特許第5794953号(P5794953)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794953
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   G03G21/00 328
【請求項の数】4
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-139769(P2012-139769)
(22)【出願日】2012年6月21日
(65)【公開番号】特開2014-6283(P2014-6283A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2014年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】保母 純平
【審査官】 齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−093700(JP,A)
【文献】 特開2003−295694(JP,A)
【文献】 特開2003−005601(JP,A)
【文献】 特開2004−287075(JP,A)
【文献】 特開2009−003320(JP,A)
【文献】 特開平09−090767(JP,A)
【文献】 特開昭63−132274(JP,A)
【文献】 米国特許第04264191(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電潜像が形成される像担持体にキャリア液及び着色粒子を有する液体現像剤を供給する液体現像装置と、
回転可能な被クリーニング体と、
先端部が前記被クリーニング体の表面に当接するせき止め部材と、
前記被クリーニング体の表面上にとどまるように配置され、前記被クリーニング体の表面を研磨する複数の球体であって、前記被クリーニング体が回転することにより前記せき止め部材にせき止められて前記被クリーニング体の表面に向かうように移動され、液体現像剤に含まれる着色粒子の粒子径よりも直径が大きく且つセラミックス材料からなる複数の球体と、
前記被クリーニング体の表面から所定距離離間して前記被クリーニング体の表面に対向して配置され、液体現像剤を通過させ且つ前記複数の球体を通過させないメッシュ状部分を有し、前記複数の球体における前記被クリーニング体から離れる方向への移動を規制する規制部材と、を備え、
前記せき止め部材は、前記被クリーニング体と前記せき止め部材との当接部分の上方側に前記複数の球体を配置可能な空間を形成するように配置され
前記せき止め部材は、該せき止め部材の後端部から先端部に向かう方向と前記被クリーニング体の回転方向とが対向するカウンター状態になるように配置され、
前記規制部材は、前記せき止め部材に取り付けられ、前記せき止め部材から前記被クリーニング体の回転方向の上流側に向かうように延びる
画像形成装置。
【請求項2】
前記被クリーニング体は、前記像担持体である
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の球体の直径は、0.2〜0.6mmである
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の球体は、ジルコニアからなる
請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー機やプリンター等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー機やプリンター等の画像形成装置として、トナー画像を担持可能な像担持体(被クリーニング体)と、像担持体にキャリア液及びトナー粒子(着色粒子)を含む液体現像剤を供給可能な現像装置とを備える画像形成装置が存在する。このような画像形成装置においては、像担持体の表面に形成された静電潜像を現像装置から供給される現像剤により現像することで、像担持体の表面にトナー画像を担持させている。
このような画像形成装置を長期にわたって使用する場合には、像担持体の表面にトナー粒子や酸化生成物等の異物(フィルミング成分)が付着してしまうことがある。そして、像担持体の表面に異物が付着して残存することにより、像担持体の表面の電位が不安定となり、画像形成装置により形成される画像の特性が低下してしまうという問題があった。
【0003】
そこで、像担持体に当接すると共にこの像担持体の表面を磨く研磨装置を備えることにより画像の特性の低下を防ぐ画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の画像形成装置の研磨装置は、樹脂発泡体により構成された弾性ローラーと、弾性ローラーの表面に積層されモース硬度3〜6の研磨剤粒子を含む研磨層と、を備えている。
【0004】
特許文献1に記載された画像形成装置によれば、モース硬度3〜6の研磨剤粒子により、像担持体の表面を傷つけることなく像担持体の表面を適度に磨けるので、長期間にわたって好適な画像特性を得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−229687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1で提案された画像形成装置は、弾性ローラーが樹脂発泡体により構成され、弾性ローラーの表面に研磨剤粒子を含む研磨層を形成する構成であるため、構成が複雑となりやすい。
【0007】
本発明は、簡易な構成で、被クリーニング体の表面を傷つけることを抑制しつつ、被クリーニング体の表面を十分に研磨することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、表面に静電潜像が形成される像担持体にキャリア液及び着色粒子を有する液体現像剤を供給する液体現像装置と、回転可能な被クリーニング体と、先端部が前記被クリーニング体の表面に当接するせき止め部材と、前記被クリーニング体の表面上にとどまるように配置され、前記被クリーニング体の表面を研磨する複数の球体であって、前記被クリーニング体が回転することにより前記せき止め部材にせき止められて前記被クリーニング体の表面に向かうように移動され、液体現像剤に含まれる着色粒子の粒子径よりも直径が大きく且つセラミックス材料からなる複数の球体と、を備え、前記せき止め部材は、前記被クリーニング体と前記せき止め部材との当接部分の上方側に前記複数の球体を配置可能な空間を形成するように配置される画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な構成で、被クリーニング体の表面を傷つけることを抑制しつつ、被クリーニング体の表面を十分に研磨することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態における画像形成装置としてのカラープリンター1の各構成要素を説明するための全体図である。
図2図1に示すカラープリンター1における液体現像剤循環装置LYの構成を模式的に示す図である。
図3図1に示すカラープリンター1における液体現像装置9b、感光体ドラム10b、ドラム用クリーニングブレード27b及びメッシュ状規制部材29bの構成を模式的に示す正面図である。
図4図3に示すカラープリンター1おける感光体ドラム10b、ドラム用クリーニングブレード27b、メッシュ状規制部材29b及び研磨球体301の構成を説明するための断面図である。
図5】第2実施形態のカラープリンター1Aにおける感光体ドラム10b、せき止めブレード37b、上流側ドラム用クリーニングブレード38b及び研磨球体301の構成を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
図1により、本発明の第1実施形態における画像形成装置としてのカラープリンター1における全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態における画像形成装置としてのカラープリンター1の各構成要素を説明するための全体図である。
第1実施形態の画像形成装置は、図1に示すように、表面に静電潜像が形成される被クリーニング体としての感光体ドラム10a、10b、10c、10d(像担持体)と、感光体ドラム10a、10b、10c、10dに液体現像剤を供給する液体現像装置9a、9b、9c、9dと、を備える湿式画像形成装置としてのカラープリンター1である。
【0012】
