(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態であるエレベーターの異常診断装置について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
【0013】
実施の形態1.
図1には、実施の形態1におけるエレベーター異常診断装置191を備えたエレベーターの概略構造が示されている。
エレベーターの概略構造として、かご1とおもり2とは、かご吊り車4、かご返し車5、巻上機6の巻上機綱車7、おもり返し車8、おもり吊り車9と呼ばれる各滑車を介してロープ3で接続されている。巻上機6の動作により、かご1は、かごガイドシュー11を介してかごレール10上を鉛直方向91に走行し、おもり2は、おもりガイドシュー13を介しておもりレール12上を鉛直方向91に走行する。また、本実施形態におけるエレベーター構造では、かご1の昇降速度の調速機であるガバナにエンコーダ15が設けられ、巻上機6にもエンコーダ16が設けられている。尚、このようなエレベーター構造は、以下で説明する他の実施の形態2〜7でも基本的に同じである。
【0014】
エレベーター異常診断装置191は、加速度センサ14と、診断部181と、データベース106とを備え、実施の形態1〜7において、加速度センサ14は、かご1に設置している。
図1では、かご1の上部に、加速度センサ14を設置した例を図示するが、その設置位置は、かご1の下部や、かご1内であってもよく、加速度センサ14は、かご1の移動方向において、少なくとも鉛直方向91の加速度を測定できればよい。さらに、加速度センサ14は、
図1に向かって左右方向又は奥行き方向、つまり鉛直方向91に対して直交する各方向の加速度を鉛直方向91と同時に測定するように構成してもよい。
また、加速度センサ14と診断部181とは、有線又は無線にて電気的に接続される。
【0015】
データベース106は、本実施形態では、上述のエレベーター構造に含まれる各機器の下記の情報を記憶しており、診断部181とは別設されている。データベース106の情報は、診断部181に対して有線、無線、又は記憶媒体を介して供給される。一方、データベース106は、診断部181内に含まれていても良い。
【0016】
診断部181は、本実施形態では
図2にブロックにて示す各構成部を備えるが、実際にはコンピュータを用いて実現され、
図2に示す各構成部の機能を実行するソフトウェアと、これを実行するためのCPU(中央演算処理装置)やメモリ等のハードウェアから構成されている。尚、上記コンピュータは、実際には当該エレベーター異常診断装置191に組み込まれたマイクロコンピュータに相当するのが好ましいが、スタンドアロン型のパーソナルコンピュータを用いることもできる。また、以下に説明する各実施の形態における診断部についても、診断部181と同様に上記コンピュータで構成されるものである。
【0017】
また、上記ソフトウェアにおけるプログラムは、コンピュータによって直接実行可能なものだけでなく、例えば通信線を介して読み込まれハードディスク等にインストールすることによって実行可能となるものも含む。又、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含まれる。
【0018】
以下には、診断部181を構成する信号処理部101、上昇及び下降区間抽出部103、機器情報取得部107、特徴周波数導出部109、フィルタ部111、特徴量抽出部114、及び異常判定部116について説明する。
信号処理部101は、加速度センサ14から出力される加速度出力100を一定時間分収集し、加速度センサ信号102として記憶し出力する。
上昇及び下降区間抽出部103は、加速度センサ信号102の中から、エレベーターの上昇区間信号104及び下降区間信号105を抽出する。
図3を用いて抽出方法を詳細に説明する。
【0019】
図3では、加速度センサ信号102の一例として、エレベーターのかご1が上昇及び下降を行った場合の信号を示している。尚、かご1の停止時には、加速度センサ信号102はゼロになり、かご1が上昇方向に加速する際には、加速度センサ信号102が正の値になるとした。加速度センサ信号102を積分した加速度積分信号301を求めることで、かご1の上昇時には加速度積分信号301の符号が正となり、下降時には加速度積分信号301の符号が負となる。そこで、上昇及び下降区間抽出部103は、加速度積分信号301が予め設定した正のしきい値以上となっている区間を上昇区間信号104として切り出し、予め設定した負のしきい値以下となっている区間を下降区間信号105として切り出す。また、上昇区間信号104のうち、上昇区間信号104における最大値×K%以上(例えばK=95)を満たす区間のみを切り出して、上昇区間信号104’としてもよい。これにより一定速度(定格速度)で上昇している区間のみを切り出すことができる。同様に、下降区間信号105のうち、下降区間信号105における最小値×K%以下(例えばK=95)を満たす区間のみを切り出し、下降区間信号105’としてもよい。これにより一定速度(定格速度)で下降している区間のみを切り出すことができる。尚、上昇区間信号104’又は下降区間信号105’の先頭及び最後尾を予め設定した時間(例えば1秒)だけ、除外又は追加して上昇区間信号又は下降区間信号としてもよい。
【0020】
機器情報取得部107は、機器情報データベース106から、現在、異常診断(検査)対象であるエレベーターに固有の機器の情報108を取得する。機器情報108としては、例えば、かご1の定格速度、かご吊り車4・かご返し車5・巻上機綱車7・おもり返し車8・おもり吊り車9といった各滑車の直径、かご1の質量、おもり2の質量、ロープ3のばね定数等である。尚、これらの値は、エレベーターの機種、定員、昇降行程などに応じて異なる値となる。
