がかかった場合には、この部分で衝撃を吸収する。また、バランサー63の筒部の下部であって中央の貫通穴の周りには、断熱材54がはまる段部63aが突出して形成され、バランサー63の円板部の上部には、ボール61があたる傾斜部63bが突出して形成されている。
【0029】
ここで、半田55が溶融して流出した際のボール保持機構60の動きについて説明する。半田55が溶融するとバランサー63が下方に移動し、それに伴って、ボール61が内側に入り込む。これにより、バランサー63は、フレーム20の係止段部22との係止状態が解除され、ボール保持機構60は感熱部51と共に落下する。ボール保持機構60が落下すれば、それに伴って、散水部40を構成する弁体30、ストッパリング43などが落下して、放水が行われる。
【0030】
セットスクリュー65は、各種部品同士を固定するものである。このセットスクリュー65は、頭部と脚部とから構成される。セットスクリュー65の頭部は、弁体30の凹部30bに設けられている。また、セットスクリュー65の頭部には皿ばね32が挿入されて設けられ、セットスクリュー65の脚部にはスライダー62、バランサー63及びピストン52が挿入されて設けられている。なお、セットスクリュー65の脚部は、ピストン52の雌ねじ52cにより結合しており、ボール保持機構60と感熱部51とを一体化させている。
【0031】
[スプリンクラヘッド100の動作]
図3は、
図1に図示されるスプリンクラヘッド100の動作説明図である。
図1及び
図3を参照してスプリンクラヘッド100の動作について説明する。
【0032】
スプリンクラヘッド100は、監視状態時において、ヘッド本体10の放水口12には加圧された消火水が供給されており、弁体30には消火水の圧力が加えられている(
図1参照)。火災が発生し、その熱気流が感熱板72及びシリンダー53に当たると加熱され、感熱板72及びシリンダー53の熱は半田55へ伝達する。
【0033】
そして、半田55が周囲から加熱されて溶融し始めると、断熱材54、感熱板72及びシリンダー53はバランサー63によって押圧されているため、断熱材54、感熱板72及びシリンダー53が一緒に下降する。ここで、半田55が溶融すると最終的にはピストン52も下降するが、バランサー63に押圧されていない分、断熱材54、感熱板72及びシリンダー53と比較すると下降速度が小さい。
したがって、半田55が溶融し始めると、半田55はシリンダー53のシリンダー上部53aの下面と、ピストン52のフランジ52bの上面とによって押圧されることとなる。すなわち、シリンダー上部53aの下面と、フランジ52bの上面との対向間隔については小さくなる。そして、溶融した半田55は押圧されて、シリンダー53の立設部53bとピストン52のフランジ52bとによって形成される隙間53dから流出し、また、シリンダー53の隙間53e及び感熱板72の隙間72aを介して、断熱材54の溝部54aからも流出する。
【0034】
半田55が溶融して隙間53d及び隙間53eから流出すると、感熱板72及びシリンダー53は半田55の流出量に対応して降下する。感熱板72及びシリンダー53が降下すると、感熱板72の上に取り付けられている断熱材54及びバランサー63が降下する。バランサー63が降下すると、バランサー63とスライダー62との間の間隙が広がり、内側に付勢されているボール61がバランサー63の傾斜部63bを越えて内側に移動する。これにより、フレーム20の係止段部22とボール61との係合が解かれ、弁体支持機構50は降下する。
【0035】
弁体支持機構50が降下すると、弁体30が降下する。また、弁体30の降下に伴って、弁体30に取り付けられているデフレクタ41、デフレクタ41に取り付けられているガイドロッド42、及びストッパリング43が降下し、弁体30及びデフレクタ41がガイドロッド42によりフレーム20から吊り下げられた状態になる。弁体30が降下すると放水口12は開放され、加圧された消火水がデフレクタ41から散水されて火災を消火する。
【0036】
[スプリンクラヘッド100の有する効果]
本実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100は、隙間53eから流出した半田55が流れ込む溝部54aを有する断熱材54を備えている。これにより、腐食ガスなどが隙間53eに流入するにあたって、腐食ガスなどは断熱材54の溝部54aを介さなければならない分、隙間53eに流入しにくくなっている。このため、隙間53eの近傍の半田が腐食しにくく、半田55が確実に溶融する。
すなわち、仮に隙間53dの近傍の半田55が腐食してしまい隙間53dから溶融した半田55の流出が妨げられても、隙間53eから溶融した半田55が流出するため、スプリンクラヘッド100の放水動作時における動作確実性をより向上させることができる。
【0037】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2に係るスプリンクラヘッド200の概要構成を説明するための断面図である。本実施の形態2は、実施の形態1の溝部54a、隙間72a及び隙間53eを介して半田55を腐食させる腐食ガスが侵入してしまうことを抑制するシール部材80が設けられた点で異なる。以下、本実施の形態2では、実施の形態1との相違点を中心に説明するものとする。
スプリンクラヘッド200は、断熱材54の溝部54a、感熱板72の隙間72a及びシリンダー上部53aの隙間53eを介して半田55を腐食させる腐食ガスが侵入してしまうことを抑制するシール部材80が設けられている。
このシール部材80は、たとえば略円筒形状に構成するとよく、以下、シール部材80が略円筒形状であるものとして説明する。このシール部材80は、下部が感熱板72の上面と接触し、上部がバランサー63の段部63aの側部に接触して設けられている。また、このシール部材80の内部には、段部63a、断熱材54及び円筒部52aが設けられている。そして、シール部材80の内面、断熱材54の側面、感熱板72の上面、及び段部63aとによって空間Xが形成されており、半田55の流出スペースが確保されている。