先ず、図1を参照しながら、カラープリンター1の全体構成について説明する。図1は、カラープリンター1の各構成要素を説明するための全体図である。
図1に示すように、カラープリンター1は、画像形成部2と、用紙収納部3と、二次転写部4と、定着部5と、用紙搬送部6と、排紙部7と、を備える。
【0013】
画像形成部2は、画像データに基づいてトナー画像を形成するタンデム式のものである。この画像形成部2は、中間転写ベルト21と、クリーニング部22と、複数の画像形成ユニットFB、FY、FC、FMとを備える。画像形成部2は、外部機器(例えば、PC(Personal computer)等)から入力された画像データに基づいて、トナー画像を形成する。画像形成部2の詳細については後述する。
【0014】
用紙収納部3は、被転写材の一例である用紙Tを収容する。用紙収納部3は、カラープリンター1における垂直方向下部に配置される。用紙収納部3は、用紙Tを収納する給紙カセット31と、用紙Tを後述する用紙搬送部6に供給する給紙ローラー32と、複数の用紙Tが重なった状態で用紙搬送部6に供給されることを抑制する分離ローラー対33とを有する。
【0015】
二次転写部4は、画像形成部2で形成されたトナー画像を用紙T上(表面)に転写する。二次転写部4は、画像形成部2を構成する中間転写ベルト21を駆動する駆動ローラー41と、二次転写ローラー42とを有する。二次転写ローラー42は、中間転写ベルト21を間に挟んで駆動ローラー41に向けて押圧されて配置される。二次転写部4は、中間転写ベルト21上(表面)に形成されたトナー画像を用紙Tに転写する。二次転写部4は、一次転写ローラー20a、20b、20c、20dと共に、トナー画像を用紙Tに転写する転写装置を構成する。
【0016】
定着部5は、用紙Tに転写されたトナー画像を用紙T上(表面)に定着させる。定着部5は、加熱ローラー51と、加圧ローラー52とを有する。加圧ローラー52は、加熱ローラー51に対向すると共に、加熱ローラー51を押圧するように配置される。定着部5は、二次転写部4により転写されたトナー画像を用紙Tに定着させる部分(装置)である。定着部5は、二次転写部4よりも用紙Tの搬送方向において下流側に配置される。
【0017】
用紙搬送部6は、用紙Tを用紙収納部3から排紙部7まで搬送する。用紙搬送部6は、(複数の)搬送ローラー対74と、レジストローラー対75とを備える。用紙搬送部6は、用紙収納部3から供給された用紙Tを二次転写部4及び定着部5を介して排紙部7に搬送する部分である。なお、図1においては、一対の搬送ローラー対74のみが図示され、他の搬送ローラー対は表示が省略されている。
【0018】
排紙部7は、用紙搬送部6により搬送された用紙Tを排紙(排出)する。排紙部7は、(複数の)排出ローラー対71と、カラープリンター1における上面に設けられた排出トレイ72とを有する。排紙部7は、二次転写部4によりトナー画像が転写され、定着部5によりトナー画像が一方又は両方の面に定着された用紙Tが排出される部分である。なお、図1においては、一対の排出ローラー対71のみが図示され、他の排出ローラー対は表示が省略されている。
【0019】
次に、画像形成部2の詳細について説明する。上述したように、画像形成部2は、中間転写ベルト21と、クリーニング部22と、複数の画像形成ユニットFB、FY、FC、FMとを備える。
【0020】
中間転写ベルト21は、導電性を有する無端状のベルト部材である。
中間転写ベルト21は、カラープリンター1において使用可能な最も大きな用紙の幅より幅広である。ここで、「幅」とは、用紙搬送方向に垂直な方向の長さをいう。
中間転写ベルト21は、それぞれ所定位置に配置される駆動ローラー41と従動ローラー23とテンションローラー24とに張架されて配置される(架けわたされて配置される)。
中間転写ベルト21は、図1の矢印で示すように、時計回り(図1において)に循環駆動される。具体的には、中間転写ベルト21は、駆動モータ(不図示)から伝達された回転駆動力により回転された駆動ローラー41により、矢印方向(環方向)に回転駆動される。また、回転駆動された中間転写ベルト21により、従動ローラー23及びテンションローラー24それぞれは、従動回転される。なお、中間転写ベルト21は、テンションローラー24により弛まないように適切な張力を付与された状態で回転駆動される。
以下、中間転写ベルト21の外側を向く面を表面とし、他方の面を裏面とする。
【0021】
クリーニング部22は、クリーニングローラー22aと、クリーニングブレード22bとを有する。クリーニング部22は、中間転写ベルト21のクリーニングを行う。
【0022】
画像形成ユニットFB、FY、FC、FMは、それぞれ、中間転写ベルト21の近傍に配置される。画像形成ユニットFB、FY、FC、FMは、水平方向に並んで配置される。画像形成ユニットFB、FY、FC、FMは、水平方向においてクリーニング部22と二次転写部4との間に並んで配置される。画像形成ユニットFB、FY、FC、FMは、図1において、左からFB、FY、FC、FMの順序で並んで配置される。
画像形成ユニットFB、FY、FM、FCは、それぞれ、ブラック(Bk)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の各色に対応したユニットである。
尚、画像形成ユニットFB、FY、FC、FMの配置順序は、上述の限りではないが、各色の混色による画像(用紙T上に転写された画像)への影響を配慮すると、上述の配置順序が好ましい。
【0023】
また、画像形成ユニットFB、FY、FC、FMそれぞれに対応して、トナータンクTB、TY、TC、TMを含んで構成される液体現像剤循環装置LB、LY、LC、LMや、メインキャリアタンクMTが設けられる。これらは、各色の液体現像剤における供給及び回収に利用される。
【0024】
画像形成ユニットFB、FY、FC、FMそれぞれは、液体現像装置9a、9b、9c、9dと、像担持体としての感光体ドラム10a、10b、10c、10dと、帯電装置11a、11b、11c、11dと、露光装置12a、12b、12c、12dと、一次転写ローラー20a、20b、20c、20dと、クリーニング装置26a、26b、26c、26dと、除電装置13a、13b、13c、13dと、を備える。
【0025】
感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれは、円柱形状を有し、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナー画像を担持可能に構成される。
感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれは、図1において反時計回りに回転可能に配置される。感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれには、液体現像装置9a、9b、9c、9dそれぞれにより、キャリア液及びトナー粒子(着色粒子)を有する液体現像剤が供給される。
【0026】
帯電装置11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面を所定の極性及び電位に一様に帯電させる装置である。
【0027】
露光装置12a、12b、12c、12dそれぞれは、図示しない光源部(例えば、LED(Light―Emitting Diode)等)を有する。露光装置12a、12b、12c、12dそれぞれは、外部機器(例えば、PC等)から入力される画像データに基づいて、所定の極性及び電位に一様に帯電された感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に光を照射する。これにより、露光部分の電荷が除去されて、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面には、静電潜像が形成される。
【0028】
液体現像装置9a、9b、9c、9dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に形成された静電潜像に対向するように配置され、トナー及びキャリア液を含む液体現像剤GB、GY、GC、GMを保持する。また、液体現像装置9a、9b、9c、9dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれに液体現像剤GB、GY、GC、GMを供給する。これにより、液体現像装置9a、9b、9c、9dそれぞれは、静電潜像に各色のトナーを付着させ、静電潜像をトナー画像として現像させる。