【0021】
特徴周波数導出部109は、取得された機器情報108から、検査対象の機器の診断に必要となる特徴周波数110を算出する。一例として、かご1の定格速度運転時における上述の各滑車の回転周波数を特徴周波数110として算出する方法を説明する。機器情報108の各値を下記のように定義する。
【0022】
かご1の定格速度=V(m/分) (1)
かご吊り車4の直径=r1(m) (2)
かご返し車5の直径=r2(m) (3)
巻上機綱車7の直径=r3(m) (4)
おもり返し車8の直径=r4(m) (5)
おもり吊り車9の直径=r5(m) (6)
【0023】
このとき、
図1に示すエレベーターのロープ構成では、かご吊り車4及びおもり吊り車9に掛けられたロープの通過速度は、かご速度に等しくなり、かご返し車5、巻上機綱車7、及びおもり返し車8に掛けられたロープの通過速度は、かご速度×2に等しくなる。
よって、かご1が定格速度V(m/分)で上昇又は下降している区間における各滑車の回転周波数は、以下の式で算出される。
【0024】
かご吊り車4の回転周波数(Hz) =V÷60÷r1÷π (7)
かご返し車5の回転周波数(Hz) =V×2÷60÷r2÷π (8)
巻上機綱車7の回転周波数(Hz) =V×2÷60÷r3÷π (9)
おもり返し車8の回転周波数(Hz)=V×2÷60÷r4÷π (10)
おもり吊り車9の回転周波数(Hz)=V÷60÷r5÷π (11)
以上の式で求められた各滑車の回転周波数を特徴周波数110とする。
【0025】
次の一例として、かご−おもり系の共振周波数を特徴周波数110として算出する方法を説明する。機器情報108の各値を下記と定義する。
かご1の質量=m1(kg)
おもり2の質量=m2(kg)
ロープのばね定数=k
このとき、かご−おもり系の共振周波数fは、以下の式で算出される。
【0027】
尚、ロープのばね定数kは、ロープ全長、ロープヤング率、ロープ断面積、ロープ本数、ロープ両端に取り付けられるシャックルばねのばね定数などを考慮して決定するようにしてもよい。
以上の式で求められた、かご−おもり系の共振周波数fを特徴周波数110とする。
【0028】
フィルタ部111は、上昇区間信号104及び下降区間信号105に対し、特徴周波数110の1次及び高次成分のみを帯域通過させるフィルタを適用し、上昇区間フィルタ信号112及び下降区間フィルタ信号113を得る。尚、各滑車の回転周波数のように、特徴周波数110が複数存在する場合には、各々の特徴周波数毎にフィルタを作成して、各々のフィルタ信号を得ても良いし、複数の特徴周波数を全て帯域通過させるフィルタを一つ作成し、一つのフィルタ信号を得るようにしても良い。
【0029】
特徴量抽出部114は、上昇区間フィルタ信号112及び下降区間フィルタ信号113のそれぞれに対して、機器異常診断に必要な特徴量115を算出する。特徴量115としては、上昇区間フィルタ信号112及び下降区間フィルタ信号113の絶対平均値、実効値、ピーク値などを用いる。また、フィルタ信号のピーク−to−ピーク値のうち外れ値を一定割合だけ除いたものを使用しても良いし、機器異常診断の統計特徴量として一般的に用いられる、尖度や歪度といった指標を使用してもよい。
【0030】
異常判定部116は、特徴量115が、予め設定したしきい値未満ならば正常、しきい値以上ならば異常発生として判定結果117を出力する。尚、複数の特徴周波数毎に上昇区間フィルタ信号112及び下降区間フィルタ信号113を算出した場合や、特徴量115を複数種類算出した場合には、特徴量115が複数存在することになる。この場合には、各々の特徴量115に対して、それぞれ個別のしきい値を設定しておき、いずれかの特徴量がしきい値以上となった場合に、異常と判定するようにしてもよいし、複数の特徴量がしきい値以上となった場合に、異常と判定するようにしてもよい。
【0031】
具体的には、異常判定部116は、上述の、各滑車の回転周波数から算出した特徴周波数に基づいて得られたフィルタ信号の特徴量がしきい値以上となった場合には、該当滑車の異常と特定することができる。また、かご−おもり系の共振周波数に相当する特徴周波数に基づいて得られたフィルタ信号の特徴量がしきい値以上となった場合には、衝撃性の加振力を発生させる異常である衝撃性振動異常と特定することができる。
【0032】
以上のように構成される本実施形態のエレベーター異常診断装置191は、以下のように機能する。
即ち、異常診断時において、かご1には乗客がいない状態で、かご1を定格速度にて昇降させ、加速度センサ14から加速度出力100を得る。一方、特徴周波数導出部109は、上述したように、診断対象となる機器の診断に必要な特徴周波数110を求め、送出する。これらの加速度出力100及び特徴周波数110を元に処理された情報から、異常判定部116は、上述したように、診断対象となる機器の異常の有無を判定する。
【0033】
上述のように構成される診断部181を備えたエレベーター異常診断装置191によれば、特に、上昇及び下降区間抽出部103、機器情報取得部107、特徴量抽出部114、及び異常判定部116を備え、エレベーターかご1の走行方向毎に、エレベーターの検査対象機器の特徴量が算出され、この特徴量に基づいて、エレベーターの異常判別を行うことができる。よって、エレベーターの異常部位の有無を精度よく診断することが可能となる。
【0034】
実施の形態2.