なお、このシール部材80も、断熱材54と同様に、断熱素材で構成するとよい。そこで、シール部材80は、たとえばセラミック樹脂などで構成するとよい。これにより、感熱板72が受けた熱がシール部材80を介してバランサー63に逃げてしまうことを抑制することができる。
【0038】
[スプリンクラヘッド200の有する効果]
本実施の形態2に係るスプリンクラヘッド200は、シール部材80を備えている。これにより、実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100の有する効果に加えて、スプリンクラヘッド200は、隙間53eとスプリンクラヘッド200の設置される空間との連通が遮断され、スプリンクラヘッド200の設置される空間の腐食ガスなどが流入しなくなり、隙間53e近傍の半田55が腐食しなくなる。すなわち、スプリンクラヘッド200は、半田55の溶融が妨げられることが抑制され、スプリンクラヘッド200の放水動作時における動作確実性を向上させることができる。
【0039】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3に係るスプリンクラヘッド300の概要構成を説明するための断面図である。
図6は、
図5に図示される感熱部51の概要構成図である。なお、
図6(a)は、
図5に図示される感熱部51の近傍を説明するための拡大図である。また、
図6(b)は、
図6(a)に図示される断熱材81の下面図である。さらに、
図6(c)は、
図6(b)の点線Bにおける断熱材81の断面図であり、
図6(d)は、
図6(b)の点線Bにおける断面に対して垂直方向における断熱材81の正投影図である。
【0040】
本実施の形態3は、実施の形態1、2の断熱材54と構成が異なる。以下、本実施の形態3では、実施の形態1、2との相違点を中心に説明するものとする。
実施の形態1、2に係るスプリンクラヘッド100、200は、断熱材54の下部に溝部54aが形成されたものであるが、実施の形態3に係るスプリンクラヘッド300は、断熱材81に穴部(流出部)81aが形成されている。
【0041】
断熱材81は、ピストン52の円筒部52aに挿入されて設けられている。そして、断熱材81の内面と、この円筒部52aの側面とには、隙間81bが形成されている。すなわち、断熱材81の内径の方が、円筒部52aの外径より隙間81bの分だけ大きいということである。
また、断熱材81の中間部には、断熱材81の内側面と外側面とを連通するように形成された穴部81aが形成されている。そして、穴部81aは、隙間81b、隙間72a及び隙間53eに連通している。これにより、溶融した半田55は、隙間53e、隙間72a、及び隙間81bを介して穴部81aから外部に流出可能となっている。
なお、
図6では、断熱材81に穴部81aが4つ形成された例を図示しているが、4つに限定されるものではない。
【0042】
[スプリンクラヘッド300の有する効果]
本実施の形態3に係るスプリンクラヘッド300は、断熱材81を備えており、実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100と同様の効果を奏する。
【0043】
実施の形態4.
図7は、実施の形態4に係るスプリンクラヘッド400の概要構成を説明するための断面図である。
図8は、
図7に図示される感熱部51の概要構成図である。なお、
図8(a)は、
図7に図示される感熱部51の近傍を説明するための拡大図である。また、
図8(b)は、
図8(a)に図示される断熱材82の下面図である。さらに、
図8(c)は、
図8(b)の点線Cにおける断熱材82の断面図であり、
図8(d)は、
図8(b)の点線Cにおける断面に対して垂直方向における断熱材82の正投影図である。
【0044】
本実施の形態4は、実施の形態1、2の断熱材54及び実施の形態3の断熱材81と構成が異なる。以下、本実施の形態4では、実施の形態1〜3との相違点を中心に説明するものとする。
実施の形態4に係るスプリンクラヘッド400は、溶融した半田55が流出するスペースとなる内径拡大部(流出部)82aが形成されている。
断熱材82の内側には、感熱板72の上面、断熱材82の内側面、及びピストン52の円筒部52aの側面とによって形成される空間に、溶融した半田55が流出できるように、内径拡大部82aが形成されている。この内径拡大部82aは、下端部から中央部にかけて断熱材82の内径を大きくすることで形成されたものである。したがって、内径拡大部82a、円筒部52a及び感熱板72の上面によって形成される空間は、略円筒形状である。そして、溶融した半田55は、隙間53e、隙間72aを介して内径拡大部82aに流出し、この内径拡大部82aに溜まるようになっている。
なお、内径拡大部82a、円筒部52a及び感熱板72の上面によって形成される空間は、略円筒形状(縦断面形状が四角形)となるように内径拡大部82aが形成されている場合を例に説明したが、それに限定されるものではない。すなわち、断熱材82の内部に、隙間53e、隙間72aを介して半田55が流入する空間が形成されていればよい。たとえば、下から上にいくにしたがって、断熱材82の内径が小さくなるようなテーパ状(縦断面形状が三角形)に内径拡大部82aが形成されたものでもよい。
【0045】
[スプリンクラヘッド400の有する効果]
本実施の形態4に係るスプリンクラヘッド400は、内径拡大部82aが形成された断熱材84を備えている。この内径拡大部82aは、隙間53e及び隙間72aには連通しているが、スプリンクラヘッド400が設置される空間には連通していない。これにより、実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100の有する効果に加えて、スプリンクラヘッド400は、隙間53eとスプリンクラヘッド400の設置される空間との連通が抑制されるので、スプリンクラヘッド400の設置される空間の腐食ガスなどが流入しにくくなり、隙間53e近傍の半田55が腐食してしまうことはない。すなわち、スプリンクラヘッド400は、半田55の溶融が妨げられることが抑制され、スプリンクラヘッド400の放水動作時における動作確実性を向上させることができる。
【0046】
実施の形態5.