液体現像装置9a、9b、9c、9d及び感光体ドラム10a、10b、10c、10dについては、後に詳細に説明する。
【0029】
一次転写ローラー20a、20b、20c、20dそれぞれは、中間転写ベルト21の裏面側に感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれに対応して配置される。一次転写ローラー20a、20b、20c、20dそれぞれは、中間転写ベルト21を挟んで感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれと対向して配置される。
【0030】
一次転写ローラー20a、20b、20c、20dそれぞれには、図示しない電源によりトナー画像を構成するトナーとは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧が印加される。つまり、一次転写ローラー20a、20b、20c、20dそれぞれは、中間転写ベルト21と接触している位置において中間転写ベルト21に対してトナーと逆極性の電圧を印加する。中間転写ベルト21は導電性を有するため、この印加電圧によって、中間転写ベルト21の表面側及びその周辺にトナーが引きつけられる。
【0031】
クリーニング装置26a、26b、26c、26dそれぞれは、せき止め部材としてのドラム用クリーニングブレード27a、27b、27c、27dと、搬送スクリュー28a、28b、28c、28dと、規制部材としてのメッシュ状規制部材29a、29b、29c、29dと、複数の球体としての研磨球体301(図4参照)と、を備える。クリーニング装置26a、26b、26c、26dそれぞれは、中間転写ベルト21に転写されずに感光体ドラム10a、10b、10c、10dに残留した液体現像剤を除去するための装置である。
【0032】
ドラム用クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの回転軸方向に延びる板状の部材である。ドラム用クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれは、先端部274(図4参照)が感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に当接(摺接)して配置される。
【0033】
ドラム用クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの回転に伴って感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に残留した液体現像剤を掻き落とすための部材である。また、ドラム用クリーニングブレード27a、27b、27c、27dは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dの表面上にとどまるように配置された後述する複数の研磨球体301(図4参照)をせき止める部材でもある。
ドラム用クリーニングブレード27a、27b、27c、27d、複数の研磨球体301の詳細については後述する。
【0034】
搬送スクリュー28a、28b、28c、28dそれぞれは、クリーニング装置26a、26b、26c、26dそれぞれの内部に配置される。搬送スクリュー28a、28b、28c、28dそれぞれは、ドラム用クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれによって掻き取られ、クリーニング装置26a、26b、26c、26dそれぞれの内部に収容された液体現像剤を第1回収容器81a、81b(図2参照)、81c、81dそれぞれに搬送する。また、搬送スクリュー28a、28b、28c、28dそれぞれは、後述する複数の球体としての研磨球体301により感光体ドラム10a、10b、10c、10dの表面から削り取ったトナー粒子や酸化生成物等の異物(フィルミング成分)を第1回収容器81a、81b(図2参照)、81c、81dそれぞれに搬送する。
【0035】
メッシュ状規制部材29a、29b、29c、29dそれぞれは、ドラム用クリーニングブレード27a、27b、27c、27dに取り付けられる。ドラム用クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれは、複数の研磨球体301の感光体ドラム10a、10b、10c、10dから離れる方向への移動を規制する。メッシュ状規制部材29a、29b、29c、29dの詳細については後述する。
【0036】
除電装置13a、13b、13c、13dそれぞれは、除電用の光源(不図示)を有する。除電装置13a、13b、13c、13dそれぞれは、光源からの光によって感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面を除電処理する。除電装置13a、13b、13c、13dそれぞれは、ドラム用クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれによって感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面から液体現像剤が除去された部分に対して除電処理をする。
【0037】
次いで、図2及び図3により、液体現像装置9a、9b、9c、9d及び液体現像剤循環装置LB、LY、LC、LMの詳細について説明する。
図2は、図1に示すカラープリンター1における液体現像剤循環装置LYの構成を模式的に示す図である。図3は、図1に示すカラープリンター1における液体現像装置9b、感光体ドラム10b、ドラム用クリーニングブレード27b及びメッシュ状規制部材29bの構成を模式的に示す正面図である。
まず、液体現像装置9a、9b、9c、9dについて説明する。尚、ここでは、液体現像装置9bについて詳細に説明し、同様の構成である他の液体現像装置9a、9c、9dについては説明を省略する。
【0038】
図2及び図3に示すように、液体現像装置9bは、感光体ドラム10bに液体現像剤を供給するための装置である。液体現像装置9bは、現像ローラー91bと、現像剤供給ローラー92bと、支持ローラー93bと、現像剤供給装置94bと、現像容器95bと、現像ローラークリーニング装置96bと、帯電装置97bと、を備える。
【0039】
現像ローラー91bは、感光体ドラム10bに対向して配置される円筒状の部材である。現像ローラー91bは、外面側に配置され表面を構成する弾性部を有する。現像ローラー91bは、図3において、回転軸C1を中心に矢印方向(時計回り)に回転可能に配置される。
現像ローラー91bは、感光体ドラム10bに対して所定の圧力で当接するよう配置される。これにより、感光体ドラム10bと現像ローラー91bとの当接部分には、ニップ部NCが形成される。
現像ローラー91bにおける表面には、液体現像剤により構成される現像剤膜が形成される。
【0040】
現像剤供給ローラー92bは、現像ローラー91bに当接して対向配置される。
現像剤供給ローラー92bは、現像ローラー91bにおける垂直方向下側に配置される。また、現像剤供給ローラー92bは、回転軸C2が現像ローラー91bの回転軸C1に対して水平方向にずれるように配置される。また、現像剤供給ローラー92bは、現像ローラー91bと支持ローラー93bとの間に配置される。
【0041】
現像剤供給ローラー92bは、液体現像剤を現像ローラー91bに供給するローラー部材である。
現像剤供給ローラー92bは、いわゆるアニロックスローラーと呼ばれる部材としての役割を有しており、表面に螺旋溝が形成されている。螺旋溝には液体現像剤が流れ込み、現像剤供給ローラー92bは、表面に液体現像剤を保持可能に構成される。ここで、現像剤供給ローラー92b上(表面)に保持された液体現像剤は、現像剤供給ローラー92bの回転に伴って軸方向における一端側(図3において紙面手前側)から他端側(図3において紙面奥側)に搬送される。
【0042】
現像剤供給ローラー92bの近傍には、先端が現像剤供給ローラー92bの表面に当接するように供給ローラーブレード部材921bが配置される。供給ローラーブレード部材921bは、現像剤供給ローラー92b上の液体現像剤における層の厚さを規制する。
【0043】
現像剤供給ローラー92bは、図3において、現像ローラー91bに当接して回転軸C1と平行な回転軸C2を中心に矢印方向(時計回り)に回転配置される。