図4を参照して、実施の形態2におけるエレベーターの異常診断装置192について以下に説明する。実施の形態1におけるエレベーターの異常診断装置191との相違点は、診断部182であり、診断部182は、上述の診断部181の構成に対して、かご速度測定部401を加えた構成である。よって以下には、実施の形態1との相違部分のみについて説明する。
尚、実施の形態2におけるエレベーター異常診断装置192を備えたエレベーターの概略構造は、
図1に示す符号「191」を「192」に、「181」を「182」に変更した構成になる。
【0035】
上述のように実施の形態1では、特徴周波数導出部109が、かご1の定格速度V(m/分)を機器情報108として取得していた。これに対し本実施形態では、かご1の定格速度Vを求めるかご速度測定部401を備える。かご速度測定部401は、上昇及び下降区間抽出部103で生成された上昇区間信号104又は下降区間信号105からかご1の定格速度402を算出する。即ち、定格速度402は、
図3にて説明した方法にて、加速度積分信号301から、かご1が定格速度で上昇している上昇区間信号104’又は定格速度で下降している下降区間信号105’が得られるので、これらの区間の速度平均値を求めることで求められる。
【0036】
このように、かご速度測定部401にて定格速度402を求めることでも、実施の形態1におけるエレベーターの異常診断装置191が奏する上述した効果、つまり求めた特徴量に基づいてエレベーターの異常判別を行うことができ、エレベーターの異常部位の有無を精度よく診断することが可能となる、という効果を得ることができる。また実施の形態2では、かご速度測定部401を備えたことで、機器情報データベース106から、かご定格速度を得ることなく、実施の形態1と同様の効果を得ることができるという利点がある。
【0037】
実施の形態3.
図5及び
図6を参照して、実施の形態3におけるエレベーターの異常診断装置193について以下に説明する。実施の形態1におけるエレベーターの異常診断装置191との相違点は、診断部183であり、診断部183は、上述の診断部181における構成の内、機器情報取得部107及び特徴周波数導出部109を削除し、緊急停止区間抽出部501及び特徴周波数導出部503を新たに設けたものである。また、機器情報データベース106も使用しない。以下では、このような実施の形態1との相違部分のみについて説明する。
尚、実施の形態3におけるエレベーター異常診断装置193を備えたエレベーターの概略構造は、
図1に示す符号「191」を「193」に、「181」を「183」に変更した構成になる。
【0038】
緊急停止区間抽出部501は、検査運転中にかご1を緊急停止させる信号504により、かご1を緊急停止させる。信号504は検査時に作業者から供給してもよいし、有線または無線を介して検査時に自動的に供給するように構成してもよい。かご1の上昇又は下降時において、かご1を緊急停止(急停止)させると、かご1には、かご−おもり系の共振周波数を主成分とした縦方向(鉛直方向91)の減衰振動が現れる。例えば、
図6に示すように、加速度センサ信号102において減衰振動510が得られる。詳しく説明すると、緊急停止区間抽出部501には信号処理部101から加速度センサ信号102が供給され、緊急停止区間抽出部501は、緊急停止信号504が入力された時点から一定時間経過するまでの区間における加速度センサ信号102を、緊急停止区間信号502として抽出する。尚、緊急停止区間信号502として抽出する区間は、上述の区間に限定されず、例えば、緊急停止信号504が入力された時点から、加速度センサ信号102における減衰振動510の振幅が予め設定したしきい値以下となるまでの区間としてもよい。
【0039】
特徴周波数導出部503は、緊急停止区間信号502から特徴周波数110を算出する。
図6を例として、特徴周波数110の算出方法を説明する。
緊急停止区間信号502は、単一周波数の減衰振動波形とみなせるので、共振周波数よりも高い帯域のカットオフ周波数のローパスフィルタ(例えば、カットオフ周波数=10Hz)を適用した後、ゼロクロス点または正負ピーク点が出現する平均時間間隔を求め、その逆数の0.5倍を特徴周波数110とすることができる。あるいはまた、緊急停止区間信号502をFFT(高速フーリエ変換)してパワースペクトルを求め、ピーク周波数を特徴周波数110としてもよい。その他、単一周波数の減衰振動波形の周波数を求める手法は、一般に多数提案されており、それらの手法を使用して特徴周波数110を求めるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0040】
このようにして求めた特徴周波数110は、特徴周波数導出部503からフィルタ部111に供給され、実施の形態1にて説明した動作により異常診断が行われる。
【0041】
このように、実施の形態3におけるエレベーターの異常診断装置193においても実施の形態1におけるエレベーターの異常診断装置191が奏する上述した効果、つまり求めた特徴量に基づいてエレベーターの異常判別を行うことができ、エレベーターの異常部位の有無を精度よく診断することが可能となる、という効果を得ることができる。さらに実施の形態3におけるエレベーターの異常診断装置193では、緊急停止区間抽出部501を備えたことで、機器情報データベース106から、かご質量、おもり質量、ロープばね定数という機器情報を取得することなく、実施の形態1と同様の効果を得ることができるという利点がある。
【0042】
実施の形態4.