図9は、実施の形態5に係るスプリンクラヘッド500の概要構成を説明するための断面図である。
図10は、
図9に図示される感熱部51の概要構成図である。なお、
図10(a)は、
図9に図示される感熱部51の近傍を説明するための拡大図である。
図10(b)は、
図10(a)に図示される感熱板83の断面図であり、
図10(c)は、
図10(a)に図示される感熱板83を平面視したものである。
本実施の形態5は、実施の形態1〜4の感熱板72とは異なる感熱板83を備えている。以下、本実施の形態5では、実施の形態1〜4との相違点を中心に説明するものとする。
【0047】
実施の形態5に係るスプリンクラヘッド500は、溶融した半田55を流出させるためのスリット83aが形成された感熱板83を備えている。なお、断熱材84は、実施の形態1、2の溝部54a、実施の形態3の穴部81a、実施の形態4の内径拡大部82aが形成されていてもよいが、本実施の形態5では形成されていないものとして説明する。
【0048】
感熱板83には、感熱板83の中心から放射状に形成され、隙間53eと連通するスリット83aが形成されている。このスリット83aは、一方が隙間53eと連通し、他方がスプリンクラヘッド500が設置される空間と連通している。すなわち、半田55が溶融すると、隙間53e、スリット83aを介して、スプリンクラヘッド500が設置される空間に流出可能となっている。
【0049】
ここで、断熱材84の外径及びシリンダー上部53aの外径とは同じであるものとする。そして、
図10中において、断熱材84の外径及びシリンダー上部53aの外径に対応する位置に点線rが引かれている。スリット83aは、断熱材84の外径位置及びシリンダー上部53aの外径位置に対して、はみ出すように形成されるとよい。これにより、溶融した半田55は、断熱材84の下面と、シリンダー上部53aの上面とによって閉じ込められることなく、スリット83aのはみ出し部分83bより流出可能となる。つまり、同一直線上にスリット83aがある場合、両端のスリット83a間の長さは、断熱材84の外径より長くなっており、断熱材84より長い分がはみ出し部分83bとなっている。
【0050】
なお、断熱材84の外径の方が、シリンダー上部53aの外径よりも大きい場合には、スリット83aが、少なくとも立設部53bの外径位置よりもはみ出して形成されるとよい。これにより、はみ出し部分83bの下面側が開放されるため、溶融した半田55を当該開放部分から流出させることができる。
また、シリンダー上部53aの外径の方が、断熱材84の外径よりも大きい場合には、スリット83aが、少なくとも断熱材84の外径位置よりもはみ出して形成されるとよい。これにより、はみ出し部分83bの上面側が開放されるため、溶融した半田55を当該開放部分から流出させることができる。
【0051】
さらに、
図10(c)では、感熱板83にスリット83aが4つ形成された例を図示しているが、4つに限定されるものではない。また、
図10(c)に図示されるように、スリット83aは、感熱板83の中心O’から周縁に向かって直線的に形成された例を図示しているがそれに限定されるものではなく、曲線的に形成されていてもよい。
【0052】
[スプリンクラヘッド500の有する効果]
本実施の形態5に係るスプリンクラヘッド500は、スリット83aが形成された感熱板83を備えたものである。これにより、実施の形態1に係るスプリンクラヘッド100の有する効果に加えて、スプリンクラヘッド500は、隙間53eとスプリンクラヘッド500の設置される空間との連通が抑制されるので、スプリンクラヘッド500の設置される空間の腐食ガスなどが流入しにくくなり、隙間53e近傍の半田55が腐食してしまうことが抑制される。すなわち、スプリンクラヘッド500は、半田55の溶融が妨げられることが抑制され、スプリンクラヘッド500の放水動作時における動作確実性を向上させることができる。
【0053】
実施の形態1〜5に記載の事項は、適宜組み合わせてもよい。