つまり、現像ローラー91bと現像剤供給ローラー92bとが当接するニップ部NAでは、現像ローラー91bの表面は、現像剤供給ローラー92bの表面と逆方向に移動する。これにより、現像剤供給ローラー92bの表面に保持された液体現像剤が現像ローラー91bの表面に受け渡される。ここで、供給ローラーブレード部材921bにより現像剤供給ローラー92bの液体現像剤における層厚が所定値に規制されるので、現像ローラー91bの表面に形成される液体現像剤層の層厚も所定範囲の厚さに保たれる。
【0044】
支持ローラー93bは、現像剤供給ローラー92bに当接して対向配置される。支持ローラー93bは、現像剤供給ローラー92bにおける垂直方向下側に配置される。また、支持ローラー93bは、回転軸C3が現像剤供給ローラー92bの回転軸C2に対して水平方向にずれるように配置される。
【0045】
支持ローラー93bは、現像剤供給ローラー92bと当接するニップ部NBの近傍で液体現像剤を支持可能である。支持ローラー93bは、回転軸C3が現像剤供給ローラー92bの回転軸C2に対して水平方向にずれるように配置されることで、ニップ部NB近傍に液体現像剤が貯留しやすくさせる。
【0046】
支持ローラー93bは、図3において矢印方向(反時計回り)に回転される。
支持ローラー93bは、現像剤供給ローラー92bに当接して回転軸C1と平行な回転軸C3を中心に回転可能に配置される。つまり、現像剤供給ローラー92bと支持ローラー93bとが当接するニップ部NBでは、現像剤供給ローラー92bの表面は、支持ローラー93bの表面と同方向に移動する。これにより、ニップ部NBに貯留された液体現像剤は、現像剤供給ローラー92bに供給されやすくなる。
【0047】
現像剤供給装置94bは、濃度調整された液体現像剤を現像剤供給ローラー92bと支持ローラー93bとのニップ部NBの近傍に供給するための装置である。
現像剤供給装置94bは、液体現像剤を送液するポンプP4bと、複数の現像剤供給ノズル941bと、分配部942bと、を備える。
【0048】
ポンプP4bは、流路R7bを介して分配部942bに向けて液体現像剤を送液する。ポンプP4bは、現像剤供給ノズル941bにより液体現像装置9b内に供給される液体現像剤の量(送液量、供給量)を調整可能である。
【0049】
分配部942bは、複数の現像剤供給ノズル941bに接続されると共に、ポンプP4bによって流路R7bを介して送液された液体現像剤を複数の現像剤供給ノズル941bそれぞれに分配する。
【0050】
現像剤供給ノズル941bの基端側は、液体現像剤循環装置LYのリザーブタンク87bに流路R7b及び分配部942bを介して接続され、リザーブタンク87bから液体現像剤の供給を受ける(図2参照)。
複数の現像剤供給ノズル941bは、現像剤供給ローラー92bの回転軸C3の軸方向に等間隔に配置される。
複数の現像剤供給ノズル941bそれぞれの先端側は、支持ローラー93bのうち現像剤供給ローラー92bと支持ローラー93bとのニップ部NB近傍に位置し、このニップ部NB近傍に向けて液体現像剤を供給可能である。
【0051】
現像容器95bは、支持ローラー93bと、現像剤供給ローラー92bと、現像剤供給装置94b(一部)と、現像ローラー91bと、現像ローラークリーニング装置96bと、帯電装置97bと、供給ローラーブレード部材921bとを支持しており、内部に液体現像剤を収容可能な容器である。また、現像容器95bには、支持ローラー93bの外周面に沿うように窪んだ凹部951bが形成される。現像容器95bの凹部951bの底部のうち軸方向下流側の端部には、液体現像剤を排出可能な排出部952b(図2参照)が形成される。排出部952bは、後述する流路R2bによって液体現像剤循環装置LYの第2回収容器83bに接続される。
【0052】
現像剤供給ローラー92bと支持ローラー93bとのニップ部NB近傍(被供給領域)に供給された液体現像剤の余剰分は、支持ローラー93bから垂直方向における下方へ落下し、現像容器95bの底部において貯留される。貯留された液体現像剤は、流路R2bを通して液体現像剤循環装置LYの第2回収容器83bに回収される。
【0053】
現像ローラークリーニング装置96bは、現像剤回収ローラー963bと、回収ローラー掻き取りブレード964bと、掻き取りブレード961bと、現像剤回収部962bと、排出部材965bとを備える。現像ローラークリーニング装置96bは、現像容器95bに支持されて配置される。現像ローラークリーニング装置96bは、感光体ドラム10bに供給されずに現像ローラー91bの表面に残留した液体現像剤をクリーニングする装置である。
【0054】
現像剤回収ローラー963bは、現像ローラー91bに当接して対向配置される。現像剤回収ローラー963bは、現像ローラー91bに残存した液体現像剤を回収する部材である。
回収ローラー掻き取りブレード964bは、現像剤回収ローラー963bに付着した液体現像剤を掻き取る部材であって、先端が現像剤回収ローラー963bに接触して配置される。
【0055】
掻き取りブレード961bは、現像剤回収ローラー963bに対して現像ローラー91bにおける回転方向下流側の所定位置に対向配置される板状の部材である。掻き取りブレード961bは、先端が現像ローラー91bに接触するように配置される。掻き取りブレード961bは、現像ローラー91b上(表面)の液体現像剤を掻き取るための部材である。掻き取りブレード961bは、現像剤回収ローラー963bで回収されなかった液体現像剤を掻き取るための部材である。
【0056】
現像剤回収部962bは、掻き取りブレード961bにより掻き取られた液体現像剤を回収する内部空間を有する。現像剤回収部962bにおける内部空間は、流路R1b(図2参照)及び流路R2bにより第2回収容器83bと接続される。
【0057】
排出部材965bは、現像剤回収部962bに回収された液体現像剤を第2回収容器83bに接続された流路R1b側に搬送するスクリュー状の部材である(図2参照)。
【0058】
帯電装置97bは、現像ローラー91bの近傍に配置される。帯電装置97bは、現像ローラー91bに対向して配置される。帯電装置97bは、現像ローラー91bの回転方向において、現像ローラー91bと感光体ドラム10bとのニップ部NCよりも上流側であって、現像ローラー91bと現像剤供給ローラー92bとのニップ部NA分より下流側の部分に対向して配置される。帯電装置97bは、現像ローラー91bの回転方向において、ニップ部NAとニップ部NCとの間に現像ローラー91bと対向して配置される。
【0059】
帯電装置97bは、現像ローラー91b上(表面)に形成された現像剤膜を構成する液体現像剤に電荷を付与(電圧を印可)する。帯電装置97bは、例えば、コロナ放電により、現像剤膜を構成する液体現像剤に電荷を付与する。
帯電装置97bは、液体現像装置9bにおける現像効率を向上させる。
【0060】
続けて、液体現像剤循環装置LYについて説明する。ここで、液体現像剤循環装置LYについて詳細に説明し、同様の構成である他の液体現像剤循環装置LB、LM、LCについては説明を省略する。
【0061】
図2に示すように、液体現像剤循環装置LYは、第1回収容器81bと、分離抽出装置82と、第2回収容器83bと、調整容器84bと、トナータンクTYと、キャリアタンクCYと、リザーブタンク87bとを備える。液体現像剤循環装置LYは、画像形成に使用されなかった液体現像剤を再び利用するための装置である。
【0062】
第1回収容器81bは、感光体ドラム10b上(表面)に残留した液体現像剤を回収するための容器である。
【0063】
分離抽出装置82は、第1回収容器81bの液体現像剤をトナーとキャリア液とに分離するための装置である。分離抽出装置82は、流路R8bを介して第1回収容器81bと接続される。流路R8bには、ポンプP6bが設けられる。第1回収容器81b内の液体現像剤は、ポンプP6b及び流路R8bにより分離抽出装置82に送られる。
【0064】
また、分離抽出装置82は、流路R9bを介してキャリアタンクCYと接続される。流路R9bには、ポンプP7bが設けられる。分離抽出装置82において分離・抽出されたキャリア液は、ポンプP7b及び流路R9bによりキャリアタンクCYに送られる。
【0065】
第2回収容器83bは、液体現像装置9bにおいて画像形成に使用されずに残留した液体現像剤を回収する容器である。第2回収容器83bは、流路R1b及び流路R2bを介して、液体現像装置9bの現像ローラークリーニング装置96b及び現像容器95bの排出部952bと接続される。