図7及び
図8を参照して、実施の形態4におけるエレベーターの異常診断装置194について以下に説明する。実施の形態1におけるエレベーターの異常診断装置191との相違点は、診断部184であり、診断部184は、上述の診断部181における構成の内、機器情報取得部107、特徴周波数導出部109、特徴量抽出部114、及び異常判定部116を削除し、かご位置測定部701、特徴量抽出部703、及び異常判定部705を新たに設けたものである。また、機器情報データベース106も使用しない。以下では、このような実施の形態1との相違部分のみについて説明する。
尚、実施の形態4におけるエレベーター異常診断装置194を備えたエレベーターの概略構造は、
図1に示す符号「191」を「194」に、「181」を「184」に変更した構成になる。
【0043】
かご位置測定部701には、上昇及び下降区間抽出部103から、上述の上昇区間信号104及び下降区間信号105が供給され、かご位置測定部701は、上昇区間信号104及び下降区間信号105を二階積分し、時間経過におけるかご1の位置を示すかご位置信号702を求める。例えば
図8に示すように、上昇区間信号104から上昇時のかご位置信号702が求められ、下降区間信号105から下降時のかご位置信号702’が求められる。
求まったかご位置信号702、702’は、かご位置測定部701から特徴量抽出部703へ供給される。
【0044】
尚、かご位置測定部701は、上昇区間信号104又は下降区間信号105を使用せずに、巻上機6又はガバナに設置したエンコーダ16、15を用いて、かご1が上昇又は下降したときのパルス数をカウントして、かご位置を求めても良い。
【0045】
特徴量抽出部703は、フィルタ部111から供給された上昇区間フィルタ信号112及び下降区間フィルタ信号113、並びに、かご位置信号702、702’により、上昇時と下降時において衝撃性の振動が発生した場合には、そのときのかご位置を求める。
【0046】
ここで、フィルタ部111に供給する特徴周波数110について、衝撃性振動の異常が発生した場合には、実施の形態1において述べた、かご−おもり系の共振周波数でかご1が振動する。よって、フィルタ部111は、かご−おもり系の共振周波数を特徴周波数110として、上昇区間フィルタ信号112及び下降区間フィルタ信号113を算出することが望ましい。
【0047】
そして特徴量抽出部703は、
図8に示すように、上昇区間フィルタ信号112において、衝撃性振動のピーク値A(802)の発生時刻を検出し、この発生時刻におけるかご1のかご位置信号702の値を読み取り、振動発生位置704を求める。同様に、下降区間フィルタ信号113において、衝撃性振動のピーク値B(803)の発生時刻を検出し、この発生時刻におけるかご1のかご位置信号702’の値を読み取ることで振動発生位置704’を求める。
【0048】
異常判定部705には、特徴量抽出部703から振動発生位置704、704’が供給され、異常判定部705は、上昇時における振動発生位置704と、下降時における振動発生位置704’とを比較し、これらが同一ならば、かごレール10の特定位置801に、衝撃性振動の異常源があると判定する。また、ロープ3の特定位置に異常源がある場合にも、上昇時における振動発生位置704と、下降時における振動発生位置704’とが同一になることがある。したがって、上昇時と下降時とで衝撃性振動が発生した、かご位置が同一であるときには、異常判定部705は、かごレール10又はロープ3における特定位置に異常が有ると判定することができ、判定結果706を出力する。
【0049】
また、異常判定部705は、上述の条件に加えて、上昇時におけるピーク値A(802)の正負符号と、下降時におけるピーク値B(803)の正負符号とが反転しているか否かをさらに判断してもよい。即ち、上記正負符号の反転は、かごレール10又はおもりレール12に段差が存在するときに、上昇時と下降時とにおいて、かご1が上記段差を乗り越える際の振動挙動に対応する。よって、上記正負符号の反転の有無をさらに判断することで、異常判定部705は、かごレール10又はおもりレール12に段差が有るか否か(段差異常の有無)を検出することもできる。
【0050】
さらにまた、異常判定部705は、上述の条件に加えて、上昇時及び下降時のそれぞれにおいて、衝撃性振動が2回連続して発生するか否かを判断し、かつその発生間隔がかごガイドシュー11又はおもりガイドシュー13の間隔と一致するか否かを、さらに判断してもよい。そして、衝撃性振動が2回連続して発生し、その発生間隔が、かごガイドシュー11又はおもりガイドシュー13の間隔と一致する場合には、かご1又はおもり2のガイドシュー11,13が、かごレール10又はおもりレール12における異常源を通過する際に発生した振動とみなせる。よって、この場合には、異常判定部705は、かごレール10又はおもりレール12に異常が有ると判断することができる。