【0066】
流路R1bは、現像ローラークリーニング装置96bと流路R2bとをつなぐように形成される。流路R1bは、流路R2bと合流する。流路R1bは、現像ローラークリーニング装置96bで回収された液体現像剤を流路R2bとの合流部に向けて送る。
流路R2bは、現像容器95bの排出部952bと第2回収容器83bとをつなぐように形成される。流路R2bには、流路R1bが合流する。流路R2bは、現像容器95bの底部に貯留された液体現像剤を第2回収容器83bに送ると共に、現像ローラークリーニング装置96bにより回収された液体現像剤であって合流部を介して流路R2bに送られた液体現像剤を第2回収容器83bに送る。
【0067】
調整容器84bは、液体現像剤のトナー濃度を所定値に調整するための容器である。調整容器84bは、流路R3bを介して第2回収容器83bと接続される。流路R3bには、ポンプP1bが設けられる。第2回収容器83b内の液体現像剤は、ポンプP1b及び流路R3bにより調整容器84bに送られる。
【0068】
トナータンクTYは、液体現像装置9bで用いられる液体現像剤よりトナー濃度が高い液体現像剤を収容する。このトナー濃度の高い液体現像剤は、調整容器84b内のトナー濃度を上げるために用いられる。トナータンクTYは、流路R5bを介して調整容器84bと接続される。流路R5bには、ポンプP5bが設けられる。トナータンクTYに収容されるトナー濃度が高い液体現像剤は、ポンプP5b及び流路R5bにより調整容器84bへ送られる。
【0069】
キャリアタンクCYは、キャリア液を収容する。キャリア液は、調整容器84b内のトナー濃度を下げるために用いられる。また、キャリアタンクCYは、流路R4bを介して調整容器84bと接続される。流路R4bには、ポンプP2bが設けられる。キャリア液は、ポンプP2b及び流路R4bにより調整容器84bへ送られる。なお、キャリアタンクCYと同様のキャリアタンクが他の液体現像剤循環装置LM、LC、LB(図1参照)にも、それぞれ設けられている。これらのキャリアタンクは、各色共通のメインキャリアタンクMT(図1参照)からキャリア液の供給を受ける。
【0070】
リザーブタンク87bは、液体現像装置9bに補給される液体現像剤を収容する。
リザーブタンク87bは、流路R6bを介して調整容器84bと接続される。流路R6bには、ポンプP3bが設けられる。調整容器84bに収容される液体現像剤は、ポンプP3b及び流路R6bによりリザーブタンク87bへ送られる。
【0071】
また、リザーブタンク87bは、流路R10bを介してトナータンクTYと接続される。流路R10bには、ポンプP8bが設けられる。トナータンクTYに収容されるトナー濃度が高い液体現像剤は、ポンプP8b及び流路R10bによりリザーブタンク87bへ送られる。流路R10bからトナー濃度が高い液体現像剤が供給されることで、リザーブタンク87bに収容される液体現像剤のトナー濃度を短時間で高くすることができる。
【0072】
また、リザーブタンク87bは、流路R11bを介してキャリアタンクCYと接続される。流路R11bには、ポンプP9bが設けられる。キャリアタンクCYに収容されるキャリア液は、ポンプP9b及び流路R11bによりリザーブタンク87bへ送られる。流路R11bからキャリア液が供給されることで、リザーブタンク87bに収容される液体現像剤のトナー濃度を短時間で低くすることができる。
【0073】
また、リザーブタンク87bは、流路R7bを介して現像剤供給ノズル941bと接続される。流路R7bには、ポンプP4bが設けられる。リザーブタンク87bに収容された液体現像剤は、ポンプP4b及び流路R7bにより現像剤供給ノズル941bに送られる。そして、現像剤供給ノズル941bに送られた液体現像剤は、ニップ部NBに向けて供給される。
【0074】
次いで、本実施形態における感光体ドラム10a、10b、10c、10d、ドラム用クリーニングブレード27a、27b、27c、27d、メッシュ状規制部材29a、29b、29c、29d及び複数の球体301の詳細について、図3及び図4を参照しながら説明する。図4は、図3に示すカラープリンター1おける感光体ドラム10b、ドラム用クリーニングブレード27b、メッシュ状規制部材29b及び研磨球体301の構成を説明するための断面図である。
【0075】
まず、感光体ドラム10bについて説明する。感光体ドラム10bは、アモルファスシリコン感光体ドラムである。尚、ここでは、液体現像装置9bに対応する感光体ドラム10bについて詳細に説明し、同様の構成である他の感光体ドラム10a、10c、10dについては説明を省略する。
図3に示すように、感光体ドラム10bは、コアとしての導電性基板101と、導電性基板101の外面に位置するキャリア注入阻止層102と、キャリア注入阻止層102の外面に位置する光導電層103と、光導電層103の外面に位置する表面層104と、を備える。
【0076】
導電性基板101を構成する材料としては、アルミニウム(Al)、SUS(ステンレススチール)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、錫(Sn)、金(Au)、銀(Ag)等の金属材料やそれらの合金材料等が挙げられる。
【0077】
キャリア注入阻止層102は、アモルファスシリコン系材料(a−Si系材料)を母材にして、それに、H(水素原子)やF(フッ素原子)を含有させ、更に周期律表第III族、第IV族、第V族のうち少なくとも1種の元素を含有させて構成することが好ましい。
【0078】
アモルファスシリコン系材料からなる光導電層103としては、アモルファス状態を略してa−と表示した場合、例えば、a−SiC、a−SiCN、a−SiNO、a−SiCO、a−SiN、a−Si、a−C、a−CN、a−SiO等から構成していることが好ましい。
【0079】
表面層104は、アモルファス状態の珪素(Si)及び/又は炭素(C)の原子から構成すると共に、酸素(O)又は窒素(N)のうち少なくとも1種の原子と、水素(H)又はフッ素(F)のうち少なくとも1種の原子とを含有することが好ましい。
【0080】
次いで、ドラム用クリーニングブレード27b、メッシュ状規制部材29b及び複数の研磨球体301について、図4を参照して、更に詳しく説明する。尚、ここでは、感光体ドラム10bに接触し且つ感光体ドラム10bから液体現像剤を掻き落とすドラム用クリーニングブレード27b、及び、ドラム用クリーニングブレード27bに取り付けられるメッシュ状規制部材29bについて詳細に説明し、同様の構成である他のドラム用クリーニングブレード27a、27c、27d、及び、メッシュ状規制部材29a、29c、29dについては説明を省略する。
【0081】
ドラム用クリーニングブレード27bは、感光体ドラム10bの表面に残留した液体現像剤を掻き落とす部材である。また、ドラム用クリーニングブレード27bは、感光体ドラム10bの表面上にとどまるように配置された複数の研磨球体301(後述)をせき止めるせき止め部材でもある。
【0082】
ドラム用クリーニングブレード27bは、図4に示すように、所定の厚みを有した長方形状の板状の部材である。ドラム用クリーニングブレード27bは、先端部274から後端部273に延びており、且つ、感光体ドラム10bの回転軸方向に延びている。
【0083】
ドラム用クリーニングブレード27bは、図4に示すように、感光体ドラム10bと中間転写ベルト21とが対向する部分よりも感光体ドラム10bの回転方向の下流側に配置される。ドラム用クリーニングブレード27bの先端部274の一方のエッジ部分は、当接部分271において、感光体ドラム10bの表面に当接する。
【0084】
ドラム用クリーニングブレード27bは、感光体ドラム10bに対してカウンター状態になるように配置される。ドラム用クリーニングブレード27bのカウンター状態とは、ドラム用クリーニングブレード27bの後端部273から先端部274に向かう方向と、感光体ドラム10bの回転方向とが対向する状態である。ドラム用クリーニングブレード27bがカウンター状態に配置される方式を「カウンター方式」ともいう。
【0085】
ドラム用クリーニングブレード27bは、カウンター状態で配置された場合において、感光体ドラム10bの回転によって移動された複数の研磨球体301(後述)が衝突する衝突端面275を有する。衝突端面275は、ドラム用クリーニングブレード27bの先端部274側の端面であって厚み方向に沿う端面である。