【0051】
このように、実施の形態4におけるエレベーターの異常診断装置194においても実施の形態1におけるエレベーターの異常診断装置191が奏する上述した効果、つまり求めた特徴量に基づいてエレベーターの異常判別を行うことができ、エレベーターの異常部位の有無を精度よく診断することが可能となる、という効果を得ることができる。さらに実施の形態4におけるエレベーターの異常診断装置194では、かご1の上昇、下降区間の衝撃性振動の発生位置と波形とを比較して異常判定することから、異常部位の有無を精度よく診断できるという利点がある。
【0052】
実施の形態5.
上述の各実施の形態1〜4におけるエレベーター異常診断装置191〜194による異常診断では、巻上機6は、かご1に乗客が乗るときと同じ通常運転時の定格速度でエレベーターを駆動している。尚、実施の形態3では、かご1を緊急停止させるが、緊急停止前では定格速度での運転を行っている。
これに対して、
図9に示す本実施の形態5におけるエレベーター異常診断装置195は、かご−おもり系に、より大きな振動が発生する速度でエレベーターを駆動させる構成を採る。以下に詳しく説明する。
【0053】
図9は、実施の形態5におけるエレベーター異常診断装置195を備えたエレベーターの概略構造を示した図である。実施の形態1におけるエレベーター異常診断装置191を備えたエレベーターの概略構造との相違点は、診断部185及び巻上機制御部170である。診断部185は、検査前に暫定定格速度1106の信号を巻上機制御部170に出力する。巻上機制御部170は、巻上機6に接続され、暫定定格速度1106に基づいて検査前に巻上機6にかご運転速度の指令を出す。これらについては以下に詳しく説明するが、まず、かご運転速度(下記ではかご吊り車4の速度)と、かご−おもり系における振動との関係について説明する。
【0054】
実施の形態1で説明したように、エレベーターは、かご1の質量及びロープ定数等から定まる、かご−おもり系の共振周波数fを有する。
図10では、この共振周波数fを共振周波数1011と読み替えて、
図10は、共振周波数1011、共振周波数特性1012、加振力スペクトル1013、及び、かご振動スペクトル1014の関係を説明する図である。
ここで共振周波数特性1012は、かご−おもり系に加わった加振力と、かご−おもり系に発生した振動との、周波数領域における比であり、かご−おもり系に広帯域の加振であるインパルス加振を行ったときに、かご−おもり系に発生する振動の周波数スペクトルとして得ることができ、共振周波数1011にて最も振動の振幅が大きくなる特性を有する。
加振力スペクトル1013は、実施の形態1〜4に示した異常のいずれかが発生することで、かご−おもり系に加わる加振力の周波数スペクトルである。
かご振動スペクトル1014は、かご−おもり系に発生する振動の周波数スペクトルであり、共振周波数特性1012と加振力スペクトル1013とを乗算したものである。
【0055】
図11は、かご吊り車4の回転周波数1015を共振周波数1011に一致させるように、かご吊り車4の回転周波数1015を変化させることを説明する図である。かご吊り車4の回転周波数1015と共振周波数1011とが一致することで、かご−おもり系に発生する振動は著しく増大する。
実施の形態5におけるエレベーターの異常診断装置195は、かご吊り車4の回転周波数1015と共振周波数1011とを一致させ、かご−おもり系に発生する振動を増大させることで、信号対雑音比(S/N)を向上させ、かご吊り車4に異常があることを精度よく判定するよう構成したものである。
【0056】
図12を用いて、実施の形態5におけるエレベーター異常診断装置195について説明する。実施の形態1におけるエレベーターの異常診断装置191との相違部分である診断部185は、診断部181の構成から、特徴周波数導出部109に代えて特徴周波数導出部1101を設け、さらに定格速度変更部1102を新たに設けたものである。以下では実施の形態1との相違部分についてのみ説明する。
【0057】
特徴周波数導出部1101は、かご質量、おもり質量、及びロープばね定数から、かご−おもり系の共振周波数1011と、かご吊り車4の回転周波数1015とを算出し、特徴周波数1105としてフィルタ部111及び定格速度変更部1102に出力する。
【0058】
定格速度変更部1102は、特徴周波数1105であるかご−おもり系の共振周波数1011と、本実施形態において診断対象であるかご吊り車4の回転周波数1015とが合致する、かご1の暫定定格速度1106を算出し、巻上機制御部170に出力する。
【0059】
このとき、暫定定格速度1106は、以下の式で算出される。
暫定定格速度(m/分)=共振周波数×60×r1×π (13)
尚、既に説明したように、r1は、かご吊り車4の直径である。
【0060】
巻上機制御部170に暫定定格速度1106が入力された後、検査運転を行う。実施の形態1におけるエレベーターの異常診断装置191による検査運転との差異は、巻上機制御部170が暫定定格速度1106にてかご1を運転するよう巻上機6を制御することである。
図13は、実施の形態1における異常診断装置191による、かご1が定格速度Vで上昇を行った場合の加速度センサ信号102及び加速度積分信号301と、本実施の形態5における異常診断装置195による、かご1が定格速度Vよりも小さい速度である暫定定格速度1106で上昇を行った場合の加速度センサ信号121及び加速度積分信号305とを比較した図である。
【0061】
巻上機制御部170は、かご1の鉛直方向91における速度が加速度積分信号305に基づいた上昇を行うように巻上機6を制御する。既に実施の形態1にて、かご1が上昇を行った場合の加速度センサ信号102について説明した。よってここでは、
図13を参照して、かご1の上昇動作において、定格速度Vを暫定定格速度1106に変更したことに伴って発生する差異についてのみ、説明を行う。
即ち、かご1を定格速度Vで上昇させた際には、加速度センサ信号102が正の値となる時間は、t0からt1までの間である。一方、かご1を暫定定格速度1106で上昇させたときには、加速度センサ信号121の振幅は、定格速度Vで上昇した場合と等しいが、加速度センサ信号121が正の値となる時間は、t0からt1’の間であり、定格速度Vで上昇させた場合よりも短い時間となる。同様に、定格速度Vで上昇させたときに、加速度センサ信号102が負の値となる時間は、t2からt3までの間である。一方、暫定定格速度1106で上昇させたときに、加速度センサ信号121が負の値となる時間は、t2’からt3までの間であり、定格速度Vで上昇させた場合よりも短い時間となる。
【0062】
尚、
図13では、鉛直方向91の加速度センサ信号121が正もしくは負の値となる時間を通常の場合よりも短くし、かご1が定格速度Vより小さい速度である暫定定格速度1106で上昇した場合を説明しているが、エレベーターの動作に支障がない範囲内で、鉛直方向91の加速度センサ信号121が正もしくは負の値となる時間を通常の場合よりも長くし、かご1が定格速度Vよりも大きい速度である暫定定格速度1106で上昇するとしてもよい。
【0063】
なお、暫定定格速度1106について、式(13)を用いて算出する代わりに、nを2以上の自然数として、共振周波数1011と、かご吊り車4の回転周波数1015のn倍の周波数とを一致させるよう、以下の式で算出してもよい。
暫定定格速度(m/分)=共振周波数×60×r1×π÷n (14)
【0064】
また、以上の本実施の形態5の説明では、診断対象となる機器が滑車で、その内のかご吊り車4である場合を例として述べているが、実施の形態1にて記載しているその他の滑車についても同様に適用できることは言うまでもない。
【0065】
以上説明した動作により暫定定格速度1106が設定され、巻上機制御部170の制御により、巻上機6は、暫定定格速度1106にてエレベーターを駆動する。そして、実施の形態1で説明したように、暫定定格速度1106にて昇降するかご1に設けられた加速度センサ14からの信号に基づいてエレベーターの異常の有無が判断される。
【0066】
このように本実施の形態5におけるエレベーター異常診断装置195によれば、エレベーターを構成する各滑車の回転周波数による特徴周波数を、暫定定格速度1106に応じた周波数に変化させることができる。即ち、滑車の回転周波数による特徴周波数と、かご−おもり系の共振周波数とを一致させる速度を暫定定格速度1106とし、エレベーターの駆動速度を制御するようにしたことから、暫定定格速度1106でかご1を駆動させることでかご−おもり系に、より大きな振動を発生させることができる。よって、滑車に異常がある場合に、かご1の振動が著しく大きくなり、より高い精度でエレベーターの異常診断を行うことができる。
【0067】
実施の形態6.