【0086】
ドラム用クリーニングブレード27bは、感光体ドラム10bとドラム用クリーニングブレード27bとの当接部分271の上方側に複数の研磨球体301(後述)を配置可能な空間302を形成するように配置される。
ドラム用クリーニングブレード27bの後端部273は、不図示の取り付け板によってハウジング等に取り付けられる。
【0087】
メッシュ状規制部材29bは、複数の研磨球体301における感光体ドラム10bから離れる方向への移動を規制する部材である。メッシュ状規制部材29bは、感光体ドラム10bとの間に複数の研磨球体301(後述)を配置可能な空間302を形成するように、感光体ドラム10bの表面から所定距離離間して、感光体ドラム10bの表面に対向して配置される。
メッシュ状規制部材29bは、ドラム用クリーニングブレード27bに取り付けられ、ドラム用クリーニングブレード27bから感光体ドラム10bの回転方向の上流側に向かうように延びている。
【0088】
メッシュ状規制部材29bは、液体現像剤を通過させ且つ複数の研磨球体301を通過させないメッシュ状部分291を有している。メッシュ状部分291は、ドラム用クリーニングブレード27bにより感光体ドラム10bの表面から掻き落とされた液体現像剤を通過させる。つまり、感光体ドラム10bの表面からドラム用クリーニングブレード27bにより掻き落とされた液体現像剤は、メッシュ状部分291を通過して、搬送スクリュー28bにより、第1回収容器81b(図2参照)に搬送される。
【0089】
また、感光体ドラム10b、ドラム用クリーニングブレード27b及びメッシュ状規制部材29bにより形成される複数の研磨球体301(後述)が配置される空間302は、複数の研磨球体301(後述)が流れないように感光体ドラム10bの回転軸方向の両端部において板部材(不図示)により塞がれている。そのため、感光体ドラム10b、ドラム用クリーニングブレード27b及びメッシュ状規制部材29bにより形成される複数の研磨球体301(後述)が配置される空間302は、メッシュ状規制部材29bの上端部と感光体ドラム10dとの間のみで感光体ドラム10bの回転方向の上流側に向くように開放している。なお、メッシュ状部分291は、複数の研磨球体301を通過させないため、複数の研磨球体301に対しては開放していない。
【0090】
次に、複数の研磨球体301について説明する。
複数の研磨球体301は、図4に示すように、感光体ドラム10bの表面上にとどまるように配置され、感光体ドラム10bの表面を研磨する。具体的には、複数の研磨球体301は、感光体ドラム10bが回転することによりドラム用クリーニングブレード27bにせき止められて、感光体ドラム10bの表面に向かうように移動される。詳細には、ドラム用クリーニングブレード27bがカウンター状態で配置された場合には、複数の研磨球体301は、感光体ドラム10bの回転によって、ドラム用クリーニングブレード27bの先端部274側の衝突端面275に衝突してせき止められる。そして、複数の研磨球体301は、感光体ドラム10bの表面に向かうように回転して、対流する。
【0091】
研磨球体301の外形は、球形状(ボール形状)であることが好ましい。研磨球体301の外形が球形状(ボール形状)であることにより、感光体ドラム10bの表面や、ドラム用クリーニングブレード27bの衝突端面275や、研磨球体301自体を傷つけることを抑制することができる。
【0092】
複数の研磨球体301の直径は、液体現像剤に含まれるトナー粒子の粒子径よりも大きい。研磨球体301の直径は、適宜設定される。研磨球体301の直径が小さいと、研磨能力が大きく感光体ドラム10bやドラム用クリーニングブレード27bを削ってしまう可能性がある。一方、研磨球体301の直径が大きいと、研磨能力が小さすぎる可能性がある。例えば、複数の研磨球体301の直径は、0.2〜0.6mmが好ましく、0.4〜0.6mmが更に好ましい。本実施形態においては、トナー粒子の平均粒子径は、例えば0.5μm程度である。
複数の研磨球体301の直径が適度の大きさに形成されることにより、複数の研磨球体301は、感光体ドラム10bの表面やドラム用クリーニングブレード27bを傷つけることを抑制しつつ、感光体ドラム10bの表面を十分に研磨することができる。
【0093】
複数の研磨球体301は、セラミックス材料から形成される。セラミック材料からなる複数の研磨球体301としては、例えば、アルミナや、ジルコニアなどで形成された球体がある。
【0094】
セラミックス材料により形成された研磨球体301は、樹脂材料により形成された研磨球体と比べて、比重が高い。そのため、感光体ドラム10bとドラム用クリーニングブレード27bとの当接部分271の上方側の空間302に配置された複数の研磨球体301は、自重で感光体ドラム10bの表面に落下しやすい。これにより、感光体ドラム10bの表面を効率よく研磨することができる。
例えば、研磨球体301の比重は、3.1〜6.08g/cmが好ましい。本実施形態においては、研磨球体301は、比重が6g/cm程度のジルコニアから構成される。
【0095】
また、セラミックス材料で形成された複数の研磨球体301は、樹脂材料で形成される場合と比べて、耐久性が高く、研磨力が高い。これにより、複数の研磨球体301が振動、回転、衝突しながらフィルミング成分に作用して、感光体ドラム10dの表面に形成されたフィルミング成分を効率よく削り取ることができる。
【0096】
また、複数の研磨球体301は、個々の研磨球体301が異なる径であるものが混合されて複数の研磨球体301として構成されていてもよい。
また、複数の研磨球体301の密度は、適宜設定される。複数の研磨球体301の密度は、複数の研磨球体301の対流を妨げることなく、感光体ドラム10bの表面を十分に研磨することができる密度が好ましい。
【0097】
次に、研磨球体301により感光体ドラム10dの表面を研磨する作用について説明する。
まず、中間転写ベルト21にトナー画像を1次転写した後の感光体ドラム10bの表面には、トナー粒子が残存している。この状態で、感光体ドラム10bの表面に付着したトナー粒子は、感光体ドラム10bが回転されることで、ドラム用クリーニングブレード27bにより掻き取られる。
【0098】
感光体ドラム10bとドラム用クリーニングブレード27bとの当接部分271の上方側の空間302には、図4に示すように、複数の研磨球体301が供給(配置)されている。感光体ドラム10bの表面上にとどまるように配置された複数の研磨球体301は、感光体ドラム10bの回転により、ドラム用クリーニングブレード27bの衝突端面275にせき止められる。
【0099】
その後、感光体ドラム10bとドラム用クリーニングブレード27bとの当接部分271の上方側の空間302において、複数の研磨球体301は、感光体ドラム10bが回転することによって、メッシュ状規制部材29bの感光体ドラム10bに対向する面、感光体ドラム10bの表面及びドラム用クリーニングブレード27bの衝突端面275に衝突して回転移動され、対流される。
【0100】
これにより、感光体ドラム10bとドラム用クリーニングブレード27bとの当接部分271の上方側の空間302を対流する複数の研磨球体301は、感光体ドラム10bの表面を磨いて、感光体ドラム10bの表面に付着したトナー粒子や酸化生成物等の異物(フィルミング成分)を削り取る。また、フィルミング成分を削り取る際に複数の研磨球体301の表面に付着したフィルミング成分は、複数の研磨球体301同士の衝突により複数の研磨球体301の表面から削り取られる。
【0101】
本実施形態においては、複数の研磨球体301は、ドラム用クリーニングブレード27bの衝突端面275にせき止められ、回転移動され、対流する。これにより、複数の研磨球体301は、感光体ドラム10bの回転方向の下流側に流されにくい。従って、複数の研磨球体301が減少しにくいため、複数の研磨球体301を新たに補給する必要性は少ない。
【0102】
また、本実施形態においては、メッシュ状規制部材29bは、ドラム用クリーニングブレード27bに取り付けられ、複数の研磨球体301の感光体ドラム10bから離れる方向への移動を規制する。これにより、複数の研磨球体301は、メッシュ状規制部材29bにより移動が規制されて、感光体ドラム10bの回転方向の下流側に一層流されにくい。従って、複数の研磨球体301が一層減少しにくいため、複数の研磨球体301を補給する必要性はほとんどない。
【0103】