本実施の形態6におけるエレベーター異常診断装置は、上述の実施の形態5のエレベーター異常診断装置195の変形例に相当する。即ち、実施の形態5のエレベーター異常診断装置195では、上述したように、暫定定格速度1106は、滑車の直径情報つまり機器情報を用いて算出により求めている。これに対して本実施の形態6におけるエレベーター異常診断装置は、暫定定格速度1106を得るに当たって、滑車の回転周波数から得られる特徴量を元に求めるように構成したものである。以下に詳しく説明する。
【0068】
図14に示すように、実施の形態5にて示した鉛直方向91の加速度センサ信号が正もしくは負の値となる時間においては、かご速度がゼロから定格速度Vまで連続的に変化し、また、かご吊り車4の回転周波数も連続的に変化する。かご吊り車4の回転周波数に基づく特徴量の大きさは、一般にかご速度の2乗に比例して増大する。
【0069】
本実施形態6においても、かご速度が定格速度Vより小さい値において、かご吊り車4の回転周波数と共振周波数1011が一致する速度を暫定定格速度1106と定める。実施の形態5で説明したように共振周波数1011においては、かご振動が増大するため、暫定定格速度1106の近傍においては、かご吊り車4の回転周波数に基づく特徴量の変化には、
図14に示すような不連続点1205が発生する。実施の形態6におけるエレベーター異常診断装置は、これを利用したもので、予め通常運転を行い、不連続点1205を検出し、検出した不連続点1205におけるかご速度を暫定定格速度1106とするよう構成したものである。以下に、実施の形態6におけるエレベーター異常診断装置の構成について説明する。
【0070】
図15には、実施の形態6におけるエレベーター異常診断装置196の構成を示す。実施の形態5におけるエレベーター異常診断装置195との相違点は、診断部186であり、上述の診断部185における特徴周波数導出部1101、定格速度変更部1102、及びフィルタ部111に代えて、特徴周波数特性導出部1201、定格速度変更部1202、及びフィルタ部1203を設けたものである。
【0071】
上述した、予め行う通常運転によって暫定定格速度1106を算出する動作について説明する。
特徴周波数特性導出部1201は、機器情報108に含まれるかご吊り車4の直径情報に基づいて、かご速度とかご吊り車4の回転周波数1015との関係を算出し、特徴周波数特性1206として定格速度変更部1202及びフィルタ部1203に出力する。
定格速度変更部1202は、特徴周波数特性1205からかご吊り車4の回転周波数に基づく特徴量を抽出し、さらに、この特徴量から上述の不連続点1205を検出し、不連続点1205が発生した時点のかご速度を暫定定格速度1106として設定する。ここでの不連続点1205の検出方法は、例えば、抽出した特徴量の時間変化率が一定値を超えたことを検出する方法を採るが、これに限定されず、その他既存の手法を用いることができる。
【0072】
以上の動作の後、検査運転時では、上述のように予め求めた暫定定格速度1106を巻上機制御部170へ出力する。よって、巻上機制御部170の制御により、巻上機6は、暫定定格速度1106にてエレベーターを駆動する。そして暫定定格速度1106にて昇降するかご1に設けられた加速度センサ14が送出する信号について、フィルタ部1203は、暫定定格速度1106におけるかご吊り車4の回転周波数1015を、特徴周波数特性導出部1201から供給される特徴周波数特性1206から抽出して特徴周波数とし、この特徴周波数のみを通過させるフィルタを適用して、上昇区間フィルタ信号112及び下降区間フィルタ信号113を得る。以後、実施の形態1で説明したように、異常判定部116にてエレベーターの異常の有無が判断される。
【0073】
このように、特徴周波数特性導出部1201及び定格速度変更部1202によって暫定定格速度1106を求めることでも、実施の形態5におけるエレベーターの異常診断装置195が奏する上述した効果を得ることができる。さらに、本実施の形態6におけるエレベーター異常診断装置は、暫定定格速度1106を得るに当たって、検証したい滑車の回転周波数から得られる特徴量を元に求めることができるという利点を有する。
【0074】
実施の形態7.