一方、複数の研磨球体301が削り取ったフィルミング成分は、メッシュ状規制部材29bのメッシュ状部分291を通過する。また、感光体ドラム10bの表面に付着したフィルミング成分の量は非常に少なく、更に、複数の研磨球体301は互いに衝突している。そのため、研磨球体301の表面には、感光体ドラム10bの表面から削り取られたフィルミング成分が固着しにくい。これにより、複数の研磨球体301におけるフィルミング成分を除去する能力は低下しにくい。従って、複数の研磨球体301を交換する必要性は少ない。
【0104】
第1実施形態によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
第1実施形態においては、表面に静電潜像が形成される感光体ドラム10bにキャリア液及びトナー粒子を有する液体現像剤を供給する液体現像装置9bと、回転可能な感光体ドラム10bと、先端部274が感光体ドラム10bの表面に当接するドラム用クリーニングブレード27bと、感光体ドラム10bの表面上にとどまるように配置され、感光体ドラム10bの表面を研磨する複数の球体301であって、感光体ドラム10bが回転することによりドラム用クリーニングブレード27bにせき止められて感光体ドラム10bの表面に向かうように移動され、液体現像剤に含まれるトナー粒子の粒子径よりも直径が大きく且つセラミックス材料からなる複数の研磨球体301と、を備え、ドラム用クリーニングブレード27bは、感光体ドラム10bとドラム用クリーニングブレード27bとの当接部分271の上方側に複数の球体301を配置可能な空間302を形成するように配置される。
【0105】
そのため、複数の研磨球体301がセラミックス材料からなるため、比重が高く且つ研磨力が高い。これにより、複数の研磨球体301は、感光体ドラム10bの表面に向かうように落下されやすく、感光体ドラム10bの表面を効率よく研磨することができる。
また、複数の研磨球体301の直径は、トナー粒子の粒子径よりも大きい。そのため、感光体ドラム10bの表面を傷つけることを抑制しつつ、感光体ドラム10bの表面を十分に研磨することができる。
また、複数の研磨球体301の外形が球形状(ボール形状)であるため、感光体ドラム10dの表面やドラム用クリーニングブレード27bを傷つけることを抑制することができる。
【0106】
また、第1実施形態においては、ドラム用クリーニングブレード27bは、ドラム用クリーニングブレード27bの後端部273から先端部274に向かう方向と感光体ドラム10bの回転方向とが対向するカウンター状態になるように配置される。
そのため、感光体ドラム10bの回転によって移動される複数の研磨球体301は、ドラム用クリーニングブレード27bの後端部273から先端部274に向かう方向と感光体ドラム10bの回転方向とが対向しない状態よりも、ドラム用クリーニングブレード27bの研磨端面272に勢いよく衝突する。そして、複数の研磨球体301は、複数の研磨端面272に衝突した反動により、感光体ドラム10bの表面にも勢いよく衝突する。従って、複数の研磨球体301は、ドラム用クリーニングブレード27bの後端部273から先端部274に向かう方向と感光体ドラム10bの回転方向とが対向しない状態よりも、感光体ドラム10bの表面を効率よく研磨することができる。
【0107】
また、第1実施形態においては、感光体ドラム10bの表面から所定距離離間して、感光体ドラム10bの表面に対向して配置され、液体現像剤を通過させ且つ複数の研磨球体301を通過させないメッシュ状部分291を有し、複数の研磨球体301における感光体ドラム10bから離れる方向への移動を規制するメッシュ状規制部材29bであって、ドラム用クリーニングブレード27bに取り付けられ、ドラム用クリーニングブレード27bから感光体ドラム10bの回転方向の上流側に向かうように延びるメッシュ状規制部材29bを更に備える。
そのため、メッシュ状規制部材29bは、液体現像剤や感光体ドラム10bの表面から掻き落とされたフィルミング成分を通過させると共に、複数の研磨球体301を通過させずに複数の研磨球体301を対流させる。これにより、感光体ドラム10bの表面を効率よく研磨することができる。
また、メッシュ状規制部材29bが複数の研磨球体301における感光体ドラム10bから離れる方向への移動を規制できるため、感光体ドラム10bの表面に対するドラム用クリーニングブレード27bを配置する角度の自由度を向上させることができる。
【0108】
また、第1実施形態においては、複数の球体の直径は、0.2〜0.6mmである。そのため、複数の研磨球体301により感光体ドラム10bの表面やドラム用クリーニングブレード27bを傷つけることを抑制しつつ、複数の研磨球体301により感光体ドラム10bの表面を十分に研磨することができる。
【0109】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態のカラープリンター1Aについて、図面を参照しながら説明する。なお、第2実施形態の説明にあたって、第1実施形態と同一の構成要件については同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。図5は、第2実施形態のカラープリンター1Aにおける感光体ドラム10b、せき止めブレード37b、上流側ドラム用クリーニングブレード38b及び研磨球体301の構成を説明するための断面図である。
【0110】
図5に示すように、第2実施形態のカラープリンター1Aは、第1実施形態と比べて、主として、せき止め部材としてのせき止めブレード37bをトレール状態で感光体ドラム10bに当接させている点、上流側ドラム用クリーニングブレード38bが設けられている点、第1実施形態におけるメッシュ状規制部材29bが設けられていない点が異なる。
【0111】
第2実施形態のカラープリンター1Aは、図5に示すように、感光体ドラム10bと、中間転写ベルト21と、せき止めブレード37bと、上流側ドラム用クリーニングブレード38bと、複数の研磨球体301と、を備える。感光体ドラム10b、中間転写ベルト21及び複数の研磨球体301の構成は、第1実施形態と同一の構成であるため、その説明を省略又は簡略化する。
【0112】
せき止めブレード37bは、図5に示すように、感光体ドラム10bと中間転写ベルト21とが対向する部分よりも感光体ドラム10bの回転方向の下流側に配置される。せき止めブレード37bの先端部374の一方のエッジ部分は、当接部分371において、感光体ドラム10bの表面に当接する。
【0113】
せき止めブレード37bは、感光体ドラム10bに対してトレール状態になるように配置される。せき止めブレード37bのトレール状態とは、せき止めブレード37bの後端部373から先端部374に向かう方向と、感光体ドラム10bの回転方向との角度が直角よりも小さいように配置される状態である。詳細には、感光体ドラム10bとせき止めブレード37bとの当接部分371において、せき止めブレード37bの後端部373から先端部374に向かう方向は、感光体ドラム10bの回転方向に対向しないようになっており、感光体ドラム10bの回転方向に対して鋭角になっている。せき止めブレード37bがトレール状態に配置される方式を「トレール方式」ともいう。
【0114】
せき止めブレード37bは、トレール状態で配置された場合において、感光体ドラム10bの回転によって移動された複数の研磨球体301(後述)が衝突する衝突上面376を有する。衝突上面376は、せき止めブレード37bの上面(中間転写ベルト21側の面)であって、せき止めブレード37bの厚み方向に直交する面である。
【0115】
せき止めブレード37bは、感光体ドラム10bとせき止めブレード37bとの当接部分371の上方側に複数の研磨球体301を配置可能な空間303を形成するように配置される。
せき止めブレード37bの後端部373は、不図示の取り付け板によってハウジング等に取り付けられる。
【0116】
複数の研磨球体301は、感光体ドラム10bとせき止めブレード37bとの当接部分371の上方側の空間303に供給(配置)される。また、感光体ドラム10bとせき止めブレード37bとの当接部分371の上方側の空間303には、複数の研磨球体301とともに、キャリア液(不図示)が供給(配置)される。キャリア液は、感光体ドラム10bとせき止めブレード37bとの間の潤滑液として機能する。
【0117】