実施の形態1におけるエレベーター異常診断装置191では、かご1における乗客の質量を考慮せずに異常診断を行っている。これに対して、本実施の形態7では、乗客質量をも加味した状態で異常診断を行うものである。
図16を参照して説明する。実施の形態1において式(12)に示したように、エレベーターは、かご質量、ロープ定数等から定まるかご−おもり系の共振周波数1311を有し、実施の形態1や実施の形態5で説明したように共振周波数1311を中心とする共振周波数特性1312を有している。このとき、かご1内に乗客が存在する場合には、かご質量は乗客の質量を加算した質量であるとみなし、乗客の質量を加味したかご−おもり系の乗客有り共振周波数1316を算出することができる。つまり、乗客の質量をm3(kg)として、乗客有り共振周波数1316(=f)は、以下の式(15)となる。
【数2】
【0075】
式(15)の結果、乗客を加味した場合の乗客有り共振周波数特性1317は、乗客有り共振周波数1316にて最も振動が大きくなる特性を有する。乗客有り共振周波数1316が共振周波数1311より小さくなり、かつ共振周波数1311がかご吊り車4の回転周波数1315よりも大きいという大小関係にある場合、乗客有り共振周波数1316と加振力スペクトルである、かご吊り車4の回転周波数1315とが合致して、かご−おもり系に発生する振動が増大することがある。
【0076】
本実施の形態7のエレベーター異常診断装置は、乗客の質量を加味したときの、かご吊り車4の回転周波数1315と、乗客有り共振周波数1316とが一致したことを検出して、かご−おもり系に発生する振動を増大させて診断を行うようにしたことで、信号対雑音比(S/N)を向上させ、かご吊り車4に異常があることを精度よく判定するよう構成したものである。以下に、本実施の形態7のエレベーター異常診断装置の具体的な構成について説明する。
【0077】
図17は、実施の形態7における、エレベーターの異常診断装置197の構成を示した図である。実施の形態1におけるエレベーターの異常診断装置191との相違点は、診断部187であり、診断部187は、上述の診断部181における構成の内、特徴周波数導出部109に代えて、特徴周波数導出部1301を設け、乗客質量推定部1302及び周波数比較部1303を新たに設けたものである。以下では実施の形態1との相違部分についてのみ説明する。
【0078】
尚、実施の形態7におけるエレベーター異常診断装置197を備えたエレベーターの概略構造は、
図1に示す符号「191」を「197」に、「181」を「187」に変更した構成になる。
【0079】
乗客質量推定部1302は、乗客質量1304を推定し、それを特徴周波数導出部1301に出力する。乗客質量1304の推定は、かご1に備えられている秤により質量を直接測定する。あるいは、かご1に設置したカメラにより乗車人数を検出し、予め定める一人あたりの質量を乗算して推定するようにしてもよいし、乗客が乗り降りのためにドアを通過したことを検知する機構により、現在の乗車人数を推定し、予め定める一人あたりの質量を乗算して推定するようにしてもよい。
【0080】
特徴周波数導出部1301は、かご質量、おもり質量、ロープばね定数、及び乗客質量から乗客有り共振周波数1316、及び、乗客を加味したときのかご吊り車4の回転周波数1315を求め、特徴周波数110として周波数比較部1303に出力する。
【0081】
乗客有り共振周波数1316は、式(15)にて算出するほか、実施の形態3にて述べた緊急停止を、種々の質量のおもりをかご1に積載した状態で発生させ、乗客質量1304と乗客有り共振周波数1316との関係を特徴周波数導出部1301に予め記憶しておき、検査運転時に、入力された乗客質量1304に対応する乗客有り共振周波数1316を特徴周波数導出部1301から出力するようにしてもよい。
【0082】
周波数比較部1303は、入力された、乗客有り共振周波数1316と回転周波数1315とを比較し、比較結果が規定値以内の差分である場合には、正の周波数一致フラグ1305を異常判定部116に出力する。乗客有り共振周波数1316と、かご吊り車4の回転周波数1315とを比較する代わりに、乗客有り共振周波数1316と、かご吊り車4の回転周波数1315の任意の整数倍の周波数とを比較するようにしてもよい。
【0083】
異常判定部116は、周波数一致フラグ1305が正である場合には、特徴量抽出部114からの特徴量115が予め設定したしきい値未満ならば正常、しきい値以上ならば異常発生として判定結果117を出力する。周波数一致フラグ1305が正でない場合は、判定結果117を出力しない。
【0084】
このように、実施の形態7におけるエレベーターの異常診断装置197においても実施の形態1におけるエレベーターの異常診断装置191が奏するエレベーターの異常部位の有無を精度よく診断することが可能である。さらに、本実施の形態7のエレベーターの異常診断装置197では、乗客が乗車したときの共振周波数を求めることができ、さらに求めた共振周波数と、滑車の回転周波数とが一致したときに異常の有無を判定することから、滑車に異常がある場合には、かご振動が著しく大きくなり、より高い精度でエレベーターの異常診断を行うことができる。
【0085】
この実施の形態7でも、滑車が、かご吊り車4である場合を例に説明しているが、実施の形態1に記載しているその他の滑車についても同様に適用できることは言うまでもない。
【0086】
また、実施の形態7において、人感センサ等、かご1内の乗客の動きを検知する機構を設け、乗客が動くことで発生した振動に対しては判定結果117を出力しないようにしてもよい。
【0087】
以上説明した実施の形態1から7を任意に組み合わせた構成を採ることもでき、そのような構成では、実施の形態1から7の効果を組み合わせた効果が得られる。
また、実施の形態1から7において、特徴周波数110等の各種値は、算出して求める形態を例示しているが、求め方は、算出方法に限定するものではなく、例えば予め作成したテーブルを参照する等、既知の導出方法を採ることができることは言うまでもない。