上流側ドラム用クリーニングブレード38bは、感光体ドラム10bの表面に残存した現像剤を掻き落とす部材である。上流側ドラム用クリーニングブレード38bは、感光体ドラム10bの回転方向におけるせき止めブレード37bよりも上流側であって中間転写ベルト21よりも下流側に配置される。上流側ドラム用クリーニングブレード38bの先端部384の一方のエッジ部分は、当接部分381において、感光体ドラム10bの表面に当接する。
【0118】
上流側ドラム用クリーニングブレード38bは、感光体ドラム10bに対してカウンター状態になるように配置される。上流側ドラム用クリーニングブレード38bのカウンター状態とは、上流側ドラム用クリーニングブレード38bの後端部383から先端部384に向かう方向と、感光体ドラム10bの回転方向とが対向する状態である。
【0119】
次に、第2実施形態における研磨球体301により感光体ドラム10dの表面を研磨する作用について説明する。ここでは、第1実施形態と異なる点について主に説明する。
まず、中間転写ベルト21にトナー画像を1次転写した後の感光体ドラム10bの表面には、トナー粒子が残存している。この状態で、感光体ドラム10bの表面に付着したトナー粒子は、感光体ドラム10bが回転されることで、上流側ドラム用クリーニングブレード38bにより掻き取られる。
【0120】
感光体ドラム10bとせき止めブレード37bとの当接部分371の上方側の空間303には、図5に示すように、複数の研磨球体301及びキャア液(図示せず)が供給(配置)されている。感光体ドラム10bの表面上にとどまるように配置された複数の研磨球体301は、感光体ドラム10bの回転により、せき止めブレード37bの衝突上面376にせき止められる。
【0121】
その後、感光体ドラム10bとせき止めブレード37bとの当接部分381の上方側の空間303において、複数の研磨球体301は、感光体ドラム10bが回転することによって、感光体ドラム10bの表面及びせき止めブレード37bの衝突上面376に衝突して回転移動され、対流される。これにより、複数の研磨球体301は、感光体ドラム10bの表面を磨いて、感光体ドラム10bの表面に付着したトナー粒子や酸化生成物等の異物(フィルミング成分)を削り取る。また、フィルミング成分を削り取る際に複数の研磨球体301の表面に付着したフィルミング成分は、複数の研磨球体301同士の衝突により複数の研磨球体301の表面から削り取られる。
【0122】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が奏される。つまり、第2実施形態によれば、感光体ドラム10bの表面を傷つけることを抑制しつつ、感光体ドラム10bの表面を効率よく研磨することができる。
【0123】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、本実施形態においては、本発明の被クリーニング体を感光体ドラム10bに適用した場合について説明したが、これに制限されない。例えば、本発明の被クリーニング体を中間転写ベルト21に適用することも可能である。この場合には、本発明のせき止め部材を本実施形態におけるクリーニング部22のクリーニングブレード22bに適用して、複数の研磨球体を中間転写ベルト21の表面上にとどまるように供給することができる。
【0124】
また、本実施形態においては、湿式画像形成装置(カラープリンター)が備えているアモルファスシリコン感光体ドラムの表面を磨く研磨装置について説明したが、OPC感光体ドラムの表面を磨く研磨装置に適用することも可能である。
【0125】
また、本実施形態においては、画像形成装置としてカラープリンター1について説明したが、これに限定されず、モノクロのプリンター、コピー機、カラーコピー機、ファクシミリ又はこれらの複合機等であってもよい。
【実施例】
【0126】
以下、本発明の実施例及び比較例を用いて、本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものでない。
まず、実施例及び比較例の評価動作を行う際の各種条件は次の通りである。
【0127】
〔液体現像剤液〕
セルロースエーテルとしてのエチルセルロース(日進化成社製の「エトセル(登録商標)STD4」(エトキシ化率:45〜49.5%))3.8質量部を、キャリア液Bとしてのトール油脂肪酸(ハリマ化成社製の「ハートールFA−1」)15.2質量部に溶解させることにより、樹脂溶液を調製した。
一方、キャリア液Aとしての流動パラフィン(松村石油研究所社製の「モレスコホワイトP−200」)18質量部に、着色粒子(トナー粒子)としてのシアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3)5質量部と、分散安定剤としてのルーブリゾール社製のISP社製の「Antaron(登録商標)V−216」2質量部と、を混合及び分散させることにより、顔料分散体を調製した。
顔料分散体中の顔料の平均粒子径(D50)は0.5μmである。そして、樹脂溶液19質量部と、顔料分散体25質量部と、トール油脂肪酸56質量部とで混合することにより、顔料を5質量%、エチルセルロースを3.8質量%含有し、キャリア液全体におけるトール油脂肪酸の含有量が79.8質量%のシアンの液体現像剤を製造した(キャリア混合比(キャリア液A:キャリア液B):20:80)。
【0128】
〔研磨球体の物性〕
ジルコニアボール YTZ−0.6(アズワン)
化学組成:ZrO2/95%
直径:0.6mm
密度:6.0g/cm3
HV密度:12.3GPa(150kgf/mm2)
破壊靭性:6.0MPa√m
からずり磨耗率:0.4ppm/h
HV硬度:1300kgf/mm2
〔研磨球体の径及び量〕
ジルコニアボールの径:0.6mm
ジルコニアボールの量:2g
〔感光体ドラム〕
アモルファスシリコンドラム(直径40mm)
〔ドラム用クリーニングブレード〕
ウレタン材料により形成されたドラム用クリーニングブレードを、カウンター状態で感光体ドラム10bに当接させる。
ドラム用クリーニングブレードは、厚み2.4mm、長さ335mm、圧接角25°、長さ7.0mm、くい込み量1.0mmで形成される。
【0129】
〔評価動作〕
以上の条件において、図1に示す京セラドキュメントソリューションズ株式会社製カラープリンター1(実験機線速:116mm/s)を用いて、まず、現像ローラー上に5μmの厚さの現像剤層を形成する。そして、現像ローラー上において4kV印加することで、現像剤を帯電させる。その後、印字率100%の画像で、60分間、現像剤を現像ローラーから感光体へ現像させる(感光体ドラムの暗電位:+550V、感光体ドラムの暗電位の明電位:+10V、現像ローラー:+400V)。
ここでは、転写ベルトを取り付けない状態で、現像剤の全部をドラム用クリーニングブレードで掻き落とすように構成した。
【0130】
〔実施例〕
ドラム用クリーニングブレードの端面に、ジルコニアボール(複数の研磨球体)を載せて、上記評価動作を行った。
〔比較例〕
ドラム用クリーニングブレードの端面に、ジルコニアボール(複数の研磨球体)を載せずに、上記評価動作を行った。
【0131】
〔評価結果〕
ジルコニアボールをドラム用クリーニングブレードに載せた場合には、感光体ドラム10bの表面のフィルミング成分が除去されたことを、目視にて確認した。
ジルコニアボールをドラム用クリーニングブレードに載せない場合には、感光体ドラム10bの表面からフィルミング成分が変化せずに除去されないことを、目視にて確認した。
以上の結果により、ジルコニアボールをドラム用クリーニングブレードに載せることにより、感光体ドラム10bの表面のフィルミング成分が除去されたことが確認された。従って、ジルコニアボール(セラミックス材料からなる複数の研磨球体)をドラム用クリーニングブレード27bの上に加えることで、感光体ドラム10bの表面からフィルミング成分を除去できることが分かった。これにより、安定した画像形成を行うことが可能となった。
【符号の説明】
【0132】
1……カラープリンター(画像形成装置)、9a、9b、9c、9d……液体現像装置、10a、10b、10c、10d……感光体ドラム(像担持体、被クリーニング体)、27a、27b、27c、27d……ドラム用クリーニングブレード(せき止め部材)、29a、29b、29c、29d……メッシュ状規制部材(規制部材)、37d……せき止めブレード(せき止め部材)、271、371……当接部分、273……後端部、274……先端部、291……メッシュ状部分、301……研磨球体(球体)、302、303……空間
図1
図2
図3
図4
図5